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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027924
(43)【公開日】2022-02-14
(54)【発明の名称】微細気泡生成装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 25/40 20220101AFI20220203BHJP
   B01F 23/23 20220101ALI20220203BHJP
【FI】
B01F5/06
B01F3/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203182
(22)【出願日】2021-12-15
(62)【分割の表示】P 2020522245の分割
【原出願日】2019-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2018103057
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518189998
【氏名又は名称】株式会社アクアソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】土屋 幸弘
(57)【要約】
【課題】液体中に微細気泡を生成するにあたり、液体吐出機から吐出した液体に気体を適切に混入させることが可能な微細気泡生成装置を提供する。
【解決手段】微細気泡生成装置が、液体を吐出する液体吐出機と、液体吐出機から吐出された液体に、気体を加圧して混入させる気体混入機と、気体を混入させた液体を内部に通すことにより、液体中に微細気泡を生成する微細気泡生成器と、を有する。気体混入機は、液体吐出機と微細気泡生成器の間において、加圧された状態で微細気泡生成器に向かって流れる液体に、気体を加圧して混入させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の供給源から供給された液体が流れる流路を備えた液体供給設備において、前記液体供給設備が微細気泡入りの液体を供給するために用いられる微細気泡生成装置であって、
液体中に微細気泡を生成する液体を吐出する液体吐出機と、
前記液体吐出機から吐出された液体に、気体を加圧して混入させる気体混入機と、
気体を混入させた液体を内部に通すことにより、液体中に微細気泡を生成する微細気泡生成器と、を有し、
前記流路が前記流路の途中にて第一流路及び第二流路を含む複数の流路に分岐しており、前記液体吐出機は、前記第二流路から液体を取り込み、
前記微細気泡生成器により生成される微細気泡は、直径が1μmよりも小さいナノバブルであり、
前記気体混入機は、前記液体吐出機と前記微細気泡生成器の間において、加圧された状態で前記微細気泡生成器に向かって流れる液体に、気体を加圧して混入させ、
前記微細気泡生成器は、内部に通水孔を有するノズルであり、気体を混入させた液体が前記通水孔を通過することにより、加圧溶解の原理によって液体中にナノバブルを生成し、前記ノズルの先端部からナノバブル入りの液体を噴出し、
前記ノズルの先端部は、前記流路が分岐した分岐地点よりも下流側の位置で前記第1流路に接続されている微細気泡生成装置。
【請求項2】
前記気体混入機が加圧して液体に混入させる気体の圧力が、前記気体混入機によって気体が混入される箇所を通過する液体の圧力よりも高い、請求項1に記載の微細気泡生成装置。
【請求項3】
前記気体混入機は、加圧された気体の発生源である加圧気体発生源を備え、
前記液体吐出機が液体を吐出する際の吐出圧力よりも、前記加圧気体発生源が発する加圧された気体の圧力が高い、請求項2に記載の微細気泡生成装置。
【請求項4】
前記気体混入機は、前記加圧気体発生源から延びた送気ラインと、加圧された気体が前記送気ラインを流れる際の流量を調整するために前記送気ライン中に設けられた気体流量調整弁と、を備え、
前記吐出圧力よりも、前記気体流量調整弁の最高許容圧力が高い、請求項3に記載の微細気泡生成装置。
【請求項5】
前記液体吐出機は、前記第二流路に接続された取込み口を備え、前記取込み口に流れ込む液体の圧力が正圧となった状態で、前記取込み口から液体を取り込み、且つ、前記取込み口から取り込んだ液体を吐出する、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の微細気泡生成装置。
【請求項6】
前記気体混入機と前記微細気泡生成器との間に、気体を混入された液体の流れ状態を監視するための監視器が設置されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の微細気泡生成装置。
【請求項7】
前記微細気泡生成器である前記ノズルは、前記ノズルの軸方向における複数箇所に前記通水孔を有し、気体を混入させた液体が前記複数個所の前記通水孔の各々を通過することにより、液体中にナノバブルを生成する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の微細気泡生成装置。
【請求項8】
前記第二流路において前記液体吐出機の上流側から前記液体吐出機に流れ込む液体の圧力が正圧である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の微細気泡生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細気泡生成装置に係り、特に、液体を吐出する液体吐出機を有し、液体に気体を混入させた後に液体中に微細気泡を生成する微細気泡生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノバブル等の微細気泡を含む液体は、現在、農業分野及び水処理分野をはじめとする多岐の分野で利用されている。また、近年、液体中に微細気泡を生成する微細気泡生成装置の開発が積極的に進められている。
【0003】
微細気泡生成装置は、通常、ポンプ等の液体吐出機を有しており、液体吐出機から液体を吐出する。また、微細気泡生成装置の中には、加圧溶解の原理を利用して液体中に微細気泡を生成するものが存在するが、加圧溶解の原理を利用して液体中に微細気泡を生成するに際しては、気体を液体に混入させて溶解させる必要がある。従来の微細気泡生成装置は、液体吐出機であるポンプの吸込み側に気体を強制的に導入することにより、ポンプの吸込み側で液体に気体を混入させるものが一般的であった。
【0004】
しかしながら、ポンプの吸込み側に気体を導入した場合には、キャビテーションが発生したり、あるいはポンプの軸封構造に異常が生じたりする虞がある。このような不具合を解消するために、近年では、液体吐出機の吐出側で気体を液体に混入させる装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
具体的に説明すると、例えば、特許文献1に記載の微細気泡生成装置(特許文献1では、「植物処理装置」と表記)は、液体を圧送するポンプと、ポンプよりも下流側に配置された混合ノズルと、を有する。混合ノズルは、ポンプにより圧送された気体が流入する液体流入口と、気体が流入する気体流入口と、液体と気体とが混合された混合流体を噴出する混合流体噴出口と、を有する。また、混合ノズルの内部には、液体流入口から混合流体噴出口に向かって順に連続して配置された導入部と、第一テーパ部と、喉部と、気体混合部と、第二テーパ部と、導出部とを有する。また、混合ノズルの内部には気体流路が設けられている。
【0006】
第一テーパ部では、下流側に向かって流路断面が漸次減少する。喉部では、流路面積が略一定であり、且つ、混合ノズル内において最も小さくなっている。気体混合部では、流路面積が略一定であり、且つ、喉部の流路面積よりも若干大きくなっている。気体混合部は、気体流路に接続されている。第二テーパ部では、下流側に向かって流路面積が漸次増加する。
【0007】
以上のように構成された混合ノズルでは、液体流入口からノズル内に流入した液体が、第一テーパ部及び喉部で加速されて静圧が低下し、喉部及び気体混合部において、流路内の圧力が大気圧よりも低くなる。これにより、気体流入口から気体が吸引されて、気体流路を通過して気体混合部に流入する。この結果、液体と気体とが混合されて混合流体が生成する。混合流体が第二テーパ部及び導出部において減速されて静圧が増加し、最終的に混合流体噴出部から噴出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014-171463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のように、特許文献1では、気体混合部に気体を吸引するために、第一テーパ部及び喉部で液体を加速させて、喉部及び気体混合部内の圧力を大気圧よりも低くさせる。すなわち、特許文献1では、喉部及び気体混合部内の圧力を負圧とし、この負圧を利用して、気体を、液体が通過する気体混合部に導入し、その場所にて気体を液体に混入させている。しかしながら、負圧を利用して気体を液体に混入させる場合には、上述した混合ノズルのようにノズル内の流路面積を段階的に変化させる等、負圧を発生させるために複雑な構造を要する。また、負圧が確実に発生しなかったり、負圧の度合いが十分でなかったりする場合には、気体を液体に適切に混入することができず、その結果、所望の量の微細気泡が得られない虞がある。
【0010】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、液体中に微細気泡を生成するにあたり、液体吐出機から吐出した液体に気体を適切に混入させることが可能な微細気泡生成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の微細気泡生成装置は、液体中に微細気泡を生成する微細気泡生成装置であって、液体を吐出する液体吐出機と、液体吐出機から吐出された液体に、気体を加圧して混入させる気体混入機と、気体を混入させた液体を内部に通すことにより、液体中に微細気泡を生成する微細気泡生成器と、を有し、気体混入機は、液体吐出機と微細気泡生成器の間において、加圧された状態で微細気泡生成器に向かって流れる液体に、気体を加圧して混入させることを特徴とする。
【0012】
上記のように構成された本発明の微細気泡生成装置では、液体吐出機よりも下流側で、加圧された状態で流れる液体に気体を混入させる。これにより、キャビテーション等のように液体吐出機の液体取込み側で気体を液体に混入させる場合に生じ得る不具合を、回避することが可能である。また、気体を加圧して液体に混入させることで、その気体を液体の圧力に抗して混入させることができる。このため、特許文献1のように負圧を発生させなくても、気体を液体に適切に混入させることが可能となる。
