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特開2022-27692集光装置及び同集光装置を用いた紫外線照射型殺菌装置
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  • 特開-集光装置及び同集光装置を用いた紫外線照射型殺菌装置 図1
  • 特開-集光装置及び同集光装置を用いた紫外線照射型殺菌装置 図2
  • 特開-集光装置及び同集光装置を用いた紫外線照射型殺菌装置 図3
  • 特開-集光装置及び同集光装置を用いた紫外線照射型殺菌装置 図4
  • 特開-集光装置及び同集光装置を用いた紫外線照射型殺菌装置 図5
  • 特開-集光装置及び同集光装置を用いた紫外線照射型殺菌装置 図6
  • 特開-集光装置及び同集光装置を用いた紫外線照射型殺菌装置 図7
  • 特開-集光装置及び同集光装置を用いた紫外線照射型殺菌装置 図8
  • 特開-集光装置及び同集光装置を用いた紫外線照射型殺菌装置 図9
  • 特開-集光装置及び同集光装置を用いた紫外線照射型殺菌装置 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027692
(43)【公開日】2022-02-14
(54)【発明の名称】集光装置及び同集光装置を用いた紫外線照射型殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20220203BHJP
   F21V 7/09 20060101ALI20220203BHJP
   F21V 7/04 20060101ALI20220203BHJP
   F21V 7/06 20060101ALI20220203BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20220203BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20220203BHJP
   F21Y 103/00 20160101ALN20220203BHJP
【FI】
F21S2/00 310
F21V7/09 100
F21V7/04 121
F21V7/06
A61L9/20
F21Y101:00 100
F21Y103:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125030
(22)【出願日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】P 2020130362
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504038284
【氏名又は名称】納冨 啓一
(71)【出願人】
【識別番号】521373711
【氏名又は名称】松永 里恵
(71)【出願人】
【識別番号】520287389
【氏名又は名称】井上 治美
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】納冨 啓一
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180CA01
4C180DD03
4C180DD04
4C180DD05
4C180EA17X
4C180HH17
4C180HH18
(57)【要約】
【課題】集光効率を向上させること。
【解決手段】本発明では、集光装置(3)において、光源(6)からの光を平行光線状に反射させる主反射板(7)と、光源からの光を主反射板(7)へ向けて反射させる副反射板(8,9)とを有することにした。また、前記副反射板(8,9)を複数段設けることにした。また、前記光源(6)を挟んで主反射板(7)と正反対側にも副反射板(13)を設けることにした。さらに、本発明では、紫外線照射型殺菌装置(1)において、前記集光装置(3)を用いるとともに、前記光源(6)として紫外線を用いることにした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を平行光線状に反射させる主反射板と、光源からの光を主反射板へ向けて反射させる副反射板とを有することを特徴とする集光装置。
【請求項2】
前記副反射板を複数段設けたことを特徴とする請求項1に記載の集光装置。
【請求項3】
前記光源を挟んで主反射板と正反対側にも副反射板を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の集光装置。
【請求項4】
前記請求項1~請求項3のいずれかを用いるとともに、前記光源として紫外線を用いたことを特徴とする紫外線照射型殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集光装置及び同集光装置を用いた紫外線照射型殺菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光源から照射された光を所定の範囲内に集光させる集光装置では、図10に示すように、光源の前方にスリットを設け、スリットによって光源から照射された光を所定の範囲内に集光させるように構成している(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
そして、光源として紫外線を用い、紫外線を照射して空気中のウイルスや雑菌などを殺菌する紫外線照射型殺菌装置としては、、紫外線を照射する光源と、光源から照射された紫外線の照射範囲を絞るルーバー形状の絞り(スリット)とを備え、一定の照射範囲の空気に向けて紫外線を照射して殺菌を行うように構成している(たとえば、特許文献1,2,3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-37158号公報
【特許文献2】特許第6586180号公報
