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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028584
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】車両用駆動装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/40 20071001AFI20220208BHJP
   B60K 6/387 20071001ALI20220208BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20220208BHJP
   B60K 6/54 20071001ALI20220208BHJP
   B60K 6/50 20071001ALI20220208BHJP
   B60K 17/04 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
B60K6/40 ZHV
B60K6/387
B60K6/48
B60K6/54
B60K6/50
B60K17/04 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165066
(22)【出願日】2020-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2020131743
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】江崎 徳人
(72)【発明者】
【氏名】関 祐一
【テーマコード(参考)】
3D039
3D202
【Fターム(参考)】
3D039AA02
3D039AA04
3D039AB27
3D039AC02
3D039AC03
3D039AC32
3D039AD23
3D202AA08
3D202EE11
3D202EE16
3D202EE21
3D202EE23
3D202FF04
3D202FF13
3D202FF15
(57)【要約】
【課題】径方向の寸法を小さく抑えることが容易な車両用駆動装置を提供する。
【解決手段】車両用駆動装置には、第2回転部材RT2を第1回転部材RT1に対して相対的に回転可能に支持する第1軸受B1と、第1回転部材RT1をケース4に対して相対的に回転可能に支持する第2軸受B2と、が設けられ、第1回転部材RT1は、径方向外側R2を向く支持外周面11aと、径方向Rの一方側を向く第1径方向支持面13aと、を備え、第2回転部材RT2は、径方向内側R1を向く支持内周面51aを備え、ケース4の支持体41は、第1径方向支持面13aに対向する第2径方向支持面41aを備え、第1軸受B1は、支持外周面11aと支持内周面51aとの間に配置され、第2軸受B2は、径方向支持面13a,41aの間に配置され、第1軸受B1が、ロータRoに対して径方向内側R1であって、ロータRoと径方向視で重複する位置に配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に駆動連結される入力部材と、
車輪に駆動連結される出力部材と、
ロータを備え、前記車輪の駆動力源として機能する回転電機と、
前記回転電機の側から伝達される回転を変速して前記出力部材の側へ伝達する変速機と、
前記回転電機及び前記変速機を収容するケースと、を備え、
前記入力部材又は当該入力部材と一体的に回転する部材を第1回転部材とし、前記ロータ又は当該ロータと一体的に回転する部材を第2回転部材として、
前記第2回転部材が前記第1回転部材に対して相対的に回転するように、前記第2回転部材を前記第1回転部材に対して支持する第1軸受と、
前記第1回転部材が前記ケースに対して相対的に回転するように、前記第1回転部材を前記ケースに対して支持する第2軸受と、が設けられ、
前記ケースは、前記第2軸受を支持する支持体を備え、
前記第1回転部材は、径方向の外側を向く支持外周面と、前記径方向の一方側を向く第1径方向支持面と、を備え、
前記第2回転部材は、前記径方向の内側を向く支持内周面を備え、
前記支持体は、前記第1径方向支持面に対して前記径方向に対向する第2径方向支持面を備え、
前記第1軸受は、前記径方向における前記支持外周面と前記支持内周面との間に配置され、
前記第2軸受は、前記径方向における前記第1径方向支持面と前記第2径方向支持面との間に配置され、
前記第1軸受が、前記ロータに対して前記径方向の内側であって、前記ロータと前記径方向に沿う径方向視で重複する位置に配置されている、車両用駆動装置。
【請求項2】
前記第1軸受と前記第2軸受とが、前記径方向視で互いに重複するように配置されている、請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記入力部材と前記回転電機との間の動力伝達を断接する第1係合装置を更に備え、
前記第1係合装置は、第1摩擦部材と、前記第1摩擦部材を軸方向に押圧する第1ピストン部と、前記第1ピストン部の作動用の油が供給される第1作動油室と、を備え、
前記第1ピストン部及び前記第1作動油室の少なくとも一方が、前記径方向における前記第1軸受と前記第2軸受との間であって、前記第1軸受及び前記第2軸受の少なくとも一方と前記径方向視で重複する位置に配置されている、請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記回転電機と前記変速機との間の動力伝達を断接する第2係合装置を更に備え、
前記第2係合装置は、第2摩擦部材と、前記第2摩擦部材を前記軸方向に押圧する第2ピストン部と、前記第2ピストン部の作動用の油が供給される第2作動油室と、を備え、
前記第2係合装置は、前記第1係合装置に対して前記径方向の内側であって、前記第1係合装置と前記径方向視で重複する位置に配置され、
前記第1ピストン部と前記第2作動油室とが、前記径方向視で互いに重複するように配置され、
前記第1係合装置及び前記第2係合装置の双方が、前記ロータに対して前記径方向の内側であって、前記ロータと前記径方向視で重複する位置に配置されている、請求項3に記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
前記回転電機と前記変速機との間の動力伝達経路に配置された流体継手を更に備え、
前記流体継手は、前記ロータと一体的に回転する回転ハウジングと、前記第2係合装置であるロックアップクラッチと、を備え、
前記第2回転部材は、前記回転ハウジング又は当該回転ハウジングと一体的に回転する部材である、請求項4に記載の車両用駆動装置。
【請求項6】
前記第1径方向支持面は、前記径方向の内側を向くように形成され、
前記第2径方向支持面は、前記径方向の外側を向くように形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【請求項7】
前記第1回転部材と前記支持体との間を油密状に封止するシール部材を更に備え、
前記第1回転部材は、前記径方向の外側を向くシール用外周面を備え、
前記支持体は、前記径方向の内側を向くシール用内周面を備え、
前記シール部材は、前記径方向における前記シール用外周面と前記シール用内周面との間に配置されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【請求項8】
前記第1回転部材における前記第1軸受に接する面を形成する部分を第1支持部とし、前記第2回転部材における前記第1軸受に接する面を形成する部分を第2支持部とし、前記第1回転部材における前記第2軸受に接する面を形成する部分を第3支持部とし、前記支持体における前記第2軸受に接する面を形成する部分を第4支持部として、
前記シール部材は、前記第1軸受、前記第2軸受、前記第1支持部、前記第2支持部、前記第3支持部、及び前記第4支持部の少なくともいずれかと、前記径方向視で重複するように配置されている、請求項7に記載の車両用駆動装置。
【請求項9】
前記第1回転部材は、軸方向に沿う軸心を有する筒状に形成された外側筒状部と、前記軸方向に沿う軸心を有する筒状に形成されて、前記外側筒状部よりも前記径方向の内側に配置された内側筒状部と、前記径方向に沿って延在して、前記外側筒状部と前記内側筒状部とを接続する接続部と、を備え、
前記外側筒状部の外周面に、前記支持外周面が形成され、
前記内側筒状部の外周面に、前記シール用外周面が形成され、
前記接続部は、前記径方向の内側を向く段差面を有し、
前記段差面が前記第1径方向支持面である、請求項7又は8に記載の車両用駆動装置。
【請求項10】
前記支持体は、前記軸方向に沿う軸心を有する筒状に形成された筒状支持部と、前記筒状支持部から前記径方向の外側に向けて延在する径方向延在部と、を備え、
前記筒状支持部の外周面に、前記第2径方向支持面が形成され、
前記筒状支持部の内周面に、前記シール用内周面が形成され、
前記径方向延在部と前記接続部とが、前記軸方向に並んで配置されている、請求項9に記載の車両用駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、車輪の駆動力源として機能する回転電機と、回転電機の側から伝達される回転を変速して出力部材の側へ伝達する変速機と、回転電機及び変速機を収容するケースと、を備えた車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような車両用駆動装置の一例が、下記の特許文献1に開示されている。以下、「背景技術」及び「発明が解決しようとする課題」の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1の車両用駆動装置には、回転電機(MG)のロータ(Ro)を支持するロータ支持部材(3)を、ケース(2)に対して相対的に回転可能に支持する第1軸受(51)と、入力部材(I)をケース(2)に対して相対的に回転可能に支持する第2軸受(53)と、が設けられている。これらの軸受(51,53)のそれぞれは、ケース(2)に直接支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/187597号(図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の構成では、ケース(2)における2つの軸受(51,53)を支持するための部分が、径方向(R)に並べて配置されている。そのため、車両用駆動装置の径方向(R)への大型化を招き易かった。
【0006】
