(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028329
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】空気流による除ウィルス装置
(51)【国際特許分類】
F24F 9/00 20060101AFI20220208BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20220208BHJP
F24F 13/28 20060101ALI20220208BHJP
F24F 13/32 20060101ALI20220208BHJP
A61L 9/16 20060101ALI20220208BHJP
A41D 13/11 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
F24F9/00 A
F24F7/00 A
F24F9/00 B
F24F9/00 E
F24F9/00 K
F24F13/28
F24F13/32
A61L9/16 F
A61L9/16 Z
A41D13/11 H
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020131662
(22)【出願日】2020-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】520226470
【氏名又は名称】株式会社D.I.J
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】特許業務法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】池田 美昭
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180AA17
4C180CC03
4C180DD09
4C180HH05
4C180LL11
4C180LL14
4C180MM10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ウィルスの吸入又は拡散を防ぐ空気流による除ウィルス装置を提供する。
【解決手段】電動モーターと、電動モーターが回転させるファン12と、ファンを覆うケーシング13と、ケーシング内への空気の流入を許す吸気部14と、ケーシング内の空気の排出を許す排気部15と、吸気部に流入する空気、または、排気部から排出される空気が、使用者の口の前を通過するように、ケーシングを使用者に取り付ける取付具16と、を有するものとする。また、使用者の口又は鼻の近傍の空気を吸うように、または、排気部から排出される空気が使用者の口又は鼻に接触するように、ケーシングを使用者に取り付ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モーターと、
前記電動モーターが発生するトルクにより回転するファンと、
前記電動モーターを支持し、前記ファンを覆うケーシングと、
前記ケーシングと一体的に形成され、前記ファンの回転による前記ケーシング内への空気の流入を許す吸気部と、
前記ケーシングと一体的に形成され、前記ファンの回転による前記ケーシング内の空気の排出を許す排気部と、
前記吸気部に流入する空気、または、前記排気部から排出される空気が、使用者の口の前を通過するように、前記ケーシングを使用者に取り付ける取付具と、を有する空気流による除ウィルス装置。
【請求項2】
前記排気部が、空気を通す排気部フィルターを有する請求項1に記載の空気流による除ウィルス装置。
【請求項3】
前記吸気部が、空気を通す吸気部フィルターを有する請求項1に記載の空気流による除ウィルス装置。
【請求項4】
前記排気部が、使用者の頭部の前から空気を略重力方向の下向きに排出する請求項1から3のいずれか一項に記載の空気流による除ウィルス装置。
【請求項5】
前記排気部が、使用者の頭部から前方に離隔した位置から、使用者の口の前へ、重力方向に対して傾斜した方向に空気を排出する請求項1から3のいずれか一項に記載の空気流による除ウィルス装置。
【請求項6】
使用者の首の前に配置され、使用者の口の前を通過した空気を通すフィルターユニットを有する請求項5に記載の空気流による除ウィルス装置。
【請求項7】
前記排気部から排出された空気が、使用者の口の前を略水平方向に通過する請求項1から3のいずれか一項に記載の空気流による除ウィルス装置。
【請求項8】
前記吸気部が、使用者の口の前の空気を略水平方向に吸う請求項1から3のいずれか一項に記載の空気流による除ウィルス装置。
【請求項9】
