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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027755
(43)【公開日】2022-02-14
(54)【発明の名称】移動体、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/20 20060101AFI20220203BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20220203BHJP
   G05D 1/10 20060101ALI20220203BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20220203BHJP
【FI】
G01C21/20
G05D1/02 H
G05D1/10
G06T19/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172732
(22)【出願日】2021-10-21
(62)【分割の表示】P 2017193587の分割
【原出願日】2017-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】504050275
【氏名又は名称】株式会社 ミックウェア
(71)【出願人】
【識別番号】517348020
【氏名又は名称】株式会社アイミックス
(72)【発明者】
【氏名】関山 博昭
【テーマコード(参考)】
2F129
5B050
5H301
【Fターム(参考)】
2F129AA11
2F129BB03
2F129BB22
2F129BB26
2F129DD20
2F129DD33
2F129DD64
2F129FF02
2F129FF20
2F129FF32
2F129GG17
5B050BA09
5B050BA13
5B050EA07
5B050EA12
5B050FA02
5H301AA06
5H301BB20
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC08
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD16
5H301GG09
5H301GG17
5H301HH01
(57)【要約】
【課題】比較的簡単に移動体の移動経路を生成できる経路生成装置、移動体、及びプログラムを提供する。
【解決手段】経路生成装置(1)は、オブジェクトデータを取得する取得部(120)と、移動体(2)の移動経路を設定する制御部(110)と、を備える。制御部(110)は、移動体(2)の移動範囲を含む所定の現実の空間に対応させて仮想空間を定義し、仮想空間を所定の三次元形状の複数の領域に分割した複数の分割領域を管理し、仮想空間内にオブジェクトを配置し、複数の分割領域のうち、オブジェクトと重なる領域を移動禁止区域に設定し、複数の分割領域のうち、オブジェクトと重ならない領域を移動可能区域に設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の移動経路を生成する経路生成装置であって、
オブジェクトの形状を示すオブジェクトデータを取得する取得部と、
前記オブジェクトデータに基づいて、移動体の移動経路を設定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記移動体の移動範囲を含む所定の現実の空間に対応させて仮想空間を定義し、
前記仮想空間を所定の三次元形状の複数の領域に分割した複数の分割領域を管理し、
前記仮想空間内に前記オブジェクトを配置し、
前記複数の分割領域のうち、前記オブジェクトと重なる領域を前記移動体が通過できない移動禁止区域に設定し、
前記複数の分割領域のうち、前記オブジェクトと重ならない領域を前記移動体が移動できる移動可能区域に設定する、
ことを特徴とする経路生成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記移動可能区域内の前記分割領域を指定することによって前記移動経路を設定する、
請求項1に記載の経路生成装置。
【請求項3】
前記移動禁止区域と前記移動可能区域とを視覚的に区別して表示する表示部をさらに有する、
請求項1に記載の経路生成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
複数の移動体の移動経路を比較して、
前記複数の移動体の移動経路において同一の分割領域が含まれているか否かを判断し、
同一の分割領域が含まれていれば前記移動経路を変更する、
請求項1に記載の経路生成装置。
【請求項5】
移動経路に沿って移動する移動体であって、
前記移動体の現在地を検出する位置検出部と、
前記移動体を移動させる駆動部と、
前記現在地と前記移動経路とに基づいて、前記駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記移動体の移動範囲を含む所定の現実の空間に対応させて定義された仮想空間が所定の三次元形状の複数の領域に分割され、分割された前記複数の領域は、前記移動体が通過できない移動禁止区域と前記移動体が通過できる移動可能区域にそれぞれ設定されていて、前記移動可能区域内の前記分割された領域を指定して前記移動経路が設定されている、
ことを特徴とする移動体。
【請求項6】
移動体の移動経路を生成するためのプログラムであって、
前記移動体の移動範囲を含む所定の現実の空間に対応させて仮想空間を定義するステップと、
前記仮想空間を所定の三次元形状の複数の領域に分割した複数の分割領域を管理するステップと、
前記仮想空間内にオブジェクトを配置するステップと、
前記複数の分割領域のうち、前記オブジェクトと重なる領域を前記移動体が移動できない移動禁止区域に設定するステップと、
前記複数の分割領域のうち、オブジェクトと重ならない領域を前記移動体が移動できる移動可能区域に設定するステップと、
前記移動可能区域内の前記分割領域を指定して前記移動経路を設定するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の移動経路を生成する経路生成装置、移動体、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、障害物の有無を格子状のボクセルで表した三次元空間のマップを生成する障害物マップ生成装置を開示している。特許文献1の障害物マップ生成装置は、飛行体に備えられたステレオカメラと距離データセンサの出力に基づいて、飛行体の周囲の障害物の位置を算出している。この障害物マップ生成装置は、飛行体の移動ベクトルに基づいて、マップ内の一部である注目範囲をより小さなボクセルで表すことで、注目範囲の解像度を上げている。
【0003】