そこで、径方向の寸法を小さく抑えることが容易な車両用駆動装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、車両用駆動装置の特徴構成は、
内燃機関に駆動連結される入力部材と、
車輪に駆動連結される出力部材と、
ロータを備え、前記車輪の駆動力源として機能する回転電機と、
前記回転電機の側から伝達される回転を変速して前記出力部材の側へ伝達する変速機と、
前記回転電機及び前記変速機を収容するケースと、を備え、
前記入力部材又は当該入力部材と一体的に回転する部材を第1回転部材とし、前記ロータ又は当該ロータと一体的に回転する部材を第2回転部材として、
前記第2回転部材が前記第1回転部材に対して相対的に回転するように、前記第2回転部材を前記第1回転部材に対して支持する第1軸受と、
前記第1回転部材が前記ケースに対して相対的に回転するように、前記第1回転部材を前記ケースに対して支持する第2軸受と、が設けられ、
前記ケースは、前記第2軸受を支持する支持体を備え、
前記第1回転部材は、径方向の外側を向く支持外周面と、前記径方向の一方側を向く第1径方向支持面と、を備え、
前記第2回転部材は、前記径方向の内側を向く支持内周面を備え、
前記支持体は、前記第1径方向支持面に対して前記径方向に対向する第2径方向支持面を備え、
前記第1軸受は、前記径方向における前記支持外周面と前記支持内周面との間に配置され、
前記第2軸受は、前記径方向における前記第1径方向支持面と前記第2径方向支持面との間に配置され、
前記第1軸受が、前記ロータに対して前記径方向の内側であって、前記ロータと前記径方向に沿う径方向視で重複する位置に配置されている点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、第2回転部材が、第1軸受、第1回転部材、及び第2軸受を介して、ケースに対して回転可能に支持されている。そのため、ケースに、第2軸受を支持するための第2径方向支持面が形成されているのに対して、第1軸受を支持するための面が形成されておらず、第1回転部材に、第1軸受を支持するための支持外周面が形成されている。したがって、ケースに、第1軸受を支持するための部分と、第2軸受を支持するための部分とが、径方向に並んで配置された構成となることを避けることができる。その結果、車両用駆動装置の径方向の寸法を小さく抑えることが容易となっている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る車両用駆動装置の概略構成を示す模式図
図2】第1の実施形態に係る車両用駆動装置の部分断面図
図3】第1の実施形態に係る車両用駆動装置の部分拡大断面図
図4】第2の実施形態に係る車両用駆動装置の部分断面図
図5】第2の実施形態に係る車両用駆動装置の部分拡大断面図
図6】その他の実施形態に係る車両用駆動装置の部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.第1の実施形態
以下では、実施形態に係る車両用駆動装置100について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る車両用駆動装置100は、FF(Front Engine Front Drive)車両に搭載されるように構成されている。
【0011】
図1に示すように、車両用駆動装置100は、車輪Wの駆動力源として内燃機関EG及び回転電機MGの一方又は双方を用いる車両(ハイブリッド車両)を駆動するための装置である。つまり、車両用駆動装置100は、所謂、1モータパラレル方式のハイブリッド車両用の駆動装置として構成されている。
【0012】
以下の説明では、特に明記している場合を除き、回転電機MGの回転軸心を基準として、「軸方向L」、「径方向R」、及び「周方向」を定義している。そして、軸方向Lにおいて、内燃機関EGに対して回転電機MGが配置される側を「軸方向第1側L1」とし、その反対側を「軸方向第2側L2」とする。また、径方向Rにおいて、回転電機MGの回転軸心側を「径方向内側R1」とし、その反対側を「径方向外側R2」とする。なお、各部材についての方向は、それらが車両用駆動装置100に組み付けられた状態での方向を表す。また、各部材についての方向や位置等に関する用語は、製造上許容され得る誤差による差異を有する状態をも含む概念である。
【0013】
回転電機MGは、車輪Wの駆動力源として機能する。回転電機MGは、ステータStと、ロータRoと、を備えている。回転電機MGは、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを有している。そのため、回転電機MGは、蓄電装置(バッテリやキャパシタ等)と電気的に接続されている。回転電機MGは、蓄電装置から電力の供給を受けて力行し、或いは、内燃機関EGのトルクや車両の慣性力により発電した電力を蓄電装置に供給して蓄電させる。
【0014】
内燃機関EGは、回転電機MGと同様に、車輪Wの駆動力源として機能する。内燃機関EGは、燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す原動機(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等)である。
【0015】
図1に示すように、車両用駆動装置100は、上記の回転電機MGに加えて、入力部材1と、出力部材2と、変速機3と、ケース4と、を備えている。本実施形態では、車両用駆動装置100は、流体継手5と、切離用係合装置6と、カウンタギヤ機構CGと、差動歯車機構DFと、を更に備えている。
【0016】
入力部材1は、内燃機関EGに駆動連結されている。本実施形態では、伝達されるトルクの変動を減衰するダンパ装置DP(図2参照)を介して、内燃機関EGの出力軸に駆動連結されている。
【0017】
ここで、本願において「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。なお、伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば、摩擦係合装置、噛み合い式係合装置等が含まれていても良い。
【0018】
切離用係合装置6は、入力部材1と回転電機MGとの間の動力伝達経路に配置されている。切離用係合装置6は、入力部材1と回転電機MGとの間の動力伝達を断接する「第1係合装置CL1」に相当する。
【0019】
変速機3は、回転電機MGの側から伝達される回転を変速して出力部材2の側へ伝達する。本実施形態では、変速機3は、当該変速機3の入力要素としての変速入力軸31と、当該変速機3の出力要素としての変速出力ギヤ32と、を備えている。変速機3としては、例えば、複数の変速段を切り替え可能に備える有段自動変速機や、変速比を無段階で変更することが可能な無段自動変速機等の公知の各種自動変速機が用いられる。
【0020】
流体継手5は、回転電機MGと変速機3との間の動力伝達経路に配置されている。流体継手5は、回転ハウジング51を備えている。本実施形態では、流体継手5は、上記回転ハウジング51に加えて、ポンプインペラ52と、タービンランナ53と、ロックアップクラッチ54と、を備えたトルクコンバータである。
【0021】
回転ハウジング51は、回転電機MGのロータRoと一体的に回転するように連結されている。回転ハウジング51は、ポンプインペラ52及びタービンランナ53を収容している。ポンプインペラ52とタービンランナ53とは、軸方向Lに対向するように配置されている。本実施形態では、ポンプインペラ52がタービンランナ53に対して軸方向第1側L1で対向するように配置されている。ポンプインペラ52とタービンランナ53とは、互いに相対的に回転するように支持されている。ポンプインペラ52は、回転ハウジング51と一体的に回転するように連結されている。タービンランナ53は、変速機3の変速入力軸31と一体的に回転するように連結されている。
【0022】
ロックアップクラッチ54は、ポンプインペラ52とタービンランナ53とを選択的に直結係合状態とするように構成されている。つまり、ロックアップクラッチ54は、回転電機MGのロータRoと一体的に回転する回転ハウジング51と、変速機3の変速入力軸31とを、直結係合状態、及びポンプインペラ52とタービンランナ53との間で流体を介して動力を伝達する状態のいずれかに切り替え可能に構成されている。このように、ロックアップクラッチ54は、回転電機MGと変速機3との間の動力伝達を断接する「第2係合装置CL2」に相当する。
【0023】
カウンタギヤ機構CGは、当該カウンタギヤ機構CGの入力要素としてのカウンタ入力ギヤG1と、当該カウンタギヤ機構CGの出力要素としてのカウンタ出力ギヤG2と、を備えている。カウンタ入力ギヤG1は、変速機3の変速出力ギヤ32に噛み合っている。カウンタ出力ギヤG2は、カウンタ入力ギヤG1と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、カウンタ入力ギヤG1とカウンタ出力ギヤG2とは、軸方向Lに沿って延在するカウンタ軸CSを介して、一体的に回転するように連結されている。
【0024】
差動歯車機構DFは、カウンタギヤ機構CGのカウンタ出力ギヤG2に噛み合う差動入力ギヤG3を備えている。差動歯車機構DFは、当該差動歯車機構DFの入力要素としての差動入力ギヤG3の回転を、一対の出力部材2に分配する。
【0025】
出力部材2は、車輪Wに駆動連結されている。本実施形態では、一対の出力部材2のそれぞれが、ドライブシャフトDSを介して車輪Wに駆動連結されている。
【0026】
ケース4は、回転電機MG及び変速機3を収容している。本実施形態では、ケース4は、流体継手5、切離用係合装置6、カウンタギヤ機構CG、及び差動歯車機構DFも収容している。
【0027】
図2に示すように、回転電機MGのステータStは、非回転部材(ここでは、ケース4)に固定されたステータコアStcを有している。回転電機MGのロータRoは、ステータStに対して相対的に回転するロータコアRocを有している。
【0028】
本実施形態では、回転電機MGは、インナロータ型の回転電機であるため、ステータコアStcよりも径方向内側R1にロータコアRocが配置されている。
【0029】
また、本実施形態では、回転電機MGは回転界磁型の回転電機である。そのため、ステータコアStcには、当該ステータコアStcから軸方向Lの両側(軸方向第1側L1及び軸方向第2側L2)にそれぞれ突出するコイルエンド部Ceが形成されるようにステータコイルが巻装されている。また、ロータコアRocには、永久磁石(図示を省略)が設けられている。