【特許文献3】特許第6542922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の集光装置では、図10に示すように、光源から照射された光がスリットで遮られてしまい、集光効率が低くなってしまうといった問題があった。
【0006】
また、上記従来の紫外線照射型殺菌装置では、スリットによる光の遮蔽で集光効率が低くなるために、反射板を設けたり、スリットに紫外線が照射されてスリットが劣化したりスリットで乱反射してしまうのを防ぐためにスリットに吸光処理を施す等の対応策が別途必要になるため、製造コストや吸光処理部分のメンテナンス費用の増加を招くといった問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、集光装置において、光源からの光を平行光線状に反射させる主反射板と、光源からの光を主反射板へ向けて反射させる副反射板とを有することにした。
【0008】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記副反射板を複数段設けることにした。
【0009】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記光源を挟んで主反射板と正反対側にも副反射板を設けることにした。
【0010】
また、請求項4に係る本発明では、紫外線照射型殺菌装置において、前記請求項1~請求項3のいずれかを用いるとともに、前記光源として紫外線を用いることにした。
【発明の効果】
【0011】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0012】
すなわち、本発明では、集光装置において、光源からの光を平行光線状に反射させる主反射板と、光源からの光を主反射板へ向けて反射させる副反射板とを有することにしているために、集光効率の低減を防止することができる。
【0013】
特に、副反射板を複数段設けた場合には、集光効率を向上させることができる。
【0014】
また、光源を挟んで主反射板と正反対側にも副反射板を設けることにした場合には、より一層集光効率を向上させることができる。
【0015】
また、紫外線照射型殺菌装置において、上記集光装置のいずれかを用いるとともに、光源として紫外線を用いることにした場合には、紫外線を効率よく集光させることができるので、殺菌効果を増大させることができるとともに、紫外線照射型殺菌装置の製造コストやメンテナンスコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る紫外線照射型殺菌装置の概略を示す正面図(a)、同側面断面図(b)。
図2】本発明に係る集光装置を示す側面断面図。
図3】同断面説明図。
図4】同断面説明図。
図5】同断面説明図。
図6】同断面説明図。
図7】同断面説明図。
図8】同断面説明図。
図9】同断面説明図。
図10】従来の集光装置を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る集光装置及び同集光装置を用いた紫外線照射型殺菌装置の具体的な構成を図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1に示すように、紫外線照射型殺菌装置1は、ケーシング2の内部に集光装置3を収容するとともに、ケーシング2の前面に開口4を形成している。
【0019】
そして、紫外線照射型殺菌装置1は、集光装置3から前方へ向けて照射した紫外線(紫外光)をケーシング2の開口4から前方の空気へ向けて照射し、紫外線によって空気中のウイルスや雑菌等の殺菌を行うものである。
【0020】
集光装置3は、図2に示すように、左右側壁5,5の間に、光源6と、主反射板7と、上下一対の副反射板8,9とを架設し、上下の副反射板9,9の前端間に光を照射するための横長矩形状の開口10を形成している。開口10の上下幅は、主反射板7の上下幅と同一にしている。なお、主反射板7の上端又は下端と上下の副反射板8,8の後端との間には、放熱のために横長矩形状の開口11,11を形成し、上下の副反射板8,8の前端と上下の副反射板9,9の後端との間には、放熱のために横長矩形状の開口12,12を形成している。
【0021】
光源6は、全周に向けて光を拡散状に放射する構成となっており、ここでは、紫外線を照射するものを用いているが、赤外線や可視光線やマイクロ波などを放射するものであってもよく、さらには、これらの複合波(たとえば、オゾンを生成に寄与する100nm~230nm(185nm)とそれ以外の紫外線(250nm)との複合波等)であってもよい。
【0022】
主反射板7は、光源6からの光を平行光線状に前方へ向けて反射するものであり、放物面鏡を用いている。この主反射板7の焦点に光源6を配置している。なお、主反射板7は、光源6からの光を平行光線状に前方へ向けて反射するものであればよく、半円弧面を有する凹面鏡を用いて、その焦点に光源6を配置してもよい。
【0023】
副反射板8,9は、光源6からの光を主反射板7に向けて反射するものであり、円弧状の凹面鏡を用いている。この副反射板8,9は、反射面である内周側の円弧の中心に光源6が位置するようにしている。ここでは、前後2段の副反射板8,9を用いているが、更に多くの段数の副反射板を用いてもよく、1段の副反射板を用いてもよい。なお、副反射板8,9は、光源6からの光を反射した後に、再び光源6を経由して主反射板7に向けて反射するものであればよい。
【0024】
光源6から全周に向けて放射された光は、一部が直接主反射板7で反射して平行光線として前方の開口10から放射され、一部が副反射板8,9で反射した後に主反射板7で反射して平行光線として前方の開口10から放射され、一部が直接前方の開口10から拡散光線として放射される。
【0025】
すなわち、図3に示すように、光源6からθ1の範囲(光源6から水平後方を0度とすると、-θ1/2度~+θ1/2度の角度範囲)で放射された光は、主反射板7のA1で反射し、平行光線となって前方の開口10から開口幅Hの範囲で放射される。
