(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027696
(43)【公開日】2022-02-14
(54)【発明の名称】一次レンズパッケージ用の有核ポリプロピレン樹脂
(51)【国際特許分類】
B65D 81/22 20060101AFI20220203BHJP
C08K 3/014 20180101ALI20220203BHJP
C08K 5/098 20060101ALI20220203BHJP
C08L 23/12 20060101ALI20220203BHJP
G02C 7/04 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
B65D81/22
C08K3/014
C08K5/098
C08L23/12
G02C7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021125214
(22)【出願日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】16/944,204
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】オレグ・グリシェンコ
(72)【発明者】
【氏名】ビリー・ボディフォード
【テーマコード(参考)】
2H006
3E067
4J002
【Fターム(参考)】
2H006BC00
3E067AA11
3E067AB83
3E067AC01
3E067BA02A
3E067BA07A
3E067BB16A
3E067BC02A
3E067CA07
3E067FB02
3E067FC01
4J002BB12W
4J002BB12X
4J002DE076
4J002DE206
4J002EG097
4J002EJ068
4J002EU198
4J002EW069
4J002FD078
4J002FD079
4J002FD206
4J002FD207
4J002GP00
4J002HA09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コンタクトレンズを保管するための一次パッケージを提供する。
【解決手段】主に、有核ポリプロピレン樹脂から作製される。有核ポリプロピレン樹脂は、99%を超えるポリプロピレンホモポリマー並びに、触媒酸捕捉剤も含有する、一次及び二次安定剤を有するポリプロピレンベース樹脂と、少なくとも1つの核形成剤/透明化剤と、少なくとも1つの触媒酸捕捉剤と、を用いて配合される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージであって、
ポリプロピレンホモポリマー並びに一次安定剤及び二次安定剤からなるポリプロピレンベース樹脂から形成された有核ポリプロピレン樹脂と、
少なくとも1つの核形成剤と、
少なくとも1つの触媒酸捕捉剤と、
を含む、パッケージ。
【請求項2】
前記ホモポリマーが1-プロペンホモポリマーである、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記捕捉剤が水酸化マグネシウム炭酸塩水和物である、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記核形成剤が、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、カルシウム塩(1:1)、(1R,2S)-rel-である、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記一次安定剤が、トリス(3,5-ジ-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートである、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記二次安定剤が、トリス-(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイトである、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記捕捉剤が、約0.04重量%の量で存在する、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記核形成剤が、約0.04重量%の量で存在する、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項9】
一次酸化防止剤が、約0.05重量%の量で存在する、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項10】
二次酸化防止剤が、約0.10重量%の量で存在する、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項11】
前記ホモポリマーが、99重量%を超える量で存在する、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項12】
パッケージであって、
99重量%を超えるポリプロピレンベース樹脂から形成された有核ポリプロピレン樹脂であって、前記樹脂がポリプロピレンホモポリマー並びに一次安定剤及び二次安定剤からなる、有核ポリプロピレン樹脂と、
0.25重量%未満の少なくとも1つの核形成剤と、
0.1重量%未満の少なくとも1つの触媒酸捕捉剤と、
を含む、パッケージ。
【請求項13】
コンタクトレンズを保持するためのパッケージであって、
ポリプロピレンホモポリマー並びに一次安定剤及び二次安定剤からなるポリプロピレンベース樹脂から形成された有核ポリプロピレン樹脂と、
