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特開2022-28620製造プロセスにおける因果推論のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028620
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】製造プロセスにおける因果推論のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/903 20190101AFI20220208BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20220208BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20220208BHJP
   G06F 16/906 20190101ALI20220208BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20220208BHJP
【FI】
G06F16/903
G05B19/418 Z
G05B23/02 302Z
G06F16/906
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120457
(22)【出願日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】63/060,524
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/326,149
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】サーマン・モスタファヴィ
(72)【発明者】
【氏名】アジェイ・ラガヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ホン・ユウ
(72)【発明者】
【氏名】ドクウ・チュン
【テーマコード(参考)】
3C100
3C223
5B175
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA57
3C100AA58
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB33
3C223AA11
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB02
3C223EB07
3C223FF02
3C223FF03
3C223FF12
3C223FF22
3C223FF32
3C223FF35
3C223FF42
3C223FF45
3C223FF52
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH03
3C223HH08
3C223HH29
5B175DA10
5B175FA03
5B175FB04
5B175KA12
5L049CC04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製造プロセスにおける因果推論を判定するコンピュータ実装方法及びコンピュータシステムを提供する。
【解決手段】システムは、相互接続されたマシンのセット及び関連するプロセスのセットを含む処理システムに関連付けられたデータを受信し、データに基づいて、プロセスの一部としてマシン間の出力の流れを示すグラフを生成し、変数のセットに基づいて、グラフ内の1つ以上の候補クラスタを判定し、1つ以上の候補クラスタをグラフからプルーニングするために加算性ノイズモデルを適用することと、プルーニングされたグラフに基づいて、少なくとも1つのプロセスにおいて問題を引き起こす可能性がある候補経路を判定することとにより、改善された効率を容易にし、1つ以上の関心対象の変数に基づいて、1つ以上の候補クラスタについての根本原因分析を実行する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実装方法であって、
コンピュータによって、相互接続されたマシンのセット及び関連するプロセスのセットを含む処理システムに関連付けられたデータを受信することと、
前記データに基づいて、前記プロセスの一部として前記マシン間の出力の流れを示すグラフを生成することと、
変数のセットに基づいて、前記グラフ内の1つ以上の候補クラスタを判定することであって、候補クラスタには、1つ以上の関心対象の変数が提供される、判定することと、
前記1つ以上の関心対象の変数に基づいて、前記1つ以上の候補クラスタについての根本原因分析を実行することと、
前記関心対象の1つ以上の関心対象の変数に基づいて、前記グラフから前記1つ以上の候補クラスタをプルーニングするために加算性ノイズモデルを適用することと、
前記プルーニングされたグラフに基づいて、少なくとも1つのプロセスにおいて問題を引き起こす可能性がある候補経路を判定することにより、前記処理システムにおいて改善された効率を容易にすることと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記変数のセットのセットが、
それぞれのマシンに関連付けられた問題、
マシンのグループを含むそれぞれの経路が前記処理システムにおいて適用される回数、
適用される冗長経路、
メンテナンスイベントが、それぞれの経路においてマシンに実行される回数、及び
時間的情報のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記データが、タイムスタンプ情報、マシン状態情報、製品バッチ情報、異なるマシンによって処理された部品を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記製品バッチ情報が、前記処理システムの複数の物理的対象に対応するロット番号を含み、前記物理的対象が、少なくとも1つの共通の特徴を共有し、
前記マシン状態情報が、問題の識別子及び故障タイプのうちの1つ以上を含む、請求項3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記候補経路に基づいて、所与の停止コードに対する1つ以上の根本原因を示すためにフィードバックを提供することと、
グラフィカルユーザインターフェースを介して、前記フィードバックの視覚的表現を表示することとを更に含み、前記フィードバックの前記視覚的表現が、
前記1つ以上の候補クラスタのプルーニングされたグラフと、
前記プルーニングされたグラフにおける最も可能性が高い因果経路の選択の視覚的表現と、を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記加算性ノイズモデルに基づいて、前記1つ以上の候補クラスタ内の各経路に関するスコアのセットを判定することであって、それぞれのスコアが、関心対象の変数に関してプロセスフローにおいて、一対のマシンに関連付けられた因果性の程度を示す、判定することと、
前記1つ以上の候補クラスタ内の各経路に関連付けられた前記スコアのセットを表示することと、を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記処理システムが、
製造システムと、
クラウドコンピューティングシステムと、
供給チェーンシステムのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記グラフが、前記処理システムに対応するネットワークトポロジを表し、
前記グラフ内のそれぞれのノードが、それぞれの出力に関して、前記それぞれの出力を処理するマシン、前記マシンに関連付けられたプロセス、及び前記マシンと前記第プロセスに関連付けられた停止コードを示し、
前記グラフ内のそれぞれのエッジが、前記それぞれの出力に関して、ソースノードから目的ノードへのプロセスの論理的流れを示す、請求項1に記載のコンピュータ実装方法であって、
前記グラフ内の前記それぞれのノードに示された番号が、マシン番号に対応し、
前記グラフ内の前記1つ以上の候補クラスタに関連付けられたそれぞれのエッジの重みが、前記ソースノード及び前記目的ノードに関連付けられた因果性の程度を示す、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
グラフィカルユーザインターフェースを介して、前記グラフの視覚的表現における1つ以上の経路の選択を受信することを更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記出力が材料を含み、前記処理システムの前記マシンが前記プロセスを実行する物理的対象を含み、
それぞれの物理的対象が、前記処理システムのロット番号及び生産ラインに関連付けられている、請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項11】
コンピュータシステムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサに結合されており、前記プロセッサによって実行されると前記プロセッサに方法を実行させる命令を記憶する記憶デバイスと、を含み、前記方法が、
相互接続されたマシンのセット及び関連するプロセスのセットを含む処理システムに関連付けられたデータを受信することと、
前記データに基づいて、前記プロセスの一部として前記マシン間の出力の流れを示すグラフを生成することと、
変数のセットに基づいて、前記グラフ内の1つ以上の候補クラスタを判定することであって、候補クラスタには、1つ以上の関心対象の変数が提供される、判定することと、