【0030】
図2に示すように、車両用駆動装置100には、第2回転部材RT2が第1回転部材RT1に対して相対的に回転するように、第2回転部材RT2を第1回転部材RT1に対して支持する第1軸受B1と、第1回転部材RT1がケース4に対して相対的に回転するように、第1回転部材RT1をケース4に対して支持する第2軸受B2と、が設けられている。
【0031】
第1回転部材RT1は、入力部材1、又は当該入力部材1と一体的に回転する部材である。本実施形態では、第1回転部材RT1は、入力部材1である。
【0032】
第2回転部材RT2は、ロータRo、又は当該ロータRoと一体的に回転する部材である。本実施形態では、第2回転部材RT2は、流体継手5の回転ハウジング51、又は当該回転ハウジング51と一体的に回転する部材である。本例では、第2回転部材RT2は、回転ハウジング51である。
【0033】
図3に示すように、入力部材1は、径方向外側R2を向く支持外周面11aと、径方向Rの一方側を向く第1径方向支持面13aと、を備えている。回転ハウジング51は、径方向内側R1を向く支持内周面51aを備えている。本実施形態では、回転ハウジング51は、径方向外側R2を向くロータ支持面51bを更に備えている。ロータ支持面51bは、回転電機MGのロータRoを径方向内側R1から支持するように形成されている。つまり、ロータ支持面51bは、ロータRoの内周面に接するように形成されている。
【0034】
ケース4は、第1支持体41を備えている。第1支持体41は、第2軸受B2を支持する「支持体」である。第1支持体41は、第1径方向支持面13aに対して径方向Rに対向する第2径方向支持面41aを備えている。
【0035】
第1軸受B1は、径方向Rにおける支持外周面11aと支持内周面51aとの間に配置されている。本実施形態では、第1軸受B1の内周面と支持外周面11aとが接触すると共に、第1軸受B1の外周面と支持内周面51aとが接触するように、第1軸受B1が配置されている。本実施形態では、第1軸受B1は、回転ハウジング51を入力部材1に対して径方向Rに支持するラジアル軸受である。なお、本例では、第1軸受B1はラジアル玉軸受である。
【0036】
第2軸受B2は、径方向Rにおける第1径方向支持面13aと第2径方向支持面41aとの間に配置されている。本実施形態では、第2軸受B2の外周面と第1径方向支持面13aとが接触すると共に、第2軸受B2の内周面と第2径方向支持面41aとが接触するように、第2軸受B2が配置されている。本実施形態では、第2軸受B2は、入力部材1をケース4に対して径方向Rに支持するラジアル軸受である。なお、本例では、第2軸受B2はラジアル玉軸受である。
【0037】
第1軸受B1は、回転電機MGのロータRoに対して径方向内側R1であって、ロータRoと径方向Rに沿う径方向視で重複する位置に配置されている。本実施形態では、第1軸受B1及び第2軸受B2の双方が、回転電機MGのロータRoに対して径方向内側R1であって、ロータRoと径方向視で重複する位置に配置されている。
【0038】
本実施形態では、第1軸受B1と第2軸受B2とは、径方向Rに沿う径方向視で、互いに重複するように配置されている。ここで、第1軸受B1における軸方向Lの領域の半分以上が径方向視で第2軸受B2と重複し、第2軸受B2の軸方向Lの領域の半分以上が径方向視で第1軸受B1と重複していると好適である。本例では、第1軸受B1及び第2軸受B2における互いの軸方向Lの領域の4分の3以上が径方向視で重複している。なお、図示の例では、第1軸受B1の軸方向Lの寸法と第2軸受B2の軸方向Lの寸法とは同等である。本実施形態では、第1軸受B1は、第2軸受B2よりも径方向外側R2であって、径方向Rに沿う径方向視で第2軸受B2と重複する位置に配置されている。ここで、2つの要素の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線と直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの要素の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを指す。
【0039】
この構成によれば、第1軸受B1と第2軸受B2とが軸方向Lに並ぶように配置された構成と比べて、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑えることができる。
【0040】
本実施形態では、第1軸受B1及び第2軸受B2の双方が、回転電機MGに対して径方向内側R1であって、径方向Rに沿う径方向視で回転電機MGと重複する位置に配置されている。本例において、径方向視で回転電機MGと重複する範囲とは、コイルエンド部Ceを含むステータStにおける軸方向第1側L1の端部から軸方向第2側L2の端部までの軸方向Lの範囲(図2参照)である。
【0041】
この構成によれば、第1軸受B1及び第2軸受B2の少なくとも一方が回転電機MGに対して軸方向Lの一方側に配置された構成と比べて、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑えることができる。
【0042】
更に、本例では、第1軸受B1及び第2軸受B2の双方が、径方向Rに沿う径方向視でロータRoと重複する位置に配置されている。本例において、径方向視でロータRoと重複する範囲とは、ロータRo(ここでは、ロータコアRoc)における軸方向第1側L1の端部から軸方向第2側L2の端部までの軸方向Lの範囲である。
【0043】
この構成によれば、第1軸受B1及び第2軸受B2の少なくとも一方が回転電機MGのロータRoに対して軸方向Lの一方側に配置された構成と比べて、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑えることができる。
【0044】
本実施形態では、第1径方向支持面13aは、径方向内側R1を向くように形成され、
第2径方向支持面41aは、径方向外側R2を向くように形成されている。
【0045】
この構成によれば、ケース4における第1支持体41の第2径方向支持面41aよりも径方向内側R1に、径方向Rのおける第1回転部材RT1と第1支持体41との間に配置される部材を設置するスペースを確保することが容易となっている。つまり、第1軸受B1及び第2軸受B2に対して径方向Rの一方側に、径方向Rのおける第1回転部材RT1と第1支持体41との間に配置される部材を設置し易い構成となっている。これにより、径方向Rのおける第1回転部材RT1と第1支持体41との間に所定の部材を設置する場合であっても、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑えることが容易となっている。
【0046】
本実施形態では、図2に示すように、車両用駆動装置100には、回転ハウジング51をケース4に対して回転可能に支持する第3軸受B3及び第4軸受B4が設けられている。
【0047】
第3軸受B3は、回転ハウジング51をケース4に対して径方向Rに支持するラジアル軸受である。本実施形態では、第3軸受B3は、回転ハウジング51が備える軸方向延在部517を、ケース4の第2支持体42に対して径方向Rに支持する。なお、本例では、第3軸受B3は、ラジアルころ軸受である。
【0048】
軸方向延在部517は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成されている。そして、軸方向延在部517は、変速入力軸31に対して径方向外側R2を覆うように配置されている。ここで、第3軸受B3は、軸方向延在部517及び第2支持体42の少なくとも一方との間で、軸方向Lに移動可能に構成されている。これにより、回転ハウジング51の内部の油圧に起因する回転ハウジング51の膨張(所謂、バルーニング)等で、回転ハウジング51の軸方向Lの寸法の変動が生じた場合でも、軸方向延在部517が軸方向Lに移動することが許容される。
【0049】
第4軸受B4は、回転ハウジング51をケース4に対して軸方向Lに支持するスラスト軸受である。本実施形態では、第4軸受B4は、回転ハウジング51が備える径方向延在部518を、ケース4の第2支持体42に対して軸方向Lに支持する。なお、本例では、第4軸受B4はスラストころ軸受である。
【0050】
径方向延在部518は、回転ハウジング51におけるポンプインペラ52の外側を囲む部分であるポンプ収容部519と軸方向延在部517とを接続するように、径方向Rに沿って延在している。本実施形態では、径方向延在部518は、ポンプ収容部519の径方向内側R1の端部と、軸方向延在部517の軸方向第2側L2の端部とを接続するように形成されている。
【0051】
本実施形態では、第1軸受B1及び第2軸受B2は、流体継手5のポンプインペラ52及びタービンランナ53に対して軸方向第2側L2に配置されている。そして、第3軸受B3及び第4軸受B4は、流体継手5のポンプインペラ52及びタービンランナ53に対して軸方向第1側L1に配置されている。上述したように、本実施形態では、第1軸受B1、第2軸受B2、及び第3軸受B3のそれぞれはラジアル軸受である。そのため、本実施形態では、回転ハウジング51は、ポンプインペラ52及びタービンランナ53に対して軸方向第2側L2において、2つの軸受B1,B2を介してケース4に対して径方向Rに支持されていると共に、ポンプインペラ52及びタービンランナ53に対して軸方向第1側L1において、1つの軸受B3を介してケース4に対して径方向Rに支持されている。したがって、本実施形態では、回転ハウジング51を高い支持精度でケース4に対して径方向Rに支持できている。
【0052】
本実施形態では、軸方向Lにおける第4軸受B4と径方向延在部518との間に、軸方向Lに弾性を有する弾性部材10が設けられている。弾性部材10としては、圧縮コイルばね、皿ばね、ゴム又は合成樹脂製のワッシャ等、各種弾性部材を採用可能である。この弾性部材10が軸方向Lに弾性変形することにより、回転ハウジング51の内部の油圧に起因する回転ハウジング51の膨張(所謂、バルーニング)等で、回転ハウジング51の軸方向Lの寸法の変動が生じた場合でも、径方向延在部518が軸方向Lに移動することが許容される。つまり、径方向延在部518は、第4軸受B4及び弾性部材10により軸方向Lに支持されつつも、軸方向Lへの移動が許容される。なお、軸方向Lにおける第4軸受B4と径方向延在部518との間に弾性部材10を配置する代わりに、軸方向Lにおける第4軸受B4とケース4の第2支持体42との間に弾性部材10を配置しても良い。