少なくとも1つの核形成剤と、
少なくとも1つの触媒酸捕捉剤と、
を含む、パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、コンタクトレンズを保管するための一次パッケージとして使用するために開発された、有核ポリプロピレン配合物に関する。
【0002】
「一次」パッケージ、すなわち、コンタクトレンズを保持するパッケージを作製して、いくつかの有意な特性を有することが望ましい。第1に、製造及び保管が容易でなければならない。第2に、それは、光学的透明度を有する必要があり、すなわち、レンズの着用者は、それがパッケージ内に保持されるときに、レンズを容易に見ることができる必要がある。第3に、レンズが保持される溶液を吸収するために、それは、比較的不透過性である必要がある。これにより、レンズが正しい化学溶液中に維持されることが可能になる。これは、レンズ及び溶液が眼に使用するための薬剤を保持するときに有用である。次いで、パッケージが比較的不透過性である限り、ユーザーは、適切な量の溶液がレンズ自体に含有され続けることを確信し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
コンタクトレンズを保持するための新規な一次パッケージが開示される。それは、主に、有核ポリプロピレン樹脂から作製される。有核ポリプロピレン樹脂は、酸捕捉剤も含有する一次及び二次安定剤を含む、99%を超えるポリプロピレンホモポリマーからなるポリプロピレンベース樹脂と、少なくとも1つの核形成剤/透明化剤と、を用いて配合されるべきであると判定された。
【0004】
特定の固有の属性は、その独自の配合によって作成されたパッケージにおいて明らかである。第1に、配合物は、クロスフローとインフローの両方向において、無核ポリプロピレンの収縮と一致するように設計された、制御された収縮を有する。その間中、ポリプロピレン樹脂は、結晶化の高温を維持するべきである。無核材料の具体的に困難な態様は、結晶化のより低い温度であり、これは、より長い射出成形サイクル時間及びより低い機械生産性をもたらす。この結果、高い結晶化温度は、射出成形プロセスにおける冷却サイクルの短縮を可能にし、したがって、全体的な射出成形サイクル時間が短縮される。
【0005】
第2に、上記樹脂配合物は、無核樹脂から作製された部品と比較して、より硬い部分及び改善された光学的透明度をもたらすはずである。パッケージへの光学的透明度の恩恵は、むしろ自明である。
【0006】
第3に、材料は、ポリプロピレンからパッケージング溶液への添加物の低い移行率の恩恵を有するはずであり、その結果、パッケージング溶液及びコンタクトレンズへのあらゆるプラスチック成分の溶出が低減されるが、これは当然ながら、レンズ一次パッケージにとってかなり重要な要件である。
【0007】
本発明の一実施形態では、成分の濃度は以下のとおりである。
a)ベースポリプロピレン樹脂≧99%
b)酸捕捉剤<0.25%
c)核形成剤/透明化剤<0.1%
【0008】
1つの具体的に有用なベース樹脂は、1-プロペンホモポリマーであることが見出されている。有用な捕捉剤は、水酸化アルミニウムマグネシウム炭酸塩水和物であり、約0.04重量%の量である。透明化剤又は核形成剤は、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、カルシウム塩(1:1)、(1R,2S)-rel-として、約0.05重量%の量で選択した。
【0009】
いくつかの核形成添加剤を評価し、一実施形態では、カルシウム塩化合物を使用した。0.02~0.10重量%の核形成剤(カルシウム塩)の濃度範囲において、樹脂配合物は、125℃~135℃の範囲の結晶化温度を示し、これは、一般に3秒未満の比較的速いサイクルを有する射出成形プロセスに理想的な範囲である。
【0010】
酸化防止剤(安定剤とも呼ばれる)も、経時的な樹脂劣化を防止するために配合物に含まれてもよい。分析された酸化防止剤又は安定剤の中で、2つの具体的に有用な酸化防止剤は、約0.05重量%の量の一次酸化防止剤としてのトリス(3,5-ジ-ブチル-4-ヒドロキシベンジル(hydroxylbenzyl))イソシアヌレート、約0.10重量%の量の二次酸化防止剤としてのトリス-(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイトであった。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の配合物を使用して作製されたパッケージの図である。
【
図2】本発明の配合物を使用したレオロジー特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明を使用して作製された典型的なコンタクトレンズパッケージ100を説明する。それは、溶液中にレンズ(図示せず)を保持する「バルブ」又はベース50を含む。フィルム又はカバー10は、溶液中のレンズの上に配置される。
【0013】
用語「基部」は、医療用デバイスのための任意のレセプタクルを指し、基部のサイズ及び形状は、成形基部を作製又は設計する当業者に既知のデバイス及び他の考慮事項によって決定される。例えば、成形基部は、コンタクトレンズブリスタパッケージ、二次パッケージ、又は水和トレーを含む、個々のブリスタパッケージであってもよい。成形基部50は、任意の数の材料がデバイスの化学的及び物理的特性と適合性があることを条件として、それらの数の材料から調製されてもよい。成形された基部の形状に関して、好適に成形された基部の例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる以下の特許に開示されている。米国特許第D458,023号、同第4,691,820号、同第5,054,610号、同第5,337,888号、同第5,375,698号、同第5,409,104号、同第5,467,868号、同第5,515,964号、同第5,609,246号、同第5,695,049号、同第5,697,495号、同第5,704,468号、同第5,711,416号、同第5,722,536号、同第5,573,108号、同第5,823,327号、同第5,704,468号、同第5,983,608号、同第6,029,808号、同第6,044,966号、及び同第6,401,915号。