前記1つ以上の関心対象の変数に基づいて、前記1つ以上の候補クラスタについての根本原因分析を実行することと、
前記関心対象の1つ以上の関心対象の変数に基づいて、前記グラフから前記1つ以上の候補クラスタをプルーニングするために加算性ノイズモデルを適用することと、
前記プルーニングされたグラフに基づいて、少なくとも1つのプロセスにおいて問題を引き起こす可能性がある候補経路を判定することにより、前記処理システムにおいて改善された効率を容易にすることと、を含む、コンピュータシステム。
【請求項12】
前記変数のセットが、
それぞれのマシンに関連付けられた問題、
マシンのグループを含むそれぞれの経路が前記処理システムにおいて適用される回数、
適用される冗長経路、
メンテナンスイベントが、それぞれの経路においてマシンに実行される回数、及び
時間的情報のうちの1つ以上を含む、請求項11に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記データが、タイムスタンプ情報、マシン状態情報、製品バッチ情報、異なるマシンによって処理された部品を含む、請求項11に記載のコンピュータシステム。
【請求項14】
前記製品バッチ情報が、前記処理システムの複数の物理的対象に対応するロット番号を含み、前記物理的対象が、少なくとも1つの共通の特徴を共有し、
前記マシン状態情報が、問題の識別子及び故障タイプのうちの1つ以上を含む、請求項13に記載のコンピュータシステム。
【請求項15】
前記方法が、
前記候補経路に基づいて、所与の停止コードに対する1つ以上の根本原因を示すためにフィードバックを提供することと、
グラフィカルユーザインターフェースを介して、前記フィードバックの視覚的表現を表示することであって、前記フィードバックの前記視覚的表現が、
前記1つ以上の候補クラスタのプルーニングされたグラフと、
前記プルーニングされたグラフにおける最も可能性が高い因果経路の選択の視覚的表現と、を更に含む、請求項11に記載のコンピュータシステム。
【請求項16】
前記方法が、
前記加算性ノイズモデルに基づいて、前記1つ以上の候補クラスタ内の各経路に関するスコアのセットを判定することであって、それぞれのスコアが、関心対象の変数に関してプロセスフローにおいて、一対のマシンに関連付けられた因果性の程度を示す、判定することと、
前記1つ以上の候補クラスタ内の各経路に関連付けられた前記スコアのセットを表示することと、を更に含む、請求項11に記載のコンピュータシステム。
【請求項17】
前記処理システムが、
製造システムと、
クラウドコンピューティングシステムと、
供給チェーンシステムと、のうちの1つ以上を含む、請求項11に記載のコンピュータシステム。
【請求項18】
前記グラフが、前記処理システムに対応するネットワークトポロジを表し、
前記グラフ内のそれぞれのノードが、それぞれの出力に関して、前記それぞれの出力を処理するマシン、前記マシンに関連付けられたプロセス、及び前記マシンと前記第プロセスに関連付けられた停止コードを示し、
前記グラフ内のそれぞれのエッジが、前記それぞれの出力に関して、ソースノードから目的ノードへのプロセスの論理的流れを示す、請求項1に記載のコンピュータ実装方法であって、
前記グラフ内の前記それぞれのノードに示された番号が、マシン番号に対応し、
前記グラフ内の前記1つ以上の候補クラスタに関連付けられたそれぞれのエッジの重みが、前記ソースノード及び前記目的ノードに関連付けられた因果性の程度を示す、請求項11に記載のコンピュータシステム。
【請求項19】
前記方法が、
グラフィカルユーザインターフェースを介して、前記グラフの視覚的表現における1つ以上の経路の選択を受信することを更に含む、請求項11に記載のコンピュータシステム。
【請求項20】
前記出力が、材料を含み、前記処理システムの前記マシンが、前記プロセスを実行する物理的対象を含み、
それぞれの物理的対象が、前記処理システムのロット番号及び生産ラインに関連付けられている、請求項11に記載のコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年8月3日に出願の発明者Saman Mostafavi、Ajay Raghavan、Hong Yu、及びDeokwoo Jungによる、「System and Method for Causal Inference in Manufacturing Process」と題する、米国仮出願第63/060,524号(代理人整理番号PARC-20200121US01)の利益を主張し、その主題は、
2020年10月1日に出願の発明者Hong Yu、Ajay Raghavan、Deokwoo Jung、及びSaman Mostafaviによる、「System and Method for Determining Manufacturing Plant Topology and Fault Propagation Information」と題する、米国出願第17/061,248号(代理人整理番号PARC-20200124US02)(以下、「米国特許出願第17/061,248号」)における主題に関連し、米国特許出願第17/061,248号は、
2020年7月31日に出願の発明者Hong Yu、Ajay Raghavan、Deokwoo Jung、及び Saman Mostafaviによる、「System and Method for Determining Manufacturing Plant Topology and Fault Propagation Information」と題する、米国仮出願第63/059,446号(代理人整理番号PARC-20200124US01)の利益を主張しており、
更に、2020年10月12日に出願の発明者Hong Yu、Ajay Raghavan、Saman Mostafavi、及びDeokwoo Jungによる、「System and Method for Constructing Fault-Augmented System Model for Root Cause Analysis of Faults in Manufacturing Systems」と題する、米国出願第17/068,613号(代理人整理番号PARC-20200165US02)(以下、「米国特許出願第17/068,613号」)に更に関連し、米国特許出願第17/068,613号は、
2020年8月3日に出願の発明者Hong Yu、Ajay Raghavan、Saman Mostafavi、及びDeokwoo Jungによる、「System and Method for Constructing Fault-Augmented System Model for Root Cause Analysis of Faults in Manufacturing Systems」と題する、米国仮出願第63/060,522号(代理人整理番号PARC-20200165US01)の利益を主張しており、
これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、処理システムにおける故障診断に関連する。より具体的には、本開示は、製造プロセスにおけるためのシステム及び方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現代の製造システムは、複数のマシンのネットワークを含むことができる。更に、今日の製造プロセスでは、製造システム内の平均的なマシンは、様々な種類の信号を数時間に一回の間隔で監視及び報告するための複数のセンサを装備することができる。これらの複数のセンサは、製造カウント、欠陥部品の数、マシン電力消費、マシン停止コードなどに限定されない異なる種類の情報を監視及び報告することができる。このような製造システムでは、マシン故障を識別及び分析することは、より小さい生産ラインの一部についてであっても困難である可能性がある。更に、診断が解決された場合、すなわち、そのようなイベントが特定されている(実装することが困難である可能性がある)でも、予後、すなわち、そのような故障イベントが発生するのを停止するために予防措置を適用することは、極めて困難なタスクである可能性がある別個の問題である。
【0004】
本発明の一実施形態によれば、加算性ノイズモデルを使用して製造プロセスにおける因果推論を判定するためのシステム及び方法が提供される。動作中、システムは、相互接続されたマシンのセット及び関連するプロセスのセットを含む処理システムに関連付けられたデータを受信することができる。次いで、システムは、データに基づいて、プロセスの一部としてのマシン間の出力の流れを示すグラフを生成することができる。システムは、変数のセットに基づいて、グラフ内の1つ以上の候補クラスタを判定することができる。候補クラスタには、1つ以上の関心対象の変数が提供され得る。このシステムは、1つ以上の関心対象の変数に基づいて、1つ以上の候補クラスタをグラフからプルーニングするために加算性ノイズモデルを適用すること、及びプルーニングされたグラフに基づいて、少なくとも1つのプロセスにおいて問題を引き起こす可能性がある候補経路を判定することにより、1つ以上の関心対象の変数に基づいて、1つ以上の候補クラスタについての根本原因分析を実行し、それにより、処理システムにおいて改善された効率を容易にすることができる。
【0005】
この実施形態の変形例では、変数のセットは、それぞれのマシンに関連付けられた問題、マシンのグループを含むそれぞれの経路が処理システムにおいて適用される回数、適用される冗長経路、メンテナンスイベントが、それぞれの経路内のマシン上で実行される回数、及び時間的情報のうちの1つ以上を含む。
