(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028465
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】プーリ移動装置及びベルト調整装置
(51)【国際特許分類】
B65G 23/44 20060101AFI20220208BHJP
【FI】
B65G23/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020131880
(22)【出願日】2020-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520290600
【氏名又は名称】合同会社ハギヤマ設計
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】特許業務法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】芳野 真明
(72)【発明者】
【氏名】萩山 大樹
【テーマコード(参考)】
3F026
【Fターム(参考)】
3F026AA04
(57)【要約】
【課題】大型化を抑制して、ベルトの張力を調整しつつ、ベルトの蛇行を調整することができる技術を提供する。
【解決手段】搬送物を搬送するコンベヤベルトが掛けられ、前記コンベヤベルトの搬送方向に移動自在なテールプーリに接続されるプーリ移動装置2であって、軸方向に沿って延び、かつ、軸方向に移動自在な軸状部材であって、一端部が、テールプーリの回転軸部の端部に接続される接続部11と、軸方向に沿った接続部11の中心軸を中心に回転して、軸方向において接続部11を往来させる第1移動部12と、中心軸を中心に回転して、軸方向において、一端部が接続部11の他端部側へ向かうように、接続部11を移動させる第2移動部14と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を搬送するコンベヤベルトが掛けられ、前記コンベヤベルトの搬送方向に移動自在なプーリに接続されるプーリ移動装置であって、
第1方向に沿って延び、かつ、前記第1方向に移動自在な軸状部材であって、一端部が、前記プーリの回転軸部の端部に接続される接続部と、
前記第1方向に沿った前記接続部の中心軸を中心に回転して、前記第1方向において前記接続部を往来させる第1移動部と、
前記中心軸を中心に回転して、前記第1方向において、前記一端部が前記接続部の他端部側へ向かうように、前記接続部を移動させる第2移動部と、
を備える、プーリ移動装置。
【請求項2】
前記第1方向に沿って延びる円筒状であって、内側に前記接続部が挿入され、前記接続部を前記第1方向に沿って移動自在に支持する円筒支持部と、
前記プーリ移動装置を装着する架台に固定され、前記円筒支持部の外周面に位置し、前記円筒支持部を前記第1方向に沿って移動自在に支持する固定部と、
を備え、
前記第2移動部は、
前記第1方向において、前記固定部を基準として、前記プーリの反対側となる位置に配置され、前記円筒支持部の外周面に対してねじ作用により嵌め合わさる移動用ネジ部と、
前記第1方向において、前記移動用ネジ部と、前記固定部との間に設けられたバネと、
を有し、
前記移動用ネジ部は、回転してねじ作用により、前記バネを圧縮しつつ前記固定部に近づく、
請求項1に記載のプーリ移動装置。
【請求項3】
前記接続部は、前記第1方向に沿って延びた円筒状であり、
前記第1移動部は、前記第1方向に沿って延びた軸状であって、前記接続部の内側に挿入され、前記接続部とねじ作用により嵌め合わされ、
前記接続部は、前記ねじ作用により、前記第1方向に沿って移動する、
請求項2に記載のプーリ移動装置。
【請求項4】
前記円筒支持部が前記固定部から抜け落ちることを防止する防止部、
を備える、請求項2又は請求項3に記載のプーリ移動装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載のプーリ移動装置が、前記プーリの両端部それぞれに設けられる、ベルト調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プーリ移動装置及びベルト調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベヤは、一般的に、無端状の搬送ベルトが、複数のプーリによりループ状に支持されている。複数のプーリの何れかを回転駆動することでベルトが回転し、ベルトに積載された搬送物が搬送されるようになっている。