(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027725
(43)【公開日】2022-02-14
(54)【発明の名称】軟性金属積層体及びこれを用いたプリント配線板
(51)【国際特許分類】
B32B 15/088 20060101AFI20220203BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20220203BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
B32B15/088
H05K1/03 610N
H05K1/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125728
(22)【出願日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0095702
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514217912
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132,Yakchon-ro,Iksan-si Jeollabuk-do 570-977,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミン ウ
(72)【発明者】
【氏名】イ,イン ウック
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,イン ウォン
【テーマコード(参考)】
4F100
5E338
【Fターム(参考)】
4F100AB01D
4F100AB17D
4F100AB33D
4F100AK49A
4F100AS00B
4F100AS00C
4F100BA04
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4F100EJ17D
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4F100GB41
4F100JD04A
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4F100YY00
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4F100YY00D
5E338AA02
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB55
5E338EE11
5E338EE22
5E338EE24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高温・高湿の環境下で優れた絶縁層の誘電特性を保持することができるため高速・低損失の信号性能を保全することができる軟性金属積層体を提供する。
【解決手段】ポリイミドフィルム110と、前記ポリイミドフィルムの一方の面の上に形成された第1液晶ポリマーコーティング層120、及び前記ポリイミドフィルムの他方の面の上に形成された第2液晶ポリマーコーティング層130とを含む絶縁層10;及び前記絶縁層の少なくとも一方の面の上に形成された金属層を含む軟性金属積層体、及びこれを用いたプリント配線板に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミドフィルムと、前記ポリイミドフィルムの一方の面の上に形成された第1液晶ポリマーコーティング層、及び前記ポリイミドフィルムの他方の面の上に形成された第2液晶ポリマーコーティング層とを含む絶縁層;及び
前記絶縁層の少なくとも一方の面の上に形成された金属層を含む、軟性金属積層体。
【請求項2】
下記の数学式1を満たす、請求項1に記載の軟性金属積層体。
[数学式1]
0.01≦(B+C)/A≦0.2
前記式中、
Aは、ポリイミドフィルムの厚さであり、
Bは、第1液晶ポリマーコーティング層の厚さであり、
Cは、第2液晶ポリマーコーティング層の厚さである。
【請求項3】
前記絶縁層は、下記の数学式2で定義される誘電正接変化率が10%以下である、請求項1に記載の軟性金属積層体。
[数学式2]
誘電正接変化率=[(D2-D1)/D1]×100
前記式中、
D1は、前記絶縁層を23℃、50%相対湿度の条件下で24時間放置した後の10GHz周波数における初期誘電正接Df値であり、
D2は、前記絶縁層を85℃、85%相対湿度の条件下で240時間放置した後の10GHz周波数における誘電正接Df値である。
【請求項4】
前記ポリイミドフィルムの厚さは、10~100μmである、請求項1に記載の軟性金属積層体。
【請求項5】
前記第1及び第2液晶ポリマーコーティング層は、ポリイミドフィルム上に液晶ポリマー組成物を塗布し200℃以下の温度で乾燥させてから250~300℃の温度で後熱処理を施して形成されたものである、請求項1に記載の軟性金属積層体。
【請求項6】
前記第1及び第2液晶ポリマーコーティング層の厚さは、それぞれ0.1~10μmである、請求項1に記載の軟性金属積層体。
【請求項7】
前記金属層が銅を含む、請求項1に記載の軟性金属積層体。