特許文献2は、カメラを搭載したドローンを用いて検査対象物を検査する検査システムを開示している。特許文献2の検査システムは、サーバ装置と、ステーション端末と、ドローンを含む。サーバ装置は、ドローンの航路情報をステーション端末に送信する。ステーション端末は、航路情報に基づいて、航路制御情報及び撮影制御情報を生成する。ドローンは、航路制御情報に基づいて自動航行しながら、撮影制御情報に基づいて撮影を行う。特許文献2の検査システムは、ドローンを遠隔操作することによって検査対象物を撮影して、検査対象物の不具合の検査を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-83919号公報
【特許文献2】特開2017-78575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、カメラ画像や3Dモデリング画像に基づいて、移動体の移動経路を生成していた。よって、移動経路を生成するための計算が複雑で、計算処理量が多かった。
【0006】
本発明の目的は、比較的簡単に移動体の移動経路を生成できる経路生成装置、その移動経路に沿って移動する移動体、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る経路生成装置は、移動体の移動経路を生成する。上記経路制御装置は、取得部と、制御部と、を備える。上記取得部は、オブジェクトの形状を示すオブジェクトデータを取得する。上記制御部は、上記オブジェクトデータに基づいて、移動体の移動経路を設定する。上記制御部は、上記移動体の移動範囲を含む所定の現実の空間に対応させて仮想空間を定義する。上記制御部は、上記仮想空間を所定の三次元形状の複数の領域に分割した複数の分割領域を管理する。上記制御部は、上記仮想空間内に上記オブジェクトを配置する。上記制御部は、上記複数の分割領域のうち、上記オブジェクトと重なる領域を上記移動体が通過できない移動禁止区域に設定する。上記制御部は、上記複数の分割領域のうち、上記オブジェクトと重ならない領域を上記移動体が移動できる移動可能区域に設定する。
【0008】
本発明に係る移動体は、移動経路に沿って移動する。上記移動体は、位置検出部と、駆動部と、制御部と、を備える。上記位置検出部は、移動体の現在地を検出する。上記駆動部は、移動体を移動させる。上記制御部は、現在地と移動経路とに基づいて、駆動部を制御する。移動体の移動範囲を含む所定の現実の空間に対応させて定義された仮想空間が所定の三次元形状の複数の領域に分割されている。分割された複数の領域は、移動体が通過できない移動禁止区域と移動体が通過できる移動可能区域にそれぞれ設定されている。移動可能区域内の分割された領域を指定して、移動経路が設定されている。
【0009】
本発明に係るプログラムは、移動体の移動経路を生成するためのプログラムであって、移動体の移動範囲を含む所定の現実の空間に対応させて仮想空間を定義するステップと、仮想空間を所定の三次元形状の複数の領域に分割した複数の分割領域を管理するステップと、仮想空間内にオブジェクトを配置するステップと、複数の分割領域のうち、オブジェクトと重なる領域を移動禁止区域に設定するステップと、複数の分割領域のうち、オブジェクトと重ならない領域を移動可能区域に設定するステップと、移動可能区域内の分割領域を指定して移動経路を設定するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る経路生成装置、移動体、及びプログラムによれば、仮想空間が移動体の移動範囲を含む現実の空間に対応させて定義され、その仮想空間が所定の三次元形状の複数の領域に分割して管理されている。これにより、経路生成装置は、比較的簡単に移動経路を生成できる。移動体は、比較的少ない計算量で移動経路に沿って移動できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1の経路制御装置及び移動体の構成を示す図
図2】実施形態1における経路制御装置及び移動体の全体動作を説明するためのシーケンス図
図3】実施形態1における移動禁止区域と移動可能区域の設定処理を説明するためのフローチャート
図4】オブジェクトの一例を示す図
図5】仮想空間を模式的に示す図
図6】移動禁止区域と移動可能区域を説明するための図
図7】実施形態1における移動経路設定処理を説明するためのフローチャート
図8】目的地の設定を促す画面の一例を示す図
図9】設定された移動経路を模式的に示す図
図10】実施形態1における移動制御処理を説明するためのフローチャート
図11】実施形態2における移動経路変更処理を説明するためのフローチャート
図12】実施形態2における経路情報を説明するための図
図13】実施形態3の経路制御装置及び移動体の構成を示す図
図14】実施形態3における経路制御装置及び移動体の全体動作を説明するためのシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
図1を参照して、経路制御装置1と移動体2の構成について説明する。経路制御装置1は、移動体2の移動経路を生成する装置である。すなわち、経路制御装置1は、本実施形態における経路生成装置の一例である。経路制御装置1は、パソコン、スマートフォン、及びタブレット端末等の種々の情報処理装置である。移動体2は、自律移動することができるように構成されている。本実施形態において移動体2は、自律飛行するドローン等の無人航空機である。
【0013】
本実施形態の経路制御装置1と移動体2は、検査対象物を撮影する撮影システム12を構成する。撮影システム12は、例えば、飛行機などの検査対象物を検査するために使用される。ユーザは、経路制御装置1を使用して、カメラを搭載した移動体2の移動経路を制御して、検査対象物の画像を取得する。ユーザは、取得した画像を利用した検査対象物の外観の検査を行うことができる。
【0014】
以下、本実施形態における経路制御装置1と移動体2の構成をそれぞれ説明する。
【0015】
(経路制御装置)
経路制御装置1は、制御部110と、第1通信部120と、第1記憶部130と、入力部140と、表示部150と、を備える。
【0016】
制御部110は、経路制御装置1の動作を制御する。制御部110は、機能的構成として、オブジェクト取得部111、仮想空間生成部112、区域設定部113、及び移動経路生成部114を含む。オブジェクト取得部111は、第1通信部120又は第1記憶部130等から、オブジェクトの形状を示すオブジェクトデータを取得する。仮想空間生成部112は、移動体2の移動範囲を含む現実の空間に対応させて仮想空間を定義し、仮想空間を複数の所定の三次元形状の複数の領域に分割して管理する。区域設定部113は、仮想空間を移動体2が通過できない移動禁止区域と移動体2が通過できる移動可能区域とに区分けする。移動経路生成部114は、移動可能区域内において移動体2の移動経路を設定し、設定した移動経路を示す経路情報を生成する。
【0017】