【0013】
また、上記の微細気泡生成装置において、気体混入機が加圧して液体に混入させる気体の圧力が、気体混入機によって気体が混入される箇所を通過する液体の圧力よりも高いと、好適である。
上記の構成であれば、より確実に、気体を加圧して液体に混入させることが可能となる。
【0014】
また、上記の微細気泡生成装置において、気体混入機は、加圧された気体の発生源である気体発生源を備え、液体吐出機が液体を吐出する際の吐出圧力よりも、加圧気体発生源が発する加圧された気体の圧力が高いと、より好適である。
上記の構成であれば、より一層確実に、気体を加圧して液体に混入させることが可能となる。
【0015】
また、上記の微細気泡生成装置において、気体混入機は、加圧気体発生源から延びた送気ラインと、加圧された気体が送気ラインを流れる際の流量を調整するために送気ライン中に設けられた気体流量調整弁と、を備え、吐出圧力よりも、気体流量調整弁の最高許容圧力が高いと、さらに好適である。
上記の構成であれば、気体流量調整弁を操作することで気体の混入量を調整することができる。また、気体を加圧して液体に混入させる際には、気体流量調整弁の耐圧性能を超えない範囲で、気体を加圧することが可能となる。
【0016】
また、上記の微細気泡生成装置において、液体吐出機は、液体の供給源から供給された液体が流れる流路に接続された取込み口を備え、取込み口での液体の圧力が正圧となった状態で、取込み口から液体を取り込み、且つ、取込み口から取り込んだ液体を吐出すると、好適である。
上記の構成であれば、液体吐出機が流路から液体を直接取り込めるため、液体吐出機をより長時間運転し続けることができる。
【0017】
また、上記の微細気泡生成装置において、微細気泡生成器の先端部から、微細気泡入りの液体が噴出し、微細気泡生成器の先端部は、取込み口よりも下流側で流路に接続されていると、より好適である。
上記の構成であれば、微細気泡生成器の先端部から噴出した微細気泡入りの液体を、流路を通じて送液することが可能となる。
【0018】
また、上記の微細気泡生成装置において、気体混入機と微細気泡生成器との間に、気体を混入された液体の流れ状態を監視するための監視器が設置されていると、好適である。
上記の構成であれば、監視器を通じて、気体を混入させた液体の流れ状態を視認することが可能である。
【0019】
また、上記の微細気泡生成装置において、微細気泡が生成される液体は、用水であると、好適である。
上記の構成であれば、用水中に微細気泡を生成することができ、換言すれば、微細気泡入りの用水を供給することが可能となる。
【0020】
また、以上までに説明してきた微細気泡生成装置が、液体の供給源から供給された液体が流れる流路を備えた液体供給設備において、液体供給設備が微細気泡入りの液体を供給するために用いられる微細気泡生成装置であり、流路において液体吐出機の上流側から液体吐出機に流れ込む液体の圧力が正圧であってもよい。
上記の構成では、液体吐出機の下流側で液体に気体を混入させる構成が、より有意義なものとなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、液体中に微細気泡を生成するにあたり、液体吐出機から吐出した液体に気体を適切に混入させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】微細気泡生成装置を含む液体供給設備の一例を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る微細気泡生成装置を示す模式図である。
図3】液体吐出機の模式的な側面図である。
図4】液体吐出機の性能曲線を示す図である。
図5】気体混入機本体の側方断面図である。
図6】サイトグラスの外観を示す図である。
図7】微細気泡生成ノズルの側方断面図である。
図8】微細気泡生成ノズル内における液体の流れを示す図である。
図9】微細気泡生成ノズルの先端部と流路との接続構造を示す断面図である。
図10】微細気泡生成装置に接続された流路を示す斜視図である。
図11】第一変形例に係る液体供給設備を示す模式図である。
図12】第二変形例に係る液体供給設備を示す模式図である。
図13】第三変形例に係る液体供給設備を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、本発明の微細気泡生成装置について、添付の図面に示す好適な実施形態(以下、本実施形態という。)を参照しながら説明する。
なお、本実施形態は、本発明について分かり易く説明するために挙げた具体的な一つの実施形態ではあるが、本発明は、本実施態様に限定されるものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0024】
また、本実施形態では、農業又は植物栽培(園芸又は家庭菜園の用途を含む)に用いられる用水を液体の例に挙げて説明することとする。ただし、これに限定されるものではなく、農業及び植物栽培以外の用途に用いられる用水、例えば、工業用水、生活用水その他の経済的活動に用いられる用水に対しても本発明の微細気泡生成装置を利用することが可能である。また、用水以外の液体、例えば、薬液、液状肥料、油、アルコール、有機溶剤、及びエマルジョン等の分散系溶液に対しても本発明の微細気泡生成装置を利用することが可能である。
【0025】
また、本実施形態において、用水は、農業又は植物栽培に用いられる一般的な純度の水であるが、これに限定されず、純水又は超純水、固形物質又はガス状物質が溶解した水溶液、結晶体、鉱物又は有機物等が混ざった状態の濁水、あるいは、他の液状物質(例えば、液状の薬剤若しくは肥料)と混合した混合水を用いてもよい。
【0026】
また、農業又は植物栽培に用いられる用水は、土耕栽培用(養液土耕栽培用を含む)、水耕栽培用、あるいは養液栽培用に用いられてもよい。
【0027】
なお、本明細書において、「装置」とは、装置の構成部品が筐体内に収容された状態で一つのユニットとして取り扱うことが可能なものを含むが、それ以外にも、装置の構成部品が分離して個々に独立した状態で存在していながらも特定の目的を達成するために協働するものとしてまとめられるものも含み得る。
【0028】
また、本明細書において、「上流側」及び「下流側」とは、用水が流れる方向において決められる位置(厳密には、基準となる位置又は部材から見た位置)を示すための概念であり、用水の供給源により近い側が「上流側」であり、用水の供給源からより離れている側が「下流側」である。
【0029】
また、本明細書において、「接続されている」とは、継ぎ手又は溶接等によって接続されている場合を含み、それ以外にも、バルブ、ホース若しくは連絡配管等が介在した状態で接続されている場合も含み、また、これらに限定されない。
【0030】
<<微細気泡生成装置の概要>>
先ず、本実施形態に係る微細気泡生成装置(以下、微細気泡生成装置10)の概要について、図1を参照しながら説明する。図1は、微細気泡生成装置10を含む液体供給設備Sの構成を示す模式図である。
【0031】
微細気泡生成装置10は、用水をその利用先に供給する液体供給設備Sにおいて用いられ、図1に示すように、用水が流れる流路20とともに液体供給設備Sを構成している。具体的に説明すると、微細気泡生成装置10は、用水中に微細気泡であるナノバブルを生成することができる。ナノバブル入りの用水は、例えば農作物等の植物の生育用に供され、用水の利用先Wdである農地又は圃場において散水されたり、土壌に撒かれたりする。
【0032】
ナノバブルは、ウルトラファインバブルであり、直径が1μmよりも小さい微細気泡であり、長期間(数ヶ月程度)に亘って用水中に含まれた状態が維持され得る。ナノバブルは、気泡の直径が1μm以上、且つ1mm以下のマイクロバブルとは相違する。なお、ナノバブル入りの用水については、この用水が施された植物の生育を促進させる等の効果が知られている。
【0033】
流路20について図1を参照しながら説明すると、流路20は、用水の供給源Wsから供給される用水が流れる流路であり、用水の利用先Wd(農地又は圃場)に向かって敷設されたパイプ(鋼管又は塩ビ管)によって構成されている。また、パイプの一部は、ヒューム管によって構成されていて図1に示すように地中に埋設されてもよい。供給源Wsは、用水が地下水(井戸水)である場合には井戸が該当し、用水が地表水である場合にはダム、河川及び湖沼等が該当し、用水が水道水である場合には浄水場等が該当する。なお、図1及び後述する図11図13には、供給源Wsが井戸であるケースが示されている。
【0034】
また、流路20内において、用水は、その圧力が正圧である状態で流れる。詳しく説明すると、用水は、ポンプ等のように用水を圧送する圧送装置P、及び用水の供給源Wsと利用先Wdとの高低差(落差)の少なくとも一方を用いて供給源Wsから供給される。したがって、用水は、流路20各部での圧力が正圧である状態で流路20各部を通過することになる。なお、図1及び図11図13には、圧送装置Pを用いて用水を供給源Wsから供給するケースが示されている。
【0035】
また、本実施形態において、流路20は、その途中にて複数の流路に分岐しており、具体的には、図1に示した分岐地点23にて第一流路21及び第二流路22に分岐している。第一流路21は、用水の利用先Wdである農地又は圃場に向かって延びており、その末端は、農地又は圃場に設置された散水装置Dに繋がれている。
なお、利用先Wdでの用水の散水方式については、特に限定されるものではなく、農作物及び植物体に直接灌水してもよく、地表に散水してもよく、灌水チューブ又は点滴チューブから地表に注水してもよく、あるいは、土壌中に埋設したチューブから用水をしみ出させる点滴潅水を行ってもよい。
【0036】
第二流路22は、微細気泡生成装置10に向かって延びており、その末端は、微細気泡生成装置10が有する液体吐出機30に接続されている。つまり、微細気泡生成装置10は、第二流路22を流れる用水を取り込んで、取り込んだ用水中にナノバブルを生成する。そして、ナノバブル入りの用水は、第一流路21に返送され、第一流路21内を流れる用水(厳密には、ナノバブルを含まない用水)と混合され、第一流路21を通じて上記の散水装置Dまで送られる。
【0037】