【0006】
この実施形態の更なる変形例では、データが、タイムスタンプ情報、マシン状態情報、製品バッチ情報、異なるマシンによって処理された部品を含むことができる。
【0007】
この実施形態の更なる変形例では、製品バッチ情報が、処理システムの複数の物理的対象に対応するロット番号を含むことができる。物理的対象が、少なくとも1つの共通の特性を共有することができる。マシン状態情報が、問題の識別子及び故障タイプのうちの1つ以上を含むことができる。
【0008】
更なる変形例では、システムは、候補経路に基づいて、所与の停止コードに対する1つ以上の根本原因を示すためにフィードバックを提供することができる。次いで、システムは、グラフィカルユーザインターフェースを介して、フィードバックの視覚的表現を表示することができる。フィードバックの視覚的表現が、1つ以上の候補クラスタのプルーニングされたグラフ、及びプルーニングされたグラフにおける最も可能性の高い因果経路の選択の視覚的表現と、を含むことができる。
【0009】
この実施形態の変形例では、システムは、加算性ノイズモデルに基づいて、1つ以上の候補クラスタ内の各経路に関するスコアのセットを判定することができる。それぞれのスコアは、関心対象の変数に関するプロセスフローにおいて、一対のマシンに関連付けられた因果性の程度を示すことができる。システムは、1つ以上の候補クラスタ内の各経路に関連付けられたスコアのセットを表示することができる。
【0010】
この実施形態の変形例では、処理システムが、製造システム、クラウドコンピューティングシステム、及び供給チェーンシステムのうちの1つ以上を含むことができる。
【0011】
この実施形態の変形例では、グラフが、処理システムに対応するネットワークトポロジを表すことができる。グラフ内のそれぞれのノードが、それぞれの出力に関して、それぞれの出力を処理するマシン、マシンに関連付けられたプロセス、及びマシンとプロセスに関連付けられた停止コードを示す。グラフ内のそれぞれのエッジが、それぞれの出力に関して、ソースノードから目的ノードへのプロセスの論理的流れを示す。グラフ内のそれぞれのノードに示された数字は、マシン番号に対応する。グラフ内のそれぞれのエッジの重みは、ソースノード及び目的ノードに関連付けられた因果性の程度を示すことができる。
【0012】
この実施形態の変形例では、システムが、グラフィカルユーザインターフェースを介して、グラフの視覚的表現における1つ以上の経路の選択を受信することができる。
【0013】
この実施形態の変形例では、出力が材料を含み、処理システムのマシンがプロセスを実行する物理的対象を含む。それぞれの物理的対象が、処理システムのロット番号及び生産ラインに関連付けられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A図1Aは、本出願の一実施形態による、異なるプロセスの一部としてのマシン間の材料の例示的な流れの図を表す。
【0015】
図1B図1Bは、本出願の一実施形態による、複数の処理及びマシンを有する環境における、表面的な機能不全と真の根本原因の図を示す。
【0016】
図2-1】図2-1は、本出願の一実施形態による、製造ネットワークトポロジを判定するための例示的な環境を示す。
図2-2】図2-2は、本出願の一実施形態による、製造ネットワークトポロジを判定するための例示的な環境を示す。
図2-3】図2-3は、本出願の一実施形態による、製造ネットワークトポロジを判定するための例示的な環境を示す。
【0017】
図3-1】図3-1は、本出願の一実施形態による、3つのプロセス及び95個のマシンを有する工場に対する例示的な導出された非巡回グラフ(DAG)を示す。
図3-2】図3-2は、本出願の一実施形態による、3つのプロセス及び95個のマシンを有する工場に対する例示的な導出された非巡回グラフ(DAG)を示す。
図3-3】図3-3は、本出願の一実施形態による、3つのプロセス及び95個のマシンを有する工場に対する例示的な導出された非巡回グラフ(DAG)を示す。
【0018】
図4図4は、本出願の一実施形態による、加算性ノイズモデルを使用した製造プロセスにおける因果推論を判定するための例示的なシステムアーキテクチャを示す。
【0019】
図5A図5Aは、本出願の一実施形態による、工場に対する候補クラスタの例示的な生成を示す。
図5B図5Bは、本出願の一実施形態による、工場に対する候補クラスタの例示的な生成を示す。
図5C図5Cは、本出願の一実施形態による、工場に対する候補クラスタの例示的な生成を示す。
【0020】
図6図6は、本出願の一実施形態による、加算性ノイズモデルに基づいて因果性を分析するための例示的なフレームワークを示す。
【0021】
図7A図7Aは、本出願の一実施形態による、95個のマシンを有する工場における3つの別個のプロセスを表す候補区画に対する例示的なDAGを示す。
【0022】
図7B図7Bは、本出願の一実施形態による、加算性ノイズモデルスコアに基づいて図7Aに示すDAGの例示的なプルーニングを示す。
【0023】
図7C図7Cは、本出願の一実施形態による、停止コードメンテナンスを引き起こす図7Bに示されるDAGにおける例示的な経路を示す。
【0024】
図8図8は、本出願の一実施形態による、加算性ノイズモデルを使用した製造プロセスにおける因果推論を判定するための例示的な環境を示す。
【0025】
図9図9は、本出願の一実施形態による、加算性ノイズモデルを使用した製造プロセスにおける因果推論を判定するためのプロセスを示すフローチャートを表す。
【0026】
図10図10は、本開示の一実施形態による、加算性ノイズモデルを使用した製造プロセスにおける因果推論を判定することを容易にする例示的なコンピュータシステムを示す。 図面中、同じ参照番号は、同じ図形要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の説明は、当業者が実施形態を製造及び使用することを可能にするために提示され、特定の用途及びその要件に関連して提供される。開示される実施形態に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかとなり、本明細書に定義される一般原理は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の実施形態及び用途に適用され得る。したがって、本発明は、示される実施形態に限定されるものではなく、本明細書に開示される原理及び特徴と一致する最も広い範囲を与えられるものである。
概要
【0028】
本明細書に記載される実施形態は、複数のマシンを有する工場における生産ボトルネックを識別し、特定の故障モード及び製造プロセスに関連付けられた全体的なダウンタイムについてのこれらのボトルネックの影響を判定するという技術的問題を解決する。
【0029】
具体的には、工場パイプラインによって提供されるデータが、いくつかのレベルの有用な情報並びにノイズ及び無関係なデータを含むという事実を考慮することができるシステム及び方法が提供される。この考慮に基づいて、システムは、関連するデータを抽出するためにデータを事前処理することができる。換言すれば、システムは、製造システム又はネットワーク内の様々なプロセス及び複数のマシンを通じて、材料の流れに関連付けられた関連情報を、製造ログデータから効果的かつ効率的に抽出することができる。更に、前処理されたデータに基づいて、システムは、接続性グラフ内の候補区画を判定し得、それにより、複数のマシンを有する工場における因果関係の効率的な識別を容易にする。
【0030】
換言すれば、システムは、最初に、異なるマシンによって処理された部分及びそれらのそれぞれのダウンタイムに基づいてDAGを作成し得る(ダウンタイム以外の特徴を含み得る)。例えば、他の特徴は、メンテナンスイベントがそれぞれの経路内のマシンについて実行される回数、候補クラスタ内の冗長経路の存在、時間情報、マシンのグループを含むそれぞれの経路が、処理システムにおいて適用される回数を含むことができる。次いで、システムは、1つ以上の特徴のマシン処理類似性に基づいてDAGをクラスタ化、すなわち、前処理されたデータ及びそれぞれのマシンに関連付けられた1つ以上の特徴に基づいて、1つ以上の候補クラスタを判定することができる。DAG内の最初のクラスタを識別した後、システムは、クラスタ内の最も有意な経路を判定し、特定の停止コードを判定された経路に関連付け得る。停止コードを有意な経路に関連付けることに応答して、システムは、加算性ノイズモデル(ANM)に基づいて、DAG内の初期クラスタをプルーニングし得る。更に、システムは、停止コードを引き起こす主要経路を見つけるために、ANMを適用して、プルーニングされたクラスタについて因果推論を実行し得る。一実施形態では、システムは、ユーザフレンドリーな対話型GUIを介して、DAG、プルーニングされたDAG、主要経路の選択などを表示することができる。したがって、システムは、大量の電子ログデータを迅速なオンサイト診断のためのユーザフレンドリーな可視化に変換することによって、製造システムにおける故障又は機能不全の効率的な因果推論を容易にすることができる。
【0031】
「ソースノード」及び「目的ノード」という用語は、ソースノードから目的ノードへの、有向性エッジを介して示されるように、材料が流れる1対のノードを指す。例えば、同じロット番号を有する材料は、図1A、1B、及び2に関連して以下に記載するように、第1のプロセス(ソースノード)の一部としての第1のマシンから、第2のプロセス(目的ノード)の一部としての第2のマシンへと流れ得る。
【0032】
