(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022027970
(43)【公開日】2022-02-14
(54)【発明の名称】再配置可能な管腔内支持構造およびその適用
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021204871
(22)【出願日】2021-12-17
(62)【分割の表示】P 2019148736の分割
【原出願日】2009-07-21
(31)【優先権主張番号】61/082,489
(32)【優先日】2008-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516281159
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ カーディアック エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー ケー. ホワイト
(57)【要約】
【課題】再配置可能な管腔内支持構造およびその適用の提供。
【解決手段】管腔内支持構造(10)は、一連の連結されるハサミ機構を形成するようにスイベルジョイント(15)によって相互接続されるストラット部材(11)を含む。この構造は、運動範囲内でハサミジョイントを調整することによって、それの形状を圧縮または拡張するように遠隔的に作動されることができる。具体的には、支持構造を体内管腔内で再配置すること、または管腔から回収することができる。支持構造は、体内管腔内に人工弁(100)を導入および支持するために使用されることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再配置可能な管腔内支持構造およびその適用等。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/082,489号(名称「Prosthetic Valve with Rotating Leaflets and Retrievable Support」、2008年7月21日出願、出願人「Jennifer K. White」)の利益を主張する。この出願の全教示は、本明細書に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
管腔内ステントは、患者の管腔または管に移植され、開放管腔の維持に役立つことができる。また、ステントをフレームとして使用して、人工器官を支持すること、または治療薬を送達することもできる。ステントは、開放手術処置または閉鎖手術処置のいずれかによって移植され得る。選択できる場合、概して、低侵襲性の閉鎖処置が好まれ、これは、ステントが大腿動脈等の体内管腔を通って、その所望の部位に案内され得るからである。閉鎖処置は、一般的には、2つの技法のうちの1つを使用する。
【0003】
一方の閉鎖処置は、拡張型ステントが膨張型バルーンを包囲するバルーンカテーテル法を用いる。この処置では、ステントは、バルーンを膨張させて、これによりステントが拡張することによって移植される。ステントの実際の位置決めは、バルーンの収縮後まで決定することができず、ステントが誤留置される場合、この過程を逆行してステントを再配置することはできない。
【0004】
他方の閉鎖処置は、着脱可能なシースによって包囲された圧縮ステントを用いる。この処置では、ニチノール等の形状記憶合金から作製されたステントが、シースによって圧縮状態に保持される。ステントは、シースを引き込み、これによってステントをその公称形状に拡張することによって移植される。これもまた、ステントが誤留置される場合、この過程を逆行してステントを再配置することはできない。
【0005】
ステントを使用して心臓弁を支持する場合、位置決め誤差は特に危険である。入手可能なステント装着型弁を使用する体内の移植部位における弁の位置異常に起因して、深刻な合併症および患者の死亡が発生している。弁の位置異常は、大量の弁傍漏出、デバイスの移動、および冠状動脈閉塞をもたらしている。これらの合併症の大部分は、避けられないものであるが、処置時に検出される。しかしながら、デバイスの再配置または回収が不可能であるため、これらの問題は、処置中に逆行または軽減することが不可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一定の実施形態に従う管腔内支持構造またはステントは、従来技術に見られる一定の欠陥を解決する。具体的には、支持構造を体内管腔内に再配置するか、または管腔から回収することができる。
【0007】
本発明の特定の実施形態は、生体管腔内に移植可能である支持装置を含む。支持装置は、複数のスイベルジョイントによって相互連結される複数の細長いストラット部材を含むことができ、スイベルジョイントは、圧縮配向と拡張配向との間で成形構造を調整可能に画定するためにステント部材と協力することができる。
【0008】
より具体的には、成形構造は、円筒形状、円錐形状、または砂時計形状のうちの1つであることができる。スイベルジョイントは、第1のストラット部材および第2のストラット部材によってハサミ機構を形成することができる。さらに、ストラット部材は、一連の連結されたハサミ機構として構成されることができる。本装置は、運動範囲内でスイベルジョイントを付勢する作動機構をさらに含むことができる。
【0009】
また、本装置は、成形構造に結合される人工弁も含むことができる。
【0010】
本発明の別の特定の実施形態は、生体管腔内に移植可能である医療用ステントを含むことができる。医療用ステントは、第1のストラット部材および第2のストラットを含む、複数の細長いストラット部材と、第1のストラット部材および第2のストラット部材を接続するスイベルジョイントとを含むことができる。
【0011】
具体的には、スイベルジョイントは、第1のストラット部材および第2のストラット部材でハサミ機構を形成することができる。スイベルジョイントは、第1のストラット部材および第2のストラット部材を2等分することができる。スイベルジョイントは、第1のストラット部材の第1の端部を第2のストラット部材の第1の端部に相互接続することができる。
【0012】
複数のストラット部材は、一連の連結されたハサミ機構として構成されることができる。また、ストラット部材は、非直線であることができる。ストラット部材は、円筒形状、円錐形状、または砂時計形状のうちの1つを形成するように構成されることができる。
【0013】
ステントは、運動範囲内でスイベルジョイントの周りにストラット部材を付勢する力を作用させる調整機構をさらに含むことができる。
【0014】
ステントは、ストラット部材に結合される人工弁を含むことができる。
【0015】
本発明の具体的な実施形態は、回転可能または従来の人工弁を含むことができる。
【0016】
回転可能な人工弁は、ストラット部材に結合される第1の構造部材と、第1の構造部材に対して回転可能である第2の構造部材と、第1の構造部材に対する第2の構造部材の回転が、開放状態と閉鎖状態との間で弁部材を付勢するように、第1の構造部材を第2の構造部材に接続する複数の柔軟な弁部材とを含むことができる。具体的には、第2の構造部材の回転は、体液の自然の流れに応答することができる。
【0017】
従来の人工弁は、2つのストラット部材の交点に合わせ目を有する複数の柔軟な弁尖を含むことができる。人工弁は、ストラット部材に結合されるスカート材料をさらに含むことができる。
【0018】
本発明の実施形態に従う支持構造の特定の利点は、人工弁を体内に容易に回収および再配置することが可能になることである。配備後に、弁が位置異常または機能不全であると考えられる場合、支持構造によって、弁を、新しい移植部位に容易に再配置および再配備するか、または体内から完全に取り除くことが可能になる。デバイスのこの特徴は、体内の位置異常デバイスの修復を可能にすることによって、深刻な合併症を予防し、かつ命を救うことができる。
(項目1)
生体管腔内に移植可能である支持装置であって、
複数のスイベルジョイントによって相互連結される複数の細長いストラット部材であって、該スイベルジョイントは、ステント部材と協力して、圧縮配向と拡張配向との間で成形構造を調整可能に画定する、ストラット部材
を備える、支持装置。
(項目2)
運動範囲内で前記スイベルジョイントを付勢する作動機構をさらに備える、項目1に記載の装置。
(項目3)
スイベルジョイントは、第1のストラット部材および第2のストラット部材によってハサミ機構を形成する、項目1に記載の装置。
(項目4)
前記ストラット部材は、一連の連結されたハサミ機構として構成される、項目3に記載の装置。
(項目5)
前記成形構造に結合される人工弁をさらに備える、項目1に記載の装置。
(項目6)
前記人工弁は、
前記ストラット部材に結合される第1の構造部材と、
該第1の構造部材に対して回転可能である第2の構造部材と、
該第1の構造部材を該第2の構造部材に接続する複数の柔軟な弁部材であって、該接続により、該第1の構造部材に対する該第2の構造部材の回転が、開放状態と閉鎖状態との間において該弁部材を付勢する、複数の柔軟な弁部材と
を備える、項目5に記載の装置。
(項目7)
前記第2の構造部材の回転は、体液の自然の流れに応答する、項目6に記載の装置。
(項目8)
前記人工弁は、2つのストラット部材の交点に合わせ目を有する複数の柔軟な弁尖を含む、項目5に記載の装置。
(項目9)
前記人工弁は、前記ストラット部材に結合されるスカート材料を含む、項目8に記載の装置。
(項目10)
前記成形構造は、円筒形状、円錐形状、または砂時計形状のうちの1つである、項目1に記載の装置。
(項目11)
生体管腔内に移植可能である医療用ステントであって、
第1のストラット部材および第2のストラットを含む、複数の細長いストラット部材と、
該第1のストラット部材および該第2のストラット部材を接続するスイベルジョイントと
を備える、医療用ステント。
(項目12)
前記スイベルジョイントは、前記第1のストラット部材および前記第2のストラット部材によってハサミ機構を形成する、項目11に記載のステント。
(項目13)
前記スイベルジョイントは、前記第1のストラット部材および前記第2のストラット部材を2等分する、項目12に記載のステント。
(項目14)
前記複数のストラット部材は、一連の連結されたハサミ機構として構成される、項目12に記載のステント。
(項目15)
前記スイベルジョイントは、前記第1のストラット部材の第1の端部を前記第2のストラット部材の第1の端部に相互接続する、項目11に記載のステント。
(項目16)
運動範囲内で前記スイベルジョイントの周りに前記ストラット部材を付勢する力を作用させる調整機構をさらに備える、項目11に記載のステント。
(項目17)
前記ストラット部材は、非直線である、項目11に記載のステント。
(項目18)
前記ストラット部材に結合される人工弁をさらに備える、項目11に記載のステント。
(項目19)
前記人工弁は、
前記ストラット部材に結合される第1の構造部材と、
該第1の構造部材に対して回転可能である第2の構造部材と、
該第1の構造部材を該第2の構造部材に接続する複数の柔軟な弁部材であって、該接続により、該第1の構造部材に対する該第2の構造部材の回転が、開放状態と閉鎖状態との間において該弁部材を付勢する、複数の柔軟な弁部材と
を備える、項目18に記載のステント。
(項目20)
前記第2の構造部材の回転は、体液の自然の流れに応答する、項目19に記載のステント。
(項目21)
前記人工弁は、2つのストラット部材の交点に合わせ目を有する複数の柔軟な弁尖を含む、項目18に記載のステント。
(項目22)
前記人工弁は、前記ストラット部材に結合されるスカート材料を含む、項目21に記載のステント。
(項目23)
前記ストラット部材は、円筒形状、円錐形状、または砂時計形状のうちの1つを形成するように構成される、項目11に記載のステント。
(項目24)
生体管腔内に移植可能である人工弁アセンブリであって、
複数のスイベルジョイントによって相互連結される複数の細長いストラット部材を備える支持構造であって、該スイベルジョイントは、ステント部材と協力して、圧縮配向と拡張配向との間において成形構造を調整可能に画定する、支持構造と、
該支持構造に接続される人工弁と
を備える、人工弁アセンブリ。
(項目25)
運動範囲内で前記スイベルジョイントを付勢する作動機構をさらに備える、項目24に記載のアセンブリ。
(項目26)
スイベルジョイントは、第1のストラット部材および第2のストラット部材によってハサミ機構を形成する、項目24に記載のアセンブリ。
(項目27)
前記ストラット部材は、一連の連結されたハサミ機構として構成される、項目26に記載のアセンブリ。
(項目28)
前記人工弁は、
前記ストラット部材に結合される第1の構造部材と、
該第1の構造部材に対して回転可能である第2の構造部材と、
該第1の構造部材を該第2の構造部材に接続する複数の柔軟な弁部材であって、該接続により、該第1の構造部材に対する該第2の構造部材の回転が、開放状態と閉鎖状態との間で該弁部材を付勢する、複数の柔軟な弁部材と
を備える、項目24に記載のアセンブリ。
(項目29)
前記第2の構造部材の回転は、体液の自然の流れに応答する、項目28に記載のアセンブリ。
(項目30)
前記人工弁は、2つのストラット部材の交点に合わせ目を有する複数の柔軟な弁尖を含む、項目24に記載のアセンブリ。
(項目31)
前記人工弁は、前記ストラット部材に結合されるスカート材料を含む、項目30に記載のアセンブリ。
(項目32)
前記成形構造は、円筒形状、円錐形状、または砂時計形状のうちの1つである、項目24に記載のアセンブリ。
(項目33)
生体管腔内に移植可能である人工弁アセンブリであって、
医療用ステントであって、
第1のストラット部材および第2のストラットを含む、複数の細長いストラット部材と、
該第1のストラット部材および該第2のストラット部材を接続するスイベルジョイントと
を備える、医療用ステントと、
支持構造に接続される人工弁と
