(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028039
(43)【公開日】2022-02-14
(54)【発明の名称】マスクアセンブリー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/04 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
C23C14/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207610
(22)【出願日】2021-12-21
(62)【分割の表示】P 2017205933の分割
【原出願日】2017-10-25
(31)【優先権主張番号】10-2016-0142135
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】特許業務法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】李 相 信
(72)【発明者】
【氏名】安 洪 均
(57)【要約】
【課題】薄型マスク基板で製造することができるマスクアセンブリー及びその製造方法を提供する。
【解決手段】開口領域を有するマスクフレームと、マスクフレーム上に配置された複数の分割マスクと、を含み、分割マスクは蒸着パターン部及びマスクフレームに固定される端部を含み、蒸着パターン部は複数の開口パターンを含み、分割マスクは20μm以下の厚さを有する。
【選択図】
図2b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割マスク基板を準備し、
前記分割マスク基板の一方の面に、第1開口を定義する第1蒸着パターン及び前記第1開口の内側に配置された補助パターンを含む第1フォトレジストパターンを形成し、
前記分割マスク基板の他方の面に第2開口を定義する第2フォトレジストパターンを形成し、
前記分割マスク基板の前記一方の面をハーフエッチングし、
前記ハーフエッチングされた分割マスク基板の前記一方の面上にレジンを塗布し、
前記分割マスク基板の前記他方の面をハーフエッチングすることを含み、
前記補助パターンは、前記第2開口と重畳する、マスクアセンブリー製造方法。
【請求項2】
前記補助パターンの中心は、前記第1開口の中心と一致する、請求項1に記載のマスクアセンブリー製造方法。
【請求項3】
前記分割マスク基板の前記他方の面をハーフエッチングした後に、
前記第1フォトレジストパターン及び前記第2フォトレジストパターンを除去することをさらに含む、請求項1に記載のマスクアセンブリー製造方法。
【請求項4】
前記第1フォトレジストパターンは、前記第2フォトレジストパターンの面積より大きな面積を有する、請求項1に記載のマスクアセンブリー製造方法。
【請求項5】
前記第1フォトレジストパターンは、前記第1蒸着パターンと前記補助パターンとを接続する少なくとも一つの接続部をさらに含む、請求項1に記載のマスクアセンブリー製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマスクアセンブリー及びその製造方法に関するもので、より詳しくは薄型のマスク基板で製造されたマスクアセンブリー及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置(organic light emitting diode display)は、光を放出する有機発光素子によって画像を表示する自発光型表示装置である。有機発光表示装置は、液晶表示装置(liquid crystal display)とは異なり、光源を必要としないので、相対的に小さい厚さ及び重さを有する。また、有機発光表示装置は、低消費電力、高輝度及び高反応速度などの高品位特性を有するので、携帯用電子器機の次世代表示装置として注目されている。
【0003】
有機発光素子は、アノードとカソードに注入される正孔と電子とが発光層で再結合して発光して色相を呈し、アノードとカソードとの間に発光層を挿入した積層型構造である。しかし、このような構造によっては高効率の発光を得にくいため、それぞれの電極と発光層との間に電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、及び正孔注入層などの中間層を選択的にさらに挿入して用いている。
【0004】
一方、有機発光素子の電極及び発光層を含む中間層は、様々な方法で形成することができ、その一つの方法が蒸着法である。蒸着法を用いて有機発光表示装置を製造するために、基板上に形成される薄膜のパターンと同じパターンを有するファインメタルマスク(Fine Metal Mask;FMM)を用いる。ファインメタルマスク(FMM)は基板上に整列され、薄膜を成す物質が蒸着されることにより、基板上に薄膜がパターニングされる。
【0005】
この時、ファインメタルマスクが蒸着用基板と密着して配置されるほど蒸着された膜のパターンの精密度が向上する。よって、近年、薄型のマスク基板を用いてマスクアセンブリーを製造するための研究が進んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、薄型のマスク基板を製造することができるマスクアセンブリー及びその製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリーは、開口領域を有するマスクフレームと、マスクフレーム上に配置された複数の分割マスクと、を含み、分割マスクは、蒸着パターン部及びマスクフレームに固定される端部を含み、蒸着パターン部は、複数の開口パターンを含み、分割マスクは、20μm以下の厚さを有する。
【0008】
開口パターンの長さLに対する分割マスクの厚さdの比率d/Lは、0.2以上かつ0.7以下であってもよい。
【0009】
開口パターンは、30μm以上かつ50μm以下の長さを有してもよい。
【0010】
分割マスク基板は、金属であってもよい。
【0011】
分割マスク基板は、インバー(Invar)合金であってもよい。
【0012】