制御部110は、例えば、ソフトウェアと協働して所定の機能を実現するCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部110は、第1記憶部130に格納されたデータやプログラムを読み出して種々の演算処理を行うことで、所定の機能を実現する。制御部110は、計時機能等の各種機能を有してもよい。制御部110によって実行されるプログラムは、第1通信部120等から提供されてもよいし、可搬性を有する記録媒体に格納されていてもよい。
【0018】
制御部110は、所定の機能を実現するように設計された専用の電子回路、若しくは再構成可能な電子回路等のハードウェア回路で構成されてもよい。制御部110は、種々の半導体集積回路で構成されてもよい。種々の半導体集積回路としては、例えば、CPU、MPU、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)が挙げられる。
【0019】
第1通信部120は、無線の通信回線を介して、経路制御装置1を移動体2等の外部機器に通信接続するためのモジュールを含む。第1通信部120は、有線の通信回線による通信接続するためのモジュールをさらに含んでもよい。第1通信部120は、所定の通信規格にしたがい通信を行う通信部の一例である。所定の通信規格には、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.3,IEEE802.11a/11b/11g/11ac、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、IEEE1395、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の通信規格が含まれる。第1通信部120は、本実施形態における取得部の一例である。
【0020】
第1記憶部130は、経路制御装置1の機能を実現するために必要なプログラム及びデータを記憶する記憶媒体である。第1記憶部130は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、若しくはSSD(Solid State Drive)を含んで構成される。また、第1記憶部130は、例えば、フラッシュメモリ、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、若しくはSRAM(Static Random Access Memory)を含んで構成されてもよい。第1記憶部130は、各種情報を一時的に記憶してもよい。第1記憶部130は、例えば、制御部110の作業エリアとして機能するように構成されてもよい。
【0021】
入力部140は、ユーザによる種々の操作を入力するHMI(Human Machine Interface)である。入力部140は、例えば、3Dマウスである。入力部140は、表示部150と共に構成されたタッチパネルであってもよい。また、入力部140は、キーボード、ボタン、スイッチ、及びこれらの組み合わせであってもよい。
【0022】
表示部150は、例えば、液晶ディスプレイ若しくは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成される。
【0023】
(移動体)
移動体2は、動作制御部210と、第2通信部220と、位置検出部230と、センサ240と、駆動部250と、第2記憶部260と、撮影部270と、を備える。
【0024】
動作制御部210は、移動体2の動作を制御する。動作制御部210は、機能的構成として、駆動制御部211と、撮影制御部212と、を含む。駆動制御部211は、移動経路を示す経路情報と移動体2の現在地とに基づいて、駆動部250を制御する。撮影制御部212は、移動体2の移動経路において、検査対象物を撮影するように撮影部270を制御する。
【0025】
動作制御部210は、例えば、ソフトウェアと協働して所定の機能を実現するCPU又はMPUを含む。動作制御部210は、第2記憶部260に格納されたデータやプログラムを読み出して種々の演算処理を行い、所定の機能を実現する。動作制御部210は、計時機能等の各種機能を有してもよい。動作制御部210によって実行されるプログラムは、第2通信部220を介して提供されてもよいし、可搬性を有する記録媒体に格納されていてもよい。
【0026】
なお、動作制御部210は、所定の機能を実現するように設計された専用の電子回路、若しくは再構成可能な電子回路等のハードウェア回路で構成されてもよい。動作制御部210は、種々の半導体集積回路で構成されてもよい。種々の半導体集積回路としては、例えば、CPU、MPU、マイクロコンピュータ、DSP、FPGA、ASICが挙げられる。
【0027】
第2通信部220は、移動体通信システムにおける通信ネットワークを介して、経路制御装置1等の外部機器に移動体2を通信接続するためのモジュールである。通信部220は、経路制御装置1と通信する場合だけに限られず、外部機器と通信可能に構成されている。第2通信部220は、所定の通信規格にしたがい通信を行うことができるように構成されている。所定の通信規格には、例えば、IEEE802.3,IEEE802.11a/11b/11g/11ac、IEEE1395、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)の通信規格が含まれる。第2通信部220は、本実施形態における取得部の一例である。
【0028】
位置検出部230は、地理座標系の現在地を示す位置を検出する。位置検出部230は、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して、受信した地点の緯度及び経度を測位するGPSモジュールである。位置検出部230は、受信した地点の緯度及び経度に加え、高度を測位するように構成されてもよい。
【0029】
センサ240は、例えば、加速度を検出する加速度センサ、角速度を検出するジャイロセンサを含むように構成されている。移動体2は、位置検出部230に加え、センサ240の出力を参照することによって、移動体2の三次元の位置をより正確に検出できる。
【0030】
駆動部250は、移動体2を移動させる駆動装置である。駆動部250は、例えば、回転翼及びモータを含んで構成される。駆動部250は、移動体2を前進、行進、旋回、及びホバリングさせる。
【0031】
第2記憶部260は、移動体2の機能を実現するために必要なプログラム及びデータを記憶する記憶媒体である。第2記憶部260は、例えば、HDD、若しくはSSDを含んで構成される。また、第2記憶部260は、例えば、フラッシュメモリ、DRAM、若しくはSRAMを含んで構成されてもよい。第2記憶部260は、各種情報を一時的に記憶してもよい。第2記憶部260は、例えば、動作制御部210の作業エリアとして機能するように構成されてもよい。
【0032】
撮影部270は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子を含むカメラである。撮影部270は、赤外線カメラでもよい。撮影部270が検査対象物を撮影して生成した画像データは、例えば、第2通信部220を介して経路制御装置1又は別の外部機器に送信される。画像データは、移動体2の第2記憶部260に格納されてもよい。
