(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028417
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】吊り金具およびチャッキング装置
(51)【国際特許分類】
B66C 1/12 20060101AFI20220208BHJP
B66C 1/28 20060101ALI20220208BHJP
B66C 1/10 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
B66C1/12 L
B66C1/28 A
B66C1/10 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020131799
(22)【出願日】2020-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000129367
【氏名又は名称】株式会社キトー
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】栗原 信親
(72)【発明者】
【氏名】藤井 視弘
(72)【発明者】
【氏名】小野 仁
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004EA35
(57)【要約】
【課題】吊り紐が損傷するのを防ぐために2か所以上に分散した状態で保持させると共に、水平を維持した状態で吊り上げることが可能な吊り金具およびチャッキング装置を提供する。
【解決手段】複数の吊り紐を掛けて荷を吊り上げる際に、爪状部材によって下側が支持される吊り金具200においては、中央部231と、中央部231の一方側、および中央部231を挟んで一方側と反対側の他方側にそれぞれ配置されている板状フック部232と、を備え、板状フック部232には、吊り紐を位置させる絞り部233と、絞り部233よりも幅広の外周幅広部234とが設けられていて、中央部231は絞り部233よりも幅広に設けられている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吊り紐を掛けて荷を吊り上げる際に、爪状部材によって下側が支持される吊り金具であって、
中央部と、
前記中央部の一部として、または前記中央部とは別体的な部分として設けられると共に、吸着手段により吸着される被吸着部と、
前記中央部の一方側、および前記中央部を挟んで前記一方側と反対側の他方側にそれぞれ配置されている板状フック部と、
を備え、
前記板状フック部には、前記吊り紐を位置させる絞り部と、前記絞り部よりも幅広の外周幅広部とが設けられていて、
前記中央部は前記絞り部よりも幅広に設けられている、
ことを特徴とする吊り金具。
【請求項2】
請求項1記載の吊り金具であって、
前記板状フック部は、円周方向において90度間隔で4つ設けられている、
ことを特徴とする吊り金具。
【請求項3】
請求項1または2記載の吊り金具であって、
前記中央部に対して、吊り紐の移動を規制する吊り紐規制手段が設けられている、
ことを特徴とする吊り金具。
【請求項4】
請求項3記載の吊り金具であって、
前記吊り紐規制手段は、
前記中央部の法線方向である高さ方向に突出するスペーサ部と、
前記スペーサ部に連結され、一方側および他方側の前記板状フック部が形成する面に平行に設けられていると共に前記被吸着部に対応する板状の吸着板部と、
を有することを特徴とする吊り金具。
【請求項5】
請求項4記載の吊り金具であって、
前記吸着板部の外周部は、前記スペーサ部の外周部より張り出している、
ことを特徴とする吊り金具。
【請求項6】
請求項4または5記載の吊り金具であって、
前記吸着板部には、外部の識別装置で識別可能な識別手段が設けられている、
ことを特徴とする吊り金具。
【請求項7】
吊り紐で吊り上げる荷をチャッキングするチャッキング装置であって、
本体部と、
中央部と、前記中央部の一部として、または前記中央部とは別体的な部分として設けられると共に、吸着手段により吸着される被吸着部と、前記中央部の一方側、および前記中央部を挟んで前記一方側と反対側の他方側にそれぞれ配置されている板状フック部とを有する吊り金具と、
前記吊り金具を吸着する吸着手段と、
前記本体部に取り付けられる第1アクチュエータおよび爪部を備え、当該第1アクチュエータの作動により前記爪部を開閉することで前記吸着手段で吸着された前記吊り金具の把持および把持解除を行う開閉爪機構と、
を備え、
前記爪部は、それぞれの前記板状フック部の下面側を支持しつつ前記吊り金具を把持すると共に、
前記板状フック部には、前記吊り紐を位置させる絞り部と、前記絞り部よりも幅広の外周幅広部とが設けられていて、
前記中央部は前記絞り部よりも幅広に設けられている、
ことを特徴とするチャッキング装置。
【請求項8】
請求項7記載のチャッキング装置であって、
前記開閉爪機構の下方側には姿勢矯正機構が設けられていて、
前記姿勢矯正機構は、前記開閉爪機構と共に開閉する一対のガイド部材を備え、それぞれのガイド部材には立壁部が設けられていて、当該立壁部に前記吊り金具の前記板状フック部の外縁がガイドされることで前記吊り金具の回転方向における姿勢が矯正される、
ことを特徴とするチャッキング装置。
【請求項9】
請求項7または8記載のチャッキング装置であって、
前記吸着手段は電磁石を用いたリフティングマグネットであると共に、
前記吊り金具は前記リフティングマグネットによって磁着される磁性材から構成される、
ことを特徴とするチャッキング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り金具およびチャッキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体などの保管や運搬を行うために、フレキシブルコンテナバッグが広く用いられている。なお、以下の説明では、フレキシブルコンテナバッグは、フレコンバッグと略記して説明する。かかるフレコンバッグは、専用の搬送装置によって、倉庫内の所定の場所に保管したり、倉庫から取り出して所定の作業場所に運んだりしている。このような搬送装置としては、たとえば特許文献1から特許文献3に示すものがある。
【0003】
特許文献1には、フレコンバッグを把持する把持装置(6)を中心とした自動倉庫について開示されている。この特許文献1では、フレコンバッグの吊りひも(32)に、金具(33)が取り付けられた構成が開示されている。そして、その金具(33)が電磁石(25)に磁着され、その後に、把持用モータ(29)の作動によってシリンダ(30)およびロッド(31)をスライドさせることで、電磁石(25)と連結されている昇降体(24)を昇降させると共に、把持部(19,29)を閉じる。それにより、把持部(19,20)の下端のフック状部が吊りひも(32)間に挿入され、フレコンバッグを持ち上げることを可能としている。
【0004】
また、特許文献2には、吊り紐(53)をシャックル(54)で保持させ、そのシャックル(54)を、旋回フック(41)の回転によって保持させる構成について開示されている。また、特許文献3には、本体(101)がシート材から構成される吊紐磁着用バンド(100)にフレコンバッグの吊紐を装着し、その吊紐磁着用バンド(100)を介してフレコンバッグを吊り下げる構成について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平4-76881号公報
【特許文献2】特開平7-285610号公報
【特許文献3】特開平11-349274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献3に開示の構成では、本体(101)がシート材から構成されるので、強度が高くなく、損傷し易い。また、本体(100)から磁着部(103)が外れ易い。したがって、吊り紐を掛けたり束ねるための器具としては、金属製の金具が好ましい。
【0007】
しかしながら、特許文献1,2に開示の金属製の金具では、シャックルと同様の金具で吊り紐を1か所に束ねている。このような金具では、チャッキング装置の爪部(フック部)により、吊り上げ時に吊り紐を損傷してしまう。しかしながら、吊り紐を損傷せずにかつ確実に吊り上げるには、吊り紐を2箇所以上に分散して吊り金具にセットし、また金具を吊り金具チャッキング装置を用いて水平に吊り上げて、その金具の下方側から爪部材にて支持させる必要がある。しかしながら、このような構成は、特許文献1,2には開示されていない。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、吊り紐が損傷するのを防ぐために2か所以上に分散した状態で保持させると共に、水平を維持した状態で吊り上げることが可能な吊り金具およびチャッキング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によると、複数の吊り紐を掛けて荷を吊り上げる際に、爪状部材によって下側が支持される吊り金具であって、中央部と、中央部の一部として、または中央部とは別体的な部分として設けられると共に、吸着手段により吸着される被吸着部と、中央部の一方側、および中央部を挟んで一方側と反対側の他方側にそれぞれ配置されている板状フック部と、を備え、板状フック部には、吊り紐を位置させる絞り部と、絞り部よりも幅広の外周幅広部とが設けられていて、中央部は絞り部よりも幅広に設けられている、ことを特徴とする吊り金具が提供される。
【0010】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、板状フック部は、円周方向において90度間隔で4つ設けられている、ことが好ましい。
【0011】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、中央部に対して、吊り紐の移動を規制する吊り紐規制手段が設けられている、ことが好ましい。
【0012】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、吊り紐規制手段は、中央部の法線方向である高さ方向に突出するスペーサ部と、スペーサ部に連結され、一方側および他方側の板状フック部が形成する面に平行に設けられていると共に被吸着部に対応する板状の吸着板部と、を有する、ことが好ましい。
【0013】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、吸着板部の外周部は、スペーサ部の外周部より張り出している、ことが好ましい。
【0014】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、吸着板部には、外部の識別装置で識別可能な識別手段が設けられている、ことが好ましい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の観点によると、吊り紐で吊り上げる荷をチャッキングするチャッキング装置であって、本体部と、中央部と、中央部の一部として、または中央部とは別体的な部分として設けられると共に、吸着手段により吸着される被吸着部と、中央部の一方側、および中央部を挟んで一方側と反対側の他方側にそれぞれ配置されている板状フック部とを有する吊り金具と、吊り金具を吸着する吸着手段と、本体部に取り付けられる第1アクチュエータおよび爪部を備え、当該第1アクチュエータの作動により爪部を開閉することで吸着手段で吸着された吊り金具の把持および把持解除を行う開閉爪機構と、を備え、爪部は、それぞれの板状フック部の下面側を支持しつつ吊り金具を把持すると共に、板状フック部には、吊り紐を位置させる絞り部と、絞り部よりも幅広の外周幅広部とが設けられていて、中央部は絞り部よりも幅広に設けられている、ことを特徴とするチャッキング装置が提供される。