「停止イベント」とは、製造システムに一定期間停止させる、予定されていない事象を指す。「停止コード」は、製造システム内のマシン又はプロセスに関連付けられた問題の識別子を指し、停止イベントに関連付けられ得る(ただし必ずしもそうではない)。
【0033】
「マシン状態情報」という用語は、所与のマシンの状態を指し、停止コード、故障タイプ、又は停止イベントの他の指示体若しくは識別子を含むことができる。
【0034】
「バッファ」という用語は、マシン/プロセス間のある期間にわたって材料が保持され得る物理的バッファ又は物理的容器を指す。この期間は、ヒト関連要因(例えば、人員の変更が発生し得るか、又は材料が1つのマシンから別のマシンへと手動で移動されなければならない場合)、又はシステム関連要因(例えば、所与のマシンの下流又はそれに続くマシンの性能及び使用)に依存し得る。
【0035】
「マシン及び停止コードシーケンスデータ」という用語は、システムによって、図2、及び3に関連して以下に記載されるグラフを生成するために使用することができるフォーマットに変換された製造ログデータを指す。
【0036】
「処理システム」という用語は、出力をもたらすプロセスを実行するマシン又はエンティティを有するシステムを指し、それらの出力は、処理システムを通した、流れの開始から修了までのそれぞれの出力の流れの一部として、次のマシン又はエンティティへの入力として使用される。本開示では、製造システム、製造ログデータ、及び製造ネットワークトポロジが例示の目的で表されている。記載されるシステムは、クラウド/クラスタコンピューティングシステム又は施設内の分散並列計算/シミュレーション、及び配送/分配サプライチェーンを含むが、これらに限定されない、他の処理システムを含むことができる。
【0037】
「出力」という用語は、材料又は出力についてプロセスを実行するマシン又はエンティティによって導出される材料出力又は他の結果を指す。出力は、物理的材料、又は計算若しくはシミュレーションの結果を含み得る。
【0038】
用語「区画」及び「クラスタ」は、本開示において互換的に使用される。
例示的な製造プロセス及び製造ネットワークトポロジ
【0039】
図1Aは、本出願の一実施形態による、異なるプロセスの一部としてのマシン間の材料の例示的な流れの図を表す。図100は、複数のマシン及び関連付けられたプロセス、例えば、特定のプロセスに関与するマシンを含むことができる。プロセスPR1 102は、マシンM1-1、M1-2、及びM1-x上又はこれらによって実行されるアクション又はプロセスを含むことができ、プロセスPR2 104は、M2-1、M2-2、及びM2-y上又はこれらによって実行されるアクション又はプロセスを含むことができ、プロセスPR3 106は、M3-1、M3-2、及びM3-z上又はこれらによって実行されるアクション又はプロセスを含むことができる。
【0040】
材料の流れは、異なるプロセスのマシン間に表す矢印によって示され得る。材料の流れは、ロット番号などの製品バッチ情報に基づいて、組織化、追跡、又は他には監視することができる。更に、工場のタイプに応じて、システムは、工場作業者によって提供される各マシン及び/又は側方情報による処理された部品の時間感受性追跡のいずれかを通じて、工場のアウトライン及びマシン接続に関する情報を得ることができる。
【0041】
例えば、図100は、「LO9」によってマークされたロットを示す。このロットは、プロセスPR1 102の一部としてのマシンM1-xから、プロセスPR2 104の一部としてのマシンM2-2に流れ(LO9 110によって示される)、最終的にPR3 106の一部としてのマシンM3-1に流れる(LO9 112によって示される)材料を表す。複数の(矢印の)経路は、経時的な材料の流れを示すことができる。
【0042】
個々のプロセスは、専用の機能に対応することができる。例えば、プロセスPR1 102は、ケーブルを引き出すプロセスに対応することができ、プロセスPR2 104は、ケーブルを切断するためのプロセスに対応することができ、プロセスPR3 106は、ケーブルの端部にコネクタを配置するためのプロセスに対応することができる。個々のプロセス内で、各マシンは、プロセスの異なる部分に関与し得る。例えば、プロセスPR1 102において、マシンM1-1は、特定の直径のケーブル又は様々な範囲の直径のケーブルを引き出すために使用され得、マシンM1-2は、特定の量又は閾値を超えるジョブに対処するために使用され得る冗長マシンを含み得る。プロセスPR2 104において、マシンM2-1は、より小さい長さ又は直径のケーブルを切断するために使用され得、マシンM2-2は、例えば、頑丈であり、マシンM2-1によって切断されたケーブルよりも厚い直径又は材料のケーブルを切断する能力又は強度を有するマシンを使用して、より大きい長さ又は直径のケーブルを切断するために使用され得る。
【0043】
これは、従来の組み立てラインとは対照的であり、各マシンは、単一の先行マシンに依存し得る。説明される実施形態はまた、冗長性を含み得、すなわち、プロセスの1つのマシンが故障した場合には、同じプロセスの冗長マシンは、生産ラインにおける連続性を確保するために、故障したマシンのジョブを引き継ぐことができる。各マシンは、先行プロセスの一部として、先行マシンとは異なる部分を必要とする場合がある。加えて、例えば、プロセスPR1 102の一部としてのマシンM1-xによって処理された後、かつプロセスPR2 104の一部としてのマシンM2-2によって処理される前に、材料をマシン/プロセス間の物理的バッファ(例えば、容器、仕分け容器、又は他のコンテナ)内に配置し得る。
【0044】
図1Bは、本出願の一実施形態による、複数の処理及びマシンを有する環境における、表面的な機能不全と真の根本原因の図を示す。図120は、複数のプロセスを含む簡略化された生産ラインを表すことができ、各プロセスにおいて1つのマシンとなっており、例えば、プロセス1 122は、関連付けられたマシン11 136を伴い、プロセス2 124は、関連付けられたマシン21 138を伴い、プロセス3 126は、関連付けられたマシン31 140を伴い、プロセス4 128は、関連付けられたマシン142を伴い、プロセス5 130は、関連付けられたマシン51 144を伴い、プロセス6 132は、関連付けられたマシン61 146を伴い、プロセス7 134は、関連付けられたマシン71 148を伴う。材料(又は、同様に分類された材料を含むロット)は、例えば、開始150及び終了152における通信によって示されるように、それぞれ、プロセス1 122~7 134を通じて、それぞれ、マシン11 136~71 148を介して、図120に示される生産ラインを通って流れることができる。
【0045】
システムは、個々のマシン71 148において表面的な機能不全156を判定又は検出することができる。しかしながら、検出された機能不全は、個々のマシン71 148が問題を有することを必ずしも示していないことがある。その代わりに、検出された機能不全は、生産ライン内の先行マシンが、検出された機能不全に最終的に導かれる問題を有していること、例えば、先行マシン41 142に関連付けられた真の根本原因154が、マシン71 148に関連付けられた検出された表面的な機能不全156の原因となることを示し得る。
【0046】
システムは、生の時系列ログデータを、複数のプロセス及び関連するマシンにわたって、固有の製品バッチ番号(例えば、ロット番号)によって編成された簡素なデータ配列に変換することができる。変換されたデータシーケンスは、「マシン及び停止コードシーケンスデータ」と称され得る。これにより、フィルタリングされたデータの時間的シーケンスを維持しながら、通常のログデータセットにおける冗長性の低減がもたらされ得る。例示的なデータ変換は、図2に関連して以下に記載される。
【0047】
図2は、本出願の一実施形態による、製造ネットワークトポロジを判定するための例示的な環境を示す。環境200は、マシン及び関連付けられたプロセス(例えば、生産ライン)を含む製造システムに関連付けられたか、又は関連するデータ又は情報を含むことができ、ログデータ210、マシン及び停止コードシーケンスデータ220、及び製造ネットワークトポロジ250を含む。
【0048】
図2に示すように、ログデータ210は、時系列ログテーブルとしての生データを含むことができ、すなわち、製造システムは、異なるマシンにわたる多数の時系列データに関連付けられ得る。例えば、テーブルは、以下の列のうちの1つ以上を有するエントリを含むことができる。すなわち、マシン211、プロセス212、日付及び/又は時間(タイムスタンプ情報)213、ロット番号(製品バッチ情報)214、動作フラグ215、停止コード(マシン状態情報)216、及び製品の数(製造システム内の物理的対象又は材料)217である。
【0049】
記載される実施形態は、製造ネットワークトポロジを生成するための関連情報を識別するために、ロット番号などの製品バッチ情報を使用することができる。同じロット番号は、異なるマシン/プロセスを通る材料の流れの一部において、又はその一部として見出すことができる。システムは、これらの同じ又は共通のロット番号を使用して、マシンを一緒に「接続」する、すなわち、マシン間の物理的リンクとプロセス間の論理的リンクを構築することができる。
【0050】
動作中、システムは、ログデータ210を記憶し、ログデータ210をマシン及び停止コードシーケンスデータ220に(動作290を介して)変換することができる。図2に示すように、マシン及び停止コードシーケンスデータ220は、2つのグループに分離された情報を含み得る。第1のグループ230は、ロット番号毎に、所与のロット番号の材料が、所与のプロセスの一部として流れる全てのプロセス及びマシンを含むことができる。第2のグループ240は、所与のロット番号の材料が経験する停止コードを含むことができる。
