(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028182
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】基板接続コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/639 20060101AFI20220208BHJP
H01R 12/71 20110101ALI20220208BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020131426
(22)【出願日】2020-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】細田 翔平
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA11
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB02
5E021FB15
5E021FB16
5E021FB17
5E021FB21
5E021FC09
5E021FC36
5E021HC14
5E021HC31
5E223AA01
5E223AA11
5E223AA16
5E223AB28
5E223AB62
5E223BA01
5E223BA04
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB28
5E223CB31
5E223CB38
5E223CC15
5E223CD01
5E223DA05
5E223DB08
5E223DB11
5E223DB25
5E223DB32
5E223DB36
(57)【要約】
【課題】基板間を接続する基板接続コネクタ同士の接続状態の維持を、各コネクタの金属部材の凸部と凹部とが嵌り合うことで行っているため、コネクタの脱着の際にかかる力は、金属部材の凸部及び凹部に集中し、それらが変形したり摩耗したりすることで、嵌合状態を維持する力が弱くなるおそれがある。
【解決手段】複数の端子と、相手コネクタとの嵌合状態を維持するための付加部材と、ハウジングとを含むコネクタであって、付加部材は第1ロック部及び第2ロック部を備え、ハウジングは第1ロック部を保持した第1側壁部と第2ロック部を保持した第2側壁部とを含み、第1ロック部及び第2ロック部を、それぞれ第1側壁部の表面及び第2側壁部の表面よりも突出した曲面となるように構成することで、ネクタの脱着の際にかかる力が一点に集中することを防ぎ、変形や摩耗に強いロック部を備えたコネクタを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子(120又は220)と、相手コネクタとの嵌合状態を維持するための付加部材(150又は230)と、ハウジング(110又は210)とを含むコネクタであって、
前記付加部材(150又は230)は、第1ロック部(154又は234)と第2ロック部(155又は235)とを含み、
前記ハウジング(110又は210)は、前記第1ロック部(154又は234)を保持した第1側壁部(112又は212)と前記第2ロック部(155又は235)を保持した第2側壁部(114又は214)とを含み、
前記第1ロック部(154又は234)及び前記第2ロック部(155又は235)は、それぞれ前記第1側壁部(112又は212)の表面及び前記第2側壁部(155又は235)の表面よりも突出した曲面であり、
前記第1ロック部(154又は234)は、前記第1側壁部(112又は212)に対して直交する方向で分割され、
前記付加部材(150又は230)は、前記第1ロック部(154又は234)の両側に、前記第1ロック部(154又は234)とは直交する方向に延在する前記第2ロック部(155又は235)を備えたこと
を特徴とするコネクタ(100又は200)。
【請求項2】
前記付加部材(150又は230)は、前記第1ロック部(154又は234)及び前記第2ロック部(155又は235)が設けられた位置よりも、前記ハウジング(110又は210)の底側に、平面部(156A,156B又は236A,236B)をそれぞれ備えたこと
を特徴とする請求項1に記載のコネクタ(100又は200)。
【請求項3】
前記第1ロック部(154又は234)及び前記第2ロック部(155又は235)は、相手コネクタとの接続時に、前記相手コネクタの第1相手ロック部(234又は154)及び第2相手ロック部(235又は155)と係合し、前記第1ロック部(154又は234)及び前記第2ロック部(155又は235)の前記平面部(156A,156B又は236A,236B)は、前記第1相手ロック部(234又は154)及び前記第2相手ロック部(235又は155)をそれぞれ受け入れるように構成されたこと
を特徴とする請求項2に記載のコネクタ(100又は200)。
【請求項4】
前記複数の端子(120又は220)は、前記第2側壁部(114又は214)の中央部分に保持され、
前記付加部材(150又は230)は、前記中央部分を間に挟んで、前記ハウジング(110又は210)の両側に配置されたこと
を特徴とする請求項3に記載のコネクタ(100又は200)。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載のコネクタ(100又は200)を2つ含み、
前記2つのコネクタ(100又は200)のうち、1つはプラグコネクタ(200)であり、もう1つはレセプタクルコネクタ(100)であり、
前記プラグコネクタ(200)における前記付加部材(150又は230)、前記第1ロック部(154又は234)及び前記平面部(156A,156B又は236A,236B)は、それぞれプラグ付加部材(230)、第1プラグロック部(234)及びプラグ平面部(236A)であり、
前記レセプタクルコネクタ(100)における前記付加部材(150又は230)、前記第1ロック部(154又は234)及び前記平面部(156A,156B又は236A,236B)は、それぞれレセ付加部材(230)、第1レセロック部(154)及びレセ平面部(156A)であり、
前記第1プラグロック部(234)は、前記第1プラグロック部(234)が延在する方向とは直交する方向で分割されていること
