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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028381
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】殺菌ランプ
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20220208BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20220208BHJP
   H01J 65/00 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
A61L2/10
A61L9/20
H01J65/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020131749
(22)【出願日】2020-08-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】508335668
【氏名又は名称】株式会社クォークテクノロジー
(71)【出願人】
【識別番号】000108753
【氏名又は名称】タツモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝
【テーマコード(参考)】
4C058
4C180
【Fターム(参考)】
4C058AA29
4C058BB06
4C058KK02
4C058KK33
4C058KK50
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH11
4C180HH17
(57)【要約】
【課題】手の消毒などに利用できる殺菌ランプをエキシマ光照射装置で実現する。
【解決手段】殺菌ランプは、放電管と、グランド電極部と、高電圧電極部と、安全カバーと、遮光部と、を備える。放電管は、エキシマ光を生成するための放電用ガスで充たされている。グランド電極部及び高電圧電極部は、放電管内に放電を生じることにより、放電用ガスを励起させる。安全カバーは、電気絶縁性の有機材料で形成されており、高電圧電極部を覆う。遮光部は、電気絶縁性の無機材料で形成されており、放電管と安全カバーとの間に介在することにより、放電管から安全カバーへ向かうエキシマ光を遮断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エキシマ光を生成するための放電用ガスで充たされた放電管と、
前記放電管内に放電を生じることにより、前記放電用ガスを励起させるグランド電極部及び高電圧電極部と、
電気絶縁性の有機材料で形成されており、前記高電圧電極部を覆う安全カバーと、
電気絶縁性の無機材料で形成されており、前記放電管と前記安全カバーとの間に介在することにより、前記放電管から前記安全カバーへ向かう前記エキシマ光を遮断する遮光部と、
を備える、殺菌ランプ。
【請求項2】
前記無機材料は、230nm以下の短波長域の光に対する反射率が高い材料である、請求項1に記載の殺菌ランプ。
【請求項3】
230nmより大きい長波長域の光を除去する除去手段を更に備え、
前記放電管で生成されたエキシマ光のうちの前記除去手段を通過した光を、殺菌用の紫外光として供給する、請求項1又は2に記載の殺菌ランプ。
【請求項4】
前記放電管には、沿面放電を防止する防止手段が設けられている、請求項1~3の何れかに記載の殺菌ランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌用の紫外光を供給する殺菌ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
紫外光は、菌やウィルスなどの病原体に対して高い殺菌効果を発揮するため、衛生器具、水、空気などの消毒に用いられることが多い。しかし従来、紫外光は、人体(主に皮膚など)に有害であると考えられていたため、紫外光を用いた消毒の対象は、人体以外の物(衛生器具、水、空気など)に限られていた。
【0003】
一方、半導体製造技術や環境技術などの分野においても、様々な処理に紫外光が用いられる。半導体製造技術の分野では、ドライ洗浄、表面活性化処理、及びソフトアッシングなどの処理において紫外光が用いられる。又、環境技術の分野では、オゾン生成、水や大気の汚染浄化、及び超純水製造などの処理において紫外光が用いられる。そして、これらの用途で使用される紫外光には、エネルギの高い短波長の紫外光(真空紫外光など)が適している。本発明者は、このような半導体製造技術や環境技術などの分野で使用される紫外光の照射装置として、放電用ガスを用いてエキシマ光を生成するエキシマ光照射装置を開発している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-68133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、紫外光であっても230nm以下の波長域であれば人体に無害であることが、研究で分かってきている。従って、このような波長域であれば、手の消毒などにも紫外光を用いることが可能であることが分かってきた。そして、230nm以下の波長域は、本発明者のエキシマ光照射装置が得意とする領域である。
