(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028256
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】搬送車制御システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20220208BHJP
【FI】
G05D1/02 Y
G05D1/02 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020131566
(22)【出願日】2020-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 康太郎
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG08
5H301KK02
5H301QQ01
5H301QQ08
(57)【要約】
【課題】追尾対象者の負担を軽減し、作業効率を向上させることができる搬送車制御システムを提供する。
【解決手段】搬送車制御システム1は、搬送車2を走行させる駆動部15と、搬送車2が作業者Sに対する追尾走行を行うように駆動部15を制御する走行制御部21と、搬送車2における荷物Mの積載量を検出する重量センサ14と、荷物Mの積載量に基づいて、搬送車2の積載率を算出する積載率算出部22と、搬送車2の積載率が予め決められた閾値以上であるかどうかを判断し、積載率が閾値以上であるときに、荷物Mが次に積載される他の搬送車2の待機場所を決定する待機場所決定部23と、待機場所に他の搬送車2を移動させるように制御する待機移動制御部24とを備え、待機場所決定部23は、追尾走行を行っている搬送車2に他の搬送車2が近づくような場所を待機場所として決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物が積載される搬送車を制御する搬送車制御システムであって、
前記搬送車を走行させる駆動部と、
前記搬送車が追尾対象者に対する追尾走行を行うように前記駆動部を制御する走行制御部と、
前記搬送車における前記荷物の積載量を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記荷物の積載量に基づいて、前記搬送車の積載率を算出する積載率算出部と、
前記積載率算出部により算出された前記積載率が予め決められた閾値以上であるかどうかを判断し、前記積載率が前記閾値以上であるときに、前記荷物が次に積載される他の搬送車の待機場所を決定する待機場所決定部と、
前記待機場所決定部により決定された前記待機場所に前記他の搬送車を移動させるように制御する待機移動制御部とを備え、
前記待機場所決定部は、前記追尾走行を行っている前記搬送車に前記他の搬送車が近づくような場所を前記待機場所として決定する搬送車制御システム。
【請求項2】
前記搬送車の自己位置を推定する自己位置推定部を更に備え、
前記搬送車が使用されるエリアには、前記他の搬送車を待機させることが可能な複数の待機場所候補が予め設定されており、
前記待機場所決定部は、前記自己位置推定部により推定された前記搬送車の自己位置に基づいて、前記複数の待機場所候補のうち前記追尾走行を行っている搬送車に最も近い待機場所候補を前記待機場所として決定する請求項1記載の搬送車制御システム。
【請求項3】
前記エリアは、複数の単位作業区画に分割されており、
前記待機場所候補は、前記単位作業区画毎に1つずつ設定されている請求項2記載の搬送車制御システム。
【請求項4】
前記待機場所決定部は、前記待機場所を決定した後、前記積載率が前記閾値以上である状態で前記搬送車が別の前記単位作業区画に進入したかどうかを判断し、前記積載率が前記閾値以上である状態で前記搬送車が前記別の単位作業区画に進入したときは、前記待機場所を前記別の単位作業区画に設定された前記待機場所候補に変更する請求項3記載の搬送車制御システム。
【請求項5】
前記搬送車の自律走行の開始を指示する自律走行指示部を更に備え、