を特徴とするコネクタ装置。
【請求項6】
前記分割された第1プラグロック部(234)の前記プラグ平面部(236A)の端部は、基板(400)に取り付けるための実装部が設けられていない自由端であり、
前記第1レセロック部(154)の前記レセ平面部(156A)の端部には、基板(300)に取り付けるための実装部(151A)が設けられていること
を特徴とする請求項5に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記レセ付加部材(130)は、前記プラグコネクタ(200)との電源用の接点となる複数の電源端子(160)を含み、
前記複数の電源端子(160)は、前記プラグコネクタ(200)の端子(120)と並べて前記第2側壁部(114)に配列されたこと
を特徴とする請求項5又は6に記載のコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグコネクタとレセプタクルコネクタを接続する際に、コネクタ同士を嵌合し易く、かつ、抜けづらくするためのロック部を備えたコネクタの構造に関する。具体的には、複数の端子が保持されたハウジングを備えたコネクタは、プリント配線基板やフレキシブルフラットケーブル等の基板同士を接続するための基板接続コネクタであり、基板接続コネクタの着脱を容易にする金具部材の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の端子がハウジングにインサート成形(一体成形)等により配列保持され、基板間を接続する基板接続コネクタとして、例えば、特開2020-031025号公報(特許文献1)に開示されているコネクタがある。当該コネクタは、プラグ側のコネクタ(プラグコネクタ)と接続されるレセプタクル側のコネクタ(レセプタクルコネクタ)であり、複数の端子を長手方向に配列保持した、長方形状のハウジングを備える。
【0003】
プラグコネクタ及びレセプタクルコネクタは、それぞれプリント配線基板又はフレキシブルフラットケーブル等に設けることができる。例えば、表面実装等でプリント配線基板に設けられたレセプタクルコネクタと、フレキシブルフラットケーブルの端部に設けられたプラグコネクタとを互いに嵌合することで、基板間を接続することができる。
【0004】
従来、コネクタ同士を接続した状態を維持するために、各コネクタは、互いに嵌り合う構造を有している。例えば、先に述べた先行例(特許文献1)のプラグコネクタ及びレセプタクルコネクタでは、複数の端子の他に、該複数の端子の列を間に挟んで、長手方向の両側に金属部材を備えている。レセプタクルコネクタの内側を向いた金属部材の一部分には、凸状の付加部材が設けられ、プラグコネクタの外側を向いた金属部材の一部分には、凹部が設けられ、コネクタ同士の嵌合時に、凸状の付加部材が、凹部に嵌ることで、プラグコネクタの金属部材とレセプタクルコネクタの金属部材とが電気的に接続した状態を維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、コネクタ同士の接続状態の維持を、各コネクタの金属部材の凸部(付加部材)と凹部とが嵌り合うことで行っているため、コネクタの脱着の際にかかる力は、金属部材の凸部及び凹部に集中し、それらが変形したり摩耗したりすることで、各コネクタの金属部材の凸部と凹部の嵌合状態を維持する力が弱くなるおそれがある。
【0007】
また、基板間を接続する従来のプラグコネクタ及びレセプタクルコネクタは、スマートフォン、携帯端末等の小型電子機器内の基板に実装されるため、非常に小さなコネクタであり、その部品である複数の端子だけでなく金属部材も非常に小さいものである。そのため、金属部材の加工を誤差なく行い、一方の金属部材に凸部(付加部材)を設け、他方の金属部材に凹部を設けることは、製造コストがかかる工程となり得る。
【0008】
以上のような課題を解決するために、本発明のプラグコネクタ及びレセプタクルコネクタは、複数の端子と、相手コネクタとの嵌合状態を維持するための付加部材と、ハウジングとを含むコネクタであって、付加部材は第1ロック部及び第2ロック部を備え、ハウジングは第1ロック部を保持した第1側壁部と第2ロック部を保持した第2側壁部とを含み、第1ロック部及び第2ロック部を、それぞれ第1側壁部の表面及び第2側壁部の表面よりも突出した曲面となるように構成することで、製造工程において金属部材を加工して凸部や凹部を設ける工程を省いて製造コストを抑えることができ、また、コネクタの脱着の際にかかる力が一点に集中することを防ぎ、変形や摩耗に強いロック部を備えたコネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの実施形態に係るコネクタは、複数の端子と、相手コネクタとの嵌合状態を維持するための付加部材と、ハウジングとを含むコネクタであって、
前記付加部材は、第1ロック部と第2ロック部とを含み、
前記ハウジングは、前記第1ロック部を保持した第1側壁部と前記第2ロック部を保持した第2側壁部とを含み、
前記第1ロック部及び前記第2ロック部は、それぞれ前記第1側壁部の表面及び前記第2側壁部の表面よりも突出した曲面であり、
前記第1ロック部は、前記第1側壁部に対して直交する方向で分割され、
前記付加部材は、前記第1ロック部の両側に、前記第1ロック部とは直交する方向に延在する前記第2ロック部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のプラグコネクタ及びレセプタクルコネクタは、相手コネクタと接続した際に、ハウジングに設けられたロック部は、側壁部の表面よりも突出した曲面となるように構成することで、相手コネクタの相手ロック部と、点ではなく面で係合し、コネクタ同士の嵌合状態を維持することができるだけでなく、コネクタの脱着の際にかかる力を分散することができ、ロック部の変形や摩耗を防ぐことができる。
【0011】
また、本発明のプラグコネクタ及びレセプタクルコネクタのロック部は、側壁部の表面から突出させるように構成させたことで、付加部材(金属部材)の表面に凸部や凹部を形成するように加工を必要がなく、製造コストを抑えることができる。
【0012】