【0026】
また、図4に示すように、光源6からθ1以上θ2未満の範囲(光源6から水平後方を0度とすると、-θ2/2度~-θ1/2度、及び、+θ1/2度~+θ2/2度の角度範囲)で放射された光は、一旦、後段の副反射板8のB2で反射した後に、再び光源6を通って、主反射板7のA2で反射し、平行光線となって前方の開口10から開口幅Hの範囲で放射される。
【0027】
また、図5に示すように、光源6からθ2以上θ3未満の範囲(光源6から水平後方を0度とすると、-θ3/2度~-θ2/2度、及び、+θ2/2度~+θ3/2度の角度範囲)で放射された光は、一旦、前段の副反射板9のC3で反射した後に、再び光源6を通って、主反射板7のA3で反射し、平行光線となって前方の開口10から開口幅Hの範囲で放射される。
【0028】
さらに、図6に示すように、光源6からθ3以上の範囲(光源6から水平後方を0度とすると、-180度~-θ3/2度、及び、+θ3/2度~180度の角度範囲)で放射された光は、主反射板7及び副反射板8,9で反射することなく直接前方の開口10から拡散角度α度(360度-θ3度)の範囲で拡散光線となって放射される。
【0029】
ここで、図7に示すように、光源6からθ3以上の範囲(光源6から水平後方を0度とすると、-180度~-θ3/2度、及び、+θ3/2度~180度の角度範囲)において、光源6を挟んで主反射板7と正反対側に、光源6からの光を主反射板7へ向けて反射させる副反射板13を設けることで、上記拡散光線の放射を無くして、全て平行光線で前方の開口10から開口幅Hの範囲で放射させることができる。なお、副反射板13は、拡散光線を除去することができるものが好ましく、円弧状の凹面鏡に限られず平板鏡や凸面鏡や遮蔽板であってもよい。
【0030】
また、図8に示すように、ケーシング2の内部に集光装置3を拡散角度α度の半分の角度(α/2度)で上方に向けて傾斜させて配置した場合には、拡散角度α度の範囲で拡散する拡散光線及び全ての平行光線を水平線よりも上方側(天井側)へ向けて照射することができ、水平線よりも下方側(床側)の人体に紫外線が照射されるのを防止し、紫外線照射型殺菌装置1の安全性を向上させることができる。
【0031】
また、図9に示すように、複数段の副反射板を開口幅Hよりも広い一定の上下幅hと開口幅Hとの間の高さで形成してもよい。これにより、全体を同一高さ(h)とすることができ、取扱いが容易になる。また、主反射板として放物面鏡を用いると、加工の難しさに加えて、中央部分に比べて上下部分が高光密度となるため、円弧面鏡を用いることが好ましい。
【0032】
なお、上記集光装置3は、上記断面形状を有していればよく、主反射板7や副反射板8,9,13を正面視で横長状に形成した場合に限られず、正面視で円状(上記断面形状の点対称形状)に形成することもでき、左右側壁5,5を平板状に形成した場合に限られず、半円板状に形成することもできる。また、光源6は、横長棒状のものに限られず、豆球状のものでもよく、複数の豆球状のものを複数並べたものでもよい。
【0033】
また、上記集光装置3において、主反射板7や副反射板8,9,13は、光を反射することができる素材であればよいが、反射効率の高い素材がより好ましい。たとえば、水酸化カルシウムのように自然結晶化物としての炭酸カルシウムを生成する素材等では、結晶化した表面で150nm~350nm程度の紫外線を効率よく反射させることができる。このような表面結晶体を有する素材を用いた場合には、高効率反射性を有するだけでなく、セルフクリーニング効果が期待でき、紫外線による劣化のない長寿命であり、酸化チタンコーティングで紫外線によりイオン発生能力を発揮させることもでき、リサイクル性にも優れるといった特徴を付加させることができる。
【0034】
なお、上記集光装置3において、主反射板7や副反射板8,9,13は、表面素材が、鉛や亜鉛やアルミニウム等の白色発錆する金属酸化膜や、炭化カルシウムの結晶体や大理石や、シリカ結晶体やダイヤモンド粒子となっているものを用いることができる。たとえば、ダイヤモンド100μ粒子では反射率が0.8313、ダイヤモンド50μ粒子では反射率が0.870、シリカ100μ結晶では反射率が0.769、シリカ30μ結晶では反射率が0.8098、白色炭化カルシウム結晶体(不焼成漆喰セラミックタイル)では反射率が0.860、灰色炭化カルシウム結晶体(不焼成漆喰セラミックタイル)では反射率が0.843となることが実験的に確認された。
【0035】
以上に説明したように、上記集光装置3は、光源6からの光を平行光線状に反射させる主反射板7と、光源6からの光を主反射板7へ向けて反射させる副反射板8,9とを有する構成となっている。
【0036】
そのため、上記構成の集光装置3では、集光効率の低減を防止することができる。
【0037】
また、上記集光装置3は、副反射板8,9を複数段設けた構成となっている。
【0038】
そのため、上記構成の集光装置3では、集光効率を向上させることができる。
【0039】
また、上記集光装置3は、光源6を挟んで主反射板7と正反対側にも副反射板13を設けた構成となっている。
【0040】
そのため、上記構成の集光装置3では、より一層集光効率を向上させることができる。
【0041】
さらに、上記紫外線照射型殺菌装置1は、上記集光装置3を用いるとともに、光源6として紫外線を用いた構成となっている。
【0042】
そのため、上記構成の紫外線照射型殺菌装置1では、紫外線を効率よく集光させることができるので、殺菌効果を増大させることができるとともに、紫外線照射型殺菌装置1の製造コストや設備コストを低減させることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 紫外線照射型殺菌装置
2 ケーシング
3 集光装置
4 開口
5 側壁
6 光源
7 主反射板
8,9,13 副反射板
10,11,12 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10