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特開2022-28163両面表マイクロジグソーパズル及びその製法
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  • 特開-両面表マイクロジグソーパズル及びその製法 図1
  • 特開-両面表マイクロジグソーパズル及びその製法 図2
  • 特開-両面表マイクロジグソーパズル及びその製法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028163
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】両面表マイクロジグソーパズル及びその製法
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/10 20060101AFI20220208BHJP
   A63H 33/00 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
A63F9/10 501A
A63H33/00 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020131385
(22)【出願日】2020-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】320006128
【氏名又は名称】株式会社グルーテック
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】高橋 徹郎
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150BA65
2C150FD25
(57)【要約】
【課題】両面に絵柄を設け、各ピースを組み合わせる作業が容易になる両面表マイクロジグソーパズルの製法を提供する。
【解決手段】NCフライスによるエンドミル加工でジグソーパズル用の刃型を一対設ける。両面に異なる図柄を設ける抜シート材1を設ける。該抜シート材1の上面側と下面側とに刃型をそれぞれ配置する。上下の刃型の相互の刃先が接触しない位置まで抜シート材をプレス加工する。上下の刃型の相互の刃先が接触しない位置に薄肉状の連結部3を設ける。該連結部3で連結された多数のピース2を形成する
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジグソーパズル用の一対の刃型をNCフライスによるエンドミル加工で対象形状に設け、両面に図柄を設ける抜シート材の上面側と下面側とに刃型をそれぞれ配置し、上下の刃型相互の刃先が接触しない位置まで抜シート材をプレス加工して薄肉状の連結部で連結された多数のピースを形成することを特徴とする両面表マイクロジグソーパズルの製法。
【請求項2】
NCフライスによるエンドミル加工で設けられた刃型で形成されたマイクロジグソーパズルであって、両面に図柄を設ける抜シート材から成り、該抜シート材の上面側と下面側とから上下一対の刃型でプレス加工して多数のピースが形成され、隣接するピース相互は、両面からプレス加工されずに残った薄肉状の連結部で連結されると共に、ピースの上面側と下面側との輪郭に沿ってそれぞれ面取り状の丸みが形成されたことを特徴とする両面表マイクロジグソーパズル。
【請求項3】
前記抜シート材は、前記ピースを形成する前又は形成した後に、図柄を両面に設けた請求項2記載の両面表マイクロジグソーパズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロジグソーパズルの両面に図柄を施すことが可能な両面表マイクロジグソーパズル及びその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のビク金型は、圧ベニヤ板に切り抜きたい形の刃を取り付けたもので、この型を紙に押し付けることでジグソーパズルを打ち抜くものである。この際、刃物と刃物の継ぎ目に生じる微妙な突起を防ぐために、縦型と横型の2型を製作し、2工程でプレス加工して製造するものであった。しかも、型製法が手加工の為、ジグソーパズルのサイズは微細加工に限界があり、1ピースの一辺のサイズが縦8mm×横8mmが最小のサイズであった。
【0003】
一方、当発明者は、先に特許文献1に記載のマイクロジグソーパズルを提案している。このジグソーパズルは、NCフライスによるエンドミル加工で高精度の刃型を製造し、ワンプレスでマイクロジグソーパズルを打ち抜いたものである。
【0004】
このマイクロジグソーパズルにより、従来のジグソーパズルのサイズを微小化し、テレホンカードサイズの精密なマイクロジグソーパズルを提供することに成功している。
