(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028569
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】基準高さ出し用治具及びこの治具を用いるマーク付け方法。
(51)【国際特許分類】
E03F 5/04 20060101AFI20220208BHJP
【FI】
E03F5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020132058
(22)【出願日】2020-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000187600
【氏名又は名称】松岡コンクリート工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(72)【発明者】
【氏名】松岡 重吉
(72)【発明者】
【氏名】呉 偉軍
(72)【発明者】
【氏名】笹井 大義
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063CA02
2D063CA07
2D063CA42
(57)【要約】
【課題】側溝ブロックの側壁内面に予めガイド線を形成しておけば、インバートコンクリート打設作業における、墨糸の基準となるマークの高さを定めることが容易になる。しかしながら、側溝ブロックの製造コストを引き上げる。
【解決手段】側溝ブロックにインバートコンクリートを打設する際に基準となる高さを側溝ブロックの側壁内面へ指示する、基準高さ出し用治具であって、側溝ブロックの底面若しくは上部に支持されるベースと、該ベースから垂直方向に所定長さ離れて配置され、かつ側壁の内面に接触ないし対向する指示部と、を備えてなる基準高さ出し用治具。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側溝ブロックにインバートコンクリートを打設する際に基準となる高さを前記側溝ブロックの側壁内面へ指示する、基準高さ出し用治具であって、
前記側溝ブロックの底面若しくは上部に支持されるベースと、
該ベースから垂直方向に所定長さ離れて配置され、かつ前記側壁の内面に接触ないし対向する指示部と、
を備えてなる基準高さ出し用治具。
【請求項2】
前記ベースと前記指示部と間の長さを調整する、調整手段が更に備えられる、請求項1に記載の治具。
【請求項3】
前記ベースは前記側溝ブロックの底面に沿って配置される底部を備え、
前記ベースの上側に前記指示部を支える支柱が配置され、
前記支柱から前記指示部までの長さは、前記側溝ブロックの内幅の半分の長さより短い、
請求項1又は2に記載の治具。
【請求項4】
前記底面はその幅方向の中央部分が平坦面であり、前記側壁との間に傾斜面が形成されている側溝ブロックに適応される治具において、前記ベースは前記側溝ブロックの底面に沿って配置される底部を備え、
前記ベースの上側に前記指示部を支える支柱が配置され、
前記支柱から前記指示部までの長さは、前記側溝ブロックの内幅の半分の長さより長い。
【請求項5】
前記ベースは前記側溝ブロックの上縁若しくは蓋がかり部に架け渡され、
前記ベースの下側に前記指示部を支える支柱が配置される、
請求項1又は2に記載の治具。
【請求項6】
前記ベースは前記側溝ブロックの上部に支持され、
前記指示部は前記ベースから懸下されて、少なくとも側溝ブロックの側壁側へ搖動可能である、請求項1又は2に記載の治具。
【請求項7】
前記ベースにおいて前記側溝ブロックの幅方向の中央位置から前記指示部が懸下されている、請求項6に記載の治具。
【請求項8】
前記指示部はマーカーを保持するマーカー保持部を備える、請求項1~7のいずれかに記載の治具。
【請求項9】
側溝ブロックの側壁内面へ、請求項1~8のいずれかに記載の治具を用いて、インバートコンクリートの高さを規定するマークを付するマーク付け方法であって、
前記側溝ブロックの底面若しくは上部へ前記ベースをセットするステップと、
前記指示部を前記側溝ブロックの側壁の内面に接触若しくは対向させて基準高さを指示するステップと、