さらに、本発明のプラグコネクタ及びレセプタクルコネクタは、第1ロック部及び第2ロック部を備えることで、相手コネクタの第1相手ロック部及び第2相手ロック部とそれぞれ係合し、コネクタ同士の嵌合状態を十分に維持することができる。そして、一方のコネクタの第1ロック部を分割して2つに分けたことにより、コネクタ同士の嵌合時に、2つに分割した第1ロック部と共に当該第1ロック部を保持する第1側壁部を変形し易くして、第1ロック部に係る力を逃がして、コネクタ同士の嵌合に係る力を、調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプラグコネクタとレセプタクルコネクタを、プラグ側からみた斜視図である。
【
図2】
図1に示したプラグコネクタ及びレセプタクルコネクタのそれぞれに含まれるプラグ付加部材及びレセ付加部材のみを示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るプラグコネクタとレセプタクルコネクタを、側面からみた側面図である。
【
図4】
図3に示した切断箇所A-Aで切断したプラグ端子及びレセプタクル端子の断面図である。
【
図5】
図3に示した切断箇所B-Bで切断した電源端子及び電源端子が接触する部分の断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るプラグコネクタとレセプタクルコネクタを、レセプタクル側からみた斜視図である。
【
図7】
図6に示したプラグコネクタ及びレセプタクルコネクタのそれぞれに含まれるプラグ付加部材及びレセ付加部材のみを示した図である。
【
図9】
図8に示した切断箇所C-Cで切断したレセプタクルコネクタの断面図である。
【
図11】
図10に示した切断箇所D-Dで切断したプラグコネクタの断面図である。
【
図12】プラグ付加部材及びレセ付加部材が嵌合した状態を電源端子側からみた図である。
【
図13】プラグ付加部材及びレセ付加部材が嵌合した状態をプラグ側からみた上面図である。
【
図14】
図13に示した切断箇所E-Eで切断したプラグ付加部材及びレセ付加部材の断面図である。
【
図15】
図13に示した切断箇所F-Fで切断したプラグ付加部材及びレセ付加部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、実施の形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、本発明の一実施形態に係るプラグコネクタ又はレセプタクルコネクタの構成、形状は、嵌合方向(Z軸方向)の中止軸を対称点として点対称の関係にあるから、符号が付された部分、部材、部品等に対して点対称である部分、部材、部品等については、基本的には、同一の符号を付すことを省略する。さらに、それぞれの実施形態は、独立して説明されているが、互いの構成要素を組み合わせて、プラグコネクタ又はレセプタクルコネクタを構成することを排除するものではない。また、プラグコネクタ及びレセプタクルコネクタからなる構成を、コネクタ装置とも呼ぶ。
【0015】
本明細書及び特許請求の範囲においては、2つのコネクタを区別するために、プラグコネクタ及びレセプタクルコネクタと呼び、各々の部材又は部品等を、プラグハウジングとレセプタクルハウジング、プラグ端子とレセプタクル端子、第1プラグロック部と第1レセロック部、第2プラグロック部と第2レセロック部、プラグ平面部とレセ平面部等と呼んでいるが、コネクタの形状で区別せずに呼ぶ場合には、プラグ及びレセプタクル(レセ)との表現を省略して、単にコネクタ、ハウジング、端子、第1ロック部、第2ロック部、平面部等と呼ぶことにする。
【0016】
また、コネクタの形状で区別しない場合には、一方のコネクタと嵌合する他方のコネクタを相手コネクタと呼び、相手コネクタの第1ロック部及び第2ロック部を第1相手ロック部及び第2相手ロック部と呼ぶことにする。
【0017】
図1から
図7は、本発明の1つの実施形態に係るプラグコネクタ及びレセプタクルコネクタを示す。
図1は、本発明の一実施形態に係るプラグコネクタ及びレセプタクルコネクタを、プラグ側(Z2側)から見た時のそれぞれのコネクタの外観を示す。
図2は、
図1に示したプラグコネクタ及びレセプタクルのそれぞれに含まれるプラグ付加部材及びレセ付加部材のみを示す。
図3は、本発明の一実施形態に係るプラグコネクタとレセプタクルコネクタを、側面(Y1側)からみた側面図であり、
図4は、
図3に示した切断箇所A-Aで切断したプラグ端子及びレセプタクル端子の断面を示し、
図5は、
図3に示した切断箇所B-Bで切断した電源端子及び電源端子が接触する部分の断面を示す。また、
図6は、
図1とは上下が逆転し、レセプタクルコネクタ側(Z1側)から見た時のそれぞれのコネクタの外観を示す。
図7は、
図6に示したプラグコネクタ及びレセプタクルのそれぞれに含まれるプラグ付加部材及びレセ付加部材のみを示す。
【0018】
本発明のプラグコネクタ及びレセプタクルは、例えば、携帯電話やスマートフォン、デジタルカメラ、ノートパソコンなどの小型電子機器における内部部品として使用することができる。コネクタの嵌合方向は、図中のZ1―Z2方向(Z軸方向)である。プラグコネクタ200は、Z軸方向のZ1側にある相手コネクタであるレセプタクルコネクタ100と嵌合し、レセプタクルコネクタ100は、Z軸方向のZ2側にある相手コネクタであるプラグコネクタ200と嵌合し、それぞれ電気的に接続される。本発明において、矩形状のコネクタの長手方向はX1―X2方向(X軸方向)であり、長手方向(X軸方向)と直交する短手方向はY1―Y2方向(Y軸方向)である。
【0019】
また、レセプタクルコネクタ100及びレセプタクル端子120における上下について、基板側(基板に取り付けられる側)を「下」又は「裏」とし、プラグコネクタ200及びプラグ端子220を受け入れる側を「上」又は「表」とする。同様に、プラグコネクタ200及びプラグ端子220における上下について、基板側(基板に取り付けられる側)を「下」又は「裏」とし、レセプタクルコネクタ100及びレセプタクル端子120を受け入れる側を「上」又は「表」とする。
【0020】
レセプタクルコネクタ100及びプラグコネクタ200は、プリント配線基板又はフレキシブルフラットケーブル等に半田付けされて実装される。ここでは、プリント配線基板及びフレキシブルフラットケーブル等、コネクタが実装されるものを、単に「基板」と呼ぶ。