【0033】
(経路制御装置と移動体の全体動作)
図2を参照して、経路制御装置1と移動体2の全体動作について、説明する。本明細書においては、図2に示すように、ステップを「S」と表記する。図2に示す処理は、例えば、ユーザが、経路制御装置1の入力部140を介して、移動経路を設定するためのアプリケーションプログラムを起動したときに開始される。
【0034】
経路制御装置1の制御部110は、最初に、仮想空間において移動禁止区域と移動可能区域を設定する(S1)。それから、制御部110は、移動可能区域内において、移動体2の移動経路を設定する(S2)。制御部110は、第1通信部120を介して、設定された移動経路を示す経路情報を移動体2に送信する(S3)。移動体2は、第2通信部220を介して、経路制御装置1から移動経路を示す経路情報を受信する(S11)。移動体2の動作制御部210は、移動経路に従って駆動部250を駆動して移動する(S12)。
【0035】
(移動禁止区域と移動可能区域の設定処理)
図3から図6を参照して、移動禁止区域と移動可能区域の設定処理について説明する。図3は、移動禁止区域と移動可能区域の設定処理(S1)の詳細を示している。図4は、オブジェクトの一例を示している。図5は、仮想空間を模式的に示している。図6は、設定された移動禁止区域と移動可能区域を模式的に示している。
【0036】
経路制御装置1は、制御部110が図3に示す処理を行う。オブジェクト取得部111は、図4に示すようなオブジェクト10の形状を示すオブジェクトデータを取得する(S101)。図4には、オブジェクト10として飛行機を例示している。オブジェクト取得部111は、第1通信部120を介して、オブジェクトデータを取得してもよい。オブジェクト取得部111は、第1記憶部130に格納されているオブジェクトデータを取得してもよい。オブジェクトデータは、例えばCAD(Computer Aided Design)データである。オブジェクト10の形状は、ワイヤーフレームモデル、サーフェスモデル、及びソリッドモデルのいずれかで形成される。例えば、ユーザが、飛行機の外壁に設けられたアンテナの損傷を検査しようとするとき、そのユーザは、入力部140を介して、飛行機のCADデータを選択する。オブジェクトデータは、さらに、オブジェクト10の現実の地理座標系の位置を示す情報を含んでもよい。地理座標系の位置は、例えば、緯度、経度、及び高度を含む。
【0037】
仮想空間生成部112は、図5に示すような仮想空間20を生成する(S102)。具体的には、仮想空間生成部112は、移動体2の移動範囲を含む所定の現実の空間に対応させて仮想空間20を定義する。例えば、仮想空間生成部112は、オブジェクトデータに基づいて、オブジェクト10より大きなサイズに仮想空間20を定義していることが好ましい。仮想空間生成部112は、例えば、オブジェクト10のK倍(K>1)の大きさの仮想空間20を定義することができる。仮想空間生成部112は、定義した仮想空間20を複数の立方体のブロック25に分割して管理する。仮想空間生成部112は、ブロック25のサイズ(m×m×m)を移動体2のサイズ以上に設定する。
【0038】
区域設定部113は、オブジェクト10を仮想空間20に対応付けて仮想的に配置する(S103)。具体的には、区域設定部113は、オブジェクト10の座標系と仮想空間20の座標系を対応付ける。
【0039】
区域設定部113は、チェックするブロック25を一つ選択する(S104)。区域設定部113は、選択したブロック25がオブジェクト10と重なっているか否かを判断する(S105)。ブロック25がオブジェクト10と重なっていれば(S105でYes)、区域設定部113はそのブロック25を移動禁止区域に設定する(S106)。区域設定部113は、例えば、オブジェクト10とブロック25とが一部でも重なっていれば、そのブロック25を移動禁止区域に設定している。ブロック25がオブジェクト10と重なっていなければ(S105でNo)、区域設定部113はそのブロック25を移動可能区域に設定する(S107)。
【0040】
区域設定部113は、仮想空間20を形成する全ブロック25について、オブジェクト10との重なりのチェックが終了したか否かを判断する(S108)。オブジェクト10との重なりのチェックが終了していないブロック25がまだあれば(S108でNo)、ステップS104に戻る。区域設定部113は、チェックが終了していないブロック25を選択してオブジェクト10との重なりをチェックする。仮想空間20を形成する全ブロック25について、オブジェクト10との重なりのチェックが終了すると(S108でYes)、区域設定の処理を終了する。
【0041】
図3に示す区域設定処理を行うことによって、仮想空間20を形成するブロック25は、図6に示すように、移動禁止区域30と移動可能区域35とに区分けされる。移動可能区域35は、仮想空間20において、移動禁止区域30を除いたブロック25である。
【0042】
(移動経路の設定処理)
図7から図9を参照して、移動経路の設定処理について説明する。図7は、移動経路の設定処理(S2)の詳細を示している。図8は、目的地の設定を促す画面の表示例を示している。図9は、設定された移動経路の一例を模式的に示している。図9の例では、移動経路50は、ブロック番号M1~ブロック番号M27のブロック25を含む。
【0043】
経路制御装置1は、制御部110が図7に示す処理を行う。移動経路生成部114は、移動体2から、移動体2の現在地を取得する(S201)。移動体2の現在地は、地理座標系の位置であって、具体的には、緯度、経度、及び高度を含む。移動経路生成部114は、入力部140で入力された移動体2の現在地を取得してもよい。移動経路生成部114は、移動体2の地理座標系の位置を仮想空間20の座標系の位置に対応付けて、移動体2の現在地を仮想空間20内の移動経路の始点に設定する。図9の例では、移動体2の地理座標系の位置が仮想空間20の座標系の位置(x,y,z)に対応付けられて、仮想空間20の座標系の位置(x,y,z)にあるブロック番号M1のブロック25が始点45に設定される。
【0044】
移動経路生成部114は、図8に示すように、目的地の設定を促すメッセージ40を表示部150に表示する(S202)。このとき、移動経路生成部114は、移動禁止区域30と移動可能区域35とを視覚的に区別して、表示部150に表示するように構成されている。移動禁止区域30と移動可能区域35とを視覚的に区別するためには、例えば、色分けして、表示部150で表示させればよい。移動経路生成部114は、移動経路の始点45のブロック25を、始点45以外のブロック25と視覚的に区別して、表示部150に表示してもよい。なお、表示部150において画面の手前にあるブロック25ほど、透明度がより高くなるようにブロック25を表示して、画面の奥側にあるブロック25を見えやすく表示することが好ましい。さらに、表示部150の画面において、オブジェクト10と仮想空間20とを重ねて表示してもよい。