前記指示部の指示する基準高さに基づき、インバートコンクリートの高さ規定するマークを前記側壁内面に付するステップと、を備える、マーク付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側溝ブロックの側壁内面に対する基準高さ出し用治具及びこの治具を用いるマーク付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
側溝ブロックに敷設に際し、側溝ブロックの底面の傾斜を調整するため、インバートコンクリートを側溝ブロックに打設することがある。
このインバートコンクリートの打設をする際、インバートコンクリートの高さが所望の傾斜面となるように、側溝ブロックの側壁内面に墨糸を利用して黒線を描く。
この黒線を描く際、側溝ブロックの側壁内面の所定の位置の所定の高さにマークが付される。このマークに墨糸を合わせることで黒線は描かれる。
道路勾配に対応してインバートコンクリートの表面に所望の傾斜が得られるように、側溝ブロックの敷設設計図の作成時に、このマークの位置及びその高さが定められる。換言すれば、敷設されるブロックのなかで、選択されたブロックに対して、その所定の位置及び高さにマークが付されることとなる。
【0003】
側溝ブロックの敷設が終了した後、インバートコンクリートの打設作業が実行される。側溝ブロックは道路の基準点に基づき、敷設設計図通りに敷設される。即ち、側溝ブロックの端部の位置合わせや底面、上縁等の高さ合わせは敷設設計図通りになされている。
従って、作業現場では、先ずは、敷設設計図に基づき選択された側溝ブロックの所定の位置及び高さにマーク付けを行う。
このマーク付けを行う際、簡易な方法は、敷設された側溝ブロックの上縁においてマーク付けをする位置を定め、その位置から、例えばメジャーを垂らして、設計された高さを定めることである。
【0004】
この場合、側溝ブロック上縁からその側壁内面が垂直に形成されており、この側壁内面に沿わせてメジャー(図示せず、以下同じ)を垂下できることが前提となる。側壁内面に傾斜等があると、側溝ブロックの上縁からメジャーをおろしたとき、当該斜面等がメジャーに干渉して、メジャーを垂直に垂下することが困難になるからである。
たとえば、出願人が提供する、いわゆるCDブロックタイプの側溝ブロック1の場合(
図1参照)、その側壁内面4上縁側に蓋がかり部5が突設されており、更に、側壁内面4の中腹あたりから下方にテーパ面7が形成される。底面10においても中央部から両側へ傾斜面13が形成されている。
また、側壁内面104を垂直面とした汎用的な側溝ブロック101においても(
図6参照)、側壁内面104と底面110とはR面114でつながれており、マークを付す高さがこのR面114にかかるときは、側溝ブロック101の上縁115から側壁内面104に沿わせて垂直にメジャーを垂下できないことがある。
作業員が側溝ブロック1、101内に入って、その底面10、110を基準に側壁内面4、104の所定高さにマークを付する際にも、上記R面114や、傾斜面13、更にはテーパ面7が邪魔となる。
【0005】
そこで、従来では、側壁内面に予めガイド線を形成した側溝ブロックが提案されている(特許文献1参照)。かかるガイド線は側溝ブロックの上縁を基準として所定の高さに形成されているので、このガイド線に基づいて、求める高さを容易に定めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
既述のように、側溝ブロックの側壁内面に予めガイド線を形成しておけば、インバートコンクリート打設作業における、墨糸の基準となるマークの高さを定めることが容易になる。
しかしながら、黒線を描く際に、マーク付けは予め選択された側溝ブロックに対して行われるものであって、全ての側溝ブロックに対して行われるわけでない。インバートコンクリートの打設自体が行われないこともある。
【0008】
全ての側溝ブロックが当該ガイド線を必要としないのであれば、そもそもガイド線を側溝ブロックの側壁内面に形成すること自体に課題がある。即ち、ガイド線の作成のためには、側溝ブロックの金型において側壁内面を規定する部分に加工が必要となる。このため、離型作業に手間がかかり、側溝ブロックの作成のスループットが低下して、その製造コストの増加を引き起こしかねない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、何らガイド線を用いることなく、敷設された側溝ブロックの側壁内面の所望の高さに、簡易に、マーク付けをする方法を検討した。