を備える、人工弁アセンブリ。
(項目34)
前記スイベルジョイントは、前記第1のストラット部材および前記第2のストラット部材によってハサミ機構を形成する、項目33に記載のアセンブリ。
(項目35)
前記スイベルジョイントは、前記第1のストラット部材および前記第2のストラット部材を2等分する、項目34に記載のアセンブリ。
(項目36)
前記複数のストラット部材は、一連の連結されたハサミ機構として構成される、項目34に記載のアセンブリ。
(項目37)
前記スイベルジョイントは、前記第1のストラット部材の第1の端部を前記第2のストラット部材の第1の端部に相互接続する、項目33に記載のアセンブリ。
(項目38)
運動範囲内で前記スイベルジョイントの周りに前記ストラット部材を付勢する力を作用させる調整機構をさらに備える、項目33に記載のアセンブリ。
(項目39)
前記ストラット部材は、非直線である、項目33に記載のアセンブリ。
(項目40)
前記人工弁は、
前記ストラット部材に結合される第1の構造部材と、
該第1の構造部材に対して回転可能である第2の構造部材と、
該第1の構造部材を該第2の構造部材に接続する複数の柔軟な弁部材であって、該接続により、該第1の構造部材に対する該第2の構造部材の回転が、開放状態と閉鎖状態との間で該弁部材を付勢する、複数の柔軟な弁部材と
を備える、項目33に記載のアセンブリ。
(項目41)
前記第2の構造部材の回転は、体液の自然の流れに応答する、項目40に記載のアセンブリ。
(項目42)
前記人工弁は、2つのストラット部材の交点に合わせ目を有する複数の柔軟な弁尖を含む、項目33に記載のアセンブリ。
(項目43)
前記人工弁は、前記ストラット部材に結合されるスカート材料を含む、項目42に記載のアセンブリ。
(項目44)
前記ストラット部材は、円筒形状、円錐形状、または砂時計形状のうちの1つである、項目33に記載のアセンブリ。
(項目45)
生体管腔内に移植可能である支持装置を製作する方法であって、
複数の細長いストラット部材を複数のスイベルジョイントと相互連結することであって、該相互連結により、該スイベルジョイントは、ステント部材と協力して、圧縮配向と拡張配向との間において成形構造を調整可能に画定する、ことを含む、方法。
(項目46)
運動範囲内で前記スイベルジョイントを付勢する作動機構を結合することをさらに含む、項目45に記載の方法。
(項目47)
人工弁を前記成形構造に結合することをさらに含む、項目45に記載の方法。
(項目48)
前記人工弁は、
前記ストラット部材に結合される第1の構造部材と、
該第1の構造部材に対して回転可能である第2の構造部材と、
該第1の構造部材を該第2の構造部材に接続する複数の柔軟な弁部材であって、該接続により、該第1の構造部材に対する該第2の構造部材の回転は、開放状態と閉鎖状態との間において該弁部材を付勢する、複数の柔軟な弁部材と
を備える、項目47に記載の方法。
(項目49)
生体管腔内に移植可能な医療用ステントを製作する方法であって、
第1のストラット部材および第2のストラット部材を含む、複数の細長いストラット部材を製作することと、
スイベルジョイントを該第1のストラット部材および該第2のストラット部材と接続することと
を含む、方法。
(項目50)
運動範囲内で前記スイベルジョイントの周りに前記ストラット部材を付勢する力を作用させる調整機構を該ストラット部材に結合することをさらに含む、項目49に記載の方法。
(項目51)
人工弁を前記ストラット部材に結合することをさらに含む、項目49に記載の方法。
(項目52)
前記人工弁は、
前記ストラット部材に結合される第1の構造部材と、
該第1の構造部材に対して回転可能である第2の構造部材と、
該第1の構造部材を該第2の構造部材に接続する複数の柔軟な弁部材であって、該接続により、該第1の構造部材に対する該第2の構造部材の回転が、開放状態と閉鎖状態との間において該弁部材を付勢する、複数の柔軟な弁部材と
を備える、項目51に記載の方法。
(項目53)
生体管腔内に移植可能である人工弁アセンブリを製作する方法であって、
複数のスイベルジョイントによって相互連結される複数の細長いストラット部材を備える支持構造を製作することであって、該スイベルジョイントは、ステント部材と協力して、圧縮配向と拡張配向との間において成形構造を調整可能に画定する、ことと、
人工弁を支持構造に結合することと
を含む、方法。
(項目54)
運動範囲内で前記スイベルジョイントを付勢する作動機構を含有することをさらに含む、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記人工弁は、
前記ストラット部材に結合される第1の構造部材と、
該第1の構造部材に対して回転可能である第2の構造部材と、
該第1の構造部材を該第2の構造部材に接続する複数の柔軟な弁部材であって、該接続により、該第1の構造部材に対する該第2の構造部材の回転が、開放状態と閉鎖状態との間において該弁部材を付勢する、複数の柔軟な弁部材と
を備える、項目53に記載の方法。
(項目56)
生体管腔内に移植可能な人工弁アセンブリを製作する方法であって、
医療用ステントを製作することであって、該医療用ステントは、
第1のストラット部材および第2のストラット部材を含む、複数の細長いストラット部材と、
該第1のストラット部材および該第2のストラット部材に接続するスイベルジョイントと
を備える、ことと、
人工弁を支持構造に接続することと
を含む、方法。
(項目57)
運動範囲内で前記スイベルジョイントの周りに前記ストラット部材を付勢する力を作用させる調整機構を製作することをさらに含む、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記人工弁は、
該ストラット部材に結合される第1の構造部材と、
該第1の構造部材に対して回転可能である第2の構造部材と、
該第1の構造部材を該第2の構造部材に接続する複数の柔軟な弁部材であって、該接続により、該第1の構造部材に対する該第2の構造部材の回転が、開放状態と閉鎖状態との間において該弁部材を付勢する、複数の柔軟な弁部材と
を備える、項目56に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明に関する前述および他の目的、特徴、利点は、添付の図面において図示するように、本発明の特定の実施形態に関するより具体的な説明により明らかになり、添付の図面において、同一参照文字は、異なる図面において同一の部分を言及する。本図面は、必ずしも一定の縮尺であるとは限らず、代わりに、本発明の原理を図示することが強調されている。
【
図1】
図1は、特定の管腔内支持構造の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のステントの4つのストラット区画の斜視図である。
【
図4】
図4は、完全に拡張した状態における
図1の支持構造の斜視図である。
【
図5】
図5は、特定のアクチュエータ機構を有する
図2の支持構造の斜視図である。
【
図6】
図6は、別の特定のアクチュエータ機構を有する
図2の支持構造の斜視図である。
【
図7】
図7は、
図5および
図6のアクチュエータ機構とともに使用可能である特定の支持構造および制御カテーテルアセンブリの斜視図である。
【
図8】
図8は、特定の回転人工弁アセンブリの斜視図である。
【
図16】
図16は、円錐形支持構造構成におけるストラット部材の配置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の特定の実施形態は、管腔内支持構造(ステント)および人工弁を含む。
【0021】
図1は、特定の管腔内支持構造の斜視図である。図示するように、支持構造10は、複数のスイベルジョイント15により相互接続される複数の長手方向ストラット部材11を含む医療用ステントである。具体的には、スイベルジョイント15によって、相互接続されたストラット部材11は、相互に対して回転可能になる。図示するように、18個のストラット11が存在する。
【0022】
ストラット部材11は、プラスチックまたは他のポリマーならびにステンレス鋼、タンタル、チタン、ニッケル-チタン(例えば、ニチノール)、およびコバルト-クロム(例えば、ELGILOY)を含む金属合金等の、剛性または半剛性の生体適合性材料から製作される。各ストラットの寸法は、その所望の使用に従って選択されることができる。特定の実施形態では、各ストラット部材は、0.005~0.020インチの厚さのステンレス鋼から作製される。より具体的には、各ストラットは、0.010インチの厚さの300シリーズステンレス鋼である。全てのストラット11は、一様な厚さを有するように示されるが、ストラットの厚さは、ストラットの長さに沿って徐々に厚さが増加または減少する等、ストラットによって変動することができる。さらに、個々のストラットは、同一の支持構造における他の個々のストラットとは異なる厚さを有することができる。
【0023】
図示するように、各ストラット部材11は、棒形状であり、前面11fおよび裏面11bを有する。しかしながら、ストラット部材は、異なる幾何学的形状を有することができる。例えば、幅が均一である代わりに、ストラットの幅が、その長さに沿って変動することができる。さらに、個々のストラットは、同一支持構造における別のストラットとは異なる幅を有することができる。同様に、ストラットの長さは、同一支持構造内のストラットによって変動することができる。特定の寸法は、移植部位に基づいて選択されることができる。
【0024】
さらに、ストラットは、非平坦構造であることができる。具体的には、ストラットは、ステント構造の内径に対して凹状または凸状等の湾曲を含むことができる。また、ストラットは、ねじれ状であることもできる。ストラットの非平坦性または平坦性は、ストラットが構成される材料の特性であることができる。例えば、ストラットは、種々の状態中に、ストラットに対する形状記憶または熱応答の形状変化を呈する。このような状態は、圧縮構成または拡張構成にあるステントによって規定されることができる。
【0025】
さらに、ストラット部材11は、平滑面性状または粗面性状を有することができる。具体的には、窪みのある方面は、引張強度をストラットに提供することができる。加えて、粗さまたは窪みは、追加の摩擦を提供し、移植部位における支持構造の固定に役立つことができ、かつ組織成長による支持構造10の不規則なカプセル化が、移植部位において支持構造10を経時的にさらに安定化させることを促すことができる。
【0026】
一定の事例では、ステントは、相互に積み重なる複数の部材であるストラットから構成され得る。同一のステント内において、多層構成において相互に積み重なる細長い部材を含むストラットもあれば、単一厚さの部材から構成される単一層であるストラットもあり得る。単一のストラット内において、部材の単層および多層の積層範囲が存在することができる。
【0027】
また、各ストラット部材11は、ストラット部材11の長さに沿って離間する複数のオリフィス13も含む。前面11f上では、オリフィスは、締結具の頭部を収容する座ぐり17である。特定の実施形態では、各ストラット部材11の長さに沿って、13個の同等に離間したオリフィス13が存在するが、より多いまたは少ないオリフィスを使用することができる。オリフィス13は、ストラット部材11に沿って一様な直径および一様な間隔を有するように示されるが、いずれも必須ではない。
【0028】
ストラット部材11は、4つの棒の連結の連鎖として構成される。ストラット部材11は、整合されたオリフィス13を貫通するリベット等の旋回可能な旋回締結具25によって、相互接続される。ネジ、ボルト、玉継ぎ手構造、くぎ、または小穴等の他の旋回可能な締結具25を用いることができることと、窪みまたはオリフィスと相互作用するピーニング加工された半球体、または雄雌結合具等の締結具をストラット11に一体型に形成することができることとを理解されたい。締結具を収容することに加え、オリフィス13はまた、支持構造10を経時的に安定化させ、かつカプセル化するために、組織成長のための追加の経路も提供する。
【0029】
図2は、
図1のステントの4つのストラット区画の斜視図である。図示するように、2つの外側ストラット部材11-1、11-3は、2つの内側ストラット部材11-2、11-4に重なり、これらの裏面が相互に連通している状態である。
【0030】
具体的には、第1のストラット部材11-1は、リベット25-1を使用して、中央スイベルジョイント15-1によって、第2のストラット部材11-1に旋回可能に接続され、中央スイベルジョイント15-1は、ストラット部材11-1、11-2を2等分するオリフィス13を利用する。同様に、第3のストラット部材11-3は、リベット25-7を使用して、中央スイベルジョイント15-7によって、第4のストラット部材11-4を2等分するように旋回可能に接続される。中央スイベルジョイント15-1、15-7が、ハサミ連結または機構におけるハサミ接合部として機能することを理解されたい。図示するように、結果として得られたハサミのアームは、同等の長さを有する。また、中央接合部15-1、15-7が、接合されたストラット部材を2等分する必要はなく、代わりに、ストラット部材の長手方向中心から相殺されるオリフィス13を利用して、同等ではないアームの長さをもたらすことも理解されたい。
【0031】
中央ハサミ接合部15-1に加え、第1のストラット部材11-1は、ストラット部材11-1、11-3の遠位端付近に位置する遠位アンカースイベルジョイント15-5によって、第3のストラット部材11-3に旋回可能に接続される。同様に、第1のストラット部材11-1は、ストラット部材11-1、11-4の近位端付近に位置する近位アンカースイベルジョイント15-3によって、第4のストラット部材11-4に旋回可能に接続される。アンカーリベット25-3、25-5に対する応力を低減するために、ストラット11の遠位端および近位端は、接合されたストラットの間に平らな境界面を提供するように、湾曲状またはねじれ状であることができる。
【0032】