【請求項8】
前記金属層の厚さは、1~20μmである、請求項1に記載の軟性金属積層体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の軟性金属積層体を用いたプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟性金属積層体及びこれを用いたプリント配線板に係り、より詳しくは、高温・高湿の環境下で優れた絶縁層の誘電特性を保持することができるため高速・低損失の信号性能を保全することができる軟性金属積層体、及びこれを用いたプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信及び車載用市場では4Gから5Gに移行しつつあり、それに伴う各種の部品の高性能化が要求されている。5Gの場合、用いられる周波数が通信用としては既存の4G最大の3.5GHzから5G最大の28GHz、車載用としては最大70GHzまで要求されており、これに伴い低誘電特性が要求されている。そこで、各種の産業界で誘電特性を下げるための材料の開発がなされている。
【0003】
軟性金属積層体は、主に軟性印刷回路基板(FPCB)の基材として用いられ、その他、面発熱体電磁波シールド材料、フラットケーブル、包装材料などに用いられている。このような軟性金属積層体の中でも軟性銅箔積層体は、主にポリイミド層と銅箔層とで構成され、ポリイミド層と銅箔層との間にエポキシ接着剤層が介在するか否かによって接着型と非接着型とに分けられることもある。前記非接着型の軟性銅箔積層体は、銅箔の表面にポリイミドを直接接着させてなるものである。近年、電子製品が小型化且つ薄型化し、優れたイオンマイグレーション特性が要求される傾向にあるため、非接着型の軟性銅箔積層体が主に用いられている。
【0004】
大韓民国公開特許第10-2013-0027442号には、第1金属層;第1ポリイミド層;前記第1ポリイミド層上に形成されたフッ素樹脂が分散されたポリイミド層;及び前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層上に形成された第2ポリイミド層;を含み、前記フッ素樹脂が分散されたポリイミド層において、前記フッ素樹脂の単位体積当たりの含量は、前記ポリイミド層の表面から全厚さの5~10%の深さまでよりも、全厚さの40~60%の深さまでの方で多くなっていることで、金属層との接着力及び誘電特性が向上した軟性金属積層板が記載されている。
【0005】
しかし、ポリイミドは水分吸収率が高いため耐湿性に劣り、このため、経時的に誘電特性が大きく低下して、5Gに対応可能な高周波で信号損失率が大きくなるという問題点がある。また、ポリイミドはそれ自体の誘電率が高いため、近年要求されている高速化水準を満足させ難い。
【0006】
これに関連して、液晶ポリマー(LCP)フィルムと、回路(導体パターン)を構成し得る金属層とを積層してなる積層板が知られている。該積層板は多層化によってフレキシブルプリント配線板を形成することができ、この場合、配線の高密度化が可能になって可動が広いという利点を持っている。しかしながら、液晶ポリマーフィルムは経済性に劣るという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一目的は、高温・高湿の環境下で優れた絶縁層の誘電特性を保持することができるため高速・低損失の信号性能を保全することができる軟性金属積層体を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、前記軟性金属積層体を用いたプリント配線板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一方で、本発明は、ポリイミドフィルムと、前記ポリイミドフィルムの一方の面の上に形成された第1液晶ポリマーコーティング層、及び前記ポリイミドフィルムの他方の面の上に形成された第2液晶ポリマーコーティング層とを含む絶縁層;及び
前記絶縁層の少なくとも一方の面の上に形成された金属層を含む、軟性金属積層体を提供する。
【0010】
本発明の一実施形態に係る軟性金属積層体は、下記の数学式1を満たしてよい。
[数学式1]
0.01≦(B+C)/A≦0.2
前記式中、
Aは、ポリイミドフィルムの厚さであり、
Bは、第1液晶ポリマーコーティング層の厚さであり、
Cは、第2液晶ポリマーコーティング層の厚さである。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記絶縁層は、下記の数学式2で定義される誘電正接変化率が10%以下であってよい。
[数学式2]
誘電正接変化率=[(D2-D1)/D1]×100
前記式中、
D1は、前記絶縁層を23℃、50%相対湿度の条件下で24時間放置した後の10GHz周波数における初期誘電正接Df値であり、
