(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028721
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】受信装置、放送装置、サーバ装置および受信方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/435 20110101AFI20220208BHJP
H04N 21/235 20110101ALI20220208BHJP
H04H 20/28 20080101ALI20220208BHJP
H04H 40/18 20080101ALI20220208BHJP
H04H 20/93 20080101ALI20220208BHJP
【FI】
H04N21/435
H04N21/235
H04H20/28
H04H40/18
H04H20/93
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180154
(22)【出願日】2021-11-04
(62)【分割の表示】P 2019146736の分割
【原出願日】2014-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2013204360
(32)【優先日】2013-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】特許業務法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北里 直久
(72)【発明者】
【氏名】北原 淳
(57)【要約】 (修正有)
【課題】放送リソースを利用するアプリケーションを用いたサービスの品質の向上を図る受信装置、放送装置、サーバ装置及び受信方法を提供する。
【解決手段】ユーザーの受信端末32は、放送番組と、放送番組の少なくとも一部のシーンについて、シーン毎に時間的に対応して伝送され、放送番組に関連する関連情報を取得するために必要な情報を含むタグ情報とを含む放送信号を受信する放送受信部と、アプリケーションと、アプリケーションの動作制御情報及びアプリケーションが利用する関連情報を特定するための情報を含むタグ情報を特定するための識別情報が少なくとも記述されたアプリケーション情報テーブルを夫々取得し、このテーブルをもとにアプリケーションの動作を制御するアプリケーション制御部と、識別情報をもとにタグ情報を取得し、タグ情報をもとに関連情報を取得し、実行中のアプリケーションに供給するタグ情報処理部と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のシーンで構成される放送番組と、この放送番組の少なくとも一部のシーンについて、当該シーン毎に時間的に対応して伝送され、前記放送番組に関連する関連情報を取得するために必要な情報を含むタグ情報とを含む放送信号を受信する放送受信部と、
前記関連情報を利用するアプリケーションと、このアプリケーションの動作を制御するための情報、およびこのアプリケーションが利用する関連情報を特定するための情報を含むタグ情報を特定するための識別情報が少なくとも記述されたアプリケーション情報テーブルをそれぞれ取得し、このアプリケーション情報テーブルをもとに前記アプリケーションの動作を制御するアプリケーション制御部と、
前記受信された放送信号から、前記アプリケーション情報テーブルに記述された識別情報をもとに前記タグ情報を取得し、このタグ情報をもとに前記関連情報を取得し、実行中の前記アプリケーションに供給するタグ情報処理部と
具備する受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受信装置であって、
前記タグ情報は、前記関連情報の伝送チャンネルを識別するためのチャンネル識別情報を含み、
前記タグ情報処理部は、前記チャンネル識別情報により特定される伝送チャンネルから前記関連情報を取得するように構成される
受信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の受信装置であって、
前記タグ情報は、前記関連情報のネットワーク上のロケーション情報を含み、
前記タグ情報処理部は、前記ロケーション情報をもとに前記関連情報を取得するように構成される
受信装置。
【請求項4】
請求項1に記載の受信装置であって、
前記アプリケーション情報テーブルには、前記アプリケーションから所定の演算によって求められた当該アプリケーションを代表する第1の代表値がさらに記述され、かつ電子署名が添付され、
前記アプリケーション制御部は、取得した前記アプリケーション情報テーブルに添付された前記電子署名を検証するように構成される
受信装置。
【請求項5】
