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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028152
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】電動ファン付きマスク
(51)【国際特許分類】
   A62B 18/02 20060101AFI20220208BHJP
【FI】
A62B18/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020131370
(22)【出願日】2020-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】593161375
【氏名又は名称】山真製鋸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA07
2E185CB09
(57)【要約】
【課題】フィルタの交換が容易でコンパクト化を実現でき、使用性の向上を図れるとともに、日常生活においてはもとより粉塵環境下での使用にも対応できる電動ファン付きマスクを提供する。
【解決手段】電動ファン付きマスク1は、マスク本体3と、開口部9、開口部11等を介してマスク本体3の覆い部3aを挟んだ状態で嵌合される内側アタッチメント15Aと外側アタッチメント15Bからなるアタッチメント15と、アタッチメント15に着脱自在に設けられる電動ファンユニット5とを有している。電動ファンユニット5は、モータ29、ファン31、フィルタ19、カバー21、モータ29に電力を供給する電源等を一体に備えている。
【選択図】 図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔に装着されるマスク本体と、該マスク本体の外面側に取り付けられた電動ファンユニットとを有し、前記電動ファンユニットは、フィルタと、該フィルタの内側又は外側に位置するファンと、該ファンを回転させるモータと、該モータに電力を供給する電源とを一体に備え、前記ファンの回転によって吸引された外気が前記マスク本体の内方へ流入する構成を有していることを特徴とする電動ファン付きマスク。
【請求項2】
請求項1に記載した電動ファン付きマスクにおいて、
前記マスク本体の内側に配置される内側アタッチメントと、前記マスク本体の外側から該マスク本体を挟んだ状態で前記内側アタッチメントに嵌合して固定される外側アタッチメントとからなり、前記電動ファンユニットは前記アタッチメントに着脱自在に設けられていることを特徴とする電動ファン付きマスク。
【請求項3】
請求項1または2に記載した電動ファン付きマスクにおいて、
前記フィルタは前記電動ファンユニットの外面に着脱自在に設けられたカバーを介して交換可能に設けられていることを特徴とする電動ファン付きマスク。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載した電動ファン付きマスクにおいて、
前記電源が二次電池であり、前記電動ファンユニットは押下時間の長さで前記ファンの回転数を変更可能なスイッチを有していることを特徴とする電動ファン付きマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔に装着して鼻と口を覆うマスクに関し、詳しくは、フィルタでろ過された外気をファンで内側へ取り込む電動ファン付きマスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気中に含まれる花粉や粉塵、感染源飛沫等の有害物質の体内への侵入を防止するために、種々のマスクが使用されている。
【0003】
しかしながら、この種のマスクは例えば家屋の解体時や石材加工時等のように多くの粉塵が発生する場合における粉塵対策には不十分である。
従来、特許文献1に示されている剛性の面体内にフィルタでろ過された空気をエアホースを介して軸流ファンで送気する防塵マスク等が知られているが、重装備であり、簡易的な使用には向かない。
【0004】
一方、特許文献2には、日常生活で用いられる一般的又は簡易的なマスクにおいて、電動ファンで外気をマスク内に取り込む構成のフェースマスクが提案されている。
これは、コンピュータのハードディスクドライブを冷却する小型の電動ファンを利用してマスク本体の下部の外面に固定又は着脱自在に取り付け、配線で接続されて体の別の部位に装着され、バッテリ内蔵の制御装置で駆動する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭58-64354号公報