使用者の顔に対向するフェースシールドを更に有する請求項1から8のいずれか一項に記載の空気流による除ウィルス装置。
【請求項10】
前記フェースシールドがスライドして収納されるフェースシールドケースを更に有する請求項9に記載の空気流による除ウィルス装置。
【請求項11】
前記排気部が、使用者の顔の下から空気を排出する請求項1から3のいずれか一項に記載の空気流による除ウィルス装置。
【請求項12】
電動モーターと、
前記電動モーターが発生するトルクにより回転するファンと、
前記電動モーターを支持し、前記ファンを覆うケーシングと、
前記ケーシングと一体的に形成され、前記ファンの回転による前記ケーシング内への空気の流入を許す吸気部と、
前記ケーシングと一体的に形成され、前記ファンの回転による前記ケーシング内の空気の排出を許す排気部と、
使用者の口又は鼻の近傍の空気を前記吸気部が吸うように、または、前記排気部から排出される空気が使用者の口又は鼻に接触するように、前記ケーシングを使用者に取り付ける取付具と、を有する空気流による除ウィルス装置。
【請求項13】
電動モーターと、
前記電動モーターが発生するトルクにより回転するファンと、
前記電動モーターを支持し、前記ファンを覆うケーシングと、
前記ケーシングと一体的に形成され、前記ファンの回転による前記ケーシング内への空気の流入を許す吸気部と、
前記ケーシングと一体的に形成され、前記ファンの回転による前記ケーシング内の空気の排出を許す排気部と、
前記吸気部から使用者の口の近傍まで延びるパイプと、を有する空気流による除ウィルス装置。
【請求項14】
前記吸気部又は前記排気部が、空気を通すフィルターを有する請求項13に記載の除ウィルス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感染症の予防等に使用可能な空気流による除ウィルス装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、市販され使用されているマスクは、感染防止及び感染者からのウィルス飛沫の吸入防止に効果的な医療用のサージカルマスクも含め、多くのマスクは不織布フィルターを布で挟んだフィルターを有し、このフィルターがウィルス等の極微小異物(0.1μm以下)を捉える働きがある。ウィルス医療従事者は、さらにN95マスクに代表されるような静電フィルター等によりフィルター性能を上げることで危険な医療現場でも使用できるマスクを使用している。このように、マスクはフィルター性能を大幅に向上させる事でウィルスにも対応できるように進化している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、顔とマスクとの間に大きい隙間が形成されるため、その隙間からのウィルスの吸入及び拡散は、従来のマスクの大きな欠点となっている。特に、耳にゴム紐を掛けるマスクの場合、フィルターがゴム紐によって顔の左右方向に引っ張られ、鼻周辺に隙間が生じやすい。この鼻周辺での隙間の発生を防ぐため、フィルターの上部に針金状の金属片を入れたものがあり、着用時に鼻の形状に合わせて折り曲げて使用するように指導されているが、正しく使用されていない場合が多い。さらに、その金属片の材料に形状記憶合金を採用するものも開発されているが、実用化には至っていない。加えて、医療現場ではN95マスクなどの着用時に隙間を無くすために着用後のフィットテストが義務付けられており、フィットテストに手間と時間を要するという問題がある。また、マスクをつけた場合、食事ができないという問題がある。
【0004】
そこで、本願発明は、ウィルスの吸入又は拡散を防ぐ空気流による除ウィルス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明の空気流による除ウィルス装置は、
電動モーターと、
前記電動モーターが発生するトルクにより回転するファンと、
前記電動モーターを支持し、前記ファンを覆うケーシングと、
前記ケーシングと一体的に形成され、前記ファンの回転による前記ケーシング内への空気の流入を許す吸気部と、
前記ケーシングと一体的に形成され、前記ファンの回転による前記ケーシング内の空気の排出を許す排気部と、
前記吸気部に流入する空気、または、前記排気部から排出される空気が、使用者の口の前を通過ように、前記ケーシングを使用者に取り付ける取付具と、を有するものとする。
【0006】
また、本願発明の空気流による除ウィルス装置は、
電動モーターと、
前記電動モーターが発生するトルクにより回転するファンと、
前記電動モーターを支持し、前記ファンを覆うケーシングと、
前記ケーシングと一体的に形成され、前記ファンの回転による前記ケーシング内への空気の流入を許す吸気部と、