【0053】
図3に示すように、本実施形態では、車両用駆動装置100は、入力部材1と第1支持体41との間を油密状に封止するシール部材Sを更に備えている。
【0054】
本実施形態では、入力部材1は、径方向外側R2を向くシール用外周面12aを備えている。また、本実施形態では、第1支持体41は、径方向内側R1を向くシール用内周面41bを備えている。シール部材Sは、径方向Rにおけるシール用外周面12aとシール用内周面41bとの間に配置されている。本実施形態では、シール部材Sは、第2軸受B2よりも径方向内側R1に配置されている。
【0055】
このように、本実施形態では、車両用駆動装置100は、第1回転部材RT1(ここでは、入力部材1)と第1支持体41との間を油密状に封止するシール部材Sを更に備え、
第1回転部材RT1は、径方向外側R2を向くシール用外周面12aを備え、
第1支持体41は、径方向内側R1を向くシール用内周面41bを備え、
シール部材Sは、径方向Rにおけるシール用外周面12aとシール用内周面41bとの間に配置されている。
【0056】
この構成によれば、第1回転部材RT1と第1支持体41との間から油が流出することを適切に回避することができる。また、本実施形態において、このように構成すれば、第1軸受B1及び第2軸受B2に対して径方向Rの一方側(ここでは、径方向内側R1)に、シール部材Sを配置することができる。これにより、径方向Rのおける第1回転部材RT1と第1支持体41との間にシール部材Sが配置される構成であっても、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑えることが容易となっている。
【0057】
本実施形態では、入力部材1は、外側筒状部11と、内側筒状部12と、接続部13と、を備えている。外側筒状部11は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成されている。内側筒状部12は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成されている。内側筒状部12は、外側筒状部11よりも径方向内側R1に配置されている。接続部13は、径方向Rに沿って延在するように形成されている。そして、接続部13は、外側筒状部11と内側筒状部12とを接続するように形成されている。図示の例では、外側筒状部11は、接続部13の径方向外側R2の端部から軸方向第1側L1に向けて延在するように形成されている。そして、内側筒状部12は、接続部13の径方向内側R1の端部から軸方向第2側L2に向けて延在するように形成されている。
【0058】
本実施形態では、外側筒状部11の外周面に、支持外周面11aが形成されている。そして、内側筒状部12の外周面に、シール用外周面12aである。また、接続部13は、径方向内側R1を向く段差面を有し、当該段差面が第1径方向支持面13aである。具体的には、接続部13に、径方向内側R1を向く段差面としての第1径方向支持面13aを形成する第1段差部131が設けられている。図示の例では、第1段差部131は、接続部13における第1段差部131よりも径方向内側R1の部分に対して軸方向第2側L2に屈曲すると共に、接続部13における第1段差部131よりも径方向外側R2の部分に対して軸方向第1側L1に屈曲するように形成されている。この第1段差部131における軸方向Lに延在する部分の内周面が、段差面としての第1径方向支持面13aとなっている。
【0059】
このように、本実施形態では、第1回転部材RT1(ここでは、入力部材1)は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成された外側筒状部11と、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成されて、外側筒状部11よりも径方向内側R1に配置された内側筒状部12と、径方向Rに沿って延在して、外側筒状部11と内側筒状部12とを接続する接続部13と、を備え、
外側筒状部11の外周面に、支持外周面11aが形成され、
内側筒状部12の外周面に、シール用外周面12aが形成され、
接続部13は、径方向内側R1を向く段差面を有し、
上記段差面が第1径方向支持面13aである。
【0060】
この構成によれば、第1回転部材RT1に、支持外周面11a、第1径方向支持面13a、及びシール用外周面12aを適切に形成することができる。
【0061】
本実施形態では、図2に示すように、ケース4は、上記の第1支持体41に加えて、第2支持体42と、筒状体43と、を備えている。筒状体43は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成されている。第1支持体41及び第2支持体42のそれぞれは、径方向Rに沿って延在するように形成されている。そして、第1支持体41と第2支持体42とは、互いに軸方向Lに間隔を空けて配置されている。本実施形態では、第2支持体42は、第1支持体41よりも軸方向第1側L1に配置されている。第1支持体41及び第2支持体42は、筒状体43から径方向内側R1に向けて延在するように、筒状体43に連結されている。本実施形態では、第1支持体41と第2支持体42と筒状体43とによって囲まれた空間に、回転電機MG、流体継手5、及び切離用係合装置6が配置されている。
【0062】
図3に示すように、本実施形態では、第1支持体41は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成された筒状支持部411と、当該筒状支持部411から径方向外側R2に向けて延在する径方向延在部412と、を備えている。本実施形態では、筒状支持部411は、入力部材1の内側筒状部12に対して径方向外側R2を覆うように形成されている。また、径方向延在部412は、筒状支持部411と筒状体43とを連結するように、径方向Rに沿って延在している。本実施形態では、径方向延在部412と入力部材1の接続部13とが、軸方向Lに並んで配置されている。ここでは、径方向延在部412と接続部13とは、それらの軸方向Lの間に他の部材が挟まれない状態で、互いに軸方向Lに対向して配置されている。図示の例では、径方向延在部412は、接続部13に対して軸方向第2側L2に隣接して配置されている。また、径方向延在部412と接続部13とは、互いに平行状に配置されている。
【0063】
本実施形態では、筒状支持部411の外周面に、第2径方向支持面41aが形成されている。そして、筒状支持部411の内周面は、シール用内周面41bである。
【0064】
このように、本実施形態では、第1支持体41は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成された筒状支持部411と、当該筒状支持部411から径方向外側R2に向けて延在する径方向延在部412と、を備え、
筒状支持部411の外周面に、第2径方向支持面41aが形成され、
筒状支持部411の内周面に、シール用内周面41bが形成され、
径方向延在部412と接続部13とが、軸方向Lに並んで配置されている。
【0065】
この構成によれば、ケース4の第1支持体41に、第2径方向支持面41a及びシール用内周面41bを適切に形成することができる。また、第1支持体41の径方向延在部412と第1回転部材RT1(ここでは、入力部材1)の接続部13とが軸方向Lに並んで配置されているため、これらの軸方向Lの配置領域を小さく抑え易く、延いては車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑え易くなっている。
【0066】
上述したように、本実施形態では、車両用駆動装置100は、回転電機MGと変速機3との間の動力伝達経路に配置された流体継手5を更に備え、
流体継手5は、ロータRoと一体的に回転する回転ハウジング51と、第2係合装置CL2であるロックアップクラッチ54と、を備え、
第2回転部材RT2は、回転ハウジング51又は当該回転ハウジング51と一体的に回転する部材である。
【0067】
この構成によれば、流体継手5の回転ハウジング51又は当該回転ハウジング51と一体的に回転する部材を利用して、適切に支持内周面51aを形成することができる。
【0068】
本実施形態では、回転ハウジング51は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成された筒状部511を備えている。図示の例では、筒状部511は、回転ハウジング51におけるタービンランナ53の外側を囲む部分であるタービン収容部520の径方向内側R1の端部から、軸方向第2側L2に向けて突出するように形成されている。本実施形態では、筒状部511の内周面に、支持内周面51aが形成されている。更に、筒状部511の外周面に、ロータ支持面51bが形成されている。
【0069】
このように、本実施形態では、第2回転部材RT2は、径方向外側R2を向くように形成されて、ロータRoを径方向内側R1から支持するロータ支持面51bを備え、
回転ハウジング51は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成された筒状部511を備え、
筒状部511の内周面に、支持内周面51aが形成され、
筒状部511の外周面に、ロータ支持面51bが形成されている。
【0070】
この構成によれば、回転電機MGのロータRoと第1軸受B1とを、回転ハウジング51の筒状部511を挟んで径方向Rに並ぶように配置することができる。したがって、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑えることが容易となる。
【0071】
本実施形態では、シール部材Sは、第1軸受B1、第2軸受B2、第1支持部SP1、第2支持部SP2、第3支持部SP3、及び第4支持部SP4の少なくともいずれかと、径方向Rに沿う径方向視で重複するように配置されている。図示の例では、シール部材Sは、第1軸受B1、第1支持部SP1、第2支持部SP2、及び第4支持部SP4と、径方向視で重複するように配置されている。
【0072】
第1支持部SP1は、第1回転部材RT1における第1軸受B1に接する面を形成する部分である。上述したように、本実施形態では、第1回転部材RT1である入力部材1の外側筒状部11は、径方向内側R1から第1軸受B1に接触する支持外周面11aを備えている。また、本実施形態では、外側筒状部11は、支持外周面11aに加えて、軸方向第1側L1から第1軸受B1に接触する第1側面11bを備えている。そのため、本実施形態では、第1支持部SP1は、外側筒状部11における、支持外周面11aを形成する部分及び第1側面11bを形成する部分である。なお、ここでの支持外周面11aを形成する部分及び第1側面11bを形成する部分とは、支持外周面11a及び第1側面11bのそれぞれに沿って広がる第1軸受B1に接触している領域に加えて、支持外周面11a及び第1側面11bのそれぞれから、当該各面とは反対側を向く面までの、板厚方向の全域を含む部分である。