前記走行制御部は、前記自律走行指示部により前記搬送車の自律走行の開始が指示されると、前記搬送車が前記追尾対象者に対する追尾走行を終了すると共に目的地に対する自律走行を行うように前記駆動部を制御する請求項1~4の何れか一項記載の搬送車制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の搬送車制御システムとしては、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載の搬送車制御システムは、作業者がピッキング作業を行う際に、棚から取り出された荷物が載置される追尾車が作業者を追尾するように追尾車の駆動ユニットを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術のような追尾車を使用したピッキング作業においては、追尾車に一定量以上の荷物が積載されると、その追尾車を荷下ろし場所まで移動させると共に、別途待機している他の追尾車が作業者を追尾するように他の追尾車を制御することで、作業を再開させる。このとき、他の追尾車が作業場所から離れた位置で待機していると、作業者が他の追尾車を迎えに行く際の距離的及び時間的なロスが発生する。従って、追尾対象者である作業者の負担が増大し、作業効率の低下につながる。
【0005】
本発明の目的は、追尾対象者の負担を軽減し、作業効率を向上させることができる搬送車制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、荷物が積載される搬送車を制御する搬送車制御システムであって、搬送車を走行させる駆動部と、搬送車が追尾対象者に対する追尾走行を行うように駆動部を制御する走行制御部と、搬送車における荷物の積載量を検出する検出部と、検出部により検出された荷物の積載量に基づいて、搬送車の積載率を算出する積載率算出部と、積載率算出部により算出された積載率が予め決められた閾値以上であるかどうかを判断し、積載率が閾値以上であるときに、荷物が次に積載される他の搬送車の待機場所を決定する待機場所決定部と、待機場所決定部により決定された待機場所に他の搬送車を移動させるように制御する待機移動制御部とを備え、待機場所決定部は、追尾走行を行っている搬送車に他の搬送車が近づくような場所を待機場所として決定する。
【0007】
このような搬送車制御システムにおいては、搬送車が追尾対象者に対する追尾走行を行っているときに、搬送車における荷物の積載量が検出され、その荷物の積載量に基づいて、搬送車の積載率が算出される。そして、積載率が閾値以上であるかどうかが判断され、積載率が閾値以上であるときに、荷物が次に積載される他の搬送車の待機場所が決定される。そして、他の搬送車が待機場所に移動するように制御される。このとき、待機場所は、追尾対象者に対する追尾走行を行っている搬送車に近づくような場所に決定される。このため、他の搬送車は、追尾対象者の近くで待機することになる。従って、追尾対象者が他の搬送車を迎えに行く際の距離的及び時間的なロスが抑制される。これにより、追尾対象者の負担が軽減され、作業効率が向上する。
【0008】
搬送車制御システムは、搬送車の自己位置を推定する自己位置推定部を更に備え、搬送車が使用されるエリアには、他の搬送車を待機させることが可能な複数の待機場所候補が予め設定されており、待機場所決定部は、自己位置推定部により推定された搬送車の自己位置に基づいて、複数の待機場所候補のうち追尾走行を行っている搬送車に最も近い待機場所候補を待機場所として決定してもよい。このような構成では、予め設定された複数の待機場所候補のうち追尾走行を行っている搬送車に最も近い待機場所候補を待機場所として決定することにより、追尾対象者に近い待機場所を容易に得ることができる。
【0009】
エリアは、複数の単位作業区画に分割されており、待機場所候補は、単位作業区画毎に1つずつ設定されていてもよい。このような構成では、待機場所候補を単位作業区画毎に1つずつ設定することにより、待機場所候補を作業エリアにおける適切な位置に適切な数だけ設定することができる。
【0010】
待機場所決定部は、待機場所を決定した後、積載率が閾値以上である状態で搬送車が別の単位作業区画に進入したかどうかを判断し、積載率が閾値以上である状態で搬送車が別の単位作業区画に進入したときは、待機場所を別の単位作業区画に設定された待機場所候補に変更してもよい。このような構成では、積載率が閾値以上である状態で搬送車が別の単位作業区画に進入したときは、待機場所が別の単位作業区画に設定された待機場所候補に変更される。このため、積載率が閾値以上である状態で搬送車が長い距離または時間だけ追尾走行を行っても、追尾対象者に更に近い待機場所が新たに設定されることになる。これにより、追尾対象者の負担が更に軽減され、作業効率が一層向上する。