【0016】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、開閉爪機構の下方側には姿勢矯正機構が設けられていて、姿勢矯正機構は、開閉爪機構と共に開閉する一対のガイド部材を備え、それぞれのガイド部材には立壁部が設けられていて、当該立壁部に吊り金具の板状フック部の外縁がガイドされることで吊り金具の回転方向における姿勢が矯正される、ことが好ましい。
【0017】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、吸着手段は電磁石を用いたリフティングマグネットであると共に、吊り金具はリフティングマグネットによって磁着される磁性材から構成される、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、吊り紐が損傷するのを防ぐために2か所以上に分散した状態で保持させると共に、水平を維持した状態で吊り上げることが可能な吊り金具およびチャッキング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る搬送装置の構成を示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係るチャッキング装置の構成を示す正面図である。
【
図3】
図2に示すチャッキング装置の構成を示す側面図である。
【
図4】
図2に示すチャッキング装置の下連結部を下方側から見た状態を示す図であり、吊り金具を保持していない状態を示す図である。
【
図5】
図2に示すチャッキング装置の下連結部を下方側から見た状態を示す図であり、吊り金具を保持している状態を示す図である。
【
図6】
図2に示すチャッキング装置の構成を示すと共に、手前側の爪リンク機構を取り除いてガイドカム、電磁石昇降機構および電磁石の構成を示す図であり、リンクアームが閉じた状態を示している。
【
図7】
図6に示す状態から、リンクアームが開いた状態を示す図である。
【
図8】
図2に示すチャッキング装置における吊り金具の第1構成例を示す側面図である。
【
図9】
図8に示す吊り金具の構成を示す平面図である。
【
図10】
図8に示す吊り金具の構成を示す底面図である。
【
図11】
図2に示すチャッキング装置における吊り金具の第2構成例を示す平面図である。
【
図13】
図2に示すチャッキング装置における吊り金具の第3構成例を示す平面図である。
【
図14】
図2に示すチャッキング装置における吊り金具の第4構成例を示す平面図である。
【
図15】
図2に示すチャッキング装置におけるフレコンバッグの吊り上げ動作を説明する動作フローのうち、ステップS11からステップS18までを説明する図である。
【
図16】
図2に示すチャッキング装置におけるフレコンバッグの吊り上げ動作を説明する動作フローのうち、ステップS19からステップS27までを説明する図である。
【
図17】
図2に示すチャッキング装置におけるフレコンバッグの吊り上げ動作を説明する動作フローのうち、ステップS31からステップS39までを説明する図である。
【
図18】
図2に示すチャッキング装置におけるフレコンバッグの荷下ろし動作を説明する動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態に係る、チャッキング装置10および搬送装置1について、図面に基づいて説明する。
【0021】
<搬送装置1について>
最初に、搬送装置1について説明する。
図1は、搬送装置1の構成を示す正面図である。
図1に示すように、搬送装置1は、チャッキング装置10と、走行装置11と、電気チェーンブロック12とを備えている。これらのうち、走行装置11は、不図示の駆動力の駆動によって、走行用レールR1に沿って走行する装置である。
【0022】
また、電気チェーンブロック12は、チェーンC2を巻き上げたり巻き下げることで、そのチェーンC2の端部が連結されているチャッキング装置10を昇降させる装置である。なお、電気チェーンブロック12は、昇降装置に対応する。搬送装置1は、チャッキング装置10の他に、上記のような走行装置11および電気チェーンブロック12を有することで、フレコンバッグなどの荷を吊り上げた状態で、走行用レールR1に沿って移動可能としている。
【0023】
なお、
図1に示す構成では、搬送装置1は、横行機構を備えないテルハクレーンが示されている。しかしながら、搬送装置1は、横行機構を備えても良い。この場合には、チャッキング装置10は、後述する横行機構70を省略することができる。
【0024】
<チャッキング装置10の全体構成について>
以下の説明においては、X方向は、
図2における左右方向とし、X1側は
図2における右側とし、X2側はそれとは逆の
図2における左側とする。また、Z方向はチャッキング装置10の懸吊状態における鉛直方向(上下方向)とし、Z1側は懸吊状態における上側とし、Z2側は懸吊状態における下側とする。また、Y方向は、X方向およびZ方向に直交する方向とし、Y1側は
図3における右側とし、Y2側はそれとは逆の
図3における左側とする。
【0025】
図2はチャッキング装置10の構成を示す正面図である。
図3は、チャッキング装置10の構成を示す側面図である。
【0026】
図2および
図3に示すように、チャッキング装置10は、本体フレーム20と、開閉爪機構30と、姿勢矯正機構40と、電磁石昇降機構50と、リフティングマグネット60と、横行機構70と、ビジョンセンサ80と、距離センサ90と、制御部100と、吊り金具200とを備えている。チャッキング装置10は、搬送装置1を構成するが、この搬送装置1は、上記のようにチャッキング装置10以外に、吊り荷を昇降し水平移動可能な走行装置11や、電気チェーンブロック12を備えている。なお、搬送装置1は、チャッキング装置10以外に、昇降と水平搬送機能を備えたクレーンや荷物の昇降機能を備える産業用車両等を備えるようにしても良い。
【0027】
これらのうち、本体フレーム20は、互いに対向する一対のフレーム板21a,21bを備え、そのフレーム板21a,21bが複数の連結バー22で連結されている。なお、本体フレーム20は、本体部に対応する。また、フレーム板21a,21bの下端には、後述する接続リンク37a,37bの上端側を連結軸S1を介して支持するための支持プレート23a,23bがそれぞれ取り付けられている。また、本体フレーム20の上方側(Z1側)には、天井クレーン等の巻上機(電気チェーンブロック12)から吊り下げられるチェーンに取り付けられた吊り具(チェーンスリング、シャックル、フック等)が連結されるための上部連結部24が設けられている。
【0028】
また、開閉爪機構30は、一対の爪リンク機構31と、一対の開閉用直動装置38と、ガイドカム39とを有している。ここで、爪リンク機構31および開閉用直動装置38は、
図2において電磁石昇降機構50よりもX方向の一方側(X1側)と他方側(X2側)にそれぞれ設けられることで、一対(2つ)設けられている。以下の説明では、X方向の一方側(X1側)の爪リンク機構31を爪リンク機構31aとし、X方向の他方側(X2側)の爪リンク機構31を爪リンク機構31bとする。また、X方向の一方側(X1側)の開閉用直動装置38を開閉用直動装置38aとし、X方向の他方側(X2側)の開閉用直動装置38を開閉用直動装置38bとする。また、X方向の一方側(X1側)のガイドカム39をガイドカム39aとし、X方向の他方側(X2側)のガイドカム39をガイドカム39bとする。
【0029】
なお、
図2に示すように、開閉爪機構30はフレーム板21a,21bと並行に設けられている。かかる開閉爪機構30のうち、爪リンク機構31a,31bは、リンクアーム32a,32bと、接続リンク37a,37bとを主要な構成要素としていて、フレーム板21a,21bの下方にそれぞれ一組ずつ配置されている。一方のリンクアーム32a,32bは、連結軸S2の一方の端部で連結され、かつ、間隔を置いて配置されている他方のリンクアーム32a,32bも連結軸S2の他方の端部で連結されている。すなわち、一対のリンクアーム32a,32bの組は、互いに連結軸S2で連結されている。
【0030】
また、それぞれのリンクアーム32a,32bの上端側は、一対の連結軸S3の端部で接続リンク37a,37bとそれぞれ連結されていて、接続リンク37a,37bの上端は連結軸S1で軸支され、連結軸S1を介して支持プレート23に連結されている。リンクアーム32a,32bの下端に設けられている下連結部34a、34b(後述)が互いに近接する閉じ状態から、連結軸S2を開閉用直動装置38a,38bで連結軸S1方向に上昇させると、各リンクの作用によって、リンクアーム32a,32bの下端は下連結部34a、34bと共に、互いに離れる開き状態となり、かつ、両下端は連結軸S1方向に上昇する。
【0031】
なお、
図3に示すように、リンクアーム32a,32bは、上方側(Z1側)から下方側(Z2側)に向かう途中部分でそれぞれ下方側に曲げられているいわゆるトングアームである。それにより、リンクアーム32a,32bが互いに閉じた状態から開き状態へとリンクアーム32a,32bが移行する際に、リンクアーム32a,32bの上方側(Z1側)に接続リンク37a,37bから良好にリンクアーム32a,32bの下端に力が伝達される。また、リンクアーム32a,32bが互いに閉じた状態では、後述する下連結部34a,34bが概ね水平となる。
【0032】
また、リンクアーム32a,32bの中途部分には、それぞれ突き当て部材33a,33bが取り付けられている。かかる2つの突き当て部材33a,33bは、リンクアーム32a,32bの閉じ状態のときに、互いに突き当てられる部材であり、その突き当て状態となった場合、それ以上、リンクアーム32a,32bが閉じ方向に回動できなくなる。すなわち、突き当て部材33a,33bは、リンクアーム32a,32bが必要以上に閉じるのを規制する部材である。なお、突き当て部材33a,33bは、閉位置規制部材に対応する。
【0033】
また、それぞれのリンクアーム32a,32bの下端(Z2側)には、リンクアーム32a,32b同士及びリンクアーム32a,32b同士を連結する下連結部34a,34bが設けられている。下連結部34a,34bは、板状の部材であり、リンクアーム32a,32bの閉じ状態では、一対の下連結部34a,34bが近接する。それにより、後述する吊り金具200を下方側(Z2側)から水平に支持可能となっている。
【0034】
図4は、開閉爪機構30が閉じた状態での下連結部34a,34bを下方側(Z2側)から見た状態を示す図であり、吊り金具200を保持していない状態を示す図である。
図5は、同じく開閉爪機構30が閉じた状態での下連結部34a,34bを下方側(Z2側)から見た状態を示す図であり、吊り金具200を保持している状態を示しており、吊り金具200に掛けられたフレコンバッグの吊り紐を省略した図である。
図4および
図5に示すように、下連結部34a,34bには、爪部35a,35bと、ガイド部材支持部36a,36bとが設けられていて、これらが下連結部34a,34bの補強リブ341a~343a,341b~343bと共に一体的に設けられている。なお、この下連結部34a,34bは、リンクアーム32a,32bの下方側(Z2側)と直交するように設けられている(
図3参照)。
【0035】
ここで、それぞれの下連結部34a,34bの長手方向(X方向)における両端側は、その長手方向(X方向)に直交する幅方向の寸法が大きく設けられている。また、両端側から長手方向の中央側に向かうと、幅方向の寸法が小さく設けられているが、長手方向の中央側では、ガイド部材支持部36a,36bから幅方向(Y方向)に沿って、爪部35a,35bがそれぞれ他方の下連結部34a,34bに向かって突出するように設けられている。この爪部35a,35bは、吊り金具200の所定の部位を下方側(Z2側)から支持する。また、ガイド部材支持部36a,36bは、後述するガイド部材41a,41bの固定用フランジ部43を取り付ける部分となっている。
【0036】
なお、
図4および
図5に示すように、下連結部34aと下連結部34bとは、X方向における位置が若干異なるように配置されている。具体的には、