【0014】
引用した参考文献と同様に、成形基部50は、コンタクトレンズを囲む空洞の周りに封止される。可撓性フィルムカバーシート10は、医療デバイス及び溶液の気密シールを形成するために、フランジの上面に封止され得る、アルミニウム箔とポリプロピレンフィルムの接着積層体、又は任意の他の押出若しくは共押出フィルムから作製されても、それらであってもよい(can be made from can be)。更に、基部は、射出成形、トランスファー成形、スキンパッケージング、ブロー成形、共射出成形、フィルム押出、又はフィルム共押出を含むがこれらに限定されない、いくつかの既知の方法のいずれかによって形成することができる。
【0015】
「ホモポリマー」は、1つのモノマーから作製したポリマーである。ポリプロピレンホモポリマーは、唯一のモノマーとしてポリマー形成されたポリプロピレンであるが、ポリマー鎖の一部を形成しない添加剤を含んでもよい。以下は、レンズ一次パッケージの製造について評価された好適なポリプロピレンホモポリマー樹脂グレード(Flint Hills Resources)の例である。
・P4C5N-046(ホモポリマー)
・11T55V(透明ホモポリマー)
・P4C6B-134A(ホモポリマー)
・P4C6S-193A(透明ホモポリマー)
・P4C6N-041(ホモポリマー)
・P4C6Z-059(ホモポリマー)
・P4C6Z-022(ホモポリマー)
・P4C6B-194(有核ホモポリマー)
【0016】
好ましい構成によるアルファ核形成剤の好ましい例としては、以下が挙げられる。
・ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、
・ナトリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、
・リチウム-2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、
・リチウム-2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、
・ナトリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4-1-プロピル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、
・リチウム-2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、
・リチウム-2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、
・カルシウム-ビス[2,2’-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、
・カルシウム-ビス[2,2’-チオビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、
・カルシウム-ビス[2,2’-チオビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、
・マグネシウム-ビス[2,2’-チオビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、
・マグネシウム-ビス[2,2’-チオビス(4-t-オクチルフェニル)ホスフェート]、
・ナトリウム-2,2’-ブチリデン-ビス(4,6-ジメチルフェニル)ホスフェート、
・ナトリウム-2,2’-ブチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、
・ナトリウム-2,2’-t-オクチルメチレン-ビス(4,6-ジメチルフェニル)ホスフェート、
・ナトリウム-2,2’-t-オクチルメチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、
・カルシウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、
・マグネシウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、
・バリウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、
・ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、
・ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、
・ナトリウム(4,4’-ジメチル-5,6’-ジ-t-ブチル-2,2’-ビフェニル)ホスフェート、
・カルシウム-ビス[(4,4’-ジメチル-6,6’-ジ-t-ブチル-2,2’-ビフェニル)ホスフェート]、
・ナトリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4-m-ブチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、
・ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジメチルフェニル)ホスフェート、
・ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジエチルフェニル)ホスフェート、
・カリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、
・カルシウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、
・マグネシウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、
・バリウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、
・アルミニウム-トリス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、
・アルミニウム-ヒドロキシ-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチル-フェニル)ホスフェート]。
【0017】
第2の群のリンベースの成核形成剤としては、例えば、アルミニウム-ヒドロキシ-ビス[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)-6-ヒドロキシ-12H-ジベンゾ-[d,g]-ジオキサ-ホスホシン(phoshocin)-6-オキシダト]、及びこれらとLi-ミリステート又はLi-ステアレートとの混合物が挙げられる。
【0018】
リンベースの核形成剤のうち、ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート又はアルミニウム-ヒドロキシ-ビス[2,2’-メチ-レン-ビス(4,6-ジ-t-ブチル-フェニル)-ホスフェート]又はアルミニウム-ヒドロキシ-ビス-[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)-6-ヒドロキシ-12H-ジベンゾ-[d,g]-ジオキサ-ホスホシン-6-オキシダト]又はこれらとLi-ミリステート若しくはLi-ステアレートとの混合物が特に好ましい。
【0019】
また、任意に置換されたジベンジリデン(dibenzylidine)ソルビトール(例えば1,3:2,4ジベンジリデンソルビトール、1,3:2,4ジ(メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4ジ(エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトールなど)又はパインロジンなどのソルビトールベースの核形成剤も核形成剤として使用できる。更なる好適なアルファ核形成剤は、ビニルシクロアルカンポリマー及びビニルアルカンポリマーからなる群から選択されるポリマー核形成剤である。これらのポリマー核形成剤による核形成は、触媒を例えばビニルシクロヘキサン(VCH)などのモノマーと予備重合させる特別な反応器技術によって、又はプロピレンポリマーをビニル(シクロ)アルカンポリマーと混合することによってのいずれかで達成される。これらの方法は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、例えば欧州特許第0 316 187 A2号及び国際公開第99/24479号により詳細記載されている。
【0020】
ADK NA-11(メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェートナトリウム塩)及びADK NA-21(アルミニウムヒドロキシ-ビス[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)-6-ヒドロキシ-12H-ジベンゾ-[d,g]-ジオキサ-ホスホシン-6-オキシダト])は、Asahi Denka Kokaiから市販されており、本発明のポリオレフィン組成物に好ましく添加されるものである。Milliken & Companyから入手可能なMillad 3988(3,4-ジメチルベンジリデンソルビトール)、Millad NX8000、Millad 3905及びMillad 3940は、本発明で利用することができる核形成剤の他の例である。
【0021】
本発明の組成物に使用することができる、更なる市販のアルファ核形成剤は、例えば、BASF(公式にはCiba Speciality Chemicals)製のIrgaclear XT 386(N-[3,5-ビス-(2,2-ジメチル-プロピオニルアミノ)-フェニル]-2,2-ジメチルプロピオンアミド)、Milliken & Company製のHyperform HPN-68L及びHyperform HPN-20Eである。
【0022】
上記の全てのアルファ核形成剤の中で、ADK NA-21、NA-21 E、NA-21 Fなどのアルミニウムヒドロキシ-ビス[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)-6-ヒドロキシ-12H-ジベンゾ-[d,g]-ジオキサ-ホスホシン-6-オキシダト]ベースの核形成剤、ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート(ADK NA-11)、アルミニウム-ヒドロキシ-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート]、Millad 3988、Millad 3905、Millad 3940などのソルビトールベースの核形成剤、ビニルシクロアルカンポリマー及びビニルアルカンポリマーからなる群から選択されるポリマー系核形成剤、が特に好ましい。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つのアルファ核形成剤は、ビニルシクロアルカンポリマー及びビニルアルカンポリマー、好ましくはポリ-ビニルシクロヘキサン(pVCH)からなる群から選択されるポリマー核形成剤で構成される。