【0011】
搬送車制御システムは、搬送車の自律走行の開始を指示する自律走行指示部を更に備え、走行制御部は、自律走行指示部により搬送車の自律走行の開始が指示されると、搬送車が追尾対象者に対する追尾走行を終了すると共に目的地に対する自律走行を行うように駆動部を制御してもよい。このような構成では、搬送車における荷物の積載量が一定量以上になったときに、追尾対象者が自律走行指示部により搬送車の自律走行の開始を指示すると、搬送車が追尾対象者に対する追尾走行を終了すると共に目的地に対する自律走行を行う。従って、搬送車が目的地まで自動的に移動するようになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、追尾対象者の負担を軽減し、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る搬送車制御システムを示す概略構成図ある。
【
図2】搬送車が作業者を追尾しながら、作業者がピッキング作業を行う様子を示す斜視図である。
【
図3】複数の単位作業区画に分割された作業エリアの一例を示す概念図である。
【
図4】
図1に示された走行制御部により実行される走行制御処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【
図5】
図1に示された待機場所決定部により実行される待機場所決定処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【
図6】
図1に示された待機移動制御部により実行される待機移動制御処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【
図7】
図1に示された管理制御装置の制御部により実行される待機移動制御処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】作業者がピッキング作業を行う際に、作業者、追尾搬送車及び待機搬送車が移動する経路の一例を示す概念図である。
【
図9】作業者がピッキング作業を行う際に、作業者、追尾搬送車及び待機搬送車が移動する経路の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る搬送車制御システムを示す概略構成図である。
図1において、本実施形態の搬送車制御システム1は、
図2に示されるような搬送車2を制御するシステムである。
【0016】
搬送車2は、物流におけるピッキング作業で使用され、荷物Mを搬送する無人搬送台車である。搬送車2は、車体3と、この車体3に回転可能に支持された複数(例えば4つ)の車輪4とを有している。車体3の上部には、荷物Mが積載される荷台5が設けられている。搬送車2は、追尾対象者である作業者Sを追尾して走行する機能(
図2参照)と、自律走行を行う機能とを有している。
【0017】
ピッキング作業は、
図3に示されるように、倉庫内の作業エリアRで実施される。作業エリアRは、搬送車2を使用してピッキング作業が行われるエリアである。作業者Sは、作業エリアRに設置された複数の棚6から荷物Mを取り出し、その荷物Mを搬送車2の荷台5上に積載する。作業者Sは、一つの棚6からの荷物Mの取り出しが終了すると、別の棚6に移動し、その棚6から荷物Mを取り出す。このとき、搬送車2は、作業者Sを追尾して走行する。以下において、作業者Sを追尾する搬送車2を追尾搬送車2A(
図8参照)ということがある。
【0018】
また、作業エリアRは、複数の単位作業区画rに分割されている。ここでは、作業エリアRは、6つの単位作業区画r1~r6に分割されている。各単位作業区画rは、2次元座標(XY座標)で表される。各単位作業区画rは、例えば矩形状に分割されている。各単位作業区画rは、隣り合う単位作業区画rと重複する領域を有していない。つまり、隣り合う単位作業区画r同士は、重複していない。各単位作業区画rは、複数列(例えば2列)の棚6を有している。
【0019】
倉庫内には、他の搬送車2が待機している機台置き場Kが設けられている。各単位作業区画rには、追尾搬送車2Aの次に荷物Mが積載される他の搬送車2を機台置き場Kから移動させて待機させることが可能な待機場所候補tが設定されている。待機場所候補tは、単位作業区画r毎に1つずつ設定されている。従って、作業エリアRには、複数(ここでは6つ)の待機場所候補t1~t6が設定されている。待機場所候補tは、例えば各単位作業区画rの同じ側の角部に設定されている。以下において、待機場所候補tに待機させる他の搬送車2を待機搬送車2B(
