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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028097
(43)【公開日】2022-02-15
(54)【発明の名称】フェイスマスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220207BHJP
【FI】
A41D13/11 A
A41D13/11 H
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111013
(22)【出願日】2020-06-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年5月25日に、弟月千恵子(おとづき商店代表)が、米沢酒販協同組合に販売。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年5月26日に、弟月千恵子(おとづき商店代表)が、「おとづき商店」のウェブサイトで公開。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年6月2日に、弟月千恵子(おとづき商店代表)が、米沢商工会議所で公開。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年6月3日に、弟月千恵子(おとづき商店代表)が、朝日新聞で公開。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年6月3日に、弟月千恵子(おとづき商店代表)が、山形新聞で公開。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年6月7日に、弟月千恵子(おとづき商店代表)が、米沢新聞で公開。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年6月7日に、弟月千恵子(おとづき商店代表)が、河北新報で公開。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年6月17日に、弟月千恵子(おとづき商店代表)が、読売新聞で公開。
(71)【出願人】
【識別番号】521344401
【氏名又は名称】株式会社おとづき商店
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】弟月 千恵子
(57)【要約】
【課題】 フェイスマスク全体を捲り上げなくとも飲食が可能である事、着用者の呼吸を楽に行えること、着用時における蒸れによる不快感を解消すること、飛沫の拡散を阻止できること、及び着用におけるファッション性を向上させること、の少なくとも何れかの課題を解決したフェイスマスクを提供する。
【解決手段】 少なくとも装着者の口元を覆うフェイスマスクであって、シート状に垂れ下がる複数の幕状部分からなるマスク本体を備えており、何れか又は全ての幕状部分は、少なくともその一部が、幕状部分の厚さ方向に重なっており、前記重なり合う幕状部分同士の間にはスリットが存在するフェイスマスクとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも装着者の口元を覆うフェイスマスクであって、
シート状に垂れ下がる複数の幕状部分からなるマスク本体を備えており、、
何れか又は全ての幕状部分は、少なくともその一部が、幕状部分の厚さ方向に重なっており、
前記重なり合う幕状部分同士の間にはスリットが存在する事を特徴とするフェイスマスク。
【請求項2】
前記幕状部分は通気性を有する材料で形成されており、
複数の幕状部分の内、少なくとも何れかの幕状部分は他の幕状部分とは異なる通気性を有する、請求項1に記載のフェイスマスク。
【請求項3】
更に装着者の目の下を通って頭部に装着される帯部材を備え、
前記幕状部分は当該帯部材から垂れ下がって、着用者の鼻部及び口部を覆っている、請求項1又は2に記載のフェイスマスク。
【請求項4】
着用者の口元を覆う幕状部分には、捲り上げた状態を保持する係止部を設けた、請求項1~3の何れか一項に記載のフェイスマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも装着者の口部を覆う事のできるフェイスマスクに関し、特に幕状に垂れ下がって装着者の口部を遮蔽する事のできるフェイスマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、着用者の口等から放出される飛沫の拡散を防止する目的で衛生マスクが使用されている。かかる衛生マスクは縁部全体を装着者の顔に密接させて、鼻や口をカバーするように構成されている。