前記ケーシングと一体的に形成され、前記ファンの回転による前記ケーシング内の空気の排出を許す排気部と、
使用者の口又は鼻の近傍の空気を前記吸気部が吸うように、または、前記排気部から排出される空気が使用者の口又は鼻に接触するように、前記ケーシングを使用者に取り付ける取付具と、を有するものとする。
【0007】
また、本願発明の空気流による除ウィルス装置は、
電動モーターと、
前記電動モーターが発生するトルクにより回転するファンと、
前記電動モーターを支持し、前記ファンを覆うケーシングと、
前記ケーシングと一体的に形成され、前記ファンの回転による前記ケーシング内への空気の流入を許す吸気部と、
前記ケーシングと一体的に形成され、前記ファンの回転による前記ケーシング内の空気の排出を許す排気部と、
前記吸気部から使用者の口の近傍まで延びるパイプと、を有するものとしても良い。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によれば、ウィルスの吸入又は拡散を防ぐ空気流による除ウィルス装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本願の第1実施形態に係る空気流による除ウィルス装置を示す図である。
図1(a)は平面図、
図1(b)は斜視図、
図1(c)は(a)に示すA部拡大図、
図1(d)は空気流を示す斜視図である。
【
図2】本願の第2実施形態に係る空気流による除ウィルス装置を示す図である。
図2(a)は平面図、
図2(b)は斜視図である。
【
図3】本願の第3実施形態に係る空気流による除ウィルス装置を示す図である。
図3(a)は平面図、
図3(b)は正面図である。
【
図4】本願の第4実施形態に係る空気流による除ウィルス装置を示す図である。
図4(a)は斜視図、
図4(b)は吸気部を示す平面図である。
【
図5】本願の第5実施形態に係る空気流による除ウィルス装置を示す図である。
図5(a)は平面図、
図5(b)は正面図である。
【
図6】本願の第6実施形態に係る空気流による除ウィルス装置を示す側面図である。
【
図7】本願の第7実施形態に係る空気流による除ウィルス装置を示す側面図である。
【
図8】本願の第7実施形態に係る空気流による除ウィルス装置を示す正面図である。
【
図9】本願の第8実施形態に係る空気流による除ウィルス装置を示す側面図である。
【
図10】本願の第9実施形態に係る空気流による除ウィルス装置を示す平面図である。
【
図11】本願の第9実施形態に係る空気流による除ウィルス装置を示す側面図である。
【
図12】本願の実施形態に係る空気流による除ウィルス装置の効果を示す図である。
図12(a)は側面図、
図12(b)はコアンダ効果を説明する図である。
【
図13】本願の実施形態に係る空気流による除ウィルス装置を使用した場合の気圧を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
図1を参照して、本願の第1実施形態に係る空気流による除ウィルス装置10について説明する。なお、本明細書において、使用者の頭部又は顔と本発明の空気流による除ウィルス装置との配置に関する記載は、使用者が直立又は座位状態の場合のものとする。
【0011】
空気流による除ウィルス装置10は、不図示の電動モーターと、ファン12と、ケーシング13と、吸気部14と、排気部15と、取付具16とを有する。
【0012】
電動モーターはファン12を回転させるトルクを発生させる。電動モーターは不図示のバッテリーから電気の供給を受けてトルクを発生させることが好ましい。バッテリーとしては、一次電池と二次電池のいずれも使用することができる。呼吸追従形PARRを使用すれば、使用者の吸入時のみ電動モーターを稼働させることで、消費電力を抑えることができる。バッテリーはスマートフォンのバッテリーを使用可能とすることで、緊急時にも使用可能となる。電動モーターはスイッチによりオンとオフを切り替えることができることが好ましい。なお、使用状況に応じて、電動モーターは、壁面等に設けられた配線用差込接続器(コンセント)、電子計算機のUSBポート、自動車のシガーソケット等に電源ケーブルを接続して、電力の供給を受けて駆動するものとしても良い。
【0013】
ファン12は、電動モーターが発生するトルクによって回転し、気流を発生させる。ファン12としては、ターボファンを用いることが好ましい。
【0014】
ケーシング13は、ファンを回転可能に支持し、ファンを覆っている。ケーシング13には電動モーターが固定されている。
【0015】
吸気部14は、ケーシング13と一体的に形成され、ケーシング13の内側と外側の空間をつなげる貫通穴を形成し、ファン12の回転によるケーシング13内への空気の流入を許す。
【0016】