図8参照)ということがある。
【0020】
搬送車制御システム1は、追尾走行スイッチ11と、自律走行スイッチ12と、レーザセンサ13と、重量センサ14と、駆動部15と、通信部16と、コントローラ17とを備えている。これらは、搬送車2の車体3に搭載されている。
【0021】
追尾走行スイッチ11は、作業者Sが搬送車2による追尾走行の開始を指示するための手動操作スイッチである。自律走行スイッチ12は、作業者Sが搬送車2による自律走行の開始を指示するための手動操作スイッチ(自律走行指示部)である。追尾走行スイッチ11及び自律走行スイッチ12としては、例えば押しボタンスイッチまたは音声認識スイッチ等が用いられる。
【0022】
レーザセンサ13は、搬送車2の前方を含む領域にレーザ光を照射し、そのレーザ光の反射光を受光することで、搬送車2の周囲に存在する物体を検出するセンサである。レーザセンサ13は、
図2に示されるように、作業者Sで反射したレーザ光を受光することで、作業者Sを検出する。これにより、搬送車2が作業者Sを追尾することが可能となる。
【0023】
重量センサ14は、搬送車2の荷台5に積載された荷物Mの重量を検出するセンサである。重量センサ14は、荷物Mの重量を検出することにより、搬送車2における荷物Mの積載量を検出する検出部を構成している。
【0024】
駆動部15は、車輪4を回転させることで、搬送車2を走行させる電動モータである。通信部16は、管理制御装置18(後述)との間で無線通信を行う。通信部16は、送受信アンテナ16aを有している。管理制御装置18は、倉庫内を走行する複数台の搬送車2の管理及び制御を行う装置である。
【0025】
コントローラ17は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。コントローラ17は、自己位置推定部20と、走行制御部21と、積載率算出部22と、待機場所決定部23と、待機移動制御部24とを有している。
【0026】
自己位置推定部20は、例えばSLAM(simultaneous localization andmapping)手法を用いて、搬送車2の現在の自己位置を推定する。SLAMは、センサデータ及び地図データを用いて自己位置推定を行う自己位置推定技術である。自己位置推定部20は、レーザセンサ13の検出データと搬送車2の周囲環境の地図データとをマッチングさせて、搬送車2の自己位置の推定演算を行う。自己位置推定部20は、レーザセンサ13と協働して、搬送車2の自己位置を推定する。
【0027】
走行制御部21は、追尾走行スイッチ11及び自律走行スイッチ12の指示信号とレーザセンサ13の検出データと自己位置推定部20により推定された搬送車2の自己位置とに基づいて、搬送車2が作業者Sに対する追尾走行または目的地に対する自律走行を行うように駆動部15を制御する。走行制御部21は、レーザセンサ13と協働して、搬送車2が作業者Sに対する追尾走行を行うように駆動部15を制御する。
【0028】
積載率算出部22は、重量センサ14により検出された荷物Mの重量に基づいて、搬送車2の現在の積載率を算出する。ここで、荷物Mの重量をWとし、搬送車2の荷台5の許容積載重量をWMとし、積載率をLとすると、L=W/WMである。
【0029】
待機場所決定部23は、積載率算出部22により算出された積載率が積載率閾値以上であるかどうかを判断し、積載率が積載率閾値以上であるときに、荷物Mが次に積載される他の搬送車2(待機搬送車2B)の待機場所を決定する。待機場所決定部23は、作業者Sに対する追尾走行を行っている追尾搬送車2Aに待機搬送車2Bが近づくような場所を待機場所として決定する。
【0030】
このとき、待機場所決定部23は、自己位置推定部20により推定された追尾搬送車2Aの自己位置に基づいて、複数の待機場所候補tのうち追尾搬送車2Aに最も近い待機場所候補tを待機場所として決定する。
【0031】
待機移動制御部24は、待機場所決定部23により決定された待機場所に搬送車2を移動させるように駆動部15を制御する。
【0032】
図4は、走行制御部21により実行される走行制御処理の手順の詳細を示すフローチャートである。