【特許文献2】特表2003-500178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載のフェースマスクでは、マスク本体自体をそのままフィルタとして利用しているので、外気を強制的に取り込むことによる汚染部位(フィルタ相当部位)の交換、すなわち汚染部位の部分的交換による回復ができないため、目詰まりの程度が大きくなる度にマスク本体の交換が必要となる。
また、電源がマスク本体と離れて存在する構成であるため、配線の引き回しによって体の動きが制限され易く、機動性及びコンパクト性の低下、ひいては使用性の低下を招来していた。
【0007】
本発明はこのような現状に鑑みて創案されたもので、フィルタの交換が容易でコンパクト化を実現でき、使用性の向上を図れるとともに、日常生活においてはもとより粉塵環境下での使用にも対応できる電動ファン付きマスクの提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために為されたものであり、請求項1の発明は、顔に装着されるマスク本体と、該マスク本体の外面側に取り付けられた電動ファンユニットとを有し、前記電動ファンユニットは、フィルタと、該フィルタの内側又は外側に位置するファンと、該ファンを回転させるモータと、該モータに電力を供給する電源とを一体に備え、前記ファンの回転によって吸引された外気が前記マスク本体の内方へ流入する構成を有していることを特徴とする電動ファン付きマスクである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載した電動ファン付きマスクにおいて、前記マスク本体の内側に配置される内側アタッチメントと、前記マスク本体の外側から該マスク本体を挟んだ状態で前記内側アタッチメントに嵌合して固定される外側アタッチメントとからなり、前記電動ファンユニットは前記アタッチメントに着脱自在に設けられていることを特徴とする電動ファン付きマスクである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した電動ファン付きマスクにおいて、前記フィルタは前記電動ファンユニットの外面に着脱自在に設けられたカバーを介して交換可能に設けられていることを特徴とする電動ファン付きマスクである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載した電動ファン付きマスクにおいて、前記電源が二次電池であり、前記電動ファンユニットは押下時間の長さで前記ファンの回転数を変更可能なスイッチを有していることを特徴とする電動ファン付きマスクである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フィルタの交換が容易でコンパクト化を実現でき、使用性の向上を図れるとともに、日常生活においてはもとより粉塵環境下での使用にも対応できる電動ファン付きマスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る電動ファン付きマスクの使用状態を示す斜視図である。
図2図1で示した電動ファン付きマスクの分解斜視図である。
図3】アタッチメントを示す図で、(a)は内側アタッチメントをその嵌合面側から見た正面図、(b)は外側アタッチメントをその嵌合面と反対側から見た背面図である。
図4図1で示した電動ファン付きマスクにおける電動ファンユニットの一部省略の底面図である。
図5図1で示した電動ファン付きマスクにおけるマスク本体の内側から見た要部正面図である。
図6図4で示した電動ファンユニットの側面図である。
図7図1で示した電動ファン付きマスクのアタッチメントに電動ファンユニットを装着する前の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る電動ファン付きマスクを図面にしたがって説明する。
図1は、本実施の形態に係る電動ファン付きマスク1(以下、マスク1と略す。)を顔に装着した使用状態を示している。マスク1は、顔の輪郭に沿って高い追従変形性を有するポリウレタン製のマスク本体3と、このマスク本体3に着脱自在に取り付けられた電動ファンユニット5等を有している。
【0015】
図2に示すように、マスク本体3は、鼻と口を覆う覆い部3aと、耳かけ部3bとを有している。
覆い部3aの図中右側には、円形の開口部9が形成されているとともに、矩形の開口部11が形成されている。開口部9は外気が流入する部位であり、開口部11は外気が流入する部位とは別の部位に形成されている。
【0016】
覆い部3aには合成樹脂製のアタッチメント15が取り付けられている。このアタッチメント15には電動ファンユニット5が着脱自在に設けられている。