排気部15は、ケーシング13と一体的に形成され、ケーシング13の内側と外側の空間をつなげる貫通穴を形成し、ファン12の回転によるケーシング13内の空気の排出を許す。排気部15は、使用者の頭部の前側から空気を略重力方向の下向きに排出する。排気部15は、排気部15から排出された空気が、
図1(d)に示すように、中央部分が使用者の前方に向かって凸の形状になるように形成されることが好ましい。これにより、
図1(a)に示すように、排出された空気が、使用者の鼻を避けて、使用者の顔の表面に沿って流れる。このように、空気流による除ウィルス装置10によって作られる気流の方向は、肺呼吸による吸気の方向とは異なる。空気流による除ウィルス装置10によって作られる気流は、肺呼吸による呼気、吸気によって生じる気流よりもかなり大きく設定することが好ましい。また、空気流による除ウィルス装置10によって作られる気流は、連続的であることが好ましい。
【0017】
図1(c)は、
図1(a)に示すA部の拡大図である。大気中を浮遊するウィルスVは、コアンダ効果により気流内に引き込まれ、使用者がウィルスVを吸い込むのを防ぐことができる。コアンダ効果とは、例えば、駅のホームにて電車が高速で走り過ぎた後、電車側に引き込まれる現象や、2枚の紙の間に空気を流すと、紙が互いに引き寄せられる現象を引き起こす効果をいう。コアンダ効果は、以下の通りベルヌイの定理式により表すことができる。
P+1/2qv
2=CONSTANT
ここで、「P」は圧力、「q」は密度、「v」は流速を示す。
【0018】
取付具16は、排気部15から排出される空気が使用者の口の前を通過するように、ケーシング13を使用者の頭部の前側に取り付ける。取付具16としては、
図1(b)に示すようなバンドの他、サンバイザー、帽子、ヘルメット等も利用可能である。
【0019】
以上に説明した本第1実施形態に係る空気流による除ウィルス装置10によれば、ウィルスの吸入を防ぐことができる。また、飲食時に使用できないという従来のマスクの欠点を解消し、飲食を安全なものとすることができる。さらに、顔を覆わないため、顔の表情による意思疎通を阻害することがない。なお、本願の空気流による除ウィルス装置は、主にウィルスに対して有効であるが、ウィルスに限らず、花粉等、その他の微小粒子に対しても有効である。
【0020】
ウィルスは0.1μm以下、質量8×10のマイナス19乗という粒子であり、感染者の呼吸によって空気中に放出され、空気中で数時間、浮遊し続ける。空気中に浮遊するウィルスは、人の呼吸によって口、鼻を経由して喉、気道に入り込む。本発明は、呼吸によるウィルスの吐出し、引き込みよりも大きな力でウィルスを呼吸器方向とは異なる方向へ引き込むことで、ウィルスが呼吸器内に入り込むことを確実に防ぐ装置を提供するものである。
図1(a)に示すように、使用者は、呼吸によって空気をQの力で吸い込むが、ファン12によって流速の速い気流を発生させることにより、
図1(c)に示すように、ウィルスVを気流内に引き込み、使用者がウィルスVを吸い込むのを防ぐ。気流の速度の自乗でコアンダ効果は高まるため、肺による数十倍の力でウィルスVを引き込むことができる。気流を生じさせる空気は、後述のフィルターによって殺菌しても良い。
【0021】
(第2実施形態)
次に、
図2を参照して、本願の第2実施形態に係る空気流による除ウィルス装置20について説明する。
【0022】
本第2実施形態に係る空気流による除ウィルス装置20は、上記第1実施形態と同様に、電動モーターと、ファンと、ケーシングと、吸気部と、排気部25とを有する。これについては第1実施形態と同様であるため、説明及び図示を省略する。
【0023】
空気流による除ウィルス装置20は、上述の第1実施形態に係る空気流による除ウィルス装置10とは異なり、排気部25が、使用者の頭部から前方に離隔した位置から、使用者の口の前へ、重力方向に対して傾斜した方向に空気を排出する。これにより、排気部25が排出した空気を、使用者の鼻を避け、使用者の口の近くを通過させることが可能となる。
【0024】
また、空気流による除ウィルス装置20は、使用者の口の前を通過した空気を通すフィルターユニット27を有する。フィルターユニット27は、使用者の首の前に配置され、バンド28によって使用者の首に取り付けられる。使用者が吐き出した空気は、排気部25から流れる空気と合流し、フィルターユニット27を通る。これにより、使用者がウィルスに感染している場合であっても、フィルターユニット27が使用者の呼気からウィルスを除去又は不活性化することができる。フィルターとしては、他の実施形態も含めて、例えば、光触媒と静電フィルターを複数層に重ねたものを採用することができる。フィルターは交換可能なものとすることが好ましい。