図4において、走行制御部21は、まず追尾走行スイッチ11の指示信号に基づいて、搬送車2による追尾走行の開始が指示されたかどうかを判断する(手順S101)。
【0033】
走行制御部21は、搬送車2による追尾走行の開始が指示されたと判断したときは、レーザセンサ13の検出値を所得する(手順S102)。そして、走行制御部21は、レーザセンサ13の検出値に基づいて、搬送車2が作業者Sに対して追尾走行を行うように駆動部15を制御する(手順S103)。
【0034】
続いて、走行制御部21は、自律走行スイッチ12の指示信号に基づいて、搬送車2による自律走行の開始が指示されたかどうかを判断する(手順S104)。走行制御部21は、搬送車2による自律走行の開始が指示されていないと判断したときは、手順S102,S103を再度実行する。
【0035】
走行制御部21は、搬送車2による自律走行の開始が指示されたと判断したときは、作業者Sに対する搬送車2の追尾走行を終了させるように駆動部15を制御する(手順S105)。
【0036】
続いて、走行制御部21は、自己位置推定部20により推定された搬送車2の自己位置データを所得する(手順S106)。そして、走行制御部21は、搬送車2の自己位置に基づいて、搬送車2が目的地である荷下ろし場所(図示せず)に対して自律走行を行うように駆動部15を制御する(手順S107)。
【0037】
続いて、走行制御部21は、搬送車2が荷下ろし場所に到達したかどうかを判断する(手順S108)。走行制御部21は、搬送車2が荷下ろし場所に到達していないと判断したときは、手順S106,S107を再度実行する。走行制御部21は、搬送車2が荷下ろし場所に到達したと判断したときは、本処理を終了する。
【0038】
図5は、待機場所決定部23により実行される待機場所決定処理の手順の詳細を示すフローチャートである。本処理は、追尾搬送車2Aにおいて実行される。
【0039】
図5において、待機場所決定部23は、まず積載率算出部22により算出された追尾搬送車2Aの積載率Lのデータを取得する(手順S111)。
【0040】
そして、待機場所決定部23は、追尾搬送車2Aの積載率Lが積載率閾値LT以上であるかどうかを判断する(手順S112)。積載率閾値LTは、例えば荷物Mにより荷台5が満杯の80%程度になるような閾値である。待機場所決定部23は、追尾搬送車2Aの積載率Lが積載率閾値LT以上でないと判断したときは、手順S111,S112を再度実行する。
【0041】
待機場所決定部23は、追尾搬送車2Aの積載率Lが積載率閾値LT以上であると判断したときは、自己位置推定部20により推定された追尾搬送車2Aの自己位置データを所得する(手順S113)。そして、待機場所決定部23は、追尾搬送車2Aの自己位置に基づいて、追尾搬送車2Aが現在走行している単位作業区画rに設定された待機場所候補tを待機搬送車2Bの待機場所として決定する(手順S114)。
【0042】
続いて、待機場所決定部23は、待機移動要求信号を手順S114で決定された待機搬送車2Bの待機場所の情報と共に通信部16を介して管理制御装置18に送信する(手順S115)。ここでの待機移動要求信号は、手順S114で決定された待機場所への待機搬送車2Bの移動を要求するための信号である。
【0043】
続いて、待機場所決定部23は、自己位置推定部20により推定された追尾搬送車2Aの自己位置を所得する(手順S116)。そして、待機場所決定部23は、追尾搬送車2Aの自己位置に基づいて、追尾搬送車2Aの積載率Lが積載率閾値LT以上である状態で追尾搬送車2Aが別の単位作業区画rに進入したかどうかを判断する(手順S117)。
【0044】
待機場所決定部23は、追尾搬送車2Aの積載率Lが積載率閾値LT以上である状態で追尾搬送車2Aが別の単位作業区画rに進入したと判断したときは、待機場所を別の単位作業区画rに設定された待機場所候補tに変更する(手順S118)。
【0045】
続いて、待機場所決定部23は、待機移動要求信号を手順S118で変更された待機搬送車2Bの待機場所の情報と共に通信部16を介して管理制御装置18に送信する(手順S119)。ここでの待機移動要求信号は、手順S118で変更された待機場所への待機搬送車2Bの移動を要求するための信号である。
【0046】