【0051】
グループ230は、所与のプロセスに対応する列を有する、所与のロット番号によるエントリを含むことができ、各列のエントリの値は、所与のプロセスに関連付けられたマシン番号に対応する。リスト230は、ロット番号232、第1のプロセスPR1 234、第2のプロセスPR2 236、及び第3のプロセスPR3 238を示す列を有するエントリを含むことができる。例えば、エントリ222は、ロット番号7446に対応することができ、以下のマシン/プロセスを通じて、ロット番号7446に対する材料の流れを更に示すことができる。すなわち、プロセスPR1におけるマシン9、プロセスPR2におけるマシン37、及びプロセスPR3におけるマシン82である。同様に、エントリ224は、ロット番号7474に対応することができ、以下のマシン/プロセスを通じて、ロット番号7474に対する材料の流れを更に示すことができる。すなわち、プロセスPR1におけるマシン16、プロセスPR2におけるマシン56、及びプロセスPR3におけるマシン93である。
【0052】
システムは、図3に関連して以下に記載されるように、容易に視覚化することができる方法で、様々なマシン間の接続を表すためのトライデータ構造を構築することができる。グループ230における情報に基づいて、システムは、(動作294を介して)製造ネットワークトホ゜ロシ゛250を生成又は判定することができる。製造ネットワークトホ゜ロシ゛250は、製造システムに対応することができ、フ゜ロセスの一部としてのマシン間の材料の流れを示すことができる。例えば、製造ネットワークトホ゜ロシ゛250は、各フ゜ロセスが複数の関連付けられたマシンを有するフ゜ロセス260及び270を示すことができる。フ゜ロセス260は、マシンM1-1 261、M1-2 262、及びM1-x 263を含むことができ、フ゜ロセス270は、マシンM2-1 271、M2-2 272、及びM2-y 273を含むことができる。
【0053】
上述のように、製造ネットワークトポロジは、1つのマシンによって処理された後、かつ次のマシンによって処理される前に、特定の期間にわたって材料を配置することができる物理的バッファ(物理的ビンなど)を含むことができる。例えば、材料は、プロセス260のマシンM1-1 261によって処理されることから、一定期間バッファ252に流れ、プロセス270のマシンM2-2 272によって処理されることまで流れることができる。製造ネットワークトポロジ250は、バッファ252を表すので、米国特許出願第 17/061,248号に記載されているように)プロセス270において材料の流れをどのマシンで継続することになるか明確でないことがあることに留意されたい。
【0054】
一般に、ログデータの大部分は、製造システムの通常の動作に基づく。システムは、通常の動作に対してデフォルトの停止コード(「0」など(図示せず))を使用し得る。マシン及び停止コードシーケンスデータ220におけるグループ240は、非ゼロ停止コードエントリを有するサンプルを表す。いくつかのロットはまた、単一の停止コードのみを経験することがあるが、これは、この停止コード又は停止イベントが、いかなる他の停止コード(例えば、ロット7474に関する「1」の停止コード)も引き起こさないことを示すことができる。更に、ログデータは、リアルタイムデータに基づいて生成されない場合がある。代わりに、ログデータは、数日、週、又は月などの期間に基づいてもよい。例示的な製造ネットワークトポロジ(マシン依存性グラフ)の可視化は、図3に関連して以下に記載される。
【0055】
図3は、本出願の一実施形態による、3つのプロセス及び95個のマシンを有する工場に対する例示的な導出されたDAGを示す。グラフ300は、左端のパーツ(例えば、同じロット番号に関連付けられたか、又は同じ製品バッチ情報に関連付けられた構成要素又は材料)から出発し、各それぞれのマシンを通って移動する、製造システムを通じた材料の流れを示し、ここで、各マシンは、示されるように特定の高さのノードとして示される。各示されたマシンのノードの高さは、所与のマシンを通過するか、又はこれによって処理されるパーツの数に対応することができる。ノードが高いほど、所与のマシンを通過するか、又はこれによって処理されるパーツの数が多くなる。ノードの高さ又はマシンによって処理された同じパーツの数は、所与のマシンの「利用率」と称され得る。更に、ノードからの示された材料の流れが高いと、所与のマシンを通過するか、又はこれによって処理されるパーツの数が多くなる。同じロット番号又は製品バッチ情報を有するパーツは、同じ又は異なるプロセスの一部として、異なるマシンを通過するか、又はこれによって処理され得る。
【0056】
したがって、グラフ300は、システムを通る材料の流れ、様々なマシンの相互接続性、より多くの数のパーツを有するロット、及び最高利用率を有するマシンを含む、製造システムのネットワークトポロジの明瞭な可視化を提供する。更に、グラフ300は、マシン間の多数の相互接続を有する完全な製造プロセスの可視化を提供する。
【0057】
(図3に示されるような)このような製造プロセスを考慮すると、センサと共に配備された複数のデバイス又はマシンを用いて、全てのセンサから情報を抽出することは、困難なタスクであり得る。具体的には、製造プロセスにおける1つ以上の故障イベント又は機能不全に関する有用なフィードバックを提供するために根本原因分析システムが必要とされるときに、システムは、パラメータ(又は特徴)の複雑なセットを考慮する必要があり得る。例えば、特定のマシンの性能を評価することに加えて、システムは、マシンが欠落データ又はノイズが多いデータを含み得ることを考慮する必要があり得る。更に、システムはまた、検討中に他のセンサからマシンで受信した情報を考慮する必要がある場合がある。更に、センサデータが記録されている周波数に応じて、分析されなければならないデータの量は指数関数的に成長することができ、これは、システム性能及び計算の複雑性に著しい影響を及ぼす可能性がある。マシン間の多数の相互接続を有するこのような製造プロセスで根本原因分析(RCA)を実行することは、計算的に手に負えない可能性がある。
【0058】
工場内のRCAは、別個のマシン内の別のイベントの結果としてトリガされるマシン内のイベントの後方確率の尤度を計算することとして定義することができる。関心対象のイベントは、工場の各マシンにおいて異なる停止コードであり得る。停止は、各個々のマシンによって自動的に記録される。注意深く停止を分析及び着手は、プラント安全性及び効率の両方にとって重要であるが、システムは、生成された多数の停止コードが存在することを考慮に入れなければならず、結果として、これらはしばしば誤解させる警報を引き起こす可能性がある。
【0059】
既存のアプローチの大部分は、同じマシン内の前兆イベントの結果として生成されると想定される、個々のマシンの停止コードの推論を提供することに焦点を当てている。これらのアプローチは、2つの主要な要因、すなわち、(1)そのような分析に必要とされるレベルでのデータは利用できないことが多いこと、及び(2)他のマシンに対する停止の下流効果は、分析において無視されることが多いことを無視している。第2の要因は、工場アウトラインの確率分析を必要とする。具体的には、大きな工場の典型的な生産ラインでは、個々のマシン間のエッジを表す依存性グラフは、多くの場合、「過度に接続」(実際の例を図3に提供する)されており、これは計算的に手に負えないRCAをもたらす可能性がある。例えば、変分Bayesなどの近似的な方法であっても、実際には、停止コード及びデータ品質の数が、全ての停止コードの確率の計算のために単一の工場からの何年ものデータの収集を構成するため、機能しない可能性が高い。
【0060】
上述の欠点を克服するために、本開示で記載される実施形態のいくつかは、グラフ(図3に示す)の目標とするプルーニングを実行することができる、すなわち、グラフを非常に疎で扱いやすいサブセットに分割することができる。具体的には、システムは、関心対象の候補クラスタを検出するために、最も頻繁に使用される経路及びそれらの相対的なダウンタイムの分析を実行し得る。更に、(多数の相互接続されたマシンを含む)いくつかの種類の工場の性質により、多くのマシンが同一であり、プロセスにおける代替経路として使用されることが多い。したがって、固有のパーツの処理に関与する経路のクラスタを検出することが重要である。上述の欠点を克服する因果推論システムを、図4~10に関連して以下に記載する。
因果推論を実行するためのシステム及び方法
【0061】
図4は、本出願の一実施形態による、加算性ノイズモデルを使用した製造プロセスにおける因果推論を判定するための例示的なシステムアーキテクチャを示す。図4に示す例では、システムアーキテクチャ400は、記憶デバイス、例えばデータベース、及び因果推論システム402を含むことができる。因果推論システム402(以下、「システム402」)は、記憶デバイス404から工場データ412を受信し得る。システム402は、データフィルタモジュール406を適用して、無関係な工場データをフィルタリングし得る。モジュール406は、測定ノイズをクリアにするための両方のフィルタリングと関連付けられ得、また、ユーザ又は工場作業者によって提供される情報を含み得る。基準に応じて、フィルタリングモジュール406は、工場データの約0.1~1%のフィルタリングをもたらすことができる工場データを除外し得る。
【0062】