1以上のシーンで構成される放送番組と、この放送番組の少なくとも一部のシーンについて、当該シーン毎に時間的に対応して伝送され、前記放送番組に関連する関連情報を取得するために必要な情報を含むタグ情報とを含む放送信号を送信する放送部
を具備する放送装置。
【請求項6】
請求項5に記載の放送装置であって、
前記送信部は、さらに当該シーン毎に時間的に対応して前記関連情報を放送するように構成される
放送装置。
【請求項7】
放送により伝送される放送番組の関連情報を利用するアプリケーションと、前記放送番組の少なくとも一部のシーンについて、当該シーン毎に時間的に対応して伝送され、前記放送番組に関連する関連情報を取得するために必要な情報を含むタグ情報を特定するための識別情報が少なくとも記述されたアプリケーション情報テーブルを格納する格納部と、
前記格納部に格納された前記アプリケーションおよびアプリケーション情報テーブルをユーザの受信端末からの要求に応じてネットワークを介して配信する配信部と
を具備するサーバ装置。
【請求項8】
放送受信部が、1以上のシーンで構成される放送番組と、この放送番組の少なくとも一部のシーンについて、当該シーン毎に時間的に対応して伝送され、前記放送番組に関連する関連情報を取得するために必要な情報を含むタグ情報とを含む放送信号を受信し、
アプリケーション制御部が、前記関連情報を利用するアプリケーションと、このアプリケーションの動作を制御するための情報、およびこのアプリケーションが利用する関連情報を特定するための情報を含むタグ情報を特定するための識別情報が少なくとも記述されたアプリケーション情報テーブルをそれぞれ取得し、このアプリケーション情報テーブルをもとに前記アプリケーションの動作を制御し、
タグ情報処理部が、前記受信された放送信号から、前記アプリケーション情報テーブルに記述された識別情報をもとに前記タグ情報を取得し、このタグ情報をもとに前記関連情報を取得し、実行中の前記アプリケーションに供給する
受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、アプリケーション管理テーブルを用いてアプリケーションを実行することが可能な受信装置と、放送装置、サーバ装置および受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放送コンテンツの再生と同時に、インターネット等のネットワークを通じて配信されるアプリケーションの実行を行うことを可能とする技術が知られている。このような技術として、ハイブリッドブロードバンド放送(Hybrid Broadcast Broadband TV、以下「HbbTV」と称する。)と呼ばれる技術が知られている。HbbTVの標準規格として、欧州では「ETSI TS 102 796」(非特許文献1参照。)が策定されている。また、我が国でもこれに相当する標準規格「ARIB STD-B24(第4編)」(非特許文献2参照。)が策定されている。
【0003】
例えばHbbTVなどのように、放送コンテンツの再生と同時にアプリケーションが実行されるシステムでは、アプリケーションの起動から終了までのライフサイクルが、放送コンテンツに重畳されたAITセクション(Application Information Table)と呼ばれるデータ構造によって管理される。AITセクションを取得した情報端末は、AITセクションに含まれるアプリケーション制御用のコードをもとにアプリケーションの制御を行う。
【0004】
また、放送AITセクションと同等の情報を有し、インターネットなど通信網を利用して受信機にアプリケーションに関する情報を提供するために最適なフォーマットとして、XML形式で記述されたXML-AITがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ETSI(European Telecommunications Standards Institute)「ETSI TS 102 796 V1.1.1 (2010-06)」http://www.etsi.org/deliver/etsi_ts/102700_102799/102796/01.01.01_60/ts_102796v010101p.pdf(平成23年10月21日閲覧)
【非特許文献2】社団法人電波産業会「デジタル放送におけるデータ放送符号化方式と伝送方式、標準規格、ARIB STD-B24 5.8版」http://www.arib.or.jp/english/html/overview/doc/2-STD-B24v5_8-2p3-2.pdf(平成25年7月3日閲覧)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今後、放送局以外の事業者、例えば端末メーカやサードパーティなどのアプリケーション事業者から、放送番組を何らかのかたちで利用するアプリケーションが提供されることが想定される。しかし、このようにアプリケーション事業者によって提供されるアプリケーションを利用したサービスを実際に運用するにあたっては、解決すべき様々な課題が未だ残されており、その対策が望まれている。