また、第二流路22には、図1に示すように、第二流路22を流れる用水の流量を調整するための水量調整弁22Vが設けられている。水量調整弁22Vは、液体流量調整弁に相当し、手動開閉式のコック弁によって構成されている。水量調整弁22Vが開いている間には微細気泡生成装置10に用水が取り込まれ、水量調整弁22Vが閉じている間には微細気泡生成装置10への送水が遮断される。したがって、例えば、微細気泡生成装置10の停止期間(すなわち、ナノバブル入りの用水を利用しない期間)には、水量調整弁22Vを閉じて、ナノバブルを含まない用水のみを利用先Wdに送ることができる。
本実施形態では、第二流路22に液体流量調整弁としての水量調整弁22Vが設けられることとしたが、水量調整弁22Vに代えて、あるいは、水量調整弁22と共に減圧弁が設けられていてもよい。減圧弁は、第二流路22を流れる用水(液体)の圧力を減圧するものである。水量調整弁22V及び減圧弁のうちの少なくとも一方が設けられていれば、後述する液体吐出機30の吐出圧力、及び、液体吐出機30の取込み口31での用水の圧力を調整することができる。これにより、微細気泡生成装置10の下流側における用水(厳密には、ナノバブル入りの水)の圧力が流路20各所の圧力と好適にバランスするように調整される。
【0038】
なお、本実施形態では、流路20が2つの流路(すなわち、第一流路21及び第二流路22)に分岐しているが、分岐後の流路の数については、特に制限されるものではなく、複数の流路に分岐していればよい。
【0039】
以上までに説明してきたように、本実施形態に係る微細気泡生成装置10は、流路20からダイレクトに用水を取り込み、取り込んだ用水中にナノバブルを発生させ、ナノバブル入りの用水を、流路20を通じて利用先Wdまで送る。かかる構成であれば、利用先Wdまで敷設された既存の流路を微細気泡生成装置10に繋ぎ込むことにより、既存の流路を利用して、ナノバブル入りの用水を利用先Wdまで送ることが可能である。
【0040】
また、微細気泡生成装置10は、流路20からダイレクトに用水を取り込んでいるため、ナノバブル入りの用水を比較的大きな流量にて供給することができる。さらに、本実施形態では、微細気泡生成装置10を比較的コンパクトな構成としつつも、ナノバブルを高濃度で用水中に生成させることができる。具体的に説明すると、従来の微細気泡生成装置は、諸処の理由から、例えば、流路内を流れた液体を一時的に貯めておく貯留タンクから液体を取り込むものが多かった。このため、貯留タンクを設置する分だけ機器設置スペースをより広く確保する必要があった。これに対して、本実施形態では、微細気泡生成装置10が流路20からダイレクトに用水を取り込めるため、貯留タンクが不要となり、その分、機器設置スペースが削減される。
【0041】
<<微細気泡生成装置の構成について>>
次に、微細気泡生成装置10の構成について図2を参照しながら説明する。図2は、微細気泡生成装置10の構成を示す模式図である。
微細気泡生成装置10は、上流側から液体吐出機30、気体混入機40、監視器としてのサイトグラス52、及び微細気泡生成器としての微細気泡生成ノズル60を有する。以下、これらの構成機器について個別に説明する。
【0042】
(液体吐出機30)
液体吐出機30は、液体である用水を取り込み、且つ、取り込んだ用水を吐出する機器である。本実施形態に係る液体吐出機30は、ポンプによって構成されており、取り込んだ用水を加圧(昇圧)し、加圧された用水を規定範囲内の吐出流量にて吐出する。
【0043】
また、液体吐出機30は、分岐地点23で分岐した複数の流路の一つから用水を取り込んでいる。具体的に説明すると、液体吐出機30は、用水の取込み口31及び吐出口32を備えており、取込み口31には、流路20から分岐した第二流路22が接続されている。より具体的には、図3に示すように、第二流路22の末端部及び取込み口31の周囲に、それぞれ、フランジが設けられている。そして、フランジ同士が接合されることで第二流路22と取込み口31が接合されている。図3は、液体吐出機30の模式的な側面図であり、第二流路22と取込み口31との接続構造を示している。
【0044】
そして、液体吐出機30は、取込み口31での用水の圧力が正圧である状態で、第二流路22から用水を取り込むことになる。ここで、取込み口31での用水の圧力は、流路20(厳密には、第二流路22)において液体吐出機30の上流側から液体吐出機30の取込み口31に流れ込む液体の圧力を意味する。なお、取込み口31での用水の圧力は、脈動するが、液体吐出機30の運転中は略一定値となり、例えば、取込み口31付近において公知の圧力計又は連成計を適切な位置(具体的には、取込み口31と同じ高さとなる位置)に設置し、その計器が示す値を読み取ることで測定される。
【0045】
吐出口32には、液体吐出機30から吐出された用水が流れる加圧用水送りライン50が接続されている。より具体的には、図3に示すように、加圧用水送りライン50の上流側端部及び吐出口32の周囲に、それぞれフランジが設けられている。そして、フランジ同士が接合されることで加圧用水送りライン50と吐出口32が接合されている。
【0046】
微細気泡生成装置10に用いられる液体吐出機30の機種については、必要な用水の流量と、その流量にて用水が微細気泡生成装置10内の所定箇所を通過させる際に必要な圧力と、に応じて好適な機種が選定される。具体的に説明すると、液体吐出機30から吐出する用水の必要量(流量)を設定し、その流量の用水が後述する液体通過部43を通過する際の用水の圧力について必要値を求める。
【0047】
さらに、上記の必要値(圧力値)が満たされるように、液体吐出機30が用水を吐出する際の吐出圧力(揚程)を、好適な範囲に設定する。そして、用水の必要流量と、設定された吐出圧力の範囲とに基づき、これらの値及び範囲を満たし得る性能曲線を示す機種を選定する。具体的には、用水の吐出流量をVbとし、図4に示す性能曲線から吐出流量Vbに対応する吐出圧力Pbを求め、この吐出圧力Pbが、設定された範囲内にある場合には、その性能曲線を示す機種が微細気泡生成装置10用の液体吐出機30として選定されることになる。図4は、液体吐出機30の性能曲線の一例を示す図であり、横軸が吐出流量を示しており、縦軸が吐出圧力(すなわち、揚程)を示している。
【0048】
上記の手順によって選定される機種としては、例えば、グルンドフォス社製の横型多段うず巻きポンプ、若しくは東振テクニカル社製のベーンポンプ等が挙げられる。
【0049】
なお、液体吐出機30の機種については、微細気泡生成装置10の利用場所での騒音を抑える観点から、作動音が極力静かな機種であることが望ましい。
【0050】
また、本実施形態において、液体吐出機30の運転は、不図示の制御機器によって自動制御される。制御機器は、例えば、液体吐出機30のオンオフをタイマー制御したり、あるいは、供給源Wsからの用水供給の開始に連動させたりする。ただし、これに限定されるものではなく、液体吐出機30のオンオフは、手動(マニュアル)にて切り換えられるものであってもよい。
【0051】
また、液体吐出機30については、自己吸込み能力がある自給式のポンプであってもよく、あるいは、自己吸込み能力がない非自給式のポンプであってもよい。非自給式のポンプを用いる場合には、通常、送水開始に際してポンプ内を水で満たす処理(すなわち、呼び水)を行う必要がある。これに対して、本実施形態では、液体吐出機30の取込み口31に流路20(厳密には、第二流路22)が直接接続されているため、この流路20を開通すれば、流路20内を流れる用水が液体吐出機30内に自然に流れ込むようになる。したがって、本実施形態では、非自給式のポンプを液体吐出機30として用いた場合にも、比較的容易に且つ迅速に呼び水を行うことが可能である。
【0052】
なお、本実施形態では、液体吐出機30がポンプによって構成されていることとしたが、これに限定されるものではなく、液体を取り込んで吐出する機器であればよく、ポンプ以外の機器であってもよい。
【0053】
また、本実施形態では、液体吐出機30に取込み口31が設けられており、取込み口31に第二流路22が接続されていることとした。ただし、これに限定されるものではなく、取込み口31が流路20に接続されていない構成、例えば、流路20の内部に取込み口31が入り込んだ構成であってもよい。あるいは、流路20が液体吐出機30と一体化された構成(すなわち、液体吐出機30が取込み口31を備えず、且つ流路20が液体吐出機30と分離不能である構成)であってもよい。若しくは、流路20に形成された開口(出水口)の直下位置にて取込み口31を出水口から離して配置させる構成(すなわち、取込み口31と流路20が離れていながらも、出水口から落ちる水を取込み口31にて取り込める構成)であってもよい。
【0054】
(気体混入機40)
気体混入機40は、液体吐出機30から吐出された用水に、気体を加圧して混入させる機器である。より詳しく説明すると、気体混入機40は、液体吐出機30と微細気泡生成ノズル60の間において、加圧された状態で微細気泡生成ノズル60に向かって流れる用水に、気体を加圧して混入させる。ここで、用水の加圧状態は、液体吐出機30から吐出される用水の流量と、微細気泡生成ノズル60から噴出される用水(厳密には、微細気泡入りの用水)の流量との差によって生じる。より具体的に説明すると、本実施形態では、液体吐出機30の吐出流量が、微細気泡生成ノズル60から噴出される用水の流量よりも大きくなっているため、必然的に、液体吐出機30と微細気泡生成ノズル60との間で用水の圧力が加圧状態となる。なお、加圧された状態で流れる用水の圧力については、液体吐出機30の能力及び微細気泡生成ノズル60の設計寸法等に応じて適宜定まるものであり、特に限定されるものではない。
【0055】
気体混入機40は、図2に示すように、加圧された気体の発生源である加圧気体発生源41と、内部に用水及び気体を通過させる気体混入機本体42と、を有する。加圧気体発生源41は、加圧気体が充填された圧力容器、又は気体を圧縮させるコンプレッサーによって構成されており、規定の圧力まで加圧された気体を発生させる。なお、加圧気体発生源41が発する気体の種類としては、空気、酸素、窒素、フッ素、二酸化炭素及びオゾン等が挙げられる。
【0056】
加圧気体発生源41からは、チューブ、ホース又はパイプによって構成された送気ライン41aが延びている。この送気ライン41aは、気体混入機本体42の気体通過部44に繋ぎ込まれている。また、送気ライン41aの途中には、加圧気体発生源41から送られてくる気体が送気ライン41aを流れる際の流量(以下、「気体流量」ともいう。)を調整するための気体流量調整弁41bが設けられている。気体流量調整弁41bは、不図示の制御機器から伝送される開閉信号に応じて、その開度が調整される。なお、本実施形態では気体流量をごく少量に設定する理由から、気体流量調整弁41bを構成する弁として、ニードル弁型の流量調整弁が用いられている。