上述した目的を達成するための本発明の他の一実施形態に係るマスクアセンブリーの製造方法は、分割マスク基板を準備し、分割マスク基板の一方の面に、第1開口を定義する第1蒸着パターン及び第1開口の内側に配置された補助パターンを含む第1フォトレジストパターンを形成し、分割マスク基板の他方の面に第2開口を定義する第2フォトレジストパターンを形成し、分割マスク基板の一方の面をハーフエッチングし、ハーフエッチングされた分割マスク基板の一方の面上にレジンを塗布し、分割マスク基板の他方の面をハーフエッチングすることを含み、補助パターンは、第2開口と重畳する。
【0013】
補助パターンの中心は、第1開口の中心と一致してもよい。
【0014】
分割マスク基板の他方の面をハーフエッチングした後に、第1フォトレジストパターン及び第2フォトレジストパターンを除去することをさらに含むことができる。
【0015】
第1フォトレジストパターンは、第2フォトレジストパターンの面積より大きな面積を有してもよい。
【0016】
第1フォトレジストパターンは、第1蒸着パターンと補助パターンを接続する少なくとも一つの接続部をさらに含むことができる。
【0017】
接続部は、第1接続部、第2接続部、第3接続部、及び第4接続部を含むことができる。
【0018】
第1接続部及び第3接続部は、第1方向に延伸している。
【0019】
第2接続部及び第4接続部は、第1方向と交差する第2方向に延伸している。
【発明の効果】
【0020】
本発明によるマスクアセンブリーは、次のような効果を提供する。
【0021】
薄型のマスク基板でマスクアセンブリーを製造することができる。また、薄型のマスク基板でマスクアセンブリーを製造する場合に、開口部パターンを精密に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリーの斜視図である。
【
図2a】本発明の一実施形態に係る分割マスクの斜視図である。
【
図2b】本発明の一実施形態に係る分割マスクの断面図である。
【
図3a】本発明の他の一実施形態に係る分割マスクの製造工程を示した図である。
【
図3b】本発明の他の一実施形態に係る分割マスクの製造工程を示した図である。
【
図3c】本発明の他の一実施形態に係る分割マスクの製造工程を示した図である。
【
図3d】本発明の他の一実施形態に係る分割マスクの製造工程を示した図である。
【
図3e】本発明の他の一実施形態に係る分割マスクの製造工程を示した図である。
【
図3f】本発明の他の一実施形態に係る分割マスクの製造工程を示した図である。
【
図4a】本発明の他の一実施形態に係る
図3cの第1面を示した平面図である。
【
図4b】本発明の他の一実施形態に係る
図3cの第2面を示した平面図である。
【
図5】本発明のさらに他の一実施形態に係る
図3cの第1面を示した他の平面図である。
【
図6】本発明のさらに他の一実施形態に係る
図3cの第1面を示したさらに他の平面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリーを用いて基板上に蒸着することを示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリーを用いて製造された有機発光表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の利点及び特徴と、それらを達成する方法は、添付される図面と共に詳細に後述されている実施形態などを参照すると、明確になる。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態などに限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態で具現され、単に本実施形態などは、本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明のカテゴリを完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項のカテゴリによって定義されるのみである。従って、いくつかの実施形態において、よく知られている工程ステップなど、よく知られている素子構造及びよく知られている技術は、本発明が曖昧に解釈されることを避けるために具体的に説明されない。明細書全体にわたって同一参照符号は、同一構成要素を指称する。
【0024】
図面において、多くの層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書全体を通して類似した部分については、同一の図面符号を付けた。層、膜、領域、板などの部分が他の部分“上に”あるとするとき、これは他の部分“真上に”ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分“真上に”あるとするときには、中間に他の部分がないことを意味する。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分“下に”あるとするとき、これは他の部分“すぐ下に”ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分“すぐ下に”あるとするときには、中間に他の部分がないことを意味する。
【0025】
空間的に相対的な用語である“下(below)”、“下(beneath)”、“下部(lower)”、“上(above)”、“上部(upper)”などは、図面に示されているように、一つの素子又は構成要素などと、他の素子又は構成要素などとの相関関係を容易に記述するために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図面に示されている方向に加えて使用時又は動作時の素子の互いに異なる方向を含む用語として理解されるべきである。例えば、図面に示されている素子を覆す場合は、他の素子の“下(below)”又は“下(beneath)”に記述された素子は、他の素子の“上(above)”に置かれることができる。従って、例示的な用語である“下”は、下と上の方向をいずれも含むことができる。素子は、他の方向にも配向されることができ、これにより、空間的に相対的な用語は、配向に応じて解釈され得る。
【0026】