【0007】
本技術の目的は、放送リソースを利用するアプリケーションを用いたサービスの品質の向上を図ることの可能な受信装置、放送装置、サーバ装置および受信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本技術に係る受信装置は、1以上のシーンで構成される放送番組と、この放送番組の少なくとも一部のシーンについて、当該シーン毎に時間的に対応して伝送され、前記放送番組に関連する関連情報を取得するために必要な情報を含むタグ情報とを含む放送信号を受信する放送受信部と、前記関連情報を利用するアプリケーションと、このアプリケーションの動作を制御するための情報、およびこのアプリケーションが利用する関連情報を特定するための情報を含むタグ情報を特定するための識別情報が少なくとも記述されたアプリケーション情報テーブルをそれぞれ取得し、このアプリケーション情報テーブルをもとに前記アプリケーションの動作を制御するアプリケーション制御部と、前記受信された放送信号から、前記アプリケーション情報テーブルに記述された識別情報をもとに前記タグ情報を取得し、このタグ情報をもとに前記関連情報を取得し、実行中の前記アプリケーションに供給するタグ情報処理部とを具備する。
【0009】
前記受信装置において、前記タグ情報は、前記関連情報の伝送チャンネルを識別するためのチャンネル識別情報を含み、前記タグ情報処理部は、前記チャンネル識別情報により特定される伝送チャンネルから前記関連情報を取得するように構成されてもよい。
【0010】
前記受信装置において、前記タグ情報は、前記関連情報のネットワーク上のロケーション情報を含み、前記タグ情報処理部は、前記ロケーション情報をもとに前記関連情報を取得するように構成されてもよい。
【0011】
前記受信装置において、前記アプリケーション情報テーブルには、前記アプリケーションから所定の演算によって求められた当該アプリケーションを代表する第1の代表値がさらに記述され、かつ電子署名が添付され、前記アプリケーション制御部は、取得した前記アプリケーション情報テーブルに添付された前記電子署名を検証するように構成されてもよい。
【0012】
本技術に係る放送装置は、1以上のシーンで構成される放送番組と、この放送番組の少なくとも一部のシーンについて、当該シーン毎に時間的に対応して伝送され、前記放送番組に関連する関連情報を取得するために必要な情報を含むタグ情報とを含む放送信号を送信する放送部を具備する。
【0013】
本技術に係るサーバ装置は、放送により伝送される放送番組の関連情報を利用するアプリケーションと、前記放送番組の少なくとも一部のシーンについて、当該シーン毎に時間的に対応して伝送され、前記放送番組に関連する関連情報を取得するために必要な情報を含むタグ情報を特定するための識別情報が少なくとも記述されたアプリケーション情報テーブルを格納する格納部と、前記格納部に格納された前記アプリケーションおよびアプリケーション情報テーブルをユーザの受信端末からの要求に応じてネットワークを介して配信する配信部とを具備する。
【0014】
本技術の別の観点に基づく受信方法は、放送受信部が、1以上のシーンで構成される放送番組と、この放送番組の少なくとも一部のシーンについて、当該シーン毎に時間的に対応して伝送され、前記放送番組に関連する関連情報を取得するために必要な情報を含むタグ情報とを含む放送信号を受信し、アプリケーション制御部が、前記関連情報を利用するアプリケーションと、このアプリケーションの動作を制御するための情報、およびこのアプリケーションが利用する関連情報を特定するための情報を含むタグ情報を特定するための識別情報が少なくとも記述されたアプリケーション情報テーブルをそれぞれ取得し、このアプリケーション情報テーブルをもとに前記アプリケーションの動作を制御し、タグ情報処理部が、前記受信された放送信号から、前記アプリケーション情報テーブルに記述された識別情報をもとに前記タグ情報を取得し、このタグ情報をもとに前記関連情報を取得し、実行中の前記アプリケーションに供給する。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本技術によれば、放送リソースを利用するアプリケーションを用いたサービスの品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態の情報処理システムの概要を示す図である。
【
図2】本実施形態のXML-AITのデータ構造を示す図である。
【
図3】アプリケーションモード記述子121のデータ構造を示す図である。
【
図4】アプリケーションハッシュ記述子122のデータ構造を示す図である。
【
図5】XML-AITに格納されるアプリケーション制御コード(controlCode)23の定義を示す図である。
【