【0003】
この衛生マスクと同じように、着用者の口元を覆うものとしてフェイスマスク(フェイスカバー等とも称される)が提供されている。かかるフェイスマスクは装着者の鼻や口だけでなく更に首部までカバーするものとして提供されている。かかるフェイスマスクは、主として日焼け予防(紫外線対策)として使用されており、例えば特許文献1(実用新案登録第3115938号公報)では、主に自転車に乗る時やガーデニングなど屋外活動時における日焼けを防ぐ為に、どんな帽子にも対応でき、尚且つファッション性に富む、フェイスマスクを提案している。
【0004】
また特許文献2(実用新案登録第3179674号公報)では、紫外線からの顔面、両耳全体、首全体の日焼けを防止し、運動時、作業時でも装着の違和感の少ない日焼け防止フェイスマスクを提案している。特にこの文献のフェイスマスクは、装着時には両下瞼から両耳上部に沿った位置より下方の顔面及び首外周を覆うことで紫外線からの日焼けを防止し、又、鼻孔及び口に位置する部分の内側が前記部位に接触することなく空間が確保されており呼吸が阻害されず、又、口に位置する部分をめくり上げることにより装着時でも飲食を可能にすることが開示されている。
【0005】
また宗教的な理由や法律上の規制から、国によっては髪の毛を隠すためのベールが使用されており、顔を隠すためにフェイスマスクも一体化したものも存在する。そして近年では、非特許文献1( "ベリーダンス マスク アラビアン フェイクカバー ハロウィン")に示されているように、ベリーダンスの衣装としても使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3115938号公報
【特許文献2】実用新案登録第3179674号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】城島 美香子、"ベリーダンス マスク アラビアン フェイクカバー ハロウィン"[online]、NCY株式会社、[令和2年6月24日検索]、インターネット <https://store.shopping.yahoo.co.jp/osyarevo/dummp23.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従前においても日焼け予防(又は紫外線対策)の為の商品としてフェイスマスクは提供されている。そして前記特許文献2においては、口に位置する部分をめくり上げることにより装着時でも飲食を可能にする事が提案されている。しかしながら、当該特許文献2に提案されているフェイスマスクは、口を覆うUVカット加工生地は略三日月型に形成されていることから、飲食に際しては、その全体を捲り上げる必要があった。即ち、この特許文献2で提案されているフェイスマスクにおいて、口を覆うUVカット加工生地は、実質的には非特許文献1に示されているフェイスマスクと同じように、その全体を捲り上げなければならなかった。
【0009】
そこで本発明では、フェイスマスク全体を捲り上げなくとも飲食が可能である事、着用者の呼吸を楽に行えること、着用時における蒸れによる不快感を解消すること、飛沫の拡散を阻止できること、及び着用におけるファッション性を向上させること、の少なくとも何れかの課題を解決したフェイスマスクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題の少なくとも何れかを解決する為に、本発明者は鋭意検討の結果、少なくとも装着者の口部を覆う幕状のフェイスマスクを使用し、更に縦に切れ目を入れて左右に分割することを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
即ち本発明では、前記課題の少なくとも何れかを解決するフェイスマスクとして、少なくとも装着者の口元を覆うフェイスマスクであって、シート状に垂れ下がる複数の幕状部分からなるマスク本体を備えており、何れか又は全ての幕状部分は、少なくともその一部が、幕状部分の厚さ方向に重なっており、前記重なり合う幕状部分同士の間にはスリットが存在するフェイスマスクを提供する。
【0012】