図4および
図5に示す構成では、下連結部34aの方が、下連結部34bよりもX1側に突出するように設けられている。しかしながら、下連結部34aと下連結部34bとが、X方向において同じ位置に設けられるようにしても良い。
【0037】
また、接続リンク37a,37bは、長片形状に設けられていると共に、その上端側が、本体フレーム20の支持プレート23に、連結軸S1を介して連結されている。
【0038】
また、開閉用直動装置38a,38bは、シリンダ381と連結ロッド382とを備えていて、たとえばエアシリンダ、油圧シリンダやパワーシリンダのように、空気、作動油や電力を供給することによって連結ロッド382をシリンダ381に出入させることを可能としている。なお、開閉用直動装置38a,38bは、連結ロッド382を往復運動させることが可能であれば、上記以外の直動装置、例えばラック&ピニオンやスクリュージャッキであっても良い。なお、開閉用直動装置38a,38bは、第1アクチュエータに対応する。
【0039】
この開閉用直動装置38a,38bは、リンクアーム32a,32bの開閉動作を行うための駆動力を与えるものである。具体的には、連結ロッド382の下端側は上述した連結軸S2を下から支持するように若干の遊びを持って連結されている。そのため、連結ロッド382が下降していない上昇状態では連結軸S2を持ち上げることによってリンクアーム32a,32bが開き状態となっている。連結ロッド382が下降するにつれて、リンクアーム32a,32b等の自重によって徐々にリンクアーム32a,32bは閉じる。なお、上記のように若干の遊びを持って連結しているのは、閉じ動作中に無理な力が開閉用直動装置38a,38bにかかるのを防止し、開閉用直動装置38a,38bを小型化させるためである。
【0040】
図6は、チャッキング装置10の構成を示すと共に、手前側の爪リンク機構31とフレーム板21aを取り除いてガイドカム39a,39b、電磁石昇降機構50およびリフティングマグネット60の構成を示す図であり、吊り金具200(吊り紐は省略)を吸着しリンクアーム32a,32bが閉じた状態を示している。
図7は、
図6に示す状態から、リンクアーム32a,32bが開いた状態を示す図である。
【0041】
図6に示すように、ガイドカム39a,39bには、上記の連結軸S2が挿入されている。ガイドカム39a,39bには、上下方向(Z方向)に沿うガイド溝391a,391bが形成されていて、このガイド溝391a,391bに連結軸S2が挿入されている。したがって、開閉用直動装置38a,38bの作動により、連結軸S2はガイド溝391a,391bに沿って上下動することができ、その連結軸S2の上下動に伴ってリンクアーム32a,32bが開閉する。なお、ガイドカム39a,39bは、本体フレーム20の支持プレート23に取り付けられていて、爪リンク機構31の横揺れを防止している。
【0042】
次に、姿勢矯正機構40について説明する。姿勢矯正機構40は、一対のガイド部材41a,41bを備えている。このガイド部材41a,41bは、立壁部42と、固定用フランジ部43を有している。これらのうち、立壁部42は、下連結部34a,34bから立設するように設けられている板状(壁状)の部分であり、
図4および
図5に示すように合計3つのガイド板部42a~42cから構成されている。以下の説明では、ガイド板部42a~42cを平面視した場合に、中央に位置するものをガイド板部42aとし、そのガイド板部42aの両側に位置するものをガイド板部42b,42cとする。
【0043】
ここで、ガイド板部42aは、一対の下連結部34a,34bの並びの方向(Y方向)に対して直交する方向(X方向)に沿って設けられている。一方、ガイド板部42b,42cは、ガイド板部42aに対して所定の角度をなして傾斜している。具体的には、ガイド板部42a~42cで、多角形(
図4および
図5では吊り金具200の板状フック部外縁の形状に合わせ八角形)の辺に沿うように配置されている。
【0044】
これらのうち、ガイド板部42aは、ガイド板部42b,42cよりも短く設けられているが、その長さは、吊り金具200の所定の部位に対応した長さとなっている。また、ガイド板部42bはガイド板部42aの一端部に対し略135度の角度をなして傾斜していると共にガイド板部42cはガイド板部42aの他端部に対し略135度の角度をなして傾斜している。この配置は、吊り金具200の板状フック部232の外縁の形状に合わせて配置されている。このため、吊り金具200を平面視した場合に、回転方向において位置ずれしていても、その回転方向の位置ずれを開閉爪機構30の閉じ動作によって矯正することが可能となっている。
【0045】
また、固定用フランジ部43は、下連結部34a,34bの上面に取り付けられる部分である。この固定用フランジ部43は、立壁部42に対して直交しているが、ガイド板部42a~42cで囲まれる側(内筒側)とは逆側(外側)に向かって突出している。なお、固定用フランジ部43は、立壁部42に対し、たとえば溶接により取り付けられている。また、固定用フランジ部43は下連結部34a,34bのガイド部材支持部36a,36bに対しボルトなどにより結合されている。
【0046】
また、下連結部34a,34bのガイド板部42a~42cで囲まれる側(内筒側)には、下支え部34a1,34b1が一体に設けられ、吊り金具200の板状フック部232の外周縁を支持する部分である。この下支え部34a1,34b1は、立壁部42に対して直交していると共に、ガイド板部42a~42cで囲まれる側(内筒側)に向かって突出している。また、
図4および
図5に示すように、爪部35a,35bは、下支え部34a1,34b1から突出しているが、その突出する向きは、その爪部35a,35bが存在するガイド部材41a,41bに対し向き合っている他方のガイド部材41b,41a側となっている。なお、爪部35a,35bは、吊り金具200の中央寄りの部位(板状フック部232の基部)や、板状フック部232の絞り部233を下面から支持可能となっている。このような下支え部34a1,34b1と爪部35a,35bとは、
図4および
図5に示すように、平面視した場合にW字を描くように設けられている。
【0047】
次に、電磁石昇降機構50について説明する。なお、電磁石昇降機構50は、昇降機構に対応する。電磁石昇降機構50は、上述した開閉爪機構30の中央部に配置されている。電磁石昇降機構50は、磁石連結部材51と、チェーンC1と、シリンダ連結部材52と、昇降用直動装置53とを有している。これらのうち、磁石連結部材51は、その下方側(Z2側)が後述するリフティングマグネット60に連結されると共に、その上方側(Z1側)がチェーンC1に連結されている。ここで、
図2および
図5に示す構成では、磁石連結部材51には開閉爪機構30の内側で所定の間隔で配置された合計4本のチェーンC1が連結されているが、チェーンC1は少なくとも3本以上連結されていれば良い。このように、少なくとも3本以上のチェーンC1が磁石連結部材51に連結されることで、その磁石連結部材51に連結されているリフティングマグネット60は、概ね水平な状態を維持しながら昇降する。
【0048】
また、昇降用直動装置53は、昇降用シリンダ53aと連結ロッド53bを有し、シリンダ連結部材52は、連結ロッド53bの下端側(Z2側)に連結されている。このため、昇降用直動装置53(電磁石昇降機構50)の連結ロッド53bは、シリンダ53aに沿った移動が可能となっている。
【0049】
この昇降用直動装置53は、上述した開閉用直動装置38a,38bと同様に、たとえばエアシリンダ、油圧シリンダやパワーシリンダのように、空気、作動油や電力を供給することによって連結ロッド53bをシリンダ53aに出入させることを可能としているが、昇降用直動装置53は、連結ロッド53bを往復運動させることが可能であれば、上記以外のシリンダであっても良い。なお、昇降用直動装置53は、第2アクチュエータに対応する。
【0050】
この昇降用直動装置53を作動させると、連結ロッド53bが上下動し、シリンダ連結部材52、チェーンC1および磁石連結部材51を介してリフティングマグネット60を上下動させることができる。かつ、フレコンバッグ等の荷の上面に吊り金具200が傾斜した姿勢で置かれていても、その傾斜にならってリフティングマグネット60も傾斜し、磁着面60aが吊り金具200の磁着板部210の上面に密着できるようになっている。
【0051】
また、リフティングマグネット60は、電磁石を用いて吊り金具200を磁力によって吸引する(磁着する)部材である。本実施の形態では、リフティングマグネット60は、電磁力のオン・オフによって、吊り金具200を磁着したり、釈放する(磁着状態を切り離す)ことを可能としている。なお、吊り金具200をリフティングマグネット60が磁着している状態で電磁石昇降機構50がリフティングマグネット60を持ち上げようとした場合、リフティングマグネット60は、吊り紐が掛けられた状態の吊り金具200を十分に持ち上げることが可能な磁力を発生可能となっている。なお、リフティングマグネット60は、吸着手段に対応する。
【0052】
このリフティングマグネット60の下方の磁着面60aは、円形に設けられている。したがって、後述する吊り金具200の磁着板部210に対し、磁着面60aは比較的広い面積で平面状に磁着可能となっている。
【0053】
次に、横行機構70について説明する。なお、横行機構70は、水平方向移動機構に対応する。横行機構70は、電磁石昇降機構50およびリフティングマグネット60が、横行方向(
図2におけるX方向)に移動するのをガイドする機構である。すなわち、フレコンバッグに取り付けられている吊り金具200に対し、横行方向(X方向)の位置がずれている場合には、この横行機構70を作動させて、リフティングマグネット60の位置合わせを行う。なお、横行機構70は、横行機構を備えないテルハクレーンにおいては設ける必要はあるものの、横行機構を備えるクレーン(天井クレーン等)では、チャッキング装置10は、横行機構70を省略することができる。また、天井クレーン等の横行・走行機構を備える搬送装置であっても、横行機構70あるいは図示しない走行機構を備え、X-Y方向に移動可能とするようにしても良い。なお、横行機構70は、吸着装置移動機構に対応する。チャッキング装置10内に上記の吸着装置移動機構を備えた方が、チャッキング装置10は大型化するものの、クレーン全体を移動するよりも高速で精度良く吸着装置を移動できる利点がある。
【0054】
この横行機構70は、横行用モータ71と、駆動伝達機構72と、ボールねじ73と、連結ナット74とを有している。横行用モータ71は、
図2に示すようにフレーム板21bに取り付けられているが、フレーム板21aに取り付けられていても良い。この横行用モータ71の駆動力は、駆動伝達機構72を介してボールねじ73に伝達される。なお、駆動伝達機構72は、ギヤ、ベルトやプーリ等のような駆動力を伝達可能な部材で構成されている。
【0055】
また、ボールねじ73は、一対のフレーム板21a,21bの間で回転自在な状態で支持されている。このボールねじ73には、連結ナット74が捻じ込まれている。連結ナット74は、昇降用直動装置53の上端側(Z1側)を取り付けている。このため、横行用モータ71が作動し、その回転力が駆動伝達機構72を介してボールねじ73に伝達されると、連結ナット74は横行方向(X方向)に沿って移動する。それにより、連結ナット74に取り付けられている昇降用直動装置53が横行方向(X方向)に沿って移動するので、リフティングマグネット60、リフティングマグネット60に吸着された吊り金具200も、横行方向(X方向)に沿って移動する。
【0056】
また、