【0025】
以上に説明した本願の第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、ウィルスの拡散を防ぐことができる。
【0026】
(第3実施形態)
次に、
図3を参照して、本願の第3実施形態に係る空気流による除ウィルス装置30について説明する。
【0027】
空気流による除ウィルス装置30は、第1実施形態と同様に、電動モーター31と、ファン32と、ケーシング33と、吸気部34と、排気部35と、取付具36と、バッテリー38とを有する。
【0028】
空気流による除ウィルス装置30は第1実施形態とは異なり、排気部35が空気を略水平方向に排出する。そのため、空気流による除ウィルス装置30は、取付具36によって、使用者の顔の左側に配置されている。取付具36は、使用者が背負うリュックサックの肩紐に固定された基部36aと、基部36aから延びるアーム36bとによって構成されているが、これに限られない。なお、空気流による除ウィルス装置30は、使用者の顔の右側に配置しても良い。
【0029】
本第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本第3実施形態は、第1実施形態および第2実施形態と比較して、装置をコンパクトにすることができる。
【0030】
(第4実施形態)
次に、
図4を参照して、第4実施形態に係る空気流による除ウィルス装置40について説明する。
【0031】
空気流による除ウィルス装置40は、上記第1実施形態と同様に、不図示の電動モーターと、ファン42と、ケーシング43と、吸気部44と、排気部45と、取付具46と、不図示のバッテリーと、を有する。
【0032】
空気流による除ウィルス装置40は、上記第1実施形態とは異なり、吸気部44が、使用者の口の前の空気を使用者の顔の下から吸い込み、使用者の口の前に気流を発生させる。吸気部44は、
図4(b)に示すように、小さな穴を複数配置することが好ましい。これにより、シャワーと同様の原理により、空気の流速を高めることができる。小さい穴を複数配置する構成は、他の実施形態にも適用することができ、また、吸気部のみならず、排気部にも適用することができる。
【0033】
本第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0034】
(第5実施形態)
次に、
図5を参照して、本願の第5実施形態に係る空気流による除ウィルス装置50について説明する。
【0035】
空気流による除ウィルス装置50は、上記第1実施形態と同様に、電動モーター51と、ファン52と、ケーシング53と、吸気部54と、排気部55と、不図示の取付具と、不図示のバッテリーと、を有する。
【0036】
空気流による除ウィルス装置50は、上記第3実施形態と同様に、使用者の顔の横に配置されるが、上記第3実施形態とは異なり、使用者の口の前の空気を略水平方向に吸い込むことで、使用者の口の前に気流を発生させる。
【0037】
また、空気流による除ウィルス装置50は、吸気部54の内側に吸気部フィルター59が設けられている。吸気部フィルター59は、吸気部54が吸い込む空気からウィルスを除去又は不活性化する。
【0038】
以上に説明した本第5実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、ウィルスの拡散も防ぐことができる。
【0039】
(第6実施形態)
次に、
図6を参照して、本願の第6実施形態に係る空気流による除ウィルス装置60について説明する。
【0040】
空気流による除ウィルス装置60は、上記第1実施形態と同様に、不図示の電動モーターと、ファン62と、ケーシング63と、吸気部64と、排気部65と、取付具66と、バッテリー68と、を有する。
【0041】
空気流による除ウィルス装置60は、上記第1実施形態とは異なり、使用者の顔の下側から排気部65が排出した空気が、使用者の口又は鼻に接触するように気流を生じさせる。また、空気流による除ウィルス装置60は、排気部65内に排気部フィルター610を有している。排気部フィルター610は、排気部65から排出される空気中のウィルスを除去又は不活性化する。
【0042】
取付具66は、ケーシング63に固定された左右一対の環状ベルトである。使用者が各ベルトに腕を通し、肩にかけることで、空気流による除ウィルス装置60を胸の前に取り付けることができる。
【0043】
以上に説明した本第6実施形態によれば、使用者がウィルスを吸い込むのを防ぐことができる。
【0044】
(第7実施形態)
次に、
図7及び
図8を参照して、本願の第7実施形態に係る空気流による除ウィルス装置70について説明する。
【0045】