【0006】
そこで、本発明者は、自身が開発するエキシマ光照射装置を、手の消毒などに利用できる殺菌ランプ(例えば、民生用の殺菌ランプ)に適用することを考えている。しかし、そのような殺菌ランプにおいては、小型化、低コスト化、製造の容易化を実現しなければならず、それらを実現するためには、産業用のものとは違った様々な工夫が必要であることを、本発明者は見出した。
【0007】
そこで本発明の目的は、手の消毒などに利用できる殺菌ランプをエキシマ光照射装置で実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る殺菌ランプは、放電管と、グランド電極部と、高電圧電極部と、安全カバーと、遮光部と、を備える。放電管は、エキシマ光を生成するための放電用ガスで充たされている。グランド電極部及び高電圧電極部は、放電管内に放電を生じることにより、放電用ガスを励起させる。安全カバーは、電気絶縁性の有機材料で形成されており、高電圧電極部を覆う。遮光部は、電気絶縁性の無機材料で形成されており、放電管と安全カバーとの間に介在することにより、放電管から安全カバーへ向かうエキシマ光を遮断する。
【0009】
上記殺菌ランプによれば、高電圧電極部が安全カバーで覆われるため、殺菌ランプの安全性が確保される。しかも、安全カバーが有機材料で形成されるため、安全カバーの小型化、低コスト化、製造の容易化が可能であり、その結果として、殺菌ランプの小型化、低コスト化、製造の容易化、の実現が可能である。また、放電管から安全カバーへ向かうエキシマ光が遮光部で遮断されるため、放電管から背面側へ漏れたエキシマ光による安全カバーの劣化(分解)が生じにくい。しかも、遮光部は無機材料で形成されるため、遮光部自体にもエキシマ光による劣化(分解)が生じにくい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、手の消毒などに利用できる殺菌ランプをエキシマ光照射装置で実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る殺菌ランプの(A)縦断面図及び(B)正面図である。
図2】第1変形例に係る殺菌ランプの縦断面図である。
図3】第2変形例に係る殺菌ランプの縦断面図である。
図4】第5変形例に係る殺菌ランプの2つの例を示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[1]実施形態
図1(A)は、実施形態に係る殺菌ランプの縦断面図であり、図1(B)は、当該殺菌ランプの正面図である。これらの図に示されるように、本実施形態の殺菌ランプは、放電管1と、グランド電極部2Aと、高電圧電極部2Bと、安全カバー3と、遮光部4と、を備える。
【0013】
<放電管>
放電管1は、紫外光の透過性に優れた石英や合成石英で形成されたチューブ型の容器である。本実施形態では、放電管1として、断面形状がトラック形状である単管が用いられている。放電管1のサイズは、断面の横幅W(図1(A)参照)が10~100mm、断面の高さT(図1(A)参照)が2~10mm、長手方向の長さL(図1(B)参照)が20~1000mmであり、産業用のエキシマ光照射装置に用いられる放電管のサイズに比べて小さい。尚、放電管1の形成材料は、石英や合成石英に限らず、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム等のフッ化物など、別の材料に適宜変更されてもよい。また、放電管1の断面形状は、トラック形状に限らず、真円形状、楕円形状、扁平形状、矩形状など、別の形状に適宜変更されてもよい。
【0014】
放電管1は、エキシマ光を生成するための放電用ガスで充たされる。一例として、放電管1は、放電用ガスが封入されることによって当該放電用ガスで充たされる。他の例として、放電管1は、放電用ガスの導入及び排出が行われることにより、常に新しい放電用ガスで充たされてもよい。
【0015】
そして、放電管1では、それを充たす放電用ガスの種類に応じた波長のエキシマ光が、後述する放電によって生成される。従って、放電管1では、用途に応じて放電用ガスの種類を選択することにより、その用途に適した波長のエキシマ光を生成することができる。本実施形態では、手の消毒などにエキシマ光が利用できるように、放電用ガスとして、塩化クリプトン(KrCl)、キセノン(Xe)、臭化クリプトン(KrBr)などを用いて、人体に無害である波長域(230nm以下)のエキシマ光を放電管1にて生成する。一例として、波長が172nm又は222nmであるエキシマ光が放電管1で生成される。特に、波長が172nmであるエキシマ光は、オゾンを発生させることもできる。