図示されるように、支持構造10(
図1)は、連続したハサミ機構の連鎖を連結することによって製作される。ついで、この連鎖は、最後のハサミ機構を最初のハサミ機構に連鎖して接合するように巻き付けられる。連結を作動させることによって、輪を開放または閉鎖することができ、これによって、ステント10(
図1)の拡張または圧縮がもたらされる。
【0033】
図1を再び参照すると、スイベルジョイント15を利用することによって、ステントの直径を圧縮して、動脈等の生体管腔に挿入することができる。次いで、ステントを拡張して、管腔内の選択された位置にステントを固定することができる。さらに、拡張後、ステントを再び圧縮して、身体から取り外すか、または管腔内に再配置することができる。
【0034】
図3は、圧縮された
図1の支持構造の斜視図である。圧縮時に、ステント10は、その最大長さおよび最小直径にある。最大長さは、ストラット部材の長さによって限定され、特定の実施形態では、15mmである。最小直径は、ストラット部材の幅によって限定され、特定の実施形態では、0.052インチである。
【0035】
図4は、完全に拡張された状態における
図1の支持構造の斜視図である。図示するように、完全に拡張された支持構造10は、弁形成リングとして使用可能であるリングを形成する。
【0036】
具体的には、ステント円周の一方の端部が、組織に取り付けられる場合、ステントの圧縮により、組織を締め付けることが可能になる。ステントは、増分および可逆的圧縮または拡張を有する能力を有するため、本デバイスを使用して、心臓弁の能力を高めるように組織の個別の締め付けを提供することができる。これは、僧帽弁逆流または僧帽弁逸脱等の僧帽弁疾患に有用な処置であり得る。
【0037】
支持構造10は、開放手術処置中に患者に移植されることができるが、閉鎖処置が、多くの場合、より望ましい。したがって、支持構造10は、作動機構を含むことができ、これによって、外科医は、移植部位から遠隔の位置から支持構造を拡張または圧縮することが可能になる。円筒状に巻き付けられるハサミ連結の特性に起因して(
図1)、作動機構は、隣接するハサミ接合部間の距離を増加させること、およびアンカー接合部間の距離を減少させることのいずれかによって、ステント直径を拡張するように機能することができる。
【0038】
図5は、特定のアクチュエータ機構を有する
図2の支持構造の斜視図である。図示するように、アクチュエータ機構30は、支持構造10(
図1)の内部に位置付けられる2重ネジ山付きロッド32を含む。しかしながら、アクチュエータ機構30を代わりに支持構造10の外部に位置付けてもよいことを理解されたい。位置付けられるのが内部または外部にかかわらず、アクチュエータ機構30は、同様に動作する。
【0039】
ロッドは、その近位端に右方向ネジ山34Rと、その遠位端に左方向ネジ山34Lとを含む。ロッド32は、一対のネジ山付き低プロファイル支持装着具35-3、35-5を使用して、アンカー点15-3、15-5に装着される。ロッド32の各端部は、6角ドライバ(図示せず)を収容するための6角頭37-3、37-5によって終端となる。理解されるように、ロッド32を一方の方向に回転させることによって、アンカー点25-3、25-5が外側に付勢されて連結を圧縮し、ロッド32を反対の方向に回転させることによって、アンカー点25-3、25-5が内側に付勢されて連結を拡張する。
【0040】
図6は、別の特定のアクチュエータ機構を有する
図2の支持構造の斜視図である。図示するように、アクチュエータ機構30’は、支持構造10(
図1)の内部に位置付けられる単一ネジ山付きロッド32’を含む。ロッド32’は、その両端のうちの片方の上にネジ山34’を含む。ロッド32’は、一対の支持装着具35’-3、35’-5を使用して、低プロファイルアンカー点15-3、15-5に装着され、支持装着具35’-3、35’-5のうちの1つは、ロッドネジ山34’と嵌合するようにネジ山を有する。ロッド32’のネジ山の無い端部は、支持構造を圧縮するように支持装着具35’-5に対して位置する保持止め具39’を含む。ロッド32’の各端部は、6角ドライバ(図示せず)を収容するための6角頭37’-3、37’-5によって終端となる。前述のように、ロッド32’を一方の方向に回転させることによって、アンカー点25-3、25-5が外側に付勢されて連結を圧縮し、ロッド32’を反対の方向に回転させることによって、アンカー点25-3、25-5が内側に付勢されて連結を拡張する。
【0041】
加えて、ストラットが重なるため、一方のストラットが他方のストラットに対して摺動する間に利用するように、ラチェット機構を組み込むことができる。例えば、ステントは、各ストラットの一体部品である特徴的な境界面に起因して、増分直径でロックすることができる。このような特徴の例は、2つのストラットが相互に摺動して通過するような、隣接するストラット表面上の雌構成要素(例えば、穴)と嵌合する一方のストラット表面上の雄構成要素(例えば、隆起)であり得る。このような構造は、ステントの拡張時にステントを拡張構成に増分的にロックするような配向を有するように製作され得る。このようなステントは、従来のバルーンまたは本出願に説明する他の作動機構を使用して拡張され得る。
【0042】
図5および
図6の支持構造10は、閉鎖手術処置中に移植されることを意図するため、アクチュエータ機構は、外科医によって遠隔制御される。一般的な処置では、支持構造10は、係留型管腔内カテーテルを使用して、大腿動脈等の体内管腔を通して移植される。したがって、アクチュエータ機構30は、カテーテルを介して制御され得る。
【0043】
図7は、
図5および
図6のアクチュエータ機構とともに使用可能である特定の支持構造および制御カテーテルアセンブリの斜視図である。制御カテーテル40は、ヒトの動脈等の生体管腔を通って、支持構造とともに挿入されるような寸法を有する。図示するように、制御カテーテル40は、アクチュエータ機構(
図5および
図6)の6角頭37、37’と着脱可能に嵌合するその遠位端上にドライバ44を有する可撓性駆動ケーブル42を含む。ケーブル42の近位端は、6角頭46を含む。操作中、ケーブル42の近位6角頭46は、サムホイールまたは他の適切なマニピュレータ(図示せず)を使用して、外科医によって回転される。6角頭46の回転は、ケーブル42によってドライバヘッド44に伝達され、アクチュエータロッド30、30’(
図5および
図6)を回転する。
【0044】
ケーブル42は、可撓性外側シース48によって包封される。外側シース48の遠位端は、支持構造10と相互作用するような形状を有する唇部または突起49を含む。ケーブル42が回転すると、外側シース唇部49は、支持構造10と相互作用して、結果として生じるトルクに対抗する。
【0045】
ネジ山を用いることによって、ロッドは、支持構造を所望の直径に維持するように自動ロック式である。特定の実施形態では、ロッド32、32’は、1.0mmの直径と、240回転/インチのネジ山数とを有する。ネジ山付きロッドおよび駆動機構について説明されるが、特定の手術応用に応じて、連結を作動させるように他の手法を用いてもよい。例えば、アクチュエータ機構を、ステントの内部または外部の代わりに、ストラット部材の厚さ内に配置してもよい。例えば、当技術分野において既知であるように、ウォーム歯車またはラックアンドピニオン機構を用いてもよい。当業者は、他の管腔内作動技法を認識するはずである。他の状況では、支持構造は、開放処置中に移植されることができ、この場合、外部作動機構は必要とされ得ない。
【0046】
薬物送達等の、上述の支持構造の他の使用が存在するが、特定の実施形態は、人工弁を支持する。具体的には、支持構造は、大動脈弁置換術等のために、人工弁と組み合わせて使用される。
【0047】
図8は、特定の回転人工弁アセンブリの斜視図である。人工弁100は、開放位置において示される3つの弁尖構成を備える。弁尖は、動物の心膜(例えば、ウシ、ブタ、ウマ)、ヒトの心膜、化学処理した心膜、グルタルアルデヒド処理した心膜、組織工学的に作製された材料、組織工学的に作製された材料のための足場、自家心膜、死体心膜、ニチノール、ポリマー、プラスチック、PTFE、または当技術分野において既知である任意の他の材料等の、生体適合性材料由来である。
【0048】
弁尖101a、101b、101cは、定常円筒状部材105および非定常円筒状部材107に取り付けられる。各弁尖101の1つの側面は、非定常円筒状部材107に取り付けられる。各弁尖101の反対の側面は、定常円筒状部材105に取り付けられる。各弁尖101の取り付けは、円筒状部材105、107の長手方向軸に対して略垂直である方向である。本実施形態では、各弁尖101は、柔軟で、略長方形であり、定常部材105および非定常部材107へのその取り付けの間で180度のねじれを有する。各弁尖101は、内縁102および外縁103を有し、1つの弁尖101cの縁102c、103cは、図面において参照されている。当技術分野において既知であるように、弁尖は、生物学的材料もしくは非生物学的材料、またはそれらの組み合わせのいずれかから製作されることができる。
【0049】
弁を閉鎖させる作動法の1つは、心周期の通常の血流または血圧の変化により及ぼされる力を利用することによる。より具体的には、心臓は、
図8に示す矢印の方向に、完全に開放した弁を通して血液を吐出する。その直後に、遠位または下流の血圧は、弁において、近位の圧力に対して上昇し始め、弁に背圧を生成する。
【0050】
図9は、閉鎖中の
図8の弁アセンブリの斜視図である。矢印の方向に沿ったこの背圧によって、弁尖101および非定常部材107の定常円筒状部材105に向かう軸方向の変位が引き起こされる。弁尖101が長手方向軸に対して垂直から水平平面に移動する際、正味の反時計回りトルク力が、非定常部材107および弁尖101に及ぼされる。トルク力は、求心力を弁尖101に作用させる。
【0051】
図10は、完全に閉鎖した後の
図8の弁アセンブリの斜視図である。図示するように、弁尖101が弁の中心に変位し、非定常円筒状部材107が定常部材105の上に存在する際に、弁100の完全な閉鎖が発生する。
【0052】
弁100開放の機能については、弁閉鎖のステップの逆を順守することによって、つまり、
図10から
図8の図の順に従って、理解することができる。
【0053】
大動脈弁置換術として弁100を考察すると、弁は、心臓が収縮期に入るまで、
図10に示すように閉鎖状態のままであり得る。収縮期中、心筋が強く収縮する際、弁の近位側(心臓に最も近い側面)に及ぼされる血圧は、閉鎖した弁の遠位側(下流)の圧力よりも大きい。この圧力勾配によって、弁尖101および非定常円筒状部材107は、軸平面に沿って定常部材105から離隔して変位する。弁100は、簡潔に言うと、
図9に示す半閉鎖移行状態を帯びる。
【0054】
弁尖101が軸平面に沿って水平配向から垂直配向へ伸長する際、正味のトルク力が、弁尖101および非定常円筒状部材107に及ぼされる。弁100が開放するため、閉鎖とは対照的に、弁を開放するように及ぼされるトルク力は、弁を閉鎖するように及ぼされる力とは反対である。
図9に示す実施形態の構成を考えると、弁を開放するトルク力は、時計回りの方向であり得る。
【0055】
トルク力によって、弁尖101は、弁100の長手方向軸を中心に非定常部材107とともに回転する。次いで、これは、各弁尖101に遠心力を作用させる。弁尖101は、中心から離隔する半径方向変位を受け、弁を効果的に開放し、
図8の矢印が示す方向に、血液が心臓から離隔して流れることを可能にする。
【0056】
要約すると、弁は、3つの力を連結することによって、一方向の血流を提供するように受動的に機能する。軸方向トルク力および半径方向力は、順次的かつ可逆的方式で変換されるとともに、前の運動の方向性をコード化する。最初に、血流および血圧の軸方向力によって、軸平面に沿った、定常部材105に対する弁尖101および非定常部材107の変位が引き起こされる。これは、弁尖101および非定常部材107に対する回転力に変換される。次いで、トルク力は、半径方向平面に沿って、弁の中心に向かって、または弁の中心から離隔して弁尖101を変位し、弁100を閉鎖または開放する。弁100は、心周期により弁に最初に印加された軸方向力の方向に応じて、開放または閉鎖の経路を受動的に追従する。
【0057】
体内において、定常円筒状部材105は、移植部位における適所に固定および固着されることができ、非定常部材107および弁尖101の遠位端は、軸平面に沿って自由に変位する。大動脈弁置換術として人工弁を使用する際、定常部材105は、大動脈基部に固定され得る。心臓からの血圧または血流が増加する際、弁100は、血液が弁100から吐出している状態で、その閉鎖構成から開放構成に変化する。
【0058】
図8~
図10の回転弁の具体的な利点は、さらなる実施形態とともに、上記に組み込まれた特許の仮特許出願に説明される。
【0059】
図11は、
図1の支持構造と組み合わせた
図8~
図10の弁の斜視図である。閉鎖位置で示されるように、弁の定常部材105は、支持構造10に取り付けられる。弁の非定常部材107は、支持構造10に取り付けられていない。これにより、非定常部材107は、弁の開放または閉鎖中に、軸平面に沿って、弁尖101とともに変位することが可能になる。この特定の実施形態では、弁100は、図示するように、支持構造10の一方の端部に近い位置を占める。
【0060】
図12は、開放位置にある
図11の弁の斜視図である。上述のように、非定常部材107は、支持構造10に取り付けられていないため、軸平面に沿って、弁尖101とともに自由に変位する。この特定の実施形態では、完全に開放している間、非定常部材107および弁尖101は、支持構造10内にとどまる。
【0061】
ステント型弁110は、上述のように、閉鎖処置中に移植されることができる。しかしながら、ステントの本体内の非定常部材の動作に起因して、ステントを圧縮および拡張するアクチュエータ機構は、ステント内に配置され得ない。
【0062】