複数のプーリにより支持されるベルトは、常に張力が付与されるようになっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、鉱石又は石炭等のばら物を船の船倉から連続的に荷揚げする装置であって、コンベヤの無端ベルトの張力を自動調整できる発明が開示されている。特許文献1に記載の技術は、無端ベルトが掛けられた移動プーリを無端ベルトの張力が変化する方向に移動可能とし、無端ベルトの張力変化に応じて、油圧シリンダで移動プーリを移動させる構成としている。これにより、無端ベルトの張力を調整することが可能となり、無端ベルトには常に張力が付与された状態にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のようにプーリを移動させた場合、プーリの回転軸を平行に移動しないと、ベルトが蛇行するおそれがある。ベルトが蛇行すると、プーリから脱落し、その都度、装置を停止するなどの処置が必要となる。このため、蛇行を調整する装置を別途設ける必要があるが、特許文献1のような張力調整装置に、蛇行を調整する装置を単に組み合わせただけでは、装置が大型化してしまう。
【0006】
そこで、本発明の目的の一つは、大型化を抑制して、ベルトの張力を調整しつつ、ベルトの蛇行を調整することができるプーリ移動装置、及び、それを備えたプーリ移動装置及びベルト調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、搬送物を搬送するコンベヤベルトが掛けられ、前記コンベヤベルトの搬送方向に移動自在なプーリに接続されるプーリ移動装置であって、
第1方向に沿って延び、かつ、前記第1方向に移動自在な軸状部材であって、一端部が、前記プーリの回転軸部の端部に接続される接続部と、
前記第1方向に沿った前記接続部の中心軸を中心に回転して、前記第1方向において前記接続部を往来させる第1移動部と、
前記中心軸を中心に回転して、前記第1方向において、前記一端部が前記接続部の他端部側へ向かうように、前記接続部を移動させる第2移動部と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、大型化を抑制して、ベルトの張力を調整しつつ、ベルトの蛇行を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、ベルト調整装置の使用状態を示す図である。
【
図2】
図2は、ベルト調整装置の使用状態を示す図である。
【
図3】
図3は、テールプーリの回転軸を傾斜させた状態を示す図である。
【
図4】
図4は、プーリ移動装置の全体図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明における実施形態に係るプーリ移動装置は、例えば、スタッカーのテールプーリの回転軸部の一端部に接続される。テールプーリの回転軸部の両端部それぞれに、プーリ移動装置が接続され、一対のプーリ移動装置で、本発明における実施形態に係るベルト調整装置を構成している。ベルト調整装置は、テールプーリに掛けられたコンベヤベルトに張力を付与し、また、そのコンベヤベルトの蛇行を調整するための装置である。
【0011】
図1及び
図2は、ベルト調整装置1の使用状態を示す図である。
図1は、テールプーリ100の回転軸方向から視た図である。
図2は、テールプーリ100の上面から視た図である。なお、
図2では、コンベヤベルト101は破線で示している。
【0012】
テールプーリ100は、その回転軸部100Aの両端部が一対のプランマブロック105により保持されている。一対のプランマブロック105は、コンベヤベルト101の張力が変化する方向、換言すれば、コンベヤベルト101の搬送方向に沿って移動可能に設けられている。
【0013】
搬送方向において、プランマブロック105を基準に、コンベヤベルト101とは反対側の位置には、調整装置用架台110が設置されている。ベルト調整装置1は、この調整装置用架台110に固定される。
【0014】
ベルト調整装置1は、一対のプランマブロック105それぞれに接続される、一対のプーリ移動装置2を備えている。ベルト調整装置1は、コンベヤベルト101に張力を付与する張力調整部と、コンベヤベルト101の蛇行を調整する蛇行調整部とを備えている。
【0015】
張力調整部は、プーリ移動装置2により、テールプーリ100の回転軸部100Aを、搬送方向においてコンベヤベルト101から離れる方向(以下、離間方向と言う)へ移動させることで、テールプーリ100を引っ張る。より詳しくは、プーリ移動装置2は、後述するバネ14Bの力により、プランマブロック105を引っ張る。これにより、テールプーリ100がベルト調整装置1側へ引っ張られ、コンベヤベルト101に張力が付与される。