その結果、下記の治具を用いれば、正確かつ簡易に側溝ブロックの側壁内面の所望の高さにマーク付けができることに気が付いた。
ここに治具とは、次のように規定される。
側溝ブロックにインバートコンクリートを打設する際に基準となる高さを前記側溝ブロックの側壁内面へ指示する、基準高さ出し用治具であって、
前記側溝ブロックの底面若しくは上部に支持されるベースと、
該ベースから垂直方向に所定長さ離れて配置され、かつ前記側壁内面に接触ないし対向する。
【0010】
かかる治具では、ベースに対して指示部が垂直方向に所定長さ離れて配置されているので、このベースを側溝ブロックの底面若しくはその上部(例えば上縁、蓋がかり部等の平坦を備える部分)へ設置すれば、側溝ブロック内において指示部の高さが特定される。この指示部は側壁内面に接触ないし対向するので、この指示部を基準にして側壁内面の所望の高さの部分に、簡易に、マーク付けをすることができる。
【0011】
即ち、この発明のマーク付け方法は次のように規定される。
側溝ブロックの側壁内面へ、上記の治具を用いて、インバートコンクリートの高さを規定するマークを付するマーク付け方法であって、
前記側溝ブロックの底面若しくは上部へ前記ベースをセットするステップと、
前記指示部を前記側溝ブロックの側壁内面に接触若しくは対向させて基準高さを指示するステップと、
前記指示部の指示する基準高さに基づき、インバートコンクリートの高さを規定するマークを前記側壁内面に付するステップと、を備える、マーク付け方法。
【0012】
上記治具30aを第1の局面の治具として、この発明の他の局面は次のように規定される。即ち、
第1の局面に規定の治具において、前記ベースと前記指示部と間の長さを調整する、調整手段が更に備えられる。
このように規定さえる第2の局面の治具によれば、指示部の高さを任意に調整できるので、マーク付け作業が容易になる。
調整手段として、実施例はベースから立設される支柱と、支柱から水平方向に展開するアームとを備える。アームの先端が指示部となる。アームの長さ、即ち支柱から指示部までの距離は、指示部が側面に凡そ届く長さがあればよい。底面に広い平坦面を備える側溝ブロックでは、ベースを側壁内面側に寄せて配置することにより、アームの長さ短くできる。
アームの長さは、平面からみたとき、アームの先端がベースの周縁より外側に突出しておればよい。
底面と側壁内面との間がR面でつながれていることを考慮すれば、ベースの周縁より突出するアームの長さは、当該R面の曲率半径より長くする。さらに、軽量化を考慮すれば、アームの長さは側溝ブロックの内幅の1/2以下とすることが好ましい。
【0013】
即ちこの発明の第3の局面は次のように規定される。
第2の局面に規定の治具において、前記ベースは前記側溝ブロックの底面に沿って配置される底部を備え、
前記ベースの上側に前記指示部を支える支柱が配置され、
前記支柱から前記指示部までの長さは、前記側溝ブロックの内幅の半分の長さより短い。
【0014】
この発明の第4の局面は次のように規定される。即ち、第1又は第2の局面に規定の治具であって、底面はその幅方向の中央部分が平坦面であり、前記側壁との間に傾斜面が形成されている側溝ブロックに適応される治具において、前記ベースは前記側溝ブロックの底面に沿って配置される底部を備え、
前記ベースの上側に前記指示部を支える支柱が配置され、
前記支柱から前記指示部までの長さは、前記側溝ブロックの内幅の半分の長さより長い。
このように規定される第3の局面の治具によれば、底面の中央部分のみが平坦に形成されているCDブロックタイプの側溝ブロックの側壁内面へ確実にマーク付けをすることができる。支柱から指示部までの長さを、上市されている側溝ブロックの内幅の1/2より長くしておけば、全てのタイプの側溝ブロックに適用可能となる。
【0015】
この発明の第5の局面は次のように規定される。即ち、第1又は第2の局面に規定の治具において、前記ベースは前記側溝ブロックの上縁若しくは蓋がかり部に架け渡され、
前記ベースの下側に前記指示部を支える支柱が配置される。
このように規定される第4の局面に規定の治具によれば、ベースを上縁若しくは蓋がかり部に設置できるので、作業性が向上する。
【0016】
この発明の第6の局面は次のように規定される。即ち、第1又は第2の局面に規定の治具において、前記ベースは前記側溝ブロックの上部に支持され、