図1に示されるように、レセプタクルコネクタ100は基板300に実装され、
図6に示されるように、プラグコネクタ200は基板400に実装される。
【0021】
まず、
図1及び
図2を主に参照して、レセプタクルコネクタ100の構成について説明する。レセプタクルコネクタ100は、レセプタクルハウジング110と、レセプタクル端子120と、相手コネクタであるプラグコネクタ200との嵌合状態を維持するためのレセ付加部材150とを含む。レセプタクル端子120は、リン青銅等の金属からなり、レセプタクルハウジング110の長手方向(X軸方向)に延在した第2側壁部114に埋め込まれて、相手端子であるプラグ端子220と接触する表面を第2側壁部114から露出させてレセプタクルハウジング110に保持される。レセプタクル端子120は、半田付け等により基板300に取り付けるための実装部121を端部に備える。
【0022】
レセプタクルハウジング110は、液晶ポリマー(LCP)等の絶縁性の樹脂からなり、短手方向(Y軸方向)に延在した第1側壁部112及び長手方向(X軸方向)に延在した第2側壁部114を備え、第1側壁部112及び第2側壁部114に囲まれた中央部分に長手方向(X軸方向)に延在した嵌合凸部116を備える。つまり、レセプタクルハウジング110は、レセプタクル端子120の可動部127側に、嵌合凸部116と、レセプタクル端子120の固定部125側に第2側壁部114を含む。また、レセプタクルハウジング110は、嵌合凸部116と第1側壁部112及び第2側壁部114との間に空間としての受容部118を備える。
【0023】
レセプタクルコネクタ100とプラグコネクタ200とが接続した際には、嵌合凸部116は、プラグコネクタ200の嵌合凹部216(
図6参照)に収容され、嵌合凹部216の第1側壁部212及び第2側壁部214(
図6参照)は、レセプタクルコネクタ100の受容部118に収容される。
【0024】
ここで、
図1及び
図2に加えて、
図4を参照すると、レセプタクル端子120は、実装部121から上方(Z軸方向のZ2側)に折れ曲がった部分を介して脚部122を備える。脚部122は、固定接点124及び固定部125とレセプタクルハウジング110の第2側壁部114を挟んで対向し、脚部122と固定接点124及び固定部125との間は、第2側壁部114の上端に位置する頂部123を介してつながっている。
【0025】
脚部122の周囲は、頂部123に隣接する部分を除いて、すべてレセプタクルハウジング110の樹脂(周壁部113と第2側壁部114の樹脂)に覆われている。すなわち、脚部122は、頂部123に隣接する部分を除いて、第1側壁部112及び第2側壁部114を囲む周壁部113によって、第2側壁部114に埋め込まれて、レセプタクルハウジング110に保持される。脚部122、頂部123、固定接点124及び固定部125の裏面(相手端子に接触する面とは反対側の面)は、第2側壁部114によって支持される。つまり、レセプタクル端子120の脚部122及び固定部125は、それぞれ対向する面を第2側壁部114によって支持される。
【0026】
レセプタクル端子120の固定接点124は、第2側壁部114の表面よりも嵌合凸部116側に突出し、固定接点124の接点側面129が第2側壁部114から露出している。固定接点124は、相手端子であるプラグ端子220との嵌合状態において、外側脚部225に当接し電気的に接続される(
図4参照)。固定接点124及び固定部125は、相手端子との嵌合の際に動くことがないように、相手端子と接触する面とは反対側の面を第1側壁部112によって支持されて固定される。
【0027】
図4に示す断面図からも明らかなように、レセプタクル端子120は、レセプタクルハウジング110とのインサート成形(一体成形)により、可動部127側の部分以外は、レセプタクルハウジング110に密着している。また、レセプタクル端子120の脚部122、頂部123、固定接点124及び固定部125で囲まれた空間は、樹脂(ハウジング)が充填されている。
【0028】
レセプタクル端子120は、固定部125と可動部127との間に、それらとつながっている底部126を含む。底部126は、レセプタクルコネクタ100の短手方向(Y軸方向)に延び、直角に折れ曲がった部分を介して固定部125及び可動部127につながっている。底部126の板厚方向は、嵌合方向(Z軸方向)に沿っており、底部126の受容部118側の面(Z2側の面)は、レセプタクルハウジング110の底壁119から露出している。底部126の基板側(相手端子を受け入れる面(Z2側の面)とは反対側(Z1側))の面(つまり、裏面)の一部分は、レセプタクルハウジング110の底壁119の裏面から露出し、露出した部分以外の部分は、第2側壁部114及び嵌合凸部116付近の樹脂によって支持される(
図6参照)。そのため、底壁の裏面側から可動部127は視認できない。
【0029】
可動部127は、嵌合凸部116の側壁には触れておらず自由端であり、端部周辺を固定接点124側に突出させて形成された可動接点128を含む。可動部127は、相手端子であるプラグ端子220を受け入れて嵌合する際に、弾性により嵌合凸部116側に押されて変形し、嵌合状態において、可動接点128は、プラグ端子220の内側脚部222に当接し電気的に接続される。
【0030】
レセ付加部材150は、レセプタクル端子120が保持された第2側壁部114の中央部分を間に挟んで、レセプタクルコネクタ100の両側に配置される。つまり、レセ付加部材150は、レセプタクルコネクタ100の長手方向(X軸方向)両側の端に、それぞれ設けられる。レセ付加部材150は、1つの第1レセロック部154と、一対の第2レセロック部155とを含む。レセプタクルハウジング110は、第1レセロック部154を第1側壁部112で保持し、第2レセロック部155を第2側壁部114で保持する。レセ付加部材150は、第1側壁部112に保持された第1レセロック部154の両側(Y1及びY2側)に、第1レセロック部154とは直交する方向(X軸方向)に延在する第2レセロック部155を備える。すなわち、第1レセロック部154は、短手方向(Y軸方向)において、一対の第2レセロック部155の間に位置する。第1レセロック部154を備える部分と第2レセロック部155を備える部分とは、レセ連結部165を介してつながっている。レセ連結部165は、レセプタクルハウジング110に埋設されている。