本明細書において、第1、第2、第3などの用語は、様々な構成要素などを説明するのに使用され得るが、これらの構成要素などは、用語などによって限定されるものではない。用語などは、一つの構成要素を他の構成要素などから区別する目的で使用される。例えば、本発明の権利範囲から逸脱せず、第1構成要素が第2又は第3構成要素などと命名されることができ、類似に第2又は第3構成要素も交互的に命名され得る。
【0027】
他の定義がなければ、本明細書で使用されるすべての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に共通的に理解され得る意味で使用され得る。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語などは、明白に特別に定義されていない限り理想的に又は過度に解釈されない。
【0028】
以下、
図1を参照して本発明の一実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリーの斜視図である。
【0029】
マスクアセンブリー10は、マスクフレーム100及び複数の分割マスク200を含む。
【0030】
マスクフレーム100は、開口領域101を有し、方形の枠状であってもよい。例えば、マスクフレーム100は、Y方向に延伸するとともに、X方向に互いに対向する二つのフレーム、及びX方向に延伸するとともにY方向に互いに対向する二つのフレームが互いに接続された方形の枠状であってもよい。
【0031】
マスクフレーム100は、マスクフレーム100に作用する圧縮力又は熱による変形を最小化するために、剛性の高い金属物質であってもよい。
【0032】
図1に示したように、マスクフレーム100上に複数の分割マスク200が配置される。分割マスク200は、ステンレススチール(SUS)、インバー(Invar)合金、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ニッケル合金及びニッケル-コバルト合金のいずれか一種であってもよい。分割マスク200として、上記の材料を用いることにより、分割マスク200に作用する圧縮力又は熱による変形を最小化することができる。
【0033】
分割マスク200は、マスクフレーム100上にX方向に配置され、複数の分割マスク200は、Y方向に連続的に配置される。分割マスク200は、端部216、217をマスクフレーム100に溶接することで固定できる。例えば、溶接は、スポット溶接(spot welding)であってもよい。スポット溶接は、複数の溶接ポイントを設定して、それぞれ溶接することにより、溶接時に分割マスク200の変形を最小限にすることができる。溶接ポイントは、例えば少なくとも一列(column)又はジグザグ(zigzag)状になっていてもよい。
【0034】
また、複数の分割マスク200は、Y方向に連続的に配置されることでマスクフレーム100の開口領域101を覆うことができる。
【0035】
図2aは、本発明の一実施形態に係る分割マスクの斜視図、
図2bは、本発明の一実施例による分割マスクの断面図である。
【0036】
図2aを参照すると、分割マスク200は、複数の蒸着パターン部211を有する中央部及びマスクフレーム100に固定される端部216、217を含むことができる。
【0037】
図2bに示したように、本発明の一実施形態に係る分割マスク200は、薄型の金属プレートで形成される。具体的に、分割マスク200は、20μm以下の厚さdを有する金属プレートで形成される。
【0038】
また、本発明の一実施形態に係る分割マスク200の開口パターン212は、30μm以上50μm以下の長さLを有する。すなわち、本発明の一実施形態に係る分割マスク200は、開口パターン212の長さLに対する分割マスクの厚さdの比率d/Lは、0.2以上0.7以下であってもよい。ここで、開口パターン212の長さLは、分割マスク200の第1方向(
図2aではX方向)の長さである。
【0039】
分割マスク200は、蒸着用基板300に対向する第1面201及び第1面201と反対の第2面202を含む。
【0040】
分割マスク200は、蒸着パターン部211を含む。蒸着パターン部211は、分割マスク200の長手方向(X方向)に互いに離隔して配置できる。
【0041】
各蒸着パターン部211は、複数の開口パターン212を含む。
図2bに示したように、分割マスク200は開口パターン212によって厚さ方向に貫通される。
【0042】
開口パターン212のそれぞれは、複数の分割マスク200上に配置される蒸着用基板300に蒸着しようとする薄膜形状に対応する形状で形成される。よって、蒸着工程で蒸着物質が開口パターン212を通して蒸着用基板上に蒸着されて、所望形状の薄膜が形成される。
図1及び
図2aに示したように、開口パターン212は帯状であってもよい。ただ、これに限定されなく、開口パターン212は円形、四角形などのさまざまな形状であってもよい。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、精密な開口パターン212を有する蒸着パターン部211が形成された薄型の分割マスク200を複数用いることにより、マスクアセンブリー10を製造することができる。複数の分割マスク200の各々は薄型であるため、マスクアセンブリー10と、マスクアセンブリー10上に配置される蒸着用基板300との密着性を向上させることができる。これにより、蒸着用基板300に、精密な蒸着膜のパターンを形成することができる。
【0044】
以下、
図3a~
図4bを参照して本発明の他の一実施形態に係る分割マスクの製造方法について詳細に説明する。
図3a~
図3fは、本発明の他の一実施形態に係る分割マスクの製造工程を示した図である。
図4aは、本発明の他の一実施形態に係る
図3cの第1面を示した平面図、
図4bは、本発明の他の一実施形態に係る
図3cの第2面を示した平面図である。
【0045】
図3aに示したように、分割マスク基板200’を準備する。分割マスク基板200’は、ステンレススチール(SUS)、インバー(Invar)合金、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ニッケル合金、ニッケル-コバルト合金のいずれか一種である。
