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  • 特開-発電機 図1
  • 特開-発電機 図2
  • 特開-発電機 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028239
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】発電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/06 20060101AFI20220208BHJP
【FI】
H02K9/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020131542
(22)【出願日】2020-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】櫻木 勇人
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB04
5H609BB13
5H609BB18
5H609PP02
5H609QQ02
5H609QQ13
5H609RR02
5H609RR24
5H609RR27
5H609RR38
(57)【要約】
【課題】排気部からの排気量を低下させることなく、排気部に形成される開口部の開口面積を小さく抑えた発電機を提供する。
【解決手段】円筒状に形成されたケーシング12の内部に、回転自在に保持するシャフト13と、シャフト13と一体回転する回転子14及び排気ファン16と、ケーシング12の梁部12a~12hに固定する固定子15とを備え、排気ファン16の外周側のケーシング12に排気部19を設ける。ケーシング12は、梁部12a~12hに巻回して、排気部19を形成するガードネット18を備える。ガードネット18は、梁部12a~12hに巻回した状態で、梁部12a~12hの排気ファン16の回転方向下流側に、梁部12a~12hに連続して配置され、ケーシング内外の通気を遮断する閉塞部19aと、閉塞部19aの排気ファン16の回転方向下流側に設けられる複数の開口部19bとを備えている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状に形成されたケーシングの内部に、回転自在に保持されるシャフトと、該シャフトと一体回転する回転子及び排気ファンと、前記回転子の外周側に配置され、前記ケーシングの周方向に設けられ、ケーシングの軸方向に延在する複数の梁部に固定される固定子とを備え、前記排気ファンの外周側の前記ケーシングに、該ケーシング内に導入された冷却用空気を排気させる排気部を設けた発電機において、前記排気部は、前記梁部の前記排気ファンの回転方向下流側に、前記梁部に連続して設けられ、ケーシング内外の通気を遮断する閉塞部と、該閉塞部の前記排気ファンの回転方向下流側に設けられ、ケーシング内外を貫通する複数の開口部とを備えていることを特徴とする発電機。
【請求項2】
前記ケーシングは、前記梁部に巻回して前記排気部を形成するガードネットを備え、該ガードネットは、前記梁部の前記排気ファンの回転方向下流側に、前記梁部に連続して前記閉塞部が配置されるように位置決めされて固定されることを特徴とする請求項1記載の発電機。
【請求項3】
隣り合う2本の前記梁部のスパンに応じて、前記閉塞部のケーシング周方向の長さが設定されることを特徴とする請求項1又は2記載の発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発電機に関し、詳しくは、発電機の各種機器を収容するケーシングに設けられ、ケーシング内に導入された冷却用空気を排気する排気部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電機として、円筒状に形成されたケーシングの内部に、回転自在に保持されるシャフトと、該シャフトと一体回転する回転子及び排気ファンと、回転子の外周側に配置され、ケーシングの梁部に固定される固定子とを収容し、排気ファンの外周側のケーシングに、該ケーシング内に導入された冷却用空気を排気させる排気部を設けたものがあり、排気部は、隣り合う梁部の間に複数の開口部を備えていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-46846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、本発明の発明者は、上述の特許文献1のような発電機の排気ファンの外周側に設けた開口部からの排風量を解析した結果、梁部の排気ファンの回転方向下流側では、梁部自体が風除けとなるため、梁部に近接する位置の開口部からの排気量が少なくなるという知見を得た。