図6】本実施形態の受信端末32の構成を示すブロック図である。
【
図7】受信端末32においてシーン毎のアフィリエイトタグおよびアフィリエイトインフォの取得の流れを示す図である。
【
図8】XML-AIT、アプリケーション、アフィリエイトタグ、アフィリエイトインフォの関係を示す図である。
【
図9】セクション形式で伝送されるアフィリエイトタグのデータ構造を示す図である。
【
図10】伝送プロトコル記述子(transport_protocol_descriptor)のデータ構造を示す図である。
【
図11】データカルーセル伝送のセレクタバイトのデータ構造を示す図である。
【
図12】伝送プロトコルがHTTP/HTTPSである場合のセレクタバイトのデータ構造を示す図である。
【
図13】アフィリエイトタグをXML形式のファイルとして、データカルーセル方式またはFLUTEにより伝送する場合のフォーマットの例である。
【
図14】アフィリエイトインフォを取得するためのHTTPS Postリクエストの例である。
【
図15】電子署名およびハッシュ値の生成と検証の仕組みについて説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本技術の実施の形態を図面をもとに説明する。
<第1の実施形態>
[情報処理システム]
図1は、本実施形態の情報処理システム1の概要を示す図である。
本実施形態の情報処理システム1には、エンティティとして、放送事業者10、アプリケーション事業者20、ユーザ30が存在する。
【0018】
放送事業者10は、放送局12とアフィリエイトインフォサーバ14を有する。
放送局12は、放送設備を有し、例えば、地上波、衛星波、IP(Internet Protocol)ネットワークなどの通信媒体を介してデジタル放送信号を送信する。放送局12は、映像、音声、字幕などの各トランスポートストリームが多重化されたAVストリームと、AVストリームに付随するデータなどとが重畳されたいわゆる放送ストリームを送出する。AVストリームに付随するデータとしては、例えば、AFT(Affiliate Tag Table)、FLUTE、データカルーセルなどがある。
【0019】
アフィリエイトインフォサーバ14は、ユーザ30の受信端末32において実行されるアプリケーションによって利用され、放送番組のシーンに関連する情報であるアフィリエイトインフォを蓄積する。アフィリエイトインフォサーバ14は、ユーザ30の受信端末32からのリクエストに対して該当するアフィリエイトインフォをネットワークを通じて応答するように構成される。
【0020】
アプリケーション事業者20は、アプリケーション/AIT生成装置22とアプリケーション/AITサーバ24を備える。
【0021】
アプリケーション/AIT生成装置22は、アプリケーションと、このアプリケーションの動作を制御するための情報が記述されたXML-AIT(Extensible Markup Language-Application Information Table)の生成等を行う装置である。アプリケーション/AIT生成装置22は、より具体的にはパーソナルコンピュータなどの計算機と、この計算機上で実行されるプログラムで構成される。
【0022】
アプリケーション/AITサーバ24は、アプリケーション/AIT生成装置22によって生成され、アプリケーション事業者20によって電子署名が付与されたアプリケーションとXML-AITのファイルを蓄積する格納部241と、ユーザ30の受信端末32からのリクエストに対して該当するアプリケーションとXML-AITのファイルをネットワークを通じて配信する配信部242とを有する。
【0023】
なお、アプリケーション/AITサーバ24は、アプリケーションサーバとAITサーバの2つのサーバで構成されてもよい。アプリケーション/AITサーバ24は、それぞれCPU、メインメモリ、データ記憶装置、ユーザインタフェースなど、典型的なコンピュータのハードウェア構成と、それぞれのサーバ用のプログラムとで構成される。
【0024】
ユーザ30の受信端末32は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、テレビジョン装置、ゲーム機、タブレット端末、オーディオ・ビデオ再生機器などであるが、具体的に製品形態は問わない。
【0025】
ユーザ30の受信端末32は、放送局12からデジタル放送信号を受信し、復調してトランスポートストリームを得る。受信端末32は、このトランスポートストリームから放送ストリームを分離し、デコードして受信端末32にそれぞれ搭載されるあるいはそれぞれ接続される表示部(図示せず)及びスピーカ部(図示せず)や、記録装置(図示せず)に出力することが可能である。
【0026】
また、ユーザ30の受信端末32は、アプリケーション/AITサーバ24からXML-AITのファイルおよびアプリケーションを取得する。より具体的には、受信端末32は、まず、XML-AITのファイルを取得し、このXML-AITに記述されたアプリケーションの置き場所を示すURLをもとにアプリケーションを取得するように構成される。