アタッチメント15は、覆い部3aの内側に配置される内側アタッチメント15Aと、覆い部3aの外側から該覆い部3aを挟んだ状態で内側アタッチメント15Aに嵌合して固定される外側アタッチメント15Bとからなる。
すなわち、覆い部3aは内側アタッチメント15Aと外側アタッチメント15Bとの間で挟み付けられ、内側アタッチメント15Aと外側アタッチメント15Bが嵌合固定されることにより、アタッチメント15は覆い部3aに固定される。換言すれば、アタッチメント15は何ら別個の固定用部材(ネジ等)を用いることなく自身の挟持・嵌合構成によって覆い部3aに着脱自在に固定されている。
【0017】
具体的に説明すると、内側アタッチメント15Aは、平板状のベースプレート15Aaと、このベースプレート15Aaから覆い部3aの外面側へ突出する円筒形の嵌合壁15Abと、同様に覆い部3aの外面側へ突出する矩形筒形状の嵌合壁15Acとを有している。
嵌合壁15Abの突出端の周縁には、3箇所に径方向へ突出する凸部15Adが形成されている。ベースプレート15Aaの外面には、位置ずれを防止するための複数の突起15Aeが形成されている。
内側アタッチメント15Aは、嵌合壁15Abを覆い部3aの開口部9に挿通し、嵌合壁15Acを覆い部3aの開口部11に挿通してセットされる。
【0018】
外側アタッチメント15Bは、平板状のベースプレート15Baと、このベースプレート15Baに形成され、嵌合壁15Abに嵌合される円形の嵌合穴15Bbと、嵌合壁15Acに嵌合される嵌合凹部15Bcとを有している。
嵌合穴15Bbの周縁には、凸部15Adを通過させる凹部15Bdが形成されている。ベースプレート15Baの内面側には、内側アタッチメント15Aと同様に、覆い部3aを挟み付けたときに位置ずれを防止するための複数の突起15Beが形成されている(図7参照)。
【0019】
図2に示すように、外側アタッチメント15Bは、覆い部3aの外側から内側アタッチメント15Aの嵌合壁15Abに嵌合穴15Bbを嵌合するとともに、嵌合壁15Acに嵌合凹部15Bcを嵌合して取り付けられる。
嵌合壁15Abに対する嵌合穴15Bbの嵌合は、単に挿通するだけであるので、覆い部3aに対するアタッチメント15の固定は、実質的に内側アタッチメント15Aの嵌合壁15Acに外側アタッチメント15Bの嵌合凹部15Bcが密接に嵌合することにより得られる。
【0020】
図3(a)に示すように、内側アタッチメント15Aの嵌合壁15Abの底面側には放射状のリブ15Afが形成されている。嵌合壁15Acの突出端の周縁には、外側アタッチメント15Bの嵌合凹部15Bcとの強固なスナップ嵌合を得るための凸縁15Ahが4箇所に形成されている。
【0021】
図2に示すように、電動ファンユニット5は、ユニット本体部17と、円形のフィルタ19と、多数の通気孔21aを有する六角形のカバー21とを有している。
ユニット本体部17は、円筒形のファン収容部23と、電源としての不図示のリチウムイオン電池等の二次電池を内蔵する電源収容部25とを備えている。
図4に示すように、ファン収容部23の底面側(覆い部3a側)には、通気可能な三つ又形状のモータ支持部27が形成され、モータ29が支持されている。モータ29の回転軸にはファン31が固定されている。
また、ファン収容部23の底面には、内側アタッチメント15Aの嵌合壁15Abの凸部15Adを通過させる凹部23aが形成されているとともに、凸部15Adの通過後に電動ファンユニット5を回動させることにより凸部15Adと係合する係合縁23bが形成されている。
【0022】
図2に示すように、ファン収容部23の外面側にはフィルタ19を支持する通気可能な三つ又形状の支持部33が形成されている。カバー21はファン収容部23の外面との間に形成された不図示の凸部と凹部による嵌合構造によってワンタッチ操作で着脱自在に設けられている。
また、ユニット本体部17の外面には、カバー21を嵌めたときにその六角形の一つの頂部が位置する部位に、該頂部に指をかけてカバー21を外すための段差凹部23cが設けられている。
【0023】
ユニット本体部17の側面には、その押下時間の長さでファン31の回転数を変更可能なスイッチ35が設けられ、電源収容部25の外面にはスイッチ35のON状態を表示する表示部37が設けられている。
スイッチ35を押すと表示部37が点灯し、二次電池からモータ29へ電力が供給されてファン31が回転する。スイッチ35を長押しするとファン31の回転数が大きくなる。その状態から再度スイッチ35を長押しすると電源OFFとなる。
【0024】
図5は、マスク1をその内側から見た図である。
内側アタッチメント15Aの嵌合壁15Abの底面側からフィルタ19を経た外気が口近傍に供給される。