待機場所決定部23は、手順S119を実行した後、または手順S117で追尾搬送車2Aの積載率Lが積載率閾値LT以上である状態で追尾搬送車2Aが別の単位作業区画に進入していないと判断したときは、自律走行スイッチ12の指示信号に基づいて、追尾搬送車2Aによる自律走行の開始が指示されたかどうかを判断する(手順S120)。
【0047】
待機場所決定部23は、追尾搬送車2Aによる自律走行の開始が指示されていないと判断したときは、手順S116,S117を再度実行する。待機場所決定部23は、追尾搬送車2Aによる自律走行の開始が指示されたと判断したときは、本処理を終了する。
【0048】
図6は、待機移動制御部24により実行される待機移動制御処理の手順の詳細を示すフローチャートである。本処理は、待機搬送車2Bにおいて実行される。
【0049】
図6において、待機移動制御部24は、まず後述する管理制御装置18から送信された待機移動要求信号及び待機場所の情報を通信部16を介して受信したかどうかを判断する(手順S131)。
【0050】
待機移動制御部24は、管理制御装置18から送信された待機移動要求信号及び待機場所の情報を受信したと判断したときは、自己位置推定部20により推定された待機搬送車2Bの自己位置データを所得する(手順S132)。そして、待機移動制御部24は、待機搬送車2Bの自己位置に基づいて、待機搬送車2Bが待機場所に対して自律走行を行うように駆動部15を制御する(手順S133)。
【0051】
続いて、待機移動制御部24は、待機搬送車2Bが待機場所に到達したかどうかを判断する(手順S134)。待機移動制御部24は、待機搬送車2Bが待機場所に到達していないと判断したときは、手順S132,S133を再度実行する。待機移動制御部24は、待機搬送車2Bが待機場所に到達したと判断したときは、本処理を終了する。
【0052】
管理制御装置18は、
図1に示されるように、通信部26と、制御部27とを備えている。通信部26は、搬送車2との間で無線通信を行う。通信部26は、送受信アンテナ26aを有している。制御部27は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。制御部27は、複数台の搬送車2の走行に関する各種制御を行う。
【0053】
図7は、制御部27により実行される待機移動制御処理の手順を示すフローチャートである。
図7において、制御部27は、追尾搬送車2Aから送信された待機移動要求信号及び待機搬送車2Bの待機場所の情報を通信部26を介して受信したかどうかを判断する(手順S141)。
【0054】
制御部27は、追尾搬送車2Aから送信された待機移動要求信号及び待機搬送車2Bの待機場所の情報を受信したと判断したときは、その待機移動要求信号及び待機場所の情報を対象となる待機搬送車2Bに通信部26を介して送信する(手順S142)。
【0055】
以上において、待機搬送車2Bの待機移動制御部24は、追尾搬送車2Aの通信部16、管理制御装置18、待機搬送車2Bの通信部16及び駆動部15と協働して、待機場所決定部23により決定された待機場所に荷物Mが次に積載される他の搬送車2を移動させるように制御する。
【0056】
以上のように構成された搬送車制御システム1において、例えば
図8(a)に示されるように、単位作業区画r1の待機場所候補t1に追尾搬送車2Aが待機している状態でピッキング作業が実施される。
【0057】
具体的には、まず作業者Sが追尾搬送車2Aの追尾走行スイッチ11を操作して、追尾搬送車2Aによる追尾走行の開始を指示する。すると、追尾搬送車2Aは、作業者Sに対する追尾走行を開始する。作業者Sは、追尾走行スイッチ11を操作した後、単位作業区画r1の棚6に移動する。そして、作業者Sは、棚6から荷物Mを取り出し、その荷物Mを追尾搬送車2Aの荷台5に積み込んでいく。
【0058】
追尾搬送車2Aが作業者Sに対する追尾走行を行っている間、重量センサ14により荷台5上の荷物Mの重量が検出され、追尾搬送車2Aの積載率Lが算出される。そして、
図8(b)に示されるように、追尾搬送車2Aが単位作業区画r1,r2を通過した後、作業者Sが単位作業区画r3の棚6から荷物Mを取り出して荷台5に積み込んでいる最中に、追尾搬送車2Aの積載率Lが積載率閾値L
Tに達すると、単位作業区画r3に設定された待機場所候補t3が待機搬送車2Bの待機場所として決定される。
【0059】