【0073】
第2支持部SP2は、第2回転部材RT2における第1軸受B1に接する面を形成する部分である。上述したように、本実施形態では、第2回転部材RT2である回転ハウジング51の筒状部511は、径方向外側R2から第1軸受B1に接触する支持内周面51aを備えている。そのため、本実施形態では、第2支持部SP2は、筒状部511における、支持内周面51aを形成する部分である。なお、ここでの支持内周面51aを形成する部分とは、支持内周面51aに沿って広がる第1軸受B1に接触している領域に加えて、支持内周面51aから、当該面とは反対側を向く面までの、板厚方向の全域を含む部分である。
【0074】
第3支持部SP3は、第1回転部材RT1における第2軸受B2に接する面を形成する部分である。上述したように、本実施形態では、第1回転部材RT1である入力部材1の接続部13に形成された第1段差部131は、径方向外側R2から第2軸受B2に接触する第1径方向支持面13aを備えている。また、本実施形態では、第1段差部131は、第1径方向支持面13aに加えて、軸方向第1側L1から第2軸受B2に接触する第2側面13bを備えている。そのため、本実施形態では、第3支持部SP3は、第1段差部131における、第1径方向支持面13aを形成する部分及び第2側面13bを形成する部分である。なお、ここでの第1径方向支持面13aを形成する部分及び第2側面13bを形成する部分とは、第1径方向支持面13a及び第2側面13bのそれぞれに沿って広がる第2軸受B2に接触している領域に加えて、第1径方向支持面13a及び第2側面13bのそれぞれから、当該各面とは反対側を向く面までの、板厚方向の全域を含む部分である。
【0075】
第4支持部SP4は、第1支持体41における第2軸受B2に接する面を形成する部分である。上述したように、本実施形態では、第1支持体41の筒状支持部411は、径方向内側R1から第2軸受B2に接触する第2径方向支持面41aを備えている。また、本実施形態では、筒状支持部411は、第2径方向支持面41aに加えて、軸方向第2側L2から第2軸受B2に接触する支持側面41cを備えている。そのため、本実施形態では、第4支持部SP4は、筒状支持部411における、第2径方向支持面41aを形成する部分及び支持側面41cを形成する部分である。なお、ここでの第2径方向支持面41aを形成する部分及び支持側面41cを形成する部分とは、第2径方向支持面41a及び支持側面41cのそれぞれに沿って広がる第2軸受B2に接触している領域に加えて、第2径方向支持面41a及び支持側面41cのそれぞれから、当該各面とは反対側を向く面までの、板厚方向の全域を含む部分である。
【0076】
このように、本実施形態では、第1回転部材RT1(ここでは、入力部材1)における第1軸受B1に接する面を形成する部分を第1支持部SP1とし、第2回転部材RT2(ここでは、回転ハウジング51)における第1軸受B1に接する面を形成する部分を第2支持部SP2とし、第1回転部材RT1における第2軸受B2に接する面を形成する部分を第3支持部SP3とし、第1支持体41における第2軸受B2に接する面を形成する部分を第4支持部SP4として、
シール部材Sは、第1軸受B1、第2軸受B2、第1支持部SP1、第2支持部SP2、第3支持部SP3、及び第4支持部SP4の少なくともいずれかと、径方向Rに沿う径方向視で重複するように配置されている。
【0077】
この構成によれば、第1軸受B1、第2軸受B2、第1支持部SP1、第2支持部SP2、第3支持部SP3、及び第4支持部SP4に対して、シール部材Sが軸方向Lの一方側に配置された構成と比べて、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑えることができる。
【0078】
図3に示すように、本実施形態では、第1係合装置CL1としての切離用係合装置6は、第1摩擦部材61と、当該第1摩擦部材61を軸方向Lに押圧する第1ピストン部62と、当該第1ピストン部62の作動用の油が供給される第1作動油室63と、を備えている。
【0079】
第1摩擦部材61は、第1内側摩擦材611及び第1外側摩擦材612を含んでいる。第1内側摩擦材611及び第1外側摩擦材612は、いずれも円環板状に形成されており、互いに回転軸を一致させて(同軸に)配置されている。また、第1内側摩擦材611及び第1外側摩擦材612は複数枚ずつ設けられており、これらは軸方向Lに沿って交互に配置されている。第1内側摩擦材611及び第1外側摩擦材612は、いずれか一方をフリクションプレートとし、他方をセパレートプレートとすることができる。
【0080】
第1外側摩擦材612は、入力部材1が備える第1摩擦材支持部14によって径方向外側R2から支持されている。第1摩擦材支持部14は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成されている。本実施形態では、第1摩擦材支持部14は、外側筒状部11と一体的に回転するように連結されている。図示の例では、第1摩擦材支持部14は、外側筒状部11から軸方向第1側L1に向けて延在するように形成されている。そして、図示の例では、第1摩擦材支持部14は、外側筒状部11と一体的に形成されている。また、本実施形態では、第1摩擦材支持部14は、回転ハウジング51の筒状部511に対して径方向内側R1に配置されている。
【0081】
本例では、第1外側摩擦材612の外周部には、軸方向Lに延在する複数のスプライン溝が周方向に分散して形成されている。一方、第1摩擦材支持部14の内周部にも、同様のスプライン溝が周方向に分散して形成されている。そして、それらのスプライン溝同士を係合させることで、第1外側摩擦材612が第1摩擦材支持部14により径方向外側R2から支持される。こうして、第1外側摩擦材612は、第1摩擦材支持部14に対して相対回転が規制された状態で、軸方向Lに摺動可能に支持されている。
【0082】
第1内側摩擦材611は、回転ハウジング51が備える第2摩擦材支持部512によって径方向内側R1から支持されている。第2摩擦材支持部512は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成されている。本実施形態では、第2摩擦材支持部512は、回転ハウジング51の一部により構成され、筒状部511と一体的に回転するように連結されている。図示の例では、第2摩擦材支持部512は、筒状部511の軸方向第1側L1の端部から径方向内側R1に向けて延在し、更に軸方向第2側L2に向けて延在するように形成されている。
【0083】
本例では、第1内側摩擦材611の内周部には、軸方向Lに延在する複数のスプライン溝が周方向に分散して形成されている。一方、第2摩擦材支持部512の外周部にも、同様のスプライン溝が周方向に分散して形成されている。そして、それらのスプライン溝同士を係合させることで、第1内側摩擦材611が第2摩擦材支持部512により径方向内側R1から支持される。こうして、第1内側摩擦材611は、第2摩擦材支持部512に対して相対回転が規制された状態で、軸方向Lに摺動可能に支持されている。
【0084】
第1ピストン部62は、第1作動油室63に供給された油圧に応じた圧力で第1摩擦部材61を押圧するように構成されている。本実施形態では、第1ピストン部62は、第1摺動部621と、第1押圧部622と、を有している。
【0085】
本実施形態では、入力部材1の接続部13に、径方向外側R2を向く段差面132aを形成する第2段差部132が設けられている。図示の例では、第2段差部132は、軸方向第1側L1に突出するように形成されている。第1摺動部621は、第2段差部132の段差面132aと、入力部材1の外側筒状部11の内周面11cとを、軸方向Lに摺動するように構成されている。つまり、本実施形態では、第2段差部132と外側筒状部11とによって、第1摺動部621が摺動するシリンダ部が形成されている。第1摺動部621は、径方向R及び周方向に沿って延在する円環板状部と、当該円環板状部の径方向内側R1の端部及び径方向外側R2の端部のそれぞれから軸方向Lに延在する2つの筒状部とを有する有底の二重円筒状に形成されている。
【0086】
第1押圧部622は、第1摩擦部材61を軸方向Lに押圧する。本実施形態では、第1押圧部622は、第1摩擦部材61に対して軸方向第2側L2に隣接して配置されている。図示の例では、第1押圧部622は、第1摺動部621から軸方向第1側L1に向けて延在し、更に径方向外側R2に延在するように形成されている。
【0087】
第1作動油室63は、第1ピストン部62に対して軸方向Lに隣接して配置されている。本実施形態では、第1作動油室63は、第1摺動部621と、外側筒状部11と、第2段差部132と、接続部13における外側筒状部11と第2段差部132との間の部分とによって形成されている。
【0088】
本実施形態では、第1ピストン部62及び第1作動油室63の少なくとも一方は、径方向Rにおける第1軸受B1と第2軸受B2との間であって、径方向Rに沿う径方向視で第1軸受B1及び第2軸受B2の少なくとも一方と重複する位置に配置されている。図示の例では、第1ピストン部62及び第1作動油室63の双方が、径方向視で第1軸受B1及び第2軸受B2の双方と重複するように配置されている。
【0089】
このように、本実施形態では、入力部材1と回転電機MGとの間の動力伝達を断接する第1係合装置CL1(ここでは、切離用係合装置6)を更に備え、
第1係合装置CL1は、第1摩擦部材61と、当該第1摩擦部材61を軸方向Lに押圧する第1ピストン部62と、当該第1ピストン部62の作動用の油が供給される第1作動油室63と、を備え、
第1ピストン部62及び第1作動油室63の少なくとも一方が、径方向Rにおける第1軸受B1と第2軸受B2との間であって、径方向Rに沿う径方向視で第1軸受B1及び第2軸受B2の少なくとも一方と重複する位置に配置されている。
【0090】
この構成によれば、第1ピストン部62及び第1作動油室63の双方が第1軸受B1及び第2軸受B2に対して軸方向Lの一方側に配置された構成と比べて、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑えることができる。
【0091】
また、本実施形態では、第1ピストン部62は、径方向Rにおける第1軸受B1と第2軸受B2との間であって、径方向Rに沿う径方向視で第1軸受B1及び第2軸受B2の少なくとも一方と重複する位置に配置されている。図示の例では、第1ピストン部62は、径方向視で第1軸受B1及び第2軸受B2の双方と重複するように配置されている。
【0092】
この構成によれば、第1ピストン部62が第1軸受B1及び第2軸受B2に対して軸方向Lの一方側に配置された構成と比べて、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑えることができる。
【0093】
本実施形態では、複数の第1外側摩擦材612のうち、互いに軸方向Lに隣接する一対の第1外側摩擦材612の間のそれぞれに、周方向に沿って延在する円環状に形成されて、軸方向Lに弾性を有する第1弾性体64が配置されている。第1弾性体64は、第1作動油室63に供給された油圧が所定値未満の場合には、その弾性力によって、隣接する第1外側摩擦材612同士を軸方向Lに離間させる。これにより、切離用係合装置6の解放動作を適切に行い、摩擦材間の引き摺りトルクを低減することができると共に、遠心油圧等によって切離用係合装置6が意図せずに係合状態となることを回避することができる。なお、第1弾性体64として、例えばウェーブスプリングを採用可能である。
【0094】
図3に示すように、本実施形態では、第2係合装置CL2としてのロックアップクラッチ54は、第2摩擦部材55と、当該第2摩擦部材55を軸方向Lに押圧する第2ピストン部56と、当該第2ピストン部56の作動用の油が供給される第2作動油室57と、を備えている。
【0095】
第2摩擦部材55は、第2内側摩擦材551及び第2外側摩擦材552を含んでいる。第2内側摩擦材551及び第2外側摩擦材552は、いずれも円環板状に形成されており、互いに回転軸を一致させて(同軸に)配置されている。また、第2内側摩擦材551及び第2外側摩擦材552は複数枚ずつ設けられており、これらは軸方向Lに沿って交互に配置されている。第2内側摩擦材551及び第2外側摩擦材552は、いずれか一方をフリクションプレートとし、他方をセパレートプレートとすることができる。
【0096】
第2外側摩擦材552は、上記の第2摩擦材支持部512によって径方向外側R2から支持されている。本例では、第2外側摩擦材552の外周部には、軸方向Lに延在する複数のスプライン溝が周方向に分散して形成されている。一方、第2摩擦材支持部512の内周部にも、同様のスプライン溝が周方向に分散して形成されている。そして、それらのスプライン溝同士を係合させることで、第2外側摩擦材552が第2摩擦材支持部512により径方向外側R2から支持される。こうして、第2外側摩擦材552は、第2摩擦材支持部512に対して相対回転が規制された状態で、軸方向Lに摺動可能に支持されている。
【0097】
第2内側摩擦材551は、支持部材7によって支持されている。支持部材7は、流体継手5のタービンランナ53及び変速機3の変速入力軸31と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、変速入力軸31は、径方向外側R2に向けて延在する連結部311を有している。そして、連結部311の径方向外側R2の端部に対して、タービンランナ53の径方向内側R1の端部、及び支持部材7の径方向内側R1の端部が軸方向Lに重なり合った状態で、それらが一体的に連結されている。
【0098】
支持部材7は、第3摩擦材支持部71を備えている。第3摩擦材支持部71は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成されている。第3摩擦材支持部71は、支持部材7における変速入力軸31との連結部分から軸方向第2側L2に向けて延在するように形成されている。
【0099】
本例では、第2内側摩擦材551の内周部には、軸方向Lに延在する複数のスプライン溝が周方向に分散して形成されている。一方、第3摩擦材支持部71の外周部にも、同様のスプライン溝が周方向に分散して形成されている。そして、それらのスプライン溝同士を係合させることで、第2内側摩擦材551が第3摩擦材支持部71により径方向内側R1から支持される。こうして、第2内側摩擦材551は、第3摩擦材支持部71に対して相対回転が規制された状態で、軸方向Lに摺動可能に支持されている。
【0100】
第2ピストン部56は、第2作動油室57に供給された油圧に応じた圧力で第2摩擦部材55を押圧するように構成されている。本実施形態では、第2ピストン部56は、第2摺動部561と、第2押圧部562と、を有している。
【0101】
第2摺動部561は、回転ハウジング51が備えるシリンダ形成部513によって形成されたシリンダ部の内部を摺動するように構成されている。第2摺動部561は、径方向R及び周方向に沿って延在する円環板状に形成されている。
【0102】
シリンダ形成部513は、外周部514と、内周部515と、連結部516と、を有している。外周部514は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成されている。内周部515は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成されている。内周部515は、外周部514よりも径方向内側R1に配置されている。連結部516は、径方向Rに沿って延在するように形成されている。そして、連結部516は、外周部514と内周部515とを接続するように形成されている。図示の例では、外周部514は、連結部516の径方向外側R2の端部から軸方向第1側L1に向けて延在するように形成されている。そして、内周部515は、連結部516の径方向内側R1の端部から軸方向第1側L1に向けて延在するように形成されている。このように形成された外周部514と内周部515と連結部516とによって、第2摺動部561が摺動するシリンダ部が形成されている。
【0103】
第2押圧部562は、第2摩擦部材55を軸方向Lに押圧する。本実施形態では、第2押圧部562は、第2摩擦部材55に対して軸方向第2側L2に隣接して配置されている。図示の例では、第2押圧部562は、第2摺動部561の径方向外側R2の部分から軸方向第1側L1に突出するように形成されている。
【0104】
第2作動油室57は、第2ピストン部56に対して軸方向Lに隣接して配置されている。本実施形態では、第2作動油室57は、第2摺動部561と、外周部514と、内周部515と、連結部516とによって形成されている。
【0105】
本実施形態では、第2ピストン部56の第2摺動部561は、周方向に分散して配置された複数の付勢部材58によって、軸方向第1側L1に向けて付勢されている。付勢部材58は、第2作動油室57に供給された油圧が所定値未満の場合には、その付勢力によって第2ピストン部56を第2摩擦部材55から離間するように軸方向第1側L1へ移動させる。これにより、ロックアップクラッチ54の解放動作を適切に行うことができると共に、遠心油圧等によってロックアップクラッチ54が意図せずに係合状態となることを回避することができる。なお、付勢部材58として、例えば圧縮コイルばねを採用可能である。
【0106】
また、本実施形態では、複数の第2外側摩擦材552のうち、互いに軸方向Lに隣接する一対の第2外側摩擦材552の間のそれぞれに、周方向に沿って延在する円環状に形成されて、軸方向Lに弾性を有する第2弾性体59が配置されている。第2弾性体59は、第2作動油室57に供給された油圧が所定値未満の場合には、その弾性力によって、隣接する第2外側摩擦材552同士を軸方向Lに離間させる。これにより、ロックアップクラッチ54の解放動作を適切に行い、摩擦材間の引き摺りトルクを低減することができると共に、遠心油圧等によってロックアップクラッチ54が意図せずに係合状態となることを回避することができる。なお、第2弾性体59として、例えばウェーブスプリングを採用可能である。
【0107】
本実施形態では、ロックアップクラッチ54は、切離用係合装置6に対して径方向内側R1であって、径方向Rに沿う径方向視で切離用係合装置6と重複する位置に配置されている。図示の例では、ロックアップクラッチ54の第2摩擦部材55が、切離用係合装置6の第1摩擦部材61に対して径方向内側R1であって、径方向Rに沿う径方向視で第1摩擦部材61と重複する位置に配置されている。これは、上述したように、第2摩擦材支持部512が、第1摩擦部材61の第1内側摩擦材611を径方向内側R1から支持すると共に、第2摩擦部材55の第2外側摩擦材552を径方向外側R2から支持することによって実現されている。
【0108】
更に、本実施形態では、第1ピストン部62と第2作動油室57とが、径方向Rに沿う径方向視で互いに重複するように配置されている。また、本実施形態では、切離用係合装置6及びロックアップクラッチ54の双方が、回転電機MGのロータRoに対して径方向内側R1であって、ロータRoと径方向視で重複する位置に配置されている。
【0109】
このように、本実施形態では、回転電機MGと変速機3との間の動力伝達を断接する第2係合装置CL2(ここでは、ロックアップクラッチ54)を更に備え、
第2係合装置CL2は、第2摩擦部材55と、当該第2摩擦部材55を軸方向Lに押圧する第2ピストン部56と、当該第2ピストン部56の作動用の油が供給される第2作動油室57と、を備え、
第2係合装置CL2は、第1係合装置CL1(ここでは、切離用係合装置6)に対して径方向内側R1であって、径方向Rに沿う径方向視で第1係合装置CL1と重複する位置に配置され、
第1ピストン部62と第2作動油室57とが、径方向視で互いに重複するように配置され、
第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2の双方が、ロータRoに対して径方向内側R1であって、ロータRoと径方向視で重複する位置に配置されている。
【0110】
この構成によれば、第2係合装置CL2が第1係合装置CL1に対して軸方向Lの一方側に配置された構成と比べて、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑えることができる。
【0111】
また、本実施形態では、第1係合装置CL1(ここでは、切離用係合装置6)及び第2係合装置CL2(ここでは、ロックアップクラッチ54)の双方が、回転電機MGに対して径方向内側R1であって、径方向Rに沿う径方向視で回転電機MGと重複する位置に配置されている。
