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特開2022-28250作業管理装置、作業管理システム、及び作業管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028250
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】作業管理装置、作業管理システム、及び作業管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20220208BHJP
   B25B 23/14 20060101ALI20220208BHJP
   B25B 23/143 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
G06Q50/04
B25B23/14 610B
B25B23/14 610K
B25B23/14 620H
B25B23/143
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020131555
(22)【出願日】2020-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000161909
【氏名又は名称】京都機械工具株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】大河 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 喜晴
【テーマコード(参考)】
3C038
5L049
【Fターム(参考)】
3C038CA06
3C038CA07
3C038CA10
3C038CB08
3C038EA02
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】作業全体のトレーサビリティの確立を図り、作業者の上手下手などを客観的に知ることができるようにする。
【解決手段】締付工具Xによる締付作業を管理する作業管理装置100であって、締付工具Xの締付トルク又は締付回転角を時系列的に取得する作業データ取得部0と、前記作業データ取得部が取得した締付トルク又は締付回転角に基づいて、その締付作業の良否を判定する作業判定部2と、複数回における締付作業それぞれに対して作業判定部2が判定した良否情報を蓄積する情報蓄積部3とを備えるようにした。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締付工具による締付作業を管理する作業管理装置であって、
前記締付工具の締付トルク又は締付回転角を時系列的に取得する作業データ取得部と、前記作業データ取得部が取得した締付トルク又は締付回転角に基づいて、その締付作業の良否を判定する作業判定部と、
複数回における締付作業それぞれに対して前記作業判定部が判定した良否情報を蓄積する情報蓄積部とを備えることを特徴とする作業管理装置。
【請求項2】
前記作業データ取得部が取得した締付トルク又は締付回転角の時間変化を表す波形データを生成する波形データ生成部をさらに備え、
前記作業判定部が、前記波形データが示す波形に最初に現れる第1ピークの値と、その次に現れる第2ピークの値とを比較して締付作業の良否を判定する、請求項1記載の作業管理装置。
【請求項3】
前記情報蓄積部が、蓄積された良否情報と作業者の属性を示す属性情報とを結び付けて記憶している、請求項1又は2記載の作業管理装置。
【請求項4】
前記情報蓄積部に蓄積された良否情報に基づいて、作業者の熟練度を認定する熟練度認定部をさらに備える、請求項1乃至3のうち何れか一項に記載の作業管理装置。
【請求項5】
前記波形データが示す波形に現れるピークの数に基づいて、前記締付工具に関するトラブルを判断するトラブル判断部をさらに備える、請求項1乃至4のうち何れか一項に記載の作業管理装置。
【請求項6】
締付工具と、
請求項1乃至5のうち何れか一項に記載の作業管理装置とを備えることを特徴とする作業管理システム。
【請求項7】
締付工具による締付作業を管理する作業管理プログラムであって、
前記締付工具の締付トルク又は締付回転角を時系列的に取得する作業データ取得部と、前記作業データ取得部が取得した締付トルク又は締付回転角に基づいて、その締付作業の良否を判定する作業判定部と、