また、特許文献1のような発電機では、開口部の開口面積を大きくするほど、排気量を多くして冷却用空気による冷却効果を向上させることができる一方、開口部の開口面積を大きくすると、発電機の運転中に開口部から騒音が外部に漏れたり、雨天時に野外で発電機を使用する際に、開口部から雨水等が侵入したりするおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、排気部からの排気量を低下させることなく、排気部に形成される開口部の開口面積を小さく抑えることができる発電機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の発電機は、円筒状に形成されたケーシングの内部に、回転自在に保持されるシャフトと、該シャフトと一体回転する回転子及び排気ファンと、前記回転子の外周側に配置され、前記ケーシングの周方向に設けられ、ケーシングの軸方向に延在する複数の梁部に固定される固定子とを備え、前記排気ファンの外周側の前記ケーシングに、該ケーシング内に導入された冷却用空気を排気させる排気部を設けた発電機において、前記排気部は、前記梁部の前記排気ファンの回転方向下流側に、前記梁部に連続して設けられ、ケーシング内外の通気を遮断する閉塞部と、該閉塞部の前記排気ファンの回転方向下流側に設けられ、ケーシング内外を貫通する複数の開口部とを備えていることを特徴としている。
【0007】
また、前記ケーシングは、前記梁部に巻回して前記排気部を形成するガードネットを備え、該ガードネットは、前記梁部の前記排気ファンの回転方向下流側に、前記梁部に連続して前記閉塞部が配置されるように位置決めされて固定されると好ましい。
【0008】
さらに、隣り合う2本の前記梁部のスパンに応じて、前記閉塞部のケーシング周方向の長さが設定されると好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の発電機によれば、もともと開口部を設けても排気量が少ない梁部の排気ファンの回転方向下流側で、梁部に連続する部分に閉塞部を設け、該閉塞部の排気ファンの回転方向下流側に開口部を設けることにより、排気量を低下させることなく、開口部の開口面積を小さく抑えることができる。これにより、冷却用空気による冷却効果を確保しながら、防音性の向上を図ることができ、さらに、雨天時に野外で発電機を使用する際に、開口部から雨水等が侵入することを抑制できる。
【0010】
また、ケーシングは、梁部に巻回して排気部を形成するガードネットを備え、ガードネットは、梁部の排気ファンの回転方向下流側に、梁部に連続して閉塞部が配置されるように位置決めされて固定されることにより、閉塞部と開口部とを容易に形成することができる。
【0011】
さらに、隣り合う2本の梁部のスパンに応じて前記閉塞部のケーシング周方向の長さを設定することにより、排気ファンの回転条件と、隣り合う2本の梁部のスパンとに応じて変化する排風の流れに対して最適なケーシング周方向の長さを有する閉塞部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一形態例を示す発電機の一部断面側面図である。
図2図1の視II-IIの一部断面正面図である。
図3図1の視III-IIIの断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至図3は本発明の発電機の一形態例を示す。本形態例に示す発電機11は、一般にブラシレス同期発電機と呼ばれるもので、円筒形に形成されたケーシング12の内部に、シャフト13と一体回転する回転子14と、ケーシング12に設けられた8本の梁部12a~12hに固定された固定子15とを備えている。シャフト13の一端は、ケーシング12の一端に取り付けられたエンドブラケット12iの中心に回転可能に保持されており、シャフト13の他端は、エンジンのフライホイール(図示せず)に連結されている。
【0014】
回転子14としては、シャフト13の軸線方向中央部に設けられるロータコア14aと、シャフト13の一端側であるエンドブラケット12i側に設けられるエキサイタロータコア14bとが設けられており、さらに、シャフト13の他端側には、ケーシング12内の空気を吸引して排気するための、矢印B方向に回転する排気ファン16が設けられている。ロータコア14aには発電機界磁巻線14cが組み付けられており、エキサイタロータコア14bには励磁機電機子巻線14d及び整流器14eが組み付けられている。
【0015】
固定子15としては、前記ロータコア14aの外周に配置されるステータコア15aと、前記エキサイタロータコア14bの外周に配置されるエキサイタステータコア15bとが設けられており、ステータコア15aには発電機電機子巻線15cが組み付けられ、エキサイタステータコア15bには励磁機界磁巻線15dが組み付けられている。
【0016】
ケーシング12は、図3に示されるように、上部に設けられた梁部12aから、時計回りに7本の梁部12b~12hが周方向に順に設けられ、梁部12a~12hの内側に固定子15が取り付けられる。梁部12a~12hは、梁部12aと梁部12bのスパンS1及び、梁部12cと梁部12dのスパンS1及び、梁部12eと梁部12fのスパンS1及び、梁部12gと梁部12hのスパンS1が、梁部12bと梁部12cのスパンS2及び、梁部12dと梁部12eのスパンS2及び、梁部12fと梁部12gのスパンS2及び、梁部12hと梁部12aのスパンS2よりも長く設定されている。