システム402は、経路分析モジュール408を適用して、フィルタリングされたデータについて経路分析を実行し得る。具体的には、フィルタリングされた工場データ及びパーツ処理の時系列に基づいて、経路分析モジュール408は、工場におけるマシンレベルの接続性を表すDAGを構築し得る(図3に示す)。経路分析モジュール408は、異なるプロセスのうち同じロット番号を有するマシンをペアリングし得る。更に、経路分析モジュール408は、関心対象の候補クラスタ418を検出するために、最も頻繁に使用される経路(人気特徴を表す)及びそれらの相対的なダウンタイム(ダウンタイム特徴を表す)の分析を実行することができる。具体的には、経路分析モジュール408は、ダウンタイム特徴、例えば、4週間未満のエントリを有する人気経路のダウンタイム比に基づいて、3次元散布プロットを生成し得、人気特徴、例えば、マシンのグループを含むそれぞれの経路が処理システムに適用される回数、及び他の関連する特徴が考慮され得る。経路分析モジュール408はまた、これらのプロットをフィードバック416として工場に提示し得る。他の関連する特徴は、メンテナンスイベントが、それぞれの経路においてマシンに実行される回数、候補クラスタ内の冗長経路の存在、及び時間的情報などを含むことができる。
【0063】
次いで、システム402は、経路分析モジュール408から出力された候補クラスタ418に加算性ノイズモデルを適用し得る。具体的には、加算性ノイズモデルモジュール410は、特定の種類のマシン停止コードとの因果関係の最も高い尤度を有する可能性がある候補クラスタ418内の潜在的な経路候補を分析するために、ペアワイズANMを適用し得る。モジュール410は、表示デバイスを介してGUI上で可視化するための結果422、すなわちRCA及び検証を提供し得る。したがって、システム402は、工場での生産ボトルネックを判定するための計算効率的なアプローチを容易にすることができ、これらのボトルネックが特定の故障モードでどのように影響され得るかを判定することができる。システム402は、装置、コンピューティングデバイス、サーバ、コンピューティングシステム、又は他のエンティティのうちの1つ以上のモジュールの動作の任意の組み合わせとして実装され得る。以下、システム402の詳細な動作を、図5~10に関連して記載する。
【0064】
図5A図5Cは、本出願の一実施形態による、工場に対する候補クラスタの例示的な生成を示す。図5Aに示す例では、システムは、それぞれダウンタイム特徴部及び人気特徴に基づいて、3次元散乱プロット508及び510を生成し得る。例示のプロット508及び510は、95個のマシン並びに3つの別個のプロセス、すなわち、プロセス1(PR1として示される)、プロセス2(PR2として示される)、及びプロセス3(PR3として示される)を有する工場からのデータに対応することができる。
【0065】
図5Bに示す例では、システムは、特徴のセット、例えば、ダウンタイム特徴、人気特徴など(図5Aに示す)に基づいて、完全な製造プロセスを表すグラフ内の候補区画を識別して、固有のパーツの処理に関与する特定の経路に焦点を合わせることができる。具体的には、システムは、最も頻繁に使用される経路(人気特徴を表す)及びそれらの相対的なダウンタイム(ダウンタイム特徴を表す)の分析を実行して、関心対象の候補クラスタ(又は区画)を検出し、それによって、完全な製造プロセスのネットワークトポロジ又はDAGを管理可能なサブセットに低減し得る。
【0066】
図5Cは、図5Bに示す候補クラスタのDAGを表す。プロセスPR1 502は、マシン「7」及び「12」上又はこれらによって実行されるアクション又はプロセスを含むことができる。プロセスPR2 504は、マシン「39」及び「56」上又はこれらによって実行されるアクション又はプロセスを含むことができる。プロセスPR3 506は、マシン「90」、「77」、「93」及び「85」上又はこれらによって実行されるアクション又はプロセスを含むことができる。
【0067】
換言すれば、システムは、グラフを非常に疎で管理可能なサブセットに分割することによって、(図3に示す)グラフ、すなわち完全な製造プロセスを表すグラフの目標とするプルーニングを実行することができる。したがって、グラフ接続性をプルーニングし、主要経路を識別することによって、システムは、そうしなければ手に負えない問題における因果推論の計算追跡を保証することができる。
【0068】
一実施形態では、ANMを積分する因果推論システムは、ノイズに対して高度に敏感である、最も因果的なモデル、例えば、Granger因果よりも良好な非線形及びノイズに対処することができる。対照的に、ANMは、マシンプロセス間の有向性のペアワイズ関係を導出し、残留分析(回帰後)によってデータ中のノイズに対処する。
【0069】
図6は、本出願の一実施形態による、加算性ノイズモデルに基づいて因果性を分析するための例示的なフレームワークを示す。製造プロセスにおける特定の機能不全又は故障を考慮すると、機能不全又は故障の根本原因を判定することが望ましいことがある。例えば、マシンの性能は、そのマシンに関連付けられた何らかの他の動作に起因して劣化することがあり、製造生産ラインの下流又は上流のいずれかの何らかのイベントによって引き起こされる可能性がある。製造プロセスにおけるマシンに関連付けられた異なる変数間の相関を判定することは、相関が原因と結果に本質的に対処しないため、故障の根本原因を識別するのに十分でないことがある。故障が流れる方向を判定することは、より重要かつ重大であり得、そのためにも、特定の根本原因アプローチは、ノイズ、欠落データ、非線形性、異なるマシン間の遅延などに対処することが必要とされ得る。
【0070】
図6に示される例は、システムが、どのようにペアワイズ加算性ノイズモデルを適用して、図5の候補区画内の2つの変数間の因果関係の尤度を判定するかを説明する。候補区画内の可能性の全てのペアを分析することは、計算的に非効率的であり得る。一実施形態では、因果推論システムは、変数の有限のサブセット、例えば、ダウンタイム及び人気特徴に基づいてペアワイズANMを適用し、それによって、システムの計算効率及び性能を改善し得る。具体的には、システムは、ANMを使用して、異なる候補経路に沿って、候補クラスタ内原因と結果を分析し得る。
【0071】
ANMは、ランダム変数のペアに対して定義することができるが、1つのペアを超えるように容易に拡張することができる。1つのペアの場合、ランダム変数Xとランダム変数Yとの間の因果推論にANMを使用することができる。具体的には、(X,Y)からの独立して同様に分布した(iid)工場データに対して、回帰モデル604
Y=f(X)+N (1)
は、残差
【数1】
606につながり、逆回帰モデル604
【数2】
は、残差
【数3】
606につながることができる。式(1)において、Xは原因を、Yは結果を表すことができ、ここで、Nは、原因Xから独立した加算性ノイズを示し、fは、線形又は非線形関数を表すことができる。式(2)において、Yは、原因を、Xは結果を表すことができ、ここで、
【数4】
は、原因Yから独立した加算性ノイズを示し、gは線形又は非線形関数を表すことができる。
【0072】
因果性が存在する場合、例えばX→Yである場合、結合分布P(X,Y)は、一方向における(式(1)の)ANMを許容し、(式(2)で定義される)逆ANMは、許容されないことがある。
【0073】
具体的には、システムは、以下の表1に定義される条件のセットに基づいて、推論610のセットを判定し得る(記号⊥は直交性を示す)。
【表1】
【0074】
換言すれば、システムは、時間的なパーツ処理情報に基づいて、候補クラスタから経路を抽出することができる。2つのマシン間の関心対象の選択された変数、例えば、ダウンタイム特徴又は人気特徴部を考慮すると、システムは、各経路について回帰を実行し、残差の独立性を分析するための独立性基準を適用し得る。
【0075】
一実施形態では、システムは、2つの変数間の依存性のノンパラメトリック尺度であるHilbert Schmidt独立性基準(HSIC)を適用することができる(測定はANMスコアと呼ぶことができる)。大きいサンプル限界では、HSICは、変数が相互に独立している場合には「0」であり、依存性がある場合はHSICは大きく、正である。候補区画及び対応するDAG(それぞれ図5B及び図5Cに示す)については、システムは、異なる経路の分析を実行し得る。例えば、システムは、例示の経路、すなわち図5Bのマシン7→39→90を表す経路の分析を実行し得る。以下の表2は、HSIC及びANMスコアに基づくこの分析の異なる例を示す。ANMスコアに基づくプルーニングプロセスの因果推論への影響の一例を、図7A~7Cに関連して以下に説明する。
【表2】
【0076】
図7Aは、本出願の一実施形態による、95個のマシンを有する工場における3つの別個のプロセスを表す候補区画に対する例示的なDAGを示す。図7Aに示す例は、図5Bに示す候補区画に対するDAG708を表す。具体的には、プロセスPR1 702は、マシン「7」及び「12」上又はこれらによって実行されるアクション又はプロセスを含むことができる。プロセスPR2 704は、マシン「39」及び「56」上又はこれらによって実行されるアクション又はプロセスを含むことができる。プロセスPR3 706は、マシン「90」、「77」、「93」及び「85」上又はこれらによって実行されるアクション又はプロセスを含むことができる。
【0077】