複数回における締付作業それぞれに対して前記作業判定部が判定した良否情報を蓄積する情報蓄積部としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とする作業管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締付工具による締付作業を管理する作業管理装置、作業管理システム、及び作業管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のトルクレンチとしては、例えば締付トルクが設定トルクに達した際にトグルが作動するように構成されたものがある(特許文献1)。
【0003】
このようなトルクレンチを用いる場合、トグルが作動しても作業者は瞬時には力を緩めることができないので、熟練度の低い作業者では、力を緩めるのが遅くなり、締付トルクが設定トルクを上回りオーバートルクが生じることがある。
【0004】
しかしながら、上述した事例のように人手による作業には作業者の熟練度に応じて仕上がりに差が生じるものの、これまでの作業現場では、1つ1つの締付作業の良否を判定することはあれど、作業全体のトレーサビリティを十分に確立したものはなく、例えば作業全体の正確性や作業者の上手下手などを客観的に知ることは難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-118955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本願発明は、作業全体のトレーサビリティの確立を図り、作業全体の正確性や作業者の上手下手などを客観的に知ることができるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本願発明に係る作業管理装置は、締付工具による締付作業を管理するものであって、前記締付工具の締付トルク又は締付回転角を時系列的に取得する作業データ取得部と、前記作業データ取得部が取得した締付トルク又は締付回転角に基づいて、その締付作業の良否を判定する良否判定部と、複数回における締付作業それぞれに対して前記良否判定部が判定した良否情報を蓄積する情報蓄積部とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
このように構成された作業管理装置によれば、情報蓄積部が複数回の締付作業それぞれに対して判定された良否情報を蓄積するので、締付作業のトレーサビリティを確立することができ、作業全体の正確性や作業者の上手下手などを客観的に知ることが可能となる。
【0009】
ところで、背景技術で述べたトグルを備えたトルクレンチは、締付トルクが設定トルクに達した際にトグルが作動して力が一瞬低下するので、締付トルクの波形としては、まずこの瞬間に締付トルクが落ち込んで最初の第1ピークが現れる。その後、トグルが作動した後、再び締付トルクがかかる状態となり、しかも作業者が瞬時に力を緩められないことから、再び締付トルクが上昇し、その後、作業者が力を緩めることで締付トルクが落ち込み第2ピークが現れる。
すなわち、締付対象を設定トルクで締め付けられているかどうかは、第2ピークの値が第1ピークの値を超えていないかどうかであり、超えている場合には、所謂オーバートルクが生じていることなる。
そこで、前記作業データ取得部が取得した締付トルク又は締付回転角の時間変化を表す波形データを生成する波形データ生成部をさらに備え、前記作業判定部が、前記波形データが示す波形に最初に現れる第1ピークの値と、その次に現れる第2ピークの値とを比較して熟練度を判定することが好ましい。
このような構成であれば、オーバートルクに着目した締付作業の良否を判定することができる。
【0010】
前記情報蓄積部が、蓄積された良否情報と作業者の属性を示す属性情報とを結び付けて記憶していることが好ましい。
このような構成であれば、一人ひとりの作業者に対する作業全体の正確性や上手下手を客観的に知ることができる。
【0011】
より客観的に作業者の上手下手を認定するためには、前記情報蓄積部に蓄積された良否情報に基づいて、作業者の熟練度を認定する熟練度認定部をさらに備えることが好ましい。
【0012】
トグルを備えたトルクレンチによるトルク波形には第1ピーク及び第2ピークが現れることは上述した通りであり、第2ピークの後は、トグルが初期状態に戻る際に再び締付トルクが一瞬上昇するので、これによる第3ピークが現れる。ところが、この第3ピークが現れない場合、例えばメカトラブルや使用ミス等のトラブルが起こっている可能性が考えられる。
そこで、前記波形データが示す波形に現れるピークの数に基づいて、前記締付工具に関するトラブルを判断するトラブル判断部をさらに備えることが好ましい。
このような構成であれば、作業全体のトレーサビリティの確立のみならず、メカトラブルや使用ミス等のトラブルの発生をも把握することができる。
【0013】
また、締付工具と、上述した作業管理装置とを備える作業管理システムも本発明の1つである。