【0046】
この際、分割マスク基板200’は、蒸着用基板300に対向する第1面201及び第1面201と反対の第2面202を含む。
【0047】
図3bを参照すると、分割マスク基板200’の第1面201に第1フォトレジスト410’を塗布し、分割マスク基板200’の第2面202に第2フォトレジスト420’を塗布する。
【0048】
図3cを参照すると、第1面201に塗布された第1フォトレジスト410’をパターニングして、第1フォトレジストパターン410を形成し、第2面202に塗布された第2フォトレジスト420’をパターニングして、第2フォトレジストパターン420を形成する。
【0049】
第1フォトレジストパターン410は、第1蒸着パターン411及び補助パターン412を含む。
【0050】
第1蒸着パターン411は、複数の分割マスク200上に配置される蒸着用基板300に蒸着しようとする薄膜形状に対応する形状の第1開口431を定義するように形成される。
【0051】
補助パターン412は、第1蒸着パターン411によって定義された第1開口431内に配置される。また、補助パターン412は、
図3cに示したように、第2フォトレジス
トパターン420によって定義される第2開口432と重畳する。この際、
図4a及び
図4bに示したように、第1フォトレジストパターン410は、第2フォトレジストパターン420より大きい面積を有することができる。
【0052】
第2フォトレジストパターン420は、複数の分割マスク200上に配置される蒸着用基板300に蒸着しようとする薄膜形状に対応する形状の第2開口432を定義するように形成できる。この時、第2開口432は補助パターン412と重畳する。
【0053】
図3cに示したように、補助パターン412の中心C2は、第1開口431の中心C1と実質的に一致する。すなわち、補助パターン412は、第1開口431の中心に位置することができる。よって、第1フォトレジストパターン410によるハーフエッチングの際、薄型の分割マスク基板200’が過度にエッチングされることを防止することができる。なお、本明細書等において、ハーフエッチングとは、所定の厚さを残して分割マスク基板を上面からエッチングすることをいう。
【0054】
本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリー10の製造方法は、第1開口431の中心に位置する補助パターン412を形成し、第1フォトレジストパターン410によるハーフエッチングの際、分割マスク基板200’が貫通されないようにする。これにより、精密な開口パターン212を形成することができる。よって、精密な開口パターン212を有する薄型の分割マスク200を形成することができる。
【0055】
図3dを参照すると、分割マスク基板200’の第1面201は、第1フォトレジストパターン410に従ってハーフエッチングされる。具体的に、第1フォトレジストパターン410によって形成された第1開口431に対応して第1溝451が形成される。この時、第1溝451は分割マスク基板200’を貫通せず、第1面201から所定の深みを有することができる。
【0056】
図3eを参照すると、第1溝451が形成された第1面201上にレジン500を塗布する。この時、レジン500は分割マスク基板200’の第1面201の全面を覆うことができる。具体的に、レジン500は、第1溝451を含む第1面201を覆うことができる。
【0057】
図3fを参照すると、分割マスク基板200’の第2面202を、第2フォトレジストパターン420に従ってハーフエッチングする。具体的に、第2フォトレジストパターン420に従って形成された第2開口432に対応して第2面202に第2溝452を形成する。この時、第1溝451及び第2溝452によって分割マスク基板200’が貫通される。
【0058】
次に、分割マスク基板200’の第1面201上に塗布されたレジン500及び第1フォトレジストパターン410及び分割マスク基板200’の第2面202上に塗布された第2フォトレジストパターン420が除去される。以上の工程により、
図2bに示す薄型の分割マスク基板200’に開口パターン212が形成された分割マスク200が形成できる。
【0059】
開口パターン212のそれぞれは、複数の分割マスク200上に配置される蒸着用基板300に蒸着しようとする薄膜形状に対応する形状に形成できる。よって、蒸着工程で蒸着物質が開口パターン212を通して蒸着用基板上に蒸着されて、所望形状の薄膜が形成できる。
【0060】
なお、分割マスク基板200’の第1面及び第2面からハーフエッチングを行う場合、補助パターン412が形成されていないと、分割マスク基板200’が薄型であるため、過度にエッチングされてしまうおそれがある。分割マスク基板200’が過度にエッチングされると、開口パターンが大きくなってしまったり、一度のエッチングで開口パターンが貫通してしまったりすることで、精密な開口パターンを形成することができないおそれがある。
【0061】
図3a~
図3fに示すマスクアセンブリーの製造方法によれば、分割マスク基板200’の第2面202に第1開口431を形成し、第1面201に第1開口431の中心に位置する補助パターン412を形成している。第1面201に補助パターン412を形成することにより、分割マスク200’の第1面201をハーフエッチングする際に、過度にエッチングされることを防止することができる。また、第2面202を第2フォトレジストパターン420でハーフエッチングすることで、分割マスク基板200’を貫通させることができる。これにより、分割マスク200’に補助パターン412を形成しない場合と比較して、薄型の分割マスク基板に精密な開口パターン212を形成することができる。また、精密に開口部パターンが形成された複数のマスク基板を用いることにより、マスクアセンブリー10を製造することができる。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、開口パターン212の長さLは30μm以上かつ50μm以下である。また、本発明の一実施形態によれば、分割マスク基板200’は20μm以下の厚さを有する。すなわち、本発明の一実施形態に係る分割マスク基板200’は、開口パターン212の長さLに対する厚さdの比率d/Lが0.2以上かつ0.7以下であってもよい。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、精密な開口パターン212が形成された薄型の分割マスク200を複数用いて、マスクアセンブリー10を製造することができる。分割マスク200は薄型であるため、マスクアセンブリー10と、マスクアセンブリー10上に配置される蒸着用基板300との密着性を向上させることができる。これにより、蒸着用基板300に蒸着物質を精密に蒸着することができる。
