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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028475
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/375 20220101AFI20220208BHJP
【FI】
F24H4/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020131898
(22)【出願日】2020-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】三津 有也
(72)【発明者】
【氏名】大谷 和之
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA03
3L122AA12
3L122AA23
3L122AA42
3L122AB12
3L122AB22
3L122AB30
3L122AB34
3L122AC14
3L122BA18
3L122BB02
3L122BB06
3L122BB14
3L122BB15
3L122BC32
3L122DA02
3L122EA05
(57)【要約】
【課題】外気温度が低い場合であっても高温の温水を安定して製造することのできる給湯システムを提供すること。
【解決手段】圧縮機11、第1放熱用熱交換器12A、第2放熱用熱交換器12B、膨張弁13および吸熱用熱交換器14が冷媒循環ラインL9により環状に接続され、圧縮機11の駆動により吸熱用熱交換器14で熱源空気から吸熱しつつ第1放熱用熱交換器12Aおよび/または第2放熱用熱交換器12Bで放熱する蒸気圧縮式のヒートポンプ回路10と、水循環ラインL1を流通する循環水W1、補給水ラインL2を流通する補給水W2、給湯水ラインL4を流通する給湯水W4、および貯湯タンク60内の貯留水W3のうち、いずれか1以上の水を蒸気S1で加熱する蒸気加熱手段と、を備える給湯システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、第1放熱用熱交換器、第2放熱用熱交換器、膨張弁および吸熱用熱交換器が冷媒循環ラインにより環状に接続され、前記圧縮機の駆動により前記吸熱用熱交換器で熱源空気から吸熱しつつ前記第1放熱用熱交換器および/または前記第2放熱用熱交換器で放熱する蒸気圧縮式のヒートポンプ回路と、
補給水を貯留する貯湯タンクと、
前記貯湯タンク内の貯留水を前記第1放熱用熱交換器に循環させる水循環ラインと、
補給水を前記第2放熱用熱交換器に流通させつつ、前記貯湯タンクに送給する補給水ラインと、
前記貯湯タンク内の貯留水を外部に送給する給湯水ラインと、
前記水循環ラインを流通する循環水、前記補給水ラインを流通する補給水、前記給湯水ラインを流通する給湯水、および前記貯湯タンク内の貯留水のうち、いずれか1以上の水を蒸気で加熱する蒸気加熱手段と、を備える給湯システム。
【請求項2】
前記蒸気加熱手段は、
前記第1放熱用熱交換器から前記貯湯タンクへの前記水循環ラインに設けられ、循環水と蒸気を伝熱体を介して熱交換させる蒸気熱交換器と、
前記蒸気熱交換器に蒸気を送給する給蒸ラインと、
前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、
前記蒸気熱交換器から流出する循環水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、
前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整される、請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
前記蒸気加熱手段は、
前記第1放熱用熱交換器から前記貯湯タンクへの前記水循環ラインに設けられ、循環水に蒸気を混合させる蒸気混合器と、
前記蒸気混合器に蒸気を送給する給蒸ラインと、
前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、
前記蒸気混合器から流出する循環水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、
前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整される、請求項1に記載の給湯システム。
【請求項4】
前記蒸気加熱手段は、
前記第2放熱用熱交換器から前記貯湯タンクへの前記補給水ラインに設けられ、補給水と蒸気を伝熱体を介して熱交換させる蒸気熱交換器と、
前記蒸気熱交換器に蒸気を送給する給蒸ラインと、
前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、
前記蒸気熱交換器から流出する補給水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、
前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整される、請求項1に記載の給湯システム。
【請求項5】
前記蒸気加熱手段は、
前記第2放熱用熱交換器から前記貯湯タンクへの前記補給水ラインに設けられ、補給水と蒸気を混合させる蒸気混合器と、
前記蒸気混合器に蒸気を送給する給蒸ラインと、
前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、
前記蒸気混合器から流出する補給水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、
前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整される、請求項1に記載の給湯システム。
【請求項6】
前記蒸気加熱手段は、
前記給湯水ラインに設けられ、給湯水と蒸気を伝熱体を介して熱交換させる蒸気熱交換器と、
前記蒸気熱交換器に蒸気を送給する給蒸ラインと、
前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、
前記蒸気熱交換器から流出する給湯水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、
前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整される、請求項1に記載の給湯システム。
【請求項7】
前記蒸気加熱手段は、
前記給湯水ラインに設けられ、給湯水と蒸気を混合させる蒸気混合器と、
前記蒸気混合器に蒸気を送給する給蒸ラインと、
前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、
前記蒸気混合器から流出する給湯水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、
前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整される、請求項1に記載の給湯システム。
【請求項8】
前記蒸気加熱手段は、
前記水循環ラインとは別のルートで前記貯湯タンク内の貯留水を循環させる補助循環ラインと、
前記補助循環ラインに設けられた補助循環ポンプと、
前記補助循環ラインに設けられ、循環水と蒸気を伝熱体を介して熱交換させる蒸気熱交換器と、
前記蒸気熱交換器に蒸気を送給する給蒸ラインと、
前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、
前記蒸気熱交換器から流出する循環水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、
前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整される、請求項1に記載の給湯システム。
【請求項9】
前記蒸気加熱手段は、
前記水循環ラインとは別のルートで前記貯湯タンク内の貯留水を循環させる補助循環ラインと、
前記補助循環ラインに設けられた補助循環ポンプと、
前記補助循環ラインに設けられ、循環水と蒸気を混合させる蒸気混合器と、
前記蒸気混合器に蒸気を送給する給蒸ラインと、
前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、
前記蒸気混合器から流出する循環水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、
前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整される、請求項1に記載の給湯システム。
【請求項10】
前記蒸気加熱手段は、
前記貯湯タンク内に配置され、貯留水と蒸気を伝熱体を介して熱交換させる蒸気熱交換器と、
前記蒸気熱交換器に蒸気を送給する給蒸ラインと、
前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、
前記貯湯タンク内の貯留水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、
前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整される、請求項1に記載の給湯システム。
【請求項11】
前記蒸気加熱手段は、
前記貯湯タンク内に配置され、貯留水と蒸気を混合させる蒸気混合器と、
前記蒸気混合器に蒸気を送給する給蒸ラインと、
前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、
前記貯湯タンク内の貯留水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、
前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整される、請求項1に記載の給湯システム。
【請求項12】
前記吸熱用熱交換器に送給前の熱源空気を予熱する空気予熱器を備え、
当該空気予熱器は、前記蒸気熱交換器から排出された蒸気ドレンを利用して熱源空気を予熱する、請求項2、4、6、8、10のいずれか1項に記載の給湯システム。
【請求項13】
前記第1放熱用熱交換器から流出する循環水の温度を検知する第2温度センサと、
前記水循環ラインに設けられた水循環ポンプと、
制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第2温度センサの検知温度が目標出湯温度になるように、前記水循環ポンプの駆動周波数を制御する、請求項2~請求項12のいずれか1項に記載の給湯システム。
【請求項14】
前記吸熱用熱交換器に送給前の熱源空気の温度を検知する第3温度センサを備え、
前記制御手段は、前記第3温度センサの検知温度が高いほど前記目標出湯温度を高く設定する一方、前記第3温度センサの検知温度が低いほど前記目標出湯温度を低く設定する、請求項13に記載の給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプ式給湯機のエネルギー効率は、周知のようにCOP(成績係数)で示される。このCOPを高めるため、冷凍サイクルに対して様々な改良がなされている。例えば、特許文献1、2には、ヒートポンプ回路の凝縮器の後段に過冷却器を設け、凝縮器に貯湯タンク内の貯留水を循環させて加熱する一方で、過冷却器に貯湯タンクへの補給水を流通させて予備加熱するように構成された給湯システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平2-27582号公報