図7Bは、本出願の一実施形態による、ANMスコアに基づく図7Aに示すDAGの例示的なプルーニングを示す。ANMが因果性分析を実行し得る1つ以上の特徴、例えば、ダウンタイム特徴、人気特徴などを導出することが望ましい。一実施形態では、ANMを実装するときに、因果性は、リード及び/又は遅れ時間(例えば、1つ以上のパーツを処理している間のマシン間の遅延)によって有意に影響を受ける可能性がある回帰分析によって実行され得る。例えば、製造システムにおける製造プロセスは、特定のリード及び/又は遅延時間を有し得る。製造プロセスにおける全てのイベントを対応するリード及び/又は遅れ時間と関連付けることは困難であり、計算的に非効率的であり得るため、因果推論システムは、各工場において、時間遅延、すなわち、リード及び/又は遅れ時間に従って妥当な時間ステップを適用することによって、プロセスにおけるリード及び/又は遅れ時間を考慮し得る。例えば、ANM RCA分析を実行することができる特徴のセットが与えられると、システムは、異なる経路に沿ったマシンから対応する特徴を一致させて、それらが遅れ時間に関して互いに整列するようにし得る。
【0078】
システムは、候補区画内の異なる経路上で経路分析を実行し得る(そのような分析の例を上記表2に示す)。DAGにおける各エッジに関連付けられた重みは、ANMスコアを表すことができる。ANMスコアに基づいて、システムは、DAG708のANMベースのプルーニング710を実行して、低い因果性を示すか、又は因果性がないことを示す経路を除去し得る。例えば、DAG712における経路12→56→90におけるANMスコア(又は重み)は、この経路が因果関係を含まないことを示しており、したがって、システムは、DAG 712からこの経路(点線で示される)を除去し得る。
【0079】
図7Cは、本出願の一実施形態による、停止コードメンテナンスを引き起こす図7Bに示されるDAGにおける例示的な経路を示す。DAG712をプルーニングすることに応答して、システムは、停止コードメンテナンスを引き起こす経路を見つけるために、プルーニングされたDAG714についてANMベースのRCAを更に実行し得る。具体的には、DAG714における各経路に関連付けられたANMスコアに基づいて、システムは因果関係を含む可能性が高い経路を識別し得る。例えば、経路716に関連付けられたANMスコア、すなわち、経路7→39→90は、DAG 714における他の経路のANMスコアと比較したときに因果関係のより高い尤度を示す。換言すれば、強調された経路716におけるANMスコアは、動作フラグに基づいて特定の停止コードを生成することに関して、経路716内のマシン間のより強い因果性を示し得る。
【0080】
DAG714に示される結果は、工場における製造プロセスの分析において活用され得る。換言すれば、システムは、工場での主要な問題のあるボトルネックを判定することができ、マシン内の特定の停止コードを引き起こしている経路を判定することができる。具体的には、DAG714に示される結果は、マシン39が、対処する必要がある製造システムにおける故障を引き起こす可能性があることを示すことができる。例えば、マシン39は、修復され得るか、又は故障を緩和するために代替的なマシンが追加され得る。
【0081】
したがって、工場のデータ駆動構造を識別する際にANMベースのRCAを適用することにより、スケール変更可能な因果性分析がもたらし得る。更に、軽度又は強い指標が与えられると、ANMを含むシステムは、異なる因果性レベルに応じて、どの経路が決定的であるか、又はどの経路が代替的(若しくは冗長的)であるかについていくつかのヒントを提供し得る。
【0082】
加えて、システムは、システムの効率及び性能を改善することができる、製造システムにおける計算的に追跡可能なANMベースのRCAを容易にすることができる。換言すれば、システムは、最初に大量の電子データを管理可能なサブセットに低減することができ、すなわち、製造システムを表すDAGを管理可能なサブセットに分割することによって、低減することができる。次いで、システムは、候補区画をプルーニングして、特定の停止コードを引き起こす1つ以上の経路を識別することができる。したがって、システムは、計算的に追跡可能なANMベースのRCAを容易にするためにDAGのサイズを低減することができ、システムの効率及び性能が向上することをもたらす。
【0083】
更に、システムは、ペアワイズ分析を拡張することによって、可能なエッジの効率的なプルーニングを容易にすることができる。更に、RCAを実行するためのANMを含むシステムは、カテゴリーデータ、例えば、マシンの状態を表すデータ、及び定量的感覚データに拡張することができ、2つを超える変数に対処することは、簡単であり得る。
【0084】
更に、製造ネットワークトポロジを構築する結果、すなわち、図3に示すような完全な製造プロセスのDAG、分割されたDAG、及びANMベースのRCA(図7Cに示す)を使用して生成されたプルーニングされたDAGは、人間の解釈に優しい方法で視覚的に表示及び操作され得る。
【0085】
図8は、本出願の一実施形態による、加算性ノイズモデルを使用した製造プロセスにおける因果推論を判定するための例示的な環境を示す。環境800は、デバイス814、関連付けられたユーザ812、及び関連付けられたディスプレイ816、製造システム806、デバイス808、並びにデバイス834を含むことができる。デバイス808、814、及び834は、ネットワーク818を介して互いに通信することができる。製造システム806は、製造施設又は製造ネットワークを表すことができ、材料802(例えば、802.1~802.n)及びマシン804(例えば、804.1~804.m)を含むことができる。材料802は、例えば、特定のプロセスの一部として、マシン804によって様々な処理を受けることができる。この処理は、(通信810を介して)記憶デバイス808によって記憶され得るログデータを生成することができる。デバイス808、814、及び834は、サーバ、コンピューティングデバイス、又は本明細書に記載される機能を実行することができる任意のデバイスであり得る。
【0086】
動作中、ユーザ812は、ディスプレイ816及びデバイス814を介して、製造システム806に関連付けられた製造ネットワークトポロジに対する要求を送信することができる。デバイス814は、トポロジ生成コマンド824をデバイス834に送信することができる。デバイス834は、トポロジ生成コマンド824を(トポロジ生成コマンド830として)受信することができる。その後の、先行の、又は同様の時間において、デバイス808は、(ログデータ820取得要求をトリガする要求に基づいて)ログデータ822をデバイス834に送信することができる。テ゛ハ゛イス834は、ロク゛テ゛ータ822を(ロク゛テ゛ータ828として)受信することができ、受信したロク゛テ゛ータをシーケンステ゛ータに変換することができる。テ゛ハ゛イス834は、ロク゛テ゛ータ及び/又は変換されたシーケンステ゛ータを、テ゛ータ840としてテ゛ハ゛イス814に返すことができる。テ゛ータ840を(テ゛ータ844として)受信すると、テ゛ハ゛イス814は、ロク゛テ゛ータ846及びシーケンステ゛ータ848をテ゛ィスフ゜レイ816に表示することができる。ユーサ゛812は、ロク゛テ゛ータ846及びシーケンステ゛ータ848(図示せず)を操作するために、対話型GUI要素を使用することができる。
【0087】
トポロジ生成コマンド830の受信に応答して、デバイス834はまた、製造ネットワークトポロジを生成することができ、トポロジ836をデバイス814に返すことができる。トポロジ836を(トポロジ840として)受信すると、デバイス814は、(図3に関連して上述したように)製造ネットワークトポロジ(マシン依存性)グラフ852をディスプレイ816に表示することができる。
【0088】
ユーザ812はまた、変換されたデータ848及び製造ネットワークトポロジ852に基づいて、ディスプレイ816及びデバイス814を介して、製造プロセスにおける1つ以上のイベントに関連付けられた1つ以上の停止コードに対してRCAを実行するための要求を送信することができる。デバイス814は、RCA826を実行するための要求をデバイス834に送信することができる。デバイス834は、(コマンド832として)RCA826を実行するための要求を受信することができる。デバイス834は、ANMに基づいて、特定の停止コードのグラフ内の主要経路を生成することができ、経路838をデバイス814に返すことができる。経路838を(経路842として)受信すると、デバイス814は、(図7A~7Cに関連して上述したように)ディスプレイ816にグラフ850内の経路842の視覚的表現を提供することができる。
【0089】
ディスプレイ816は、ユーザ812が表示されたデータのいずれかを操作することを可能にすることができる対話型GUI要素を含むことができる。例えば、GUIは、ユーザ812が表示されたDAGから特定の関心対象の経路を選択するための選択肢を含み得、すなわち、ユーザは、特定の経路を分析することに関心がある場合がある。ユーザの経路の選択に応答して、デバイス834は、ANM及び利用可能なログデータ828に基づいて、RCA分析を実行し得る。選択された経路の分析に基づいて、デバイス834は、デバイス816に表示され得るフィードバックをデバイス814に送信し得る。いくつかの実施形態では、ユーザは、1つ以上の停止コードのいかなる診断された又は示された原因に対処することができ、新しい経路を再生成するためのコマンドを生成することができる。システムは、元の経路上に新しく生成された経路を重ねて表示することができ、ユーザが差異に関する詳細な情報を見ることを可能にする他のGUI要素を表示することができる。
【0090】