さらに、本発明に係る作業管理プログラムは、締付工具による締付作業を管理するプログラムであって、前記締付工具の締付トルク又は締付回転角を時系列的に取得する作業データ取得部と、前記作業データ取得部が取得した締付トルク又は締付回転角に基づいて、その締付作業の良否を判定する作業判定部と、作業者の複数回における締付作業それぞれに対して前記作業判定部が判定した良否情報を蓄積する情報蓄積部としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とするものである。
このように構成された作業管理システムや作業管理プログラムにおいても、上述した作業管理装置と同様の作用効果を発揮させることができる。
【発明の効果】
【0014】
このように構成した本発明によれば、作業全体のトレーサビリティの確立を図り、作業全体の正確性や作業者の上手下手などを客観的に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態における締付工具及び作業管理システムの構成を示す模式図。
図2】同実施形態の締付工具のトグルの構成を示す模式図。
図3】同実施形態の波形データが示す波形の一例を示す図。
図4】同実施形態の作業管理装置の機能を示す機能ブロック図。
図5】同実施形態の作業認定部やトラブル判断部の機能を説明するための図。
図6】その他の実施形態の締付工具のトグルの構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明に係る作業管理装置の一実施形態について説明する。
【0017】
本実施形態の作業管理装置100は、図1に示すように、締付工具Xとともに作業管理システムYを構築するものであり、締付工具Xによる締付作業の管理に資するものである。
【0018】
まず、作業管理装置100を説明する前に、締付工具Xについて簡単に説明する。
締付工具Xは、例えばボルト、ナット、ネジ等の締付対象を締め付けるものであり、具体的にはトルクレンチやトルクドライバー等である。以下では、トルクレンチを例に挙げて説明する。
【0019】
トルクレンチXは、締付対象の締付トルクを検出するトルクセンサSと、締付トルクが所定の設定トルクに達すると作動するトグルTとを備えたものである。なお、締付工具Xとしては、トグルTを備えることなく、トルクセンサSを備えたデジタル式のものであっても良い。
【0020】
ここで、トグルTの構成及び作動について、図2を参照しながら簡単に説明する。
トグルTは、同図2に示すように、締付工具XのケースC内に設けられたアームM及びスライダNと、それらを接続するリンクLとから構成されており、締付トルクと設定トルクの大小に応じて締付対象への締付トルクの伝達状態が切り替わる切替機構である。
【0021】
具体的にこのトグルTは、締付作業において、締付対象に加わる締付トルクが設定トルクに達するまでは、締付トルクを締付対象に伝達する通常状態(図2A)を維持し、締付対象に加わる締付トルクが設定トルクに達すると、ほんの僅かな間、トグルTが作動するトグル作動状態(図2B)となって力が一瞬低下し、その後、ケースCの内面がアームMに当接する当接状態(図2C)へと切り替わるように構成されている。
【0022】
より詳細に説明すると、図2Aの通常状態において、バネ部(不図示)からの圧縮力がスライダN及びリンクLを介してアームMに働く。この通常状態(図2A)において、締付作業を進めていき、締付トルクが設定トルク値に達すると、締付トルクにより発生する力がバネ部からの圧縮力を上回る。これにより、ケースC及びスライダNは、バネ部による規制を解かれて図2Aの通常状態から、図2Bのトグル作動状態を経て、図2Cの当接状態に動く。具体的には、図2Bのトグル作動状態では、ケースCが締付方向(第1方向)に回動し、図2Cの当接状態に到ると、ケースCがアームMに接触して音や振動を発する。この音や振動により、作業者に締付トルクが設定トルク値に達したことを報知する。この報知により締付トルクが設定トルク値に達したことを知覚した作業者がトルクレンチ10に加えていた力を緩める。そうすると、ケースCは、弛緩方向(第2方向)に回動し、再び初期状態たる図2Aの通常状態に戻る。
【0023】
上述したトグルTの構成及び作動に起因して、図3に示すように、締付トルクの時間変化を示すトルク波形には、通常、3つのピークが現れる。
【0024】
すなわち、図2Aの通常状態で締付作業を進めて締付トルクが上昇していき、締付トルクが設定トルクに達すると、トグルTが作動して図2Bのトグル作動状態となり、この切り替わり時に力が一瞬低下するので、この瞬間に締付トルクが落ち込んで最初の第1ピークが現れる。
次いで、ケースCの内壁がアームMに当接して図2Cの当接状態となり、この切り替わり時に音や振動が発するが、作業者は当接状態になる前の僅かなトグル作動状態の間に力を緩めることができないため、当接状態になってから再び締付トルクが上昇する。その後、作業者が力を緩めることで締付トルクが落ち込んで次の第2ピークが現れる。