【特許文献2】実開平3-3665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載の給湯システムにおいては、例えば空気熱源式のヒートポンプ回路を適用することができる。空気熱源式のヒートポンプ回路は、比較的高温の外気から吸熱できる夏期や中間期には、凝縮器および過冷却器の出湯温度を高めて運転することが容易である。しかしながら、冬期になると外気温度が著しく低下することがあるため、出湯温度を高めた運転は非常に困難である。出湯温度を高めるには、圧縮機の多段化や送風ファンの容量アップが必要になるため、システムのイニシャルコストが増大してしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、空気熱源式のヒートポンプ回路に貯留水加熱用熱交換器および補給水加熱用熱交換器を設けた構成において、外気温度が低い場合であっても高温の温水を安定して製造することのできる給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、圧縮機、第1放熱用熱交換器、第2放熱用熱交換器、膨張弁および吸熱用熱交換器が冷媒循環ラインにより環状に接続され、前記圧縮機の駆動により吸熱用熱交換器で熱源空気から吸熱しつつ前記第1放熱用熱交換器および/または前記第2放熱用熱交換器で放熱する蒸気圧縮式のヒートポンプ回路と、補給水を貯留する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の貯留水を前記第1放熱用熱交換器に循環させる水循環ラインと、補給水を前記第2放熱用熱交換器に流通させつつ、前記貯湯タンクに送給する補給水ラインと、前記貯湯タンク内の貯留水を外部に送給する給湯水ラインと、前記水循環ラインを流通する循環水、前記補給水ラインを流通する補給水、前記給湯水ラインを流通する給湯水、および前記貯湯タンク内の貯留水のうち、いずれか1以上の水を蒸気で加熱する蒸気加熱手段と、を備える給湯システムに関する。
【0007】
また、給湯システムの前記蒸気加熱手段は、前記第1放熱用熱交換器から前記貯湯タンクへの前記水循環ラインに設けられ、循環水と蒸気を伝熱体を介して熱交換させる蒸気熱交換器と、前記蒸気熱交換器に蒸気を送給する給蒸ラインと、前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、前記蒸気熱交換器から流出する循環水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整されることが好ましい。
【0008】
また、給湯システムの前記蒸気加熱手段は、前記第1放熱用熱交換器から前記貯湯タンクへの前記水循環ラインに設けられ、循環水に蒸気を混合させる蒸気混合器と、前記蒸気混合器に蒸気を送給する給蒸ラインと、前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、前記蒸気混合器から流出する循環水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整されることが好ましい。
【0009】
また、給湯システムの前記蒸気加熱手段は、前記第2放熱用熱交換器から前記貯湯タンクへの前記補給水ラインに設けられ、補給水と蒸気を伝熱体を介して熱交換させる蒸気熱交換器と、前記蒸気熱交換器に蒸気を送給する給蒸ラインと、前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、前記蒸気熱交換器から流出する補給水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整されることが好ましい。
【0010】
また、給湯システムの前記蒸気加熱手段は、前記第2放熱用熱交換器から前記貯湯タンクへの前記補給水ラインに設けられ、補給水と蒸気を混合させる蒸気混合器と、前記蒸気混合器に蒸気を送給する給蒸ラインと、前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、前記蒸気混合器から流出する補給水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整されることが好ましい。
【0011】
また、給湯システムの前記蒸気加熱手段は、前記給湯水ラインに設けられ、給湯水と蒸気を伝熱体を介して熱交換させる蒸気熱交換器と、前記蒸気熱交換器に蒸気を送給する給蒸ラインと、前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、前記蒸気熱交換器から流出する給湯水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整されることが好ましい。
【0012】
また、給湯システムの前記蒸気加熱手段は、前記給湯水ラインに設けられ、給湯水と蒸気を混合させる蒸気混合器と、前記蒸気混合器に蒸気を送給する給蒸ラインと、前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、前記蒸気混合器から流出する給湯水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整されることが好ましい。
【0013】
また、給湯システムの前記蒸気加熱手段は、前記水循環ラインとは別のルートで前記貯湯タンク内の貯留水を循環させる補助循環ラインと、前記補助循環ラインに設けられた補助循環ポンプと、前記補助循環ラインに設けられ、循環水と蒸気を伝熱体を介して熱交換させる蒸気熱交換器と、前記蒸気熱交換器に蒸気を送給する給蒸ラインと、前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、前記蒸気熱交換器から流出する循環水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整されることが好ましい。
【0014】
また、給湯システムの前記蒸気加熱手段は、前記水循環ラインとは別のルートで前記貯湯タンク内の貯留水を循環させる補助循環ラインと、前記補助循環ラインに設けられた補助循環ポンプと、前記補助循環ラインに設けられ、循環水と蒸気を混合させる蒸気混合器と、前記蒸気混合器に蒸気を送給する給蒸ラインと、前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、前記蒸気混合器から流出する循環水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整されることが好ましい。
【0015】
また、給湯システムの前記蒸気加熱手段は、前記貯湯タンク内に配置され、貯留水と蒸気を伝熱体を介して熱交換させる蒸気熱交換器と、前記蒸気熱交換器に蒸気を送給する給蒸ラインと、前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、前記貯湯タンク内の貯留水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整されることが好ましい。
【0016】
また、給湯システムの前記蒸気加熱手段は、前記貯湯タンク内に配置され、貯留水と蒸気を混合させる蒸気混合器と、前記蒸気混合器に蒸気を送給する給蒸ラインと、前記給蒸ラインに設けられた給蒸弁と、前記貯湯タンク内の貯留水の温度を検知する第1温度検知手段と、を備え、前記給蒸弁は、前記第1温度検知手段の検知温度が目標加熱温度になるように弁開度が調整されることが好ましい。
【0017】
また、給湯システムは、前記吸熱用熱交換器に送給前の熱源空気を予熱する空気予熱器を備え、当該空気予熱器は、前記蒸気熱交換器から排出された蒸気ドレンを利用して熱源空気を予熱することが好ましい。
【0018】
また、給湯システムは、前記第1放熱用熱交換器から流出する循環水の温度を検知する第2温度センサを備え、前記制御手段は、前記第2温度センサの検知温度が目標出湯温度になるように、前記水循環ポンプの駆動周波数を制御することが好ましい。
【0019】
また、給湯システムは、前記吸熱用熱交換器に送給前の熱源空気の温度を検知する第3温度センサを備え、前記制御手段は、前記第3温度センサの検知温度が高いほど前記目標出湯温度を高く設定する一方、前記第3温度センサの検知温度が低いほど前記目標出湯温度を低く設定することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、空気熱源式のヒートポンプ回路に貯留水加熱用熱交換器および補給水加熱用熱交換器を設けた構成において、外気温度が低い場合であっても高温の温水を安定して製造することが可能な給湯システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係る給湯システムの構成を模式的に示す図である。
図2】上記実施形態の変形例に係る給湯システムの構成を模式的に示す図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る給湯システムの構成を模式的に示す図である。
図4】上記実施形態の変形例に係る給湯システムの構成を模式的に示す図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る給湯システムの構成を模式的に示す図である。
図6】上記実施形態の変形例に係る給湯システムの構成を模式的に示す図である。
図7】本発明の第4実施形態に係る給湯システムの構成を模式的に示す図である。
図8】上記実施形態の変形例に係る給湯システムの構成を模式的に示す図である。
図9】本発明の第5実施形態に係る給湯システムの構成を模式的に示す図である。
図10】上記実施形態の変形例に係る給湯システムの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
以下、本発明の給湯システム1の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0023】
図1は、本実施形態に係る給湯システム1の構成を模式的に示す図である。図1に示すように、本実施形態の給湯システム1は、空気熱源式のヒートポンプ回路10と、貯湯タンク60と、貯湯タンク60内の貯留水W3を循環水W1として循環させる水循環ラインL1と、補給水W2を貯湯タンク60へ送給する補給水ラインL2と、貯湯タンク60内の貯留水W3を外部に送給する給湯水ラインL4と、制御部100と、を備える。
この給湯システム1は、ヒートポンプ回路10で加温した貯湯タンク60内の貯留水W3を、給湯水W4として温水需要箇所または温熱需要箇所に供給するシステムである。
【0024】
空気熱源式のヒートポンプ回路10は、圧縮機11、第1放熱用熱交換器12A(凝縮器12A)、第2放熱用熱交換器12B(過冷却器12B)、膨張弁13および吸熱用熱交換器14(蒸発器14)が冷媒循環ラインL9により環状に接続され、圧縮機11の駆動により吸熱用熱交換器14で熱源空気から吸熱しつつ第1放熱用熱交換器12Aおよび/または第2放熱用熱交換器12Bで温熱を取り出す蒸気圧縮式のヒートポンプ回路である。この冷媒循環ラインL9には冷媒Rが流れる。