D2は、前記絶縁層を85℃、85%相対湿度の条件下で240時間放置した後の10GHz周波数における誘電正接Df値である。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記ポリイミドフィルムの厚さは、10~100μmであってよい。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記第1及び第2液晶ポリマーコーティング層は、ポリイミドフィルム上に液晶ポリマー組成物を塗布し200℃以下の温度で乾燥させてから250~300℃の温度で後熱処理を施して形成されたものであってよい。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記第1及び第2液晶ポリマーコーティング層の厚さは、それぞれ0.1~10μmであってよい。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記金属層は銅を含んでよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記金属層の厚さは、1~20μmであってよい。
【0017】
他の一方で、本発明は、前記軟性金属積層体を用いたプリント配線板を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る軟性金属積層体は、ポリイミドフィルムの両面に液晶ポリマーコーティング層が形成された絶縁層を含むことで絶縁層の誘電特性に優れるだけでなく、高温・高湿の環境下で優れた絶縁層の誘電特性を保持することができるため高速・低損失の信号性能を保全することができる。したがって、本発明に係る軟性金属積層体は、軟性回路基板への適用の際に高温・高湿の環境下でも信号損失率を低く保持することができ、5G通信の製品に有利に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る軟性金属積層体の構造断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0021】
本発明の一実施形態は、ポリイミドフィルム及びその両面に形成された液晶ポリマーコーティング層を含む絶縁層と、前記絶縁層の少なくとも一方の面の上に形成された金属層を含む軟性金属積層体に関する。
【0022】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る軟性金属積層体は、ポリイミドフィルム110と、前記ポリイミドフィルムの一方の面の上に形成された第1液晶ポリマーコーティング層120、及び前記ポリイミドフィルムの他方の面の上に形成された第2液晶ポリマーコーティング層130とを含む絶縁層10;及び前記絶縁層の両面に形成された第1金属層20と第2金属層30を含む。
図1では前記絶縁層の両面にそれぞれ第1金属層20と第2金属層30が形成されたものを図示しているが、第1金属層20と第2金属層30のうちのいずれか一方だけが形成されてもよい。
【0023】
本発明の一実施形態に係る軟性金属積層体は、ポリイミドフィルムの両面に液晶ポリマーコーティング層が形成された絶縁層を含むことで、液晶ポリマーコーティング層を有さないポリイミドフィルムを絶縁層として含む場合に比べて、より優れた絶縁層の誘電特性を示すだけでなく、高温・高湿の環境下で優れた絶縁層の誘電特性を保持することができるため、高速・低損失の信号性能を保全することができる。
【0024】
本発明の一実施形態に係る軟性金属積層体は、下記の数学式1を満たしてよい。
[数学式1]
0.01≦(B+C)/A≦0.2
前記式中、
Aは、ポリイミドフィルムの厚さであり、
Bは、第1液晶ポリマーコーティング層の厚さであり、
Cは、第2液晶ポリマーコーティング層の厚さである。
【0025】
本発明の一実施形態に係る軟性金属積層体は、前記数学式1を満たすことで高温・高湿の環境下で優れた絶縁層の誘電特性を保持することができる。(B+C)/A値が0.01未満であると、高温・高湿の環境下で優れた絶縁層の誘電特性を保持し難いことがあり、また0.2超であると、工程上コーティング回数が増加して工程コストがアップすることがあり、また素子の薄型化が困難となることがあり、且つ軟性金属積層体の柔軟性が低下することがある。
【0026】
本発明の一実施形態において、前記絶縁層は、下記の数学式2で定義される誘電正接変化率が10%以下であってよい。
[数学式2]
誘電正接変化率=[(D2-D1)/D1]×100
前記式中、
D1は、前記絶縁層を23℃、50%相対湿度の条件下で24時間放置した後の10GHz周波数における初期誘電正接Df値であり、
D2は、前記絶縁層を85℃、85%相対湿度の条件下で240時間放置した後の10GHz周波数における誘電正接Df値である。
【0027】
前記誘電正接(dielectric tangent)は、誘電体に交流電圧を印加したときに生じる電力損失の比率を示す単位であって、一般的にtangentδと表記する。
【0028】
前記誘電正接Df値は、絶縁層に対して後述する実験例に記載の方法に従い周波数10GHzにおいて測定した値である。
【0029】
前記絶縁層の前記数学式2で定義される誘電正接変化率は、上述したように10%以下、好ましくは、5%以下であってよい。前記絶縁層の誘電正接変化率が10%超であると、高温・高湿の環境下で長時間曝露された場合、高速・低損失の信号性能を保全し難いことがある。
【0030】
本発明の一実施形態において、前記ポリイミドフィルム110は、軟性金属積層体の絶縁層の役割をする。
【0031】