【0027】
なお、上記の説明では、アフィリエイトインフォのファイルをアフィリエイトインフォサーバ14に配置し、ネットワークを通じて受信端末32に伝送することとしたが、放送によりアフィリエイトインフォを受信端末32に伝送してもよい。放送によりアフィリエイトインフォなどのファイルを伝送するためのプロトコルとして、例えば、IPマルチキャスト環境におけるファイルデリバリーのプロトコルであるFLUTE(File Delivery over Unidirectional Transport)、データカルーセルなどがある。
【0028】
[アプリケーション]
ここで、アプリケーション事業者20から提供されるアプリケーションについて説明を補足する。アプリケーションは、例えばHTML(Hyper Text Markup Language)文書、BML文書(Broadcast Markup Language)、MHEG文書(Multimedia and Hypermedia information coding)、Java(登録商標)スクリプト、静止画ファイル、動画ファイルなどで構成される。
【0029】
アプリケーションは可視的なものであっても不可視的なものであってもよい。可視的なアプリケーションとは、画面を通じてその状態をユーザが視ることのできるアプリケーションである。不可視的なアプリケーションは、画面を通じてその状態をユーザが視ることのできないアプリケーションである。また、アプリケーションは、受信端末32へのユーザによる操作に従って提示する情報や機能を変えることができる双方向型アプリケーションでもよいし、ユーザに対して一方向に情報を提示するアプリケーションでもよい。
【0030】
[XML-AITのデータ構造]
次に、本実施形態で採用されるXML-AITのデータ構造について説明する。
図2は、本実施形態のXML-AITのデータ構造を示す図である。
XML-AITには、アプリケーション毎の、アプリケーション名(app_Name)、アプリケーション識別子(application_Iidentifier)、アプリケーション記述子(application_Descriptor)、アプリケーションタイプ(type)、アプリケーション制御コード(control_Code)123、アプリケーションの可視性(visibility)、現在のサービス内でのみ有効かを示すフラグ(service_Bound)、アプリケーションの優先度(priority)、アプリケーションのバージョン(version)、プラットフォームプロファイルにあわせたバージョン(mhp_Version)、アイコン(icon)、ストレージ機能の性能(storage_Capability)、トランスポートプロトコル記述子(application_Transport)、アプリケーションロケーション記述子(application_Location)、アプリケーションバウンダリ記述子(application_Boundary)、アプリケーションスペシフィック記述子(application_Specific_Descriptor)、アプリケーションユーセジ記述子(application_Usage_Descriptor)、アプリケーションモード記述子(application_Mode_Descriptor)121、アプリケーションハッシュ記述子(application_Hash_Descriptor)122などが格納される。
【0031】
このXML-AITには、改ざんを検出するための電子署名が添付される。電子署名としては、例えばXML署名などが用いられる。XML署名の形式は、XML-AITに対して独立したdetached署名、XML-AITを包含した形式を有するenveloping署名、XML-AITに包含された形式のenveloped署名のいずれであるかを問わない。なお、XML-AITのフォーマットへの影響を抑えるにはdetached署名を採用するのがよい。
【0032】
本実施形態で採用されるXML-AITには、アプリケーションのモードを示す記述子であるアプリケーションモード記述子(Application Mode Descriptor)121が設けられている。
【0033】
図3はアプリケーションモード記述子121のデータ構造を示す図である。
アプリケーションモード記述子121は、アプリケーションモード記述子121を識別する記述子タグ(descriptor_tag)、記述子長(descriptor_length)、アプリケーションのモードを示すアプリケーションモード(application_mode)、アフィリエイトタグ数(number_of_affilate_tag)、アフィリエイトタグID(affiliate_tag_id)などで構成される。
【0034】