【0025】
圧縮機11は、駆動源としての電気モータ15を有しており、フロンガス等のガス状の冷媒R(ガス冷媒R)を圧縮して高温高圧の冷媒Rにする。第1放熱用熱交換器12Aは、水循環ラインL1を通じて送られてくる循環水W1へ放熱して、圧縮機11からの冷媒Rを凝縮液化する凝縮器である。第2放熱用熱交換器12Bは、補給水ラインL2を通じて送られてくる補給水W2へ放熱して、第1放熱用熱交換器12Aを通過した冷媒R(液冷媒R)を過冷却する過冷却器である。膨張弁13は、第2放熱用熱交換器12Bから送られた冷媒Rを通過させることで、冷媒Rの圧力と温度とを低下させる。吸熱用熱交換器14は、熱源流体としての熱源空気から吸熱して、膨張弁13から送られる冷媒Rを蒸発させる蒸発器である。
【0026】
貯留水加熱用の第1放熱用熱交換器12Aは、循環水W1と冷媒Rとを間接熱交換させ、冷媒Rの潜熱および顕熱の放熱を行う。第1放熱用熱交換器12Aは、循環水W1を用いて冷媒Rの凝縮液化を行うと共に、冷媒Rを用いて循環水W1を加温する。
補給水加熱用の第2放熱用熱交換器12Bは、補給水W2と冷媒Rとを間接熱交換させ、冷媒Rの顕熱の放熱を行う。第2放熱用熱交換器12Bは、補給水W2を用いて冷媒Rの過冷却を行うと共に、冷媒Rを用いて補給水W2を加温する。
このように、冷媒Rの凝縮用と過冷却用とで熱交換器を分けることで、熱交換器の設計が容易となり、コスト削減を図ることができる。また、汎用の熱交換器の利用も可能となる。
なお、運転条件等により、第1放熱用熱交換器12Aでガス冷媒Rの凝縮液化が部分的な相変化に止まった場合は、第2放熱用熱交換器12Bにおいて、残りのガス冷媒Rの凝縮液化が行われる。
【0027】
膨張弁13は、比例制御式のニードル弁として構成され、駆動用ステッピングモータの回転数制御によりニードル弁のストロークを変え、弁開度を調節することで、冷媒循環ラインL9を流れる冷媒Rの流量を調整することができる。
【0028】
吸熱用熱交換器14は、冷媒循環ラインL9を流れる冷媒Rと、熱源空気との間で熱交換を行う間接熱交換器として構成されている。ここで、熱源空気としては、屋外の外気や、工場内の空気等を用いることができる。
【0029】
吸熱用熱交換器14の給気側には、吸熱用熱交換器14に送給前の熱源空気の温度を検知する熱源温度センサとしての第3温度センサ18が設けられている。
第3温度センサ18(熱源温度センサ18)は、吸熱用熱交換器14の伝熱面の近傍に配置され、実際に伝熱面に供給される熱源空気(給気)の温度を直接的に測定する態様であることが好ましいが、それに限らない。例えば、第3温度センサ18は、熱源流体としての空気が接触している部材の温度を測定することにより、熱源流体としての空気の温度を間接的に測定するものであってもよい。
熱源温度センサ18は、サーミスタ等により構成され、例えばケース内に保持された上で、吸熱用熱交換器14に取り付けられていてもよい。
【0030】
吸熱用熱交換器14の排気側には、伝熱面に熱源空気を流通させるためのプロペラファン19が配置される。吸熱用熱交換器14およびプロペラファン19は、熱交換後の空気の吹き出し面を有するケーシングに収容される。なお、空気の吹き出し面は、ケーシングの上面に設けられてもよいし、ケーシングの前面に設けられてもよい。吹き出し面がケーシングの上面に設けられたタイプは上吹き形と呼ばれ、ケーシングの前面に設けられたタイプは横吹き形と呼ばれる。
【0031】
本実施形態においては、吸熱用熱交換器14の給気側に空気予熱器55が設けられている。空気予熱器55は、後述の蒸気熱交換器40Aから排出された蒸気ドレンS2を利用して、吸熱用熱交換器14に送給前の熱源空気を予熱する。空気予熱器55は、例えばフィンチューブ式熱交換器により構成される。
なお、図1に示すように、送風ファン551を用いて、空気予熱器55に熱源空気A1を送風し、予熱された熱源空気A2を吸熱用熱交換器14に送り込んでもよい。
このような構成により、熱源空気A1は、空気予熱器55によって適度に加温された熱源空気A2となり、この加温された熱源空気A2は、吸熱用熱交換器14の伝熱面において冷媒Rとの間で熱交換された上で、熱交換後の熱源空気A3として排気される。なお、前述の第3温度センサ18は、空気予熱器55によって加温された予熱後の熱源空気A2の温度を測定する。
【0032】
これにより、吸熱用熱交換器14の入熱量、ひいては第1放熱用熱交換器12Aおよび第2放熱用熱交換器12Bの出熱量が増大する。よって、外気温度の低下する冬期においても、ヒートポンプ回路のCOPを向上させることができる。また、空気予熱器55によって適度に加温された熱源空気A2を吸熱用熱交換器14に送風することで、伝熱面での凍結を防止することができる。
【0033】
以上のように、ヒートポンプ回路10は、吸熱用熱交換器14において、冷媒Rが外部から熱を奪って気化する一方、第1放熱用熱交換器12Aおよび第2放熱用熱交換器12Bにおいて、冷媒Rが外部へ放熱して凝縮液化し、過冷却される。このような原理を利用して、ヒートポンプ回路10は、吸熱用熱交換器14で熱源空気から熱をくみ上げ、第1放熱用熱交換器12Aで循環水W1を加温し、第2放熱用熱交換器12Bで補給水W2を加温する。
【0034】
貯湯タンク60は、ヒートポンプ回路10で加温された循環水W1および補給水W2を貯留水W3として貯留するタンクである。貯湯タンク60内の貯留水W3は、給湯水W4として、給湯水ラインL4を通じて温水需要箇所または温熱需要箇所に供給される。
【0035】
貯湯タンク60は、貯湯タンク60内の貯留水W3の温度を検知する貯湯温度センサ61を備える。貯湯温度センサ61は、給湯水W4として温水需要箇所または温熱需要箇所に供給されることとなる貯留水W3の温度をモニタリングする。
【0036】
貯湯タンク60は、貯湯タンク60内の水位を検知する水位センサ62を備える。本実施形態においては、水位センサ62は、複数の電極棒を備える電極式水位検出器により構成されている。具体的には、長さの異なる複数の電極棒が、その下端部の高さ位置を互いに異ならせて差し込まれて保持されている。各電極棒は、その下端部が水に浸かるか否かにより、下端部における水位の有無を検出する。これにより、水位センサ62は、貯湯タンク60内の貯留水W3の水位を検知する。
【0037】
水循環ラインL1は、その上流側が貯湯タンク60に接続されており、かつ下流側も貯湯タンク60に接続されている。水循環ラインL1は、貯湯タンク60内の貯留水W3を循環水W1として循環させる循環路を形成する。貯湯タンク60内の貯留水W3は、水循環ラインL1を通じて第1放熱用熱交換器12Aを通過して加温され、貯湯タンク60内に戻る。水循環ラインL1には、上流側から、水循環ポンプ21、第1放熱用熱交換器12A、凝縮器出湯温度センサとしての第2温度センサ22が順次配置されている。
【0038】
水循環ポンプ21は、インバータにより回転数を制御可能とされる。水循環ポンプ21の回転数を変更することで、水循環ラインL1を循環する循環水W1の流量を調整することができる。
【0039】
第2温度センサ22(凝縮器出湯温度センサ22)は、第1放熱用熱交換器12Aの下流側に配置されており、第1放熱用熱交換器12Aから流出する循環水W1の温度を検知する。
【0040】
補給水ラインL2は、その上流側が補給水タンク(不図示)等の補給水源に接続され、その下流側が貯湯タンク60に接続されている。補給水ラインL2は、補給水W2を第2放熱用熱交換器12Bに流通させつつ、貯湯タンク60へ送給するラインである。補給水ラインL2には、上流側から、補給水弁25、第2放熱用熱交換器12Bが順次配置されている。
【0041】
補給水弁25は、弁開度が調整可能に構成されている。補給水弁25の弁開度を調整することにより、補給水ラインL2を流れる補給水W2の流量を調整することができる。
【0042】
補給水ラインL2は、補給水バイパスラインL12を備える。補給水バイパスラインL12は、第2放熱用熱交換器12Bに対して補給水W2をバイパスさせるラインである。補給水バイパスラインL12には、補給水分配バルブ32が配置されている。
【0043】
補給水分配バルブ32は、第2放熱用熱交換器12Bに送給する補給水W2および補給水バイパスラインL12に送給する補給水W2の分配量を調整する。補給水分配バルブ32は、自動または手動入力により弁開度が調整されてもよい。例えば、貯湯タンク60の貯留水W3の水位が急激に低下したことが検知されたときに、自動または手動入力により補給水分配バルブ32が開放されてもよい。これにより、第2放熱用熱交換器12Bによって加温されていない補給水W2が、貯湯タンク60内に急速に補給され、貯湯タンク60が渇水状態となることを防ぐ。
【0044】
給湯水ラインL4は、その上流側が、貯湯タンク60に接続されている。給湯水ラインL4は、貯湯タンク60内の貯留水W3を外部の温水需要箇所または温熱需要箇所に送給する。
【0045】
本実施形態の給湯システム1は、水循環ラインL1を流通する循環水W1を蒸気S1で加熱する蒸気加熱手段50Aを有する。ここで用いられる蒸気S1は、例えば、多管式小型貫流蒸気ボイラ等の蒸気発生装置で発生させた0.2MPa(飽和温度134℃)~2MPa(飽和温度212℃)の蒸気である。
【0046】
蒸気加熱手段50Aは、蒸気熱交換器40Aと、第1温度検知手段としての第1温度センサ42Aと、給蒸ラインL21と、給蒸弁43と、を備える。
【0047】
蒸気熱交換器40Aは、第1放熱用熱交換器12Aから貯湯タンク60への水循環ラインL1に設けられている。蒸気熱交換器40Aは間接熱交換器であり、循環水W1と蒸気S1を伝熱体を介して熱交換させる。
第1放熱用熱交換器12Aにおいて比較的中温度(例えば50~70℃)まで加温された循環水W1は、蒸気熱交換器40Aにおいて蒸気S1により昇温され、比較的高温度(例えば75~95℃)に昇温される。
蒸気熱交換器40Aにより加温された循環水W1は、水循環ラインL1を通じて、貯湯タンク60に供給される。
【0048】
第1温度センサ42A(第1温度検知手段42A)は、水循環ラインL1に設けられている。第1温度センサ42Aは、蒸気熱交換器40Aから流出する循環水W1の温度を検知する。
【0049】
給蒸ラインL21は、その上流側が不図示のスチームヘッダ(蒸気ボイラ等で発生させた蒸気の収集・分配装置)に接続され、その下流側は、蒸気熱交換器40Aに接続されている。給蒸ラインL21は、スチームヘッダからの蒸気S1を蒸気熱交換器40Aに送給する。給蒸ラインL21には、給蒸弁43が設けられている。
【0050】
給蒸弁43は、弁開度が調整可能に構成されている。給蒸弁43の弁開度を調整することにより、給蒸ラインL21を流れる蒸気S1の流量を調整することができる。
【0051】
なお、本実施形態の給湯システム1は、蒸気ドレンラインL22をさらに備える。蒸気ドレンラインL22は、その上流側が蒸気熱交換器40Aに接続され、その下流側が空気予熱器55に接続され、さらに空気予熱器55の下流側に続いている。蒸気ドレンラインL22は、蒸気熱交換器40Aから排出された蒸気ドレンS2を空気予熱器55に送給する。前述のように、空気予熱器55は、蒸気熱交換器40Aから排出された蒸気ドレンS2を利用して熱源空気を予熱する。空気予熱器55で利用された蒸気ドレンS2は、蒸気ドレンラインL22を通じて空気予熱器55の下流側に排出される。