ステント型弁110のさらなる実施形態、本体内の弁の位置決め、および移植の処置は、上記に組み込まれる特許の仮特許出願に説明される。加えて、組織弁が、支持構造上にドレープされ得る。追加の実施形態は、当業者に明白であるはずである。
【0063】
図13は、
図1の支持構造に装着される従来の組織弁の斜視図である。図示するように、ステント型弁120は、上述の支持構造等の支持構造10に取り付けられる人工組織弁121を含む。
【0064】
組織弁121は、3つの柔軟な半円形弁尖121a、121b、121cを含み、これらの弁尖は、
図8に関連して述べたように、生体適合性材料由来であることができる。隣接する弁尖は、対になって、支持構造10上の合わせ目123x、123y、123zに取り付けられる。具体的には、合わせ目123x、123y、123zは、支持構造10上の離間する遠位アンカー点13x、13y、13zに対応する。18個のストラットステントでは、合わせ目は、2つの遠位アンカー点おきに、対応する締結具25を介して構造10に取り付けられる。
【0065】
合わせ目から、弁尖側面は、隣接する斜めストラットに接続される。すなわち、第1の弁尖121aの側面は、ストラット11-Xaおよび11-Zaにそれぞれ縫合され、第2の弁尖121bの側面は、ストラット11-Xbおよび11-Ybにそれぞれ縫合され、第3の弁尖121cの側面は、ストラット11-Ycおよび11-Zcにそれぞれ縫合される。これらの縫合は、斜めストラット上のハサミ旋回点において終端となる。
【0066】
図示する構成では、隣接するストラット11は、ステントの端部において複数のアーチ128を作成するように、相互に取り付けられる。弁尖取り付けのための柱または合わせ目は、適切なアーチ128x、128y、128zを画定するストラットの各々に、隣接する弁尖を取り付けることによって形成される。図示する構成では、3つの弁尖121a、121b、121cが存在し、その各々は、その反対の境界のうちの2つに沿ってストラットに取り付けられる。合わせ目は、ステントにおける3つの等間隔アーチ128x、128y、128zによって形成される。
【0067】
その隣接するストラットに関連付けられるストラットの傾斜配向によって、弁尖121a、121b、121cは、三角形構成でステントに取り付けられる。この三角形構成は、自然大動脈弁尖の傾斜取り付けをシミュレーションする。自然弁では、これは、内側弁尖三角部として知られる弁尖間の解剖学的構造を作成する。解剖学的内側弁尖三角部は、ヒトの自然大動脈弁尖に構造的完全性および耐久性を提供すると考えられることから、人工弁においてこの構造をシミュレーションすることは有利である。
【0068】
弁尖をストラットに取り付ける一方法は、多層ストラット間に弁尖を挟むことである。次いで、多数の層は、縫合によってまとめて保持される。ストラット間に弁尖を挟むことは、弁尖に対する力の消散および弁尖を通る縫合の裂けの防止に役立つ。
【0069】
各弁尖121a、121b、121cの残りの側面は、弁尖の縫い目によって示されるように、中間ストラット部材を環状に横断して縫合される。ストラット間の残りの開放空間は、移植部位に対する弁の封止、ひいては弁傍漏出の制限に役立つように、生体適合性スカート125によってドレープされる。図示するように、スカート125は、弁尖の下および弁尖の間のステントのこれらの部分を被覆するような形状を有する。
【0070】
より詳細には、弁の基部におけるスカート125は、ステント壁を裏打ちする薄い材料層である。スカート材料は、心膜組織、ポリエステル、PTFE、または成長する組織を受け入れるのに適切な他の材料もしくは材料の組み合わせであることが可能であり、組織成長を促進するか、または感染を阻止する化学処理した材料が含まれる。スカート層は、弁の周囲の漏出、つまり弁傍漏出を低減または排除するように機能する。このために、以下を含む、スカート材料層をステントに取り付ける多数の方法が存在する:
・スカート層は、ステントの内部または外部上に存在することができる;
・スカート層は、ステントの下側部分を占めることができる;
・スカート層は、ステントの下側および上側部分を占めることができる;
・スカート層は、ステントの上側部分のみを占めることができる;
・スカート層は、合わせ目の柱を画定するストラット間の範囲を占めることができる;
・ スカート層は、弁尖材料と連続的であることができる;
・ スカート層は、ストラットまたは多数の部位に縫合されることができる;または、
・ スカート層は、ステントの下側部分に固定され、体内への配備中にステントの外部を被覆するように引張または押圧されることができる。
【0071】
当業者が具体的な用途について代替のドレープ技法を認識できるため、上記に列挙したものは、必ずしも限定的ではない。
【0072】
図14は、完全な内側スカートを有する
図13の弁構造の斜視図である。ステント型弁120’は、支持構造10に取り付けられる3つの弁尖121a’、121b’、121c’を有する人工組織弁121’を含む。スカート層125’は、ステント10の内面を被覆する。したがって、弁尖121a’、121b’、121c’は、スカート層125’に縫合される。
【0073】
図15は、完全な外側スカートを有する
図13の弁構造の斜視図である。ステント型弁120”は、
図13において説明するような、支持構造10に取り付けられる3つの弁尖121a”、121b”、121c”を有する人工組織弁121”を含む。スカート層125”は、ステント10の外面を被覆する。
【0074】
また、組織弁構造120、120’,120”は、上述のように、閉鎖処置中に移植されることができる。しかしながら、ステントを圧縮および拡張するアクチュエータ機構は、アクチュエータ機構をステント10の外面に装着する等によって合わせ目点を回避し、かつスカート層125、125’、125”に対する損傷を制限するように取り付けられ得る。
【0075】
上述の実施形態は、線状ストラット棒および同等長さのハサミアームを有する支持構造を取り上げているが、他の幾何学的形状を用いてもよい。結果として生じる形状は、円筒状以外のものであり、一定の用途においてより良好な性能を有することができる。
【0076】
図16は、円錐形支持構造構成におけるストラット部材の配置の斜視図である。円錐構造10’では、ストラット部材11は、中央ハサミ旋回部がストラットを2等分しないこと以外は、
図2に示すように配置される。具体的には、中央ハサミ旋回部(例えば、15’-1、15’-7)は、接合されたストラット部材(例えば、11’-1、11’-2および11’-3、11’4)を、5/12長さおよび7/12長さの同等ではない区画に分割する。完全に組み立てられると、結果として生じる支持構造は、拡張時に円錐形状に一致する。例示目的のために、ステント10’は、単一ネジ山付きアクチュエータロッド32’(
図6)を含んで示されるが、このステント実施形態に必須の要素ではない。
【0077】
また、ステント10’は、凸状または凹状の湾曲を、ステント10’を備える個々のストラット部材11に与えることによって、その拡張された構成において円錐形状も帯びることができる。これは、形状記憶または温度感受性ニチノール等の、記憶を有する材料を使用することによって達成され得る。
【0078】
弁は、弁の基部が、円錐形ステントの狭い方の部分にあり、弁の基部でない部分が円錐の広い方の部分にあるように、円錐形ステント10’で配向されることができる。代替として、弁の基部は、ステントの最も広い部分に位置し、弁の基部でない部分は、それよりも広くない部分にあることができる。
【0079】
体内における円錐形ステント10’の配向は、血流の流れに向かうか、またはその流れから離隔するかのいずれかであることができる。他の体内管腔(例えば、気道または消化管)では、ステントは、軸平面に関連していずれかの方向に配向され得る。
【0080】
図17は、砂時計形支持構造構成の斜視図である。本構成では、中央旋回点15”-1、15”-7、15”-9(くびれ部)の周囲の円周は、ステント10”の両端における円周よりも小さい。図示するように、砂時計形支持構造10”は、ストラット部材11”の数を6個に減らして、前の実施形態に比べてストラット部材11”を短くすることによって達成される。短くしたことにより、ストラット部材11”当たりのオリフィス13”の数が少なくなる。ストラットの数および幾何学的形状により、各ストラット部材11”は、3つの長手方向平面に沿った点19”においてねじれを含む。このねじれは、接合されたストラット15”-3間に平らな境界面を提供する。
【0081】
また、砂時計ステント構成は、個々の棒11”に凸状または凹状湾曲を与えることによって達成され得る。この湾曲は、材料の特性(例えば、形状記憶または感熱ニチノール)であり得る。湾曲は、圧縮されたステント状態では存在せず、ステントがその拡張された状態にある場合に出現する。
【0082】
上述の支持構造のうちのいずれかが、ステントの両端のうちのいずれかにおけるアンカー接合点を超えて延出可能であることに留意されたい。一連のステントを末端間連鎖様式で結合することによって、追加のステントの長さおよび幾何学的形状を製作することができる。具体的には、砂時計形ステントは、2つの円錐形ステントをその2つの狭い端部で接合することによって達成され得る。また、砂時計形状は、
図14に示すように、中央ハサミ旋回部を分解することによって修正されることができる。
【0083】
本発明の特定の実施形態は、その構造および用途を含む従来技術を上回る明らかな利点を提供する。一定の利点について以下に要約するが、追加の利点が存在し得るため、要約は、必ずしも完全なリストではない。
【0084】
本デバイスによって、使用者は、経皮的心臓弁移植中に発生し得る深刻な合併症を避けることが可能になる。本デバイスは、体内への移植中に回収可能および再配置可能であることから、外科医は、移植中の弁の位置異常または移動に起因する深刻な合併症を回避することができる。これらの合併症の例として、冠状動脈の閉塞、大量弁傍漏出、または不整脈が挙げられる。
【0085】
また、本デバイスは、デバイスの狭い挿入プロファイルに起因して、血管アクセス合併症も減少させることができる。デバイスのプロファイルは、その独特の幾何学的形状に部分的に起因して低く、これにより、ステントにおける隣接するストラットが、ステントの圧縮中に重なることができる。デバイスの低プロファイルは、バルーンまたはシースの必要性を排除することによって、さらに補強される。本デバイスの狭いプロファイルは、患者における血管アクセス経路選択肢を広げる利点を提供する。例えば、本デバイスによって、患者の脚の動脈を通る人工弁の送達が可能になり、以前であれば、この患者は、胸壁を通るより侵襲的な手法を受けていたであろう。ゆえに、本デバイスは、血管アクセス不良の患者における大きいプロファイルのデバイスの使用に関連する合併症を減少させることを目的とする。
【0086】
組織弁の実施形態は、弁尖の可撓性合わせ目柱への取り付けを可能にすることによって、耐久性の改善を提供することができる。可撓性柱によって、心周期により弁尖に与えられる応力および歪みの消散が可能になる。多重層ストラットの使用によって、弁尖を、ストラット間に挟むことが可能になり、弁尖取り付けが再び実施され、縫合の裂けが防止される。さらに、弁は、望ましい弁尖形態を帯び、この弁尖形態によって、弁尖に対する応力および歪みが低減する。すなわち、ステントへの傾斜弁尖の取り付けは、自然のヒトの大動脈弁の弁尖間内側三角部パターンに類似する。これらの特性によって、経皮的心臓弁置置換治療の寿命が大幅に改善される。
【0087】
このデバイスは、ステントの増分拡張または圧縮に起因して、不整脈合併症を低減または排除し得る。ステントは、配備するためにネジ機構を用いることができ、ネジ機構によって、ステントは、全半径において自動ロックまたはロック解除することが可能になる。これにより、より制御された配備と、各患者におけるデバイスの拡張または圧縮を個別化する可能性とが可能になる。デバイスの拡張または圧縮が、処置中の任意の段階において可逆的であることから、外科医は、不整脈を軽減するために、本デバイスの拡張を容易に逆行させることができる。加えて、移植中に不整脈が検出される場合、デバイスを再配置して、問題をさらに排除することができる。
【0088】
このデバイスは、正確に配置され、かつ必要に応じて再配置されるデバイスの能力に起因して弁傍漏出を低減または排除することができる。これにより、弁傍漏出の発生および重度を大幅に減少させることができる。
【0089】
このデバイスは、バルーン関連合併症を排除する。配備のネジ機構は、ネジの機械的利点を活用する。これは、ステントの強力な膨張を提供する。ステントのハサミ連結におけるストラットの旋回により作成されるレバーアームは、さらなる拡張力をステントに伝達する。ステントは、バルーンを必要とせずに拡張される。加えて、強力に膨張されるデバイスの能力は、患者における移植処置中にバルーン処理前または処理後の必要性を軽減または排除する。
【0090】
このデバイスは、圧縮位置と拡張位置とにおけるステントの高さの差異が小さいことから、体内において、より予測可能であり、かつ正確な位置決めを有する。この「この減少した短縮化」は、外科医が、体内の望ましい位置にデバイスを位置決めするのに役に立つ。体内においてデバイスを再配置する能力は、各個人においてデバイスを正確に位置付ける能力をさらに与える。
【0091】
機械的利点に加え、本デバイスによって、より広範の患者集団が、弁置換のための低侵襲的手段によって処置されることが可能になる。例えば、本デバイスによって、開胸手術弁置換に適応しない併存疾患を有する患者に、処置選択肢を提供することが可能になる。また、狭いプロファイルを帯びるデバイス能力によって、血管アクセスの不良(例えば、蛇行性動脈、石灰化動脈、または小動脈)に起因して以前処置を拒否された患者に、処置選択肢を提供することが可能になる。弁の耐久性によって、低侵襲的処置の使用は、拒否されなければ開胸手術弁置換に適応し得る健康な患者集団に拡大するはずである。強力に拡張するか、または砂時計形状もしくは円錐形状を帯びる本デバイスの能力によって、デバイスの用途は、大動脈弁閉鎖不全症ならびに大動脈弁狭窄症と診断された患者の治療に潜在的に拡大する。