そして、待機搬送車2Bの待機場所の情報が待機移動要求信号と共に追尾搬送車2Aから送信される。管理制御装置18は、待機移動要求信号及び待機搬送車2Bの待機場所の情報を受信すると、その待機移動要求信号及び待機搬送車2Bの待機場所の情報を、そのまま機台置き場Kで待機している待機搬送車2Bに送信する。
【0060】
機台置き場Kで待機している待機搬送車2Bは、待機移動要求信号及び待機場所の情報を受信すると、
図8(c)に示されるように、待機場所である待機場所候補t3に向かって移動する。そして、待機搬送車2Bは、待機場所候補t3で待機する。
【0061】
追尾搬送車2Aが作業者Sに対する追尾走行を更に行うことで、追尾搬送車2Aの積載率Lが積載率閾値LT以上である状態で追尾搬送車2Aが次の単位作業区画r4に進入すると、待機搬送車2Bの待機場所が単位作業区画r4に設定された待機場所候補t4に変更される。
【0062】
そして、変更された待機搬送車2Bの待機場所の情報が待機移動要求信号と共に追尾搬送車2Aから送信される。その待機移動要求信号及び待機搬送車2Bの待機場所の情報は、管理制御装置18によって待機場所候補t3で待機している待機搬送車2Bに送信される。
【0063】
待機場所候補t3で待機している待機搬送車2Bは、待機移動要求信号及び待機場所の情報を受信すると、
図9(a)に示されるように、新たな待機場所である待機場所候補t4に向かって移動する。そして、待機搬送車2Bは、待機場所候補t4で待機する。
【0064】
その後、作業者Sは、単位作業区画r4において追尾搬送車2Aの荷台5が満杯になったと判断すると、自律走行スイッチ12を操作して、追尾搬送車2Aによる自律走行の開始を指示する。すると、作業者Sに対する追尾搬送車2Aの追尾走行が終了する。そして、追尾走行が終了した搬送車2は、
図9(b)に示されるように、目的地である荷下ろし場所に向かって自律走行を行う。
【0065】
作業者Sは、自律走行スイッチ12を操作した後、待機場所である待機場所候補t4に移動する。そして、作業者Sは、待機場所候補t4で待機している待機搬送車2Bに対し、追尾走行スイッチ11により追尾走行の開始を指示する。すると、待機搬送車2Bが新たな追尾搬送車2Aとなる。そして、作業者Sは、新たな追尾搬送車2Aを用いてピッキング作業を継続して行う。
【0066】
以上のように本実施形態にあっては、搬送車2が作業者Sに対する追尾走行を行っているときに、搬送車2における荷物Mの積載量が検出され、その荷物Mの積載量に基づいて、搬送車2の積載率が算出される。そして、積載率が積載率閾値以上であるかどうかが判断され、積載率が積載率閾値以上であるときに、荷物Mが次に積載される他の搬送車2の待機場所が決定される。そして、他の搬送車2が待機場所に移動するように制御される。このとき、待機場所は、作業者Sに対する追尾走行を行っている搬送車2に近づくような場所に決定される。このため、他の搬送車2は、作業者Sの近くで待機することになる。従って、作業者Sが他の搬送車2を迎えに行く際の距離的及び時間的なロスが抑制される。これにより、作業者Sの負担が軽減され、作業効率が向上する。
【0067】
また、本実施形態では、搬送車2が使用される作業エリアには、他の搬送車2を待機させることが可能な複数の待機場所候補tが予め設定されており、搬送車2の自己位置に基づいて、複数の待機場所候補tのうち追尾走行を行っている搬送車2に最も近い待機場所候補tが待機場所として決定される。このように予め設定された複数の待機場所候補tのうち追尾走行を行っている搬送車2に最も近い待機場所候補tを待機場所として決定することにより、作業者Sに近い待機場所を容易に得ることができる。
【0068】
また、本実施形態では、作業エリアRは、複数の単位作業区画rに分割されており、待機場所候補tは、単位作業区画r毎に1つずつ設定されている。このように待機場所候補tを単位作業区画r毎に1つずつ設定することにより、待機場所候補tを作業エリアRにおける適切な位置に適切な数だけ設定することができる。
【0069】
また、本実施形態では、待機場所が決定された後、積載率が積載率閾値以上である状態で搬送車2が別の単位作業区画rに進入したときは、待機場所が別の単位作業区画rに設定された待機場所候補tに変更される。このため、積載率が積載率閾値以上である状態で搬送車2が長い距離または時間だけ追尾走行しても、作業者Sに更に近い待機場所が新たに設定されることになる。これにより、作業者Sの負担が更に軽減され、作業効率が一層向上する。
【0070】