空気流による除ウィルス装置70は、上記第1実施形態と同様に、電動モーター71と、ファン72と、ケーシング73と、吸気部74と、排気部75と、取付具76と、バッテリー78と、を有する。
【0046】
空気流による除ウィルス装置70は、使用者の顔の下から使用者の口及び鼻の近傍の空気を吸い込む。吸気部フィルター79は、使用者が吐き出した空気内のウィルスを除去又は不活性化する。
【0047】
本第7実施形態によれば、空気中を浮遊するウィルスが気流内に引き込まれるため、使用者がウィルスを吸い込むのを防ぐことができる。また、使用者が吐き出した空気中のウィルスを除去又は不活性化することにより、ウィルスの拡散を防ぐことができる。具体的には、本第7実施形態の空気流による除ウィルス装置70は、電動モーター71を原動力にして呼吸器(鼻、口)による吸引力よりも大きな吸引力によって、呼吸器による吸引方向とは異なる方向(本第7実施形態においては概略反対方向)に、ウィルスを引き込む。吸気部74で吸い込む気流の中で最外周における気流の動きは顔の外から吸気部74に吸い込まれるため、障害が無くスムーズに流れる。下側の流れのみが首を回り込んで吸気部74に吸い込まれる。この流れも使用者の口、鼻から離れる方向であるため、ウィルスが使用者の口又は鼻の中に入り込むことはない。例えば、ウィルス環境内に入った場合、ウィルスは気流の最外周から気流内に入る。引き込まれたウィルスは静電フィルターにて集塵され、光触媒などによって不活性化され、殺菌された清潔な空気が排気部75から排出される。これにより、使用者がウィルスを吸い込むことを防ぎ、かつ、使用者の周辺をウィルスの無い清潔な空気環境とすることができる。ウィルスなどの感染者は、通常、非感染者よりも少ないため、本第7実施形態に係る空気流による除ウィルス装置70は感染者が装着することが好ましい。また、吸引による気流の場合、顔への刺激が殆ど感じられないため、長時間の使用でも不快感がない。
【0048】
(第8実施形態)
次に、
図9を参照して、本願の第8実施形態に係る空気流による除ウィルス装置80について説明する。
【0049】
空気流による除ウィルス装置80は、上記第1実施形態と同様に、不図示の電動モーターと、ファン82と、ケーシング83と、吸気部84と、排気部85と、取付具86と、バッテリー88と、を有する。これらは、上記第7実施形態と同様に構成されている。
【0050】
空気流による除ウィルス装置80は、他の実施形態とは異なり、使用者の顔に対向するフェースシールド811を有している。また、空気流による除ウィルス装置80は、フェースシールド811をスライドして収納するフェースシールドケース812を有している。フェースシールド811は、必要に応じて、フェースシールドケース812から引き上げて使用することができる。フェースシールド811は、平面状とすることもできるが、顔に沿って湾曲した曲面状にすることが好ましい。
【0051】
本第8実施形態によれば、上記第7実施形態と同様の効果に加えて、フェースシールド811によって、くしゃみや咳による飛沫が、使用者の顔に付着したり、使用者によって吸い込まれたりするのを防ぐことができる。また、フェースシールド811を使用することで、エアコン、扇風機などが発生させる風の影響、又は、屋外での風による影響により、使用者の口の前の気流が乱れ、ウィルスが呼吸器内に入ることを防ぐことができる。 フェースシールド811はスライド式とすることが好ましい。これにより、フェースシールドを使用しない時は、フェースシールドが使用者の口の前を遮断しないため、会話や食事などの邪魔とならない。なお、フェースシールドとフェースシールドケースは、他の実施形態においても設けることができる。
【0052】
(第9実施形態)
次に、
図10及び11を参照して、本願の第9実施形態に係る空気流による除ウィルス装置について説明する。
【0053】
本第9実施形態に係る空気流による除ウィルス装置は、上記第1実施形態から第8実施形態と同様に、電動モーターと、ファンと、ケーシングと、吸気部と、排気部と、を有する。これらの説明及び図示は省略する。本第9実施形態においてもバッテリーを有するものとすることはできるが、コンセントから電力の供給を受けることが好ましい。
【0054】
本第9実施形態において、電動モーター、ファン、ケーシング、吸気部および排気部は、使用者の身体に取り付けられるのではなく、使用者から離れた場所に設置され、吸気部から使用者の口の近傍まで延びるパイプ913を有する。電動モーター、ファン、ケーシング、吸気部および排気部は、用途等に応じて、上記第1実施形態から第8実施形態よりも大型化又は高出力化する。
【0055】
パイプ913は、例えば、
図10及び