前記指示部は前記ベースから懸下されて、少なくとも側溝ブロックの側壁側へ搖動可能である。
このように規定される第6の局面の治具によれば、ベースに対して指示部を搖動可能な構成としたので、例えば指示部を錘として、ベースから紐で吊り下げる構成を採用できる。よって、治具の軽量化を達成できる。
【0017】
この発明の第7の局面は次のように規定される。即ち、第6の局面に規定の治具において、前記ベースにおいて前記側溝ブロックの幅方向の中央位置から前記指示部が懸下されている。
このように規定される第7の治具によれば、側溝ブロックの内幅は設計通りに形成されているので、その中央位置から紐を吊り下げることにより、錘を搖動させたときにこれが側壁内面に衝突する高さの演算が容易になる。
【0018】
この発明の第8の局面は次のように規定される。即ち、第1~7のいずれかの局面に規定の治具において、前記指示部はマーカーを保持するマーカー保持部を備える。
このように規定される第6の局面の治具によれば、指示部にマーカー保持部が備えれるので、マーカーを選択することにより、任意色、大きさ、太さ、形状のマーク付けが可能となる。
【0019】
この発明の第9の局面は次のように規定される。即ち、側溝ブロックの側壁内面へ、請求項1~8のいずれかに記載の治具を用いて、インバートコンクリートの高さを規定するマークを付するマーク付け方法であって、
前記側溝ブロックの底面若しくは上部へ前記ベースをセットするステップと、
前記指示部を前記側溝ブロックの側壁の内面に接触若しくは対向させて基準高さを指示するステップと、
前記指示部の指示する基準高さに基づき、インバートコンクリートの高さ規定するマークを前記側壁内面に付するステップと、を備える、マーク付け方法。
このように規定される第11に規定のマーク付け方法によれば、側壁内面に何ら基準線を持たない側溝ブロックに対して、黒線引き用のマーク付けを容易に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1はCDブロックタイプの側溝ブロックに本発明の一つの実施形態の治具を設置した例を示す。
【
図2】
図2は他の実施形態の治具を示す正面図である。
【
図3】
図3は他の実施形態の治具を示す斜視図である。
【
図4】
図4は他の実施形態の治具を示す正面図である。
【
図5】
図5は他の実施形態の治具をCDブロックタイプの側溝ブロックに設置した例を示す。
【
図6】
図6は他の実施形態の治具を汎用的な側溝ブロックに設置した例を示す。
【
図7】
図7は他の実施形態の治具を汎用的な側溝ブロックに設置した例を示す。
【
図8】
図8は他の実施形態の治具をCDブロックタイプの側溝ブロックに設置した例を示す。
【
図9】
図9は
図8にいてベースを側溝ブロックの上縁に架け渡される板材とした例を示す。
【
図10】
図10は他の実施形態の治具をCDブロックタイプの側溝ブロックに設置した例を示す。
【
図11】
図11は他の実施形態の治具をCDブロックタイプの側溝ブロックに設置した例を示す。
【
図13】
図13は他の実施形態の治具を逆U字型の側溝ブロックに設置した例を示す。
【
図14】
図14は他の実施形態の治具を逆U字型の側溝ブロックに設置した他の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る治具30をCDブロックタイプの側溝ブロック1に設置した状態を示す。
この側溝ブロック1は側壁2と底壁3とを一体とした、断面U字型のコンクリート製側溝ブロックである。側壁2の内面(側壁内面)4の上縁側に蓋がかり部5が内側に向けて突設されている。この蓋がかり部5は平坦な上面6を備え、この上面6に蓋が載置される。側壁内面4において中腹以下の領域にはテーパ面7が形成される。このテーパ面7は底壁3側の中心に向けて傾斜している。
側溝ブロック1の底壁3の中央領域は平坦面11であり、平坦面11から離れるにつれて上方へ傾斜する傾斜面13が形成されている。傾斜面13の外側端縁とテーパ面7の下側端縁とはR面14でつながれている。
【0022】
治具30はベース40と指示部として先端部51とを備える。