図2に示すように、本体フレーム20にはビジョンセンサ80が取り付けられている。ビジョンセンサ80は、フレコンバッグの上部に存在する吊り金具200の位置を識別するためのものであり、たとえばカメラ等のような吊り金具200を撮像可能なものが好適である。しかしながら、ビジョンセンサ80は、カメラ以外のセンサであっても良い。このビジョンセンサ80は、リフティングマグネット60をXY平面内にて吊り金具200に対して好適な位置へと移動させるために、吊り金具200を認識(撮像)するものである。なお、ビジョンセンサ80で撮像されたデータ(画像情報)は、後述する制御部100に送信される。
【0057】
また、本体フレーム20には、距離センサ90も取り付けられている。距離センサ90は、チャッキング装置10と下方の物体との上下方向(Z方向)の距離を測定するためのセンサであり、たとえばレーザ方式の距離センサや赤外線方式の距離センサ等が用いられる。なお、距離センサ90で測定されたデータ(距離情報)は、後述する制御部100に送信される。
【0058】
また、制御部100は、チャッキング装置10の作動を制御する部分であると共に、搬送装置1の作動を制御する部分である。この制御部100は、図示を省略するシーケンサ、シリンダ用ドライバ、モータドライバ、各種コントローラ、その他の要素から構成されている。また、シーケンサには、所望の制御を実行するためのプログラムおよびデータが記憶されている。
【0059】
この制御部100では、ビジョンセンサ80で撮像されたデータ(画像情報)を処理しシーケンサに出力するコントローラを有し、距離センサ90で測定されたデータ(距離情報)もシーケンサに入力される。これらのデータに基づいて、制御部100のシーケンサは、開閉用直動装置38a,38b、昇降用直動装置53および横行用モータ71の作動を制御すると共に、搬送装置1の各装置を制御、または制御に必要な信号をそれぞれの駆動制御部と送受信する。
【0060】
<吊り金具200の第1構成例について>
次に、吊り金具200の第1構成例について説明する。
図8は、吊り金具200の構成を示す側面図である。
図9は、吊り金具200の構成を示す平面図である。
図10は、吊り金具200の構成を示す底面図である。
図8から
図10に示す吊り金具200は、予め作業者等がフレコンバッグの吊り紐を取り付けて、そのフレコンバッグの上部に置かれるものである。そして、フレコンバッグを搬送する場合には、吊り金具200が上記のリフティングマグネット60によって磁着されることで、吊り紐が持ち上げられ、吊り金具200の下方にチャッキング装置10の下支え部34a1,34b1と爪部35a,35bを差し込んで下面を支持することで、吊り金具200を介して、フレコンバッグを持ち上げて、搬送を行うことが可能となっている。
【0061】
この吊り金具200は、磁着板部210と、スペーサ部220と、下支持部230とを有している。これらのうち、磁着板部210は、吊り金具200の中央部に平板状に設けられている部分であり、下支持部230に対し平行に位置している。上述したリフティングマグネット60で水平に磁着板部210を持ち上げると吊り紐を吊りかけた下支持部230も水平に持ち上げることが可能となっている。そのため、磁着板部210は、磁石によって吸着することが可能な軟磁性材から構成されている。なお、
図8に示す構成では、磁着板部210は円盤状に設けられている。そのため、磁着板部210は、回転方向におけるいずれの方向でも、良好にリフティングマグネット60に対して磁着させることが可能となっている。なお、磁着板部210は、被吸着部および吸着板部に対応する。
【0062】
ここで、磁着板部210の上面には、センサ用マーク211が設けられている。センサ用マーク211は、ビジョンセンサ80で吊り金具200を識別するためのマークである。このようなマークとしては、たとえば縦棒と横棒とから構成される十字形状のマークが好ましい。ビジョンセンサ80のコントローラは、予め登録した十字形状のマークと認識した場合、その中心位置を制御装置に出力することができる。また、センサ用マーク211が十字形状のマークの場合、その縦棒および横棒を、後述する絞り部233の延伸方向に沿う状態とすると、絞り部233の回転方向における位置を認識するようにすることもできる。
【0063】
なお、吊り金具200が上記のようなセンサ用マーク211を有する場合、チャッキング装置10は、ビジョンセンサ80によってXY平面における吊り金具200の向きを検出することができる。そのため、チャッキング装置10は、リフティングマグネット60の回転方向における位置を調整可能な旋回装置を備えても良い。この旋回装置は、上記のようにリフティングマグネット60のみを旋回させても良いが、チャッキング装置10全体を旋回させても良い。すなわち、旋回装置は、少なくともリフティングマグネット60を旋回させることができれば、どのような構成を採用しても良い。
【0064】
また、スペーサ部220は、磁着板部210と下支持部230とを所定の間隔を保って接続する部分である。すなわち、下支持部230に十分な広さの磁着部を設けることができない場合、下支持部230の中央部231の上面にスペーサ部220を固着し、さらにスペーサ部220の上端に当該スペーサ部220より面積の大きい磁着板部210を下支持部230と並行に固着している。なお、磁着板部210はリフティングマグネット60の磁着面60aの形状に合わせ円形が好ましいが、多角形であっても良い。また、径方向の寸法および高さ方向の寸法によって、吊り紐(ベルト等)の上端部を遊びを持たせて位置させるための空間が規定される。なお、磁着板部210とスペーサ部220とは、吊り紐規制手段に対応する。また、スペーサ部220は板状フック部232と磁着板部210を垂直方向(Z方向)で区画している。
【0065】
また、下支持部230は、板状に設けられているが、この下支持部230は、中央部231と、板状フック部232とを有している。中央部231は、平面視すると略矩形の板状に設けられている部分である。なお、中央部231の上面には、スペーサ部220が溶接その他の手段で固着されている。また、板状フック部232は、中央部231を基部として外側に突出している部分であり、鉤状に設けられている部分である。この板状フック部232は、フレコンバッグの吊り紐を掛けるための部分である。
図9に示す構成では、板状フック部232は、合計4つ設けられていて、4本の吊り紐を掛ける場合にも対応している。なお、板状フック部232は、
図9に示すように平面視したときの外周縁部が、略八角形に沿うように設けられている。また、4つの板状フック232は、中央部231と共に一枚の板状体から形成されており、同一平面を形成している。中央部231は単独で、またはスペーサ部220とで中央部に対応する。
【0066】
また、下支持部230は、
図5に示すように、板状フック部232の外縁の外周幅広部234を開閉爪機構30の下支え部34a1,34b1によって下から把持される構成となっている。また、開閉爪機構30の爪部35a,35bは、
図5では板状フック部232の基部である中央部231を下から支えることが可能となっており、下支持部230は、このような把持が可能な大きさと強度を有している。更にまた、爪部35a,35bは、
図10に示すように、
図5と同じ支え方の他に、後述の絞り部233を下から支えることが可能となっている。
【0067】
4箇所の板状フック部232に4本の吊り紐を掛けて荷重を分散させている場合には、下支持部230は、
図5と同じ方向から吊り金具200を把持するようにする。一方、吊り金具200に合計2本の吊り紐を掛ける場合、中央部231を挟んで対称位置に位置する合計2箇所の板状フック部232に、それぞれ1本ずつ吊り紐を掛ける。また、4本の吊り紐を掛ける場合でも、中央部231を挟んで対称位置に位置する合計2箇所の板状フック部232に、2本ずつに分けて吊り紐を掛けることもできる。これらのように、中央部231を挟んで対称位置に位置する合計2箇所の板状フック部232に吊り紐を掛ける場合、
図5とは吊り金具に対し45度向きを変えた方向から爪部35a,35bを差し込み、チャッキングできるようになっている。
【0068】
これにより、2箇所の絞り部233に荷重が集中して作用する場合には、爪部35a,35bで絞り部233の下から支えることで、絞り部233にかかる負荷を軽減し、吊り金具200の強度アップのための質量増を回避できるので、作業者が吊り金具200に吊り紐を掛けて荷の上の所定の位置に置く一連の作業負荷を軽減できる。
【0069】
この板状フック部232には、幅狭の絞り部233と、外周側の外周幅広部234とが設けられていて、さらに外周幅広部234には返し部235が一体的に設けられている。絞り部233は、
図9に示すように、外周幅広部234よりも幅狭に設けられている部分であるが、その幅は、吊り紐から受ける荷重に耐えられる程度となっている。なお、爪部35a,35bの幅は、絞り部233の幅と同等か、絞り部233の幅よりも狭く設けられている。また、爪部35a,35bのうち、当該爪部35a,35bを補強するための部分(爪部35a,35bの下の補強リブ341a~343a,341b~343bに相当する部分)の幅は、絞り部233よりもさらに狭く設けられている。
【0070】
また、外周幅広部234は、絞り部233よりも幅が十分に広く設けられている部分であり、絞り部233に掛けられた吊り紐が抜け落ちないように外径側に移動するのを防止する部分である。なお、
図9に示すように、絞り部233と外周幅広部234とで、略T字を描くように平板状に設けられている。
【0071】
また、返し部235は、外周幅広部234の幅方向の両端側から、中央部231に向かうように突出している部分であり、外周側に向かって移動してきた吊り紐が、外周幅広部234から抜けるのを阻止する部分である。なお、絞り部233、外周幅広部234および返し部235によって、吊り紐が抜けるのを阻止するフック状の部分を構成している。
【0072】
ここで、隣り合う板状フック部232の返し部235の間には、所定の隙間P1が設けられている。したがって、この隙間P1を介して、吊り紐を絞り部233に掛けることが可能となっている。
【0073】
また、吊り紐の上端が、板状フック部232より中央部231方向に移動するのを絞り部233より幅広の中央部231と共にスペーサ部220の外周によって規制可能となっている。更にスペーサ部220の上端に取り付けた磁着板部210の張り出し部212の下面も吊り紐の磁着板部210の上面への移動を規制している。絞り部233より幅広の中央部231、スペーサ部220及びスペーサ部220上端からの張り出し部212は、それぞれ単独あるいは組み合わせて、吊り紐の被吸着部である磁着板部210への移動(吊り紐の浮き上がりを含む)を規制する規制手段を構成している。
【0074】
<吊り金具200の第2構成例について>
次に、吊り金具200の第2構成例について説明する。なお、以下の説明では、第2構成例に係る吊り金具200は、吊り金具200Bとして説明する。
図11は、第2構成例に係る吊り金具200Bの構成を示す平面図である。
【0075】
図11に示すように、第2構成例に係る吊り金具200Bでは、上述した第1構成例に係る吊り金具200と同様の磁着板部210Bおよびスペーサ部220Bを有している。しかしながら、吊り金具200Bの下支持部230Bは、吊り金具200の下支持部230とは異なっている。すなわち、
図11に示すように、下支持部230Bは、2つの板状フック部232Bを有している。なお、中央部231Bは、上述した中央部231と同様の構成となっている。
【0076】
なお、板状フック部232Bは、上述した絞り部233と同様の絞り部233Bを有し、上述した外周幅広部234と同様の外周幅広部234Bを有し、さらには上述した返し部235と同様の返し部235Bを有している。また、磁着板部210Bには、上述したセンサ用マーク211と同様のセンサ用マーク211Bが設けられている。
【0077】
このような吊り金具200Bでは、フレコンバッグに2本の吊り紐が存在する場合には、それぞれの吊り紐を板状フック部232Bに掛ける。一方、フレコンバッグに4本の吊り紐が存在する場合には、1つの板状フック部232Bに2本ずつ、吊り紐を掛ける。
【0078】