【0016】
<グランド電極部及び高電圧電極部>
放電管1の外周面のうちの、放電管1の中心を通る高さ方向の仮想線Lv(図1(A)参照)と交わる2つの面(本実施形態では、断面形状であるトラックの直線部分に相当する2つの平坦面)をそれぞれ放電管1の正面1a及び背面1bとして、正面1aにグランド電極部2Aが形成され、背面1bに高電圧電極部2Bが形成されている。本実施形態では、これらの電極部は、正面1a及び背面1bへの電極材料の蒸着によって層状に形成されている。また、電極材料にはアルミニウムが用いられている。
【0017】
このような構成によれば、高電圧電極部2Bに高電圧(一例として1~5kV)が印加されることより、グランド電極部2Aと高電圧電極部2Bとの間に放電が生じる。これにより、放電管1内に放電が生じて放電用ガスが励起され、その後、当該放電ガスが基底状態に戻るときにエキシマ光が生成される。
【0018】
そして本実施形態では、放電管1内で生成されたエキシマ光の多くが当該放電管1の正面1a側へ放出されるように、グランド電極部2Aが網状に形成されている。
【0019】
尚、電極材料は、アルミニウムに限らず、アルミニウム合金、銅、酸化銅、金、銀、ステンレス鋼、更にはこれらの合金など、別の導電材料に適宜変更されてもよい。更に、上述した電極部の形成方法は、蒸着に限らず、導電材料の薄膜を放電管1に貼り付ける方法などに適宜変更されてもよい。また、グランド電極部2Aは、網状に形成されたものに限らず、全域に亘って複数の開口が均一に形成されたものなど、電極として機能しつつエキシマ光を通過させることができるものに適宜変更されてもよい。
【0020】
<安全カバー>
安全カバー3は、高電圧電極部2Bを覆うことで電圧印加時の感電を防止するカバーであり、電気絶縁性の有機材料で形成されている。電気絶縁性の有機材料には、特に限定されるものではないが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂などが用いられる。
【0021】
これらの有機材料は、安全カバー3の小型化、低コスト化、製造の容易化が可能な材料であり、その結果として、殺菌ランプの小型化、低コスト化、製造の容易化、の実現を可能にするものである。その一方で、これらの有機材料は、紫外光によって分解されやすい。このため、放電管1から背面1b側へ漏れたエキシマ光が安全カバー3に到達すると、当該安全カバー3は、エキシマ光によって分解されて劣化してしまう。特に、230nm以下の短波長域においては紫外光のエネルギが大きくなるため、結合エネルギが大きいCH結合やOH結合などの共有結合でさえもが分解されてしまう。
【0022】
そこで、このような安全カバー3の劣化を防止するべく、本実施形態の殺菌ランプは、以下に説明する遮光部4を備えている。
【0023】
<遮光部>
遮光部4は、放電管1と安全カバー3との間に介在することにより、放電管1から安全カバー3へ向かうエキシマ光を遮断する部分であり、電気絶縁性の無機材料で形成されている。本実施形態では、遮光部4として、安全カバー3の内面に沿ってコの字状に形成された遮光板が用いられている。電気絶縁性の無機材料は、特に限定されるものではないが、珪素など、主に紫外光のうちの230nm以下の短波長域の光に対する反射率が高い材料であることが好ましい。
【0024】
尚、遮光部4の形状は、コの字状に限らず、U字状や平板状など、放電管1や安全カバー3の形状に応じて適宜変更されてもよい。また、遮光部4は、電気絶縁性の無機材料の塗料を、安全カバー3の内面や、放電管1や高電圧電極部2Bの外面に塗布することで層状に形成されてもよい。
【0025】
本実施形態の殺菌ランプによれば、人体に無害である波長域(230nm以下)のエキシマ光が、放電管1で生成されて当該放電管1の正面1a側へ放出されるため、当該殺菌ランプから放出されるエキシマ光を手の消毒などに利用できる。
【0026】
また、上述した殺菌ランプによれば、高電圧電極部2Bが安全カバー3で覆われるため、殺菌ランプの安全性が確保される。しかも、安全カバー3が有機材料で形成されるため、安全カバー3の小型化、低コスト化、製造の容易化が可能であり、その結果として、殺菌ランプの小型化、低コスト化、製造の容易化、の実現が可能である。また、放電管1から安全カバー3へ向かうエキシマ光が遮光部4で遮断されるため、放電管1から背面1b側へ漏れたエキシマ光による安全カバー3の劣化(分解)が生じにくい。しかも、遮光部4は無機材料で形成されるため、遮光部4自体にもエキシマ光による劣化(分解)が生じにくい。
【0027】
このように、本実施形態の構成によれば、手の消毒などに利用できる殺菌ランプ(例えば、民生用の殺菌ランプ)をエキシマ光照射装置で実現することができる。
【0028】
[2]変形例
[2-1]第1変形例