図11に示すように、例えば、飲食店やオフィスの座席に使用者が座ったときに、使用者の口の近傍に、吸気部に接続された側とは反対側の端部が配置されるように設置される。
図10に示すように、パイプ913は途中で分岐し、複数の座席から1つの吸気部へ延びるものとしても良い。パイプ913は、使用者の身長等に合わせて、使用者の口の近傍に配置しやすいように、例えば、蛇腹状のパイプ等、使用者側の端部の位置を自由に変更できるフレキシブルなものが好ましい。また、パイプ913によって吸い込まれた空気は、吸気部又は排気部に設置したフィルターによって除菌されることが好ましい。パイプ913の配置は、
図10及び11に示すものに限られず、例えば、天井から下に延びるものとしても良い。
【0056】
本第9実施形態によれば、電動モーター、ファン、ケーシング、吸気部および排気部を、1箇所にまとめることができる。また、フィルターを設ける場合、フィルターも1箇所にまとめることができる。フィルターを設けることで、室内の空気中のウィルスを除去又は不活性化することが可能となる。
【0057】
(実施形態の効果)
次に、
図12及び
図13を参照して、上記第1から第9実施形態の効果について説明する。
図12(a)に示す使用者の口の前のB点は、
図13に示すB点に対応している。
【0058】
図13の圧力説明図に示すように、モーターによってファンを駆動することにより生じる圧力の変化量は、使用者の肺によって生じる圧力の変化量に比べてはるかに大きく、かつ、連続的に保つことができる。これにより、装置が発生させた気流内にウィルスを引き込み、使用者がウィルスを吸い込むのを防ぐことができる。
【0059】
顔の上方に配置されたファンから吐出された気流が、使用者の呼気と合流する場合、
図13の圧力説明図において、大気圧を横軸として、肺の収縮によって肺の圧力を左側に示すと、肺(呼気)のプラス圧力となる。鼻、口から出たばかりの位置をB点とすると肺からB点まで気道を通り、その間の管内損失によってB点での圧力は+PA(肺)となる。その後、外に出た呼気は空気粘性抵抗を受けて大気圧になる。+PAに対してファンの吐出しによって作られた圧力はB点で+PA(ファン)となり、+PA(ファン)は+PA(肺)の20倍以上に設定が可能である。呼気によって吐き出された空気はファンによって作られた下方への強い流れに引き込まれる為、呼気によって作られた全ての空気の流れはファンによる流れから外へ出られない。
【0060】
次に、使用者が息を吸う場合、ファンがないと、B点の吸気による-PAによって、弱い圧力でも外にあるウィルスなどが呼吸器に吸い込まれる。一方で、顔の上に配置されたファンから吐き出された気流が存在する場合、ファンによる吐出し圧力+PA(ファン)は、強い圧力で口の前にある空気を下方へ押し流す。ファンによる強い流れは呼吸器(鼻、口)から僅かに離れており、顔とは非接触である。空気流はコアンダ効果により本流の外側の空気も引き込む事は
図12(b)に示す通りであり、周知である。気流の周りの空気は粘性摩擦によって引きずられ、気流に引き込まれる。このコアンダ効果によって顔との僅かな隙間からウィルスなどはファンによる気流に引き込まれ、呼吸器内に入れない。ファンが空気を吸い込み、使用者が息を吐き出す場合も、ファンが空気を吸い込み、使用者が息を吸い込む場合も上記と同様になる。
【0061】
これに対し、上記第6実施形態及び第7実施形態は、気流が顔と接触するタイプであり、コアンダ効果を利用するものではない。第6実施形態においては、フィルターによってウィルスを除去又は不活性化した空気を使用者の口元に向けて流すことで、使用者がウィルスを吸い込むのを防ぐことができる。第7実施形態においては、使用者が吐き出した空気を吸い込んでフィルターによってウィルスを除去又は不活性化することにより、ウィルスの拡散を防ぐことができる。また、空気中を浮遊するウィルスが気流内に引き込まれるため、使用者がウィルスを吸い込むのを防ぐことができる。気流内に引き込まれたウィルスはフィルターによって除去又は不活性化され、ウィルスの拡散が防がれる。
【符号の説明】
【0062】
10、20、30、40、50、60、70、80 空気流による除ウィルス装置
31、51、71 電動モーター
12、32、42、52、62、72、82 ファン
13、33、43、53、63、73、83 ケーシング
14、34、44、54、64、74、84 吸気部
15、25、35、45、55、65、75、85 排気部
16、36、46、66、76、86 取付具
36a 基部
36b アーム
27 フィルターユニット
38、68、78、88 バッテリー
59、79 吸気部フィルター
610 排気部フィルター
811 フェースシールド
812 フェースシールドケース
913 パイプ
V ウィルス