【0057】
気体混入機本体42は、筒状の機器であり、その上流側端部には、液体吐出機30の吐出口32から延びた加圧用水送りライン50が接続されている。また、気体混入機本体42の下流側端部からは、微細気泡生成ノズル60に向かって気体混入用水送りライン51が延びている。加圧用水送りライン50及び気体混入用水送りライン51は、いずれもチューブ、ホース又はパイプによって構成されている。
【0058】
気体混入機本体42について図5を参照しながら説明すると、気体混入機本体42は、液体吐出機30から吐出された用水が通過する液体通過部43と、加圧気体発生源41から発せられた加圧気体(加圧された気体)が通過する気体通過部44と、を有する。図5は、気体混入機本体42の側方断面図である。
【0059】
液体通過部43は、筒形をなしており、その内部を用水(厳密には、液体吐出機30から吐出され、且つ加圧された用水)が通過する。液体通過部43の内部は、図5に示すように、同軸上に並ぶ3つの領域からなり、上流側から、第一同径部43a、拡径部43b及び第二同径部43cに分かれている。第一同径部43aは、用水を気体混入機本体42の内部に導き入れるために設けられ、図5に示すように加圧用水送りライン50に繋がれている。第一同径部43aの内径は、加圧用水送りライン50の口径より小さく、例えば、約1/4に縮径されている。したがって、用水は、加圧用水送りライン50から第一同径部43aに進入すると、その流速(線速)が加速された状態で第一同径部43a内を下流側に流れるようになる。
ちなみに、用水を10l/minの流量にて流す場合には、第一同径部43a及び第二同径部43cの内径は、それぞれ約6mm及び約8mmであると好ましく、流量が変わる場合には、その流量に応じて、流量が10l/minであるときの第一同径部43a及び第二同径部43cの内径を適宜変更するとよい。
【0060】
拡径部43bは、第一同径部43aの下流側端部と連続しており、下流側に向かうにつれて内径が漸次的に拡大する部分である。用水は、第一同径部43aから拡径部43bに進入すると、その流速(線速)が徐々に減速しながら拡径部43b内を下流側に向かって流れるようになる。なお、図5に示すように、拡径部43bの全長(軸方向における長さ)は、第一同径部43aの全長及び第二同径部43cの全長に比べて著しく短くなっている。
【0061】
第二同径部43cは、拡径部43bの下流側端部と連続している。また、図5に示すように、第二同径部43cの下流側端部には、気体混入用水送りライン51が繋がれている。そして、用水が第二同径部43cを流れる間に、用水中に気体が混入される。つまり、第二同径部43cからは、気体を混入させた用水が流出する。なお、第二同径部43cの内径は、第一同径部43aの内径より大きいが、加圧用水送りライン50の口径よりは小さく、例えば、加圧用水送りライン50の口径の約1/3となっている。したがって、用水は、加圧用水送りライン50を流れているときよりは加速された状態で第二同径部43cを流れる。つまり、気体を混入させた用水は、加圧用水送りライン50を流れている時点での用水の流速よりも速い流速にて第二同径部43cを流れることになる。
【0062】
気体通過部44は、液体通過部43の外周部から液体通過部43の径方向外側に突出した円筒状の突起である。気体通過部44の内部は、図5に示すように、互いに径サイズが異なる3つの領域が連なって構成されており、液体通過部43の径方向外側から接続部44a、絞り部44b及び注入部44cに分かれている。接続部44aは、図5に示すように、内側に送気ライン41aの末端部が挿入されることで送気ライン41aと繋がれている。つまり、加圧気体発生源41から発せられた気体は、送気ライン41aを通じて送られ、やがて気体通過部44の接続部44a内に導かれる。
【0063】
絞り部44bは、液体通過部43の径方向において接続部44aの内側端部と連続しており、径方向内側に向かうに連れて縮径している部分である。絞り部44b内に進入した気体は、絞り部44bを通過する際に流量が絞られ、ごく微量の流量にて注入部44c内に進入する。
【0064】
注入部44cは、液体通過部43の径方向において絞り部44bの内側端部と連続しており、液体通過部43の第二同径部43cに繋がる位置まで延びている。より詳しく説明すると、注入部44cは、第二同径部43cのうち、拡径部43bの直ぐ下流側に位置する箇所に繋がれている。つまり、注入部44c内に進入した気体は、注入部44cを通じて液体通過部43の第二同径部43c内に入り込む。
【0065】
そして、第二同径部43c内に入り込んだ気体は、第二同径部43c内を流れる用水に混入される。ここで、気体は、加圧気体発生源41から発せられるので、加圧された状態で第二同径部43c内に入り込む。すなわち、気体混入機40は、気体を加圧して第二同径部43c内に導入する。
【0066】
より詳しく説明すると、第二同径部43c内には用水が加圧された状態で流れる。すなわち、第二同径部43cでの用水の圧力は、正圧であり(換言すると、負圧にはならない)、第二同径部43c内に進入した直後の用水の圧力は、液体吐出機30が用水を吐出する際の吐出圧力Pbよりも若干低くなっている。
【0067】
これに対して、気体混入機40が気体を加圧して用水に混入させる際の圧力(以下、混入圧力Pi)は、吐出圧力Pbよりも高く設定されている。ここで、混入圧力Piは、加圧気体発生源41が発する加圧された気体の圧力に相当し、具体的には、圧力容器に充填された圧縮気体の圧力、又はコンプレッサーによって圧縮された直後の気体の圧力である。
【0068】
以上のように、本実施形態では、混入圧力Piが用水の吐出圧力Pbよりも高くなっている。したがって、混入圧力Piは、気体混入機40によって気体が混入される箇所(すなわち、第二同径部43cの上流側端部)を通過する用水の圧力よりも高くなる。このため、第二同径部43cの上流側端部では、そこを加圧された状態で流れる用水に対して、気体が押し込まれるようになる。つまり、気体混入機40は、第二同径部43cの上流側端部での用水の圧力を超える程度に加圧した気体を導入することで、第二同径部43cの上流側端部を通過する用水の圧力に抗して気体を用水に混入させる。
なお、混入圧力Pi、及び、第二同径部43cの上流側端部を通過する用水の圧力は、脈動するが、気体を用水に混入させる間には略一定値となり、例えば、注入部44c及び第二同径部43cのそれぞれにおいて公知の圧力計又は連成計を適切な位置に設置し、その計器が示す値を読み取ることで測定される。
また、混入圧力Piについては、用水の吐出圧力Pbよりも高くなっているケースに限定されず、第二同径部43cの上流側端部を通過する用水の圧力よりも高ければよく、用水の吐出圧力Pbよりも若干低くてもよい。
【0069】
また、第二同径部43c内では、用水が加速された状態で流れる。また、気体は、絞り部44bにて流量が絞られた後に第二同径部43c内に導入される。これにより、気体は、第二同径部43cに微量だけ入り込み、さらに第二同径部43c内に入り込む瞬間に、加速された状態で第二同径部43cを流れる用水から剪断力を受けて細断される。これにより、気体は、細かな気泡の状態で用水に混入されることになる。
【0070】
以上までに本実施形態に係る気体混入機40の構成について説明したが、気体混入機40の構成は、特に上記の構成に限定されず、用水に気体を加圧して混入させることが可能な構成であればよく、例えば、液体通過部43の内側に気体通過部44に相当する部分が配置された構成であってもよく、あるいは、液体通過部43と気体通過部44とが分かれておらず一体化した構成であってもよい。
【0071】
また、図2に示すように、気体混入用水送りライン51の中途位置、すなわち、気体混入機40と微細気泡生成ノズル60との間にはサイトグラス52が設けられている。このサイトグラス52は、気体を混入された液体(以下、「気体混入用水」ともいう。)の流れ状態を監視する目的で設置されており、具体的には、気体混入用水における気体の混入度合いを視認するために設けられている。サイトグラス52の内部には、図6に示すように、気体混入用水が流れる。図6は、サイトグラス52の外観を示す図であり、サイトグラス52の内部に気体混入用水が流れている様子を示している。
【0072】
気体混入機40の下流側にサイトグラス52が設けられていることで、気体混入用水における気体の混入度合い(分かり易くは、気泡のサイズ及び個数等)を視認することができ、視認した状況に応じて気体流量調整弁41bの開度を調整することで、気体流量等を適宜見直すことが可能である。
なお、本実施形態ではサイトグラス52を設けることとしたが、これに限定されず、サイトグラス52の代わりに、あるいはサイトグラス52と共に流量計(フローメータ)が設置されてもよい。流量計を設置した場合には、気体混入用水の流れ状態として、気体混入機40の下流側を流れる流量を視認することが可能となる。
【0073】
(微細気泡生成ノズル60)
微細気泡生成ノズル60は、気体混入用水を内部に通すことにより、気体混入用水中にナノバブルを生成する機器である。本実施形態で用いられる微細気泡生成ノズルは、1基のみで、気体混入用水1mlあたりに比較的多量のナノバブルを生成することが可能である。このような性能を有する微細気泡生成ノズル60としては、例えば、特許第6129390号に記載されたナノバブル生成ノズルが利用可能である。
【0074】
以下、特許第6129390号に記載されたナノバブル生成ノズルを図示した図7及び図8を参照しながら、本実施形態に係る微細気泡生成ノズル60の構造を説明することとする。図7は、微細気泡生成ノズル60の側方断面図である。図8は、微細気泡生成ノズル60内における気体混入用水の流れを示す図である。
【0075】
微細気泡生成ノズル60は、図7に示すように、導入口61と噴出口62とを備えている。導入口61は、気体混入用水をノズル内部に導入させる開口である。噴出口62は、ナノバブルを含む用水(すなわち、ナノバブル入りの用水)を噴出させる開口である。また、微細気泡生成ノズル60の内部において、導入口61と噴出口62との間には、ナノバブルを生成する部分が設けられている。かかる部分には、微細気泡生成ノズル60の軸方向(以下、ノズル軸方向と言う)に並ぶ3つの通水孔64,65,66が形成されている。この3つの通水孔64,65,66は、互いに断面積(厳密には、ノズル軸方向を法線とする切断面にて切断したときの断面積)が異なる孔である。
【0076】