【0092】
また、本デバイスは、「バルブインバルブ」処置を提供することによって、従来の移植片からの変性人工器官を有する患者に低侵襲的治療を提供することもできる。本デバイスは、患者の変形人工器官を除去せずに、不全弁の内部に正確に位置付けられ得る。これは、「再実行」動作およびそれに関連するリスクを含まずに、機能弁置換を提供することによって、患者を助ける。
【0093】
本発明は、特定の実施形態に関連して具体的に図示および説明されているが、添付の請求項により包含される本発明の内容から逸脱することなく、形式および詳細について種々の変更を実施形態に加えてもよいことを当業者により理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/082,489号(名称「Prosthetic Valve with Rotating Leaflets and Retrievable Support」、2008年7月21日出願、出願人「Jennifer K. White」)の利益を主張する。この出願の全教示は、本明細書に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
管腔内ステントは、患者の管腔または管に移植され、開放管腔の維持に役立つことができる。また、ステントをフレームとして使用して、人工器官を支持すること、または治療薬を送達することもできる。ステントは、開放手術処置または閉鎖手術処置のいずれかによって移植され得る。選択できる場合、概して、低侵襲性の閉鎖処置が好まれ、これは、ステントが大腿動脈等の体内管腔を通って、その所望の部位に案内され得るからである。閉鎖処置は、一般的には、2つの技法のうちの1つを使用する。
【0003】
一方の閉鎖処置は、拡張型ステントが膨張型バルーンを包囲するバルーンカテーテル法を用いる。この処置では、ステントは、バルーンを膨張させて、これによりステントが拡張することによって移植される。ステントの実際の位置決めは、バルーンの収縮後まで決定することができず、ステントが誤留置される場合、この過程を逆行してステントを再配置することはできない。
【0004】
他方の閉鎖処置は、着脱可能なシースによって包囲された圧縮ステントを用いる。この処置では、ニチノール(登録商標)等の形状記憶合金から作製されたステントが、シースによって圧縮状態に保持される。ステントは、シースを引き込み、これによってステントをその公称形状に拡張することによって移植される。これもまた、ステントが誤留置される場合、この過程を逆行してステントを再配置することはできない。
【0005】
ステントを使用して心臓弁を支持する場合、位置決め誤差は特に危険である。入手可能なステント装着型弁を使用する体内の移植部位における弁の位置異常に起因して、深刻な合併症および患者の死亡が発生している。弁の位置異常は、大量の弁傍漏出、デバイスの移動、および冠状動脈閉塞をもたらしている。これらの合併症の大部分は、避けられないものであるが、処置時に検出される。しかしながら、デバイスの再配置または回収が不可能であるため、これらの問題は、処置中に逆行または軽減することが不可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一定の実施形態に従う管腔内支持構造またはステントは、従来技術に見られる一定の欠陥を解決する。具体的には、支持構造を体内管腔内に再配置するか、または管腔から回収することができる。
【0007】
本発明の特定の実施形態は、生体管腔内に移植可能である支持装置を含む。支持装置は、複数のスイベルジョイントによって相互連結される複数の細長いストラット部材を含むことができ、スイベルジョイントは、圧縮配向と拡張配向との間で成形構造を調整可能に画定するためにステント部材と協力することができる。
【0008】
より具体的には、成形構造は、円筒形状、円錐形状、または砂時計形状のうちの1つであることができる。スイベルジョイントは、第1のストラット部材および第2のストラット部材によってハサミ機構を形成することができる。さらに、ストラット部材は、一連の連結されたハサミ機構として構成されることができる。本装置は、運動範囲内でスイベルジョイントを付勢する作動機構をさらに含むことができる。
【0009】
また、本装置は、成形構造に結合される人工弁も含むことができる。
【0010】
本発明の別の特定の実施形態は、生体管腔内に移植可能である医療用ステントを含むことができる。医療用ステントは、第1のストラット部材および第2のストラットを含む、複数の細長いストラット部材と、第1のストラット部材および第2のストラット部材を接続するスイベルジョイントとを含むことができる。
【0011】
具体的には、スイベルジョイントは、第1のストラット部材および第2のストラット部材でハサミ機構を形成することができる。スイベルジョイントは、第1のストラット部材および第2のストラット部材を2等分することができる。スイベルジョイントは、第1のストラット部材の第1の端部を第2のストラット部材の第1の端部に相互接続することができる。
【0012】
複数のストラット部材は、一連の連結されたハサミ機構として構成されることができる。また、ストラット部材は、非直線であることができる。ストラット部材は、円筒形状、円錐形状、または砂時計形状のうちの1つを形成するように構成されることができる。
【0013】
ステントは、運動範囲内でスイベルジョイントの周りにストラット部材を付勢する力を作用させる調整機構をさらに含むことができる。
【0014】
ステントは、ストラット部材に結合される人工弁を含むことができる。
【0015】
本発明の具体的な実施形態は、回転可能または従来の人工弁を含むことができる。
【0016】
回転可能な人工弁は、ストラット部材に結合される第1の構造部材と、第1の構造部材に対して回転可能である第2の構造部材と、第1の構造部材に対する第2の構造部材の回転が、開放状態と閉鎖状態との間で弁部材を付勢するように、第1の構造部材を第2の構造部材に接続する複数の柔軟な弁部材とを含むことができる。具体的には、第2の構造部材の回転は、体液の自然の流れに応答することができる。
【0017】
従来の人工弁は、2つのストラット部材の交点に合わせ目を有する複数の柔軟な弁尖を含むことができる。人工弁は、ストラット部材に結合されるスカート材料をさらに含むことができる。
【0018】
本発明の実施形態に従う支持構造の特定の利点は、人工弁を体内に容易に回収および再配置することが可能になることである。配備後に、弁が位置異常または機能不全であると考えられる場合、支持構造によって、弁を、新しい移植部位に容易に再配置および再配備するか、または体内から完全に取り除くことが可能になる。デバイスのこの特徴は、体内の位置異常デバイスの修復を可能にすることによって、深刻な合併症を予防し、かつ命を救うことができる。
(項目1)
生体管腔内に移植可能である支持装置であって、
複数のスイベルジョイントによって相互連結される複数の細長いストラット部材であって、該スイベルジョイントは、ステント部材と協力して、圧縮配向と拡張配向との間で成形構造を調整可能に画定する、ストラット部材
を備える、支持装置。
(項目2)
運動範囲内で前記スイベルジョイントを付勢する作動機構をさらに備える、項目1に記載の装置。
(項目3)
スイベルジョイントは、第1のストラット部材および第2のストラット部材によってハサミ機構を形成する、項目1に記載の装置。
(項目4)
前記ストラット部材は、一連の連結されたハサミ機構として構成される、項目3に記載の装置。
(項目5)
前記成形構造に結合される人工弁をさらに備える、項目1に記載の装置。
(項目6)
前記人工弁は、
前記ストラット部材に結合される第1の構造部材と、
該第1の構造部材に対して回転可能である第2の構造部材と、
該第1の構造部材を該第2の構造部材に接続する複数の柔軟な弁部材であって、該接続により、該第1の構造部材に対する該第2の構造部材の回転が、開放状態と閉鎖状態との間において該弁部材を付勢する、複数の柔軟な弁部材と
を備える、項目5に記載の装置。
(項目7)
前記第2の構造部材の回転は、体液の自然の流れに応答する、項目6に記載の装置。
(項目8)
前記人工弁は、2つのストラット部材の交点に合わせ目を有する複数の柔軟な弁尖を含む、項目5に記載の装置。
(項目9)
前記人工弁は、前記ストラット部材に結合されるスカート材料を含む、項目8に記載の装置。
(項目10)
前記成形構造は、円筒形状、円錐形状、または砂時計形状のうちの1つである、項目1に記載の装置。
(項目11)
生体管腔内に移植可能である医療用ステントであって、
第1のストラット部材および第2のストラットを含む、複数の細長いストラット部材と、
該第1のストラット部材および該第2のストラット部材を接続するスイベルジョイントと
を備える、医療用ステント。
(項目12)
前記スイベルジョイントは、前記第1のストラット部材および前記第2のストラット部材によってハサミ機構を形成する、項目11に記載のステント。
(項目13)
前記スイベルジョイントは、前記第1のストラット部材および前記第2のストラット部材を2等分する、項目12に記載のステント。
(項目14)
前記複数のストラット部材は、一連の連結されたハサミ機構として構成される、項目12に記載のステント。
(項目15)
前記スイベルジョイントは、前記第1のストラット部材の第1の端部を前記第2のストラット部材の第1の端部に相互接続する、項目11に記載のステント。
(項目16)
運動範囲内で前記スイベルジョイントの周りに前記ストラット部材を付勢する力を作用させる調整機構をさらに備える、項目11に記載のステント。
(項目17)
前記ストラット部材は、非直線である、項目11に記載のステント。
(項目18)
前記ストラット部材に結合される人工弁をさらに備える、項目11に記載のステント。
(項目19)
前記人工弁は、
前記ストラット部材に結合される第1の構造部材と、
該第1の構造部材に対して回転可能である第2の構造部材と、
該第1の構造部材を該第2の構造部材に接続する複数の柔軟な弁部材であって、該接続により、該第1の構造部材に対する該第2の構造部材の回転が、開放状態と閉鎖状態との間において該弁部材を付勢する、複数の柔軟な弁部材と
を備える、項目18に記載のステント。
(項目20)
前記第2の構造部材の回転は、体液の自然の流れに応答する、項目19に記載のステント。
(項目21)
前記人工弁は、2つのストラット部材の交点に合わせ目を有する複数の柔軟な弁尖を含む、項目18に記載のステント。
(項目22)
前記人工弁は、前記ストラット部材に結合されるスカート材料を含む、項目21に記載のステント。
(項目23)
前記ストラット部材は、円筒形状、円錐形状、または砂時計形状のうちの1つを形成するように構成される、項目11に記載のステント。
(項目24)
生体管腔内に移植可能である人工弁アセンブリであって、
複数のスイベルジョイントによって相互連結される複数の細長いストラット部材を備える支持構造であって、該スイベルジョイントは、ステント部材と協力して、圧縮配向と拡張配向との間において成形構造を調整可能に画定する、支持構造と、
該支持構造に接続される人工弁と
を備える、人工弁アセンブリ。
(項目25)
運動範囲内で前記スイベルジョイントを付勢する作動機構をさらに備える、項目24に記載のアセンブリ。
(項目26)
スイベルジョイントは、第1のストラット部材および第2のストラット部材によってハサミ機構を形成する、項目24に記載のアセンブリ。
(項目27)
前記ストラット部材は、一連の連結されたハサミ機構として構成される、項目26に記載のアセンブリ。
(項目28)
前記人工弁は、
前記ストラット部材に結合される第1の構造部材と、
該第1の構造部材に対して回転可能である第2の構造部材と、
該第1の構造部材を該第2の構造部材に接続する複数の柔軟な弁部材であって、該接続により、該第1の構造部材に対する該第2の構造部材の回転が、開放状態と閉鎖状態との間で該弁部材を付勢する、複数の柔軟な弁部材と
を備える、項目24に記載のアセンブリ。
(項目29)
前記第2の構造部材の回転は、体液の自然の流れに応答する、項目28に記載のアセンブリ。
(項目30)
前記人工弁は、2つのストラット部材の交点に合わせ目を有する複数の柔軟な弁尖を含む、項目24に記載のアセンブリ。
(項目31)
前記人工弁は、前記ストラット部材に結合されるスカート材料を含む、項目30に記載のアセンブリ。
(項目32)
前記成形構造は、円筒形状、円錐形状、または砂時計形状のうちの1つである、項目24に記載のアセンブリ。
(項目33)
生体管腔内に移植可能である人工弁アセンブリであって、
医療用ステントであって、
第1のストラット部材および第2のストラットを含む、複数の細長いストラット部材と、
該第1のストラット部材および該第2のストラット部材を接続するスイベルジョイントと
を備える、医療用ステントと、
支持構造に接続される人工弁と
を備える、人工弁アセンブリ。
(項目34)
前記スイベルジョイントは、前記第1のストラット部材および前記第2のストラット部材によってハサミ機構を形成する、項目33に記載のアセンブリ。
(項目35)
前記スイベルジョイントは、前記第1のストラット部材および前記第2のストラット部材を2等分する、項目34に記載のアセンブリ。
(項目36)
前記複数のストラット部材は、一連の連結されたハサミ機構として構成される、項目34に記載のアセンブリ。
(項目37)
前記スイベルジョイントは、前記第1のストラット部材の第1の端部を前記第2のストラット部材の第1の端部に相互接続する、項目33に記載のアセンブリ。
(項目38)
運動範囲内で前記スイベルジョイントの周りに前記ストラット部材を付勢する力を作用させる調整機構をさらに備える、項目33に記載のアセンブリ。
(項目39)
前記ストラット部材は、非直線である、項目33に記載のアセンブリ。
(項目40)
前記人工弁は、
前記ストラット部材に結合される第1の構造部材と、
該第1の構造部材に対して回転可能である第2の構造部材と、