【0052】
水循環ラインL1および補給水ラインL2を通過することによって加温された貯湯タンク60内の貯留水W3は、給湯水W4として、給湯水ラインL4を通じて温水需要箇所または温熱需要箇所に供給される。
【0053】
温水需要箇所とは、給湯水W4を流体利用することにより貯留水W3を消費する工場内の各種生産設備等をいう。温水需要箇所の例としては、食品・飲料・薬品用の容器洗浄設備(リンサー)、瓶詰・缶詰・袋詰製品の加熱殺菌設備(パストライザー)等を挙げることができる。
一方、温熱需要箇所とは、給湯水W4の熱エネルギーのみを利用し、貯留水W3を消費しない生産設備等をいう。熱エネルギーの利用は、種々の熱交換器を介して行われ、熱エネルギーの取り出しによって温度降下した給湯水W4は、図示しない返湯水ラインを通じて貯湯タンク60に返送される。温熱需要箇所の例としては、金属加工品の塗装設備における脱脂槽や化成槽、空調設備におけるエアハンドリングユニット等を挙げることができる。
このような温水需要箇所や温熱需要箇所では、常に、75℃~90℃程度の高温域の給湯水W4の供給が求められることがある。本実施形態の給湯システム1によれば、このような、常に所定の温度範囲内の温度の温水の供給が要求される用途において、特に好適に、温水を効率よく加温し、かつその温度を維持しつつ供給することができる。
【0054】
次に、本実施形態の給湯システム1の制御部100(制御手段100)について説明する。制御部100は、CPUおよびメモリを含むマイクロプロセッサにより構成される。制御部100は、機能ブロックとして、循環水流量制御部としての水循環ポンプ制御部110と、目標出湯温度設定部115と、補給水流量制御部としての補給水弁制御部120と、蒸気加熱制御部としての給蒸弁制御部150と、を備える。
ここで、図1における破線は、本実施形態における主要な電気的な接続の経路を示している。なお、これらの電気的な接続は、実際には制御部100を経由するが、その点は省略している。
【0055】
水循環ポンプ制御部110は、第2温度センサ22の検知温度を取得し、この検知温度に応じて、循環水流量調整手段を構成する水循環ポンプ21の駆動周波数を制御する。具体的には、水循環ポンプ制御部110は、第2温度センサ22の検知温度が目標出湯温度になるように、水循環ポンプ21の駆動周波数を制御し、循環水W1の流量を調整する。より具体的な制御としては、例えば、第2温度センサ22によりリアルタイムに検知される出湯温度をフィードバック値として、この出湯温度を目標出湯温度に収束させるように水循環ポンプの駆動周波数を調整するフィードバック制御を採用するのが好ましい。フィードバック制御は、比例制御(P制御)のほか、これに積分制御(I制御)および/または微分制御(D制御)を組み合わせた操作量の演算アルゴリズムを採用することができる。
【0056】
これにより、貯湯タンク60から第1放熱用熱交換器12Aに送給された循環水W1は第1放熱用熱交換器12Aで目標出湯温度(例えば70℃)まで加熱された後、貯湯タンク60に一定温度で還流される。これにより、外気温度に季節変動がある場合でも、貯湯タンク60に所要のベース温度(例えば温水需要箇所または温熱需要箇所で要求される最低給湯温度)の温水を高速に蓄えることができる。
【0057】
目標出湯温度設定部115は、上述の目標出湯温度を設定する。具体的には、目標出湯温度設定部115は、熱源温度センサとしての第3温度センサ18の検知温度を取得し、この検知温度に応じて、第1放熱用熱交換器12Aから出湯する循環水W1の目標出湯温度を設定する。より具体的には、目標出湯温度設定部115は、第3温度センサ18の検知温度が高いほど目標出湯温度を高く設定する一方、第3温度センサ18の検知温度が低いほど目標出湯温度を低く設定する。なお、本実施形態においては、第3温度センサ18は、空気予熱器55によって加温された予熱後の熱源空気A2の温度を測定する。
【0058】
これにより、例えば熱源空気として外気を用いる場合、外気温度が低いほど第1放熱用熱交換器12Aの出湯温度を低くして運転するので、ヒートポンプ回路10のCOPが向上する。また、外気温度が低いほど第1放熱用熱交換器12Aの循環流量が増加されるので、短時間で貯湯温度が上昇する。また、第1放熱用熱交換器12Aの出湯温度が低い場合であっても、不足分の熱量は蒸気S1によって補われる。これにより、システム全体のCOPを向上させつつ、高温の温水を連続して製造することができる。
【0059】
補給水弁制御部120は、水位センサ62が検知した貯湯タンク60内の貯留水W3の水位情報を取得し、この水位情報に応じて、補給水流量調整手段を構成する補給水弁25の弁開度を調整する制御を行う。具体的には、補給水弁制御部120は、水位センサ62の検知水位が高くなるほど補給水弁25の弁開度を減少させて補給水流量を減少させる一方、水位センサ62の検知水位が低くなるほど補給水弁25の弁開度を増大させて補給水流量を増大させる制御を行う。例えば、満水水位となったときは、補給水弁25の弁開度を0%(全閉)とし、渇水直前の水位となったときは、補給水弁25の弁開度を100%(全開)とし、その中間の水位のときは、補給水弁25の弁開度を5%~95%とする。
【0060】
このように、水位センサ62の検知水位が高くなるほど補給水弁25の弁開度を減少させる一方、水位センサ62の検知水位が低くなるほど補給水弁25の弁開度を増大させるように構成しているので、温水需要量の増減に応答して補給水流量が増減される。すなわち、温水需要量がゼロにならない限り補給水弁25が閉鎖されることはなく、第2放熱用熱交換器12Bに補給水W2が流れ続ける。これにより、温水需要量が少ない場合であっても液冷媒Rの過冷却を継続し、COPを高めることできる。
【0061】
蒸気加熱手段50Aの一部として構成される給蒸弁制御部150は、第1温度センサ42Aの検知温度を取得し、この検知温度に応じて、給蒸弁43の弁開度を調整する制御を行う。具体的には、給蒸弁制御部150は、第1温度センサ42Aの検知温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように、給蒸弁43を制御する。より具体的な制御としては、例えば、第1温度センサ42Aによりリアルタイムに検知される循環水W1の温度をフィードバック値として、この循環水W1の温度を目標加熱温度に収束させるように給蒸弁43の弁開度を調整するフィードバック制御を採用するのが好ましい。フィードバック制御は、比例制御(P制御)のほか、これに積分制御(I制御)および/または微分制御(D制御)を組み合わせた操作量の演算アルゴリズムを採用することができる。
ここで、目標加熱温度は、手動により、または装置状態等に応じて自動で設定される。
【0062】
このように、水循環ラインL1に蒸気熱交換器40Aを備えると共に、蒸気熱交換器40Aの出湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、貯湯タンク60には目標加熱温度の温水が蓄積される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。
【0063】
以上の構成により、ヒートポンプ回路10では、第1放熱用熱交換器12Aにおいて比較的中温度(例えば50~70℃)の温水が生成される。この中温度の温水は、水循環ラインL1を流通している間に、蒸気S1により昇温されて比較的高温度(例えば75~95℃)の温水となる。これにより、ヒートポンプ回路10を高いCOPが期待できる中温出湯の条件で運転しつつ、温水需要箇所や温熱需要箇所で要求される高温の温水を速やかに製造することができる。また、蒸気S1は高い熱量を有しているので、熱源空気の温度に季節変動があり、ヒートポンプ回路10で生成される温水の温度が安定しない状態であっても、所要の給湯温度まで直ちに加熱することができる。
【0064】
続けて、第1実施形態の変形例について図面を参照しながら説明する。図2は、第1実施形態の変形例に係る給湯システムの構成を模式的に示す図である。本変形例は、蒸気加熱手段の構成が上記実施形態と異なる。本変形例は、蒸気加熱手段50Aに代えて、蒸気加熱手段51Aを備える。蒸気加熱手段51Aは、蒸気加熱手段50Aと比較すると、蒸気熱交換器40Aを備えていない代わりに、蒸気混合器41Aを備えている。
【0065】
蒸気混合器41Aは、第1放熱用熱交換器12Aから貯湯タンク60への水循環ラインL1に設けられている。蒸気混合器41Aは、水循環ラインL1を流通する循環水W1に対し、給蒸ラインL21から送給される蒸気S1を混合させる。これにより、循環水W1と蒸気S1の間で直接熱交換が行われ、その結果、水循環ラインL1を流通する循環水W1が昇温する。このとき、蒸気S1の全熱、すなわち顕熱および潜熱が利用されて、水循環ラインL1を流通する循環水W1が迅速に昇温する。本変形例においては、蒸気混合器として、スタティックミキサーが用いられている。スタティックミキサーは、駆動部のない静止型混合器であり、管内に配置した螺旋状のエレメントにより循環水W1に蒸気S1を混ぜ込む構成となっている。
【0066】
蒸気加熱手段51Aを構成する他の構成要素、すなわち、第1温度センサ42A、給蒸ラインL21および給蒸弁43については、蒸気加熱手段50Aの各構成要素と同様である。また、蒸気加熱手段51Aの一部として構成される給蒸弁制御部150の制御内容についても、前述の制御内容と同様である。すなわち、給蒸弁制御部150は、第1温度センサ42Aの検知温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように、給蒸弁43を制御する。
【0067】
なお、蒸気混合器41Aを用いる場合、蒸気ドレンは排出されないため、本変形例においては、蒸気ドレンラインL22および空気予熱器55は設けられていない。
本変形例においては、第3温度センサ18は、空気予熱器55によって予熱されていない熱源空気A1の温度を検知する。目標出湯温度設定部115は、この検知温度に応じて、第1放熱用熱交換器12Aから出湯する循環水W1の目標出湯温度を設定する。
【0068】
このように、水循環ラインL1に蒸気混合器41Aを備えると共に、蒸気混合器41Aの出湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、貯湯タンク60には目標加熱温度の温水が蓄積される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。また、潜熱利用後に生じる蒸気凝縮水は循環水W1に加算されるので、温水製造能力もアップする。
【0069】
なお、第1実施形態およびその変形例においては、第1温度検知手段42Aとして、温度センサが用いられている。しかしながら、温度センサに代えて、感熱筒を用いてもよい。この場合、第1温度検知手段42Aおよび給蒸弁43は、自力式の自動温度調整弁を構成する。
第1温度検知手段42Aとして感熱筒が用いられる場合、給蒸弁43は、感熱筒の検知温度が目標加熱温度となるように、感熱筒が生成する弁駆動力により弁開度が調整される。