ベース40は平面視が矩形若しくは円形のステンレス鋼製のブロックである。このベース40は平坦な底面を備え、側溝ブロック1の底面10において平坦面11に安定して載置される。このように、ベース40は側溝ブロックに対して安定して載置されれば、その形状若しくは材質は特に限定されない。例えば、側溝ブロックに接する底部に凸部若しくは脚部を設けて側溝ブロックの対向面に対して三点支持とすることができる。材質も、ステンレス鋼などの金属材料に限定されるものではなく、合成樹脂製、セラミックス製若しくは木製など任意の材料を選択できる。
【0023】
先端部51は側壁内面4へ対向している。ベース40に対する先端部51の垂直方向距離(高さ)を規定する高さ規定部53を備える。
先端部51は、それ自体を鋭利に形成して、先端部51を側壁内面4へ干渉させることで、側壁内面4へキズ、即ちマークを付することができる。また、先端部51にペンその他のマーカー手段を取り付けることにより、側壁内面4へマークを描くこともできる。
この例では、先端部51はベース40に対して一定の高さに維持されている。これにより、先端部51は側溝ブロック1の底壁3の上面から所定の高さに維持されることとなる。墨線用のマークの位置が先端部51の位置と異なるときは、作業員はこの先端部51を基準に所定の高さにマークを付することができる。
【0024】
ベース40と先端部51とをつなぐ高さ規定部53は、支柱55、アーム57及びバランス58を備えてなる。
支柱55はベース40から立設され、アーム57の基端側を支える。この支柱55の長さにより、ベース40に対する先端部51の垂直距離が規定される。
アーム57の先端が、マーク付け用の先端部51となりアーム57はその基端側で支柱55に支えられる。この例では、アーム57は支柱55に対して片持ちの状態となるので、バランス58を取り付けることでアーム57が傾斜することを防止している。
【0025】
ここに、アーム57において、支柱から先端部51までの距離は、CDブロックタイプの側溝ブロックではその内幅の1/2よりも長くする。この長さより短いと、底面中央の平坦面11にベース40を載置したとき、先端部51を側壁内面4へ当接ないし極近傍へ対向させられないので、マーク付けに誤差が生じることがある。
他方、この長さが長い分には、ベース40の位置をずらしつつ、アーム57を水平方向に回転させることで、側壁内面4の所望の位置の所望の高さにマーク付けすることができる。
【0026】
図2には、他の実施形態の治具31を示す。
この治具31では、支柱55の上端から2方向へアーム57、57が伸びている。これにより、各アーム57、57の先端部51、51(第1指示部、第2指示部)により、側溝ブロック1の両側壁内面4、4へ同時にマークを付けることができる。
なお、この例では、2本のアーム57、57はベース40からみて同じ高さにおいて180度の角度をもって、即ち直線状に配置されている。これにより、2つの先端部51、51はベース40の中心(基準)である支柱55の元部(ベース40に支えられている部分)から等距離に配置される。かつ、2つの先端部51、51とベース40の基準とは同一平面上に位置する。
2本のアーム57、57をベース40からみて異なる高さに配置することもできる。また、アーム57、57の間の角度も180度に限られるものではない。更には、支柱55には3本以上のアームを配置することも可能である。
【0027】
図3に他の実施形態の治具32を示す。
この治具32はベース41と指示板531を備える。
ベース41は円盤状、指示板531は逆台形状であり、ベース41と指示板531は同じ厚さの鋼板から切り出したもので、表面はめっきされている。指示板531の中央には穴533があけられている。これにより、軽量化と把持の容易さが得られる。
指示板531の両端(先端部535、535)間の距離は、側溝ブロックの内幅よりも長くすることが好ましい。
ベース41の中心から先端部535、535までの距離は等しく、かつそれらは同一平面上に位置する。
【0028】
図4に他の実施形態の治具33を示す。
図4において、
図1に示す治具30と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
この治具33では、支柱551を棒ねじとして、そこにナット555を螺合させる。このナット555にアーム57が溶接等の方法で固定される。
このように構成された治具33によれば、ナット555は支柱551に対して上下方向に移動可能である。よって、ベース40に対する先端部51の高さを任意に調整できる。
【0029】
図5に他の実施形態の治具34を示す。