微細気泡生成ノズル60の構成についてより詳しく説明すると、微細気泡生成ノズル60は、図7に示すように、主として3つの部品からなり、具体的には、導入部70、噴出部90及び中間部80によって構成されている。導入部70は、微細気泡生成ノズル60の基端部(上流側端部)をなしており、前述の導入口61を備えている。噴出部90の下流側端部は、微細気泡生成ノズルの先端部をなしており、前述の噴出口62を備えている。中間部80は、ノズル軸方向において導入部70及び噴出部90の間に挟まれている。
【0077】
そして、上記3つの部品(すなわち、導入部70、中間部80及び噴出部90)が組み合わせられることで、微細気泡生成ノズル60の内部において、ノズル軸方向に並ぶ3つの通水孔64,65,66が形成される。なお、図7に示すように、3つの通水孔64,65,66の中で最も上流側にある第一の通水孔64は、微細気泡生成ノズル60の径方向(以下、ノズル径方向と言う)において微細気泡生成ノズル60の中央に位置する。また、中間位置にある第二の通水孔65は、ノズル径方向において微細気泡生成ノズル60の中央よりも外側に位置し、最も下流側にある第三の通水孔66は、ノズル径方向において微細気泡生成ノズル60の中央に位置する。
【0078】
導入部70、中間部80及び噴出部90の各々の詳細構成について説明する。先ず導入部70について説明すると、導入部70は、図7に示すように、導入部本体72と、導入部本体72の端面から突出する円筒突起部71と、を有する。導入部本体72は、外径が異なる2つの円筒状の部分(以下、小径部73及び大径部74)をノズル軸方向に積み重ねた外形をなしている。なお、小径部73がより上流側に位置し、大径部74がより下流側に位置している。
【0079】
導入部本体72の内部には、第一の通水孔64と、テーパ状部分75と、嵌め込み部76とが形成されている。テーパ状部分75は、ノズル軸方向において第一の通水孔64の下流側で第一の通水孔64と隣接しており、下流側に向かうに連れて拡径している。嵌め込み部76は、テーパ状部分75の下流側でテーパ状部分75と隣接している。嵌め込み部分76は、大径部74の内部空間のうちの下流側端部にあり、微細気泡生成ノズル60を組み立てる際に中間部80の上流側端部が嵌め込まれる。
【0080】
円筒突起部71は、導入部本体72の小径部73よりも外径が小さく、ノズル軸方向において小径部73の端面から外側に向かって突出している。円筒突起部71の上流側の端は、開口端となっており、その開口が導入口61をなしている。そして、円筒突起部71には、気体混入用水送りライン51が繋がれている。気体混入用水送りライン51内を流れた気体混入用水は、導入口61を通じて円筒突起部71内を流れ、やがて導入部本体72の内部に形成された第一の通水孔64を通過する。なお、図7から分かるように、第一の通水孔64の径(口径)は、円筒突起部71の内径よりも小さくなっている。
【0081】
次に、中間部80について説明すると、中間部80は、図7に示すように、円盤形状又は略円柱形状の外形をなしている。また、ノズル径方向において中間部80の中央部の両面(ノズル軸方向での両端面)からは、円錐突起部81,82が突出している。中間部80の上流側の端面から突出した第一の円錐突起部81は、図8に示すように、第一の通水孔64を通過した気体混入用水を、ノズル径方向外側に向けて放射状に流し、第二の通水孔65に向かわせる機能を有している。
【0082】
中間部80の下流側の端面から突出した第二の円錐突起部82は、図8に示すように、第二の通水孔65を通過した気体混入用水を、第三の通水孔66に向かわせる機能を有している。
【0083】
また、中間部80の外周部には、中間部80の全周に亘って形成されたリング状部83が設けられている。リング状部83には、ノズル軸方向においてリング状部83を貫通する貫通孔が、中間部80の周方向において一定間隔毎に複数形成されている。かかる貫通孔が第二の通水孔65をなしている。なお、第二の通水孔65を構成する各貫通孔の径(口径)は、第一の通水孔64の径(口径)よりも小さくなっている。また、複数の貫通孔のそれぞれの断面積を合計した値は、第一の通水孔64の断面積よりも小さくなっている。
【0084】
また、図7に示すように、第二の通水孔65の入口は、中間部80の、第一の円錐突起部81が設けられた端面よりも上流側に位置している。一方で、第一の円錐突起部81は、その周囲をリング状部83によって取り囲まれている。
【0085】
リング状部83の外周面のうち、ノズル軸方向における中央部分には、ノズル径方向外側に張り出したフランジ部84が設けられている。また、リング状部83の外周面のうち、フランジ部84を間に挟んだ2つの部分には、それぞれ、シール溝85が形成されており、各シール溝85にOリング86A,86Bが嵌め込まれている。フランジ部84の上流側にあるシール溝85に嵌め込まれたOリング86Aは、図7に示すように、導入部本体72が有する大径部74の内周面(厳密には、嵌め込み部76の内周面)に当接し、導入部70と中間部80との合わせ面をシールしている。フランジ部84の下流側にあるシール溝85に嵌め込まれたOリング86Bは、図7に示すように、噴出部本体91の内周面(厳密には、嵌め込み部93の内周面)に当接し、噴出部90と中間部80との合わせ面をシールしている。
【0086】
次に、噴出部90について説明すると、噴出部90は、図7に示すように、噴出部本体91とフランジ部92とを有する。噴出部本体91は、円筒状又は略円筒状の外形形状をなしている。また、噴出部本体91の内部空間には、嵌め込み部93と、テーパ状部分94と、第三の通水孔66とが形成されている。嵌め込み部93は、噴出部本体91の内部空間の上流側端部にあり、嵌め込み部93には中間部80のリング状部83が嵌め込まれる。テーパ状部分94は、ノズル軸方向において嵌め込み部93の下流側で嵌め込み部93と隣接しており、下流側に向かうに連れて縮径している。
【0087】
第三の通水孔66は、ノズル軸方向においてテーパ状部分94の下流側でテーパ状部分94と隣接している。また、第三の通水孔66は、噴出部本体91の下流側の端面まで延びている。つまり、噴出部本体91の下流側の端面には、第三の通水孔66の末端側開口が形成されており、この開口が噴出口62をなしている。
【0088】
なお、第三の通水孔66の径(口径)は、第一の通水孔64の径(口径)よりも小さくなっている。また、第三の通水孔66の断面積は、第二の通水孔65を構成する複数の貫通孔のそれぞれの断面積を合計した値(以下、便宜的に「第二の通水孔65の断面積」と言う。)よりも小さくなっている。ここで、各通水孔の断面積の比率について説明すると、各通水孔の断面積の比率が、(第一の通水孔64の断面積):(第二の通水孔65の断面積):(第三の通水孔66の断面積)=3:2:1程度になるように設計されている。このような比率になるように各通水孔のサイズが設定されることで、微細気泡生成ノズル60によってナノバブルを効果的に生成することが可能となる。
【0089】
さらに、第三の通水孔66の径、すなわち噴出口62の口径は、気体混入機本体42の液体通過部43各部の内径(つまり、第一同径部43a、拡径部43b及び第二同径部43cの各々の内径)よりも小さくなっている。このため、微細気泡生成ノズル60の噴出口62では気体混入用水の流れが閉塞気味となる。この結果、微細気泡生成ノズル60よりも上流側に位置する気体混入機本体42の液体通過部43の各部では、用水の圧力が正圧となる(換言すると、負圧にならない)。
【0090】
フランジ部92は、噴出部本体91の外周面のうち、ノズル軸方向における上流側の端部からノズル径方向外側に張り出して設けられている。このフランジ部92は、導入部70、中間部80及び噴出部90を組み合わせる際に、ホルダ63に組みつけられる。
【0091】
具体的に説明すると、ホルダ63は、円環状の部材であり、図7に示すように、その内部に導入部本体72の小径部73が嵌め込まれる。なお、小径部73が嵌め込まれた状態のホルダ63は、小径部73と大径部74との間の段差によって係止される。また、ホルダ63には、その周方向に沿ってボルト穴が等間隔で複数形成されている。これに対応して、噴出部90のフランジ部92にも、ホルダ63のボルト穴と同数のボルト穴(正確には、雌ネジが形成されたボルト穴)が形成されている。そして、導入部70、中間部80及び噴出部90を組み合わせた後に、ホルダ63のボルト穴にボルト67が挿通され、ボルト67の先端部がフランジ部92のボルト穴に螺合される。これにより、微細気泡生成ノズル60が組み立てられる。
【0092】
次に、上記の如く構成された微細気泡生成ノズル60におけるナノバブル生成のメカニズムについて説明する。気体混入用水送りライン51内を流れた気体混入用水は、導入口61を通じて円筒突起部71内に進入し、やがて導入部本体72に形成された第一の通水孔64を通過する。このとき、加圧溶解の原理に従って、気体混入用水中の気体が微細気泡(ナノバブル)に変化する。
【0093】
詳細に説明すると、気体混入用水が第一の通水孔64に進入した際に、気体混入用水中の気体が一段と加圧され、この結果、気体が用水中に溶解される。気体混入用水は、やがて第一の通水孔64から流出してテーパ状部分75に進入する。この際、気体混入用水が加圧状態から解放されてナノバブルが発生する。
【0094】
テーパ状部分75に進入した気体混入用水は、テーパ状部分75内を更に下流側に向かって流れる。このとき、気体混入用水は、図8に示すように、第一の円錐突起部81によってノズル径方向外側に案内され、第二の通水孔65に向かって流れる。第一の円錐突起部81は、その周りをリング状部83に取り囲まれている。このため、ノズル径方向外側に向かって流れる気体混入用水は、リング状部83の内壁に衝突して、図8に示すように上流側に向かって逆流する。この結果、気体混入用水の流れが乱流となる。このように気体混入用水の流れが乱流となることで、気体混入用水中に存在する比較的大きな気泡に対して剪断力が作用し、その気泡を細断することができる。
【0095】
また、乱流となって流れる気体混入用水は、図8に示すように、中間部80の、第一の円錐突起部81が設けられた端面よりも上流側に戻り、端面よりも上流に位置する第二の通水孔65内に流入する。そして、乱流状態の気体混入用水は、やがて第二の通水孔65から流出し、第二の通水孔65から噴出部90内のテーパ状部分94に進入する。このとき、気体混入用水中の気体(具体的には、用水中に溶存した気体)がナノバブルに変化する。
【0096】
詳細に説明すると、気体混入用水が第一の通水孔64を通過した時点でナノバブルとなっていない気体は、気体混入用水が第二の通水孔65を通過する際に再び加圧されて用水中に溶解する。そして、第二の通水孔65内の用水が第二の通水孔65から流出すると、気体混入用水が加圧状態から解放されてナノバブルが発生する。