上記本発明に係るフェイスマスクは、少なくとも装着者の口元を覆うものであれば良い。よってフェイスマスクの他、フェイスガード、フェイスカバー、フェイスベール、ネックゲイターなど、様々な名称で指称されるものであっても、口元を覆うことができるものであれば全て含まれる。かかるフェイスマスクは、装着者の首元までを覆うように形成しても良く、更にはベールの様に頭部全体や顔面全体を覆うものであっても良い。
【0013】
上記本発明のフェイスマスクは、シート状に垂れ下がる複数の幕状部分を備えている。当該幕状部分の少なくとも何れかは装着者の口部を遮蔽するか、口部に対向するように展開している。よってシート状に垂れ下がる何れかの幕状部分を捲り上げれば口元を露出させることができる。そして何れか又は全ての幕状部分は、少なくともその一部が、幕状部分の厚さ方向に重なっており、重なり合う幕状部分同士の間には、切れ目又は間隙からなるスリットが存在している。従って、装着者の口元を露出させる際には、当該口元を遮蔽している幕状部分だけを捲り上げれば良い。またスリットが設けられる幕状部分同士は、その厚さ方向(又は前後に)に重なっていることから、当該スリットは常には開いていない状態を保持することができる。そして上記幕状部分は、その少なくとも何れかが装着者の口元を覆う様に垂れ下がっている。その結果、着用者における飛沫の拡散を抑止することができる。
【0014】
本発明に係るフェイスマスクは、2枚以上の幕状部分を備えて形成することができ、例えば2枚又は3枚の幕状部分で形成することができる。特に奇数枚数の幕状部分を有する場合には、口の正面に1枚の幕状部分を存在させることができ、偶数枚数の幕状部分を有する場合には、口の正面に幕状部分同士の重なり部分を存在させることができる。
【0015】
そして上記幕状部分は布地、編地及び不織布を含む布帛の他、樹脂などからなるシートを用いて形成しても良い。但し、当該幕状部分は着用者の呼吸を確保する為に、前記布帛か、或いは樹脂シートであっても微細な孔が複数設けられた多孔シート等のフィルターであることが望ましい。即ち、当該幕状部分は通気性を有する材料で形成するのが望ましい。
【0016】
また複数の幕状部分において、少なくとも何れかの幕状部分を他の幕状部分と異なる材質で形成するか、又は異なる通気性を有する材料で形成することができる。例えば口部が存在する着用者の正面側に存在する幕状部分を通気性の低い(又は通気性の高い)材料を用いて形成し、装着者の左右の側面側に存在する幕状部分は通気性の高い(又は通気性の低い)材料を用いて形成することもできる。更に、着用者の正面側に存在する幕状部分を透明度の高い(又は透明度の低い)材料を用いて形成し、装着者の左右の側面側に存在する幕状部分は透明度の低い(又は透明度の高い)材料を用いて形成することもできる。その他、当該幕状部分同士は、厚さ、色、又は形状等を異ならせることもできる。
【0017】
上記複数の幕状部分は、1枚のシート体に1又は2以上の切り欠きを形成することで複数の帯状部分とする他、短冊状又はシート状に形成したものを複数枚組み合わせて複数の帯状部分とすることができる。
【0018】
当該幕状部分は帯や紐などで装着者の頭部に装着することができる。例えば当該フェイスマスクは、更に装着者の目の下を通って頭部に装着される帯部材を備えており、前記幕状部分を当該帯部材から垂れ下げて、着用者の鼻部及び口部を覆うように形成することができる。この時、当該帯部材は、長尺な帯又は紐に形成して後頭部で結ぶ等によって連結できるように形成する他、装着者の耳部に係止できる耳紐として形成することもできる。なお当該耳紐は帯部材に別部材として設けることもできる。
【0019】
そして本発明に係るフェイスマスクは、前記複数の幕状部分の一部又は全部には、捲り上げた状態を保持する為の係止部を形成することができる。例えば、当該係止部を着用者の口元を覆う幕状部分に設けた場合には、飲食時において口元を露出させておくことができる。かかる係止部はフックである他、ボタンや面ファスナーなどで形成することができ、少なくともシート状に形成した幕状部分の裾を保持できるものであれば、制限なく使用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のフェイスマスクは、シート状に垂れ下がる複数の幕状部分からなるマスク本体を備えており、何れか又は全ての幕状部分は、少なくともその一部が、幕状部分の厚さ方向に重なっている。かかる幕状部分の少なくとも何れかは着用者の口に正対して存在できることから、飛沫の拡散を阻止できるフェイスマスクとなる。