【0064】
以下、
図5を参照して本発明のさらに他の一実施形態について詳細に説明する。
図5は本発明のさらに他の一実施形態に係る
図3cの他の平面図である。本発明の他の一実施形態と同じ構成についての説明は説明の便宜のために省略する。
【0065】
図5を参照すると、第1フォトレジストパターン410は、第1蒸着パターン411及び補助パターン412を接続する接続部413を少なくとも一つ含む。例えば、
図5に示したように、第1フォトレジストパターン410は、第1接続部413a、第2接続部413b、第3接続部413c及び第4接続部414dを含むことができる。
【0066】
第1接続部413aは、第3接続部413cと実質的に平行であってもよく、第2接続部413bは、第4接続部413dと実質的に平行であってもよい。例えば、
図5に示したように、第1接続部413a及び第3接続部413cは、第1方向D1に伸び、第2接続部413b及び第4接続部413dは、第1方向D1と交差する第2方向D2に延伸する。この時、第1方向D1は、第2方向D2に対して直角をなしてもよい。この時、第1方向D1は分割マスク200の長手方向(
図1のX方向)であってもよい。
【0067】
よって、第1開口431は、第1接続部413a、第2接続部413b、第3接続部413c及び第4接続部413dによって四つの開口431a、431b、431c、431dに区分できる。
【0068】
以下、
図6を参照して本発明のさらに他の一実施形態について詳細に説明する。
図6は
本発明のさらに他の一実施形態に係る
図3cのさらに他の平面図である。本発明の他の一実施形態と同じ構成についての説明は説明の便宜のために省略する。
【0069】
図6を参照すると、第1フォトレジストパターン410は、第1蒸着パターン411及び補助パターン412を接続する接続部413を少なくとも一つ含む。例えば、
図6に示したように、第1フォトレジストパターン410は、第1接続部413a、第2接続部413b、第3接続部413c及び第4接続部413dを含むことができる。
【0070】
第1接続部413aは、第3接続部413cと実質的に平行であってもよく、第2接続部413bは、第4接続部413dと実質的に平行であってもよい。例えば、
図6に示したように、第1接続部413a及び第3接続部413cは第3方向D3に伸び、第2接続部413b及び第4接続部413dは第3方向D3と交差する第4方向D4に延伸する。この時、第3方向D3は第4方向D4に対して直角をなしてもよい。この時、
図6を参照すると、第3方向D3及び第4方向D4はそれぞれ第1方向D1及び第2方向D2と鋭角を成しながら交差することができる。
【0071】
よって、第1開口431は第1接続部413a、第2接続部413b、第3接続部413c及び第4接続部413dによって四つの開口431a、431b、431c、431dに区分できる。
【0072】
図5又は
図6に示す補助パターン412を形成することにより、分割マスク200’の第1面201をハーフエッチングする際に、過度にエッチングされることを防止することができる。また、第2面202を第2フォトレジストパターン420でハーフエッチングすることで、分割マスク基板200’が貫通させることができる。これにより、分割マスク200’の一方の面に、補助パターン412を形成しない場合と比較して、薄型の分割マスク基板精密な開口パターン212を形成することができる。また、精密に開口部パターンが形成された複数のマスク基板を用いることにより、マスクアセンブリーを製造することができる。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、開口パターン212の長さLは30μm以上かつ50μm以下である。また、本発明の一実施形態によれば、分割マスク基板200’は20μm以下の厚さを有する。すなわち、本発明の一実施形態に係る分割マスク基板200’は、開口パターン212の長さLに対する厚さdの比率d/Lが0.2以上かつ0.7以下であってもよい。ここで、開口パターン212の長さLは、分割マスク基板200’の第1方向(
図2aではX方向)の長さである。
【0074】
本発明の一実施形態によれば、精密な開口パターン212が形成された薄型の分割マスク200を複数用いて、マスクアセンブリー10を製造することができる。分割マスク200は薄型であるため、マスクアセンブリー10と、マスクアセンブリー10上に配置される蒸着用基板300との密着性を向上させることができる。これにより、蒸着用基板300に蒸着物質を精密に蒸着することができる。
【0075】
以下、
図7を参照して、本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリーを用いて蒸着用基板300上に蒸着する過程を詳細に説明する。
図7は、本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリーを用いて蒸着用基板上に蒸着することを示す図である。
【0076】
図7を参照すると、マスクアセンブリー10は、有機発光表示装置の有機発光層又は電極を蒸着するために真空チャンバー600内に配置される。
【0077】
真空チャンバー600の下部には蒸着源601が配置され、蒸着源601の上側にはマ
スクアセンブリー10が配置される。マスクアセンブリー10は、
図1に示す分割マスク200を含んでいる。分割マスク200は、マスクフレーム100上に配置される。分割マスク200の上部には蒸着用基板300が配置される。
【0078】