また、本実施形態では、搬送車2における荷物Mの積載量が一定量以上になったときに、作業者Sが自律走行スイッチ12により搬送車2の自律走行の開始を指示すると、搬送車2が作業者Sに対する追尾走行を終了すると共に目的地である荷下ろし場所に対する自律走行を行う。従って、搬送車2が荷下ろし場所まで自動的に移動するようになる。
【0071】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、追尾走行スイッチ11が搬送車2に搭載されているが、追尾走行スイッチ11としては、特にその形態には限られず、例えば作業者Sが所有する無線スイッチ等であってもよい。自律走行スイッチ12についても、同様に無線スイッチ等であってもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、重量センサ14によって搬送車2の荷台5に積載された荷物Mの重量を検出することにより、搬送車2における荷物Mの積載量が検出されているが、特にそのような形態には限られない。例えば、カメラまたは光軸センサ等によって搬送車2の荷台5に積載された荷物Mの体積を検出することにより、搬送車2における荷物Mの積載量を検出してもよい。
【0073】
また、搬送車2の荷台5に積載された荷物Mの重量及び体積の両方を検出してもよい。この場合には、例えば荷物Mの重量に係る追尾搬送車2Aの積載率が重量用閾値以上であるとき、または荷物Mの体積に係る追尾搬送車2Aの積載率が体積用閾値以上であるときに、待機搬送車2Bの待機場所を決定してもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、作業エリアRは、複数の単位作業区画rに分割されており、待機場所候補tは、単位作業区画r毎に1つずつ設定されているが、特にそのような形態には限られない。例えば、作業エリアRに複数の待機場所候補tが予め設定されていれば、作業エリアRが複数の単位作業区画rに分割されていなくてもよい。また、作業エリアRに複数の待機場所候補tが予め設定されていなくてもよく、追尾搬送車2Aの積載率が閾値以上であるときに、待機搬送車2Bの待機場所を作業者Sまたは追尾搬送車2Aの近傍に決定してもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、レーザセンサ13は、作業者Sの追尾及び搬送車2の自己位置の推定に使用されているが、特にそのような形態には限られない。作業者Sを追尾するためのレーザセンサと、搬送車2の自己位置を推定するためのレーザセンサとを別々に備えてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、搬送車2が目的地である荷下ろし場所及び待機場所に対して自律走行を行うときは、SLAM手法を用いて搬送車2の自己位置が推定されているが、使用する自己位置推定技術としては、特にSLAM手法には限られない。例えば、倉庫内の路面に磁気テープを設置し、搬送車2に搭載された磁気センサにより磁気テープを検出して、搬送車2の自己位置を推定してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、追尾搬送車2Aにおいて待機場所が決定されると、その待機場所の情報が追尾搬送車2Aから管理制御装置18に送信され、その後管理制御装置18から待機搬送車2Bに待機場所の情報が送信されることで、待機搬送車2Bが待機場所に移動しているが、特にそのような形態には限られない。追尾搬送車2Aにおいて待機場所が決定されると、その待機場所の情報を追尾搬送車2Aから待機搬送車2Bに直接送信することで、待機搬送車2Bを待機場所に移動させてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…搬送車制御システム、2…搬送車、2A…追尾搬送車(搬送車)、2B…待機搬送車(他の搬送車)、12…自律走行スイッチ(自律走行指示部)、13…レーザセンサ(自己位置推定部、走行制御部)、14…重量センサ(検出部)、15…駆動部(待機移動制御部)、16…通信部(待機移動制御部)、18…管理制御装置(待機移動制御部)、20…自己位置推定部、21…走行制御部、22…積載率算出部、23…待機場所決定部、24…待機移動制御部、L…積載率、LT…積載率閾値(閾値)、M…荷物、R…作業エリア、r…単位作業区画、t…待機場所候補、S…作業者(追尾対象者)。