また、第2構成例に係る吊り金具200Bにおいても、上記の第1構成例に係る吊り金具200と同様に、下支持部230Bは、板状フック部232の外縁の外周幅広部234Bを開閉爪機構30の下支え部34a1,34b1によって下側から把持される構成となっている。また、爪部35a,35bは、絞り部233Bを下側から支持すると共に、その爪部35a,35bの先端側が中央部231を下側から支持することが可能となっている。すなわち、下支持部230Bは、このような把持が可能な大きさと強度を有している。
【0079】
なお、吊り金具200Bは、
図11とは別の方法、たとえば
図12に示すような支持手法によって、下支え部34a1,34b1で支持されても良い。
図12では、下連結部34a,34bが閉じることで、中央部231Bが一対の爪部35a,35bで下側から支持される。また、下支え部34a1と下支え部34b1にまたがる状態で、外周幅広部234Bが下側から支持される。
【0080】
<吊り金具200の第3構成例について>
次に、吊り金具200の第3構成例について説明する。なお、以下の説明では、第3構成例に係る吊り金具200は、吊り金具200Cとして説明する。
図13は、第3構成例に係る吊り金具200Cの構成を示す平面図である。
【0081】
図13に示す構成では、
図11に示す構成から、中央部231Bと異なる位置に配置した磁着板部210Bを省略した構成となっているが、中央部231Cと一体に磁着板部210Cを形成し、中央部231Cが磁着板部210Cを含んでいる構成となっている。すなわち、吊り金具200Cの下支持部230Cは、第2構成例に係る下支持部230Bと同様に、2つの板状フック部232Cを有している。2つの板状フック部232Cと磁着板部210Cは、平行な位置関係になっている。板状フック部232Cの絞り部233Cより幅広の231Cは、絞り部233Cに吊りかけられた吊り紐の中央部方向への移動を規制している。また、スペーサ220Cによって絞り部233Cに吊りかけられた吊り紐の磁着板部への移動を規制している。
【0082】
なお、中央部231Cは、上述した中央部231Bと同様の構成となっている。ただし、中央部231Cには、センサ用マーク211と同様のセンサ用マーク211Cが設けられていて、磁着板部210Cの外側に配置したリング状のスペーサ220Cによってフック部232Cと磁着板部210Cが区画されることが好ましい。リング状のスペーサ220Cは、上方の径が下方より広くなり、リフティングマグネット60の磁着部を磁着板部231Cにガイドするようにしていることが好ましい。
【0083】
このような吊り金具200Cにおいても、上述した吊り金具200Bと同様に、フレコンバッグに2本の吊り紐が存在する場合には、それぞれの吊り紐を板状フック部232Cに掛ける。一方、フレコンバッグに4本の吊り紐が存在する場合には、1つの板状フック部232Cに2本ずつ、吊り紐を掛ける。板状フック部232Cの基部である板状の中央部231Cの上面から突出するスペーサ220Cによって吊り紐の磁着板部210Cへの移動を規制し安定して吊り金具200Cを水平に確実に吸着することができる。
【0084】
また、第3構成例に係る吊り金具200Cにおいても、上記の第2構成例に係る吊り金具200Bと同様の支持手法を採用することができる。このため、その支持手法の詳細についての説明は省略する。
【0085】
<吊り金具200の第4構成例について>
次に、吊り金具200の第4構成例について説明する。
図14は、第4構成例に係る吊り金具200Dの構成を示す平面図である。
図14に示すように、第4構成例に係る吊り金具200Dでは、その平面図が、
図10に示す吊り金具200の底面図と概ね同様となっている。このため、吊り金具200Dは下支持部230Dを有し、その下支持部230Dは、中央部231Dと、中央部231Dと一体に磁着板部210Dを有し、4つの板状フック部232Dとを有している。磁着板部210Dの外周部で4つの板状フック部232Dとの境界部には、中央部231D上面から突出するスペーサ部220Dが配置されていて、板状フック部232Dと磁着板部210Dを区画している。
【0086】
このような吊り金具200Dにおいても、上述した第1構成例に係る吊り金具200と同様に、フレコンバッグに4本の吊り紐が存在する場合には、それぞれの板状フック部232Dに1本ずつ、吊り紐を掛ける。また、フレコンバッグに2本の吊り紐が存在する場合には、中央部231Dを挟んで対称位置に位置する合計2箇所の板状フック部232Dに、それぞれ1本ずつ吊り紐を掛ける。また、4本の吊り紐を掛ける場合でも、中央部231Dを挟んで対称位置に位置する合計2箇所の板状フック部232Dに、2本ずつに分けて吊り紐を掛けることもできる。また、第3構成例と同様に、絞り部233Dより幅広の板状の中央部231Dおよび中央部231D上面から突出するスペーサ220Dによって吊り紐の磁着板部210Dへの移動を規制することができる。
【0087】
また、第4構成例に係る吊り金具200Dにおいても、上記の第1構成例に係る吊り金具200と同様の支持手法を採用することができる。このため、その支持手法の詳細についての説明は省略する。
【0088】
<作用について>
以上のような構成を有するチャッキング装置10の作用について、
図15~
図18に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、以下の説明では、基本的には、制御部100の制御に基づいて、下記の各ステップが実行される。
【0089】
<吊り上げ動作について>
最初に、吊り金具200,200B~200Dを用いた、フレコンバッグの吊り上げ動作について、
図15から
図17に基づいて説明する。この場合、先ずはチャッキング装置10がフレコンバッグの吊り上げ位置に位置することを確認すると共に、チャッキング装置10が下降する準備が整っているのかを確認する(ステップS11)。ここで、下降する準備とは、たとえば、次のものが挙げられる。すなわち、図示を省略する爪リンク機構31の開き側のリミットスイッチがオンとなっているか、電磁石昇降機構50およびリフティングマグネット60が横行機構70における中心位置に到達している場合に押されるリミットスイッチがオンとなっているか、リフティングマグネット60が上限位置に到達していることを検出する上限リミットスイッチがオンとなっているか等がある。しかしながら、チャッキング装置10が下降する準備は、これに限られるものではない。
【0090】
また、上記とは別に、吊り金具200,200B~200Dの板状フック部232,232B,232C,232Dに、吊り紐を掛けるようにする。なお、板状フック部232,232B,232C,232Dへの吊り紐の掛け方は、上記のとおりであるので、その説明は省略する。
【0091】
なお、このステップS11において、チャッキング装置10が下降する準備が整っていないと判断される場合(Noの場合)、このステップS11の判断を再び繰り返す。
【0092】
上記のステップS11において、チャッキング装置10が下降する準備が整っていると判断される場合(Yesの場合)、チャッキング装置10の下降を行う(ステップS12)。そして、その下降によって、ビジョンセンサ80の撮像位置に到達したか否かを判断する(ステップS13)。なお、この撮像位置に到達したか否かは、上述した距離センサ90での計測により、既定の撮像距離以下となったか否かを検出することにより行う。なお、ステップS13において、ビジョンセンサ80の撮像位置に到達していないと判断される場合(Noの場合)、このステップS13の判断を再び繰り返す。
【0093】
上記のステップS13において、ビジョンセンサ80の撮像位置に到達したと判断される場合(Yesの場合)、チャッキング装置10の下降を停止させ、ビジョンセンサ80で吊り金具200,200B~200Dの撮像を開始する(ステップS14)。なお、このビジョンセンサ80での撮像を行う場合、不図示の照明装置によって、吊り金具200,200B~200D側を照らすのが好ましい。また、ステップS14におけるチャッキング装置10の下降の停止位置は、フレコンバッグおよび吊り金具200,200B~200Dに対し、チャッキングを行う位置よりも所定距離だけ上方側(Z1側)となっている。
【0094】
上記のビジョンセンサ80での撮像により、制御部100が吊り金具200,200B~200Dの位置ずれが存在するか否かを判断する(ステップS15)。ここで、吊り金具200,200B~200Dの位置ずれが存在する場合とは、吊り金具200,200B~200Dの位置ずれ量が許容値以上であるか否かを制御部100が判断することにより行う。そして、制御部100が吊り金具200,200B~200Dの位置ずれが存在する(許容値以上である)ことを検出した場合(Yesの場合)、後述するステップS31へと進行する。
【0095】
一方、制御部100が吊り金具200,200B~200Dの位置ずれが存在する(許容値以上である)ことを検出しなかった場合(Noの場合)、そのままリフティングマグネット60を下降させることができる状態となる。そのため、リフティングマグネット60を下限位置まで下降させ、その下降を停止させる(ステップS16)。なお、上記の下限位置は、リフティングマグネット60に設けられているリミットスイッチ(図示省略)が、吊り金具200,200B~200Dによって押し込まれたか否かにより行うが、その他の手法によって、リフティングマグネット60の下限位置までの下降を検出するようにしても良い。
【0096】
次に、チャッキング装置10を所定の下降位置まで下降させ、その下降を停止させる(ステップS17)。なお、この所定の下降位置までの下降は、距離センサ90での距離の測定によって行われる。ここで、所定の下限位置は、リフティングマグネット60の下面よりも、一対の下連結部34a,34bの下面の方が上側(Z1側)に位置する所定位置となっている。したがって、一対の下連結部34a,34bよりもリフティングマグネット60は下側(Z2側)に突出した状態となる。また、一対の下連結部34a,34bは、フレコンバッグに接触はしないが、下降前よりもフレコンバッグに近接した状態となる。なお、このステップS17は、後述するステップS18およびステップS19の判断を行いつつ、実行するようにしても良い。
【0097】
次に、リフティングマグネット60の励磁を行う(ステップS18)。その後に、リフティングマグネット60によって、吊り金具200,200B~200Dの磁着板部210,210B~210Dがリフティングマグネット60に吸着されたか否かを確認する(ステップS19)。かかる磁着板部210,210B~210Dがリフティングマグネット60に吸着されたか否かの確認は、リフティングマグネット60に設けられている、磁着を確認するためのリミットスイッチ(図示省略)によって行われる。なお、このステップS19において、磁着板部210,210B~210Dがリフティングマグネット60に吸着されていないと判断される場合(Noの場合)、このステップS19の判断を再び繰り返す。
【0098】
また、ステップS19において、磁着板部210,210B~210Dがリフティングマグネット60に吸着されていることが確認された場合(Yesの場合)、リフティングマグネット60を規定位置まで上昇させる(ステップS20)。すなわち、後のステップS23にて、爪リンク機構31を閉じた場合に、一対の下連結部34a,34bと、リフティングマグネット60に磁着されている吊り金具200,200B~200Dとが干渉しない高さ位置T1まで、リフティングマグネット60を上昇させる。ただし、その高さ位置T1は、爪リンク機構31を閉じた場合に、立壁部42で囲まれた空間内にリフティングマグネット60および吊り金具200,200B~200Dが収まるものの、下支え部44および爪部35a,35bからは吊り金具200,200B~200Dが所定の高さだけ高い位置となっている。
【0099】