【0045】
ユーザは、入力部140を介して、移動可能区域35内のいずれかのブロック25を選択することによって、目的地を指定することができる。このとき、移動経路生成部114は、移動禁止区域30内のブロック25をユーザが選択できないように設定していてもよい。ユーザがブロック25を選択したときに、移動経路生成部114は、ユーザが選択したブロック25を選択されていないブロック25と視覚的に区別して表示部150に表示してもよい。移動経路生成部114は、例えば、ブロック25の透明度又は着色を変えて、選択されたブロック25が強調されるように表示部150に表示させてもよい。ユーザがブロック25を選択したときに、選択されたブロック25に対応するオブジェクト10の対応する箇所を表示するようにしてもよい。移動経路生成部114は、ユーザが目的地としていずれかのブロック25を選択したときに、移動経路の始点45からユーザが選択したブロック25までの、移動可能区域35内での最短経路を算出して、仮の移動経路として表示部150に表示してもよい。
【0046】
移動経路生成部114は、ユーザが目的地として決定したブロック25を示す情報を取得すると(S203)、そのブロック25を移動経路の目的地に設定する。図9に示す移動経路50では、ブロック番号M27のブロック25が目的地に設定される。
【0047】
移動経路生成部114は、経由地の設定を促すメッセージを表示部150に表示する(S204)。経由地の設定を促すメッセージは、例えば、図8に示すようなメッセージ40と同様に表示させてもよい。移動経路生成部114は、ユーザが経由地として決定したブロック25を示す情報を取得すると(S205)、そのブロック25を移動経路の経由地に設定する。図9に示す移動経路50では、ハッチングで示した、ブロック番号M10、M12、M18、及びM21のブロック25が経由地に設定される。
【0048】
移動経路生成部114は、移動可能区域35内において、移動経路の始点45から経由地を通って目的地に到達するまでの最短距離を算出し、算出した最短経路を移動経路に設定する(S206)。複数の経由地が設定されている場合、移動経路生成部114は、ユーザが選択した順番通りに経由地を通過するように移動経路を設定してもよい。なお、経由地は必ずしも指定される必要はない。経由地が設定されていない場合は、移動経路の始点45から目的地までの、移動可能区域35内での最短経路を移動経路に設定すればよい。なお、設定する移動経路は、最短距離でなくてもよい。移動経路は、最も簡単な経路、例えば、方向転換の回数が最も少ない経路であってもよい。
【0049】
移動経路の終点は任意の点である。例えば、移動経路の終点は、移動経路の始点45と同一であってもよい。この場合、始点45から目的地までの移動経路を逆に辿って始点45に戻るように、移動経路を設定してもよい。以上のようにして設定された移動経路50は、図9に示すように、連続的に隣接するブロック25によって構成される。
【0050】
移動経路生成部114は、設定した移動経路を示す経路情報を生成する。経路情報は、移動経路50を構成するブロック25を特定できる情報である。経路情報は、移動経路50を構成するブロック25の中心位置の三次元座標の値(x,y,z)によって表されてもよい。生成された経路情報は、経路制御装置1から移動体2に送信される。
【0051】
(移動制御処理)
図10は、移動経路に従った移動制御処理(S12)の詳細を示している。移動体2の動作制御部210が、図10に示す処理を行う。
【0052】
駆動制御部211は、移動経路を示す経路情報を受信すると、位置検出部230とセンサ240の出力から移動体2の現在地を検出する(S121)。移動体2は、移動開始時において、移動経路の始点45に位置している。駆動制御部211は、現在地と移動経路とを比較して、移動経路に従って、移動経路の始点45の次のブロック25に移動するように駆動部250を制御する(S122)。駆動制御部211は、移動体2の地理座標系の位置と移動経路の三次元座標系の位置とを対応付けて、現在地と移動経路とを比較する。撮影制御部212は、移動体2の移動中、検査対象物である実在するオブジェクト10を撮影するように撮影部270を制御する。駆動制御部211は、移動経路の終点に到着したか否かを判断する(S123)。終点に到着していなければ(S123でNo)、ステップS121に戻り、現在地と移動経路とを比較しながら、移動経路の次のブロック25へと移動する。終点に到着すると(S123でYes)、駆動制御部211は駆動部250の制御を終了する。
【0053】
(概要及び効果)
以上のように、経路制御装置1は、移動体2の移動経路を生成する経路生成装置である。経路制御装置1は、オブジェクト10の形状を示すオブジェクトデータを取得する取得部の一例である第1通信部120と、オブジェクトデータに基づいて、移動体2の移動経路を設定する制御部110とを備える。制御部110は、移動体2の移動範囲を含む所定の現実の空間に対応させて仮想空間20を定義する。制御部110は、仮想空間20を所定の三次元形状の複数の領域の一例であるブロック25に分割して管理する。制御部110は、仮想空間20内にオブジェクト10を配置する。制御部110は、複数のブロック25のうち、オブジェクト10と重なるブロック25を移動体2が通過できない移動禁止区域30に設定する。制御部110は、複数のブロック25のうち、オブジェクト10と重ならない領域を移動体2が移動できる移動可能区域35に設定する。
【0054】
本実施形態では、オブジェクト10を仮想空間20に配置することによって、移動禁止区域30と移動可能区域35を区分けしているため、比較的簡単に移動禁止区域30と移動可能区域35を設定できる。また、仮想空間20が複数のブロック25に分割して管理されているため、分割した複数のブロック25を利用して移動体2の移動経路を比較的簡単に設定できる。
【0055】
具体的には、制御部110は、移動可能区域35内のブロック25を指定することによって移動経路50を設定する。よって、本実施形態では、移動経路50を比較的簡単に設定できる。また、移動体2は、分割した複数のブロック25を利用した比較的少ない計算量で、移動経路50に従った移動を行うことができる。
【0056】
経路制御装置1は、表示部150をさらに有する。表示部150は、移動禁止区域30と移動可能区域35とを視覚的に区別して表示する。よって、ユーザは、表示部150を見ながら、移動経路50の経由地及び目的地を移動可能区域35内のブロック25から選択することができる。これにより、ユーザは、容易に、経由地及び目的地を設定することができる。
【0057】
ブロック25のサイズは移動体2のサイズ、若しくは移動体2のサイズよりも大きく設定されている。そのため、移動体2は、移動経路50のブロック25を一つずつ順に辿ることができる。よって、移動体2は、比較的少ない計算量で、移動経路50に従った移動を簡単に行うことができる。ブロック25のサイズは、オブジェクト10のサイズ、若しくはオブジェクト10のサイズよりも小さく設定されている。よって、移動体2は、比較的少ない計算量で移動経路50に従って、オブジェクト10周りの移動を簡単に行うことができる。