したがって、環境800は、ユーザがどのようにデータに対する要求を送信することができ、そのデータに基づいて製造ネットワークトポロジ及び経路を生成するためのコマンドを更に送信することができるかを表す。これら3つの要素は環境800内の別個のデータの流れとして示されているが、ユーザはまた、単一のコマンド若しくはユーザ動作として、又はコマンド若しくはユーザ動作のいずれかの組み合わせとして、製造ネットワークトポロジ及び経路の両方を生成するためのデータ及びコマンドに対する要求を開始することもできることに留意されたい。デバイス834はまた、自動若しくは他の管理プロセスの一部として、又は別のエンティティ若しくは他のユーザからの要求に応答して、前述の動作を実行することができる。更に、デバイス834は、本明細書に記載される動作を実行するように構成されているユニット又はモジュールを備えた装置を含むことができる。本明細書に記載される動作は、装置、コンピューティングデバイス、サーバ、コンピューティングシステム、又は他のエンティティのうちの1つ以上のモジュールの動作のいずれかの組み合わせとして実装することができる。
【0091】
図9は、本出願の一実施形態による、加算性ノイズモデルを使用した製造プロセスにおける因果推論を判定するためのプロセスを示すフローチャートを表す。動作中、システムは、処理システムに関連付けられたデータを受信することができる(動作902)。処理システムは、相互接続されたマシンのセット及び関連するプロセスのセットを含むことができる。受信したデータに基づいて、システムは、処理システムにおけるマシンレベルの接続性を表すことができるDAGを生成することができる(動作904)。システムは、処理システム又はネットワーク内の様々なプロセス及び複数のマシンを通じて、材料の流れに関連付けられた情報を、ログデータ、すなわち受信したデータから効果的かつ効率的に抽出することができる。
【0092】
システムは、パラメータのセットに基づいて、DAGにおける関心対象の1つ以上の候補クラスタを判定することができる(動作906)。各候補クラスタは、1つ以上のパラメータに関連付けられ得る。パラメータのセットは、それぞれのマシンに関連付けられたダウンタイム、メンテナンスイベントが、それぞれの経路においてマシンに実行される回数、候補クラスタ内の冗長経路の存在、時間的情報、マシンのグループを含むそれぞれの経路が、処理システムにおいて適用される回数のうちの1つ以上を含むことができる。
【0093】
次いで、システムは、1つ以上のパラメータ及びANMに基づいて、1つ以上の候補クラスタ内の各経路に対するスコアのセットを判定することができる(動作908)。それぞれのスコアは、プロセスフローにおける一対のマシンに関連付けられた因果性の程度を示すことができる。スコアのセットに基づいて、システムは、低い因果性を示すか、又は因果性がないこと示す1つ以上の経路を除去(又はプルーニング)することができる(動作910)。経路が、低い因果性を示すか、又は因果性がないことを示すときに、これらの経路に沿ったマシンは、処理システムにおいて所与の停止コードを引き起こすことに関与しない場合がある。システムは、軽度又は強い(又は高い)因果性を示すことができるスコアに関連付けられた他の経路を保持し得る(動作912)。次いで、システムは、GUIを介して、1つ以上の候補クラスタ内に軽度又は高レベルの因果性を示す1つ以上の候補経路を表示し得る(動作914)。次いで、システムは、GUIを介して、処理システムにおける所与の停止コードに対する1つ以上の根本原因を示すために、フィードバックを提供することができる(動作916)。
例示的な分散コンピュータシステム
【0094】
図10は、本開示の一実施形態による、加算性ノイズモデルを使用した製造プロセスにおける因果推論を判定することを容易にする例示的なコンピュータシステムを示す。コンピュータシステム1000は、プロセッサ1002、メモリ1004、及び記憶デバイス1006を含み得る。メモリ1004は、管理メモリとして機能する揮発性メモリ(例えば、RAM)を含むことができ、1つ以上のメモリプールを記憶するために使用することができる。コンピュータシステム1000は、周辺入出力(I/O)ユーザデバイス1038、例えば、ディスプレイデバイス1010、キーボード1012、及びポインティングデバイス1014に結合することができ、また、1つ以上のネットワークインタフェースを介してネットワーク1008に結合することができる。記憶デバイス1006は、オペレーティングシステム1018及び因果推論システム1020のための命令を記憶することができる。
【0095】
一実施形態では、因果推論システム1020は、プロセッサ1002によって実行されると、コンピュータシステム1000に本開示に記載される方法及び/又はプロセスを実行させることができる命令を含むことができる。因果推論システム1020は、コンピュータネットワークを介して他のネットワークノードへ/から、データパケットを送信及び/又は受信する/取得するための通信モジュール1022を含む。データパケットは、例えば、要求、コマンド、データ、ユーザ入力、シーケンスデータ、ログデータ、トポロジ、経路などを含むことができる。
【0096】
因果推論システム1020は、マシン及び関連付けられたプロセスを含む製造システムに関連付けられたデータを記憶するためのデータ記憶モジュール1024を実装する命令を更に含むことができる。データは、タイムスタンプ情報、マシン状態情報、及び製品バッチ情報を含む。
【0097】
因果推論システム1020は、記憶されたデータに基づいて、製造ネットワークトポロジ、すなわち、製造システムに対応するマシンレベル接続性を示すDAGを判定するために、ネットワークトポロジモジュール1026を含むことができる。製造ネットワークトポロジは、プロセスの一部としてマシン間の材料の流れを含むことができる。
【0098】
因果推論システム1020は、製造ログデータに基づいて、1つ以上の特徴を導出するためのデータ前処理モジュール1028を含むことができる。製造システムの因果性分析は、導出された特徴に基づいて実行することができる。これらの特徴は、因果性分析を実行するための関心対象となり得る、ダウンタイム、人気、及び他の特徴を含むことができる。他の特徴は、それぞれのマシンに関連付けられたダウンタイム、メンテナンスイベントが、それぞれの経路においてマシンに実行される回数、候補クラスタ内の冗長経路の存在、時間的情報、及びマシンのグループを含むそれぞれの経路が、処理システムにおいて適用される回数のうちの1つ以上を含むことができる。
【0099】
候補区画モジュール1030は、導出された1つ以上の特徴に基づいて、(ネットワークトポロジモジュール1026において判定された)DAGをサブグラフに更に分割することができる。例えば、候補区画モジュール1030は、それらが互いに整合するように、経路に沿って異なるマシンに関連付けられた、導出された1つ以上の特徴と一致し得る。DAGを候補クラスタに分割することに応答して、加算性ノイズモデルモジュール1032は、候補クラスタ内の異なる経路に対するスコアのセットを判定し、スコアのセットに基づいて、候補クラスタをプルーニングために、(導出された特徴に基づいて)ANMを適用し得る。
【0100】
次いで、因果推論システム1020は、スコアのセットに基づいて、特定の停止コードとの因果関係を示す主要経路を判定するために、プルーニングされた候補クラスタについて根本原因分析モジュール1034を適用し得る。更に、根本原因分析モジュール1034は、製造システムにおける可能性として存在するボトルネックを示すフィードバックを生成することができ、特定の停止コードに対する因果関係を含む可能性が高い特定の経路を示し得る。ディスプレイモジュール1036は、ユーザ対話型GUIを介して、ディスプレイデバイス1010上に、特定の停止コードに対する因果関係を含む可能性が高い候補クラスタに関連付けられたDAG内の特定の経路を示すフィードバックの視覚的表現を表示し、それによって、製造システムにおけるユーザフレンドリーな根本原因分析を容易にし得る。更に、ディスプレイモジュール1036はまた、ユーザが、ディスプレイデバイス1010のGUIに表示された1つ以上の経路を選択することを可能にすることができる。
【0101】
「発明を実施するための形態」の節に記載される方法及びプロセスは、上に論じられるようなコンピュータ可読記憶媒体内に記憶され得るコード及び/又はデータとして具体化され得る。コンピュータシステムが、コンピュータ可読記憶媒体上に記憶されたコード及び/又はデータを読み取って実行すると、コンピュータシステムは、データ構造及びコードとして具体化され、コンピュータ可読記憶媒体内に記憶された方法及び処理を実行する。
【0102】
更に、上述の方法及び処理は、ハードウェアモジュール又は装置に含まれ得る。ハードウェアモジュール又は装置としては、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)チップ、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)、特定の時刻に特定のソフトウェアモジュール又はコードを実行する専用又は共有プロセッサ、及び、既知の又は後に開発される他のプログラム可能論理デバイスを含むことができるが、これらに限定されない。ハードウェアモジュール又は装置が起動されると、それらの内部に含まれる方法及び処理が実行される。
【0103】
本明細書に記載される前述の実施形態は、例示及び説明のみを目的として提示されている。これらは、網羅的であること、又は本発明を開示される形態に限定することを意図するものではない。したがって、多くの修正及び変形が、当業者には明らかであろう。加えて、上記の開示は、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
図1A
図1B
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10