なお、上記のように吊り金具200,200B~200Dが上昇することで、吊り紐の弛みがある程度解消される。それにより、吊り紐の垂れ下がり状態が整えられ、吊り金具200,200B~200Dの下面に爪部35a,35bを挿入する隙間が確保される。それにより、吊り紐を傷つけることなく、吊り荷の上に置かれた吊り金具200,200B~200Dを吊り上げて、フレコンバッグ等の荷を吊り上げることができる。
【0100】
次に、チャッキング装置10を規定位置まで上昇させる(ステップS21)。かかるチャッキング装置10の上昇では、爪リンク機構31とリフティングマグネット60とが一体的に規定位置まで上昇する。なお、この規定位置とは、後述するように爪リンク機構31を閉じるための位置のことを指し、距離センサ90でフレコンバッグの上面からの距離を測定することで規定位置に到来したことが検出される。したがって、一対の下連結部34a,34bとフレコンバッグとの間には、十分な間隔が空けられた状態となると共に、フレコンバッグの吊り紐に適度な張力が掛かり、吊り金具200,200B~200Dの板状フック部232に確実に係合する状態となり、爪部35a,35bを吊り金具200,200B~200Dの下面の所定の位置に移動可能となる。
【0101】
上記のようにステップS21においてチャッキング装置10を規定位置まで上昇させた後に、または後述するステップS39において横行機構70の作動によってリフティングマグネット60が中心位置に移動した後に、爪リンク機構31を閉じる(ステップS22)。このとき、突き当て部材33a,33b同士が、突き当てられる状態となる。そのため、対向するガイド板部42b同士、および対向するガイド板部42c同士の間は突き合わされずに、隙間が形成される。そのため、フレコンバッグの吊り紐が吊り金具200,200B~200Dの下面より上方に浮き上っていても、開閉爪機構30で損傷させることなく、その後、チャッキング装置10を上昇させることでガイド板部42c端部に沿って吊り紐を下方に逃がすことができ、吊り紐の切断を防止することが可能となっている。
【0102】
なお、この閉じ動作を行うことで、リフティングマグネット60および吊り金具200,200B~200Dが、立壁部42で囲まれた空間内に配置される状態となる。
【0103】
ここで、第1構成例の吊り金具200では、対角方向に存在する板状フック部232にのみ吊り紐を掛けている場合(すなわち、2本の吊り紐が存在する場合には1本ずつ、4本の吊り紐が存在する場合には2本ずつ)には、爪部35a,35bは絞り部233の下側に位置する状態で、吊り金具200を支持する。すなわち、
図10における矢示A方向から、爪部35a,35bを差し込むようにする。このとき、爪部35a,35bが絞り部233の下側を支持すると共に、下支え部44が外周幅広部234の外縁側を支持する。
【0104】
一方、4本の吊り紐が存在する場合において、4つの板状フック部232に吊り紐を分散させて掛けている場合には、
図10における矢示B方向から、爪部35a,35bを差し込むようにする。この場合、中央部231と外周幅広部234を爪部35a,35bが支持すると共に、下支え部44が外周幅広部234の外縁側を支持する。
【0105】
次に、上記の立壁部42で囲まれた空間内において、リフティングマグネット60を下降させる(ステップS23)。ただし、この下降位置P2は、高さ位置T1よりは低いものの、下支え部44および爪部35a,35bに対し、吊り金具200,200B~200Dが所定の高さだけ高い位置となっている。
【0106】
次に、リフティングマグネット60を消磁する(ステップS24)。それにより、吊り金具200,200B~200Dは、リフティングマグネット60から落下するが、その吊り金具200,200B~200Dは、下支え部44および爪部35a,35bで受け止められる。
【0107】
ここで、吊り金具200,200B~200Dの回転方向における角度が、既定の角度から大幅にずれている場合には、ステップS22の爪リンク機構31の閉じ動作だけでは吊り金具200,200B~200Dの向きを修正することができず、一対のリンクアーム32a,32bの間で、吊り金具200,200B~200Dがガイド板部42a,42b,42cに引っかかった状態で、吊り金具200,200B~200Dが下支え部44および爪部35a,35bに向かって落下しないまたは落下して傾斜したままで水平に支持されないことが考えられる。
【0108】
このような、吊り金具200,200B~200Dの引っかかりを防止するために、ステップS25に示すような、爪リンク機構31の微動を行う。具体的には、爪リンク機構31を若干開いた後に、爪リンク機構31を再び閉じる。すると、爪リンク機構31が若干開いたときに吊り金具200,200B~200Dが下支え部44および爪部35a,35bに向かってガイド板部42a~42cに案内されながら落下する。その落下後に、爪リンク機構31が閉じる際に、吊り金具200,200B~200Dの外周部分は、立壁部42のガイド板部42a~42cに正規の位置と向きに矯正される。したがって、吊り金具200,200B~200Dは、下支え部44および爪部35a,35bによって下支持部230,230B~230Dの下面が支持されると共に、立壁部42(ガイド板部42a~42c)によってXY平面内でずれるのが防止される。
【0109】
ステップS25の後に、リフティングマグネット60を所定の退避位置まで上昇させる(ステップS26)。すなわち、リフティングマグネット60が吊り金具200,200B~200Dから十分に離間させられる。
【0110】
次に、チャッキング装置10を上昇させる(ステップS27)。すなわち、たとえば倉庫内のフレーム内部からフレコンバッグを吊り上げるべく、搬送装置1の巻上機である電気チェーンブロック12を作動させて、チャッキング装置10を上昇させる。この後に、制御部100は、走行装置11を作動させて、チャッキング装置10を所定の場所に移動させる。なお、チャッキング装置10の制御部100とは別に搬送装置1の図示しない制御部を設け、チャッキング装置10からの各ステップの完了信号を搬送装置1の制御部に出力するようにし、搬送装置1の制御部から指令信号を受信するようにしても良い。
【0111】
次に、
図14のステップS15において、制御部100が吊り金具200,200B~200Dの位置ずれが存在する(許容値以上である)ことを検出した場合(Yesの場合)の動作フローについて、
図16に基づいて説明する。この場合、ビジョンセンサ80での検出結果に基づいて、横行機構70を作動させる(ステップS31)。すなわち、リフティングマグネット60(および電磁石昇降機構50)が吊り金具200,200B~200Dの真上に来るように移動させる。
【0112】
上記の横行機構70の作動の途中、または移動の後に、吊り金具200,200B~200Dの位置ずれを検出するか否かの確認を行う(ステップS32)。この確認において、位置ずれが存在することが検出された場合には、ステップS31における横行機構70の作動を継続する。一方、位置ずれが存在することが検出された場合、次のステップS33へと進む。
【0113】
なお、ステップS33~ステップS38は、上述したステップS16~ステップS21と同様となっている。そのため、これらについての説明は省略する。
【0114】
また、ステップS38において、チャッキング装置10を規定位置まで上昇させた後に、横行機構70を移動させて、リフティングマグネット60(および電磁石昇降機構50)を、中心位置に復帰させる(ステップS39)。なお、この中心位置の検出は、図示を省略するリミットスイッチのオン・オフの検出により行う。それにより、爪リンク機構31に対し、リフティングマグネット60および電磁石昇降機構50が既定の中心位置に位置する状態となり、ステップS22の爪リンク機構31の閉じ動作を実行可能となる。なお、このステップS39の実行後は、上述したステップS22以降の動作を実行する。なお、ステップ19において、所定の回数または時間繰り返しても吸着が確認されなかった場合には、図示を省略したステップによってステップ14に戻り、ステップ14以降のステップを実施するようにしても良い。
【0115】
<荷下ろし動作について>
次に、フレコンバッグの荷下ろし動作について、
図17に基づいて説明する。この場合、チャッキング装置10が下降する準備が整っているのかを確認する(ステップS41)。ここで、下降する準備とは、たとえば、次のものが挙げられる。すなわち、図示を省略する爪リンク機構31の閉じ側のリミットスイッチがオンとなっているか、電磁石昇降機構50およびリフティングマグネット60が横行機構70における中心位置に到達しているか、リフティングマグネット60が上限位置に到達していることを検出する上限リミットスイッチがオンとなっているか等がある。しかしながら、チャッキング装置10が下降する準備は、これに限られるものではない。
【0116】
次に、チャッキング装置10を爪リンク機構31の開き位置まで下降させる(ステップS42)。なお、この開き位置までの下降は、距離センサ90での距離の測定によって行われる。ここで、上記の開き位置とは、フレコンバッグの着荷が完了し、さらにフレコンバッグに一対の下連結部34a,34bが所定だけ近接した位置となっている。すなわち、フレコンバッグを吊り上げている状態では、フレコンバッグと距離センサ90の距離は一定となっている。しかしながら、フレコンバッグが着荷すると、フレコンバッグのベルトが緩むので、チャッキング装置10および吊り金具200,200B~200Dがフレコンバッグに対して近接する。したがって、距離センサ90でフレコンバッグに対する距離を測定すれば、フレコンバッグの着荷が検出できると共に、上記の開き位置の測定も可能となる。
【0117】
次に、立壁部42で囲まれた空間内に存在する吊り金具200,200B~200Dに対し、リフティングマグネット60を下降させる(ステップS43)。なお、このリフティングマグネット60の下降位置は、図示を省略するリミットスイッチが吊り金具200,200B~200Dにより押し込まれることで、リフティングマグネット60が吊り金具200,200B~200Dの磁着板部210,210B~210Dに当接したことが検出される。
【0118】
上記のようにリフティングマグネット60が磁着板部210,210B~210Dに当接した場合、リフティングマグネット60の励磁を行う(ステップS44)。すると、リフティングマグネット60に対し磁着板部210,210B~210Dが磁着される。
【0119】
次に、リフティングマグネット60を所定の上昇位置まで上昇させる(ステップS45)。ここでいう所定の上昇位置とは、立壁部42で囲まれた空間内において吊り金具200,200B~200Dを持ち上げるための位置であるが、その持ち上げによって、吊り金具200,200B~200Dの下支持部230,230B~230Dが、下支え部44および爪部35a,35bから離間する。それにより、爪リンク機構31を開くことが可能となる。
【0120】
続いて、爪リンク機構31を開く(ステップS46)。それにより、リフティングマグネット60で磁着されている吊り金具200,200B~200Dを、フレコンバッグに向けて降ろすことが可能となる。
【0121】
次に、フレコンバッグに向け、リフティングマグネット60を所定の下降位置まで下降させる(ステップS47)。ただし、このリフティングマグネット60の下降位置は、フレコンバッグに吊り金具200,200B~200Dが接触する位置ではなく、それよりも若干上側(Z1側)となっている。なお、上述した距離センサ90での測定によって、上記の所定の下降位置の検出がなされる。
【0122】
次に、チャッキング装置10を所定の下降位置まで下降させる(ステップS48)。なお、上述した距離センサ90での測定によって、チャッキング装置10の下降位置の検出がなされるようにしても良いし、チェーンC1の緩みを検知する図示しないリミットスイッチの作動により所定の位置を判断するようにしても良い。ただし、このステップS48は、省略するようにしても良い。
【0123】