具体的には、感熱筒の温度検知部の温度が変化すると、感熱筒内に封入された封入液の蒸発圧が変化し、弁駆動力が生成される。自動温度調整弁として構成されている給蒸弁43内にはベローズが設けられており、このベローズは、上述の弁駆動力(蒸発圧の変化)により伸縮する。そして、このベローズの伸縮により弁体が上下動し、弁開度が調整される。
このような構成によっても、第1実施形態およびその変形例と同様の効果が得られる。なお、第1温度検知手段42Aとして感熱筒を用いる場合は、制御部100は、給蒸弁制御部150を有していなくてもよい。
【0070】
以上説明した第1実施形態の給湯システム1によれば、以下の(1)~(6)に示されるような効果を奏する。
【0071】
(1)本実施形態の給湯システム1は、圧縮機11、第1放熱用熱交換器12A、第2放熱用熱交換器12B、膨張弁13および吸熱用熱交換器14が冷媒循環ラインL9により環状に接続され、圧縮機11の駆動により吸熱用熱交換器14で熱源空気から吸熱しつつ第1放熱用熱交換器12Aおよび/または第2放熱用熱交換器12Bで放熱する蒸気圧縮式のヒートポンプ回路10と、補給水W2を貯留する貯湯タンク60と、貯湯タンク60内の貯留水W3を第1放熱用熱交換器12Aに循環させる水循環ラインL1と、補給水W2を第2放熱用熱交換器12Bに流通させつつ、貯湯タンク60に送給する補給水ラインL2と、貯湯タンク60内の貯留水W3を外部に送給する給湯水ラインL4と、ヒートポンプ回路10において加温された温水を蒸気S1で加熱する蒸気加熱手段と、を備える。
ヒートポンプ回路10では、第1放熱用熱交換器12Aおよび/または第2放熱用熱交換器12Bにおいて比較的中温度(例えば50~70℃)の温水が生成される。この中温度の温水は、蒸気S1により昇温されて比較的高温度(例えば75~95℃)の温水となる。これにより、ヒートポンプ回路10を高いCOPが期待できる中温出湯の条件で運転しつつ、温水需要箇所や温熱需要箇所で要求される高温の温水を速やかに製造することができる。また、蒸気S1は高い熱量を有しているので、熱源空気の温度に季節変動があり、ヒートポンプ回路10で生成される温水の温度が安定しない状態であっても、所要の給湯温度まで直ちに加熱することができる。
【0072】
(2)本実施形態の給湯システム1の蒸気加熱手段50Aは、第1放熱用熱交換器12Aから貯湯タンク60への水循環ラインL1に設けられ、循環水W1と蒸気S1を伝熱体を介して熱交換させる蒸気熱交換器40Aと、蒸気熱交換器40Aに蒸気S1を送給する給蒸ラインL21と、給蒸ラインL21に設けられた給蒸弁43と、蒸気熱交換器40Aから流出する循環水W1の温度を検知する第1温度検知手段42A(第1温度センサ/感熱筒)と、を備え、給蒸弁43は、第1温度検知手段42Aの検知温度が目標加熱温度になるように(制御手段100により/感熱筒が生成する弁駆動力により)弁開度が調整される。
このように、水循環ラインL1に蒸気熱交換器40Aを備えると共に、蒸気熱交換器40Aの出湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、貯湯タンク60には目標加熱温度の温水が蓄積される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。
【0073】
(3)本実施形態の給湯システム1の蒸気加熱手段51Aは、第1放熱用熱交換器12Aから貯湯タンク60への水循環ラインL1に設けられ、循環水W1に蒸気S1を混合させる蒸気混合器41Aと、蒸気混合器41Aに蒸気S1を送給する給蒸ラインL21と、給蒸ラインL21に設けられた給蒸弁43と、蒸気混合器41Aから流出する循環水W1の温度を検知する第1温度検知手段42A(第1温度センサ/感熱筒)と、を備え、給蒸弁43は、第1温度検知手段42Aの検知温度が目標加熱温度になるように(制御手段100により/感熱筒が生成する弁駆動力により)弁開度が調整される。
このように、水循環ラインL1に蒸気混合器41Aを備えると共に、蒸気混合器41Aの出湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、貯湯タンク60には目標加熱温度の温水が蓄積される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。
また、潜熱利用後に生じる蒸気凝縮水は循環水W1に加算されるので、温水製造能力もアップする。
【0074】
(4)本実施形態の給湯システム1は、吸熱用熱交換器14に送給前の熱源空気を予熱する空気予熱器55を備え、空気予熱器55は、蒸気熱交換器40Aから排出された蒸気ドレンS2を利用して熱源空気を予熱する。
このように、蒸気熱交換器40Aから排出された蒸気ドレンS2を利用して熱源空気(外気)を予熱する空気予熱器55を備えることにより、吸熱用熱交換器14の入熱量、ひいては第1放熱用熱交換器12Aおよび第2放熱用熱交換器12Bの出熱量が増大する。これにより、外気温度の低下する冬期においても、ヒートポンプ回路10のCOPを向上させることができる。また、適度に加温された熱源空気を吸熱用熱交換器14に送風することで、伝熱面での凍結を防止することができる。
【0075】
(5)本実施形態の給湯システム1は、水循環ラインL1に設けられた水循環ポンプ21と、第1放熱用熱交換器12Aから流出する循環水W1の温度を検知する第2温度センサ22と、を備え、制御手段100は、第2温度センサ22の検知温度が目標出湯温度になるように、水循環ポンプ21の駆動周波数を制御する。
これにより、貯湯タンク60から第1放熱用熱交換器12Aに送給された循環水W1は、第1放熱用熱交換器12Aで目標出湯温度(例えば70℃)まで加熱された後、貯湯タンク60に一定温度で還流される。これにより、外気温度に季節変動がある場合でも、貯湯タンク60に所要のベース温度(例えば温水需要箇所または温熱需要箇所で要求される最低給湯温度)の温水を高速に蓄えることができる。
【0076】
(6)本実施形態の給湯システム1は、吸熱用熱交換器14に送給前の熱源空気の温度を検知する第3温度センサ18を備え、制御手段100は、第3温度センサ18の検知温度が高いほど目標出湯温度を高く設定する一方、第3温度センサ18の検知温度が低いほど目標出湯温度を低く設定する。
このように、外気温度が低いほど第1放熱用熱交換器12Aの出湯温度を低くして運転するので、ヒートポンプ回路10のCOPが向上する。また、外気温度が低いほど第1放熱用熱交換器12Aの循環流量が増加されるので、短時間で貯湯温度が上昇する。第1放熱用熱交換器12Aの出湯温度が低い場合であっても、不足分の熱量は蒸気S1によって補われる。これにより、システム全体のCOPを向上させつつ、高温の温水を連続して製造することができる。
【0077】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。図3は、本実施形態における給湯システム1の構成を模式的に示す図である。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0078】
図3に示すように、本実施形態の給湯システム1は、蒸気加熱手段50Aを備えていない。その代わりに、蒸気加熱手段50Bを備えている。蒸気加熱手段50Bは、補給水ラインL2を流通する補給水W2を蒸気S1で加熱する。
【0079】
蒸気加熱手段50Bは、蒸気熱交換器40Bと、第1温度検知手段としての第1温度センサ42Bと、給蒸ラインL21と、給蒸弁43と、を備える。
【0080】
蒸気熱交換器40Bは、第2放熱用熱交換器12Bから貯湯タンク60への補給水ラインL2に設けられている。蒸気熱交換器40Bは、第1実施形態の蒸気熱交換器40Aと同様の構成の間接熱交換器であり、補給水W2と蒸気S1を伝熱体を介して熱交換させる。
第2放熱用熱交換器12Bにおいて比較的中温度(例えば50~70℃)まで加温された補給水W2は、蒸気熱交換器40Bにおいて蒸気S1により昇温され、比較的高温度(例えば75~95℃)に昇温される。
蒸気熱交換器40Bにより加温された補給水W2は、補給水ラインL2を通じて、貯湯タンク60に供給される。
【0081】
第1温度センサ42B(第1温度検知手段42B)は、補給水ラインL2に設けられている。第1温度センサ42Bは、蒸気熱交換器40Bから流出する補給水W2の温度を検知する。
【0082】
給蒸ラインL21は、第1実施形態と同様、その上流側が不図示のスチームヘッダに接続され、その下流側は、蒸気熱交換器40Bに接続されている。給蒸ラインL21は、スチームヘッダからの蒸気S1を蒸気熱交換器40Bに送給する。給蒸ラインL21には、第1実施形態と同様の給蒸弁43が設けられている。
【0083】
蒸気加熱手段50Bの一部として構成される給蒸弁制御部150の制御内容は、第1実施形態で説明した制御内容と同様である。但し、制御に用いる検知温度としては、第1温度センサ42Bの検知温度が用いられる。すなわち、給蒸弁制御部150は、第1温度センサ42Bの検知温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように、給蒸弁43を制御する。
【0084】
このように、補給水ラインL2に蒸気熱交換器40Bを備えると共に、蒸気熱交換器40Bの出湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、貯湯タンク60には目標加熱温度の温水が補給される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。
【0085】
以上の構成により、ヒートポンプ回路10では、第2放熱用熱交換器において比較的中温度(例えば50~70℃)の温水が生成される。この中温度の温水は、補給水ラインL2を流通している間に蒸気S1により昇温されて比較的高温度(例えば75~95℃)の温水となる。これにより、ヒートポンプ回路10を高いCOPが期待できる中温出湯の条件で運転しつつ、温水需要箇所や温熱需要箇所で要求される高温の温水を速やかに製造することができる。また、蒸気S1は高い熱量を有しているので、熱源空気の温度に季節変動があり、ヒートポンプ回路10で生成される温水の温度が安定しない状態であっても、所要の給湯温度まで直ちに加熱することができる。
【0086】
続けて、第2実施形態の変形例について図面を参照しながら説明する。図4は、第2実施形態の変形例に係る給湯システムの構成を模式的に示す図である。本変形例は、蒸気加熱手段の構成が上記実施形態と異なる。本変形例は、蒸気加熱手段50Bに代えて、蒸気加熱手段51Bを備える。蒸気加熱手段51Bは、蒸気加熱手段50Bと比較すると、蒸気熱交換器40Bを備えていない代わりに、蒸気混合器41Bを備えている。
【0087】
蒸気混合器41Bは、第2放熱用熱交換器12Bから貯湯タンク60への補給水ラインL2に設けられている。蒸気混合器41Bは、補給水ラインL2を流通する補給水W2に対し、給蒸ラインL21から送給される蒸気S1を混合させる。これにより、補給水W2と蒸気S1の間で直接熱交換が行われ、その結果、補給水ラインL2を流通する補給水W2が昇温する。このとき、蒸気S1の全熱、すなわち顕熱および潜熱が利用されて、補給水ラインL2を流通する補給水W2が迅速に昇温する。本変形例においては、蒸気混合器として、スタティックミキサーが用いられている。スタティックミキサーは、駆動部のない静止型混合器であり、管内に配置した螺旋状のエレメントにより循環水W1に蒸気S1を混ぜ込む構成となっている。