【0031】
ここで、
図1及び
図2に加えて、
図8及び
図9も合わせて参照しながら、本発明の一実施形態に係るレセプタクルコネクタの構成について説明する。
図8は、本発明の一実施形態に係るレセプタクルコネクタを上方からみた上面図であり、
図9は
図8に示した切断箇所C-Cで切断したレセプタクルコネクタの断面図である。
【0032】
レセ付加部材150は、半田付け等により基板300に取り付けるための実装部151A,151Bを備えており、実装部151A,151Bから上方(Z軸方向のZ2側)に折れ曲がった部分を介してレセ脚部152A,152Bを備える。第1レセロック部154及びレセ脚部152Aは、第1側壁部112を挟んで対向し、第1レセロック部154とレセ脚部152Aとの間は、第1側壁部112の端部に位置する頂部153Aを介してつながっている。同様に、第2レセロック部155及びレセ脚部152Bは、第2側壁部114を挟んで対向し、第2レセロック部155とレセ脚部152Bとの間は、第2側壁部114の端部に位置する頂部153Bを介してつながっている。
【0033】
第1レセロック部154は、レセ脚部152Aを介して実装部151Aとつながっており、実装部151Aを半田付け等により基板300に取り付けることで、コネクタ同士の接続の際に、レセ付加部材150に加わる力に耐えることができる。同様に、第2レセロック部155は、レセ脚部152Bを介して実装部151Bとつながっており、実装部151Bを半田付け等により基板300に取り付けることで、コネクタ同士の接続の際に、レセ付加部材150に加わる力に耐えることができる。
【0034】
レセ脚部152A,152Bの周囲は、頂部153A,153Bに隣接する部分を除いて、すべてレセプタクルハウジング110の樹脂に覆われている。すなわち、レセ脚部152A,152Bは、頂部153A,153Bに隣接する部分を除いて、第1側壁部112及び第2側壁部114を囲む周壁部113によって、第1側壁部112及び第2側壁部114に埋め込まれて、レセプタクルハウジング110に保持される。レセ脚部152A、頂部153A及び第1レセロック部154の裏面は、第1側壁部112によって支持され、レセ脚部152B、頂部153B及び第2レセロック部155の裏面は、第2側壁部114によって支持される。
【0035】
第1レセロック部154は、第1側壁部112の表面から突出した曲面となるように構成され、短手方向(Y軸方向)と直交する断面形状が同じ曲面として短手方向(Y軸方向)に延在している。第2レセロック部155は、第2側壁部114の表面から突出した曲面となるように構成され、長手方向(X軸方向)と直交する断面形状が同じ曲面として長手方向(X軸方向)に延在している。第1レセロック部154及び第2レセロック部155は、それぞれ第1側壁部112及び第2側壁部114からレセロック側面159A,159Bを露出する。レセ付加部材150は、第1レセロック部154及び第2レセロック部155が設けられた位置よりもレセプタクルハウジング110の底側(Z1側)に、第1レセロック部154及び第2レセロック部155よりも第1側壁部112及び第2側壁部114側に位置するレセ平面部156A,156Bをそれぞれ備える。
【0036】
レセ付加部材150は、第1レセロック部154に対向してT字部158を含み、T字部158は、底部157、レセ平面部156Aを介して第1レセロック部154とつながっている。T字部158は、嵌合方向(Z軸方向)に延在するレセ固定部161によって、嵌合凸部116の長手方向(X軸方向)の端部分の側壁を覆うように保持され、レセ付加部材150をレセプタクルハウジング110に固定することができる。底部157、レセ平面部156A及びレセ固定部161はレセプタクルハウジング110から露出した状態で受容部118に面している。また、レセ付加部材150は、レセプタクル端子120に隣接する側(X1側のレセ付加部材150のX2側、X2側のレセ付加部材150のX1側)に、電源端子160を備える。電源端子160は、数アンペア程度の電力を供給するための端子である。レセ付加部材150の電源端子160は、レセプタクル端子120の両側(X1側及びX2側)に等間隔に配列される。
【0037】
ここで、
図1及び
図2に加えて、
図5を参照すると、レセ付加部材150のレセ脚部152Bは、第2レセロック部155及びレセ平面部156Bとレセプタクルハウジング110の第2側壁部114を挟んで対向し、レセ脚部152Bと第2レセロック部155及びレセ平面部156Bとの間は、第2側壁部114の上端に位置する頂部153Bを介してつながっている。
【0038】
レセ脚部152Bの周囲は、頂部153Bに隣接する部分を除いて、すべてレセプタクルハウジング110の樹脂(周壁部113と第2側壁部114の樹脂)に覆われている。すなわち、レセ脚部152Bは、頂部153Bに隣接する部分を除いて、第1側壁部112及び第2側壁部114を囲む周壁部113によって、第2側壁部114に埋め込まれて、レセプタクルハウジング110に保持される。レセ脚部152B、頂部153B、第2レセロック部155及びレセ平面部156Bの裏面(第2プラグロック部235に接触する面とは反対側の面)は、第2側壁部114によって支持される。つまり、レセ付加部材150の第2レセロック部155側のレセ脚部152B及びレセ平面部156Bは、それぞれ対向する面を第2側壁部114によって支持される。
【0039】
電源端子160は、レセ平面部156Bから嵌合凸部116に向けて延出し、レセ平面部156Bと可動部163との間に、それらとつながっている底部162を含む。底部162は、レセプタクルコネクタ100の短手方向(Y軸方向)に延び、直角に折れ曲がった部分を介してレセ平面部156B及び可動部163につながっている。底部162の基板側(相手端子を受け入れる面(Z2側の面)とは反対側(Z1側))の面(つまり、裏面)の一部分は、レセプタクルハウジング110の裏面から露出し、露出した部分以外の部分は、第2側壁部114及び嵌合凸部116付近の樹脂によって支持される(
図5及び6参照)。
【0040】