前記ポリイミドとしては、ポリアミック酸の加熱による脱水縮合反応で生成される熱硬化型ポリイミド又は非脱水縮合型である溶剤可溶性ポリイミドを用いてよい。
【0032】
前記熱硬化型ポリイミドは、極性溶媒中でジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させることでイミド前駆体であるポリアミック酸を合成し、該ポリアミック酸を熱で脱水環化、すなわち、イミド化して得ることができる。
【0033】
前記ジアミンとしては、ポリイミドの合成に通常用いられる芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミンなどを用いてよい。これらのジアミンは、単独で又は2種以上を混合して用いてよい。
【0034】
前記テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物などを用いてよい。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独で又は2種以上を混合して用いてよい。
【0035】
前記熱硬化型ポリイミドを用いてポリイミドフィルムを製造する場合、ポリアミック酸を含む組成物を基材上に塗布して塗膜を形成させ、これを乾燥し加熱処理してイミド化することでポリイミドフィルムを製造してよい。このとき、前記塗布方法としては、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、バー塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷法、スリットコート法などを用いてよい。前記乾燥は、140℃以下の温度で行われてよく、前記加熱処理は、200~600℃の温度で行われてよい。
【0036】
前記溶剤可溶性ポリイミドは、イミド化が完結しており溶剤に可溶性であるため溶剤に溶解させた塗布液の形態で製造し、これを基材上に塗布してから乾燥してフィルム化してよい。前記塗布方法としては、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、バー塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷法、スリットコート法などを用いてよい。前記乾燥は、200℃未満の温度で行われてよい。
【0037】
前記ポリイミドフィルム110の厚さは、10~100μm、好ましくは、10~50μmであってよい。前記ポリイミドフィルム110の厚さが10μm未満であると、液晶ポリマーコーティング層の膜厚均一度がばらつくことがあり、また100μm超であると、膜厚の増加に伴う更なる特性改善効果が得られず、また屈曲性が低下することがある。
【0038】
本発明の一実施形態において、前記第1及び第2液晶ポリマーコーティング層120、130は、前記ポリイミドフィルム110の両面の上にそれぞれ形成され、ポリイミドフィルム110の誘電特性及び耐湿性を向上させる役割をする。
【0039】
前記第1及び第2液晶ポリマーコーティング層120、130は、液状の液晶ポリマー組成物を塗布し乾燥させて形成させた塗膜である。
【0040】
前記第1及び第2液晶ポリマーコーティング層120、130は、ポリイミドフィルムの表面上に液晶ポリマー組成物を塗布し200℃以下の温度、例えば、100~200℃、好ましくは、120~150℃で乾燥させてから、250~300℃の温度で後熱処理を施して形成されたものであってよい。
【0041】
前記液晶ポリマー組成物は、液晶ポリマーが溶媒中に分散されたものである。
【0042】
前記液晶ポリマーは、溶融の際にネマチック結晶性を示す熱可塑性プラスチックのことを意味する。
【0043】
前記液晶ポリマーは、当該技術分野において用いられるものであれば特に制限なしに用いてよく、好ましくは、液晶性ポリエステルであってよい。
【0044】
前記液晶性ポリエステルは、液晶性ポリエステルアミド、液晶性ポリエステルエーテル、液晶性ポリエステルカーボネート、液晶性ポリエステルイミドなどであってよい。前記液晶性ポリエステルは、原料単量体として芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶性ポリエステルであることが好ましい。
【0045】
好ましくは、前記液晶性ポリエステルは、例えば、芳香族ジアミン由来の繰り返し単位、ヒドロキシル基を有する芳香族アミン由来の繰り返し単位、又は芳香族アミノ酸由来の繰り返し単位を少なくとも1種以上含むものであってよい。
【0046】
前記液晶性ポリエステルが前記繰り返し単位を含む場合、前記液晶性ポリエステルを構成する全ての繰り返し単位全体100モル%に対して、10~35モル%の範囲で含まれてよい。これは、前記液晶性ポリエステルが前記繰り返し単位を2種以上含む場合、前記2種以上の繰り返し単位全体のモル%が10~35モル%であることを意味してよい。
【0047】
より好ましくは、前記液晶性ポリエステルは、芳香族ヒドロキシカルボン酸由来の繰り返し単位;芳香族ジカルボン酸由来の繰り返し単位;及び芳香族ジアミン、ヒドロキシル基を有する芳香族アミン又は芳香族アミノ酸由来の繰り返し単位を含んでよい。例えば、前記液晶性ポリエステルは、下記の化学式1~3で表される繰り返し単位を含むものであってよく、これらの含量は、液晶性ポリエステルを構成する全ての繰り返し単位全体100モル%に対して、それぞれ30~80モル%、10~35モル%、及び10~35モル%であってよい。