該第1の構造部材を該第2の構造部材に接続する複数の柔軟な弁部材であって、該接続により、該第1の構造部材に対する該第2の構造部材の回転が、開放状態と閉鎖状態との間で該弁部材を付勢する、複数の柔軟な弁部材と
を備える、項目33に記載のアセンブリ。
(項目41)
前記第2の構造部材の回転は、体液の自然の流れに応答する、項目40に記載のアセンブリ。
(項目42)
前記人工弁は、2つのストラット部材の交点に合わせ目を有する複数の柔軟な弁尖を含む、項目33に記載のアセンブリ。
(項目43)
前記人工弁は、前記ストラット部材に結合されるスカート材料を含む、項目42に記載のアセンブリ。
(項目44)
前記ストラット部材は、円筒形状、円錐形状、または砂時計形状のうちの1つである、項目33に記載のアセンブリ。
(項目45)
生体管腔内に移植可能である支持装置を製作する方法であって、
複数の細長いストラット部材を複数のスイベルジョイントと相互連結することであって、該相互連結により、該スイベルジョイントは、ステント部材と協力して、圧縮配向と拡張配向との間において成形構造を調整可能に画定する、ことを含む、方法。
(項目46)
運動範囲内で前記スイベルジョイントを付勢する作動機構を結合することをさらに含む、項目45に記載の方法。
(項目47)
人工弁を前記成形構造に結合することをさらに含む、項目45に記載の方法。
(項目48)
前記人工弁は、
前記ストラット部材に結合される第1の構造部材と、
該第1の構造部材に対して回転可能である第2の構造部材と、
該第1の構造部材を該第2の構造部材に接続する複数の柔軟な弁部材であって、該接続により、該第1の構造部材に対する該第2の構造部材の回転は、開放状態と閉鎖状態との間において該弁部材を付勢する、複数の柔軟な弁部材と
を備える、項目47に記載の方法。
(項目49)
生体管腔内に移植可能な医療用ステントを製作する方法であって、
第1のストラット部材および第2のストラット部材を含む、複数の細長いストラット部材を製作することと、
スイベルジョイントを該第1のストラット部材および該第2のストラット部材と接続することと
を含む、方法。
(項目50)
運動範囲内で前記スイベルジョイントの周りに前記ストラット部材を付勢する力を作用させる調整機構を該ストラット部材に結合することをさらに含む、項目49に記載の方法。
(項目51)
人工弁を前記ストラット部材に結合することをさらに含む、項目49に記載の方法。
(項目52)
前記人工弁は、
前記ストラット部材に結合される第1の構造部材と、
該第1の構造部材に対して回転可能である第2の構造部材と、
該第1の構造部材を該第2の構造部材に接続する複数の柔軟な弁部材であって、該接続により、該第1の構造部材に対する該第2の構造部材の回転が、開放状態と閉鎖状態との間において該弁部材を付勢する、複数の柔軟な弁部材と
を備える、項目51に記載の方法。
(項目53)
生体管腔内に移植可能である人工弁アセンブリを製作する方法であって、
複数のスイベルジョイントによって相互連結される複数の細長いストラット部材を備える支持構造を製作することであって、該スイベルジョイントは、ステント部材と協力して、圧縮配向と拡張配向との間において成形構造を調整可能に画定する、ことと、
人工弁を支持構造に結合することと
を含む、方法。
(項目54)
運動範囲内で前記スイベルジョイントを付勢する作動機構を含有することをさらに含む、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記人工弁は、
前記ストラット部材に結合される第1の構造部材と、
該第1の構造部材に対して回転可能である第2の構造部材と、
該第1の構造部材を該第2の構造部材に接続する複数の柔軟な弁部材であって、該接続により、該第1の構造部材に対する該第2の構造部材の回転が、開放状態と閉鎖状態との間において該弁部材を付勢する、複数の柔軟な弁部材と
を備える、項目53に記載の方法。
(項目56)
生体管腔内に移植可能な人工弁アセンブリを製作する方法であって、
医療用ステントを製作することであって、該医療用ステントは、
第1のストラット部材および第2のストラット部材を含む、複数の細長いストラット部材と、
該第1のストラット部材および該第2のストラット部材に接続するスイベルジョイントと
を備える、ことと、
人工弁を支持構造に接続することと
を含む、方法。
(項目57)
運動範囲内で前記スイベルジョイントの周りに前記ストラット部材を付勢する力を作用させる調整機構を製作することをさらに含む、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記人工弁は、
該ストラット部材に結合される第1の構造部材と、
該第1の構造部材に対して回転可能である第2の構造部材と、
該第1の構造部材を該第2の構造部材に接続する複数の柔軟な弁部材であって、該接続により、該第1の構造部材に対する該第2の構造部材の回転が、開放状態と閉鎖状態との間において該弁部材を付勢する、複数の柔軟な弁部材と
を備える、項目56に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明に関する前述および他の目的、特徴、利点は、添付の図面において図示するように、本発明の特定の実施形態に関するより具体的な説明により明らかになり、添付の図面において、同一参照文字は、異なる図面において同一の部分を言及する。本図面は、必ずしも一定の縮尺であるとは限らず、代わりに、本発明の原理を図示することが強調されている。
【
図1】
図1は、特定の管腔内支持構造の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のステントの4つのストラット区画の斜視図である。
【
図4】
図4は、完全に拡張した状態における
図1の支持構造の斜視図である。
【
図5】
図5は、特定のアクチュエータ機構を有する
図2の支持構造の斜視図である。
【
図6】
図6は、別の特定のアクチュエータ機構を有する
図2の支持構造の斜視図である。
【
図7】
図7は、
図5および
図6のアクチュエータ機構とともに使用可能である特定の支持構造および制御カテーテルアセンブリの斜視図である。
【
図8】
図8は、特定の回転人工弁アセンブリの斜視図である。
【
図16】
図16は、円錐形支持構造構成におけるストラット部材の配置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の特定の実施形態は、管腔内支持構造(ステント)および人工弁を含む。
【0021】
図1は、特定の管腔内支持構造の斜視図である。図示するように、支持構造10は、複数のスイベルジョイント15により相互接続される複数の長手方向ストラット部材11を含む医療用ステントである。具体的には、スイベルジョイント15によって、相互接続されたストラット部材11は、相互に対して回転可能になる。図示するように、18個のストラット11が存在する。
【0022】
ストラット部材11は、プラスチックまたは他のポリマーならびにステンレス鋼、タンタル、チタン、ニッケル-チタン(例えば、ニチノール(登録商標))、およびコバルト-クロム(例えば、ELGILOY)を含む金属合金等の、剛性または半剛性の生体適合性材料から製作される。各ストラットの寸法は、その所望の使用に従って選択されることができる。特定の実施形態では、各ストラット部材は、0.005~0.020インチ(0.127~0.508mm)の厚さのステンレス鋼から作製される。より具体的には、各ストラットは、0.010インチ(0.254mm)の厚さの300シリーズステンレス鋼である。全てのストラット11は、一様な厚さを有するように示されるが、ストラットの厚さは、ストラットの長さに沿って徐々に厚さが増加または減少する等、ストラットによって変動することができる。さらに、個々のストラットは、同一の支持構造における他の個々のストラットとは異なる厚さを有することができる。
【0023】
図示するように、各ストラット部材11は、棒形状であり、前面11fおよび裏面11bを有する。しかしながら、ストラット部材は、異なる幾何学的形状を有することができる。例えば、幅が均一である代わりに、ストラットの幅が、その長さに沿って変動することができる。さらに、個々のストラットは、同一支持構造における別のストラットとは異なる幅を有することができる。同様に、ストラットの長さは、同一支持構造内のストラットによって変動することができる。特定の寸法は、移植部位に基づいて選択されることができる。
【0024】
さらに、ストラットは、非平坦構造であることができる。具体的には、ストラットは、ステント構造の内径に対して凹状または凸状等の湾曲を含むことができる。また、ストラットは、ねじれ状であることもできる。ストラットの非平坦性または平坦性は、ストラットが構成される材料の特性であることができる。例えば、ストラットは、種々の状態中に、ストラットに対する形状記憶または熱応答の形状変化を呈する。このような状態は、圧縮構成または拡張構成にあるステントによって規定されることができる。
【0025】
さらに、ストラット部材11は、平滑面性状または粗面性状を有することができる。具体的には、窪みのある方面は、引張強度をストラットに提供することができる。加えて、粗さまたは窪みは、追加の摩擦を提供し、移植部位における支持構造の固定に役立つことができ、かつ組織成長による支持構造10の不規則なカプセル化が、移植部位において支持構造10を経時的にさらに安定化させることを促すことができる。
【0026】
一定の事例では、ステントは、相互に積み重なる複数の部材であるストラットから構成され得る。同一のステント内において、多層構成において相互に積み重なる細長い部材を含むストラットもあれば、単一厚さの部材から構成される単一層であるストラットもあり得る。単一のストラット内において、部材の単層および多層の積層範囲が存在することができる。
【0027】
また、各ストラット部材11は、ストラット部材11の長さに沿って離間する複数のオリフィス13も含む。前面11f上では、オリフィスは、締結具の頭部を収容する座ぐり17である。特定の実施形態では、各ストラット部材11の長さに沿って、13個の同等に離間したオリフィス13が存在するが、より多いまたは少ないオリフィスを使用することができる。オリフィス13は、ストラット部材11に沿って一様な直径および一様な間隔を有するように示されるが、いずれも必須ではない。
【0028】
ストラット部材11は、4つの棒の連結の連鎖として構成される。ストラット部材11は、整合されたオリフィス13を貫通するリベット等の旋回可能な旋回締結具25によって、相互接続される。ネジ、ボルト、玉継ぎ手構造、くぎ、または小穴等の他の旋回可能な締結具25を用いることができることと、窪みまたはオリフィスと相互作用するピーニング加工された半球体、または雄雌結合具等の締結具をストラット11に一体型に形成することができることとを理解されたい。締結具を収容することに加え、オリフィス13はまた、支持構造10を経時的に安定化させ、かつカプセル化するために、組織成長のための追加の経路も提供する。
【0029】
図2は、
図1のステントの4つのストラット区画の斜視図である。図示するように、2つの外側ストラット部材11-1、11-3は、2つの内側ストラット部材11-2、11-4に重なり、これらの裏面が相互に連通している状態である。
【0030】
具体的には、第1のストラット部材11-1は、リベット25-1を使用して、中央スイベルジョイント15-1によって、第2のストラット部材11-1に旋回可能に接続され、中央スイベルジョイント15-1は、ストラット部材11-1、11-2を2等分するオリフィス13を利用する。同様に、第3のストラット部材11-3は、リベット25-7を使用して、中央スイベルジョイント15-7によって、第4のストラット部材11-4を2等分するように旋回可能に接続される。中央スイベルジョイント15-1、15-7が、ハサミ連結または機構におけるハサミ接合部として機能することを理解されたい。図示するように、結果として得られたハサミのアームは、同等の長さを有する。また、中央接合部15-1、15-7が、接合されたストラット部材を2等分する必要はなく、代わりに、ストラット部材の長手方向中心から相殺されるオリフィス13を利用して、同等ではないアームの長さをもたらすことも理解されたい。
【0031】
中央ハサミ接合部15-1に加え、第1のストラット部材11-1は、ストラット部材11-1、11-3の遠位端付近に位置する遠位アンカースイベルジョイント15-5によって、第3のストラット部材11-3に旋回可能に接続される。同様に、第1のストラット部材11-1は、ストラット部材11-1、11-4の近位端付近に位置する近位アンカースイベルジョイント15-3によって、第4のストラット部材11-4に旋回可能に接続される。アンカーリベット25-3、25-5に対する応力を低減するために、ストラット11の遠位端および近位端は、接合されたストラットの間に平らな境界面を提供するように、湾曲状またはねじれ状であることができる。
【0032】
図示されるように、支持構造10(
図1)は、連続したハサミ機構の連鎖を連結することによって製作される。ついで、この連鎖は、最後のハサミ機構を最初のハサミ機構に連鎖して接合するように巻き付けられる。連結を作動させることによって、輪を開放または閉鎖することができ、これによって、ステント10(
図1)の拡張または圧縮がもたらされる。
【0033】
図1を再び参照すると、スイベルジョイント15を利用することによって、ステントの直径を圧縮して、動脈等の生体管腔に挿入することができる。次いで、ステントを拡張して、管腔内の選択された位置にステントを固定することができる。さらに、拡張後、ステントを再び圧縮して、身体から取り外すか、または管腔内に再配置することができる。
【0034】
図3は、圧縮された
図1の支持構造の斜視図である。圧縮時に、ステント10は、その最大長さおよび最小直径にある。最大長さは、ストラット部材の長さによって限定され、特定の実施形態では、15mmである。最小直径は、ストラット部材の幅によって限定され、特定の実施形態では、0.052インチ