【0088】
蒸気加熱手段51Bを構成する他の構成要素、すなわち、第1温度センサ42B、給蒸ラインL21および給蒸弁43については、図3で説明した蒸気加熱手段50Bの各構成要素と同様である。また、蒸気加熱手段51Bの一部として構成される給蒸弁制御部150の制御内容についても、前述の制御内容と同様である。給蒸弁制御部150は、第1温度センサ42Bの検知温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように、給蒸弁43を制御する。
【0089】
なお、本変形例においても、第1実施形態の変形例と同様、蒸気ドレンラインL22および空気予熱器55は設けられていない。
【0090】
このように、補給水ラインL2に蒸気混合器41Bを備えると共に、蒸気混合器41Bの出湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、貯湯タンク60には目標加熱温度の温水が蓄積される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。また、潜熱利用後に生じる蒸気凝縮水は補給水W2に加算されるので、温水製造能力もアップする。
【0091】
なお、第2実施形態およびその変形例においても、第1温度検知手段42Bとして、温度センサに代えて、感熱筒を用いても良い。第1温度検知手段42Bとして感熱筒が用いられる場合、給蒸弁43は、感熱筒の検知温度が目標加熱温度となるように、感熱筒が生成する弁駆動力により弁開度が調整される。この場合においては、制御部100は、給蒸弁制御部150を有していなくてもよい。
【0092】
以上説明した第2実施形態の給湯システム1によれば、(1)、(4)~(6)に加えて、以下のような効果を奏する。
【0093】
(7)本実施形態の給湯システム1の蒸気加熱手段50Bは、第2放熱用熱交換器12Bから貯湯タンク60への補給水ラインL2に設けられ、補給水W2と蒸気S1を伝熱体を介して熱交換させる蒸気熱交換器40Bと、蒸気熱交換器40Bに蒸気S1を送給する給蒸ラインL21と、給蒸ラインL21に設けられた給蒸弁43と、蒸気熱交換器40Bから流出する補給水W2の温度を検知する第1温度検知手段42B(第1温度センサ/感熱筒)と、を備え、給蒸弁43は、第1温度検知手段42Bの検知温度が目標加熱温度になるように(制御手段100により/感熱筒が生成する弁駆動力により)弁開度が調整される。
このように、補給水ラインL2に蒸気熱交換器40Bを備えると共に、蒸気熱交換器40Bの出湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、貯湯タンク60には目標加熱温度の温水が補給される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。
【0094】
(8)本実施形態の給湯システム1の蒸気加熱手段51Bは、第2放熱用熱交換器12Bから貯湯タンク60への補給水ラインL2に設けられ、補給水W2と蒸気S1を混合させる蒸気混合器41Bと、蒸気混合器41Bに蒸気S1を送給する給蒸ラインL21と、給蒸ラインL21に設けられた給蒸弁43と、蒸気混合器41Bから流出する補給水W2の温度を検知する第1温度検知手段42B(第1温度センサ/感熱筒)と、を備え、給蒸弁43は、第1温度検知手段42Bの検知温度が目標加熱温度になるように(制御手段100により/感熱筒が生成する弁駆動力により)弁開度が調整される。
このように、補給水ラインL2に蒸気混合器41Bを備えると共に、蒸気混合器41Bの出湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、貯湯タンク60には目標加熱温度の温水が補給される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。
また、潜熱利用後に生じる蒸気凝縮水は補給水W2に加算されるので、温水製造能力もアップする。
【0095】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について、図面を参照しながら説明する。図5は、本実施形態における給湯システム1の構成を模式的に示す図である。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0096】
図5に示すように、本実施形態の給湯システム1は、蒸気加熱手段50Aを備えていない。その代わりに、蒸気加熱手段50Cを備えている。蒸気加熱手段50Cは、給湯水ラインL4を流通する給湯水W4を蒸気S1で加熱する。
【0097】
蒸気加熱手段50Cは、蒸気熱交換器40Cと、第1温度検知手段としての第1温度センサ42Cと、給蒸ラインL21と、給蒸弁43と、を備える。
【0098】
蒸気熱交換器40Cは、給湯水ラインL4に設けられている。蒸気熱交換器40Cは、第1実施形態の蒸気熱交換器40Aと同様の構成の間接熱交換器であり、給湯水W4と蒸気S1を伝熱体を介して熱交換させる。
第1放熱用熱交換器12Aおよび/または第2放熱用熱交換器12Bにおいて比較的中温度(例えば50~70℃)まで加温された給湯水W4は、蒸気熱交換器40Cにおいて蒸気S1により昇温され、比較的高温度(例えば75~95℃)に昇温される。
蒸気熱交換器40Cにより加温された給湯水W4は給湯水ラインL4を通じて、外部の温水需要箇所または温熱需要箇所に送給される。
【0099】
第1温度センサ42C(第1温度検知手段42C)は、給湯水ラインL4に設けられている。第1温度センサ42Cは、蒸気熱交換器40Cから流出する給湯水W4の温度を検知する。
【0100】
給蒸ラインL21は、第1実施形態と同様、その上流側が不図示のスチームヘッダに接続され、その下流側は、蒸気熱交換器40Cに接続されている。給蒸ラインL21は、スチームヘッダからの蒸気S1を蒸気熱交換器40Cに送給する。給蒸ラインL21には、第1実施形態と同様の給蒸弁43が設けられている。
【0101】
蒸気加熱手段50Cの一部として構成される給蒸弁制御部150の制御内容は、第1実施形態で説明した制御内容と同様である。但し、制御に用いる検知温度としては、第1温度センサ42Cの検知温度が用いられる。すなわち、給蒸弁制御部150は、第1温度センサ42Cの検知温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように、給蒸弁43を制御する。
【0102】
このように、給湯水ラインL4に蒸気熱交換器40Cを備えると共に、蒸気熱交換器40Cの出湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、温水需要箇所または温熱需要箇所には目標加熱温度の温水が送給される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。
【0103】
以上の構成により、ヒートポンプ回路10では、第1放熱用熱交換器12Aおよび/または第2放熱用熱交換器において比較的中温度(例えば50~70℃)の温水が生成される。この中温度の温水は、給湯水ラインL4を流通している間に、蒸気S1により昇温されて比較的高温度(例えば75~95℃)の温水となる。これにより、ヒートポンプ回路10を高いCOPが期待できる中温出湯の条件で運転しつつ、温水需要箇所や温熱需要箇所で要求される高温の温水を速やかに製造することができる。また、蒸気S1は高い熱量を有しているので、熱源空気の温度に季節変動があり、ヒートポンプ回路10で生成される温水の温度が安定しない状態であっても、所要の給湯温度まで直ちに加熱することができる。
【0104】
続けて、第3実施形態の変形例について図面を参照しながら説明する。図6は、第3実施形態の変形例に係る給湯システムの構成を模式的に示す図である。本変形例は、蒸気加熱手段の構成が上記実施形態と異なる。本変形例は、蒸気加熱手段50Cに代えて、蒸気加熱手段51Cを備える。蒸気加熱手段51Cは、蒸気加熱手段50Cと比較すると、蒸気熱交換器40Cを備えていない代わりに、蒸気混合器41Cを備えている。
【0105】
蒸気混合器41Cは、給湯水ラインL4に設けられている。蒸気混合器41Cは、給湯水ラインL4を流通する給湯水W4に対し、給蒸ラインL21から送給される蒸気S1を混合させる。これにより、給湯水W4と蒸気S1の間で直接熱交換が行われ、その結果、給湯水ラインL4を流通する給湯水W4が昇温する。このとき、蒸気S1の全熱、すなわち顕熱および潜熱が利用されて、給湯水ラインL4を流通する給湯水W4が迅速に昇温する。本変形例においては、蒸気混合器として、スタティックミキサーが用いられている。スタティックミキサーは、駆動部のない静止型混合器であり、管内に配置した螺旋状のエレメントにより循環水W1に蒸気S1を混ぜ込む構成となっている。
【0106】
蒸気加熱手段51Cを構成する他の構成要素、すなわち、第1温度センサ42C、給蒸ラインL21および給蒸弁43については、蒸気加熱手段50Cの各構成要素と同様である。また、蒸気加熱手段51Cの一部として構成される給蒸弁制御部150の制御内容についても、前述の制御内容と同様である。給蒸弁制御部150は、第1温度センサ42Cの検知温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように、給蒸弁43を制御する。
【0107】
なお、本変形例においても、第1実施形態の変形例と同様、蒸気ドレンラインL22および空気予熱器55は設けられていない。
【0108】
このように、給湯水ラインL4に蒸気混合器41Cを備えると共に、蒸気混合器41Cの出湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、温水需要箇所または温熱需要箇所には目標加熱温度の温水が送給される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。また、潜熱利用後に生じる蒸気凝縮水は給湯水W4に加算されるので、温水製造能力もアップする。
【0109】
なお、第3実施形態およびその変形例においても、第1温度検知手段42Cとして、温度センサに代えて、感熱筒を用いても良い。第1温度検知手段42Cとして感熱筒が用いられる場合、給蒸弁43は、感熱筒の検知温度が目標加熱温度となるように、感熱筒が生成する弁駆動力により弁開度が調整される。この場合においては、制御部100は、給蒸弁制御部150を有していなくてもよい。
【0110】
以上説明した第3実施形態の給湯システム1によれば、(1)、(4)~(6)に加えて、以下のような効果を奏する。
【0111】
(9)本実施形態の給湯システム1の蒸気加熱手段50Cは、給湯水ラインL4に設けられ、給湯水W4と蒸気S1を伝熱体を介して熱交換させる蒸気熱交換器40Cと、蒸気熱交換器40Cに蒸気S1を送給する給蒸ラインL21と、給蒸ラインL21に設けられた給蒸弁43と、蒸気熱交換器40Cから流出する給湯水W4の温度を検知する第1温度検知手段42C(第1温度センサ/感熱筒)と、を備え、給蒸弁43は、第1温度検知手段42Cの検知温度が目標加熱温度になるように(制御手段100により/感熱筒が生成する弁駆動力により)弁開度が調整される。