上述した殺菌ランプにおいて、グランド電極部2A及び高電圧電極部2Bは、蒸着などによって放電管1と一体に構成される場合に限らず、放電管1と分離可能な別の装置として安全カバー3側に設けられていてもよい。以下、具体的に説明する。
【0029】
図2は、第1変形例に係る殺菌ランプの縦断面図である。図2に示されるように、本変形例の殺菌ランプでは、安全カバー3は、放電管1の正面1a側を覆う正面カバー31と、放電管1の背面1b側を覆う背面カバー32とで構成されており、正面カバー31には、放電管1の正面1a側へ放出されたエキシマ光を通す開口31aが設けられている。そして、その開口31aに、導電性を有する網材がグランド電極部2Aとして嵌め込まれている。また、背面カバー32の内面に、導電性を有する板材が高電圧電極部2Bとして設けられている。
【0030】
このような構成によれば、蒸着などによってグランド電極部2A及び高電圧電極部2Bを放電管1と一体に構成しなくても、正面カバー31内に放電管1を挿入し、その後、正面カバー31に背面カバー32を合体させるだけで、放電管1の正面1a側にグランド電極部2Aを配し、且つ、放電管1の背面1b側に高電圧電極部2Bを配することが可能になる。よって、放電管1に対する蒸着などの工程が不要になり、殺菌ランプの製造が簡単になる。
【0031】
また、正面カバー31と背面カバー32とを合体させたときに、放電管1の正面1a及び背面1bにグランド電極部2A及び高電圧電極部2Bが密着するように、背面カバー32には、高電圧電極部2Bを放電管1の方へ付勢する付勢部材33(圧縮バネなど)が設けられていてもよい。
【0032】
尚、本変形例の殺菌ランプにおいて、グランド電極部2A及び高電圧電極部2Bの何れか一方が、蒸着などによって放電管1と一体に構成され、他方が、放電管1と分離可能な別の装置として安全カバー3側に設けられていてもよい。
【0033】
[2-2]第2変形例
図3は、第2変形例に係る殺菌ランプの縦断面図である。図3に示されるように、殺菌ランプは、230nmより大きい長波長域の光を除去する除去手段として、放電管1の外部(具体的には、放電管1の正面1a側)に設けられたフィルタ5を更に備えていてもよい。この場合、放電管1で生成されたエキシマ光のうちのフィルタ5を通過した光が、殺菌用の紫外光として殺菌ランプから供給される。
【0034】
このような殺菌ランプによれば、確実に人体に無害である波長域(230nm以下)のエキシマ光を、殺菌用の紫外光として供給することが可能になる。
【0035】
[2-3]第3変形例
フィルタ5は、放電管1と分離可能な別の装置として構成される場合に限らず、放電管1と一体に構成されてもよい。具体的には、フィルタ5は、放電管1の正面1aにハフニューム等を蒸着させることで形成された蒸着膜であってもよい。
【0036】
[2-4]第4変形例
上述した殺菌ランプにおいて、放電管1の形成材料には、石英、合成石英、フッ化物などにハフニューム等を添加したものなど、波長が230nmより大きい紫外光の透過を抑制できる材料が用いられてもよい。この場合、放電管1自体が、230nmより大きい長波長域の光を除去する除去手段として機能することになる。
【0037】
このような殺菌ランプによれば、放電管1から放出されるエキシマ光の殆どが、人体に無害である波長域(230nm以下)の光になる。従って、フィルタ5がなくても、放電管1から放出されるエキシマ光を、そのまま殺菌用の紫外光として供給することが可能になる。
【0038】
[2-5]第5変形例
上記実施形態の殺菌ランプによれば、小型化が実現され、それに伴って放電管1も小型化されることになる。その一方で、放電管1の小型化により、グランド電極部2Aと高電圧電極部2Bとの間の距離が小さくなり、それが原因で放電管1には沿面放電が生じやすくなる。そこで、放電管1には、沿面放電を防止する防止手段が設けられてもよい。以下、そのような防止手段として、2つの例について説明する。
【0039】
図4(A)及び(B)は、第5変形例に係る殺菌ランプの2つの例を示した縦断面図である。図4(A)に示されるように、放電管1には、防止手段の一例として、グランド電極部2Aと高電圧電極部2Bとの間の絶縁距離を長くするための突起11が設けられてもよい。具体例として、放電管1の側面にガラス棒などを取り付けることにより、突起11を形成することができる。また、図4(B)に示されるように、放電管1には、防止手段の他の例として、グランド電極部2Aと高電圧電極部2Bとの間の絶縁距離を長くするための溝12が設けられてもよい。尚、防止手段は、これらに限らず、グランド電極部2Aと高電圧電極部2Bとの間の絶縁距離が長くなるように、放電管1の形状などに応じて適宜変更されてもよい。
【0040】
[2-6]第6変形例
上述した殺菌ランプにおいて、放電管1は、チューブ状のものに限らず、薄箱形状を呈したフラット型のものに適宜変更されてもよい。
【0041】
[2-7]他の変形例