【0021】
また当該重なり合う幕状部分同士の間にはスリットが存在していることから、口に対向して存在する幕部材を捲り上げることで口元を露出させ、その結果、着用しながら飲食することができる。よってフェイスマスク全体を捲り上げなくとも飲食が可能なフェイスマスクとすることができる。また当該スリットが存在していることから、当該スリットを介して呼吸を楽に行え、また呼気が籠ることによる蒸れ等の不快感を解消す得る事のできるフェイスマスクが実現している。
【0022】
特に複数の幕状部分の内、少なくとも何れかの幕状部分が、他の幕状部分とは異なる通気性等の特性を有する場合には、任意の部位における通気性等の特性を調整することができる。例えば、口に対向して存在する幕状部分の通気性を低くすれば、飛沫の拡散をより確実に阻止でき、また頬部に対向して存在する幕状部分の通気性を高めれば呼吸を楽に行え、呼気が籠らないフェイスマスクとすることができる。
【0023】
更に装着者の目の下を通って頭部に装着される帯部材を備える場合には、装着のしやすさを向上させることができる。また、着用者の口元を覆う幕状部分に、捲り上げた状態を保持する係止部を設けた場合には、口元を露出させた状態を維持できることから、装着したままでの飲食を容易に行うことができる。
【0024】
更に本発明に係るフェイスマスクは、装着者の顔に垂れ下がって存在することから、恰もアラビアンマスクのような形態となり、幕状部分等のデザインも相まって、着用時におけるファッション性を向上させることのできるフェイスマスクが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の実施の形態に係るフェイスマスクの装着状態を示す(A)正面図、(B)側面図である。
図2】第1の実施の形態に係るフェイスマスクの使用様態を示す正面図であって、(A)正面の幕状部分を捲り上げた状態、(B)正面及び側面の幕状部分を捲り上げた状態をそれぞれ示している。
図3】第2の実施の形態に係るフェイスマスクを示す正面図
図4】第3の実施の形態に係るフェイスマスクを示す正面図
図5】第4の実施の形態に係るフェイスマスクを示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態にかかるフェイスマスク10を具体的に説明する。特に本実施の形態に係るフェイスマスク10は、目元から首元までを覆うように形成したフェイスマスク10としているが、更に胸元まで覆うように形成したり、目を覆うように形成したり、更には顔面全体や頭部を覆うように形成しても良い。
【0027】
図1は第1の実施の形態に係るフェイスマスク10の装着状態を示す(A)正面図、(B)側面図であり、図2は当該フェイスマスク10の使用様態を示す正面図であって、(A)正面の幕状部分20を捲り上げた状態、(B)正面及び側面の幕状部分20を捲り上げた状態をそれぞれ示している。
【0028】
図1に示す第1の実施の形態に係るフェイスマスク10は、正面及び左右の合計3枚の幕状部分20a,b,cを備えている。正面の幕状部分20(以下、「正面幕状部分20a」とする。)は、鼻筋と口元を覆う様にして目元から首元に向かって垂れ下がっており、左右の幕状部分20(以下、「左右幕状部分20c,b」とする。)は左右の頬部を覆う様にして目元から首元に向かって垂れ下がっている。そして正面幕状部分20aは、前記左右幕状部分20c,bの内側の縁部分と重なって存在しており、両者間にはスリット21が設けられている。
【0029】
本実施の形態において、各幕状部分20は1枚の布帛を裁断して形成する他、3枚の帯状に形成した布帛の上端部を一体化して形成することができる。また何れかの幕状部分20a,b,cは、その何れかを同じか異なる種類の布帛を重ね合わせて形成することもできる。例えば正面幕状部分20aを2層(2枚の布帛)で形成することにより、飛沫の拡散をより効果的に阻止することができる。
【0030】
本実施の形態において、前記幕状部分20はメッシュ地やレース地、或いは不織布やニット地などの布帛を用いて形成している。但し当該幕状部分20は通気性を有するか又は有しないシートで形成することもでき、例えば樹脂シートを用いて形成することもできる。但し、着用時における息苦しさを解消する為に、通気性を有する材料で形成することが望ましく、樹脂シートで形成する場合には、微細な孔を複数設けた多孔シートを用いて形成するのが望ましい。特に透明な樹脂からなる多孔樹脂シートを用いて形成した場合には、着用した状態でも顔を見せることができる。また当該幕状部分20は、その何れかの領域を他の領域と、材質や通気性の少なくとも何れかを異ならせることもできる。例えば下側の領域の通気性を高くしたり、正面部材における口元に対向する領域の通気性を低くすることもできる。