ファン31の回転により外気がマスク1内へ取り込まれる。マスク1内へ取り込まれた空気は覆い部3aを通ってマスク1外に流出する。なお、マスク1を装着した者の呼吸は覆い部3aを介して行われる。すなわち、呼吸の際に覆い部3aを介してマスク1内へ空気が流入し、且つ流出するようになっている。
【0025】
図6に示すように、電動ファンユニット5は、電源収容部25がマスク本体3側へ僅かに屈曲した形状を有している。
図7は、アタッチメント15に電動ファンユニット5を装着する前のマスク1の要部断面図である。分り易くするためにファン31の形状は模式的に示している。
ファン31が回転すると、マスク本体3内へ向かう気流が生じ、外気がカバー21の通気孔21a、フィルタ19、ファン収容部23内を経て内側アタッチメント15Aの嵌合壁15Abからマスク本体3内に流入する。符号Aはマスク本体3内に流入する空気を示している。
【0026】
電動ファンユニット5をアタッチメント15に取り付ける作業、外す作業を説明する。
ファン収容部23の凹部23aが内側アタッチメント15Aの嵌合壁15Abの凸部15Adに嵌合する位置は、電動ファンユニット5がアタッチメント15に対して斜めにずれた位置であり、この状態から電動ファンユニット5をアタッチメント15を覆うように回動させると嵌合壁15Abの凸部15Adがファン収容部23の係合縁23bに係合し、電動ファンユニット5がアタッチメント15に一体化され、外側アタッチメント15Bの嵌合凹部15Bcは電源収容部25で覆われる。
すなわち、覆い部3aの外面側における外側アタッチメント15Bの全体が電動ファンユニット5で覆われ、外側アタッチメント15Bの形状が露出することによる外観上の見劣りが抑制される。
アタッチメント15から電動ファンユニット5を外す場合には、電動ファンユニット5を所定角度回動してファン収容部23の凹部23aから凸部15Adが抜けるようにするだけでよい。
【0027】
内側アタッチメント15Aと外側アタッチメント15Bの嵌合がなされると、内側アタッチメント15Aの突起15Aeが覆い部3aの内面に食い込み、外側アタッチメント15Bの突起15Beが覆い部3aの外面に食い込む。
突起15Ae、突起15Beは必ずしも必要ではないが、これらを設けることにより、覆い部3aを内側アタッチメント15Aと外側アタッチメント15Bとの間で挟み付けるだけの固定であっても、位置ずれしない強固な固定状態を得ることができる。
【0028】
以上の通り、本実施の形態に係る電動ファン付きマスク1によれば、ファン31、モータ29及び電源が1つのユニットである電動ファンユニット5に集約され、マスク本体3の覆い部3aに固定されたアタッチメント15に着脱自在に設けられているので、コンパクト化を実現でき、使用性の向上に寄与する。電源が体の別の部位に配置されて配線で接続される構成に比べて、体の動きが配線によって制限される等の煩わしさがない。
フィルタ19もカバー21の嵌合を外すだけでマスク本体3を装着したままでも交換でき、交換作業が容易となる。二次電池の充電もアタッチメント15から電動ファンユニット5のみを外すだけで容易に行うことができる。
アタッチメント15は覆い部3aを挟持するだけの取付構成であるため、覆い部3aに固定するための専用の部材が不要で、マスク本体3側の構成をシンプルにできる利点も有している。
【0029】
このため、夏場でのマスク使用において快適性を得ることができる。
また、粉塵が発生する環境においても、防塵機能を得ることができ、粉塵環境下でも快適に使用することができる。目を保護するゴーグル等と併用することもできる。
【0030】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、覆い部3aの開口部9は単穴構成ではなく、複数の穴が集まった構成でもよい。この場合アタッチメント15の構成もこれに対応したものとなる。要するに、ファン31で吸引された外気をマスク本体3内に導入できる形状であればよい。開口部11においても同様である。
マスク本体3の材質は上記に限定されない。すなわち、アタッチメント15と電動ファンユニット5を取り付けて保持できる強さを有するものであればよい。
ファン31を回転駆動する駆動源としてのモータ29の電源は二次電池に限定されず、通常の乾電池やボタン電池であってもよい。
また、電動ファンユニット5におけるフィルタ19の配置位置は、ファン31よりもマスク本体3側であってもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…電動ファン付きマスク 3…マスク本体 5…電動ファンユニット
9…開口部 11…開口部 15…アタッチメント 15A…内側アタッチメント
15B…外側アタッチメント 19…フィルタ 21…カバー
29…モータ 31…ファン 35…スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7