その後、作業者が力を緩めることで、バネ部の圧縮力によりトグルTが図2Bのトグル作動状態を経て図2Aの通常状態に戻り、この時、締付トルクが一瞬上昇するので、これによる第3ピークが現れる。
【0025】
続いて、作業管理装置100について説明する。
作業管理装置100は、上述したトルクセンサSから該トルクセンサSにより検出された締付トルクの大きさを示す検出データを取得するものであり、物理的には、CPU、メモリ、ディスプレイ等を備えたものである。
【0026】
然して、この作業管理装置100は、上述したメモリに格納された作業支援プログラムに従ってCPUやその周辺機器が協働することにより、図4に示すように、作業データ取得部0、波形データ生成部1、作業判定部2、及び情報蓄積部3としての機能を発揮するように構成されている。以下、各部の機能を説明する。なお、これらの各部は、必ずしも全てが作業管理装置100に備えられている必要はなく、これらの機能のうちの一部又は全部が締付工具Xに備えられていても良い。
【0027】
作業データ取得部0は、トルクセンサSから該トルクセンサSにより検出された締付トルクの大きさを示す検出データを取得するものであり、具体的にはこの検出データを時系列的に逐次取得するように構成されている。
【0028】
波形データ生成部1は、作業データ取得部0が時系列的に取得した締付トルクの時間変化を表す波形データを生成する。
【0029】
ここでの波形データは、図3に示すように、一方の軸(横軸)を時間とし、他方の軸(縦軸)を締付トルクの大きさとしたグラフに締付トルクをプロットしてなるトルク波形を示すものである。
【0030】
作業判定部2は、波形データが示すトルク波形に基づいて、その締付作業の良否を判定するものである。
【0031】
この作業判定部2は、複数の締付対象になされた締付作業それぞれに対して良否を判定するように構成されており、良否判定の具体的な態様としては、例えば上手(良好)・下手(不良)などといった作業精度を示す複数のカテゴリーに分類する態様や、作業精度をスコアリング(数値化)する態様などを挙げることができる。
【0032】
より具体的に説明すると、この作業判定部2は、波形データが示す波形に最初に現れる第1ピークの値と、その次に現れる第2ピークの値とを比較して締付作業の良否を判定するものであり、ここでは第1ピークよりも第2ピークの方が小さい場合に(図5A)その締付作業を上手(良好)と判定し、第1ピークよりも第2ピークの方が大きい場合に(図5B)その締付作業を下手(不良)と判定する。
【0033】
情報蓄積部3は、前記メモリの所定領域に設定されており、複数回における締付作業それぞれに対して作業判定部2が判定した良否の情報である良否情報を蓄積するものである。
【0034】
本実施形態の作業管理装置100は、図4に示すように、例えば作業者や管理者が入力手段を用いて作業者の属性を示す属性情報を入力できるように構成されており、情報蓄積部3は、蓄積された良否情報それぞれと作業者の属性を示す属性情報とを結び付けて記憶する。
なお、属性情報としては、例えば作業者を識別するための氏名やIDなどの作業者識別子、作業者が属する作業グループを識別するためのグループ識別子、作業者の作業開始時間や作業終了時間などを示す作業時間などを挙げることができる。
【0035】
さらに、本実施形態の作業管理装置100は、図4に示すように、情報蓄積部3に蓄積された良否情報に基づいて、作業者の熟練度を認定する熟練度認定部4としての機能を備えている。
【0036】
具体的にこの熟練度認定部4は、例えば上述した属性情報を用いて同一の作業者による複数回の締付作業の良否情報を抽出して、例えば上手(良好)と認定された回数やその回数の全作業回数に対する割合、或いは、下手(不良)と認定された回数やその回数の全作業回数に対する割合、又は、スコアリングされたスコアの複数回の作業や全作業における平均値などを熟練度として算出する。
【0037】
また、本実施形態の作業管理装置100は、図4に示すように、波形データが示すトルク波形に現れるピークの数に基づいて、締付工具に関するトラブルを判断するトラブル判断部5としての機能をさらに備えている。
【0038】
具体的にこのトラブル判断部5は、トルク波形に現れるピークの数が3つよりも少ない場合及び/又は3つよりも多い場合に(例えば図5C)、メカトラブルや使用ミスなどのトラブルが発生していると判断するように構成されている。
【0039】
このように構成された作業管理装置100によれば、情報蓄積部3が複数回の締付作業それぞれに対して判定された良否情報を蓄積して管理するので、締付作業のトレーサビリティを確立することができ、作業全体の正確性や作業者の上手下手などを客観的に知ることが可能となる。