【0031】
前記正面幕状部分20aと、着用者の左頬に対向する左幕状部分20cと、着用者の右頬に対向する右幕状部分20bとは、少なくともその何れかを異なる材料で形成したり、又は通気性を異ならせて形成することができる。特に正面幕状部分20aの通気性を良くするか否かは飛沫の拡散を阻止する上で検討要素となる。また何れかの幕状部分20a,b,cの通気性を異ならせる場合には、当該幕状部分20を複数層重ね合わせて形成することもできる。例えば、正面幕状部分20aを、他の幕状部分20b,cからなる表面層と、不織布等からなるフィルター層とで形成することもできる。
【0032】
以上のように構成した本実施の形態に係るフェイスマスク10によれば、正面幕状部分20aを捲り上げることで口元を露出させることができる。よって装着したままで飲食を行う事のできるフェイスマスク10が実現する。
【0033】
そして上部側を一体化した複数の幕状部分20かならなるマスク本体25には、これを装着する為の取付部材30を設けている。本実施の形態では、装着者の後頭部に回り込んで結び留める事のできる紐体31からなる取付部材30を設けている。かかる取付部材30は、当該マスク本体25を顔面の所定部位に保持できればよく、よって耳掛け紐32として形成したり、簪状又は櫛状に形成して装着者の頭髪に取り付け固定できるように形成しても良い。
【0034】
かかるフェイスマスク10には、捲り上げた幕状部分20を保持する事のできる係止部40を設けている。かかる係止部40は本実施の形態ではボタンやホック等の係止本体41と、当該係止本体41に係止する為の孔部42(又はボタンホール)とで形成している。係止本体41はマスク本体25における角部(取付部材30の近傍)に形成しており、孔部42は幕状部分20の下端側に形成している。かかる係止部40は、捲り上げた幕状部分20を保持できれば各種形状及び構造であって良い。例えばフックや面ファスナー43によって係止しても良く、更には幕状部分20の裾部を、マスク本体25の上縁部に巻き込んで保持できるように形成しても良い。
【0035】
かかる係止部40を設けたフェイスマスク10においては、図2に示す様に、当該フェイスマスク10を装着した状態で口元を露出させることができる。即ち、図2(A)に示す様に、正面幕状部分20aの裾部の片方を捲り上げて、捲り上げた側とは反対側に設けられた孔部42を、ボタンからなる係止本体41に取り付ける。その結果、当該口元を覆う正面幕状部分20aは捲り上げられた状態を維持し、口元を露出させることができる。そして捲り上げた側に存在する右幕状部分20bを捲り上げて、その裾部に設けられた孔部42を他方の係止部40に取り付けることにより、装着者の口元を広範囲に露出させることができる。その結果、口に飲食物を運ぶたびに正面幕状部分20aを捲り上げる必要をなくして、飲食を行う事のできるフェイスマスク10が実現する。
【0036】
図3は第2の実施の形態に係るフェイスマスク10を示す正面図である。特にこの実施の形態に係るフェイスマスク10は、シート体を用いて幕状部分20を形成し、これを3枚、縁部において前後(厚さ方向)に重ね合わせた上で上端部を帯状部材45で一体化している。即ち各幕状部分20は相互に別に形成すると共に、その上端部分を一体化してマスク本体25を形成している。そして当該マスク本体25の左右の上端部には、装着者の耳に取り付けることができるように耳掛け紐32からなる取付部材30を設けている。また本実施の形態では、当該マスク本体25を取り付ける為の紐体31からなる取付部材30も設けている。従って、装着者の好みに応じて、耳掛け紐32か後頭部に回り込む紐体31かを選択して取り付けることができる。なお本実施の形態では、帯状部材45を延長させて、延長した部分を前記紐体31としている。
【0037】
特にこの実施の形態において、各幕状部分20の下辺に沿って面ファスナー43aを設けており、当該面ファスナー43aと咬合する面ファスナー43bを、前記幕状部分20を一体化している帯状部材45に設けている。その結果、幕状部分20の裾部を持ち上げて、任意の位置で面ファスナー同士43a,bを咬合させることにより、使用状況に応じて口元を露出させる事のできるフェイスマスク10が実現する。