【0097】
なお、本実施形態では、第二の通水孔65を構成する複数の貫通孔の各々の径(口径)が、第一の通水孔64の径よりも小さく、且つ、第二の通水孔65の断面積が第一の通水孔64の断面積よりも小さい。このような断面積の小さな第二の通水孔65を気体混入用水が通過すると、第一の通水孔64を通過した際に生成された気泡よりも微細な気泡が生成されることになる。
【0098】
テーパ状部分94に進入した気体混入用水は、その時点で、ある程度の量のナノバブルを含んでいる。かかる状態の気体混入用水は、第二の円錐突起部82によってノズル径方向内側に案内され、第三の通水孔66に向かって流れる。そして、気体混入用水は、第三の通水孔66を通過し、その末端に位置する噴出口62から微細気泡生成ノズル60の外に噴出される。ここで、第三の通水孔66は、第一の通水孔64及び第二の通水孔65と同様、気体混入用水がその内部を通過することで、気体混入用水中の気体(具体的には、用水中に溶存した気体)をナノバブルに変化させる。
【0099】
また、本実施形態では、第三の通水孔66の断面積が第二の通水孔65の断面積よりも小さい。そのため、第三の通水孔66は、その内部を通過する気体混入用水を適切に加圧する。その結果、気体混入用水中の気体(用水中に溶存した気体)を適切に加圧して用水中に溶解させる。そして、気体混入用水が第三の通水孔66を通過して噴出口62から微細気泡生成ノズル60の外に噴出する際に、気体混入用水が加圧状態から解放されてナノバブルが発生する。
【0100】
また、第三の通水孔66にて気体混入用水の圧力を上昇させることで、気体混入用水に適度な流速を与えることが可能となる。これにより、気体混入用水がナノバブル入りの用水となって噴出口62から微細気泡生成ノズル60の外に噴出される際には、所定の流速で噴出されるようになる。
【0101】
なお、前述したように、噴出口62の口径は、微細気泡生成ノズル60の上流に位置する気体混入機本体42の液体通過部43各部(第一同径部43a、拡径部43b、及び第二同径部43c)の内径よりも小さい。したがって、噴出口62から噴出されるナノバブル入りの用水の噴出量は、噴出口62の口径に依存して決まることになる。それ故に、気体混入機本体42において液体通過部43の内径が縮径していても、そのことがナノバブル入りの用水の噴出量に及ぼす影響の度合いは小さい。
なお、噴出口62の口径については、気体混入機本体42の液体通過部43各部(第一同径部43a、拡径部43b、及び第二同径部43c)の内径よりも小さい場合に限定されず、これらの内径以上であってもよい。
【0102】
以上のように微細気泡生成ノズル60の内部では、複数の段階(本実施形態では3段階)に分けて気体混入用水中にナノバブルを生成させ、具体的には、各通水孔内に気体混入用水を通過させる際に、用水中にナノバブルが発生する。また、本実施形態では、各通水孔をノズル径方向において互いに異なる位置に形成している。これにより、各通水孔をノズル径方向において互いに同じ位置に形成した場合に比べ、ノズル軸方向における微細気泡生成ノズル60の長さを短くすることができ、微細気泡生成ノズル60がよりコンパクトになる。
【0103】
以上までに本実施形態に係る微細気泡生成ノズル60の構成について説明したが、上記の構成には特に限定されず、気体混入用水が内部を通過することで気体混入用水中にナノバブルを発生させることが可能な構成であればよく、ノズル内部構造が図7に図示の構造と異なっていてもよい。
【0104】
ところで、微細気泡生成ノズル60の先端部をなす噴出部本体91の下流側端部(噴出口62が設けられている側の端部)は、流路20に接続されている。より詳しく説明すると、噴出部本体91の下流側端部の外周面には、図9に示すように、雄ネジが形成されている。図9は、微細気泡生成ノズル60の先端部と流路20との接続構造を示す断面図である。
【0105】
また、第一流路21の中途位置からは、図2に示すように連絡部24が延びている。この連絡部24は、微細気泡生成ノズル60の先端部と第一流路21との間を連絡するために設けられており、第一流路21を構成する鋼管に接合された枝管によって構成されている。また、連絡部24を構成する枝管の末端部は、その内周面に形成された雌ネジを備えている。
【0106】
そして、図9に示すように噴出部本体91側の雄ネジと連絡部24側の雌ネジとが接合することで、微細気泡生成ノズル60の先端部である噴出部本体91の下流側端部が、連絡部24を介して第一流路21に接続されている。
【0107】
ここで、噴出部本体91の下流側端部が第一流路21に接続された箇所を接続地点25とすると、接続地点25は、第一流路21において、連絡部24の端部が第一流路21に繋ぎ込まれた位置である。この位置は、図1及び図2に示すように、流路20の分岐地点23よりも下流側にあり、且つ、液体吐出機30の取込み口31よりも下流側にある。つまり、微細気泡生成ノズル60の先端部は、液体吐出機30の取込み口31よりも下流側、且つ、分岐地点23よりも下流側で第一流路21に接続されている。
【0108】
なお、微細気泡生成ノズル60の先端部と流路20との接続方式については、上記の接続方式に限定されるものではなく、微細気泡生成ノズル60の先端部を流路20に好適に接続し得る限り、上記以外の接続方式を採用してもよい。例えば、微細気泡生成ノズル60の先端部を連絡部24に直接溶接して接合してもよく、あるいは、微細気泡生成ノズル60の先端部及び連絡部24の双方にフランジが設けられていてフランジ同士を接合させてもよい。
【0109】
<<流路20の詳細構成について>>
次に、前述した流路20の構成について改めて説明する。
本実施形態に係る流路20では、微細気泡生成ノズル60の先端部から噴射されたナノバブル入りの用水が、連絡部24内を流れ、微細気泡生成ノズル60の先端部と第一流路21との接続地点25にて、第一流路21内の用水(すなわち、ナノバブルを含まない用水)と合流する。すなわち、微細気泡生成装置10各部は、ナノバブル入りの用水を第一流路21内の用水と良好に合流させるように設計されている。
【0110】
具体的に説明すると、接続地点25における流路20(厳密には、第一流路21)内の用水の圧力よりも、微細気泡生成ノズル60の先端部から噴出されたナノバブル入りの用水の、接続地点25での圧力の方が高くなっている。ここで、前者の圧力をPaとし、後者の圧力をPbnとしたときに、両者の圧力は、下記の関係式(1a)を満たす。
Pbn>Pa (1a)
【0111】
また、圧力Pbnについては、液体吐出機30が用水を吐出する際の吐出圧力をPbとし、液体吐出機30の吐出口32から接続地点25までの圧力損失をΔPbとしたとき、下記の式(1b)によって算出される。
Pbn=Pb-ΔPb (1b)
したがって、Pa、Pb及びΔPbについては、下記の関係式(1)を満たすことになる。
Pb-ΔPb>Pa (1)
【0112】
そして、本実施形態では、上記の関係式(1)を満たすように液体吐出機30、気体混入機40及び微細気泡生成ノズル60が設計されている。これにより、接続地点25では、微細気泡生成ノズル60の先端部から噴出されるナノバブル入りの用水が、ナノバブルを含まない第一流路21内の用水とスムーズに合流する。
【0113】
吐出圧力Pbは、脈動するものの、液体吐出機30が一定の運転条件の下で運転し続ける間は略一定値となり、具体的には、用水の吐出流量Vbに応じた圧力となるので、吐出流量Vbを測定すれば、その測定結果と図4に図示の性能曲線とに基づいて求められる。また、吐出圧力Pbは、例えば、液体吐出機30の吐出口32付近に公知の圧力計又は連成計を適切な高さ(具体的には、吐出口32と同じ高さ)にて設置し、その計器が示す値を読み取ることで実測可能である。
【0114】
圧力損失ΔPbは、液体吐出機30から吐出された用水が微細気泡生成ノズル60を通過してナノバブルの用水となって接続地点25に達するまでの間に生じる圧力損失である。より厳密に説明すると、圧力損失ΔPbは、用水が吐出流量Vbにて加圧用水送りライン50、気体混入機本体42の液体通過部43、気体混入用水送りライン51、サイトグラス52の内部、加圧用水送りライン50及び微細気泡生成ノズル60を通過したときに生じる圧力損失である。なお、圧力損失ΔPbは、公知の計算手法によって計算可能である。
【0115】
一方で、接続地点25における流路20内の用水の圧力Paは、脈動するものの、第一流路21内に用水が一定流量で流れている間には略一定値となり、例えば、第一流路21の接続地点25付近に公知の圧力計又は連成計を適切な高さ(具体的には、接続地点25と同じ高さ)にて設置し、その計器が示す値を読み取ることで実測可能である。なお、圧力Paを測定する際には、水量調整弁22Vを閉じた状態(すなわち、微細気泡生成ノズル60からナノバブル入りの水が噴出されない状態)で測定するのが望ましい。
【0116】
また、圧力Paは、供給源Wsから用水が送り出された直後の圧力Pasと、供給源Wsから送り出された用水が接続地点25に達するまでの間に生じる圧力損失ΔPaと、の差から算出してもよい。ここで、圧力Pasは、用水が供給源Wsからポンプ等の圧送装置Pによって圧送される場合には、圧送装置Pの吐出圧力であり、用水が供給源Wsとの高低差(落差)を利用して送り出させる場合には、その高低差に相当する水圧(水頭圧)である。また、圧送装置P及び供給源Wsとの高低差を併用して用水を送り出す場合には、圧送装置Pの吐出圧力及び高低差に相当する水頭圧を合計した圧力が、圧力Pasとなる。
【0117】
また、圧力損失ΔPaについては、供給源Wsから送り出されたときの流量にて用水が流路20を分岐地点23まで流れたときに生じる圧力損失ΔPa1と、第一流路21を流れる用水が分岐地点23から接続地点25まで流れたときに生じる圧力損失ΔPa2と、を合計することで求められる。なお、それぞれの圧力損失ΔPa1、ΔPa2は、公知の計算手法によって計算可能である。
【0118】
次に、流路20の付帯機器について図10を参照しながら説明する。図10は、微細気泡生成装置10に接続された流路20を示す斜視図である。
流路20(厳密には、第一流路21)には、流路20と微細気泡生成ノズル60の先端部との間を連絡する連絡部24が取り付けられている。また、連絡部24の途中位置には、図10に示すように、連絡部24から用水を抜くための第一水抜きライン27が設けられている。
【0119】
第一水抜きライン27は、第一液体抜きラインに相当し、連絡部24にティーズを介して連結されている。また、第一水抜きライン27の末端には、図10に示すように第一水抜きライン27の開通及び閉塞を切り換える第一水抜きライン側切換え弁27Vが設けられている。第一水抜きライン側切換え弁27Vは、第一液体抜きライン側切換え弁に相当し、手動開閉式のコック弁によって構成されている。