【0058】
ブロック25は立方体である。これにより、経路制御装置1は、簡単に移動経路50を設定することができる。
【0059】
移動体2は、位置検出部230と、駆動部250と、動作制御部210とを備える。位置検出部230は、移動体2の現在地を検出する。駆動部250は、移動体2を移動させる。動作制御部210は、現在地と移動経路50とに基づいて、駆動部250を制御する。移動経路50がブロック25により設定されているため、移動体2は、比較的少ない計算量で、移動経路50に沿った移動を行うことができる。移動体2は、自律飛行する飛行体であって、例えば、ドローンである。本実施形態によれば、三次元空間における飛行経路を簡単に設定することができる。
【0060】
<実施形態2>
実施形態2では、複数の移動体2が仮想空間20に対応する現実の空間内を移動する場合を想定する。本実施形態では、複数の移動体2の移動経路に共通するブロック25があれば、同一の時間帯にその共通のブロック25を通過しないように、移動経路を変更する。これにより、複数の移動体2が衝突することを回避する。
【0061】
図11及び図12を参照して、実施形態2における移動経路の変更処理について説明する。図11は、実施形態2における移動経路の変更処理を示している。図12は、移動経路を示す経路情報60の一例を示している。
【0062】
経路制御装置1は、本実施形態における経路生成装置の一例である。本実施形態においては、複数のユーザの各々が、経路制御装置1と移動体2の対を所有している場合を想定し、別の移動体2の移動経路と衝突しないように、自己の移動体2の移動経路を変更する例について説明する。例えば、図12に示す移動体「A」の移動経路が別の移動体「B」、「C」、「D」の移動経路と衝突しないように、移動体「A」の移動経路を変更する。
【0063】
本実施形態において、制御部110が図11に示す処理を行う。図11に示す移動経路の変更処理は、設定した移動経路を移動体2に送信する前(図2のステップS2とS3の間)に行う。
【0064】
移動経路生成部114は、別の移動体2の移動経路を示す経路情報を別の経路制御装置1から取得する(S211)。移動経路生成部114は、別の移動体2の移動経路を示す経路情報を別の移動体2から取得してもよい。
【0065】
経路情報60は、例えば、図12に示すように、移動体2を識別する識別情報61と、移動体2が移動を開始する開始時刻62と、ブロック25によって設定された移動経路50を示す情報とを含む。図12では移動経路50をブロック番号で示している。
【0066】
移動経路生成部114は、自己の移動体2の移動経路と取得した別の移動体2の移動経路とに共通のブロック25が含まれているか否かを判断する(S212)。これにより、移動経路生成部114は、移動体2が別の移動体2と衝突する可能性があるか否かを判断する。共通のブロック25がなければ(S213でNo)、移動体2の移動経路の変更を行わずに、移動経路の変更処理を終了する。
【0067】
共通のブロック25があれば(S213でYes)、移動経路生成部114は、共通のブロック25を隣接するブロック25に変更可能か否かを判断する(S214)。すなわち、隣接するブロック25が移動禁止区域30内のブロック25か、移動可能区域35内のブロック25かを判断する。隣接するブロック25が移動可能区域35内のブロック25であれば(S214でYes)、移動経路生成部114は、共通するブロック25を、隣接するブロック25に変更する(S215)。
【0068】
移動経路生成部114は、隣接するブロック25の全てが移動禁止区域30内のブロック25であれば(S214でNo)、自己の移動体2と別の移動体2が共通するブロック25を同一時間帯に通過するか否かを判断する(S216)。同一時間帯に通過するか否かの判断は、例えば、移動の開始時刻62と、移動経路50内における共通のブロック25の順番と、移動体2の平均時速により算出できる。同一時間帯に通過しない場合は(S216でNo)、移動体2が衝突する可能性がないと判断する。例えば、図12の例では、移動体「A」と移動体「B」の移動経路50には、始点45から4番目に共通するブロック「M4」が存在するが、移動の開始時刻が異なるため、衝突する可能性がないと判断する。この場合、移動経路生成部114は、移動経路を変更せずに、移動経路の変更処理を終了する。
【0069】
同一時間帯に通過する場合は(S216でYes)、移動経路生成部114は、共通するブロック25を通過する時間を変更する(S217)。例えば、移動経路生成部114は、共通するブロック25の手前のブロック25で待機するように移動経路を変更する。図12の例では、移動体「A」と移動体「C」の移動経路50には、いずれも経路の7番目に共通するブロック「M7」が存在し、且つ移動の開始時刻も同一であるため、移動体「A」がブロック「M7」を通過する時間を変更する。例えば、移動体「A」の移動経路50において、ブロック「M7」の前にブロック「M6」をさらに追加することによって、ブロック「M6」で待機させる。これにより、移動体「A」と移動体「C」が衝突することを回避する。
【0070】
本実施形態においては、複数のユーザの各々が経路制御装置1と移動体2の対を所有している場合を例にして説明したが、1人又は複数のユーザが1つの経路制御装置1で複数の移動体2の移動経路を設定することもできる。この場合、複数の移動体2のそれぞれの移動経路を示す経路情報60は、一つの経路制御装置1の第1記憶部130に格納されている。よって、移動経路生成部114は、ステップS211において、複数の移動体2の移動経路を示す経路情報60を第1記憶部130から取得してもよい。
【0071】
共通するブロック25が存在するときに、いずれの移動体2の移動経路を変更するかを、任意に設定してもよい。例えば、経路情報60は、移動体2の優先順位を含んでもよい。この場合、優先順位の低い移動体2の移動経路を変更してもよい。また、経路情報60は、許容可能な最終の到着時刻を含んでもよい。この場合、移動の開始時刻62及び移動経路50から算出した到着予定時刻と、許容可能な最終の到着時刻との差が大きい移動体2の移動経路を変更してもよい。
【0072】
以上のように、制御部110は、複数の移動体2の移動経路を比較して、複数の移動体
2の移動経路において同一のブロック25が含まれているか否かを判断し、同一のブロッ
ク25が含まれていれば移動経路を変更する。これにより、移動体2同士が衝突すること
を回避することができる。
【0073】
<実施形態3>
実施形態1では経路制御装置1が移動体2の移動経路を生成したが、実施形態3では移
動体2が移動経路を生成する。経路制御装置1と移動体2とにより、本実施形態における
経路生成装置を構成する。具体的には、経路制御装置1が移動禁止区域30と移動可能区