【0024】
更なる実施形態によれば、少なくとも1つのアルファ核形成剤は、アルミニウムヒドロキシビス[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)-6-ヒドロキシ-12H-ジベンゾ-[d,g]-ジオキサ-ホスホシン-6-オキサト]ベースの核形成剤(例えばADK NA-21、NA-21 E、NA-21 F)、ナトリウム2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート(ADK NA-1 1)、アルミニウム-ヒドロキシ-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]及びソルビトールベースの核形成剤(例えば、Millad NX8000、Millad 3988、Millad 3905及びMillad 3940)からなる群から選択される。
【0025】
少なくとも1つのアルファ-核形成剤は、群-から選択され、ビニルシクロアルカンポリマー及びビニルアルカンポリマー、好ましくはポリ-ビニルシクロヘキサン(pVCH)からなる実施形態の場合。
【0026】
添加剤は、好ましくはポリマー組成物中に存在し、調製中にポリマー組成物に添加されたとき、部分的に又は完全に存在し得る。添加剤は、立体障害フェノールなどの一次酸化防止剤及び亜リン酸塩などの二次酸化防止剤、立体障害アミンなどのUV安定剤、酸捕捉剤、カーボンブラック、顔料、モノステアリン酸グリセロールなどの帯電防止剤、オレアミド、可塑剤、抗引っ掻き剤、分散剤、加工助剤、潤滑剤などの帯電防止剤の群から好適に選択される。
【0027】
添加剤は市販されており、例えば、Hans Zweifelの2009年第6版「Plastic Additives Handbook」(1141ページ~1190ページ)に記載されており、通常、従来の量で使用されている。当業者であれば、これらの製品に精通し、使用した経験があるものと思われる。
【0028】
パッケージ100は、一次パッケージ(ベース50)の製造を支援するために開発された新規の有核樹脂配合物から形成される。ポリプロピレン材料及び添加剤パッケージを使用して樹脂配合物を設計した。配合された樹脂の重要な特性は、以下のとおりである。
・より速い射出成形サイクル時間を実行する能力、
・製造プロセスの実行性の改善、
・ブリスタのヘイズの低減(透明性の向上)、
・少なくとも無核樹脂のものに対応する部分収縮率、
・低溶出(抽出可能)レベル、
・一般的に現在のパッケージ成形型を使用して製造する能力。
・金型を冷却するために高価な金型冷却機を加えることなく、射出成形サイクル時間を短縮する能力。
【0029】
いくつかの実施形態は、UV遮断剤、UV反射剤、及び着色染料を含み得る任意成分を用いて配合された。
【0030】
レンズ一次パッケージ(ブリスタ50)を製造するための有核ポリプロピレン樹脂は、以下のように配合された。
・酸捕捉剤としても含有するか又は機能する一次安定剤及び二次安定剤を含む、99%を超えるポリプロピレンホモポリマーからなるポリプロピレンベース樹脂と、
・少なくとも1つの核形成剤/透明化剤。
【0031】
特に好ましい一実施形態では、成分の濃度は以下のとおりであった。
・ベースポリプロピレン樹脂≧99%
・酸捕捉剤<0.25%
・核形成剤/透明化剤<0.1%
【0032】
コンタクトレンズパッケージ100の場合、配合された有核樹脂は、以下の指定された範囲内の観察された物理的特性を有することができる。
・ASTM D 1238に準拠して測定したときの20~40g/10分の範囲のメルトフローレート範囲
・ASTM D 1505に準拠して測定したときの約0.90g/cm3の密度
・ASTM D 3418に準拠して測定したときの130℃~165℃の融解温度範囲
・ASTM D 648に準拠して測定したときの少なくとも66psi(.455MPa)での105℃~120℃の範囲のたわみ温度
・ASTM D 34181に準拠して測定したときの90~105の範囲の主融解熱(J/g)
【0033】
実施例1~4
本発明者らは、プラスチックプラーク及びパッケージを、コンタクトレンズパッケージの一般的な範囲である0.5~1.0mmの厚さ範囲で製造した。典型的な射出成形パラメータを表1に示す。パラメータは、パッケージのサイズ及び所望の特性、例えば、頑丈さ、使用の長さ、可撓性の必要性などに応じて変更され得ることを理解されたい。
【0034】
【0035】
試験材料の流入及びクロスフロー収縮は、従来の測定技術を使用して材料の収縮を含む各製剤について測定した。1/8”厚さを有する4”×4”のプラスチックプレートを使用して収縮率を測定した。サイズを、成形の完了時に測定し、再度40時間後に測定した。観察された差は、収縮量であった。
【0036】
有核ポリプロピレンは、ベース樹脂を使用して選択される。1つの具体的に有用なベース樹脂は、1-プロペンホモポリマーであることが見出された。以下の実施形態の各々にベース樹脂を使用し、それらの性能特性について各々試験した。
【0037】
【0038】
その後、表3に見られるように、本発明者らは、核形成樹脂配合物の3つの実施形態と共に、特定の無核樹脂の機械的特性及び射出成形特性を比較した。
【0039】
【0040】
表4に見られるように、添加剤の濃度は、射出成形プロセス及び部品収縮率に対して最適化され、収縮率は、無核材料の収縮率と密接に一致していた。
【0041】
【0042】
上述の樹脂配合物は、