図5に示す断面図からも明らかなように、レセ付加部材150は、レセプタクルハウジング110とのインサート成形(一体成形)により、電源端子160の可動部163側の部分以外は、レセプタクルハウジング110に密着している。また、レセ付加部材150のレセ脚部152B、頂部153B、第2レセロック部155及びレセ平面部156Bで囲まれた空間は、樹脂(ハウジング)が充填されている。
【0041】
可動部163は、嵌合凸部116の側壁には触れておらず自由端であり、端部周辺を第2レセロック部155側に突出させて形成された可動接点164を含む。可動部163は、相手付加部材であるプラグ付加部材230を受け入れて嵌合する際に、弾性により嵌合凸部116側に押されて変形し、嵌合状態において、可動接点164は、プラグ付加部材230のプラグ脚部232に当接し電気的に接続される。
【0042】
次に、
図6及び
図7を主に参照して、プラグコネクタ200の構成について説明する。プラグコネクタ200は、プラグハウジング210と、プラグ端子220端子と、相手コネクタであるレセプタクルコネクタ100との嵌合状態を維持するためのプラグ付加部材230とを含む。プラグ端子220は、リン青銅等の金属からなり、プラグハウジング210の長手方向(X軸方向)に延在した第2側壁部214に埋め込まれて、レセプタクル端子120と接触する表面を第2側壁部214から露出させて、プラグハウジング210に保持される。プラグ端子220は、半田付け等により基板400に基板に取り付けるための実装部221を端部に備える。
【0043】
プラグハウジング210は、液晶ポリマー(LCP)等の絶縁性の樹脂からなり、短手方向(Y軸方向)に延在した第1側壁部212及び長手方向(X軸方向)に延在した第2側壁部214を備え、第1側壁部212及び第2側壁部214に囲まれた中央部分に、嵌合凸部116を収容するための空間として嵌合凹部216を備える。
【0044】
プラグコネクタ200とレセプタクルコネクタ100とが接続した際には、嵌合凹部216は、レセプタクルコネクタ100の嵌合凸部116を収容し、嵌合凹部216の第1側壁部212及び第2側壁部214は、レセプタクルコネクタ100の受容部118に収容される。
【0045】
ここで、
図6及び
図7に加えて、
図4を参照すると、プラグ端子220は、基板側(Z2側)の端部に実装部221を備え、実装部221から上方(Z1側)に直角に折れ曲がった部分を介して内側脚部222を備える。内側脚部222は、外側脚部225とプラグハウジング210の第2側壁部214を挟んで対向し、内側脚部222と外側脚部225との間は、第2側壁部214の端部に位置する頂部223を介してつながっている。内側脚部222、頂部223、突出部224、外側脚部225の裏面(相手端子に接触する面とは反対側の面)は、第2側壁部214によって支持される。
【0046】
突出部224は、頂部223に隣接した外側脚部225の部分を外側に突出させて形成される。突出部224の接点側面226は、第2側壁部214から露出している。相手端子であるレセプタクル端子120との嵌合状態において、突出部224は、第2レセロック部155に係合して嵌合した状態(ロックした状態)を維持することができる。内側脚部222、頂部223、突出部224及び外側脚部225は、相手端子との嵌合の際に動くことがないように第2側壁部214によって固定される。
【0047】
図4に示す断面図からも明らかなように、プラグ端子220は、プラグハウジング210とのインサート成形(一体成形)により、プラグハウジング210に密着している。また、プラグ端子220の内側脚部222、頂部223、突出部224及び外側脚部225で囲まれた空間は、樹脂(ハウジング)が充填されている。
【0048】
プラグ付加部材230は、プラグ端子220が保持された第2側壁部214の中央部分を間に挟んで、プラグコネクタ200の両側に配置される。つまり、プラグ付加部材230は、プラグコネクタ200の長手方向(X軸方向)両側の端に、それぞれ設けられる。プラグ付加部材230は、2つの第1プラグロック部234と、一対の第2プラグロック部235とを含む。プラグハウジング210は、第1プラグロック部234を第1側壁部212で保持し、第2プラグロック部235を第2側壁部214で保持する。プラグ付加部材230は、第1側壁部212に保持された第1プラグロック部234の両側(Y1及びY2側)に、第1プラグロック部234とは直交する方向(X軸方向)に延在する第2プラグロック部235を備える。すなわち、2つの第1プラグロック部234は、短手方向(Y軸方向)において、一対の第2レセロック部155の間に位置する。第1プラグロック部234を備える部分と第2プラグロック部235を備える部分とは、プラグ連結部238を介してつながっている。プラグ連結部238は、プラグハウジング210から露出されている。
【0049】
図5を参照すると、プラグ付加部材230は、半田付け等により基板400に取り付けるための実装部231を備えており、実装部231から上方(Z軸方向のZ1側)に折れ曲がった部分を介してプラグ脚部232を備える。第2プラグロック部235及びプラグ脚部232は、第2側壁部214を挟んで対向し、第2プラグロック部235とプラグ脚部232との間は、第2側壁部214の端部に位置する頂部233Bを介してつながっている。
【0050】
図5に示す断面図からも明らかなように、プラグ付加部材230は、プラグハウジング210とのインサート成形(一体成形)により、プラグハウジング210に密着している。また、プラグ付加部材230のプラグ脚部232、頂部233B、第2プラグロック部235及びプラグ平面部236Bで囲まれた空間は、樹脂(ハウジング)が充填されている。
【0051】
プラグ脚部232は、第2側壁部214から露出している。プラグ脚部232と実装部231との間の部分は、プラグハウジング210の樹脂に覆われて、プラグハウジング210に保持される。第1プラグロック部234及び頂部233Aの裏面は、第1側壁部212によって支持され、第2プラグロック部235、頂部233A及びプラグ脚部232の裏面は、第2側壁部214によって支持される。
【0052】
ここで、
図6及び
図7に加えて、
図10及び
図11も合わせて参照しながら、本発明の一実施形態に係るプラグコネクタの構成について説明する。
図10は、本発明の一実施形態に係るプラグコネクタを上方からみた上面図であり、
図11は