図5において
図4と同一の機能を奏する要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
この治具34では、台形状のブレード板570の中心をナット555に固定して、アーム571、571とする。各アーム571、571の先端部537、537は鋭利に形成されており、この先端部537、537で少なくとも一方の側壁内面4を擦過することにより、そこにマークを付することができる。アーム571、571は、傾斜することを防止する観点から、左右均等とすることが好ましい。
なお、各アーム571、571は、CDブロックタイプの側溝ブロック1に適用する場合は、その内幅の1/2以上の長さとすることが好ましい。ベース40を底面中央の比較的狭い平坦面11に載置したとき、先端部537、537を側壁内面4へ確実に当接させるためである。なお、
図5では、説明の関係上、先端部537、537を側壁内面4から離した状態としている。
【0030】
図6は、汎用的なU字型側溝ブロック101に
図1に示したタイプの治具30aを適用した例を示す。
この側溝ブロック101は側壁102と底壁103とを一体とした、断面U字型のコンクリート製側溝ブロックである。側壁102の内面104はその上縁115から実質的に垂直に形成されている。底壁103の上面(底面)110のほぼ全域が平坦面111とされている。この平坦面111と側壁内面104とはR面114でつながれている。
【0031】
かかる側溝ブロック101に治具30aが適用される。なお、治具30aにおいて、治具30と同じ作用を奏する要素には同じ符号を付してその説明を部分的に省略する。
図6に示した治具30aでは、
図1の軸30より、アーム57aを短くした。平坦面111の幅が広くなったので、ベース40が平坦面111においてより側壁内面4側に偏在させられるからである。
このアーム57aは、その先端部51を側壁内面104に当接ないしその極近傍に対向させる長さがあれば特に限定されない。軽量化の観点から、アームの長さは側溝ブロック101の内幅の1/2以下とすることが好ましい。
【0032】
図7には、他の実施形態の治具33aを示す。なお、
図4に示す治具33と同じ作用を奏する要素には同じ符号を付してその説明を部分的に省略する。
図7の治具33aではそのベース40aを屈曲させて、側溝ブロック101の平坦面111、R面114及び側壁内面104に沿わせるようにした。このようにベース40aを縦横の面で支えることにより、側溝ブロック101に対する治具33aの安定性が向上する。
【0033】
図8には、他の実施形態の治具34aを示す。なお、
図5に示す治具34と同じ作用を奏する要素には同じ符号を付してその説明を部分的に省略する。
図8の治具34aでは、ベースとして蓋401を用いる。この蓋401は蓋がかり部5の上面6に載置される。蓋401に穿設された透孔(図示せず)に支柱551が通されて、ナット556で止められる。インバートコンクリートの敷設設計時に、透孔の位置に合わせてマークの位置が設定される。
ナット556に図示しないハンドルを設け、このハンドルを操作してアーム571、571を回動させることで、その先端部537、537により側壁内面4の所定の高さにマークを付することができる。
【0034】
図9の例では、蓋401の代わりに板材403を用いる。この板材403は、側溝ブロック1の上部に形成される平坦な上縁15、15の所定の位置に架け渡される。
この板材403は、上市されている最小幅の側溝ブロックの外幅よりも長く、かつ最大幅の側溝ブロックの外幅以下とし、かつ板材403に目盛り405を付して、種々の側溝ブロックに対しても板材403が幅方向に均等に載置されるようにする。
なお、支柱551の上端を支える位置は、側溝ブロックの幅方向において中央に限定されることはない。換言すれば、支柱551の上端を支える位置が、一方の側壁側に変位していても、先端部537が側壁内面4へ当接ないし極近傍に対向できればよい。なお、アーム571、571は均等に形成されることが好ましい。バランスをとってその傾斜を防ぐためである。
【0035】
図10に示す他の実施形態の治具34bでは、2つのベース40及び401を用いている。なお、
図5及び
図8と同一の機能を奏する要素には同一の符号を付してその説明を部分的に省略する。