【0038】
図4は第3の実施の形態に係るフェイスマスク10を示す正面図である。この図に示すフェイスマスク10は、特に各幕状部分20の裾部の形状を異ならせている。即ち、口元を覆う様に存在する正面幕状部分20aは、その裾部をU字状に形成して長くしており、一方で左右幕状部分20c,bは正面幕状部分20aの端部から上に向かって弧を描く様に湾曲させて形成している。その結果、当該幕状部分20は全体としてU字状に形成しており、その意匠性を高めている。特に本実施の形態に係るフェイスマスク10は、マスク本体25を構成する各幕状部分20a,b,cの長さ及び形状を異ならせて形成している。なお、当該フェイスマスク10は裾部だけでなく、マスク本体25の上端部の形状も、全体意匠を考慮の上で任意に形成することができる。
【0039】
図5は第4の実施の形態に係るフェイスマスク10を示す正面図である。特にこの実施の形態に係るフェイスマスク10のマスク本体25は、2枚の幕状部分20d,eを用いて形成している。即ち、当該マスク本体25は、正面から右頬側を覆う幕状部分20dと、正面から左頬を覆う幕状部分20eとを用いて形成している。かかる幕状部分同士20d,eは着用者の正面において重なり合っており、当該重なり部分には両幕状部分同士20d,eが離反できるようにスリット21が設けられている。その結果、当該フェイスマスク10を付けた装着者は、幕状部分同士の間のスリット21(切れ目乃至は間隙)から呼吸を円滑に行うことができ、息苦しさを無くすことができる。また装着者の呼気や咳などに含まれる飛沫は、当該幕状部分20によって拡散が阻止されることになる。
【0040】
特に本実施の形態に係るフェイスマスク10は2枚の幕状部分20d,eで形成しており、相互の重なり領域を広く確保していることから、口部が露出する可能性を減じることができる。よって例えば運動や作業をする等で動いた場合であっても、口元を露出しにくいフェイスマスク10とすることができる。
【0041】
かかるフェイスマスク10においても、前記係止部40を設けることができる他、相互の幕状部分20の材質や通気性を異ならせることもでき、更に当該幕状部分20における何れかの領域を他の領域と材質や通気性を異ならせることもできる。
【0042】
以上、本実施の形態では2枚又は3枚の幕状部分20を備えたフェイスマスク10について具体的に示してきたが、その他にも4枚、5枚、6枚など、複数枚の幕状部分20で形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のフェイスマスクは、少なくとも口元を覆うためのフェイスマスクとして利用することができ、飛沫の拡散を阻止するため、日焼け防止(紫外線対策)、及びファッション性の向上などを目的として使用することができる。また当該フェイスマスクは、日用品として、運動用品として、作業用品として、及び医療用品として利用可能なフェイスマスクである。
【符号の説明】
【0044】
10 フェイスマスク
20 幕状部分
20a 正面幕状部分
20b 右幕状部分
20c 左幕状部分
21 スリット
25 マスク本体
30 取付部材
31 紐体
32 耳掛け紐
40 係止部
41 係止本体
42 孔部
43 面ファスナー
45 帯状部材
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも装着者の口元を覆うフェイスマスクであって、
シート状に垂れ下がる複数の幕状部分からなるマスク本体を備えており、
何れか又は全ての幕状部分は、少なくともその一部が、幕状部分の厚さ方向に重なっており、
前記重なり合う幕状部分同士の間にはスリットが存在すると共に、着用者の口元を覆う幕状部分には、捲り上げた状態を保持する係止部を設けた事を特徴とするフェイスマスク。
【請求項2】
前記幕状部分は通気性を有する材料で形成されており、
複数の幕状部分の内、少なくとも何れかの幕状部分は他の幕状部分とは異なる通気性を有する、請求項1に記載のフェイスマスク。
【請求項3】
更に装着者の目の下を通って頭部に装着される帯部材を備え、
前記幕状部分は当該帯部材から垂れ下がって、着用者の鼻部及び口部を覆っている、請求項1又は2に記載のフェイスマスク。
【請求項4】
前記マスク本体の左右の上端部には、装着者の耳に取り付ける耳掛け紐からなる取付部材を設けた、請求項1~3の何れか一項に記載のフェイスマスク。