【0112】
この構成によれば、第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2の少なくとも一方が回転電機MGに対して軸方向Lの一方側に配置された構成と比べて、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑えることができる。
【0113】
本例では、第1係合装置CL1(ここでは、切離用係合装置6)及び第2係合装置CL2(ここでは、ロックアップクラッチ54)が、径方向Rに沿う径方向視でロータRoと重複する位置に配置されている。図示の例では、第1係合装置CL1の全体及び第2係合装置CL2の全体が、径方向視で、ロータRoと重複するように配置されている。
【0114】
この構成によれば、第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2の少なくとも一方がロータRoに対して軸方向Lの一方側に配置された構成と比べて、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑えることができる。
【0115】
2.第2の実施形態
以下では、第2の実施形態に係る車両用駆動装置100について、図面を参照して説明する。本実施形態は、第4軸受B4及び弾性部材10を備えておらず、固定部材20及び案内部材30を備えている点で、上記第1の実施形態と異なっている。また、本実施形態では、ロータRoの支持構造が上記第1の実施形態のものと異なっている。以下では、上記第1の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第1の実施形態と同様とする。
【0116】
図4に示すように、本実施形態では、第4軸受B4及び弾性部材10が設けられていない代わりに、固定部材20が設けられている。固定部材20は、第2軸受B2の軸方向Lの移動を規制する部材である。本実施形態では、固定部材20は、第2軸受B2がケース4における第1支持体41の筒状支持部411に対して軸方向Lに相対的に移動することを規制する。図示の例では、固定部材20は、円環状に形成され、第2軸受B2の内周面と筒状支持部411の外周面とのそれぞれに形成された溝部に嵌合されるスナップリングである。
【0117】
このように、本実施形態では、固定部材20によって第1支持体41の筒状支持部411に対する第2軸受B2の軸方向Lへの相対移動が規制されている。そのため、回転ハウジング51の内部の油圧に起因する回転ハウジング51の膨張(所謂、バルーニング)等により、回転ハウジング51の軸方向Lの寸法の変動が生じて、ケース4の第1支持体41が軸方向Lに変位するように変形した場合であっても、筒状支持部411から第2軸受B2が外れ難くなっている。
【0118】
本実施形態では、回転ハウジング51が筒状部511を備えておらず、回転ハウジング51に対してロータ支持部材9が一体的に回転するように連結されている。ロータ支持部材9は、ロータRoを径方向内側R1から支持する部材である。本実施形態では、ロータ支持部材9が第2回転部材RT2として機能する。図5に示すように、本実施形態では、ロータ支持部材9は、外周側支持部91と、内周側支持部92と、固定部93と、を備えている。
【0119】
外周側支持部91は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成されている。本実施形態では、外周側支持部91の外周面に、ロータ支持面51bが形成されている。そして、外周側支持部91の内周面に、支持内周面51aが形成されている。そのため、本実施形態では、外周側支持部91の一部が、第2回転部材RT2(ここでは、ロータ支持部材9)における第1軸受B1に接する面を形成する部分である第2支持部SP2として機能する。
【0120】
内周側支持部92は、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成されている。内周側支持部92は、外周側支持部91に対して径方向内側R1に配置されている。本実施形態では、第2摩擦材支持部512が第1内側摩擦材611を支持しておらず、内周側支持部92が第1内側摩擦材611を径方向内側R1から支持している。本例では、内周側支持部92の外周部に、第1内側摩擦材611の内周部に形成された複数のスプライン溝に係合する複数のスプライン溝が、軸方向Lに延在すると共に周方向に分散して形成されている。そして、第1内側摩擦材611のスプライン溝と内周側支持部92のスプライン溝とが互いに係合されることで、第1内側摩擦材611が内周側支持部92に対して相対回転が規制された状態で、軸方向Lに摺動可能に支持されている。なお、本実施形態では、第2摩擦材支持部512は、回転ハウジング51のタービン収容部520から軸方向第2側L2に延在するように形成されている。そして、第2摩擦材支持部512は、タービン収容部520と一体的に回転するように連結されている。本例では、タービン収容部520が切離用係合装置6の第1摩擦部材61に対して径方向内側R1まで延在しており、タービン収容部520の径方向内側R1の端部と、第2摩擦材支持部512の軸方向第1側L1の端部とが、溶接により連結されている。
【0121】
固定部93は、タービン収容部520と一体的に回転するように連結されている。図示の例では、固定部93は、タービン収容部520に対して軸方向第2側L2から当接した状態で、リベットによってタービン収容部520に連結されている。固定部93は、外周側支持部91と内周側支持部92とを接続するように、径方向Rに沿って延在している。本実施形態では、固定部93は、外周側支持部91の軸方向第1側L1の端部と、内周側支持部92の軸方向第1側L1の端部とを接続するように形成されている。
【0122】
本実施形態では、径方向Rにおける内周側支持部92と第2摩擦材支持部512との間に、油路P1が形成されている。本例では、内周側支持部92の内周部に、第2摩擦材支持部512の外周部に形成された複数のスプライン溝に係合する複数のスプライン溝が、軸方向Lに延在すると共に周方向に分散して形成されている。そして、第2摩擦材支持部512のスプライン溝と内周側支持部92のスプライン溝との間に油路P1が形成されている。また、図示は省略するが、本実施形態では、内周側支持部92を径方向Rに貫通する貫通孔P2が、油路P1に連通するように形成されている。これにより、油路P1に供給された油が、内周側支持部92の貫通孔P2を通って切離用係合装置6の第1摩擦部材61に流動する。したがって、第1摩擦部材61を適切に潤滑することができる。
【0123】
また、本実施形態では、油路P1に油を案内する案内部材30が設けられている。本実施形態では、案内部材30は、第1ピストン部62から油路P1に向けて延在するように、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成されている。図示の例では、案内部材30は、第1ピストン部62の第1摺動部621における軸方向Lに沿って延在する部分に対して径方向内側R1から接触した状態で、第1摺動部621と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、軸方向Lに沿う軸心を有する筒状に形成された変速入力軸31の回転に伴って、変速入力軸31の内部から、径方向連通孔P3を通って、回転ハウジング51のシリンダ形成部513と入力部材1の接続部13及び第1ピストン部62との間に油が供給される。そして、シリンダ形成部513と接続部13及び第1ピストン部62との間を油が径方向外側R2に流動し、案内部材30に到達する。案内部材30に到達した油は、案内部材30の内周面に沿って軸方向第1側L1に流動し、径方向Rにおける内周側支持部92と第2摩擦材支持部512との間に形成された油路P1に供給される。
【0124】
上記第1の実施形態では図示及び説明を省略したが、図4に示すように、車両用駆動装置100は、回転電機MGのロータRoの回転を検出する回転センサ8を備えている。本実施形態では、回転センサ8は、固定体81と、回転体82と、を備えている。
【0125】
固定体81は、ケース4に対して固定されている。本実施形態では、固定体81は、ケース4の第2支持体42に支持されている。回転体82は、ロータRo又はロータRoと一体的に回転する部材と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、回転体82は、回転ハウジング51と一体的に回転するように連結されている。
【0126】
本実施形態では、回転体82は、円環板状に形成され、複数の歯が周方向に分散配置されている。そして、固定体81は、回転体82における複数の歯を検出対象とし、当該検出対象に基づく信号を出力する。図示の例では、回転体82の内周部に、複数の歯が形成されている。そして、回転体82の外周部が、回転ハウジング51のポンプ収容部519に支持されている。また、図示の例では、ポンプ収容部519が径方向延在部518よりも軸方向第1側L1に膨んだ形状を有しており、ポンプ収容部519に対して径方向内側R1であって、径方向Rに沿う径方向視でポンプ収容部519と重複する位置に回転体82が配置されている。そして、固定体81が、軸方向第1側L1から回転体82に対向するように配置されている。
【0127】
本例では、この回転センサ8は、インダクティブセンサ(誘導型近接センサ)を用いたものである。なお、回転センサ8の種類は上記に限定されず、例えば、レゾルバ、ホール素子センサ、エンコーダ、磁気式回転センサ等の各種センサを用いて構成することができる。
【0128】
3.その他の実施形態
(1)上記第1の実施形態では、ケース4における第1支持体41の筒状支持部411と、入力部材1の内側筒状部12との径方向Rの間に、シール部材Sが配置された構成を例として説明した。シール部材Sが配置される筒状支持部411と内側筒状部12との径方向Rの間の大きさは特に限定されない。例えば、図6に示すように、筒状支持部411と内側筒状部12との径方向Rの間隔が、上記第1の実施形態のものよりも大きい構成としても良い。この場合、シール部材Sは、上記第1の実施形態のものと比べて、径方向Rの厚み(外径と内径との差)が大きいものが用いられる。なお、図6に示す例では、シール部材Sは、径方向視で第2軸受B2と重複するように配置されている。
【0129】