(1.32mm)である。
【0035】
図4は、完全に拡張された状態における
図1の支持構造の斜視図である。図示するように、完全に拡張された支持構造10は、弁形成リングとして使用可能であるリングを形成する。
【0036】
具体的には、ステント円周の一方の端部が、組織に取り付けられる場合、ステントの圧縮により、組織を締め付けることが可能になる。ステントは、増分および可逆的圧縮または拡張を有する能力を有するため、本デバイスを使用して、心臓弁の能力を高めるように組織の個別の締め付けを提供することができる。これは、僧帽弁逆流または僧帽弁逸脱等の僧帽弁疾患に有用な処置であり得る。
【0037】
支持構造10は、開放手術処置中に患者に移植されることができるが、閉鎖処置が、多くの場合、より望ましい。したがって、支持構造10は、作動機構を含むことができ、これによって、外科医は、移植部位から遠隔の位置から支持構造を拡張または圧縮することが可能になる。円筒状に巻き付けられるハサミ連結の特性に起因して(
図1)、作動機構は、隣接するハサミ接合部間の距離を増加させること、およびアンカー接合部間の距離を減少させることのいずれかによって、ステント直径を拡張するように機能することができる。
【0038】
図5は、特定のアクチュエータ機構を有する
図2の支持構造の斜視図である。図示するように、アクチュエータ機構30は、支持構造10(
図1)の内部に位置付けられる2重ネジ山付きロッド32を含む。しかしながら、アクチュエータ機構30を代わりに支持構造10の外部に位置付けてもよいことを理解されたい。位置付けられるのが内部または外部にかかわらず、アクチュエータ機構30は、同様に動作する。
【0039】
ロッドは、その近位端に右方向ネジ山34Rと、その遠位端に左方向ネジ山34Lとを含む。ロッド32は、一対のネジ山付き低プロファイル支持装着具35-3、35-5を使用して、アンカー点15-3、15-5に装着される。ロッド32の各端部は、6角ドライバ(図示せず)を収容するための6角頭37-3、37-5によって終端となる。理解されるように、ロッド32を一方の方向に回転させることによって、アンカー点25-3、25-5が外側に付勢されて連結を圧縮し、ロッド32を反対の方向に回転させることによって、アンカー点25-3、25-5が内側に付勢されて連結を拡張する。
【0040】
図6は、別の特定のアクチュエータ機構を有する
図2の支持構造の斜視図である。図示するように、アクチュエータ機構30’は、支持構造10(
図1)の内部に位置付けられる単一ネジ山付きロッド32’を含む。ロッド32’は、その両端のうちの片方の上にネジ山34’を含む。ロッド32’は、一対の支持装着具35’-3、35’-5を使用して、低プロファイルアンカー点15-3、15-5に装着され、支持装着具35’-3、35’-5のうちの1つは、ロッドネジ山34’と嵌合するようにネジ山を有する。ロッド32’のネジ山の無い端部は、支持構造を圧縮するように支持装着具35’-5に対して位置する保持止め具39’を含む。ロッド32’の各端部は、6角ドライバ(図示せず)を収容するための6角頭37’-3、37’-5によって終端となる。前述のように、ロッド32’を一方の方向に回転させることによって、アンカー点25-3、25-5が外側に付勢されて連結を圧縮し、ロッド32’を反対の方向に回転させることによって、アンカー点25-3、25-5が内側に付勢されて連結を拡張する。
【0041】
加えて、ストラットが重なるため、一方のストラットが他方のストラットに対して摺動する間に利用するように、ラチェット機構を組み込むことができる。例えば、ステントは、各ストラットの一体部品である特徴的な境界面に起因して、増分直径でロックすることができる。このような特徴の例は、2つのストラットが相互に摺動して通過するような、隣接するストラット表面上の雌構成要素(例えば、穴)と嵌合する一方のストラット表面上の雄構成要素(例えば、隆起)であり得る。このような構造は、ステントの拡張時にステントを拡張構成に増分的にロックするような配向を有するように製作され得る。このようなステントは、従来のバルーンまたは本出願に説明する他の作動機構を使用して拡張され得る。
【0042】
図5および
図6の支持構造10は、閉鎖手術処置中に移植されることを意図するため、アクチュエータ機構は、外科医によって遠隔制御される。一般的な処置では、支持構造10は、係留型管腔内カテーテルを使用して、大腿動脈等の体内管腔を通して移植される。したがって、アクチュエータ機構30は、カテーテルを介して制御され得る。
【0043】
図7は、
図5および
図6のアクチュエータ機構とともに使用可能である特定の支持構造および制御カテーテルアセンブリの斜視図である。制御カテーテル40は、ヒトの動脈等の生体管腔を通って、支持構造とともに挿入されるような寸法を有する。図示するように、制御カテーテル40は、アクチュエータ機構(
図5および
図6)の6角頭37、37’と着脱可能に嵌合するその遠位端上にドライバ44を有する可撓性駆動ケーブル42を含む。ケーブル42の近位端は、6角頭46を含む。操作中、ケーブル42の近位6角頭46は、サムホイールまたは他の適切なマニピュレータ(図示せず)を使用して、外科医によって回転される。6角頭46の回転は、ケーブル42によってドライバヘッド44に伝達され、アクチュエータロッド30、30’(
図5および
図6)を回転する。
【0044】
ケーブル42は、可撓性外側シース48によって包封される。外側シース48の遠位端は、支持構造10と相互作用するような形状を有する唇部または突起49を含む。ケーブル42が回転すると、外側シース唇部49は、支持構造10と相互作用して、結果として生じるトルクに対抗する。
【0045】
ネジ山を用いることによって、ロッドは、支持構造を所望の直径に維持するように自動ロック式である。特定の実施形態では、ロッド32、32’は、1.0mmの直径と、240回転/インチ(9.4回転/mm)のネジ山数とを有する。ネジ山付きロッドおよび駆動機構について説明されるが、特定の手術応用に応じて、連結を作動させるように他の手法を用いてもよい。例えば、アクチュエータ機構を、ステントの内部または外部の代わりに、ストラット部材の厚さ内に配置してもよい。例えば、当技術分野において既知であるように、ウォーム歯車またはラックアンドピニオン機構を用いてもよい。当業者は、他の管腔内作動技法を認識するはずである。他の状況では、支持構造は、開放処置中に移植されることができ、この場合、外部作動機構は必要とされ得ない。
【0046】
薬物送達等の、上述の支持構造の他の使用が存在するが、特定の実施形態は、人工弁を支持する。具体的には、支持構造は、大動脈弁置換術等のために、人工弁と組み合わせて使用される。
【0047】
図8は、特定の回転人工弁アセンブリの斜視図である。人工弁100は、開放位置において示される3つの弁尖構成を備える。弁尖は、動物の心膜(例えば、ウシ、ブタ、ウマ)、ヒトの心膜、化学処理した心膜、グルタルアルデヒド処理した心膜、組織工学的に作製された材料、組織工学的に作製された材料のための足場、自家心膜、死体心膜、ニチノール
(登録商標)、ポリマー、プラスチック、PTFE、または当技術分野において既知である任意の他の材料等の、生体適合性材料由来である。
【0048】
弁尖101a、101b、101cは、定常円筒状部材105および非定常円筒状部材107に取り付けられる。各弁尖101の1つの側面は、非定常円筒状部材107に取り付けられる。各弁尖101の反対の側面は、定常円筒状部材105に取り付けられる。各弁尖101の取り付けは、円筒状部材105、107の長手方向軸に対して略垂直である方向である。本実施形態では、各弁尖101は、柔軟で、略長方形であり、定常部材105および非定常部材107へのその取り付けの間で180度のねじれを有する。各弁尖101は、内縁102および外縁103を有し、1つの弁尖101cの縁102c、103cは、図面において参照されている。当技術分野において既知であるように、弁尖は、生物学的材料もしくは非生物学的材料、またはそれらの組み合わせのいずれかから製作されることができる。
【0049】
弁を閉鎖させる作動法の1つは、心周期の通常の血流または血圧の変化により及ぼされる力を利用することによる。より具体的には、心臓は、
図8に示す矢印の方向に、完全に開放した弁を通して血液を吐出する。その直後に、遠位または下流の血圧は、弁において、近位の圧力に対して上昇し始め、弁に背圧を生成する。
【0050】
図9は、閉鎖中の
図8の弁アセンブリの斜視図である。矢印の方向に沿ったこの背圧によって、弁尖101および非定常部材107の定常円筒状部材105に向かう軸方向の変位が引き起こされる。弁尖101が長手方向軸に対して垂直から水平平面に移動する際、正味の反時計回りトルク力が、非定常部材107および弁尖101に及ぼされる。トルク力は、求心力を弁尖101に作用させる。
【0051】
図10は、完全に閉鎖した後の
図8の弁アセンブリの斜視図である。図示するように、弁尖101が弁の中心に変位し、非定常円筒状部材107が定常部材105の上に存在する際に、弁100の完全な閉鎖が発生する。
【0052】
弁100開放の機能については、弁閉鎖のステップの逆を順守することによって、つまり、
図10から
図8の図の順に従って、理解することができる。
【0053】
大動脈弁置換術として弁100を考察すると、弁は、心臓が収縮期に入るまで、
図10に示すように閉鎖状態のままであり得る。収縮期中、心筋が強く収縮する際、弁の近位側(心臓に最も近い側面)に及ぼされる血圧は、閉鎖した弁の遠位側(下流)の圧力よりも大きい。この圧力勾配によって、弁尖101および非定常円筒状部材107は、軸平面に沿って定常部材105から離隔して変位する。弁100は、簡潔に言うと、
図9に示す半閉鎖移行状態を帯びる。
【0054】
弁尖101が軸平面に沿って水平配向から垂直配向へ伸長する際、正味のトルク力が、弁尖101および非定常円筒状部材107に及ぼされる。弁100が開放するため、閉鎖とは対照的に、弁を開放するように及ぼされるトルク力は、弁を閉鎖するように及ぼされる力とは反対である。
図9に示す実施形態の構成を考えると、弁を開放するトルク力は、時計回りの方向であり得る。
【0055】
トルク力によって、弁尖101は、弁100の長手方向軸を中心に非定常部材107とともに回転する。次いで、これは、各弁尖101に遠心力を作用させる。弁尖101は、中心から離隔する半径方向変位を受け、弁を効果的に開放し、
図8の矢印が示す方向に、血液が心臓から離隔して流れることを可能にする。
【0056】
要約すると、弁は、3つの力を連結することによって、一方向の血流を提供するように受動的に機能する。軸方向トルク力および半径方向力は、順次的かつ可逆的方式で変換されるとともに、前の運動の方向性をコード化する。最初に、血流および血圧の軸方向力によって、軸平面に沿った、定常部材105に対する弁尖101および非定常部材107の変位が引き起こされる。これは、弁尖101および非定常部材107に対する回転力に変換される。次いで、トルク力は、半径方向平面に沿って、弁の中心に向かって、または弁の中心から離隔して弁尖101を変位し、弁100を閉鎖または開放する。弁100は、心周期により弁に最初に印加された軸方向力の方向に応じて、開放または閉鎖の経路を受動的に追従する。
【0057】
体内において、定常円筒状部材105は、移植部位における適所に固定および固着されることができ、非定常部材107および弁尖101の遠位端は、軸平面に沿って自由に変位する。大動脈弁置換術として人工弁を使用する際、定常部材105は、大動脈基部に固定され得る。心臓からの血圧または血流が増加する際、弁100は、血液が弁100から吐出している状態で、その閉鎖構成から開放構成に変化する。
【0058】
図8~
図10の回転弁の具体的な利点は、さらなる実施形態とともに、上記に組み込まれた特許の仮特許出願に説明される。
【0059】
図11は、
図1の支持構造と組み合わせた
図8~
図10の弁の斜視図である。閉鎖位置で示されるように、弁の定常部材105は、支持構造10に取り付けられる。弁の非定常部材107は、支持構造10に取り付けられていない。これにより、非定常部材107は、弁の開放または閉鎖中に、軸平面に沿って、弁尖101とともに変位することが可能になる。この特定の実施形態では、弁100は、図示するように、支持構造10の一方の端部に近い位置を占める。
【0060】
図12は、開放位置にある
図11の弁の斜視図である。上述のように、非定常部材107は、支持構造10に取り付けられていないため、軸平面に沿って、弁尖101とともに自由に変位する。この特定の実施形態では、完全に開放している間、非定常部材107および弁尖101は、支持構造10内にとどまる。
【0061】
ステント型弁110は、上述のように、閉鎖処置中に移植されることができる。しかしながら、ステントの本体内の非定常部材の動作に起因して、ステントを圧縮および拡張するアクチュエータ機構は、ステント内に配置され得ない。
【0062】
ステント型弁110のさらなる実施形態、本体内の弁の位置決め、および移植の処置は、上記に組み込まれる特許の仮特許出願に説明される。加えて、組織弁が、支持構造上にドレープされ得る。追加の実施形態は、当業者に明白であるはずである。
【0063】
図13は、
図1の支持構造に装着される従来の組織弁の斜視図である。図示するように、ステント型弁120は、上述の支持構造等の支持構造10に取り付けられる人工組織弁121を含む。
【0064】
組織弁121は、3つの柔軟な半円形弁尖121a、121b、121cを含み、これらの弁尖は、
図8に関連して述べたように、生体適合性材料由来であることができる。隣接する弁尖は、対になって、支持構造10上の合わせ目123x、123y、123zに取り付けられる。具体的には、合わせ目123x、123y、123zは、支持構造10上の離間する遠位アンカー点13x、13y、13zに対応する。18個のストラットステントでは、合わせ目は、2つの遠位アンカー点おきに、対応する締結具25を介して構造10に取り付けられる。