アプリケーションモードは、アプリケーションが利用できる機能(API:Application Program Interface)を制御するための情報である。アプリケーションによって利用が制限される機能としては、例えば、放送の番組やデータなどの様々な放送リソースにアクセスして提示する放送リソース提示機能などがある。より詳細には、放送リソースにアクセスするアプリケーションは、その放送リソース提示機能を利用できるようにアプリケーションモードの値が設定され、放送リソースにアクセスしないアプリケーションは、その放送リソース提示機能を利用できないようにアプリケーションモードの値が設定される。なお、アプリケーションモードによって、利用できるかどうかが切り替えられる機能は放送リソース提示機能に限られない。
【0035】
放送リソースにアクセスするアプリケーションに対して設定されるアプリケーションモードを"mode1"、放送リソースにアクセスしないアプリケーションに対して設定されるアプリケーションモードを"mode2"とした場合を想定する。
この想定においては、アプリケーションモードは、受信端末32において電子署名の検証の要否を知るための情報として利用することができる。すなわち、受信端末32はアプリケーションモードが"mode1"であるとき電子署名の検証が不要と判定し、"mode2"であるとき電子署名の検証が必要であることを判定する。但し、これは1つの運用形態に過ぎず、放送リソースにアクセスするアプリケーションについても電子署名の検証を必要とすることとしてもよい。
【0036】
アフィリエイトタグ数は、アフィリエイトタグの総数を示す。
アフィリエイトタグIDは、放送により配信される各々のアフィリエイトタグに割り当てられた識別情報である。アフィリエイトタグについては後で詳細に説明する。
【0037】
図4は、アプリケーションハッシュ記述子122のデータ構造を示す図である。
アプリケーションハッシュ記述子122は、記述子タグ(descriptor_tag)、記述子長(descriptor_length)、ハッシュ値の計算方法を示すハッシュアルゴリズム(hash_algorithm)、ハッシュ値長(hash_value_length)、ハッシュ値(hash_value_byte)などで構成される。ハッシュ値は、アプリケーションのハッシュ値であり、所定のハッシュ関数などによってアプリケーションの実体から生成された値であり、そのアプリケーションを代表する値と言うことができる。このハッシュ値の利用方法については後で説明する。
【0038】
[アプリケーション制御コードの定義]
アプリケーションのライフサイクルは、XML-AITに格納されるアプリケーション制御コード123をもとに、受信端末によって動的に制御される。
【0039】
図5はXML-AITに格納されるアプリケーション制御コード(controlCode)123の定義を示す図である。
同図に示すように、アプリケーション制御コードとしては、"AUTOSTART"、"PRESENT"、"DESTROY"、"KILL"、"PREFETCH"、"REMOTE"、"DISABLED"、"PLAYBACK_AUTOSTART"が標準規格上存在する。これらアプリケーション制御コードの定義は以下のとおりである。
【0040】
"AUTOSTART"は、サービスの選択に伴いアプリケーションを自動で起動することを指示するコードである。アプリケーションが既に実行されている場合にはこの限りでない。
"PRESENT"は、サービスが選択されている間、アプリケーションを実行可能な状態とすることを指示するコードである。但し、対象のアプリケーションは、サービスの選択に伴って自動的にアプリケーションは起動されず、ユーザからの起動の指示を受けて起動される。
"DESTROY"は、アプリケーションの終了の許可を指示するコードである。
"KILL"は、アプリケーションの強制的な終了を指示するコードである。
"PREFETCH"は、アプリケーションのキャッシュを指示するコードである。
"REMOTE"は、現在のトランスポートストリームでは取得できないアプリケーションであることを示すコードである。そのアプリケーションは、別のトランスポートストリームあるいはキャッシュから取得して利用可能となる。
"DISABLED"は、アプリケーションの起動を禁止することを示すコードである。
"PLAYBACK_AUTOSTART"は、ストレージ(記録装置)に録画された放送コンテンツの再生に伴いアプリケーションを起動させるためのコードである。
【0041】
[システム全体の大まかな動作例]
次に、システム全体の大まかな動作の流れの一例を
図1を参照して説明する。
1.まず、アプリケーション事業者20のアプリケーション/AIT生成装置22において、アプリケーションとこのアプリケーションの動作を制御するためのXML-AITが生成される。生成されたアプリケーションとXML-AITはアプリケーション事業者20から放送事業者10にその内容を確認してもらうために送られる。