[化学式1]
-O-Ar1-CO-
(前記化学式1中、
Ar1は、1,4-フェニレン、2,6-ナフタレン又は4,4’-ビフェニレンである。)
[化学式2]
-CO-Ar2-CO-
(前記化学式2中、
Ar2は、1,4-フェニレン、1,3-フェニレン又は2,6-ナフタレンである。)
[化学式3]
-X-Ar3-Y-
(前記化学式3中、
Xは、NHであり、
Yは、O、NH又はC=Oであり、
Ar3は、1,4-フェニレン又は1,3-フェニレンである。)
前記繰り返し単位を含む液晶性ポリエステルは、前記芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアミン、ヒドロキシル基を有する芳香族アミン又は芳香族アミノ酸の代わりに、エステル形成性質を有する誘導体のようなこれらのエステル形成性誘導体を用いて製造してもよいが、これに限定されるものではない。
【0048】
カルボン酸基を有する化合物のエステル形成性誘導体としては、例えば、当該カルボキシル基がポリエステルを生成する反応を促進するように、酸塩化物、酸無水物などの反応活性の高い基からなるもの、又は当該カルボキシル基がエステル交換反応によってポリエステルを生成するように、アルコール類やエチレングリコールなどとエステルを形成しているものなどが挙げられる。
【0049】
芳香族ヒドロキシル基を有する化合物のエステル形成性誘導体は、例えば、当該芳香族ヒドロキシル基がエステル交換反応によってポリエステルを生成するようにカルボン酸類とエステルを形成しているものなどを含んでよい。
【0050】
アミノ基を有する化合物のエステル形成性誘導体は、例えば、当該アミノ基がエステル交換反応によってポリエステルを生成するようにカルボン酸類とエステルを形成しているものなどを含んでよい。
【0051】
前記化学式1で表される繰り返し単位は、具体的に、p-ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸、4-ヒドロキシ-4’-ビフェニルカルボン酸、及び6-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも一つ以上から由来の繰り返し単位などが挙げられる。
【0052】
前記化学式1で表される繰り返し単位の含量はこれに限定されるものではないが、これを含む液晶性ポリエステルを構成する繰り返し単位全体100モル%に対して、30~80モル%、好ましくは、40~70モル%、より好ましくは、45~65モル%の範囲で含まれてよい。前記範囲を超える場合、溶媒に対する溶解性が低下することがあり、また前記範囲未満で含まれる場合、液晶性を多少発現し難いことがある。
【0053】
前記化学式2で表される繰り返し単位は、具体的に、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、及び1,3-ベンゼンジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも一つ以上から由来の繰り返し単位などが挙げられる。
【0054】
前記化学式2で表される繰り返し単位の含量はこれに限定されるものではないが、これを含む液晶性ポリエステルを構成する繰り返し単位全体100モル%に対して、10~35モル%、好ましくは、15~30モル%、より好ましくは、17.5~27.5モル%の範囲で含まれてよい。前記含量を満たす場合、溶媒に対する溶解性がより向上し得る。
【0055】
前記化学式3で表される繰り返し単位は、具体的に、3-アミノフェノール、4-アミノフェノール、1,4-フェニレンジアミン、及び1,3-フェニレンジアミンからなる群より選ばれる一つ以上から由来の繰り返し単位などが挙げられる。
【0056】
前記化学式3で表される繰り返し単位の含量はこれに限定されるものではないが、これを含む液晶性ポリエステルを構成する繰り返し単位全体100モル%に対して、10~35モル%、好ましくは、15~30モル%、より好ましくは、17.5~27.5モル%の範囲であってよい。前記範囲を超える場合、液晶性が低下することがあり、また前記範囲未満で含まれる場合、溶媒に対する溶解性が多少低下することがある。
【0057】
前記液晶ポリマーは、組成物100重量%に対して、5~30重量%の範囲で含まれてよく、好ましくは、5~20重量%、より好ましくは、5~15重量%の範囲で含まれてよい。
【0058】
前記液晶ポリマーの含量が前記範囲未満で含まれる場合、これを含む組成物の塗工の際に組成物が流れ落ちるなどの加工性に問題が生じることがあり、また前記範囲を超える場合、粘度の向上によって塗工時の厚さの調節が多少難しいという問題が生じることがある。
【0059】
本発明の一実施形態において、前記溶媒は、液晶ポリマーの分散媒としての役割をし、非フロトン性溶媒であってよい。
【0060】