図2のグラフに示すレオロジプロファイルを生じた。グラフでは、有核樹脂は「高Tcブリスタ材料」として、無核樹脂は「標準的な材料」として識別される。核材料は、剪断に対して高い感度を示し、部品を作製する際に金型の空洞への充填及びパッキングを支援する。より高い剪断及びTcは、より速い金型充填及びより低い圧力での冷却を可能にする。
【0043】
これらの試験及び実験から、以下の結論を引き出すことができる。
・選択されたポリプロピレン分子量分布と組み合わせた核形成パッケージは、十分に制御された収縮特性を有する材料をもたらす。
・有核樹脂は、無核樹脂の収縮率と同様の収縮率を有する。上述の有核ポリプロピレンから作製された一次パッケージは、無核ポリプロピレンから構成されたパッケージと有利に比較される。
・一次パッケージは、射出成形のサイクルタイムを大幅に短縮し、部品の寸法に影響を与えることなく、より速く製造することができる。有核樹脂を使用してパッケージを作製するための金型又は金型空洞へのいかなるタイプの変更も必要とされない。例えば、Nestal E-Jet 500の射出成形機でUniversal Pack 8空洞金型を使用した場合、有核ポリプロピレン樹脂グレード(P4H6N-222)を導入することで、射出サイクルが2.70秒から2.15秒に短縮された。この短縮されたサイクル時間は、繰り返し何時間も維持され、プロセス上の問題も発生しなかった。同じ射出成形機を用いた他の短い試験では、1.9秒という短いサイクル時間が達成された。射出成形機の変更は行わず、ポリプロピレン樹脂の変更のみでプロセスの高速化を実現した。
・その特性を考慮すると、本明細書に記載の有核ポリプロピレン配合物は、オンデマンドの部品生産を可能にする。通常、無核ポリプロピレンを使用する場合、レンズの生産を一時停止又は中止しても射出成形機(IMM)は稼働したままである。この間、ブリスタは継続して作られ、廃棄又はリサイクルされる。これは、無核ポリプロピレンを使用して動作しているIMMを次いで停止した場合、すぐに生産を再開することができないためである。ラインは、安定した生産状態を達成するために、パージされ、アイドル状態にされなければならない。このプロセスは15分以上かかり得るが、IMMを定常状態に調整しないと、部品が反り、規格外になるので、必ず行わなければならない。
【0044】
有核ポリプロピレンを使用する場合、そのような制限は存在しない。そのような樹脂を用いると、部品の反りがないため、問題なくIMMを瞬時に停止し開始することができる。また、任意の所与の時点でのレンズ生産の要件を満たすように、一次パッケージの生産速度を加速し、減速することが可能である。この特性は、一次パッケージの「オンデマンド生産」を生み出す能力をユーザーに与え、特に24時間年中無休の生産環境において、ポリプロピレン廃棄物の低減に対処する。
【0045】
もちろん、本発明はコンタクトレンズで使用するために記載されているが、そのような有核ポリプロピレンを使用する任意のパッケージに使用するのに完全に適合可能であることを理解されたい。例えば、この技術は、任意の成形基部に使用するために適合可能である。本発明のこれら及び他の目的は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物からよりよく理解されるであろう。
【0046】
〔実施の態様〕
(1) パッケージであって、
ポリプロピレンホモポリマー並びに一次安定剤及び二次安定剤からなるポリプロピレンベース樹脂から形成された有核ポリプロピレン樹脂と、
少なくとも1つの核形成剤(nucleator)と、
少なくとも1つの触媒酸捕捉剤と、
を含む、パッケージ。
(2) 前記ホモポリマーが1-プロペンホモポリマーである、実施態様1に記載のパッケージ。
(3) 前記捕捉剤が水酸化マグネシウム炭酸塩水和物である、実施態様1に記載のパッケージ。
(4) 前記核形成剤が、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、カルシウム塩(1:1)、(1R,2S)-rel-である、実施態様1に記載のパッケージ。
(5) 前記一次安定剤が、トリス(3,5-ジ-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートである、実施態様1に記載のパッケージ。
【0047】
(6) 前記二次安定剤が、トリス-(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイトである、実施態様1に記載のパッケージ。
(7) 前記捕捉剤が、約0.04重量%の量で存在する、実施態様1に記載のパッケージ。
(8) 前記核形成剤が、約0.04重量%の量で存在する、実施態様1に記載のパッケージ。
(9) 一次酸化防止剤が、約0.05重量%の量で存在する、実施態様1に記載のパッケージ。
(10) 二次酸化防止剤が、約0.10重量%の量で存在する、実施態様1に記載のパッケージ。
【0048】
(11) 前記ホモポリマーが、99重量%を超える量で存在する、実施態様1に記載のパッケージ。
(12) パッケージであって、
99重量%を超えるポリプロピレンベース樹脂から形成された有核ポリプロピレン樹脂であって、前記樹脂がポリプロピレンホモポリマー並びに一次安定剤及び二次安定剤からなる、有核ポリプロピレン樹脂と、
0.25重量%未満の少なくとも1つの核形成剤と、
0.1重量%未満の少なくとも1つの触媒酸捕捉剤と、
を含む、パッケージ。
(13) コンタクトレンズを保持するためのパッケージであって、
ポリプロピレンホモポリマー並びに一次安定剤及び二次安定剤からなるポリプロピレンベース樹脂から形成された有核ポリプロピレン樹脂と、
少なくとも1つの核形成剤と、
少なくとも1つの触媒酸捕捉剤と、
を含む、パッケージ。
【外国語明細書】