蒸着源601は、内部に有機物質を含む加熱容器(crucible)を有し、熱で有機物質を蒸発させて、蒸着用基板300に蒸着させることができる。蒸着装置は、有機物質を加熱させるためのヒーター(図示せず)をさらに含んでいてもよい。ヒーターは蒸着源601の両側に備えられ、蒸着源601を加熱して蒸着源601内に入っている有機物質を加熱して昇華させる役目をする。
【0079】
真空チャンバー600は、蒸着工程が進行する空間を提供する。真空チャンバー600は、蒸着工程時に真空チャンバー600の内部を真空状態に維持するように、TMP(Turbo Molecular Pump)のような真空ポンプ(図示せず)と接続される。真空チャンバー600は、内部の壁面を取り囲むように配置された防着板(図示せず)をさらに含んでいてもよい。防着板は、蒸着源601から噴出される有機物質のうち蒸着用基板300に蒸着しない有機物質が真空チャンバー600の内壁面に吸着されることを防止する。
【0080】
支持部材602は、マスクアセンブリー10の縁部でマスクアセンブリー10を固定することができる。
【0081】
蒸着用基板300上に蒸着物質が蒸着される過程を、簡略に説明する。
【0082】
まず、マスクアセンブリー10を支持部材602上に固定し、固定されたマスクアセンブリー10上に蒸着用基板300を配置する。
【0083】
ついで、真空チャンバー600の下部に位置する蒸着源601から蒸着物質を蒸着用基板300に向けて噴射する。具体的に、蒸着源601に電源が印加されれば、蒸着物質が入っている蒸着源601が加熱され、これによって蒸着物質が加熱されて昇華し、マスクアセンブリー10に向かって噴射される。この時、真空チャンバー600の内部は高真空度及び高温に維持される。
【0084】
蒸着源601から蒸着物質が噴射されれば、分割マスク200に形成された蒸着パターン部(
図1の蒸着パターン部211)によって蒸着用基板300の一方の面に蒸着物質を蒸着することができる。
【0085】
本発明の一実施形態に係る分割マスク200は薄型であるため、マスクアセンブリー10と蒸着用基板300との密着性を向上させることができる。また、分割マスク200には、精密な開口パターン212を複数有する蒸着パターン部が形成されている。そのため、当該分割マスク200を複数有するマスクアセンブリー10を用いることにより、蒸着用基板300に、蒸着物質を精密に蒸着することができる。
【0086】
以下、
図8を参照して本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリーを用いて製造された有機発光表示装置について詳細に説明する。
図8は、本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリーを用いて製造された有機発光表示装置の断面図である。
【0087】
図8を参照すると、本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置が有する表示パネルは、スイッチング薄膜トランジスタ(図示せず)、駆動薄膜トランジスタ20、容量素子80及び有機発光素子810(organic light emitting diode、OLED)を含む複数の画素を有する。有機発光素子810は、相対的に低い温度で蒸着でき、低電力、高輝度などの理由でフレキシブル表示装置に主に適用可能である。ここで、画素は画像を表示する最小単位を言い、表示パネルは複数の画素によって画像を表示する。
【0088】
また、単一画素に二つの薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、TFT)と一つの容量素子(capacitor)が配置された構造にについて説明するが、これに限定されるものではない。一つの画素は三つ以上の薄膜トランジスタと、二つ以上の容量素子を備えることもでき、別の配線をさらに含んで多様な構造を有することができる。
【0089】
表示パネルは、ベース基板710、ベース基板710上に配置されたゲート線と、ゲート線と絶縁状態で交差するデータ線771及び共通電源線772を含むことができる。一般に、一つの画素は、ゲート線、データ線771及び共通電源線772を境界として定義できるが、画素が前述した定義に限定されるものではない。画素は、ブラックマトリックス又は画素定義膜によって定義できる。
【0090】
ベース基板710は、柔軟性を有する絶縁性物質でなることができる。例えば、ベース基板710は、ポリイミド(Polyimide、PI)、ポリカーボネート(Polycarbonate、PC)、ポリエーテルスルホン(Polyethersulphone、PES)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、PET)、ポリエチレンナフタレート(Polyethylene naphthalate、PEN)、ポリアリーレート(Polyarylate、PAR)、ガラス繊維強化プラスチック(Fiber glass reinforced plastic、FRP)などの高分子物質でなることができる。若しくは、ベース基板710はガラス基板であってもよい。ベース基板710は透明、半透明又は不透明であってもよい。
【0091】
ベース基板710上にバッファー層720が配置される。バッファー層720は、不純物元素の透過を防止し、表面を平坦化する機能を有するもので、このような機能を有することが可能な多様な物質で形成できる。例えば、バッファー層720は、窒化珪素(SiNx)膜、酸化珪素(SiO2)膜、酸窒化珪素(SiOxNy)膜のいずれか一種で形成される。しかし、バッファー層720は、必ずしも必要なものではなく、ベース基板710の種類及び工程条件によって省略することもできる。
【0092】