前記非フロトン性溶媒としては、具体的に、1-クロロブタン、クロロベンゼン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、及び1,1,2,2-テトラクロロエタンのようなハロゲン溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、及び1,4-ジオキサンのようなエーテル溶媒;アセトン及びシクロヘキサノンのようなケトン溶媒;エチルアセテートのようなエステル溶媒;γ-ブチロラクトンのようなラクトン溶媒;エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートのようなカーボネート溶媒;トリエチルアミン及びピリジンのようなアミン溶媒;アセトニトリル及びサクシノニトリルのようなニトリル溶媒;N,N’-ジメチルホルムアミド、N,N’-ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、及びN-メチルピロリドンのようなアミド溶媒;ニトロメタン及びニトロベンゼンのようなニトロ溶媒;ジメチルスルホキシド、及びスルホランのようなスルフィド溶媒;及びヘキサメチルホスホルアミド及びトリ-n-ブチルホスフェートのようなホスフェート溶媒などが挙げられる。
【0061】
これらの溶媒の中で、好ましくは、環境への影響を考慮してハロゲン原子を含まない溶媒を用いてよく、溶解性の観点からは、双極子モーメントが3~5である溶媒を用いてよい。前記双極子ザモーメントが3~5である溶媒としては、例えば、N,N’-ジメチルホルムアミド、N,N’-ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、及びN-メチルピロリドンのようなアミド溶媒、及びγ-ブチロラクトンのようなラクトン溶媒などが挙げられ、好ましくは、N,N’-ジメチルホルムアミド、N,N’-ジメチルアセトアミド、及びN-メチルピロリドンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
前記液晶ポリマー組成物は、必要に応じて他の熱可塑性樹脂、界面活性剤、カップリング剤、沈降防止剤、UV吸収剤、熱安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤などの添加剤を併用してよい。
【0063】
前記他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルエーテル及びその変性重合体、及びポリエーテルイミド、グリシジルメタクリレートとエチレンとの共重合体のようなエラストマなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
前記第1及び第2液晶ポリマーコーティング層120、130のそれぞれの厚さは、0.1~10μm、好ましくは、1~5μmであってよい。前記第1及び第2液晶ポリマーコーティング層120、130のそれぞれの厚さが0.1μm未満であると、耐湿性の改善効果が低下することがあり、また10μm超であると工程上コーティング回数が増加して工程コストがアップすることがあり、また素子の薄型化が困難となることがあり、且つ軟性金属積層体の柔軟性が低下することがある。
【0065】
本発明の一実施形態において、前記第1金属層20と第2金属層30は、銅、鉄、ニッケル、チタン、アルミニウム、銀、金、パラジウム、クロム、モリブデン、及びタングステンからなる群より選ばれる一つ以上の金属を含んでよい。好ましくは、前記第1金属層20と第2金属層30は、電気伝導度に優れ、且つ価格が低廉な銅を含む銅箔であってよいが、ここに限定されるものではない。
【0066】
前記第1金属層20と第2金属層30は、電解によって形成された層又は圧延によって形成された層であってよい。
【0067】
前記第1金属層20と第2金属層30のそれぞれの厚さは、1~20μm、好ましくは、5~13μmであってよい。前記第1金属層20と第2金属層30のそれぞれの厚さが前記した範囲であると、軟性金属積層体の製造の際に、金属層の張力の調整が容易となり、得られる軟性金属積層体の屈曲性がより向上するため好ましい。前記第1金属層20と第2金属層30のそれぞれの厚さが1μm未満であると、工程進行の際の取り回しが難しくなることがあると共に材料の単価がアップすることがあり、また20μm超であると、薄膜化が難しく且つ屈曲性が低下することがある。
【0068】
本発明の一実施形態は、前記軟性金属積層体の製造方法に関する。
【0069】
本発明の一実施形態に係る軟性金属積層体の製造方法は、
ポリイミドフィルムの両面に第1及び第2液晶ポリマーコーティング層を形成させて絶縁層を得るステップ;及び
前記絶縁層の少なくとも一方の面に金属層を接合させるステップを含む。
【0070】
本発明の一実施形態において、前記第1及び第2液晶ポリマーコーティング層は、ポリイミドフィルム上に液晶ポリマー組成物を塗布し200℃以下の温度、例えば、100~200℃、好ましくは、120~150℃で乾燥してから、250~300℃の温度で後熱処理を施して形成させてよい。
【0071】
前記後熱処理は、20~40℃から250~300℃、好ましくは、270~290℃の温度まで120~360分間に亘って昇温させてから、前記昇温された温度を60~240分間保持して施されてよい。
【0072】