(2)上記の実施形態では、第1径方向支持面13aが径方向内側R1を向くように形成され、第2径方向支持面41aが径方向外側R2を向くように形成された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1径方向支持面13aが径方向外側R2を向くように形成され、第2径方向支持面41aが径方向内側R1を向くように形成されていても良い。
【0130】
(3)上記の実施形態では、第1軸受B1と第2軸受B2とが、径方向Rに沿う径方向視で互いに重複するように配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1軸受B1が第2軸受B2に対して軸方向Lの一方側に配置されていても良い。
【0131】
(4)上記の実施形態では、入力部材1が外側筒状部11と内側筒状部12と接続部13とを備え、外側筒状部11に支持外周面11aが形成され、内側筒状部12にシール用外周面12aが形成され、接続部13に第1径方向支持面13aが形成された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、入力部材1が外側筒状部11を備えておらず、接続部13に支持外周面11aが形成された構成としても良い。
【0132】
(5)上記の実施形態では、ケース4の第1支持体41が筒状支持部411と径方向延在部412とを備え、筒状支持部411に第2径方向支持面41a及びシール用内周面41bの双方が形成された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第1支持体41が、筒状支持部411よりも径方向内側R1に配置された筒状の内側筒状支持部を更に備え、当該内側筒状支持部にシール用内周面41bが形成され、筒状支持部411に第2径方向支持面41aが形成された構成としても良い。
【0133】
(6)上記第2の実施形態では、第2回転部材RT2として機能するロータ支持部材9が、流体継手5の回転ハウジング51と一体的に回転するように連結された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、流体継手5を備えておらず、ロータ支持部材9が第2係合装置CL2を介して変速入力軸31に駆動連結された構成としても良い。
【0134】
(7)上記の実施形態では、切離用係合装置6の第1ピストン部62及び第1作動油室63の少なくとも一方が、径方向Rにおける第1軸受B1と第2軸受B2との間であって、径方向Rに沿う径方向視で第1軸受B1及び第2軸受B2の少なくとも一方と重複する位置に配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1ピストン部62及び第1作動油室63の双方が第1軸受B1及び第2軸受B2の双方と径方向視で重複しないように配置されていても良い。
【0135】
(8)上記の実施形態では、切離用係合装置6の第1ピストン部62が、径方向Rにおける第1軸受B1と第2軸受B2との間であって、径方向Rに沿う径方向視で第1軸受B1及び第2軸受B2の少なくとも一方と重複する位置に配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1ピストン部62が第1軸受B1及び第2軸受B2の双方と径方向視で重複しないように配置されていても良い。
【0136】
(9)上記の実施形態では、第2係合装置CL2としてのロックアップクラッチ54が、第1係合装置CL1としての切離用係合装置6に対して径方向内側R1であって、径方向Rに沿う径方向視で切離用係合装置6と重複する位置に配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第2係合装置CL2が第1係合装置CL1に対して軸方向Lの一方側に配置された構成としても良い。
【0137】
(10)上記の実施形態では、第1係合装置CL1としての切離用係合装置6及び第2係合装置CL2としてのロックアップクラッチ54の双方が、回転電機MGのロータRoに対して径方向内側R1であって、径方向Rに沿う径方向視でロータRoと重複する位置に配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2のいずれか一方のみが、径方向視でロータRoと重複する位置に配置されていても良い。また、第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2の双方が、径方向Rに沿う径方向視で、ロータRoと重複せず、ステータStと重複するように配置されていても良い。或いは、第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2の双方が、径方向Rに沿う径方向視で、回転電機MGと重複しないように配置されていても良い。
【0138】
(11)上記の実施形態では、第1軸受B1及び第2軸受B2の双方が、回転電機MGのロータRoに対して径方向内側R1であって、径方向Rに沿う径方向視でロータRoと重複する位置に配置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第1軸受B1のみが、径方向視でロータRoと重複する位置に配置され、第2軸受B2が径方向視でロータRoと重複しない位置に配置されていても良い。この場合において、第2軸受B2が、径方向視でロータRoと重複せず、ステータStと重複するように配置されていても良い。或いは、第2軸受B2が、径方向視で回転電機MGと重複しないように配置されていても良い。
【0139】
(12)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。したがって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本開示に係る技術は、内燃機関に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、車輪の駆動力源として機能する回転電機と、回転電機の側から伝達される回転を変速して出力部材の側へ伝達する変速機と、回転電機及び変速機を収容するケースと、を備えた車両用駆動装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0141】
100:車両用駆動装置、1:入力部材、11a:支持外周面、13a:第1径方向支持面、2:出力部材、3:変速機、4:ケース、41:第1支持体(支持体)、41a:第2径方向支持面、51a:支持内周面、RT1:第1回転部材、RT2:第2回転部材、B1:第1軸受、B2:第2軸受、MG:回転電機、Ro:ロータ、EG:内燃機関、W:車輪、R:径方向、R1:径方向内側、R2:径方向外側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に駆動連結される入力部材と、
車輪に駆動連結される出力部材と、
ロータを備え、前記車輪の駆動力源として機能する回転電機と、
前記回転電機の側から伝達される回転を変速して前記出力部材の側へ伝達する変速機と、
前記回転電機及び前記変速機を収容するケースと、を備え、
前記入力部材又は当該入力部材と一体的に回転する部材を第1回転部材とし、前記ロータ又は当該ロータと一体的に回転する部材を第2回転部材として、
前記第2回転部材が前記第1回転部材に対して相対的に回転するように、前記第2回転部材を前記第1回転部材に対して支持する第1軸受と、
前記第1回転部材が前記ケースに対して相対的に回転するように、前記第1回転部材を前記ケースに対して支持する第2軸受と、が設けられ、
前記ケースは、前記第2軸受を支持する支持体を備え、
前記第1回転部材は、径方向の外側を向く支持外周面と、前記径方向の一方側を向く第1径方向支持面と、を備え、
前記第2回転部材は、前記径方向の内側を向く支持内周面を備え、
前記支持体は、前記第1径方向支持面に対して前記径方向に対向する第2径方向支持面を備え、
前記第1軸受は、前記径方向における前記支持外周面と前記支持内周面との間に配置され、
前記第2軸受は、前記径方向における前記第1径方向支持面と前記第2径方向支持面との間に配置され、
前記第1軸受が、前記ロータに対して前記径方向の内側であって、前記ロータと前記径方向に沿う径方向視で重複する位置に配置されている、車両用駆動装置。
【請求項2】
前記第1軸受及び前記第2軸受の双方が、前記ロータに対して前記径方向の内側であって、前記ロータと前記径方向視で重複する位置に配置され、
前記第1軸受と前記第2軸受とが、前記径方向視で互いに重複するように配置されている、請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記入力部材と前記回転電機との間の動力伝達を断接する第1係合装置を更に備え、
前記第1係合装置は、第1摩擦部材と、前記第1摩擦部材を軸方向に押圧する第1ピストン部と、前記第1ピストン部の作動用の油が供給される第1作動油室と、を備え、
前記第1ピストン部及び前記第1作動油室の少なくとも一方が、前記径方向における前記第1軸受と前記第2軸受との間であって、前記第1軸受及び前記第2軸受の少なくとも一方と前記径方向視で重複する位置に配置されている、請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記回転電機と前記変速機との間の動力伝達を断接する第2係合装置を更に備え、
前記第2係合装置は、第2摩擦部材と、前記第2摩擦部材を前記軸方向に押圧する第2ピストン部と、前記第2ピストン部の作動用の油が供給される第2作動油室と、を備え、
前記第2係合装置は、前記第1係合装置に対して前記径方向の内側であって、前記第1係合装置と前記径方向視で重複する位置に配置され、
前記第1ピストン部と前記第2作動油室とが、前記径方向視で互いに重複するように配置され、
前記第1係合装置及び前記第2係合装置の双方が、前記ロータに対して前記径方向の内側であって、前記ロータと前記径方向視で重複する位置に配置されている、請求項3に記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
前記回転電機と前記変速機との間の動力伝達経路に配置された流体継手を更に備え、
前記流体継手は、前記ロータと一体的に回転する回転ハウジングと、前記第2係合装置であるロックアップクラッチと、を備え、
前記第2回転部材は、前記回転ハウジング又は当該回転ハウジングと一体的に回転する部材である、請求項4に記載の車両用駆動装置。
【請求項6】
前記第1径方向支持面は、前記径方向の内側を向くように形成され、
前記第2径方向支持面は、前記径方向の外側を向くように形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。