【0120】
なお、第一水抜きライン27及び第一水抜きライン側切換え弁27Vは、図10に示すように、連絡部24の最下部に設けられている。具体的に説明すると、連絡部24は、微細気泡生成ノズル60の先端部に接続された部分よりも幾分下流側の位置で垂下しており、その最下点で90度に折れ曲がってから水平方向に延出した後、再び立ち上がるように敷設されている。そして、連絡部24のうち、最下点から水平方向に延出した部分に第一水抜きライン27が繋ぎ込まれている。また、第一水抜きライン27は、水平方向に延出し、その末端部に第一水抜きライン側切換え弁27Vが取り付けられている。
【0121】
同様に、図10に示すように、第二流路22にも第二水抜きライン26及び第二水抜きライン側切換え弁26Vが設けられている。第二水抜きライン26は、第二液体抜きラインに相当し、第二流路22から用水を抜くために設けられている。なお、第二水抜きライン26は、第二流路22にティーズを介して連結されている。第二水抜きライン側切換え弁26Vは、第二液体抜きライン側切換え弁に相当し、第二水抜きライン26の開通及び閉塞を切り換えるために設けられおり、手動開閉式のコック弁によって構成されている。
【0122】
なお、第二水抜きライン26及び第二水抜きライン側切換え弁26Vは、図10に示すように、第二流路22の最下部に設けられている。具体的に説明すると、第二流路22は、流路20の分岐地点23よりも幾分下流側の位置で垂下しており、その最下点で90度に折れ曲がってから水平方向に延出した後、再び立ち上がるように敷設されている。そして、第二流路22のうち、最下点から水平方向に延出した部分に第二水抜きライン26が繋ぎ込まれている。また、第二水抜きライン26は、水平方向に延出しており、その末端部に第二水抜きライン側切換え弁26Vが取り付けられている。
【0123】
以上のように、本実施形態では、第二流路22及び連絡部24の各々に水抜きラインと切換え弁が設けられている。これにより、微細気泡生成装置10を長期間停止する場合等には、水抜きラインを開通させて第二流路22及び連絡部24の各々から用水を適宜抜くことが可能である。
【0124】
また、第二流路22において第二水抜きライン26の上流側の位置(具体的には、第二流路22のうち、最下点に向かって垂下している部分の途中位置)には、図10に示すように水量調整弁22Vが設けられている。さらに、連絡部24において第一水抜きライン27の下流側の位置(具体的には、連絡部24のうち、最下点の位置から立ち上がっている部分の途中位置)には、図10に示すように連絡部側切換え弁24Vが設けられている。連絡部側切換え弁24Vは、連絡部24の開通及び閉塞を切り換えるために設けられており、手動開閉式のコック弁によって構成されている。
【0125】
<<微細気泡生成装置10の動作例>>
次に、以上までに説明してきた構成を有する微細気泡生成装置10の動作例について説明する。
微細気泡生成装置10の運転を開始するにあたり、先ず液体吐出機30を起動させる。液体吐出機30を起動させる時点では、用水が供給源Wsから供給されており流路20内を流れている。また、液体吐出機30を起動させる際には、その前段階で各切換え弁の操作を行う。
【0126】
具体的に説明すると、第二流路22中の水量調整弁22Vを閉状態から開状態に切り換える。このとき、連絡部側切換え弁24Vは、閉状態にある。さらに、第一水抜きライン側切換え弁27Vを開き、第二水抜きライン側切換え弁26Vを閉状態とする。これにより、第二流路22が開通し、用水が液体吐出機30の上流側から取込み口31を通じて液体吐出機30に流れ込む。すなわち、液体吐出機30に対して、いわゆる呼び水がなされる。また、第一水抜きライン27を通じて水抜きが行われ、加圧用水送りライン50、気体混入機本体42の液体通過部43、気体混入用水送りライン51、サイトグラス52、微細気泡生成ノズル60、及び連絡部24の各部に溜まっていた空気が、用水と共に抜け出て大気に放出される。
【0127】
溜まり空気が十分に抜けるまで水抜きを行った後に、連絡部側切換え弁24Vを閉状態から開状態へ切り換え、且つ、第一水抜きライン側切換え弁27Vを閉じる。その後に、液体吐出機30を起動させる。また、液体吐出機30の起動に連動する形で、気体流量調整弁41bが閉状態から徐々に開く。これにより、加圧気体発生源41から発せられた気体が送気ライン41aを通じて気体混入機本体42の気体通過部44内に導入される。
【0128】
一方、液体吐出機30は、取込み口31を通じて第二流路22から用水を取り込み、且つ、取り込んだ用水を加圧して吐出する。このとき、第二流路22において液体吐出機30の上流側から液体吐出機30に流れ込む用水の圧力(具体的には、取込み口31での用水の圧力)が正圧となっている。
【0129】
より詳しく説明すると、本実施形態では、圧送装置P及び供給源Wsと利用先Wdとの高低差のうちの少なくとも一方を用いて用水が供給源Wsから供給される。用水は、加圧された状態で流路20を流れる。流路20は、分岐地点23にて第一流路21及び第二流路22に分岐し、第二流路22が液体吐出機30の取込み口31に接続されている。したがって、第二流路22を流れる用水は、加圧された状態で(換言すると、圧力が正圧となった状態で)液体吐出機30内に流れ込む。
【0130】
液体吐出機30から吐出された用水は、加圧用水送りライン50を流れ、やがて気体混入機本体42の液体通過部43内に進入する。用水が液体通過部43内を流れる間、用水の流速(線速)が段階的に変化する。
【0131】
より具体的に説明すると、用水が加圧用水送りライン50から液体通過部43の第一同径部43aに進入すると、用水の流速が急激に増加する。その後、用水が第一同径部43aから拡径部43bに進むと、用水の流速が徐々に減少する。さらに、用水が拡径部43bから第二同径部43cに進んで第二同径部43c内を流れる間には、用水の流速がほぼ一定に保たれる。この時点での流速は、用水が加圧用水送りライン50を流れていた時の流速よりも著しく速くなっている。
【0132】
また、用水が液体通過部43内において第二同径部43cに進入した直後に、気体混入機40が気体を加圧して第二同径部43c内の用水に混入させる。
【0133】
より具体的に説明すると、第二同径部43c内の用水の圧力は、正圧であり、その値は、液体吐出機30の吐出圧力Pbよりも若干低い値(具体的には、液体吐出機30から吐出流量Vbにて吐出された用水が第二同径部43cまで流れたときの圧力損失分だけ低い値)となっている。その一方で、気体通過部44には、加圧気体発生源41から送気ライン41aを通じて供給された気体が通過する。ここで、気体通過部44内での気体の圧力(すなわち、混入圧力Pi)は、吐出圧力Pbよりも高い。このため、気体は、第二同径部43c内の用水の圧力に抗して第二同径部43cに導入されて、第二同径部43c内の用水に混入される。
【0134】
吐出圧力Pbと混入圧力Piとの関係について説明すると、本実施形態では、1基の微細気泡生成ノズル60によって比較的多量のナノバブルを用水中に生成することになっている。ここで、多量のナノバブルを用水中に生成する上では、微細気泡生成ノズル60の導入口61での用水(厳密には気体混入用水)の圧力が高いほど好ましく、それ故に、吐出圧力Pbについても極力高く設定されることが望ましい。
【0135】
一方、吐出圧力Pbが高くなるほど、気体を用水中に混入させ難くなる。このため、本実施形態では、吐出圧力Pbを極力高くしつつ、且つ、吐出圧力Pbよりも混入圧力Piを高く設定している。つまり、本実施形態では、ナノバブルの生成効率と、用水に気体を確実に混入させる観点から、吐出圧力Pbと混入圧力Piとの間の圧力バランスを好適に設定している。
【0136】
なお、本実施形態では、気体が流れる送気ライン41aの途中に気体流量調整弁41bが設けられているが、気体流量調整弁41bの最高許容圧力Pt、吐出圧力Pb、及び混入圧力Piとの間で下記の関係式(2)が成立している。
Pb<Pi<Pt (2)
上記の関係式(2)を満たせば、気体流量調整弁41bの耐圧限界(すなわち、最高許容圧力Pt)を超えない範囲で混入圧力Piを設定することができ、より詳しくは、最高許容圧力Ptを超えない範囲で混入圧力Piを極力高くすることが可能となる。さらに、混入圧力Piを高く設定できれば、その分、吐出圧力Pbの方も高く設定することができるため、ナノバブルを一層効率よく生成することが可能となる。
【0137】
ちなみに、気体流量調整弁41bの最高許容圧力Ptは、「JIS B 0100」で規定されており、「指定温度において、弁中の耐圧部分の許容できる最高の圧力」を意味する。
【0138】
また、液体通過部43において、用水は、前述したように、その流速が加速された状態で第二同径部43c内を流れる。気体は、流量が絞られた状態で第二同径部43c内に導入されると共に、第二同径部43cを流れる用水から剪断力を受けて細断される。これにより、気体は、細かな気泡の状態で用水に混入されることになる。
【0139】
気体が混入された用水(すなわち、気体混入用水)は、第二同径部43cから流出した後、微細気泡生成ノズル60に向かって気体混入用水送りライン51内を流れる。この際、気体混入用水は、気体混入用水送りライン51の途中に設けられたサイトグラス52の内部を流れる。このサイトグラス52を通じて、気体混入用水における気体の混入度合いを視認することが可能である。
【0140】
気体混入用水送りライン51を下流側に流れる気体混入用水は、やがて、導入口61を通じて微細気泡生成ノズル60の内部に進入する。そして、微細気泡生成ノズル60の内部において、気体混入用水が三つの通水孔64、65、66の各々を通過すると、気体混入用水中にナノバブルが発生する。
【0141】
ナノバブル入りの用水は、微細気泡生成ノズル60の先端部に形成された噴出口62から噴出する。ここで、ナノバブル入りの用水の噴出量は、微細気泡生成ノズル60の上流に位置する気体混入機本体42の液体通過部43各部(第一同径部43a、拡径部43b、及び第二同径部43c)の内径に依拠せず、噴出口62の口径に依存して決まる。この点において、本実施形態は、気体混入機本体の液体通過部に負圧を発生させることで気体を吸引して液体に混入させる従来の構成よりも有利である。
【0142】
より詳しく説明すると、従来の構成では、液体通過部の途中位置で負圧を発生させるために、その位置での内径を著しく縮径している。このため、従来の構成では、用水の流量が液体通過部の内径(厳密には、縮径後の内径)に依存し、結果として、微細気泡生成ノズル60から噴出されるナノバブル入りの用水の噴出量も、液体通過部の内径に応じた量となっていた。