バッファー層720上にスイッチング薄膜トランジスタの半導体層及び駆動薄膜トランジスタの半導体層732が配置される。スイッチング薄膜トランジスタの半導体層及び駆動薄膜トランジスタの半導体層732は、多結晶珪素膜、非晶質珪素膜、及びIGZO(Indium-Galuim-Zinc Oxide)、IZTO(Indium Zinc Tin Oxide)のような酸化物半導体のいずれか一種で形成できる。例えば、駆動トランジスタの半導体層732が多結晶珪素膜で形成される場合、駆動薄膜トランジスタの半導体層732は、不純物がドープされなかったチャネル領域と、チャネル領域の両側にp+ドープされて形成されたソース領域及びドレイン領域を含む。この時、ドープされるイオン物質はホウ素(B)のようなP型不純物であり、主にB2H6が使われる。このような不純物は薄膜トランジスタの種類によって異なる。本発明の一実施形態において、駆動薄膜トランジスタ20としてP型不純物を使ったPMOS構造の薄膜トランジスタを使用する例について説明したが、駆動薄膜トランジスタ20がこれに限定されるものではない。したがって、駆動薄膜トランジスタ20としてNMOS構造及びCMOS構造の薄膜トランジスタのいずれも使用することができる。
【0093】
スイッチング薄膜トランジスタの半導体層及び駆動薄膜トランジスタの半導体層732上にゲート絶縁膜740が配置される。ゲート絶縁膜740は、オルトケイ酸テトラエチル(TetraEthylOrthoSilicate、TEOS)、窒化珪素(SiNx)及び酸化珪素(SiO2)の少なくとも一種を含むことができる。一例として、ゲート絶縁膜740は40nmの厚さを有する窒化珪素膜と80nmの厚さを有するオルトケイ酸テトラエチル膜が順に積層された二重膜構造を有することができる。
【0094】
ゲート絶縁膜740上にゲート電極755、ゲート電極755を含むゲート線が配置される。ゲート線は、第1容量電極758、その外の配線と電気的に接続されていてもよい。そして、ゲート電極755は、半導体層732の少なくとも一部、特にチャネル領域と重畳するように配置される。ゲート電極755は、半導体層732の形成過程で半導体層732のソース領域とドレイン領域に不純物がドープされる際に、チャネル領域に不純物がドープされることを遮断する機能を有する。
【0095】
ゲート電極755と第1容量電極758は同一層に配置され、実質的に同じ金属で形成される。ゲート電極755及び第1容量電極758は、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)及びタングステン(W)のうち少なくとも一種を含むことができる。
【0096】
ゲート絶縁膜740上にゲート電極755を覆う層間絶縁膜760が配置される。層間絶縁膜760は、ゲート絶縁膜740と同様に、窒化珪素(SiNx)、酸化珪素(Si
Ox)又はオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)などで形成できるが、これに限定され
るものではない。
【0097】
層間絶縁膜760上にソース電極776又はドレイン電極777を含むデータ線771が配置される。データ線771は、共通電源線772、第2容量電極778、又はその他の配線と電気的に接続されていてもよい。そして、ソース電極776及びドレイン電極777は、ゲート絶縁膜740及び層間絶縁膜760に形成されたコンタクトホールを介して半導体層732のソース領域及びドレイン領域とそれぞれ接続される。
【0098】
スイッチング薄膜トランジスタ(図示せず)は、半導体層(図示せず)、ゲート電極(図示せず)、ソース電極(図示せず)及びドレイン電極(図示せず)を含み、駆動薄膜トランジスタ20は、半導体層732、ゲート電極755、ソース電極776及びドレイン電極777を含む。駆動薄膜トランジスタ20の構成は、前述した例に限定されず、当該技術分野の当業者が容易に実施することができる公知の構成に多様に変形することが可能である。
【0099】
また、容量素子80は、層間絶縁膜760を挟んで配置された第1容量電極758と第2容量電極778を含む。
【0100】
図示されていないが、スイッチング薄膜トランジスタは、発光させようとする画素を選択するスイッチング素子として使用される。スイッチング薄膜トランジスタのゲート電極は、ゲート線に接続される。スイッチング薄膜トランジスタのソース電極は、データ線771に接続される。スイッチング薄膜トランジスタのドレイン電極は、スイッチング薄膜トランジスタのソース電極と離間して配置され、第1容量電極758と接続される。
【0101】
駆動薄膜トランジスタ20は、選択された画素内の有機発光素子810の発光層812を発光させるための駆動電源を画素電極811に印加する。ゲート電極755は第1容量電極758と接続される。ソース電極776及び第2容量電極778は、それぞれ共通電源線772と接続される。ドレイン電極777は、コンタクトホールを介して有機発光素子810の画素電極811と接続される。
【0102】
このような構造によって、スイッチング薄膜トランジスタはゲート線に印加されるゲート電圧によって動作し、データ線771に印加されるデータ電圧を駆動薄膜トランジスタ20に伝達する機能を有する。共通電源線772から駆動薄膜トランジスタ20に印加される共通電圧とスイッチング薄膜トランジスタから伝達されたデータ電圧の差に相当する電圧が容量素子80に保存され、容量素子80に保存された電圧に対応する電流が駆動薄膜トランジスタ20を介して有機発光素子810に流れて有機発光素子810が発光することになる。
【0103】
層間絶縁膜760上に配置されたデータ線771、共通電源線772、ソース電極776及びドレイン電極777、第2容量電極778などのように、同一層上でパターニングされた導電層を覆う平坦化膜780が配置される。
【0104】
平坦化膜780は、その上に形成される有機発光素子810の発光効率を高めるため、段差を無くして平坦化させる機能を有する。平坦化膜780は、アクリル系樹脂(polyacrylates resin)、エポキシ系樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド系樹脂(polyamides resin)、ポリイミド系樹脂(polyimides rein)、不飽和ポリエステル系樹脂(unsaturated polyesters resin)、ポリフェニレン系樹脂(polyphenylenethers resin)、ポリフェニレンスルフィド系樹脂(polyphenylenesulfides resin)、及びベンゾシクロブテン(benzocyclobutene、BCB)のいずれか一種以上の物質で形成することができる。