【0065】
合わせ目から、弁尖側面は、隣接する斜めストラットに接続される。すなわち、第1の弁尖121aの側面は、ストラット11-Xaおよび11-Zaにそれぞれ縫合され、第2の弁尖121bの側面は、ストラット11-Xbおよび11-Ybにそれぞれ縫合され、第3の弁尖121cの側面は、ストラット11-Ycおよび11-Zcにそれぞれ縫合される。これらの縫合は、斜めストラット上のハサミ旋回点において終端となる。
【0066】
図示する構成では、隣接するストラット11は、ステントの端部において複数のアーチ128を作成するように、相互に取り付けられる。弁尖取り付けのための柱または合わせ目は、適切なアーチ128x、128y、128zを画定するストラットの各々に、隣接する弁尖を取り付けることによって形成される。図示する構成では、3つの弁尖121a、121b、121cが存在し、その各々は、その反対の境界のうちの2つに沿ってストラットに取り付けられる。合わせ目は、ステントにおける3つの等間隔アーチ128x、128y、128zによって形成される。
【0067】
その隣接するストラットに関連付けられるストラットの傾斜配向によって、弁尖121a、121b、121cは、三角形構成でステントに取り付けられる。この三角形構成は、自然大動脈弁尖の傾斜取り付けをシミュレーションする。自然弁では、これは、内側弁尖三角部として知られる弁尖間の解剖学的構造を作成する。解剖学的内側弁尖三角部は、ヒトの自然大動脈弁尖に構造的完全性および耐久性を提供すると考えられることから、人工弁においてこの構造をシミュレーションすることは有利である。
【0068】
弁尖をストラットに取り付ける一方法は、多層ストラット間に弁尖を挟むことである。次いで、多数の層は、縫合によってまとめて保持される。ストラット間に弁尖を挟むことは、弁尖に対する力の消散および弁尖を通る縫合の裂けの防止に役立つ。
【0069】
各弁尖121a、121b、121cの残りの側面は、弁尖の縫い目によって示されるように、中間ストラット部材を環状に横断して縫合される。ストラット間の残りの開放空間は、移植部位に対する弁の封止、ひいては弁傍漏出の制限に役立つように、生体適合性スカート125によってドレープされる。図示するように、スカート125は、弁尖の下および弁尖の間のステントのこれらの部分を被覆するような形状を有する。
【0070】
より詳細には、弁の基部におけるスカート125は、ステント壁を裏打ちする薄い材料層である。スカート材料は、心膜組織、ポリエステル、PTFE、または成長する組織を受け入れるのに適切な他の材料もしくは材料の組み合わせであることが可能であり、組織成長を促進するか、または感染を阻止する化学処理した材料が含まれる。スカート層は、弁の周囲の漏出、つまり弁傍漏出を低減または排除するように機能する。このために、以下を含む、スカート材料層をステントに取り付ける多数の方法が存在する:
・スカート層は、ステントの内部または外部上に存在することができる;
・スカート層は、ステントの下側部分を占めることができる;
・スカート層は、ステントの下側および上側部分を占めることができる;
・スカート層は、ステントの上側部分のみを占めることができる;
・スカート層は、合わせ目の柱を画定するストラット間の範囲を占めることができる;
・ スカート層は、弁尖材料と連続的であることができる;
・ スカート層は、ストラットまたは多数の部位に縫合されることができる;または、
・ スカート層は、ステントの下側部分に固定され、体内への配備中にステントの外部を被覆するように引張または押圧されることができる。
【0071】
当業者が具体的な用途について代替のドレープ技法を認識できるため、上記に列挙したものは、必ずしも限定的ではない。
【0072】
図14は、完全な内側スカートを有する
図13の弁構造の斜視図である。ステント型弁120’は、支持構造10に取り付けられる3つの弁尖121a’、121b’、121c’を有する人工組織弁121’を含む。スカート層125’は、ステント10の内面を被覆する。したがって、弁尖121a’、121b’、121c’は、スカート層125’に縫合される。
【0073】
図15は、完全な外側スカートを有する
図13の弁構造の斜視図である。ステント型弁120”は、
図13において説明するような、支持構造10に取り付けられる3つの弁尖121a”、121b”、121c”を有する人工組織弁121”を含む。スカート層125”は、ステント10の外面を被覆する。
【0074】
また、組織弁構造120、120’,120”は、上述のように、閉鎖処置中に移植されることができる。しかしながら、ステントを圧縮および拡張するアクチュエータ機構は、アクチュエータ機構をステント10の外面に装着する等によって合わせ目点を回避し、かつスカート層125、125’、125”に対する損傷を制限するように取り付けられ得る。
【0075】
上述の実施形態は、線状ストラット棒および同等長さのハサミアームを有する支持構造を取り上げているが、他の幾何学的形状を用いてもよい。結果として生じる形状は、円筒状以外のものであり、一定の用途においてより良好な性能を有することができる。
【0076】
図16は、円錐形支持構造構成におけるストラット部材の配置の斜視図である。円錐構造10’では、ストラット部材11は、中央ハサミ旋回部がストラットを2等分しないこと以外は、
図2に示すように配置される。具体的には、中央ハサミ旋回部(例えば、15’-1、15’-7)は、接合されたストラット部材(例えば、11’-1、11’-2および11’-3、11’4)を、5/12長さおよび7/12長さの同等ではない区画に分割する。完全に組み立てられると、結果として生じる支持構造は、拡張時に円錐形状に一致する。例示目的のために、ステント10’は、単一ネジ山付きアクチュエータロッド32’(
図6)を含んで示されるが、このステント実施形態に必須の要素ではない。
【0077】
また、ステント10’は、凸状または凹状の湾曲を、ステント10’を備える個々のストラット部材11に与えることによって、その拡張された構成において円錐形状も帯びることができる。これは、形状記憶または温度感受性ニチノール(登録商標)等の、記憶を有する材料を使用することによって達成され得る。
【0078】
弁は、弁の基部が、円錐形ステントの狭い方の部分にあり、弁の基部でない部分が円錐の広い方の部分にあるように、円錐形ステント10’で配向されることができる。代替として、弁の基部は、ステントの最も広い部分に位置し、弁の基部でない部分は、それよりも広くない部分にあることができる。
【0079】
体内における円錐形ステント10’の配向は、血流の流れに向かうか、またはその流れから離隔するかのいずれかであることができる。他の体内管腔(例えば、気道または消化管)では、ステントは、軸平面に関連していずれかの方向に配向され得る。
【0080】
図17は、砂時計形支持構造構成の斜視図である。本構成では、中央旋回点15”-1、15”-7、15”-9(くびれ部)の周囲の円周は、ステント10”の両端における円周よりも小さい。図示するように、砂時計形支持構造10”は、ストラット部材11”の数を6個に減らして、前の実施形態に比べてストラット部材11”を短くすることによって達成される。短くしたことにより、ストラット部材11”当たりのオリフィス13”の数が少なくなる。ストラットの数および幾何学的形状により、各ストラット部材11”は、3つの長手方向平面に沿った点19”においてねじれを含む。このねじれは、接合されたストラット15”-3間に平らな境界面を提供する。
【0081】
また、砂時計ステント構成は、個々の棒11”に凸状または凹状湾曲を与えることによって達成され得る。この湾曲は、材料の特性(例えば、形状記憶または感熱ニチノール(登録商標))であり得る。湾曲は、圧縮されたステント状態では存在せず、ステントがその拡張された状態にある場合に出現する。
【0082】
上述の支持構造のうちのいずれかが、ステントの両端のうちのいずれかにおけるアンカー接合点を超えて延出可能であることに留意されたい。一連のステントを末端間連鎖様式で結合することによって、追加のステントの長さおよび幾何学的形状を製作することができる。具体的には、砂時計形ステントは、2つの円錐形ステントをその2つの狭い端部で接合することによって達成され得る。また、砂時計形状は、
図14に示すように、中央ハサミ旋回部を分解することによって修正されることができる。
【0083】
本発明の特定の実施形態は、その構造および用途を含む従来技術を上回る明らかな利点を提供する。一定の利点について以下に要約するが、追加の利点が存在し得るため、要約は、必ずしも完全なリストではない。
【0084】
本デバイスによって、使用者は、経皮的心臓弁移植中に発生し得る深刻な合併症を避けることが可能になる。本デバイスは、体内への移植中に回収可能および再配置可能であることから、外科医は、移植中の弁の位置異常または移動に起因する深刻な合併症を回避することができる。これらの合併症の例として、冠状動脈の閉塞、大量弁傍漏出、または不整脈が挙げられる。
【0085】
また、本デバイスは、デバイスの狭い挿入プロファイルに起因して、血管アクセス合併症も減少させることができる。デバイスのプロファイルは、その独特の幾何学的形状に部分的に起因して低く、これにより、ステントにおける隣接するストラットが、ステントの圧縮中に重なることができる。デバイスの低プロファイルは、バルーンまたはシースの必要性を排除することによって、さらに補強される。本デバイスの狭いプロファイルは、患者における血管アクセス経路選択肢を広げる利点を提供する。例えば、本デバイスによって、患者の脚の動脈を通る人工弁の送達が可能になり、以前であれば、この患者は、胸壁を通るより侵襲的な手法を受けていたであろう。ゆえに、本デバイスは、血管アクセス不良の患者における大きいプロファイルのデバイスの使用に関連する合併症を減少させることを目的とする。
【0086】
組織弁の実施形態は、弁尖の可撓性合わせ目柱への取り付けを可能にすることによって、耐久性の改善を提供することができる。可撓性柱によって、心周期により弁尖に与えられる応力および歪みの消散が可能になる。多重層ストラットの使用によって、弁尖を、ストラット間に挟むことが可能になり、弁尖取り付けが再び実施され、縫合の裂けが防止される。さらに、弁は、望ましい弁尖形態を帯び、この弁尖形態によって、弁尖に対する応力および歪みが低減する。すなわち、ステントへの傾斜弁尖の取り付けは、自然のヒトの大動脈弁の弁尖間内側三角部パターンに類似する。これらの特性によって、経皮的心臓弁置置換治療の寿命が大幅に改善される。
【0087】
このデバイスは、ステントの増分拡張または圧縮に起因して、不整脈合併症を低減または排除し得る。ステントは、配備するためにネジ機構を用いることができ、ネジ機構によって、ステントは、全半径において自動ロックまたはロック解除することが可能になる。これにより、より制御された配備と、各患者におけるデバイスの拡張または圧縮を個別化する可能性とが可能になる。デバイスの拡張または圧縮が、処置中の任意の段階において可逆的であることから、外科医は、不整脈を軽減するために、本デバイスの拡張を容易に逆行させることができる。加えて、移植中に不整脈が検出される場合、デバイスを再配置して、問題をさらに排除することができる。
【0088】
このデバイスは、正確に配置され、かつ必要に応じて再配置されるデバイスの能力に起因して弁傍漏出を低減または排除することができる。これにより、弁傍漏出の発生および重度を大幅に減少させることができる。
【0089】
このデバイスは、バルーン関連合併症を排除する。配備のネジ機構は、ネジの機械的利点を活用する。これは、ステントの強力な膨張を提供する。ステントのハサミ連結におけるストラットの旋回により作成されるレバーアームは、さらなる拡張力をステントに伝達する。ステントは、バルーンを必要とせずに拡張される。加えて、強力に膨張されるデバイスの能力は、患者における移植処置中にバルーン処理前または処理後の必要性を軽減または排除する。
【0090】
このデバイスは、圧縮位置と拡張位置とにおけるステントの高さの差異が小さいことから、体内において、より予測可能であり、かつ正確な位置決めを有する。この「この減少した短縮化」は、外科医が、体内の望ましい位置にデバイスを位置決めするのに役に立つ。体内においてデバイスを再配置する能力は、各個人においてデバイスを正確に位置付ける能力をさらに与える。
【0091】
機械的利点に加え、本デバイスによって、より広範の患者集団が、弁置換のための低侵襲的手段によって処置されることが可能になる。例えば、本デバイスによって、開胸手術弁置換に適応しない併存疾患を有する患者に、処置選択肢を提供することが可能になる。また、狭いプロファイルを帯びるデバイス能力によって、血管アクセスの不良(例えば、蛇行性動脈、石灰化動脈、または小動脈)に起因して以前処置を拒否された患者に、処置選択肢を提供することが可能になる。弁の耐久性によって、低侵襲的処置の使用は、拒否されなければ開胸手術弁置換に適応し得る健康な患者集団に拡大するはずである。強力に拡張するか、または砂時計形状もしくは円錐形状を帯びる本デバイスの能力によって、デバイスの用途は、大動脈弁閉鎖不全症ならびに大動脈弁狭窄症と診断された患者の治療に潜在的に拡大する。
【0092】
また、本デバイスは、「バルブインバルブ」処置を提供することによって、従来の移植片からの変性人工器官を有する患者に低侵襲的治療を提供することもできる。本デバイスは、患者の変形人工器官を除去せずに、不全弁の内部に正確に位置付けられ得る。これは、「再実行」動作およびそれに関連するリスクを含まずに、機能弁置換を提供することによって、患者を助ける。
【0093】
本発明は、特定の実施形態に関連して具体的に図示および説明されているが、添付の請求項により包含される本発明の内容から逸脱することなく、形式および詳細について種々の変更を実施形態に加えてもよいことを当業者により理解されたい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【外国語明細書】