この後に、リフティングマグネット60を消磁する(ステップS49)。それにより、リフティングマグネット60から吊り金具200,200B~200Dの吸着が解かれ、フレコンバッグの中央に、吊り金具200,200B~200Dを置くことができる。すなわち、吊り金具200,200B~200Dを保持していた爪リンク機構31を開くことで吊り金具200,200B~200Dをフレコンバッグの上面中央に載置しようとした場合、吊り紐の張力の不均衡や吊り金具200,200B~200Dと爪リンク機構31との摩擦力の不均衡や緩んだ吊り紐が爪リンク機構31に引っかかるなどして、目的位置に吊り金具200,200B~200Dを落下させるのは不確実な動作となる。したがって、リフティングマグネット60のみで吊り金具200,200B~200Dを保持し、フレコンバッグの上面中心部に置いた状態でリフティングマグネット60を消磁するのが確実である。リフティングマグネット60を消磁するのはフレコンバッグの上面に吊り金具200,200B~200Dを置いた後が制御も簡単で確実であるが、吊り金具200,200B~200Dを置く直前でも良い。
【0124】
次に、チャッキング装置10を上昇させる(ステップS50)。リフティングマグネット60から吊り金具200,200B~200Dが釈放されたことを確認し、荷下ろし動作は完了する。続いて、倉庫内のフレーム内部への、フレコンバッグの搬送が終了したので、チャッキング装置10は次のフレコンバッグの搬送に備えるか、または所定の退避位置へと移動させる。
【0125】
<効果について>
以上のように、複数の吊り紐を掛けて荷を吊り上げる際に、爪状部材によって下側が支持される吊り金具200,200B~200Dにおいては、中央部231,231B~231Dと、中央部231,231B~231Dの一部として、または中央部231,231B~231Dとは別体的な部分として設けられると共に、リフティングマグネット60(吸着手段)により吸着される磁着板部210,210B~210D(被吸着部)と、中央部231,231B~231Dの一方側、および中央部231,231B~231Dを挟んで一方側と反対側の他方側にそれぞれ配置されている板状フック部232,232B~232Dと、を備えている。そして、板状フック部232,232B~232Dには、吊り紐を位置させる絞り部233,233B~233Dと、絞り部233,233B~233Dよりも幅広の外周幅広部234,234B~234Dとが設けられていて、中央部231,231B~231Dは絞り部233,233B~233Dよりも幅広に設けられている。
【0126】
このように構成する場合には、中央部231,231B~231Dを挟んで、一方側と他方側に、それぞれ吊り紐を掛ける板状フック部232,232B~232Dが配置されていることで、フレコンバッグの吊り紐が、シャックルのように1か所に纏めた状態にならずに、一方側の板状フック部232,232B~232Dと、他方側の板状フック部232,232B~232Dとで、分散して保持させることができる。それにより、吊り金具200,200B~200Dを保持する爪部35a,35bにおいて、吊り金具200,200B~200Dを保持する部分を分散させたり、吊り金具200,200B~200Dの下面側で爪部35a,35bを差し込むスペースを確保することができ、それによって爪部35a,35bと吊り紐との間の干渉を低減させることができる。そのため、吊り紐が損傷するのを防止することができる。
【0127】
また、外周幅広部234,234B~234Dが絞り部233,233B~233Dよりも幅広に設けられていることで、吊り紐が外周幅広部234,234B~234Dよりも外側に向かって抜けようとするのを防止可能となる。また、中央部231,231B~231Dは絞り部233,233B~233Dよりも幅広に設けられていることで、吊り金具200,200B~200Dを吊り上げるために吸着するためのスペースを確保することができる。さらに、外周幅広部234,234B~234Dを有する板状フック232,232B~232Dと、幅広の中央部231,231B~231Dにより、吊り金具200,200B~200Dを吊り荷の上面に水平に安定して載置することが可能となっている。しかも、磁着板部210,210B~210D(被吸着部)を吸着して吊り上げた際に、吊り金具200,200B~200Dを水平に吊り下げることができるので、爪部35a,35bを吊り金具200,200B~200Dの下側に差し込む際に、吊り紐を損傷することなく、正規の位置に爪部35a,35bを差し込むことができる。また、フレコンバッグ以外の荷を繊維スリング等で吊り上げる場合は、スリング先端のアイ部は小さい場合が多く、そのため、吊り金具200,200B~200Dにこのスリングのアイ部を吊りかけた場合、爪部35a,35bを絞り部233,233B~233Dの下面に差し込むのが困難となる。しかしこの場合においても、中央部231,231B~231Dを幅広に設けていることで、
図12に示す様に爪部35a,35bを側面から差し込み中央部231、231B~231Dの下面を、爪部35a,35b間にスリングの傷つき防止のために設けた隙間があっても、爪部35a,35bで確実に支持し把持できる。更にまた、幅広の中央部231,231B~231Dは、吊り紐の磁着板部210,210B(被吸着部および吸着板部)への移動を規制する規制手段を構成し、磁着板部210,210B(被吸着部および吸着板部)をリフティングマグネット60(吸着手段)の吸着面に密着して吸着することが出来る。
【0128】
また、上述の実施の形態では、第1構成例に係る吊り金具200および第4構成例に係る吊り金具200Dのように、板状フック部232,232Dは、円周方向において90度間隔で4つ設けられる構成とすることができる。
【0129】
このような構成とする場合には、4つの板状フック部232,232Dに吊り紐をそれぞれ掛けることができる。そのため、4つの吊り紐のそれぞれが重ねられずに、中央部231,231Dの周方向において分散して保持させることができる。それにより、爪部35a,35bによって吊り金具200,200Dを保持する部分の面積を広くすることができる。このため、吊り金具200,200Dを保持する荷重を分散させたり、吊り金具200,200Dの下面側で爪部35a,35bを差し込むスペースを大きく確保することができ、それによって爪部35a,35bと吊り紐との間の干渉を一層低減させることができる。また、吊り金具200,200Dの下面の幅が、どの方向にも広く設けられるので、荷の上面に安定して水平に載置することが出来る。これらのため、吊り紐が損傷するのを一層防止することができる。
【0130】
また、本実施の形態の第1構成例の吊り金具200および第2構成例の吊り金具200Bでは、中央部231,231B,231Cに対して、吊り紐の移動を規制するスペーサ部220,220B,220Cおよび磁着板部210,210B,210C(吊り紐規制手段)が設けられている。
【0131】
このように構成する場合には、吊り金具200,200Bに吊り紐を吊りかけた後に、吊り金具200,200Bを荷の上面に載置する際などに、スペーサ部220,220Bによって、吊り紐の中央部方向へ移動するのを規制することができるので、リフティングマグネット60等の吸着手段での吊り金具200,200Bの吸着の際に、吊り紐が吸着手段と干渉するのを防止することができる。また、上記のように、吊り紐が吸着手段と干渉するのを防止することで、吊り金具200,200Bの吸着状態が安定するので、吊り金具200,200Bを水平に吊り上げることができる。なお、スペーサ部220,220Bおよび磁着板部210,210Bは単独またはその組み合わせによって吊り紐規制手段を構成する。
【0132】
また、本実施の形態では、吊り紐規制手段は、中央部231,231Bの法線方向である高さ方向に突出するスペーサ部220,220Bと、スペーサ部220,220Bに連結され、一方側および他方側の板状フック部232,232Bが形成する面に平行に設けられている板状の磁着板部210,210B(被吸着部および吸着板部)とを有している。
【0133】
このように構成する場合には、磁着板部210,210B(被吸着部および吸着板部)と、中央部231,231Bおよび板状フック部232,232Bとで、2段状の構成とすることができる。このため、スペーサ部220,220Bおよび磁着板部210,210B(被吸着部および吸着板部)によって吊り紐の移動を規制しているので、リフティングマグネット60等の吸着手段によって吊り金具200,200Bを吸着する際に、吊り紐が吸着手段と干渉するのを防止することができる。したがって、吊り金具200,200Bの吸着状態を安定化させ、それによって吊り金具200,200Bを水平に吊り上げることができる。
【0134】
ここで、磁着板部210,210B(被吸着部および吸着板部)を、中央部231,231Bが兼用する場合には、吸着手段での吸着に必要な面積を確保するために、吊り金具200,200Bの径方向におけるサイズが大きくなり、また径方向におけるサイズが大きくなることで強度アップも必要になる。しかしながら、上記のように2段状の構造とすることで、吊り金具200,200Bの径方向のサイズを小さくすることができると共に、上記のような強度アップをする必要もなくなる。
【0135】
また、本実施の形態では、磁着板部210,210B(被吸着部および吸着板部)の外周部は、スペーサ部220,220Bの外周部より張り出している。
【0136】
このように構成する場合には、磁着板部210,210B(被吸着部および吸着板部)の外周部がスペーサ部220,220Bの外周部よりも張り出すことで、磁着板部210,210B(被吸着部および吸着板部)の面積を大きくすることができる。それにより、吸着手段により吸着される面積を大きくすることが可能となる。また、磁着板部210,210B(被吸着部および吸着板部)の外周部がスペーサ部220,220Bの外周部よりも張り出すことで、板状フック部232,232Bに掛けられた吊り紐が上方に移動しようとした際に、磁着板部210,210B(被吸着部および吸着板部)の下面に衝突する。それにより、吊り紐が板状フック部232,232Bから抜けようとするのを防止可能となる。
【0137】
また、本実施の形態では、磁着板部210,210B(被吸着部および吸着板部)には、外部の識別装置で識別可能なセンサ用マーク211,211B(識別手段)が設けられている。このような構成とすることで、センサ用マーク211,211B(識別手段)をフレコンバッグに載置された吊り金具の位置を、ビジョンセンサ80を始めとするカメラ等の外部の識別装置によって認識することが可能となる。
【0138】
また、本実施の形態の吊り紐で吊り上げる荷をチャッキングするチャッキング装置10においては、本体フレーム20(本体部)と、中央部231,231~231Dと、中央部231,231~231Dの一部として、または中央部231,231~231Dとは別体的な部分として設けられると共に、リフティングマグネット60(吸着手段)により吸着される磁着板部210,210B~210D(被吸着部)と、中央部231,231~231Dの一方側、および中央部231,231~231Dを挟んで一方側と反対側の他方側にそれぞれ配置されている板状フック部232,232B~232Dとを有する吊り金具200,200B~200Dと、吊り金具200,200B~200Dを吸着するリフティングマグネット60(吸着手段)と、本体フレーム20(本体部)に取り付けられる開閉用直動装置38a,38b(第1アクチュエータ)および爪部35a,35bを備え、当該開閉用直動装置38a,38b(第1アクチュエータ)の作動により爪部35a,35bを開閉することでリフティングマグネット60(吸着手段)で吸着された吊り金具200,200B~200Dの把持および把持解除を行う開閉爪機構30と、を備えている。そして、爪部35a,35bは、それぞれの板状フック部232,232B~232Dの下面側を支持しつつ吊り金具200,200B~200Dを把持する。また、板状フック部232,232B~232Dには、吊り紐を位置させる絞り部233,233B~233Dと、絞り部233,233B~233Dよりも幅広の外周幅広部234,234B~234Dとが設けられていて、中央部231,231B~231Dは絞り部233,233B~233Dよりも幅広に設けられている。