【0017】
さらに、ケーシング12は、一端側に、ケーシング12内に冷却用空気を導入する複数の吸気口17が設けられ、他端側に、排気ファン16の外周側に張り出した梁部12a~12hの外側に巻回されるガードネット18を備え、該ガードネット18に、排気ファン16からの排気を外部に導出する排気部19が形成されている。
【0018】
排気部19は、ガードネット18を梁部12a~12hに巻回した状態で、各梁部12a~12hの排気ファン16の回転方向下流側に閉塞部19aと開口部19bとが設けられる。
【0019】
閉塞部19aは、梁部12a~12hの排気ファン16の回転方向下流側で、梁部12a~12hに連続する位置、すなわち、排気ファンの外周側に設けられた従来の開口部からの排風量を解析した結果、排気量が少なくなると判断される位置にそれぞれ設けられ、ガードネット内外の通気を遮断する。また、梁部12a,12c,12e,12gに連続してそれぞれ形成され、スパンS1に対応する位置に設けられる閉塞部19aのケーシング周方向の長さL1は、梁部12b,12d,12f,12hに連続してそれぞれ形成され、スパンS2に対応する位置に設けられる閉塞部19aのケーシング周方向の長さL2よりも長く形成される。
【0020】
開口部19bは、各閉塞部19aの排気ファン16の回転方向下流側に、ガードネット18を貫通して複数設けられ、各開口部19bは、排気ファン16の回転方向に長尺な矩形状に形成されている。また、ガードネット18は、梁部12a~12hに巻回して、各梁部12a~12hの排気ファン16の回転方向下流側に、各梁部12a~12hに連続して閉塞部19aがそれぞれ配置されるように位置決めし、ケーシングの頂部で両端部を重ね合わせ、重ね合わせた部分をボルト止めすることにより固定される。
【0021】
上述のように形成された本形態例の発電機11は、排気ファン16の回転により、吸気口17からケーシング内に冷却用空気が導入され、各種機器を冷却した後、排気部19の開口部19bから排気される。排気部19は、もともと開口部を形成しても排気量が少ない位置に閉塞部19aを設け、該閉塞部19aの排気ファンの回転方向下流側に排気ファン16の回転方向に長尺な開口部19bを設けたことにより、排気量を低下させることなく、開口部19bの開口面積を小さく抑えることができる。これにより、防音性の向上を図ることができ、さらに、雨天時に野外で発電機11を使用する際に、開口部19bから雨水等が侵入することを抑制できる。また、排気部19をガードネット18に設けたことにより、閉塞部19aと開口部19bとを容易に形成することができる。
【0022】
さらに、ガードネット18を梁部12a~12hに巻回する前段階で、梁部間のスパンが長いスパンS1を有する梁部間から工具を差し込んで、シャフト13をエンジンのフライホイールに連結する連結作業を良好に行うことができる。
【0023】
さらに、スパンS1に対応する位置に配置される閉塞部19aのケーシング周方向の長さL1を、スパンS2に対応する位置に配置される閉塞部19aのケーシング周方向の長さL2よりも長く形成したことにより、排気ファン16の回転条件と、隣り合う2本の梁部のスパンとに応じて変化する排風の流れに対して、最適なケーシング周方向の長さを有する閉塞部19aを形成することができる。
【0024】
なお、本発明は上述の形態例のように、排気部をガードネットに設けるものに限らず、排気部をケーシングに形成してもよい。また、ケーシングの周方向に等間隔に梁部を設けたものでも差し支えない。さらに、梁部のケーシング径方向の長さ(梁部の厚さ)に応じて閉塞部のケーシング周方向の長さを設定してもよく、これにより、排気ファンの回転条件と、梁部のケーシング径方向の長さに応じて変化する排風の流れに対して最適なケーシング周方向の長さを有する閉塞部を形成することができる。また、開口部の形状は、排気ファンの回転方向に長尺な矩形状に形成されるものに限らず任意である。さらに、本発明は、ブラシレス同期発電機以外の他の種類の発電機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0025】
11…発電機、12…ケーシング、12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h…梁部、12i…エンドブラケット、13…シャフト、14…回転子、14a…ロータコア、14b…エキサイタロータコア、14c…発電機界磁巻線、14d…励磁機電機子巻線、14e…整流器、15…固定子、15a…ステータコア、15b…エキサイタステータコア、15c…発電機電機子巻線、15d…励磁機界磁巻線、16…排気ファン、17…吸気口、18…ガードネット、19…排気部、19a…閉塞部、19b…開口部
図1
図2
図3