この例のように、側溝ブロック1の底面に設置されるベース40と蓋401とにより支柱551を支えることにより、支柱551が安定する。もって、アーム571,571の各先端部537、537による高さ出しが正確になる。
蓋401に代えて、
図9に示す板材403を用いることもできる。
【0036】
図11には他の実施形態の治具35を示す。
この治具35は支持板404、紐553及び錘353を備える。
支持板404はベースとして側溝ブロック1の上縁15、15に架け渡される。支持板404の幅方向の中央に紐553が紐止め408で固定される。紐止め408が側溝ブロック1の幅方向中央に位置するように、支持板40の両端にはフランジ部406、406が設けられて、側溝ブロック1の側壁2、2の外周面に隙間なく嵌合される。
【0037】
支持板404に目盛りを設けて(
図9参照)、紐止め408の位置合わせをすることも可能である。
紐553は支持板404から垂下され、その下端に錘353が取り付けられる。この錘353の両端にはエッジ状の先端部538、538が形成されている。
錘353は、
図11の仮想線で示すように、搖動可能である。よって、側壁内面4、4へ錘353の先端部538、538を衝突させることにより、当該衝突部位にマーク付けをすることができる。
紐553の長さを調整することにより、側壁内面4の任意の高さにマーク付けできる。
【0038】
この例では、支持板404を調整して、紐553の支点を側溝ブロックの幅方向中央に位置させ、もって、少なくとも一方の側壁内面4の所定の高さにマークを付けられるようにしている。これにより、高さの演算が容易になる。勿論、紐553の支点は側溝ブロックの幅方向に変位可能であり、その場合は、側壁内面4に対する先端部538の衝突位置がずれることとなるが、そのずれによる高さ変化は演算可能であるで、当該ずれを見越して紐553の長さを調節する。
錘353の先端部538に墨を含侵させて、当該墨によりマークを描くこともできる。
【0039】
図12の例では、支持板404の代わりに、蓋401の中央から紐553を垂下させた。蓋401は蓋がかり部5,5の上に、実質的に隙間なく載置されるので、紐553の垂下位置を側溝ブロック1の幅方向中央位置と一致させやすい。
【0040】
図13には、逆U字に設置される側溝ブロック201へ取り付けられる治具35aを示す。なお、
図11に示す要素と同一の作用を奏する要素には同一の符号を付してその説明を部分的に省略する。
図13に示す側溝ブロック201は、
図6に示した側溝ブロック101を逆さにした形状である。即ち、側壁202と上壁203とを一体としたコンクリートブロック製品である。上壁202の中央に貫通したスリット205があけられている。
この治具35aはベース409、紐553及び錘353から構成される。
ベース409は、側溝ブロック201の上壁203の上面に固定される。かかるベース409として吸盤タイプのもの用いることができる。
この治具35aは、マークを付すべき位置が側溝ブロック201の端の近傍にあるときに利用できる。
【0041】
マークを付すべき位置が側溝ブロック201の中央付近、即ちスリット205の下方にあるときは、
図14及び
図15に示すように、紐553をスリット205に通す。紐553の上端はベースとなるロッド601に固定される。このロッド601は一対の支持板404(
図11参照)に架け渡されている。
図14、15に示す治具35bにおいて、支持板404は側溝ブロック201より幅広に設けられている。支持板404の上面には目盛りが付されており、これにより、ロッド601が側溝ブロック201の幅方向の中央に位置するように支持板404、404を容易にセットできる。
スリット205を利用することにより、
図8に示したタイプの治具34aが適用できることも、当業者であれば容易に想到できる。
かかる治具35bによれば、紐553を搖動させて錘353を側壁内面へ衝突させることにより、そこにマークを付すことができる。
【0042】
以上本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1、101、201 側溝ブロック
4、104 側壁内面
5 蓋がかり部
10、110 底面
15、115 上縁
30、30a、31、32、33、33a、34、34a、34b、35、35a、35b 治具
40、40a、41、409 ベース
50、531 指示部
55、551 支柱
401 蓋