前記ポリイミドフィルム、並びに第1及び第2液晶ポリマーコーティング層の構成成分、厚さ、誘電正接などは、前記軟性金属積層体で説明したのと同様である。
【0073】
前記金属層の構成成分及び厚さなどは、前記軟性金属積層体で説明したのと同様である。
【0074】
前記絶縁層と金属層の接合は、熱融着方式によって行われてよいが、必要に応じて各層の接合のために粘着剤又は接着剤層を更に含んでもよい。
【0075】
前記熱融着は、熱ロール、ダブルベルトプレス、加熱板又はこれらを併用した方法を用いて行ってよい。
【0076】
前記接合温度は、Tm±40℃(Tmは、液晶ポリマーの融点)、好ましくは、Tm±20℃であってよい。前記接合温度がTm-40℃未満であると、絶縁層表面の溶融が僅かとなって金属層とのアンカリング効果が不十分になることがあり、これにより金属層との密着力が低下することがあり、またTm+40℃超であると、絶縁層の溶融が深化してオーバーフロー(overflow)現象が生じることがある。
【0077】
前記接合圧力は、3~15MPa、好ましくは、6~12MPaであってよい。前記接合圧力が3MPa未満であると、金属層と絶縁層の加圧が不十分となって密着力が低下することがあり、また15MPa超であると、過圧によって絶縁層内部にクラックが発生して機械的特性が低下することがある。
【0078】
液晶ポリマーの融点は、構成繰り返し単位の種類及び含量に応じて多少相違することがあるが、略260~350℃であってよい。
【0079】
前記接合時間は、1~15分、好ましくは、3~12分であってよい。前記接合時間が1分未満であると、金属層と絶縁層の加圧が不十分となって密着力が低下することがあり、また15分超であると、工程時間の増加によって生産性が低下することがある。
【0080】
本発明の一実施形態は、前記軟性金属積層体を用いたプリント配線板に関する。
【0081】
前記プリント配線板は、軟性金属積層体の少なくとも一つの金属層にエッチングなどにて回路パターンを形成して製造されてよい。
【0082】
前記プリント配線板は、フレキシブルプリント配線板であってよい。
【0083】
以下、実施例、比較例及び実験例によって本発明をより具体的に説明することにする。なお、これらの実施例、比較例及び実験例は、単に本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらに限定されるものではないことは当業者にとって自明である。
【0084】
製造実施例1~7:液晶ポリマーコーティング層を含む絶縁層の製造
ポリイミドフィルム(SK社製、GF Serise)の一方の面の上に液晶ポリマー組成物(1,3ベンゼンジカルボン酸、4-アミノフェノール、及び6-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸の共重合体、固形分含量8wt%、NMP溶媒92%、SCC社製)を塗布した後、130℃で15分間乾燥させて、第1液晶ポリマーコーティング層を形成させた。同様な方法にてポリイミドフィルムの他方の面の上に第2液晶ポリマーコーティング層を形成させた後、30℃から290℃まで240分間にかけて昇温させてから、290℃の温度を120分間維持しながら後熱処理を施して、絶縁層を収得した。
【0085】
このとき、ポリイミドフィルムと第1及び第2液晶ポリマーコーティング層の厚さは、下記の表1に表したように制御した。
【0086】
製造比較例1:ポリイミドフィルム絶縁層の用意
単一層の絶縁層としてポリイミドフィルム(SK社製、GF Serise)を用意した。
【0087】
実験例1:絶縁層の誘電特性
前記製造実施例及び製造比較例の絶縁層の誘電特性を、高温・高湿の環境下で放置する前後において下記のように測定し、その結果を表1に表した。
【0088】
製造実施例1~7の液晶ポリマーコーティング層を含む絶縁層、又は製造比較例1のポリイミドフィルム絶縁層を温度23℃及び相対湿度50%の条件で24時間放置した後、誘電率測定装置(Anritsu社製、製品名:MS46522B)を用いて、10GHz周波数における初期誘電率Dkと誘電正接Df値を測定した。
【0089】
次いで、前記絶縁層を85℃、85%相対湿度の条件下で240時間放置した後、10GHz周波数における誘電率Dkと誘電正接Df値を測定した。
【0090】
誘電率Dkと誘電正接Df値は、絶縁層を長さ30mm×幅70mmの大きさに裁断してサンプルを作製した後、該サンプルを測定装備のプローブに投入し10GHz周波数において測定を行って得た。
【0091】
前記絶縁層に対して、下記の数学式2で定義される誘電正接変化率を求め、その結果を表1に表した。
[数学式2]
誘電正接変化率=[(D2-D1)/D1]×100
前記式中、
D1は、前記絶縁層を23℃、50%相対湿度の条件下で24時間放置した後の10GHz周波数における初期誘電正接Df値であり、
D2は、前記絶縁層を85℃、85%相対湿度の条件下で240時間放置した後の10GHz周波数における誘電正接Df値である
【0092】
【0093】
前記表1に表したように、ポリイミドフィルムの両面に液晶ポリマーコーティング層を形成させた製造実施例1~7の絶縁層は、液晶ポリマーコーティング層を形成させていない製造比較例1のポリイミドフィルムに比べて低誘電特性を示すのみならず、高温・高湿の環境下で放置された後でも10%以下の誘電正接変化率を示し、低誘電特性を良好に維持し続けることが確認できる。