【0139】
このように構成する場合には、吊り金具200,200B~200Dにおいては、中央部231,231B~231Dを挟んで、一方側と他方側に、それぞれ吊り紐を掛ける板状フック部232,232B~232Dが配置されていることで、フレコンバッグの吊り紐が、シャックルのように1か所に纏めた状態にならずに、一方側の板状フック部232,232B~232Dと、他方側の板状フック部232,232B~232Dとで、分散して保持させることができる。それにより、吊り金具200,200B~200Dを保持する爪部35a,35bにおいて、吊り金具200,200B~200Dを保持する部分を分散させたり、吊り金具200,200B~200Dの下面側で爪部35a,35bを差し込むスペースを確保することができ、それによって爪部35a,35bと吊り紐との間の干渉を低減させることができる。そのため、吊り紐が損傷するのを防止することができる。
【0140】
また、外周幅広部234,234B~234Dが絞り部233,233B~233Dよりも幅広に設けられていることで、吊り紐が外周幅広部234,234B~234Dよりも外側に向かって抜けようとするのを防止可能となる。また、中央部231,231B~231Dは絞り部233,233B~233Dよりも幅広に設けられていることで、吊り金具200,200B~200Dを吊り上げるために吸着するためのスペースを確保することができる。さらに、吊り金具200,200B~200Dを吊り荷の上面に水平に安定して載置することが可能で、しかも、吊り金具200,200B~200Dを吸着して吊り上げた際に、吊り金具200,200B~200Dを水平に吊り下げることができるので、爪部35a,35bを吊り金具200,200B~200Dの下側に差し込む際に、吊り紐を損傷することなく、正規の位置に爪部35a,35bを差し込むことができる。また、中央部231,231B~231Dを幅広に設けていることで、吊り金具200,200B~200Dに吊りかける吊り紐のアイ部が小さくなる。そのため、爪部35a,35bを絞り部233,233B~233Dの下面に差し込むのができない場合に、
図12に示す様に爪部35a,35bを側面から差し込み中央部231、231B~231Dの下面を、爪部35a,35b間に隙間があっても確実に支持し把持できる。更にまた、吊り紐の中央部231,231B~231Dへの移動を規制することが出来る。
【0141】
また、本実施の形態では、開閉爪機構30の下方側には姿勢矯正機構40が設けられていて、姿勢矯正機構40は、開閉爪機構30と共に開閉する一対のガイド部材41a,41b備えている。そして、それぞれのガイド部材41a,41bには立壁部42が設けられていて、当該立壁部42に吊り金具200,200B~200Dの板状フック部232,232B~232Dの外縁がガイドされることで吊り金具200,200B~200Dの回転方向における姿勢が矯正される。
【0142】
このように構成する場合には、立壁部42への吊り金具200,200B~200Dの板状フック部232,232B~232Dの外縁がガイドされることで、一対のガイド部材41a,41bが閉じる際に、吊り金具200,200B~200Dの回転方向における向きを矯正することができる。
【0143】
また、本実施の形態では、吸着手段は電磁石を用いたリフティングマグネット60であると共に、吊り金具200,200B~200Dはリフティングマグネット60によって磁着される磁性材から構成される。
【0144】
このように構成する場合には、リフティングマグネット60よって吊り金具200,200B~200Dを磁着することが可能となる。
【0145】
<変形例>
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0146】
上述の実施の形態では、予め吊り紐(またはベルト)を備えた荷(搬送容器)としてフレコンバッグを例に説明しているが、吊り上げる荷または搬送容器は、フレコンバッグに限らない。また、複数の吊り紐は、その先端にアイ部を備えた、主に繊維製のマテハン用のスリングであっても良い。また、荷または搬送容器に予め吊り紐が備えられたものを例示しているが、吊り金具に吊り紐またはマテハン用のスリングを吊りかける際に、吊り紐またはスリングを荷または搬送容器に取り付けるようにしても良い。また、フレコンバッグは、ベルトを備えるものとしている。しかしながら、フレコンバッグは、ひもを備えるものでも良い。
【0147】
また、上述の実施の形態では、吸着手段としてリフティングマグネット60は電磁石として説明している。しかしながら、吸着手段は、電磁石を用いたリフティングマグネット60に限られるものではない。吸着手段としては、たとえば、永久磁石(吸着する磁力をオン・オフできるものが好ましいが通常の永久磁石でも良い)、バキューム式の吸着装置を吸着手段として用いても良い。
【0148】
また、上述の実施の形態では、開閉用直動装置38a,38bは鉛直方向に駆動することで、連結軸S2,S3も鉛直方向に移動する構成となっている。しかしながら、開閉用直動装置38a,38bが水平方向に摺動すると共に、連結軸S2,S3も水平方向に移動することで、爪リンク機構31が水平方向に開閉する構成を採用しても良い。
【0149】
また、上述の実施の形態において、接続リンク37a,37bを省略する構成を採用しても良い。この場合には、支持プレート23付近(本体フレーム20の下端)に水平のガイドレールを配置し、リンクアーム32a,32bの上端に取り付けられている連結軸S3の両端にガイドローラを設けて、ガイドレールで支持するようにすることができる。
【0150】
なお、上記の連結軸S3に代えてガイドローラを設ける構成では、上述した開閉用直動装置38a,38bで爪リンク機構31を開閉する構成としても良いが、ラック&ピニオン機構や、スクリューネジ機構によって、爪リンク機構31を開閉するようにしても良い。なお、スクリューネジ機構では、長手方向に沿って異なる部位に右ネジと左ネジとが形成された1つのスクリューネジを用いて、爪リンク機構31の開閉を行うようにしても良く、2つのスクリューネジを用いて、爪リンク機構31の開閉を行うようにしても良い。ラック&ピニオン機構や、スクリューネジ機構によって、爪リンク機構31が開閉する構成を採用する場合、下連結部34a,34bは、ガイドローラの移動によって水平に移動するように構成することができる。
【0151】
なお、上述の実施の形態のように、接続リンク37a,37bを設ける構成を採用する場合においても、上述した開閉用直動装置38a,38bで爪リンク機構31を開閉する構成に代えて、ラック&ピニオン機構や、スクリューネジ機構によって、爪リンク機構31を開閉するようにしても良い。
【0152】
また、上述の実施の形態では、電磁石昇降機構50は昇降用直動装置53を備え、この昇降用直動装置53によってリフティングマグネット60を昇降させるようにしている。しかしながら、この昇降用直動装置53に代えて、たとえばチェーンを巻き上げ可能な巻上装置を設けるようにしても良い。この場合、巻上装置は1台だけ設ける構成としても良く、チェーンC1の本数に対応させて複数台設けるようにしても良い。
【0153】
また、上述の実施の形態では、連結軸S2は、一対の開閉用直動装置38a,38bによって鉛直方向に移動させられることで、爪リンク機構31が開閉する構成となっている。しかしながら、連結軸S2にチェーンを連結し、そのチェーンを巻上機で巻き上げたり巻き下げたりすることで、爪リンク機構31を開閉させる構成を採用しても良い。
【0154】
また、上述の実施の形態では、電磁石昇降機構50を設けているが、電磁石昇降機構50を省略する構成を採用しても良い。この場合には、リンクアーム32a,32bを、
図6および
図7に示す構成よりも延長することで、リンクアーム32a,32bが開くように回動したときに、下連結部34a,34bよりもリフティングマグネット60が下方に飛び出すように構成することができる。また、リンクアーム32a,32bの長さを、
図6および
図7に示す構成よりも長くすることで、フレコンバッグの上面から浮き上がっている吊り紐に、リンクアーム32a,32bが引っかかってしまうリスクを低減することができる。
【0155】
なお、上記のように、チャッキング装置10が電磁石昇降機構50を省略する構成を採用する場合、リフティングマグネット60の昇降を行わないようにしても良い。
【0156】
また、上述の実施の形態において、吊り金具200、200B~200Dの下支持部230,230B~230Dは平板状としている。しかしながら、各板状フック部232,232B~232D、特に絞り部233,233B~233Dを部分的に湾曲した板状とし、強度アップと吊り紐の保護強化を図るようにしても良い。その際、下支え部34a1,34b1で支持される板状フック部232,232B~232Dの外縁下端および爪部35a,35bで支持する吊り金具200,200B~200Dの各下面が同一平面を形成するようにすると良く、磁着板部210,210B~210Dの上面もこの平面と平行に位置するようにすると良い。これによって、吊り金具200、200B~200Dをリフティングマグネット60で水平に吊り上げた後に、吊り紐を損傷することなく開閉爪機構30で吊り金具200,200B~200Dを確実に水平に把持することができる。
【0157】
また、上述の実施の形態において、磁着板部210,210B~210Dは、被吸着部に対応しているが、磁着板部210,210B~210Dを有しない構成では、スペーサ部220,220B~220Dと中央部231,231B~231Dの少なくとも一方が被吸着部に対応するものとしても良い。
【符号の説明】
【0158】
1…搬送装置、10…チャッキング装置、11…走行装置、12…電気チェーンブロック(昇降装置に対応)、20…本体フレーム(本体部に対応)、21a,21b…フレーム板、22…連結バー、23…支持プレート、23a…支持プレート、23b…支持プレート、24…上部連結部、30…開閉爪機構、31a,31b…爪リンク機構、32a,32b…リンクアーム、33a,33b…突き当て部材(閉位置規制部材に対応)、34a,34b…下連結部、34a1,34b1…下支え部、35a,35b…爪部、36a,36b…ガイド部材支持部、37a,37b…接続リンク、38a,38b…開閉用直動装置(第1アクチュエータに対応)、39a,39b…ガイドカム、40…姿勢矯正機構、41a…ガイド部材、41b…ガイド部材、42…立壁部、42a…ガイド板部、42b…ガイド板部、42c…ガイド板部、43…固定用フランジ部、44…下支え部、50…電磁石昇降機構50(昇降機構に対応)、51…磁石連結部材、52…シリンダ連結部材、53…昇降用直動装置53(第2アクチュエータに対応)、53a…昇降用シリンダ、53b…連結ロッド、60…リフティングマグネット、60a…磁着面、70…横行機構(水平方向移動機構に対応)、71…横行用モータ、72…駆動伝達機構、73…ボールねじ、74…連結ナット、80…ビジョンセンサ、90…距離センサ、100…制御部、200,200B~200D…吊り金具、210,210B~210D…磁着板部(被吸着部および吸着板部に対応)、211,211B,211C…センサ用マーク、220,220B~220D…スペーサ部、230,230B~230D…下支持部、231,231B~231D…中央部、232,232B~232D…板状フック部、233,233B~233D…絞り部、234,234B~234D…外周幅広部、235,235B~235D…返し部、341a~343a,341b~343b…補強リブ、381…シリンダ、382…連結ロッド、391a,391b…ガイド溝、C1…チェーン、C2…チェーン、P1…隙間、P2…下降位置、R1…走行用レール、S1~S3…連結軸