【0016】
蛇行調整部は、プーリ移動装置2により、テールプーリ100の回転軸部100Aの端部を搬送方向にそって往来させる。テールプーリ100の回転軸部100Aの両端部それぞれを、搬送方向に移動させることで、テールプーリ100の回転軸部100Aを搬送方向に対して傾斜させる。
【0017】
図3は、テールプーリ100の回転軸部100Aを、傾斜させた状態を示す図である。
図3では、コンベヤベルト101の図示は省略している。また、
図3の実線P1は、搬送方向に直交する方向を示し、一点鎖線P2は、回転軸部100Aの軸に沿った方向を示す。
図3に示すように、一対のプランマブロック105の一方のみを、一のプーリ移動装置2で移動させることで、テールプーリ100の回転軸部100Aを、搬送方向に対して傾斜させることができる。コンベヤベルト101が蛇行した場合に、テールプーリ100の回転軸部100Aの傾斜を調整することで、コンベヤベルト101の蛇行を調整することができる。
【0018】
以下に、プーリ移動装置2の具体的構成について詳述する。
【0019】
図4は、プーリ移動装置2の全体図を示す図である。
図5は、
図4のV-V線における断面図である。
【0020】
プーリ移動装置2は、円筒形状の円筒支持部10を備えている。プーリ移動装置2は、円筒支持部10の円筒中心軸が、コンベヤベルト101の搬送方向と略一致する姿勢で、調整装置用架台110に固定されて使用される。以下、円筒支持部10の円筒中心軸に沿った方向を「軸方向」と言い、本発明の第1方向に相当する。円筒支持部10は、調整装置用架台110に固定するための部材である、後述の固定部13により、軸方向に移動自在に支持されている。
【0021】
プーリ移動装置2は、プランマブロック105に接続される接続部11を備えている。接続部11は、軸方向に沿って延びた筒状であって、円筒支持部10の内側に配置され、円筒支持部10に対して相対的に、軸方向に移動自在、かつ、円筒中心軸を中心とする回転が不可となっている。なお、筒状の接続部11の内側には、後述の第1移動部12が位置している。
【0022】
接続部11は、その一方端部が円筒支持部10から突出するように設けられている。その一方端部には、プランマブロック105が接続される。接続部11の他方端部には連結部11Aが設けられている。連結部11Aは筒状であって、その内周面には、後述の第1移動部12のネジ溝と嵌め合わされるネジ溝が設けられている。
【0023】
プーリ移動装置2は、接続部11を軸方向に沿って往来させる、第1移動部12を備えている。
図5では、図面の視認上、第1移動部12は断面で表していない。第1移動部12は円柱形状であって、円筒支持部10の第2端部に設けられる保持部12Aに保持されている。第1移動部12は、保持部12Aによって、円筒支持部10の円筒中心軸を中心に、円筒支持部10に対して回転自在に保持されている。第1移動部12は、その一端部が保持部12Aから突出した状態で保持されている。作業者は、この突出した一端部部分を回転させることで、第1移動部12全体を回転させることができるようになっている。
【0024】
第1移動部12の外周面にはネジ溝が設けられている。第1移動部12は、そのネジ溝と、連結部11Aの内周面に設けられたネジ溝とが噛み合わさって、連結部11Aとネジ作用により嵌め合わされている。
【0025】
接続部11は、円筒支持部10に対して固定されておらず、円筒支持部10に対して相対的に、軸方向に移動自在、かつ、円筒中心軸を中心とする回転が不可となっている。このため、第1移動部12が回転すると、ネジ作用により、接続部11は、軸方向に移動して、接続部11は、円筒支持部10に対して伸縮するようになっている。接続部11を伸縮させることで、接続部11が接続されるプランマブロック105は搬送方向に対して移動するようになる。
【0026】
プーリ移動装置2は、円筒支持部10を軸方向に移動自在に支持する固定部13を備えている。固定部13は、調整装置用架台110にプーリ移動装置2を固定するための部材であって、外周面にフランジが設けられた筒状部材である。固定部13は、円筒支持部10に対して固定されておらず、円筒支持部10の外周面に沿って軸方向に移動自在となっている。また、固定部13は、そのフランジが、調整装置用架台110に固定されるようになっている。つまり、プーリ移動装置2の使用時において、固定部13は、調整装置用架台110に対しては相対的に移動せず、円筒支持部10は、固定部13及び調整装置用架台110に対して相対的に軸方向に移動するようになっている。
【0027】