図10に示した切断箇所D-Dで切断したプラグコネクタの断面図である。プラグ付加部材230のプラグ脚部232は、プラグ端子220のプラグ脚部232の両側(X1側及びX2側)を等間隔に間をあけて第2側壁部214に保持される。
【0053】
第1プラグロック部234は、第1側壁部212の表面から突出した曲面となるように構成され、短手方向(Y軸方向)と直交する断面形状が同じ曲面として短手方向(Y軸方向)に延在している。第2プラグロック部235は、第2側壁部214の表面から突出した曲面となるように構成され、長手方向(X軸方向)と直交する断面形状が同じ曲面として長手方向(X軸方向)に延在している。第1プラグロック部234及び第2プラグロック部235は、それぞれ第1側壁部212及び第2側壁部214からプラグロック側面237を露出する。プラグ付加部材230は、第1プラグロック部234及び第2プラグロック部235が設けられた位置よりもプラグハウジング210の底側(Z1側)に、プラグ平面部236A,236Bをそれぞれ備える。
【0054】
第1プラグロック部234は、短手方向(Y軸方向)に延在する第1側壁部212に対して直交する方向(X軸方向)で分割されている。分割された第1プラグロック部234及びプラグ平面部236Aの端部には、半田付け等により基板400に取り付けるための実装部は設けられていない。つまり、分割された第1プラグロック部234及びプラグ平面部236Aの端部は自由端である。一方で、レセ付加部材150の第1レセロック部154及び第2レセロック部155のそれぞれのレセ平面部156A,156Bが実装部151A,151Bにより基板300に固定される。
【0055】
このように、第1レセロック部154及び第2レセロック部155がレセプタクルハウジング110に強固に固定されることによりレセ付加部材150が基準となり、プラグ付加部材230との干渉量等を調整することで、プラグコネクタ200とレセプタクルコネクタ100とが接続する際及び接続中にかかる力(ここでは、「ロック力」という)を微調整することが可能となる。つまり、2つに分割した第1プラグロック部234及びプラグ平面部236Aを基板400に固定しないように構成したことで、コネクタ同士の嵌合時に、2つに分割した第1プラグロック部234と共に当該第1プラグロック部234を保持する第1側壁部212を変形し易くして、第1プラグロック部234に係る力を逃がして、ロック力を調整することができる。
【0056】
また、レセ付加部材150の第1レセロック部154及び第2レセロック部155と、プラグ付加部材230の第1プラグロック部234及び第2プラグロック部235とを、それぞれ第1側壁部112、212の表面及び第2側壁部114、214の表面よりも突出した曲面となるように構成したことで、製造工程において金属部材(レセ付加部材150やプラグ付加部材230)を加工して凸部や凹部を設ける工程を省いて製造コストを抑えることができる。さらに、レセ付加部材150の第1レセロック部154及び第2レセロック部155と、プラグ付加部材230の第1プラグロック部234及び第2プラグロック部235とは、それぞれ側壁部によって支持された曲面なのでコネクタの脱着の際にかかる力が一点に集中することを防ぎ、変形や摩耗に強い構造である。
【0057】
なお、プラグ付加部材230の第1プラグロック部234を2つに分割した構成は、レセ付加部材150の第1レセロック部154にも適用することができ、レセ付加部材150の第1レセロック部154を、2つに分割し、第1レセロック部154に頂部153Aを介してつながっているレセ脚部152Aの端部を基板300に固定しないように構成することもできる。
【0058】
図12は、プラグ付加部材及びレセ付加部材が嵌合した状態を電源端子側からみた図である。電源端子160は、第2レセロック部155の下方(Z1側)に垂直に延在するレセ平面部156Bから短手方向(Y軸方向)に延びる底部162から上方(Z2側)に折れ曲がった部分である可動部163を備える。可動部163は、レセプタクルハウジング110の樹脂などにより固定されていない自由端であり、可動部163の端部には可動接点164を含む。可動部163は、プラグ付加部材230の内側脚部222を、第2レセロック部155との間に受け入れる際に、弾性により嵌合凸部116側に押されて変形し、受け入れた状態において、可動接点164は、プラグ付加部材230の内側脚部222の表面に当接し電気的に接続される。
【0059】
図13は、プラグ付加部材及びレセ付加部材が嵌合した状態をプラグ側からみた上面図であり、
図14は
図13に示した切断箇所E-Eで切断したプラグ付加部材及びレセ付加部材の断面図である。また、
図15は
図13に示した切断箇所F-Fで切断したプラグ付加部材及びレセ付加部材の断面図である。
【0060】
図14は、第1レセロック部154と第1プラグロック部234との係合の様子を示す。レセプタクルコネクタ100と相手コネクタであるプラグコネクタ200との接続時に、第1レセロック部154は、第1相手ロック部である第1プラグロック部234と係合し、第1レセロック部154のレセ平面部156Aは第1プラグロック部234を受け入れるように構成される。同様に、プラグコネクタ200と相手コネクタであるレセプタクルコネクタ100との接続時に、第1プラグロック部234は、第1相手ロック部である第1レセロック部154と係合し、第1プラグロック部234のプラグ平面部236Aは第1レセロック部154を受け入れるように構成される。このように、レセ平面部156Aと第1プラグロック部234の曲面とが対応して長手方向(X軸方向)において対面し、プラグ平面部236Aと第1レセロック部154の曲面とが対応して長手方向(X軸方向)において対面している。
【0061】
このような構成により、第1レセロック部154と第1プラグロック部234とが係合し、レセプタクルコネクタ100とプラグコネクタ200との嵌合状態を維持することができる。上述したとおり、第1プラグロック部234及びプラグ平面部236Aを基板300に固定していないので、コネクタ同士の嵌合時に、第1プラグロック部234と共に当該第1プラグロック部234を保持する第1側壁部212を変形し易くして、第1プラグロック部234に係る力を逃がして、ロック力を調整することが可能である。
【0062】