域35を設定する。移動体2が移動経路を設定する。
【0074】
図13は、実施形態3における経路制御装置1と移動体2の構成を示している。本実施
形態では、移動体2の動作制御部210が移動経路生成部213を備えている。なお、経
路制御装置1は、図1に示す移動経路生成部114を備えない。
【0075】
図14は、実施形態3における経路制御装置1と移動体2の全体動作を示している。経
路制御装置1は、制御部110が移動禁止区域30と移動可能区域35を設定する(S2
1)。ステップS21は、図2のステップS1と同一である。
【0076】
制御部110は、経由地及び目的地の設定を促すメッセージを表示部150に表示する
(S22)。このとき、移動経路生成部213は、移動禁止区域30と移動可能区域35
とを視覚的に区別して表示部150に表示する。例えば、色分けして表示する。制御部1
10は、ユーザが経由地及び目的地として指定したブロック25を特定する情報を取得す
る(S23)。なお、実施形態1の図7に示すように、最初に目的地を特定する情報を取
得して、その後に経由地を特定する情報を取得してもよい。
【0077】
制御部110は、移動可能区域35を示す区域情報と、経由地及び目的地を示す情報を
移動体2に送信する(S24)。具体的には、移動可能区域35内のブロック25の位置
を特定する情報と、経由地及び目的地であるブロック25の位置を特定する情報を移動体
2に送信する。なお、移動可能区域35の代わりに又は移動可能区域35に加えて、移動
禁止区域30内のブロック25の位置情報を移動体2に送信してもよい。
【0078】
移動体2の動作制御部210の移動経路生成部213は、第2通信部220を介して、移動可能区域35を示す区域情報と、経由地及び目的地を示す情報を経路制御装置1から受信する(S31)。
【0079】
移動経路生成部213は、位置検出部230及びセンサ240の出力から移動体2の現在地を検出する(S32)。移動経路生成部213は、現在地を移動経路の始点45に設定し、移動可能区域35内において、移動経路の始点45から、経由地を通過して、目的地に到達するまでの最短経路を移動経路として設定する(S33)。移動経路の設定方法は、実施形態1と同一であってもよいし、異なってもよい。移動経路の終点は任意である。例えば、移動経路の終点は、移動経路の始点45と同一であってもよい。
【0080】
駆動制御部211は、設定した移動経路に従って、駆動部250を制御して、移動体2を移動させる(S34)。ステップS34は、図2のステップS12と同一である。
【0081】
なお、移動体2の移動経路生成部213は、移動経路を設定した後、移動を開始する前に(S33とS34の間)、図11に示す移動経路の変更処理を行ってもよい。
【0082】
以上のように、本実施形態の移動体2は、自動的に設定した移動経路で移動することができる。本実施形態では、移動体2の移動範囲を含む所定の現実の空間に対応させて定義された仮想空間20が所定の三次元形状の複数の領域であるブロック25に分割されている。複数のブロック25は、移動体2が通過できない移動禁止区域30と移動体2が通過できる移動可能区域35にそれぞれ設定されている。移動体2は、第2通信部220と、位置検出部230と、駆動部250と、動作制御部210と、を備える。第2通信部220は、移動可能区域35を示す区域情報を取得する。位置検出部230は、移動体2の現在地を検出する。駆動部250は、移動体2を移動させる。動作制御部210は、移動可能区域35内のブロック25を指定して移動経路を設定する。動作制御部210は、現在地と移動経路とに基づいて、駆動部250を制御する。
【0083】
移動可能区域35がブロック25によって設定されているため、移動体2は移動経路を
比較的簡単に設定できる。
【0084】
<他の実施形態>
移動体2は、ドローン等の無人航空機に限らない。移動体2は、自律移動する無人端末であればよく、例えば、自律移動するロボットであってもよい。なお、移動体2は、無人で移動する構造に限られない。移動体2は、設定された移動経路に従って自律移動できればよく、有人で移動する構造であってもよい。また、移動体2は飛行しない構造でもよい。例えば、移動体2は、地面、壁、又はレール上を移動する構造であってもよい。
【0085】
オブジェクト10は、飛行機に限定しない。本発明は、任意のオブジェクト10について、適用できる。例えば、オブジェクト10は、移動体2の撮影部270が撮影した画像を用いた目視検査の対象となる検査対象物を含む。また、オブジェクト10は、検査対象物に限らず、ユーザが撮影部270によって撮影する構造であってもよい。具体的には、オブジェクト10は、車両であってもよい。車両としては、例えば、自動車、二輪又は電車が挙げられる。さらに、オブジェクト10によって移動禁止区域30を設定するため、オブジェクト10は、検査対象物に限られない。オブジェクト10は、移動体2の移動を妨げるような構造物であってもよい。オブジェクト10となる構造物としては、例えば、建物、橋が挙げられる。
【0086】
仮想空間20を分割する三次元形状は、立方体のブロック25に限らず、他の三次元形状であってもよい。例えば、直方体、三角錐によって、仮想空間20を分割してもよい。
【0087】
上記実施形態では、ユーザは、目的地と経由地を設定したが、始点45から終点までの移動経路の一部又は全部を設定してもよい。例えば、入力部140は表示部150と共に構成されたタッチパネルである。入力部140は、ユーザがタッチパネルを操作することによって、隣接しているブロック25が連続的に選択され、移動経路を設定する構造でもよい。
【0088】
オブジェクト10の形状を示すデータは、CADデータに限られない。オブジェクト10の形状を示すデータは、オブジェクト10の形状を示せればよい。例えば、オブジェクト10の形状を示すデータは、写真であってもよい。
【0089】
ブロック25のサイズは、移動体2の位置検出部230及びセンサ240による位置検出の精度に基づいて、決定してもよい。例えば、検出精度が高いほど、ブロック25のサイズを小さく設定してもよい。
【0090】
経路制御装置1から移動体2への経路情報の送信は、第1通信部120及び第2通信部220による無線の通信回線を使用した通信に限らない。経路制御装置1から移動体2への経路情報の送信は、有線の通信回線により、行われてもよい。例えば、移動体2は、HDMI(登録商標)、USB等の通信規格にしたがって、経路制御装置1から経路情報を受け取ってもよい。また、経路情報の送受信は、第1通信部120及び第2通信部220を介さずに行ってもよい。例えば、経路制御装置1は生成した経路情報を可搬性を有する記録媒体に格納し、移動体2はその記録媒体から経路情報を読み出してもよい。移動可能区域35を示す区域情報、経由地及び目的地を示す情報についても同様に、第1通信部120及び第2通信部220を介さずに、移動体2に記録されてもよい。
【0091】