プーリ移動装置2は、第2移動部14を備えている。第2移動部14は、プーリ移動装置2の使用時において、プランマブロック105に接続された接続部11を、離間方向へ移動させる。第2移動部14は、移動用ネジ部14Aと、バネ14Bとを有している。
【0028】
移動用ネジ部14Aは、円筒支持部10の外周面において、固定部13と軸方向に距離を置いて設けられている。より詳しくは、移動用ネジ部14Aは、軸方向において、固定部13を基準として、テールプーリ100の反対側となる位置に配置される。以下の説明では、固定部13が設けられる側の円筒支持部10の端部を第1端部と言い、第2移動部14が設けられる側の円筒支持部10の端部を第2端部と言う。円筒支持部10の外周面、及び、移動用ネジ部14Aの内周面にはそれぞれネジ溝が設けられている。移動用ネジ部14Aは、ネジ作用により円筒支持部10と連結している。これにより、移動用ネジ部14Aは、回転することで、円筒支持部10の外周面に沿って軸方向に移動するようになっている。
【0029】
バネ14Bは、固定部13と移動用ネジ部14Aとの間に設けられたスプリングバネである。バネ14Bは、移動用ネジ部14Aが固定部13側へ移動して収縮すると、固定部13及び移動用ネジ部14Aを、互いに反対方向へ、弾性力により押圧するように設けられている。プーリ移動装置2の使用時では、固定部13が調整装置用架台110に固定されている。このため、移動用ネジ部14Aが、バネ14Bからの押圧力により、固定部13から離れる方向、つまり、離間方向へ移動する。
【0030】
移動用ネジ部14Aの移動に伴い、円筒支持部10及び接続部11も離間方向へ移動する。その結果、接続部11が、プランマブロック105、つまり、テールプーリ100をプーリ移動装置2側へ引っ張るようになる。このように、テールプーリ100をバネ14Bの弾性力によりプーリ移動装置2側へ引っ張ることで、テールプーリ100に掛かるコンベヤベルト101に張力を付与するようになっている。
【0031】
なお、固定部13と、円筒支持部10の第1端部との間には、ストッパ(防止部)15が設けられている。ストッパ15は、円筒支持部10に固定されている。ストッパ15は、バネ14Bの押圧力により移動用ネジ部14Aが移動したときに、円筒支持部10が固定部13から抜け落ちることを防止する。
【0032】
以下に、以上のように構成されたプーリ移動装置2を備えるベルト調整装置1における、コンベヤベルトへ張力を付与する際の動作と、コンベヤベルトの蛇行を調整する際の動作とをそれぞれを説明する。
【0033】
ベルト調整装置1の使用時では、プーリ移動装置2の固定部13が調整装置用架台110に固定され、接続部11がプランマブロック105(
図1等参照)に固定される。この状態で、一対のプーリ移動装置2それぞれの移動用ネジ部14Aを固定部13側へ移動させると、バネ14Bは収縮する。そうすると、移動用ネジ部14Aは、収縮したバネ14Bの押圧力により、固定部13から離れる方向、つまり、離間方向へ移動する。これに伴い、円筒支持部10及び接続部11も離間方向へ移動する。その結果、一対のプランマブロック105、つまり、テールプーリ100全体がベルト調整装置1側へ引っ張られるようになる。そして、テールプーリ100に掛かるコンベヤベルト101に張力が付与されるようになる。なお、張力調整する場合、一対のプーリ移動装置2により、テールプーリ100を、その回転軸が平行に移動するように引っ張ることが好ましい。
【0034】
蛇行調整する場合、第1移動部12を回転させて、接続部11を伸縮させることで、接続部11が連結されるプランマブロック105を搬送方向に対して移動させることができる。これにより、
図3で説明したように、テールプーリ100の回転軸を、搬送方向に対して傾斜させることができ、テールプーリ100の蛇行を調整することができる。
【0035】
以上のように、本実施形態のプーリ移動装置2によると、一の装置で、張力調整と、蛇行調整とを実現することができる。これにより、テールプーリ100近傍に、張力調整を実現する装置と、蛇行調整を実現する装置とを別々に設置する必要がなく、省スペースを実現できる。さらに、プーリ移動装置2は、円筒支持部10の円筒中心軸に沿って設けられ、その中心軸を中心とする回転で蛇行調整及び張力調整する構成であるため、円筒中心軸の半径方向への大型化が抑制される。
【符号の説明】
【0036】
1 ベルト調整装置
2 プーリ移動装置
10 円筒支持部
11 接続部
12 第1移動部
12A 保持部
13 固定部
14 第2移動部
14A 移動用ネジ部
14B バネ
15 ストッパ
100 テールプーリ
100A 回転軸部
101 コンベヤベルト
105 プランマブロック
110 調整装置用架台