図15は、第2レセロック部155と第2プラグロック部235との係合の様子を示す。レセプタクルコネクタ100と相手コネクタであるプラグコネクタ200との接続時に、第2レセロック部155は、第2相手ロック部である第2プラグロック部235と係合し、第2レセロック部155のレセ平面部156Bは第2プラグロック部235を受け入れるように構成される。同様に、プラグコネクタ200と相手コネクタであるレセプタクルコネクタ100との接続時に、第2プラグロック部235は、第2相手ロック部である第2レセロック部155と係合し、第2プラグロック部235のプラグ平面部236Bは第2レセロック部155を受け入れるように構成される。このように、レセ平面部156Bと第2プラグロック部235の曲面とが対応して短手方向(Y軸方向)において対面し、プラグ平面部236Bと第2レセロック部155の曲面とが対応して短手方向(Y軸方向)において対面している。
【0063】
このような構成により、第2レセロック部155と第2プラグロック部235とが係合し、レセプタクルコネクタ100とプラグコネクタ200との嵌合状態を維持することができる。また、レセ付加部材150のT字部158から嵌合方向の下方(Z軸方向のZ1側)に延びるレセ固定部161は、コネクタ同士の嵌合時に、プラグ付加部材230のプラグ脚部232と向い合せになる。
【0064】
以上のとおり、本発明は、本発明の個々の実施形態は、独立したものではなく、それぞれ組み合わせて適宜実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係るコネクタは、電気信号の高速伝送を行うスマートフォン、携帯電話等の電子機器において、基板間をフラットケーブルで接続する等の用途に利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
100 レセプタクルコネクタ
110 レセプタクルハウジング
112 第1側壁部
113 周壁部
114 第2側壁部
116 嵌合凸部
118 受容部
119 底壁
120 レセプタクル端子
121 実装部
122 脚部
123 頂部
124 固定接点
125 固定部
126 底部
127 可動部
128 可動接点
129 接点側面
150 レセ付加部材
151A,151B 実装部
152A,152B レセ脚部
153A,153B 頂部
154 第1レセロック部
155 第2レセロック部
156A,156B レセ平面部
157 底部
158 T字部
159A,159B レセロック側面
160 電源端子
161 レセ固定部
162 底部
163 可動部
164 可動接点
165 レセ連結部
200 プラグコネクタ
210 プラグハウジング
212 第1側壁部
214 第2側壁部
216 嵌合凹部
220 プラグ端子
221 実装部
222 内側脚部
223 頂部
224 突出部
225 外側脚部
226 接点側面
230 プラグ付加部材
231 実装部
232 プラグ脚部
233A,233B 頂部
234 第1プラグロック部
235 第2プラグロック部
236A,236B プラグ平面部
237A,237B プラグロック側面
238 プラグ連結部
300 基板
400 基板
【手続補正書】
【提出日】2020-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子と、相手コネクタとの嵌合状態を維持するための付加部材と、ハウジングとを含むコネクタであって、
前記付加部材は、第1ロック部と第2ロック部とを含み、
前記ハウジングは、前記第1ロック部を保持した第1側壁部と前記第2ロック部を保持した第2側壁部とを含み、
前記第1ロック部及び前記第2ロック部は、それぞれ前記第1側壁部の表面及び前記第2側壁部の表面よりも突出した曲面であり、
前記第1ロック部は、前記第1側壁部に対して直交する方向で分割され、
前記付加部材は、前記第1ロック部の両側に、前記第1ロック部とは直交する方向に延在する前記第2ロック部を備えたこと
を特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記付加部材は、前記第1ロック部及び前記第2ロック部が設けられた位置よりも、前記ハウジングの底側に、平面部をそれぞれ備えたこと
を特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1ロック部及び前記第2ロック部は、相手コネクタとの接続時に、前記相手コネクタの第1相手ロック部及び第2相手ロック部と係合し、前記第1ロック部及び前記第2ロック部の前記平面部は、前記第1相手ロック部及び前記第2相手ロック部をそれぞれ受け入れるように構成されたこと
を特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記複数の端子は、前記第2側壁部の中央部分に保持され、
前記付加部材は、前記中央部分を間に挟んで、前記ハウジングの両側に配置されたこと
を特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載のコネクタを2つ含み、
前記2つのコネクタのうち、1つはプラグコネクタであり、もう1つはレセプタクルコネクタであり、
前記プラグコネクタにおける前記付加部材、前記第1ロック部及び前記平面部は、それぞれプラグ付加部材、第1プラグロック部及びプラグ平面部であり、
前記レセプタクルコネクタにおける前記付加部材、前記第1ロック部及び前記平面部は、それぞれレセ付加部材、第1レセロック部及びレセ平面部であり、
前記第1プラグロック部は、前記第1プラグロック部が延在する方向とは直交する方向で分割されていること
を特徴とするコネクタ装置。
【請求項6】
前記分割された第1プラグロック部の前記プラグ平面部の端部は、基板に取り付けるための実装部が設けられていない自由端であり、
前記第1レセロック部の前記レセ平面部の端部には、基板に取り付けるための実装部が設けられていること
を特徴とする請求項5に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記レセ付加部材は、前記プラグコネクタとの電源用の接点となる複数の電源端子を含み、
前記複数の電源端子は、前記プラグコネクタの端子と並べて前記第2側壁部に配列されたこと
を特徴とする請求項5又は6に記載のコネクタ装置。