【0040】
また、作業判定部2が、波形データが示す波形に最初に現れる第1ピークの値と、その次に現れる第2ピークの値とを比較して締付作業の良否を判定するので、オーバートルクに着目した良否判定を行うことができる。
【0041】
さらに、情報蓄積部3が、良否情報それぞれと作業者の属性情報とを結び付けて記憶するので、一人ひとりの作業者に対する作業全体の正確性や上手下手を客観的に知ることができる。
【0042】
そのうえ、作業管理装置100が熟練度認定部4としての機能を備えているので、より客観的に作業者一人ひとりの上手下手などの熟練度を認定することができる。
【0043】
加えて、作業管理装置100がトラブル判断部5としての機能を備えているので、作業全体のトレーサビリティの確立のみならず、メカトラブルや使用ミス等のトラブルの発生をも把握することができる。
【0044】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0045】
例えば、前記実施形態の作業判定部2は、波形に現れる第1ピークの値と第2ピークの値とに基づいて締付作業の良否を判定するように構成されていたが、例えば第1ピークに到るまで、すなわち締付トルクが設定トルクに到るまでの波形の傾きや直線性などに基づいて締付作業の良否を判定するように構成されていても良い。
【0046】
また、前記実施形態の作業判定部2は、第1ピークの値と第2ピークの値との大小に基づいて締付作業の良否を判定するように構成されていたが、第1ピークの値と第2ピークの値との差に基づいて、例えばその差が所定範囲に収まっているか否かに応じて締付作業の良否を判定するように構成されていても良い。具体的には、差が所定範囲内であれば、その締付作業を上手(良好)と判定し、差が所定範囲外であれば、その締付作業を下手(不良)と判定する態様を挙げることができる。
【0047】
加えて、作業判定部2としては、締付作業の良否を必ずしも波形データに基づいて判断する必要はなく、作業データ取得部0が時系列的に取得した締付トルクに含まれる複数の値(例えば第1ピークの値及び第2ピークの値)に基づいて判断しても良い。
【0048】
さらに、前記実施形態の熟練度認定部4は、一人の作業者に着目して、その作業者の熟練度を認定するように構成されていたが、複数人の作業者に着目して、それらの作業者からなる作業グループの熟練度を認定するように構成されていても良い。
【0049】
そのうえ、前記実施形態の作業管理装置100は、締付トルクによりネジ締結を管理するトルク法に用いられていたが、締付回転角でネジ締結を管理する回転角法に用いられても良い。
この場合、作業データ取得部0は、締付回転角を時系列的に取得するものであり、波形データ生成部1により生成される波形データは、一方の軸(横軸)を時間とし、他方の軸(縦軸)を締付回転角としたグラフに締付回転角をプロットしてなる角度波形を示すものとなる。
このような回転角法に作業管理装置100を用いることにより、例えば所定トルクから所定の設定締付回転角に到るまでの締付作業の良否などを判定することができ、前記実施形態と同様、作業全体のトレーサビリティの確立に資する。
【0050】
加えて、前記実施形態では、熟練度認定部4が作業者の熟練度を認定していたが、例えば作業者や管理者が情報蓄積部3に蓄積された良否情報を分析して作業者の熟練度を認定しても良い。この場合、作業管理装置100としては、熟練度認定部4としての機能を備えていなくても構わない。
【0051】
また、トグルTに関しては、締付トルクが設定トルクに達した際に作動するように構成されていれば、具体的な構成は前記実施形態で述べたものに限らず、適宜変更して構わない。その一例としては、図6に示すように、右ネジ及び左ネジの双方に適用できるようにするべく、両方向の締付けが可能なタイプのものを挙げることができる。具体的にこのものは、アームMとスライダNとの間にリンクLを介在させたものであり、リンクLの回転に伴って、通常状態(図6A)、トグル作動状態(図6B)、及び当接状態(図6C)に切り替わるように構成されており、リンクLが正逆の両方向に回転可能なものである。
【0052】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0053】
100・・・作業管理装置
X ・・・締付工具
Y ・・・作業管理システム
S ・・・トルクセンサ
T ・・・トグル
C ・・・ケース
M ・・・アーム
N ・・・スライダ
L ・・・リンク
0 ・・・作業データ取得部
1 ・・・波形データ生成部
2 ・・・作業判定部
3 ・・・情報蓄積部
4 ・・・熟練度認定部
5 ・・・トラブル判断部
図1
図2
図3
図4
図5
図6