【0005】
また特許文献2に、ジグソーパズルの両面に絵柄を設けたジグソーパズル玩具が記載されている。この玩具は、ジグソーパズルの両面に異なった図柄を印刷したもので、両面を使用して楽しむことができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-36618号公報
【特許文献2】実開昭58-142094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のビク刃加工において、形状加工された型に素材を載せ、更にフラットなあて板を乗せ、プレス機であて板に食い込ませる製法では、刃先が摩耗し、耐久性がないという課題があった。
【0008】
一方、特許文献1のごとく、エンドミル加工で高精度のビク金型を製造し、ワンプレスでマイクロジグソーパズルを打ち抜くと、各ピースが同時に打ち抜かれるため、打ち抜かれた各ピースが飛散するおそれがあった。
【0009】
本発明では、マイクロジグソーパズルの両面に絵柄を設けることにある。したがって、両面に絵柄が表示された各ピースが飛散して混在してしまうと、ピースの管理に多くの手間を要する問題が生じることになる。
【0010】
また、特許文献1では、高精度のビク金型を使用してワンプレスで打ち抜いたものであるから、表面から打ち抜くと、裏面側のピースの輪郭が平面状のまま切り抜かれるため、各ピースの輪郭に丸みが形成されないことになる。
【0011】
そのため、両面に絵柄を配した場合、裏面の絵柄を使用してピースを組み立てようとすると、裏面の絵柄の輪郭相互が極めて近接し、ピースの表面のような輪郭に沿った丸みがないので、裏面側のピースを組み合わせる作業が難しくなる。
【0012】
一方、特許文献2に記載のジグソーパズル玩具も、厚紙の両面に異なる図柄の2枚のシートを貼着し、これを各ピースに裁断分割するので、ピースの裏面側の図柄には輪郭の丸みが形成されず、裏面の図柄を合わせてピースを組み合わせる作業が難しくなる。
【0013】
そこで本発明は、上述の課題を解消したもので、マイクロジグソーパズルの両面に絵柄を設けることが可能で、しかも、製造された各ピースの飛散を防止することができ、更に、両面のピースの輪郭に沿ってそれぞれ丸みが形成されて各ピースを組み合わせる作業が容易になる両面表マイクロジグソーパズル及びその製法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、ジグソーパズル用の一対の刃型をNCフライスによるエンドミル加工で対象形状に設け、両面に図柄を設ける抜シート材1の上面側と下面側とに刃型をそれぞれ配置し、上下の刃型相互の刃先が接触しない位置まで抜シート材をプレス加工して薄肉状の連結部3で連結された多数のピース2を形成する製造方法にある。
【0015】
第2の手段は、NCフライスによるエンドミル加工で設けられた刃型で形成されたマイクロジグソーパズルであって、両面に図柄を設ける抜シート材1から成り、該抜シート材の上面側と下面側とから上下一対の刃型でプレス加工して多数のピース2が形成され、隣接するピース2相互は、両面からプレス加工されずに残った薄肉状の連結部3で連結されると共に、ピース2の上面側と下面側との輪郭に沿ってそれぞれ面取り状の丸み4が形成されたものである。
【0016】
第3の手段の前記抜シート材1は、前記ピース2を形成する前又は形成した後に、図柄を両面に設けたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1によると、抜シート材1の上面側と下面側とに刃型をそれぞれ配置し、上下の刃型の相互の刃先が接触しない位置まで抜シート材をプレス加工して薄肉状の連結部3で連結された多数のピース2を形成することで、両面に図柄を備えるマイクロジグソーパズルを形成することができる。
【0018】
しかも、マイクロジグソーパズルを打ち抜いたときに、多数のピース2は薄肉状の連結部3で連結されているので、打ち抜かれた各ピース2が飛散するおそれは解消された。したがって、裏表が混在せず、各ピース2が固定された状態での管理が容易になる。
【0019】
請求項2のように、隣接するピース相互は、両面からプレス加工されずに残った薄肉状の連結部3で連結されているので、この連結部3を切り離すまでは各ピース2が一体になっているので抜シート材1の両面に形成された図柄を楽しむことができる。
【0020】
また、各ピース2を連結部3から切り離した後は、両面に図柄を有するピース2を選択して組み合わせる遊びになる。この結果、極めて高度なジグソーパズルが形成される。
【0021】
更に、各ピース2は、上面側と下面側との輪郭に沿ってそれぞれ面取り状の丸み4が形成されているので、ピースの裏面の図柄を合わせてピースを組み合わせる作業においても、各ピースを容易に組み合わせることができる。