【0143】
これに対して、本実施形態では、液体通過部43各部の内径が微細気泡生成ノズル60の噴出口62よりも大きい。このため、前述したように、ナノバブル入りの用水の噴出量は、液体通過部43各部の内径に依拠せず、噴出口62の口径に依存して決まることになる。つまり、本実施形態では、液体通過部43の内径が液体通過部43の途中位置で縮径しているものの、ナノバブル入りの用水の噴出量には影響を及ぼさないことになる。
【0144】
噴出口62から噴出したナノバブル入りの用水は、連絡部24内を流れ、やがて第一流路21の接続地点25に達する。接続地点25では、連絡部24を流れてきたナノバブル入りの用水が、第一流路21を流れる用水(すなわち、ナノバブルを含んでいない用水)と混合される。混合水は、その利用先Wdである農地又は圃場に送られ、その場所に設置された散水装置Dによって散水される。
【0145】
<<本実施形態の有効性について>>
本実施形態では、微細気泡生成装置10が液体吐出機30、気体混入機40及び微細気泡生成ノズル60を有し、気体混入機40は、液体吐出機30と微細気泡生成ノズル60の間において、加圧された状態で微細気泡生成ノズル60に向かって流れる用水に、気体を加圧して混入させる。
【0146】
具体的には、気体混入機40が用水に気体を加圧して混入させる際の圧力(すなわち、混入圧力Pi)を、液体吐出機30が用水を吐出する際の吐出圧力Pbよりも高く設定している。より詳しくは、加圧気体発生源41が発する加圧された気体の圧力を、吐出圧力Pbよりも高く設定している。
【0147】
以上により、本実施形態では、ナノバブル生成の前段階で用水に気体を混入させる際に、従来装置のように負圧を利用して混入させるのではなく、用水の圧力を超える程度に気体を加圧して用水に混入させる。この結果、負圧を利用せずに気体を用水中に混入することが可能となる。この結果、液体吐出機30において取込み口31側(吸込み側)で気体を用水に混入させる場合に生じ得る不具合、例えばキャビテーション及び軸封異常等を抑えることが可能となる。
【0148】
また、本実施形態であれば、液体吐出機30の吐出口32よりも下流側で負圧を発生させて気体を用水に混入させる場合に生じ得る不具合、例えば、負圧が適切に得られないために気体の供給ライン(具体的には、送気ライン41aに相当する供給ライン)に用水が逆流する等の事態を回避することができる。
【0149】
さらに、負圧を利用して気体を用水に混入させる場合には、用水が通過する管路(具体的には、液体通過部43に相当する部分)の径を縮径して用水の流速を加速し、その後に管路の径を拡げて用水の流速を減衰させることで負圧を発生させる。このような構成では、管路の径を著しく縮径するため、管路を通過する用水の流量が十分に確保されない虞がある。
【0150】
これに対して、本実施形態では負圧を利用しないので、管路の径(具体的には、液体通過部43の内径)を、負圧発生に要する程度まで縮径させる必要がない。したがって、管路の径を著しく縮径することで用水の流量が確保され難くなるという不具合については、本実施形態では回避されることになる。
【0151】
また、混入圧力Piを吐出圧力Pbよりも高く設定することは、液体吐出機30が流路20から用水を直接取り込み、且つ、液体吐出機30の取込み口31での用水の圧力が正圧となる状況の下では、特に有効である。
【0152】
より詳しく説明すると、上記の状況では、液体吐出機30の取込み口31よりも上流側で用水に気体を混入させ難いため、液体吐出機30の取込み口31よりも下流側で気体を用水に混入させることになる。一方で、前述したように、ナノバブルを効率よく用水中に生成するためには、吐出圧力Pbが極力高く設定するのが好ましい。ただし、吐出圧力Pbが高くなれば、気体を用水中に混入させ難くなってしまう。
【0153】
そこで、本実施形態では、混入圧力Piを吐出圧力Pbよりも高く設定し、これにより、混入圧力Piを超えない範囲で吐出圧力Pbを高くすることが可能となる。この結果、気体を用水に確実に混入させながら、ナノバブルを効率よく発生させることが可能となる。
【0154】
<<その他の実施形態>>
以上までに、本発明の微細気泡生成装置について、具体的な一つの実施形態を挙げて説明したが、上記の実施形態は、あくまでも一例に過ぎず、他の例も考えられる。具体的に説明すると、上記の実施形態では、ナノバブル入りの用水がナノバブルを含まない用水と混合されて供給されることになっているが、ナノバブル入りの用水が、ナノバブルを含まない用水と混合されないままの状態で(希釈されないで)供給されてもよい。図11を参照しながら説明すると、同図に示す流路120では、供給源Wsから延びた部分(以下、上流側流路121)が一つのみ存在し、この上流側流路121が微細気泡生成装置10(厳密には、液体吐出機30の取込み口31)に接続されている。また、利用先Wdに向かって延びた部分(以下、下流側流路122)も一つのみ存在し、この下流側流路122が微細気泡生成装置10(厳密には、微細気泡生成ノズル60の先端部)に接続されている。このように図11に図示の流路120は、途中で分岐せず、同流路120を流れる用水の全量が微細気泡生成装置10を経由することになる。換言すると、図11に示す構成では、一つの流路120の途中位置に微細気泡生成装置10が直列配置されている。
なお、図11は、第一変形例に係る液体供給設備Sの構成を示す模式図である。
【0155】
また、上記の実施形態では、流路20が途中で分岐しており、そのうちの一つの流路(具体的には、第二流路22)が微細気泡生成装置10の液体吐出機30の取込み口31に接続されており、もう一つの流路(具体的には、第一流路21)に微細気泡生成ノズル60の先端部が接続されていることとした。ただし、これに限定されるものではなく、図12に示すように、微細気泡生成装置10に向かう送水ラインが、他の送水ラインとは切り離された状態で個別に設けられていてもよい。具体的に説明すると、図12に示した流路220は、供給源Wsから微細気泡生成装置10に向かって延びた部分(すなわち、上流側流路221)と、微細気泡生成装置10から利用先Wdに向かって延びた部分(すなわち、下流側流路222)と、これらの流路とは別に供給源Wsから利用先Wdに向かって延びた部分(以下、別系流路223)とを有する。上流側流路221は、図12に示すように微細気泡生成装置10に接続されており、厳密には、液体吐出機30の取込み口31に接続されている。また、下流側流路222は、微細気泡生成装置10が有する微細気泡生成ノズル60の先端部に接続されている。また、下流側流路222の下流側端部は、図12に示すように、別系流路223に接続されている。これにより、ナノバブル入りの用水は、別系流路223を通じて利用先Wdまで送られるようになる。
なお、図12は、第二変形例に係る液体供給設備Sの構成を示す模式図である。
【0156】
また、図12では、供給源Wsから微細気泡生成装置10に向かって延びた流路(すなわち、上流側流路221)と、供給源Wsから直接利用先Wdに向かって延びた流路(すなわち、別系流路223)とが、同一の供給源Wsから延びていることとした。ただし、これに限定されるものではなく、それぞれの流路が、互いに異なる供給源Wsから延びていてもよい。
【0157】
また、図13に示すように、微細気泡生成装置10の微細気泡生成ノズル60の先端部が、分岐した流路の一つ(具体的には、第一流路21)に接続されていなくてもよい。具体的に説明すると、図13に図示の流路320は、その途中で第一流路321及び第二流路322に分岐している。第一流路321は、利用先Wdまで延びており、第二流路322は、微細気泡生成装置10の液体吐出機30の取込み口31に接続されている。また、図13に図示の流路320は、第三流路323を有する。この第三流路323は、微細気泡生成装置10の微細気泡生成ノズル60の先端部に接続されると共に、単独で利用先Wdに向かって延びている。したがって、図13に示すように、利用先Wdには、ナノバブルを含まない用水が第一流路321を通じて供給されると共に、ナノバブル入りの用水が第三流路323を通じて別系統で供給されることになる。
なお、図13は、第三変形例に係る液体供給設備Sの構成を示す模式図である。
【0158】
また、上記の実施形態では、本発明の適用例として、農業又は植物栽培に用いられる用水にナノバブルを生成するケースを一例に挙げて説明した。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、薬品製造用水、食品製造用水、化粧品製造用水、水産業(特に養殖業)に用いる水、洗浄水、医療用水、並びに水処理の対象となる排水等にナノバブルを生成させる場合にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0159】
10 微細気泡生成装置
20 流路
21 第一流路
22 第二流路
22V 水量調整弁
23 分岐地点
24 連絡部
24V 連絡部側切換え弁
25 接続地点
26 第二水抜きライン
26V 第二水抜きライン側切換え弁
27 第一水抜きライン
27V 第一水抜きライン側切換え弁
28 ナノバブル入り用水送りライン
30 液体吐出機
31 取込み口
32 吐出口
40 気体混入機
41 加圧気体発生源
41a 送気ライン
41b 気体流量調整弁
42 気体混入機本体
43 液体通過部
43a 第一同径部
43b 拡径部
43c 第二同径部
44 気体通過部
44a 接続部
44b 絞り部
44c 注入部
50 加圧用水送りライン
51 気体混入用水送りライン
52 サイトグラス
60 微細気泡生成ノズル
61 導入口
62 噴出口
63 ホルダ
64,65,66 通水孔
67 ボルト
70 導入部
71 円筒突起部
72 導入部本体
73 小径部
74 大径部
75 テーパ状部分
76 嵌め込み部分
80 中間部
81,82 円錐突起部
83 リング状部
84 フランジ部
85 シール溝
86A,86B Oリング
90 噴出部
91 噴出部本体
92 フランジ部
93 嵌め込み部
94 テーパ状部分
120 流路
121 上流側流路
122 下流側流路
220 流路
221 上流側流路
222 下流側流路
223 別系流路
320 流路
321 第一流路
322 第二流路
323 第三流路
D 散水装置
P 圧送装置
S 液体供給設備
Wd 利用先
Ws 供給源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13