上述した殺菌ランプにおいて、安全カバー3自体が、電気絶縁性の無機材料で形成されてもよい。この場合、エキシマ光が安全カバー3に到達したとしても、エキシマ光による安全カバー3の劣化(分解)が生じにくくなるため、遮光部4が不要になる。
【0042】
上述の実施形態及び変形例の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態又は変形例ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0043】
また、上述の実施形態及び変形例の説明には、特許請求の範囲に記載された発明に限らず、上述した除去手段や防止手段などが遮光部4に代わる特徴として抽出された構成なども、発明として含まれている。
【符号の説明】
【0044】
1 放電管
1a 正面
1b 背面
2A グランド電極部
2B 高電圧電極部
3 安全カバー
4 遮光部
5 フィルタ
11 突起
12 溝
31 正面カバー
31a 開口
32 背面カバー
33 付勢部材
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-04-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エキシマ光を生成するための放電用ガスで充たされた放電管と、
前記放電管の正面及び背面にそれぞれ設けられており、前記放電管内に放電を生じることによって前記放電用ガスを励起させるグランド電極部及び高電圧電極部と、
電気絶縁性の有機材料で形成されており、前記高電圧電極部を覆う安全カバーと、
電気絶縁性の無機材料で前記放電管の背面に層状に形成されており、前記放電管と前記安全カバーとの間に介在することによって前記放電管から前記安全カバーへ向かう前記エキシマ光を遮断する遮光部と、
を備える、殺菌ランプ。
【請求項2】
前記無機材料は、230nm以下の短波長域の光に対する反射率が高い材料である、請求項1に記載の殺菌ランプ。
【請求項3】
前記安全カバーは、前記放電管の正面側へ放出されたエキシマ光を通す開口が設けられている正面カバーと、前記放電管の背面側を覆う背面カバーとで構成されており、
前記グランド電極部は、導電性を有する網材であり、前記開口に嵌め込まれることによって前記放電管と分離可能に設けられており、
前記高電圧電極部は、導電性を有する板材であり、前記放電管の背面側にて前記放電管と分離可能に設けられている、請求項1又は2に記載の殺菌ランプ。
【請求項4】
前記背面カバーの内面に設けられており、前記高電圧電極部を前記放電管の方へ付勢する付勢部材、を更に備える、請求項3に記載の殺菌ランプ。
【請求項5】
前記放電管の正面にて当該放電管と一体に形成されており、230nmより大きい長波長域の光を除去するフィルタ、を更に備え、
前記放電管で生成されたエキシマ光のうちの前記フィルタを通過した光を、殺菌用の紫外光として供給する、請求項1~4の何れかに記載の殺菌ランプ。
【請求項6】
前記放電管の側面には、沿面放電を防止する突起及び溝の少なくとも何れか一方が設けられている、請求項1~の何れかに記載の殺菌ランプ。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エキシマ光を生成するための放電用ガスで充たされた放電管と、
前記放電管の正面及び背面にそれぞれ設けられており、前記放電管内に放電を生じることによって前記放電用ガスを励起させるグランド電極部及び高電圧電極部と、
電気絶縁性の有機材料で形成されており、前記高電圧電極部を覆う安全カバーと、
電気絶縁性の無機材料で前記放電管の背面に層状に形成されており、前記放電管と前記安全カバーとの間に介在することによって前記放電管から前記安全カバーへ向かう前記エキシマ光を遮断する遮光部と、
を備え
前記安全カバーは、前記放電管の正面側へ放出されたエキシマ光を通す開口が設けられている正面カバーと、前記放電管の背面側を覆う背面カバーとで構成されており、
前記グランド電極部は、導電性を有する網材であり、前記開口に嵌め込まれることによって前記放電管と分離可能に設けられており、
前記高電圧電極部は、導電性を有する板材であり、前記放電管の背面側にて前記放電管と分離可能に設けられている、殺菌ランプ。
【請求項2】
前記無機材料は、230nm以下の短波長域の光に対する反射率が高い材料である、請求項1に記載の殺菌ランプ。
【請求項3】
前記背面カバーの内面に設けられており、前記高電圧電極部を前記放電管の方へ付勢する付勢部材、を更に備える、請求項1又は2に記載の殺菌ランプ。
【請求項4】
前記放電管の正面にて当該放電管と一体に形成されており、230nmより大きい長波長域の光を除去するフィルタ、を更に備え、
前記放電管で生成されたエキシマ光のうちの前記フィルタを通過した光を、殺菌用の紫外光として供給する、請求項1~の何れかに記載の殺菌ランプ。
【請求項5】
前記放電管の側面には、沿面放電を防止する突起及び溝の少なくとも何れか一方が設けられている、請求項1~の何れかに記載の殺菌ランプ。