このように、給湯水ラインL4に蒸気熱交換器40Cを備えると共に、蒸気熱交換器40Cの出湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、温水需要箇所または温熱需要箇所には目標加熱温度の温水が送給される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。
【0112】
(10)本実施形態の給湯システム1の蒸気加熱手段51Cは、給湯水ラインL4に設けられ、給湯水W4と蒸気S1を混合させる蒸気混合器41Cと、蒸気混合器41Cに蒸気S1を送給する給蒸ラインL21と、給蒸ラインL21に設けられた給蒸弁43と、蒸気混合器41Cから流出する給湯水W4の温度を検知する第1温度検知手段42C(第1温度センサ/感熱筒)と、を備え、給蒸弁43は、第1温度検知手段42Cの検知温度が目標加熱温度になるように(制御手段100により/感熱筒が生成する弁駆動力により)弁開度が調整される。
このように、給湯水ラインL4に蒸気混合器41Cを備えると共に、蒸気混合器41Cの出湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、温水需要箇所または温熱需要箇所には目標加熱温度の温水が送給される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。
また、潜熱利用後に生じる蒸気凝縮水は給湯水W4に加算されるので、温水製造能力もアップする。
【0113】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について、図面を参照しながら説明する。図7は、本実施形態における給湯システム1の構成を模式的に示す図である。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0114】
図7に示すように、本実施形態の給湯システム1は、蒸気加熱手段50Aを備えていない。その代わりに、蒸気加熱手段50Dを備えている。蒸気加熱手段50Dは、水循環ラインL1とは別の循環ラインである補助循環ラインL5を流通する補助循環水W5を蒸気S1で加熱する。
【0115】
蒸気加熱手段50Dは、補助循環ラインL5と、補助循環ポンプ45と、蒸気熱交換器40Dと、第1温度検知手段としての第1温度センサ42Dと、給蒸ラインL21と、給蒸弁43と、を備える。
【0116】
補助循環ラインL5は、その上流側が貯湯タンク60に接続されており、かつ下流側も貯湯タンク60に接続されている。補助循環ラインL5は、水循環ラインL1とは別のルートで貯湯タンク60内の貯留水W3を補助循環水W5として循環させる。補助循環ラインL5には、上流側から、補助循環ポンプ45、蒸気熱交換器40D、第1温度センサ42Dが順次配置されている。
【0117】
補助循環ポンプ45は、インバータにより回転数を制御可能とされる。補助循環ポンプ45の回転数を変更することで、補助循環ラインL5を循環する循環流量を調整することができる。
【0118】
蒸気熱交換器40Dは、補助循環ラインL5に設けられている。蒸気熱交換器40Dは、第1実施形態の蒸気熱交換器40Aと同様の構成の間接熱交換器であり、補助循環水W5として循環する貯留水W3と蒸気S1を伝熱体を介して熱交換させる。
第1放熱用熱交換器12Aおよび/または第2放熱用熱交換器12Bにおいて比較的中温度(例えば50~70℃)まで加温された補助循環水W5は、蒸気熱交換器40Dにおいて蒸気S1により昇温され、比較的高温度(例えば75~95℃)に昇温される。
蒸気熱交換器40Dにより加温された補助循環水W5は、補助循環ラインL5を通じて、貯湯タンク60に供給される。
【0119】
第1温度センサ42D(第1温度検知手段42D)は、補助循環ラインL5に設けられている。第1温度センサ42Dは、蒸気熱交換器40Dから流出する補助循環水W5の温度を検知する。
【0120】
給蒸ラインL21は、第1実施形態と同様、その上流側が不図示のスチームヘッダに接続され、その下流側は、蒸気熱交換器40Dに接続されている。給蒸ラインL21は、スチームヘッダからの蒸気S1を蒸気熱交換器40Dに送給する。給蒸ラインL21には、第1実施形態と同様の給蒸弁43が設けられている。
【0121】
蒸気加熱手段50Dの一部として構成される給蒸弁制御部150の制御内容は、第1実施形態で説明した制御内容と同様である。但し、制御に用いる検知温度としては、第1温度センサ42Dの検知温度が用いられる。すなわち、給蒸弁制御部150は、第1温度センサ42Dの検知温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように、給蒸弁43を制御する。
【0122】
このように、水循環ラインL1とは別のルートである補助循環ラインL5に蒸気熱交換器40Dを備えると共に、蒸気熱交換器40Dの出湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、貯湯タンク60には目標加熱温度の温水が蓄積される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。
【0123】
以上の構成により、ヒートポンプ回路10では、第1放熱用熱交換器12Aおよび/または第2放熱用熱交換器において比較的中温度(例えば50~70℃)の温水が生成される。この中温度の温水は、貯湯タンク内に貯留されている間に、補助循環ラインL5の流通を通じて蒸気S1により昇温されて比較的高温度(例えば75~95℃)の温水となる。これにより、ヒートポンプ回路10を高いCOPが期待できる中温出湯の条件で運転しつつ、温水需要箇所や温熱需要箇所で要求される高温の温水を速やかに製造することができる。また、蒸気S1は高い熱量を有しているので、熱源空気の温度に季節変動があり、ヒートポンプ回路10で生成される温水の温度が安定しない状態であっても、所要の給湯温度まで直ちに加熱することができる。
【0124】
続けて、第4実施形態の変形例について図面を参照しながら説明する。図8は、第4実施形態の変形例に係る給湯システムの構成を模式的に示す図である。本変形例は、蒸気加熱手段の構成が上記実施形態と異なる。本変形例は、蒸気加熱手段50Dに代えて、蒸気加熱手段51Dを備える。蒸気加熱手段51Dは、蒸気加熱手段50Dと比較すると、蒸気熱交換器40Dを備えていない代わりに、蒸気混合器41Dを備えている。
【0125】
蒸気混合器41Dは、補助循環ラインL5に設けられている。蒸気混合器41Dは、補助循環ラインL5を流通する補助循環水W5に対し、給蒸ラインL21から送給される蒸気S1を混合させる。これにより、補助循環水W5と蒸気S1の間で直接熱交換が行われ、その結果、補助循環ラインL5を流通する補助循環水W5が昇温する。このとき、蒸気S1の全熱、すなわち顕熱および潜熱が利用されて、補助循環ラインL5を流通する補助循環水W5が迅速に昇温する。本変形例においては、蒸気混合器として、スタティックミキサーが用いられている。スタティックミキサーは、駆動部のない静止型混合器であり、管内に配置した螺旋状のエレメントにより循環水W1に蒸気S1を混ぜ込む構成となっている。
【0126】
蒸気加熱手段51Dを構成する他の構成要素、すなわち、補助循環ラインL5、補助循環ポンプ45、第1温度センサ42D、給蒸ラインL21および給蒸弁43については、蒸気加熱手段50Dの各構成要素と同様である。また、蒸気加熱手段51Dの一部として構成される給蒸弁制御部150の制御内容についても、前述の制御内容と同様である。給蒸弁制御部150は、第1温度センサ42Dの検知温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように、給蒸弁43を制御する。
【0127】
なお、本変形例においても、第1実施形態の変形例と同様、蒸気ドレンラインL22および空気予熱器55は設けられていない。
【0128】
このように、水循環ラインL1とは別のルートである補助循環ラインL5に蒸気混合器41Dを備えると共に、蒸気混合器41Dの出湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、貯湯タンク60には目標加熱温度の温水が蓄積される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。
また、潜熱利用後に生じる蒸気凝縮水は循環する貯留水W3に加算されるので、温水製造能力もアップする。
【0129】
なお、第4実施形態およびその変形例においても、第1温度検知手段42Dとして、温度センサに代えて、感熱筒を用いても良い。第1温度検知手段42Dとして感熱筒が用いられる場合、給蒸弁43は、感熱筒の検知温度が目標加熱温度となるように、感熱筒が生成する弁駆動力により弁開度が調整される。この場合においては、制御部100は、給蒸弁制御部150を有していなくてもよい。
【0130】
以上説明した第4実施形態の給湯システム1によれば、(1)、(4)~(6)に加えて、以下のような効果を奏する。
【0131】
(11)本実施形態の給湯システム1の蒸気加熱手段50Dは、水循環ラインL1とは別のルートで貯湯タンク60内の貯留水W3を循環させる補助循環ラインL5と、補助循環ラインL5に設けられた補助循環ポンプ45と、補助循環ラインL5に設けられ、循環水W1と蒸気S1を伝熱体を介して熱交換させる蒸気熱交換器40Dと、蒸気熱交換器40Dに蒸気S1を送給する給蒸ラインL21と、給蒸ラインL21に設けられた給蒸弁43と、蒸気熱交換器40Dから流出する循環水W1の温度を検知する第1温度検知手段42D(第1温度センサ/感熱筒)と、を備え、給蒸弁43は、第1温度検知手段42Dの検知温度が目標加熱温度になるように(制御手段100により/感熱筒が生成する弁駆動力により)弁開度が調整される。
このように、水循環ラインL1とは別のルートである補助循環ラインL5に蒸気熱交換器40Dを備えると共に、蒸気熱交換器40Dの出湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、貯湯タンク60には目標加熱温度の温水が蓄積される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。
【0132】
(12)本実施形態の給湯システム1の蒸気加熱手段51Dは、水循環ラインL1とは別のルートで貯湯タンク60内の貯留水W3を循環させる補助循環ラインL5と、補助循環ラインL5に設けられた補助循環ポンプ45と、補助循環ラインL5に設けられ、循環水W1と蒸気S1を混合させる蒸気混合器41Dと、蒸気混合器41Dに蒸気S1を送給する給蒸ラインL21と、給蒸ラインL21に設けられた給蒸弁43と、蒸気混合器41Dから流出する循環水W1の温度を検知する第1温度検知手段42D(第1温度センサ/感熱筒)と、を備え、給蒸弁43は、第1温度検知手段42Dの検知温度が目標加熱温度になるように(制御手段100により/感熱筒が生成する弁駆動力により)弁開度が調整される。
このように、水循環ラインL1とは別のルートである補助循環ラインL5に蒸気混合器41Dを備えると共に、蒸気混合器41Dの出湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、貯湯タンク60には目標加熱温度の温水が蓄積される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。