【0094】
実施例1:軟性金属積層体の製造
前記製造実施例1で製造した絶縁層の上面及び下面に銅箔基材(厚さ12μm、三井金属社製、製品名:SP-2)を積層した後、真空プレス機(Kitagawa Seiki社製、Model-KVHC)に投入してから、温度290℃(昇温60分、維持5分、降温60分)、面圧9MPa、真空度0.1kPaの下で加圧して軟性金属積層体を製造した。
【0095】
実施例2:軟性金属積層体の製造
前記製造実施例1で製造した絶縁層の代りに製造実施例2で製造した絶縁層を用いることを除いては、前記実施例1と同様な方法にて軟性金属積層体を製造した。
【0096】
実施例3:軟性金属積層体の製造
前記製造実施例1で製造した絶縁層の代りに製造実施例3で製造した絶縁層を用いることを除いては、前記実施例1と同様な方法にて軟性金属積層体を製造した。
【0097】
実施例4:軟性金属積層体の製造
前記製造実施例1で製造した絶縁層の代りに製造実施例4で製造した絶縁層を用いることを除いては、前記実施例1と同様な方法にて軟性金属積層体を製造した。
【0098】
実施例5:軟性金属積層体の製造
前記製造実施例1で製造した絶縁層の代りに製造実施例5で製造した絶縁層を用いることを除いては、前記実施例1と同様な方法にて軟性金属積層体を製造した。
【0099】
実施例6:軟性金属積層体の製造
前記製造実施例1で製造した絶縁層の代りに製造実施例6で製造した絶縁層を用いることを除いては、前記実施例1と同様な方法にて軟性金属積層体を製造した。
【0100】
実施例7:軟性金属積層体の製造
前記製造実施例1で製造した絶縁層の代りに製造実施例7で製造した絶縁層を用いることを除いては、前記実施例1と同様な方法にて軟性金属積層体を製造した。
【0101】
比較例1:軟性金属積層体の製造
前記製造実施例1で製造した絶縁層の代りに製造比較例1で用意したポリイミドフィルムを用いることを除いては、前記実施例1と同様な方法にて軟性金属積層体を製造した。
【0102】
実験例2:軟性金属積層体の物性評価
前記実施例及び比較例で製造された軟性金属積層体の耐屈曲性(柔軟性)をMD方向とTD方向で下記のように測定し、その結果を表2に表した。このとき、MD方向とは、積層体製造工程中における積層体の進行方向を意味し、TD方向とは、MD方向に垂直な方向を意味する。
【0103】
前記軟性金属積層体に対して、下記の
図2に示したように屈曲性試験を行った。
【0104】
2つのステージ501、502を備える屈曲試験機(Science Town社製、「STS-VRT-500」)を準備し、ステージ501、502上に軟性金属積層体100を、第1金属層20がステージの反対側に向かうように載置した(
図2a)。2つのステージ501、502の間の距離(ギャップ)Cは、2mm(1.0R)と設定した。前記ステージ501、502は、該2つのステージの間(ギャップ)Cを中心に揺動可能であり、初期の2つのステージ501、502は同一平面を構成する。2つのステージ501、502を、位置P1及び位置P2を回転軸の中心として上方へ90度回転させて2つのステージ501、502を折り畳み(
図2b)、再びステージ501、502を元に伸ばす動作を1回の屈曲と定義する。下記の基準に従い、クラックが発生するまでの屈曲回数を耐屈曲性回数とし、下記の表2に表した。
【0105】
クラック発生基準:目視確認後に抵抗測定
‐目視確認:屈曲部を目視確認してクラック推定時に折り畳みストップ発生時までの回数を算定する
‐抵抗測定:目視確認後に抵抗測定にて抵抗値の上昇又は短絡時にクラックと見なす(銅箔の基本抵抗値は0.3オームで、クラックの発生時に0.5オーム以上に増加し、短絡時に抵抗測定不可)
【0106】
【0107】
前記表2に表したように、ポリイミドフィルムの両面に液晶ポリマーコーティング層を形成させた絶縁層であって、下記の数学式1を満たす製造実施例1~7の絶縁層を含む実施例1~7の軟性金属積層体は、液晶ポリマーコーティング層を形成させていない製造比較例1のポリイミドフィルムを含む比較例1の軟性金属積層体よりも厚さが増加しても同等水準の柔軟性を示すことを確認した。
[数学式1]
0.01≦(B+C)/A≦0.2
前記式中、
Aは、ポリイミドフィルムの厚さであり、
Bは、第1液晶ポリマーコーティング層の厚さであり、
Cは、第2液晶ポリマーコーティング層の厚さである。
【0108】
以上、本発明の特定の部分について詳しく記述したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、このような具体的な記述は単に好適な具現例であるに過ぎず、これらによって本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、前記内容を基に本発明の範疇内で種々の応用および変形を行うことが可能であろう。
【符号の説明】
【0109】
10 絶縁層
20 第1金属層
30 第2金属層
110 ポリイミドフィルム
120 第1液晶ポリマーコーティング層
130 第2液晶ポリマーコーティング層
100 軟性金属積層体
501 屈曲試験機のステージ
502 屈曲試験機のステージ