【0105】
平坦化膜780上に有機発光素子810の画素電極811が配置される。画素電極811は平坦化膜780に形成されたコンタクトホールを介してドレイン電極777と接続される。
【0106】
平坦化膜780上に画素電極811の少なくとも一部を露出して画素領域を定義する画素定義膜790が配置される。画素電極811は、画素定義膜790の画素領域に対応するように配置される。画素定義膜790は、ポリアクリル系(polyacrylates resin)及びポリイミド系(polyimides)などの樹脂で形成することができる。なお、画素定義膜790は、バンクともいう。
【0107】
画素領域内の画素電極811上に発光層812が配置され、画素定義膜790及び発光層812上に共通電極813が配置される。発光層812は、低分子有機物又は高分子有機物でなる。画素電極811と発光層812の間に、中間層として正孔注入層(Hole Injection Layer、HIL)及び正孔輸送層(Hole Transporting Layer、HTL)の少なくとも一つをさらに配置でき、発光層812と共通電極813の間に電子輸送層(Electron Transporting Layer、ETL)及び電子注入層(Electron Injection Layer、EIL)のうち少なくとも一つをさらに配置できる。有機発光素子810は、画素電極811、発光層812、共通電極813を含む。
【0108】
有機発光素子810の発光層812及び発光層812を含む中間層は、本発明の一実施形態に係るマスクアセンブリー10を用いて、蒸着することができる。そのため、発光層812及び発光層812を含む中間層として、精密なパターンを形成することができる。
【0109】
画素電極811及び共通電極813は、透過型電極、半透過型電極及び反射型電極のいずれか一つで形成される。
【0110】
透過型電極の形成のために、透明導電性酸化物(TCO;Transparent Conductive Oxide)を用いることができる。透明な導電性酸化物(TCO)として、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO(酸化亜鉛)又はIn2O3(Indium Oxide)などがある。
【0111】
半透過型電極及び反射型電極の形成のために、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、金(Au)、カルシウム(Ca)、リチウム(Li)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)のような金属又はこれらの合金を用いることができる。この時、半透過型電極と反射型電極は、厚さによって決定される。一般に、半透過型電極は、約200nm以下の厚さを有し、反射型電極は300nm以上の厚さを有する。半透過型電極は、厚さが薄くなるほど光の透過率が高くなるが抵抗が高くなり、厚さが厚くなるほど光の透過率が低くなる。
【0112】
また、半透過型及び反射型電極は、金属又は金属の合金で形成された金属層と、金属層上に積層された透明導電性酸化物(TCO)層を含む多層構造で形成できる。
【0113】
共通電極813上に薄膜封止層850が配置される。薄膜封止層850は、一つ以上の無機膜851、853、855及び一つ以上の有機膜852、854を含む。また、薄膜封止層850は、無機膜851、853、855と、有機膜852、854とが交互に積層された構造を有する。この時、無機膜851が最下層に配置される。すなわち、無機膜851が有機発光素子810と一番近くに配置される。
【0114】
薄膜封止層850は、三つの無機膜851、853、855と二つの有機膜852、854を含んでいるが、本発明の一実施形態はこれに限定されるものではない。
【0115】
無機膜851、853、855は、Al2O3、TiO2、ZrO、SiO2、AlON、AlN、SiON、Si3N4、ZnO、及びTa2O5のいずれか一種以上の無機物を含んで形成される。無機膜851、853、855は、化学蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)法又は原子層蒸着(Atomic Layer Depostion、ALD)法で形成される。しかし、本発明の一実施形態がこれに限定されるものではなく、無機膜851、853、855は、当該技術分野の当業者に知られた多様な方法で形成できる。
【0116】
有機膜852、854は、高分子(polymer)系の材料で形成される。ここで、高分子系の材料は、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド、及びポリエチレンなどを含む。また、有機膜852、854は、熱蒸着工程で形成される。そして、有機膜852、854を形成するための熱蒸着工程は、有機発光素子810を損傷させない温度範囲内で進行する。しかし、本発明の一実施形態はこれに限定されるものではなく、有機膜852、854は当該技術分野の当業者に知られた多様な方法で形成できる。
【0117】
薄膜の密度が緻密に形成された無機膜851、853、855は、主に水分又は酸素の透過を抑制する。殆どの水分及び酸素の有機発光素子810への透過は無機膜851、853、855によって遮断することができる。
【0118】
薄膜封止層850は、10μm以下の厚さに形成できる。したがって、表示パネルの総厚さが非常に薄く形成できる。
【0119】
以上で説明した本発明は上述した実施形態及び添付図面に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範疇内で多様な置換、変形及び変更が可能であるのは本発
明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明らかであろう。
【符号の説明】
【0120】
100 マスクフレーム
200 分割マスク
201 第1面
202 第2面
300 蒸着用基板
410 第1フォトレジストパターン
411 第1蒸着パターン
412 補助パターン
420 第2フォトレジストパターン
431 第1開口
432 第2開口
451 第1溝
452 第2溝