また、潜熱利用後に生じる蒸気凝縮水は循環する貯留水W3に加算されるので、温水製造能力もアップする。
【0133】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について、図面を参照しながら説明する。図9は、本実施形態における給湯システム1の構成を模式的に示す図である。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0134】
図9に示すように、本実施形態の給湯システム1は、蒸気加熱手段50Aを備えていない。その代わりに、蒸気加熱手段50Eを備えている。蒸気加熱手段50Eは、貯湯タンク60内の貯留水W3を蒸気S1で加熱する。
【0135】
蒸気加熱手段50Eは、蒸気熱交換器40Eと、第1温度検知手段としての第1温度センサ42Eと、給蒸ラインL21と、給蒸弁43と、を備える。
【0136】
蒸気熱交換器40Eは、貯湯タンク60内に設けられている。蒸気熱交換器40Eは間接熱交換器であり、貯留水W3と蒸気S1を伝熱体を介して熱交換させる。蒸気熱交換器40Eとしては、例えば二重管方式の蒸気ヒータを用いることが可能である。この蒸気ヒータは、外管の内部に内管が挿入されており、外管の一端側に蒸気S1の供給口が設けられ、内管の先端に蒸気S1の受入口が設けられている。供給口から外管内に供給された蒸気S1は、外管の周囲の貯留水W3を管壁を介して加熱する。熱交換を終えた蒸気S1は、受入口から内管の内部を通って外管の外に導出される。貯湯タンク60への蒸気ヒータの固定方法としては、吊り下げ式、フランジ式、潜水式等の各種固定方法を採用することができる。貯湯タンク60内には、温調効率の向上と貯湯タンク60内の温度ムラの抑制のために撹拌器を設けてもよい。
第1放熱用熱交換器12Aおよび/または第2放熱用熱交換器12Bにおいて比較的中温度(例えば50~70℃)まで加温された貯留水W3は、蒸気熱交換器40Eにおいて蒸気S1により昇温され、比較的高温度(例えば75~95℃)に昇温される。
蒸気熱交換器40Eにより加温された貯留水W3は、貯湯タンク60内に蓄積される。
【0137】
本実施形態においては、貯湯タンク60に設けられている貯湯温度センサ61が、第1温度センサ42E(第1温度検知手段42E)としての役割を果たす。第1温度センサ42Eは、蒸気熱交換器40Eによって昇温された貯湯タンク60内の貯留水W3の温度を検知する。
【0138】
給蒸ラインL21は、第1実施形態と同様、その上流側が不図示のスチームヘッダに接続され、その下流側は、蒸気熱交換器40Eに接続されている。給蒸ラインL21は、スチームヘッダからの蒸気S1を蒸気熱交換器40Eに送給する。給蒸ラインL21には、第1実施形態と同様の給蒸弁43が設けられている。
【0139】
蒸気加熱手段50Eの一部として構成される給蒸弁制御部150の制御内容は、第1実施形態で説明した制御内容と同様である。但し、制御に用いる検知温度としては、第1温度センサ42Eの検知温度が用いられる。すなわち、給蒸弁制御部150は、第1温度センサ42Eの検知温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように、給蒸弁43を制御する。
【0140】
このように、貯湯タンク60内に配置された蒸気熱交換器40Eを備えると共に、貯湯タンク60内の貯湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、貯湯タンク60には目標加熱温度の温水が蓄積される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。
【0141】
以上の構成により、ヒートポンプ回路10では、第1放熱用熱交換器12Aおよび/または第2放熱用熱交換器において比較的中温度(例えば50~70℃)の温水が生成される。この中温度の温水は、貯湯タンク内に貯留されている間に、蒸気S1により昇温されて比較的高温度(例えば75~95℃)の温水となる。これにより、ヒートポンプ回路10を高いCOPが期待できる中温出湯の条件で運転しつつ、温水需要箇所や温熱需要箇所で要求される高温の温水を速やかに製造することができる。また、蒸気S1は高い熱量を有しているので、熱源空気の温度に季節変動があり、ヒートポンプ回路10で生成される温水の温度が安定しない状態であっても、所要の給湯温度まで直ちに加熱することができる。
【0142】
続けて、第5実施形態の変形例について図面を参照しながら説明する。図10は、第5実施形態の変形例に係る給湯システムの構成を模式的に示す図である。本変形例は、蒸気加熱手段の構成が上記実施形態と異なる。本変形例は、蒸気加熱手段50Eに代えて、蒸気加熱手段51Eを備える。蒸気加熱手段51Eは、蒸気加熱手段50Eと比較すると、蒸気熱交換器40Eを備えていない代わりに、蒸気混合器41Eを備えている。
【0143】
蒸気混合器41Eは、貯湯タンク60内に設けられている。蒸気混合器41Eは、貯湯タンク60内の貯留水W3に対し、給蒸ラインL21から送給される蒸気S1を混合させる。これにより、貯湯タンク60内の貯留水W3と蒸気S1の間で直接熱交換が行われ、その結果、貯湯タンク60内の貯留水W3が昇温する。このとき、蒸気S1の全熱、すなわち顕熱および潜熱が利用されて、貯湯タンク60内の貯留水W3が迅速に昇温する。本変形例においては、蒸気混合器41Eとして、スチームインジェクタが用いられている。スチームインジェクタの蒸気噴射部は、図10に示すように、分岐していてもよい。また、外周面に複数の蒸気噴射孔を有するパイプ型のスチームインジェクタを用いてもよい。
【0144】
蒸気加熱手段51Eを構成する他の構成要素、すなわち、第1温度センサ42E、給蒸ラインL21および給蒸弁43については、蒸気加熱手段50Eの各構成要素と同様である。また、蒸気加熱手段51Eの一部として構成される給蒸弁制御部150の制御内容についても、前述の制御内容と同様である。給蒸弁制御部150は、第1温度センサ42Eの検知温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように、給蒸弁43を制御する。
【0145】
なお、本変形例においても、第1実施形態の変形例と同様、蒸気ドレンラインL22および空気予熱器55は設けられていない。
【0146】
このように、貯湯タンク60内に配置された蒸気混合器41Eを備えると共に、貯湯タンク60内の貯湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、貯湯タンク60には目標加熱温度の温水が蓄積される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。
また、潜熱利用後に生じる蒸気凝縮水は貯留水W3に加算されるので、温水製造能力もアップする。
【0147】
なお、第5実施形態およびその変形例においても、第1温度検知手段42Eとして、温度センサに代えて、感熱筒を用いても良い。あるいは、第1温度検知手段42Eとして、貯湯温度センサ61とは別に、貯湯タンク60内の貯留水W3の温度を検知可能な感熱筒を配置してもよい。第1温度検知手段42Eとして感熱筒が用いられる場合、給蒸弁43は、感熱筒の検知温度が目標加熱温度となるように、感熱筒が生成する弁駆動力により弁開度が調整される。この場合においては、制御部100は、給蒸弁制御部150を有していなくてもよい。
【0148】
以上説明した第5実施形態の給湯システム1によれば、(1)、(4)~(6)に加えて、以下のような効果を奏する。
【0149】
(13)本実施形態の給湯システム1の蒸気加熱手段50Eは、貯湯タンク60内に配置され、貯留水W3と蒸気S1を伝熱体を介して熱交換させる蒸気熱交換器40Eと、蒸気熱交換器40Eに蒸気S1を送給する給蒸ラインL21と、給蒸ラインL21に設けられた給蒸弁43と、貯湯タンク60内の貯留水W3の温度を検知する第1温度検知手段42E(第1温度センサ/感熱筒)と、を備え、給蒸弁43は、第1温度検知手段42Eの検知温度が目標加熱温度になるように(制御手段100により/感熱筒が生成する弁駆動力により)弁開度が調整される。
このように、貯湯タンク60内に配置された蒸気熱交換器40Eを備えると共に、貯湯タンク60内の貯湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、貯湯タンク60には目標加熱温度の温水が蓄積される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。
【0150】
(14)本実施形態の給湯システム1の蒸気加熱手段51Eは、貯湯タンク60内に配置され、貯留水W3と蒸気S1を混合させる蒸気混合器41Eと、蒸気混合器41Eに蒸気S1を送給する給蒸ラインL21と、給蒸ラインL21に設けられた給蒸弁43と、貯湯タンク60内の貯留水W3の温度を検知する第1温度検知手段42E(第1温度センサ/感熱筒)と、を備え、給蒸弁43は、第1温度検知手段42Eの検知温度が目標加熱温度になるように(制御手段100により/感熱筒が生成する弁駆動力により)弁開度が調整される。
このように、貯湯タンク60内に配置された蒸気混合器41Eを備えると共に、貯湯タンク60内の貯湯温度が目標加熱温度(例えば90℃)になるように蒸気流量を調整することにより、貯湯タンク60には目標加熱温度の温水が蓄積される。これにより、ヒートポンプ回路10単独では製造が困難な温度レベルの温水を連続して生成しつつ、しかもその温度を安定させることができる。
また、潜熱利用後に生じる蒸気凝縮水は貯留水W3に加算されるので、温水製造能力もアップする。
【0151】
以上、本発明の給湯システムの好ましい各実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。また、複数の実施形態を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0152】
1 給湯システム
10 ヒートポンプ回路
11 圧縮機
12A 第1放熱用熱交換器(凝縮器)
12B 第2放熱用熱交換器(過冷却器)
13 膨張弁
14 吸熱用熱交換器(蒸発器)
18 第3温度センサ(熱源温度センサ)
21 水循環ポンプ
22 第2温度センサ(凝縮器出湯温度センサ)
25 補給水弁
40A、40B、40C、40D、40E 蒸気熱交換器
41A、41B、41C、41D、41E 蒸気混合器
42A、42B、42C、42D、42E 第1温度センサ(第1温度検知手段)
43 給蒸弁
45 補助循環ポンプ
50A、50B、50C、50D、50E 蒸気加熱手段
51A、51B、51C、51D、51E 蒸気加熱手段
55 空気予熱器
60 貯湯タンク
61 貯湯温度センサ
62 水位センサ
100 制御部(制御手段)
110 水循環ポンプ制御部
115 目標出湯温度設定部
120 補給水弁制御部
150 給蒸弁制御部
L1 水循環ライン
L2 補給水ライン
L4 給湯水ライン
L5 補助循環ライン
L9 冷媒循環ライン
L21 給蒸ライン
L22 蒸気ドレンライン
W1 循環水
W2 補給水
W3 貯留水
W4 給湯水
W5 補助循環水
R 冷媒(ガス冷媒、液冷媒)
S1 蒸気
S2 蒸気ドレン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10