【0042】
2.放送事業者10(放送局12)は、アプリケーション事業者20より供給されたアプリケーションとXML-AITについて、予め決められた評価基準に従ってこれらの利用を許可できるかどうかを確認する。放送事業者10(放送局12)は、問題が無ければ、アプリケーションとXML-AITのそれぞれに放送局12の秘密鍵を用いて生成された電子署名を付与する。電子署名が付与されたアプリケーションとXML-AITはアプリケーション事業者20に送り戻される。
【0043】
3.アプリケーション事業者20は、これらのアプリケーションとXML-AITをアプリケーション/AITサーバ24に配置し、受信端末32からネットワークを介してアクセス可能な状態にする。
【0044】
なお、アプリケーション事業者20と放送事業者10(放送局12)との間でのアプリケーションおよびXML-AITの受け渡しはネットワークを通じて行ってもよいし、電子データを記録可能な記録媒体の受け渡しにより行われてもよい。
【0045】
4.一方、放送事業者10(放送局12)は、アフィリエイトインフォ(affiliate_info)のファイルを生成し、アフィリエイトインフォサーバ14に受信端末32によってアクセス可能な状態で配置する。ここで、アフィリエイトインフォとは、放送番組の少なくとも一部のシーンについて、そのシーンに時間的に対応して、受信端末32において実行中のアプリケーションによって利用される、放送番組に関連した情報が格納されるデータ構造である。なお、アフィリエイトインフォ(affiliate_info)の具体的なデータ構造は放送事業者10により任意に決定される。
【0046】
アフィリエイトインフォ(affiliate_info)に格納されることが想定される関連情報としては、例えば、次のようなものがある。
a.放送番組のシーンに登場する人、物、店などのオブジェクトに関する詳細情報。
b.そのオブジェクトの詳細情報をアクセスするための情報。
c.シーンに関連する座標位置情報(ニュースの現場の場所、ドラマのシーン位置など)。
d.EPG相当の番組情報。
e.シーンやカットの代表的な映像や縮小映像。
f.番組の台詞やナレーションなど、番組中の発話を時系列にテキスト化したデータ。
g.その他、放送事業者10が所有する情報。
【0047】
一方、アプリケーションは、上記の関連情報を用いて処理を行い、処理結果を出力する。アプリケーションとしては、例えば次のようなものが想定される。
A.上記aのオブジェクトの詳細情報を取得し、シーン中でユーザがポインタを使って指示した人、物、店などのオブジェクトの詳細情報を画面に表示させるアプリケーション。
B.上記bのアクセス情報を取得し、シーン中でユーザがポインタを使って指示した人、物、店などのオブジェクトの詳細情報にアクセス情報をもとにアクセスし、画面に表示させるアプリケーション。
C.上記cの座標位置情報を取得し、この座標位置情報が示す位置をマップ上に表示することによって、ニュースの現場の場所や、ドラマのシーン位置などをユーザに提示するアプリケーション。
D.上記dのEPG相当の番組情報を取得し、番組情報をもとにウェブを対象に検索を行って関連するウェブページを表示するアプリケーション。
E.上記eのシーンやカットの代表的な映像や縮小映像を時間順に一覧表示するアプリケーション。
F.上記fの番組中の発話を時系列にテキスト化したデータを取得し、時間順に一覧表示したり、一覧表示された発話テキスト化データの中からユーザにより選択されたデータをもとにウェブを対象に検索を行って関連するウェブページを表示するアプリケーション。
その他、アプリケーションとしては様々なものが想定される。
【0048】
システム全体の動作の流れの説明に戻る。
5.放送局12は、放送局12の秘密鍵に対応する公開鍵が格納された証明書を放送する。証明書の放送には、例えばデータカルーセル方式などが用いられる。
【0049】
6.受信端末32は、例えば、ユーザ30から放送番組に対応するアプリケーション実行指示を受けることによって、アプリケーション/AITサーバ24からその放送番組に対応するXML-AITを取得する。受信端末32は、さらにそのXML-AITに記述されたアプリケーションのロケーション情報をもとにアプリケーション/AITサーバ24からアプリケーションを取得する。さらに、受信端末32は、放送信号から証明書を取得し、この証明書に格納された公開鍵を用いてXML-AITの電子署名の検証を行い、検証に成功すると、取得したアプリケーションを信頼できるアプリケーションとして位置付ける。
【0050】
7.放送局12は、放送番組の少なくとも一部のシーン(上記のアフィリエイトインフォ(affiliate_info)が関連付けられた各々のシーン)に時間的に対応してアフィリエイトタグ(affiliate_tag)を例えばデータカルーセル方式で放送する。