【0022】
請求項3のごとく、抜シート材1は、前記ピース2を形成する前又は形成した後に、図柄を両面に設けるものであるから、抜シート材1の両面に図柄を任意の手段で形成することが可能になる。例えば、抜シート材1に予め印刷済のシートを張り付けてからピース2を形成することができる。また、ピース2が形成された後にプリンター等で任意の図柄を印刷することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施例を示す平面図である。
図2図1に示す矢視A-B線断面図である。
図3】本発明の一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、両面に図柄を設けたマイクロジグソーパズルを形成するものである。すなわち、マイクロジグソーパズルとは、ジグソー形状をプログラミングしたNCフライスによりエンドミル加工を施し、スチール鋼にダイレクトに100μの精度で可能な刃型を製造し、この刃型で1工程のプレス加工で形成するジグソーパズルである。
【0025】
この刃型によると、主に各ピース2の一辺のサイズが4mm乃至10mmのマイクロジグソーパズルの成形が可能になる。したがって、カードサイズのジグソーパズルを形成することができる。もっとも、この高精度の刃型により10mm程度までのピースを形成することも可能である。
【0026】
ピース2を形成する抜シート材1は、両面に図柄を設けるもので、紙材、合成樹脂材等のシート材が使用される。この抜シート材1の厚みは、高精度の刃型の構成により0.6mm乃至1.3mm程度の抜シート材1を使用するのが望ましい。
【0027】
本発明製造方法は、まず、ジグソーパズル用の一対の刃型を、NCフライスによるエンドミル加工で対象形状に設ける。次に、これら高精度の刃型を抜シート材1の上面側と下面側とにそれぞれ配置する(図示せず)。そして、上下の刃型の相互の刃先が接触しない位置まで抜シート材をプレス加工して、薄肉状の連結部3で連結された多数のピース2を形成するものである(図2参照)。図示では、図3に示すa方向とb方向とから刃型の刃先が切断する。この際、上下の刃型を同時にプレスしても良く、また、別々にプレスすることも可能である。
【0028】
例えば、紙製の抜シート材1の厚みを1mmとすると、0.1mm厚程度の連結部3を形成するように上下の刃型の相互の刃先で押し切る(図3参照)。また、合成樹脂製の抜シート材1に設ける連結部3の厚みは、0.2mm程度に形成することが可能である。このように、連結部3の厚みは素材や用途により任意に変更することができる。
【0029】
図1に示すマイクロジグソーパズルは、84mm×54mm×厚み1mmのカードサイズに形成したものである。このようなサイズのマイクロジグソーパズルは、財布やカードケース等に収納可能な携帯用のジグソーパズルとして使用することができる。
【0030】
本発明ジグソーパズルは、本発明製造方法により形成されるもので、両面に図柄を設ける抜シート材1にて構成する。そして、この抜シート材1の上面側と下面側とから上下一対の刃型でプレス加工して多数のピース2が形成されている(図1参照)。このとき、隣接するピース2相互は、両面からプレス加工されずに残った薄肉状の連結部3で連結されている(図2参照)。
【0031】
更に、各ピース2は、抜シート材1の上面側と下面側との輪郭に沿ってそれぞれ面取り状の丸み4が形成されている(図3参照)。この丸み4は、刃型の刃の基端側で形成される部位で、従来のピースの表面に形成されている丸みと同様の丸み4に形成される。本発明では、抜シート材1の上面側と下面側とにそれぞれ刃型を配置して両面から抜シート材1を切断するので、抜シート材1の上面側と下面側との輪郭に沿ってそれぞれ丸み4が形成されるものである。
【0032】
抜シート材1は、各ピース2を形成する前又は形成した後に、図柄を両面に設けるものである。例えば、抜シート材1に予め印刷済のシートを張り付けてからピース2を形成することで、両面に図柄を有するジグソーパズルが形成される。
【0033】
また、ピース2が形成された後にプリンター等で任意の図柄を印刷することも可能である。この場合、使用者がパソコン用のプリンター等を使用して好みの図柄をピース2に印刷して楽しむことが可能になる。このとき、ピース2両面の図柄は異なる図柄が形成されるほか、同一図柄を色違いに形成するなど、任意の図柄を形成することができる。
【0034】
尚、本発明において、図示の構成に限定されるものではなく、抜シート材1、ピース2、連結部3、丸み4、印刷面5の各構成や材質は、本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更は自由に行える。
【符号の説明】
【0035】
1 抜シート材
2 ピース
3 連結部
4 丸み
5 印刷面
図1
図2
図3