上記実施形態では、経路制御装置1が、仮想空間20を定義してオブジェクト10に基づいて移動禁止区域30と移動可能区域35を設定したが、移動体2が、仮想空間20を定義してオブジェクト10に基づく移動禁止区域30と移動可能区域35の設定処理を行ってもよい。すなわち、移動体2のみによって、経路生成装置を構成してもよい。この場合、移動体2は、実施形態1の経路制御装置1と同等の構成を有する。
【0092】
経路制御装置1及び移動体2のそれぞれの機能を実現するために制御部によって実行されるプログラムが提供されてもよい。
【0093】
以上のように、本発明の具体的な実施形態及び変形例について説明したが、本発明は上述した実施形態等に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更を行ってもよい。例えば、上記の個々の実施形態の内容を適宜組み合わせたものを本発明の一実施形態とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の経路生成装置は、移動体の移動経路を生成する装置として有用である。
【符号の説明】
【0095】
1 経路制御装置
2 移動体
12 撮影システム
110 制御部
111 オブジェクト取得部
112 仮想空間生成部
113 区域設定部
114、213 移動経路生成部
120 第1通信部
130 第1記憶部
140 入力部
150 表示部
210 動作制御部
220 第2通信部
230 位置検出部
240 センサ
250 駆動部
260 第2記憶部
270 撮影部
211 駆動制御部
212 撮影制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2021-11-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動経路に沿って移動する移動体であって、
前記移動体の現在地を検出する位置検出部と、
前記移動体を移動させる駆動部と、
前記現在地と前記移動経路とに基づいて、前記駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記移動体の移動範囲を含む所定の現実の空間に対応させて定義された仮想空間が所定の三次元形状の複数の領域に分割され、分割された前記複数の領域は、前記移動体が通過できない移動禁止区域と前記移動体が通過できる移動可能区域にそれぞれ設定されていて、前記移動可能区域内の前記分割された領域を指定して設定された前記移動経路と、複数の移動体の各々の前記移動経路とを比較して、
前記移動体の前記移動経路と前記複数の移動体の各々の前記移動経路とにおいて同一の分割領域が含まれている場合、同一の時間帯に同一の前記分割領域を通過する否かを判断し、同一の時間帯に通過する同一の前記分割領域が含まれていれば前記移動経路を変更する、
ことを特徴とする移動体
【請求項2】
移動経路に沿って移動体を移動させるためのプログラムであって、
前記移動体の現在地を検出するステップと、
前記移動体を移動させるステップと、
前記現在地と前記移動経路とに基づいて、前記移動体の移動を制御するステップと、
前記移動体の移動範囲を含む所定の現実の空間に対応させて定義された仮想空間が所定の三次元形状の複数の領域に分割され、分割された前記複数の領域は、前記移動体が通過できない移動禁止区域と前記移動体が通過できる移動可能区域にそれぞれ設定されていて、前記移動可能区域内の前記分割された領域を指定して設定された前記移動経路と、複数の前記移動体の前記移動経路とを比較して、
前記移動体の前記移動経路と複数の前記移動体の前記移動経路とにおいて同一の分割領域が含まれている場合、同一の時間帯に同一の前記分割領域を通過する否かを判断し、同一の時間帯に通過する同一の前記分割領域が含まれていれば前記移動経路を変更するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、移動体、及びプログラムに関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の目的は、比較的簡単に移動体の移動経路を生成し、その移動経路に沿って移動する移動体、及びプログラムを提供することである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
開示に係る経路生成装置は、移動体の移動経路を生成する。上記経路制御装置は、取得部と、制御部と、を備える。上記取得部は、オブジェクトの形状を示すオブジェクトデータを取得する。上記制御部は、上記オブジェクトデータに基づいて、移動体の移動経路を設定する。上記制御部は、上記移動体の移動範囲を含む所定の現実の空間に対応させて仮想空間を定義する。上記制御部は、上記仮想空間を所定の三次元形状の複数の領域に分割した複数の分割領域を管理する。上記制御部は、上記仮想空間内に上記オブジェクトを配置する。上記制御部は、上記複数の分割領域のうち、上記オブジェクトと重なる領域を上記移動体が通過できない移動禁止区域に設定する。上記制御部は、上記複数の分割領域のうち、上記オブジェクトと重ならない領域を上記移動体が移動できる移動可能区域に設定する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
開示に係る移動体は、移動経路に沿って移動する。上記移動体は、位置検出部と、駆動部と、制御部と、を備える。上記位置検出部は、移動体の現在地を検出する。上記駆動部は、移動体を移動させる。上記制御部は、現在地と移動経路とに基づいて、駆動部を制御する。移動体の移動範囲を含む所定の現実の空間に対応させて定義された仮想空間が所定の三次元形状の複数の領域に分割されている。分割された複数の領域は、移動体が通過できない移動禁止区域と移動体が通過できる移動可能区域にそれぞれ設定されている。移動可能区域内の分割された領域を指定して、移動経路が設定されている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
開示に係るプログラムは、移動体の移動経路を生成するためのプログラムであって、移動体の移動範囲を含む所定の現実の空間に対応させて仮想空間を定義するステップと、仮想空間を所定の三次元形状の複数の領域に分割した複数の分割領域を管理するステップと、仮想空間内にオブジェクトを配置するステップと、複数の分割領域のうち、オブジェクトと重なる領域を移動禁止区域に設定するステップと、複数の分割領域のうち、オブジェクトと重ならない領域を移動可能区域に設定するステップと、移動可能区域内の分割領域を指定して移動経路を設定するステップと、をコンピュータに実行させる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明に係る移動体、及びプログラムによれば、仮想空間が移動体の移動範囲を含む現実の空間に対応させて定義され、その仮想空間が所定の三次元形状の複数の領域に分割して管理されている。これにより、経路生成装置は、比較的簡単に移動経路を生成できる。移動体は、比較的少ない計算量で移動経路に沿って移動できる。