【0051】
8.受信端末32は、取得したXML-AITに記述されたアフィリエイトタグIDに一致するアフィリエイトタグを放送信号から検出し、これを取得する。
【0052】
9.受信端末32は、取得したアフィリエイトタグに記述された、例えば、アフィリエイトインフォのファイルのロケーション情報などをもとに、アフィリエイトインフォサーバ14にアクセスして目的のアフィリエイトインフォを取得する。
【0053】
10.受信端末32は、取得したアフィリエイトインフォに格納された関連情報をアプリケーションに供給する。これにより、アプリケーションにおいて放送番組のシーンに対応する関連情報を用いた処理が実行される。
【0054】
なお、この動作例では、アフィリエイトインフォサーバ14からアフィリエイトインフォのファイルを取得することとしたが、放送信号から伝送されるアフィリエイトインフォを取得するようにしてもよい。この場合、アフィリエイトタグには、アフィリエイトインフォを取得するために必要な情報として、放送チャンネルを特定する情報が記述される。
以上が、システム全体の大まかな動作の説明である。
【0055】
次に、受信端末32の構成について説明し、続いて情報処理システム1の動作の詳細を説明する。
【0056】
[受信端末32の構成]
図6は本実施形態の受信端末32の構成を示すブロック図である。
受信端末32は、放送インタフェース321、デマルチプレクサ322、ビデオデコーダ323、オーディオデコーダ324、証明書受信処理部325、アフィリエイト処理部326、アプリケーション制御部327、通信インタフェース328、アプリケーションエンジン329、および映像合成部330を有する。
【0057】
放送インタフェース321は、アンテナ及びチューナを有し、これらを用いてユーザにより選局されたデジタル放送信号を受信する。放送インタフェース321は、受信したデジタル放送信号に対して復調処理などを施して得たトランスポートストリームをデマルチプレクサ322に出力する。
【0058】
デマルチプレクサ322は、TS(トランスポートストリーム)に多重化されたビデオ、オーディオ、セクション形式のデータであるアフィリエイトタグ、証明書を分離する。すなわち、デマルチプレクサ322は、TSを構成するTSパケットに含まれるPID(Packet ID)を参照し、ストリーム形式のTSパケットのうちビデオのES(エレメンタリストリーム)をビデオデコーダ323に出力し、オーディオストリームのESをオーディオデコーダ324に出力する。また、セクション形式のデータが格納されたTSパケットのうち、アフィリエイトタグの格納されたパケットをアフィリエイト処理部326に出力し、さらに、証明書が格納されたパケットを証明書受信処理部325に出力する。
【0059】
ビデオデコーダ323は、ビデオのESをデコードして映像信号を生成し、生成した映像信号を映像合成部330に出力する。
【0060】
オーディオデコーダ324は、オーディオのESをデコードして音声信号を生成し、生成した音声信号を図示しない出力処理部に出力する。
【0061】
証明書受信処理部325は、デマルチプレクサ322によってトランスポートストリームから分離された証明書のパケットから証明書のデータを抽出してアプリケーション制御部327に供給する。
【0062】
アプリケーション制御部327は、XML-AITに従って、アプリケーションエンジン329においてアプリケーションの起動、停止などの制御を行う。アプリケーション制御部327は、アプリケーションの動作制御情報であるXML-AITを、通信インタフェース328を使ってアプリケーション事業者20のアプリケーション/AITサーバ24から取得する。アプリケーション制御部327は、取得したXML-AITに記述されているロケーション情報をもとに、所望の放送番組に関連するアプリケーションを、通信インタフェース328を使ってアプリケーション事業者20のアプリケーション/AITサーバ24から取得し、アプリケーションエンジン329において起動させるように制御する。
【0063】
アプリケーションエンジン329は、1以上のアプリケーションを実行させるためのプラットフォームであり、具体的には、例えばHTML(HyperText Markup Language)ブラウザなどである。アプリケーションエンジン329において実行中のアプリケーションは、アフィリエイト処理部326に対して、XML-AITに記述されたアフィリエイトタグIDに一致するアフィリエイトタグを放送信号から検出して取得するように指示する。アプリケーションは、アフィリエイト処理部326からアフィリエイトタグの取得完了の応答を受けると、続いてアフィリエイトインフォを取得するようにアフィリエイト処理部326に指示する。そして、アプリケーションエンジン329において実行中のアプリケーションは、アフィリエイト処理部326によって取得されたアフィリエイトインフォに格納された関連情報を用いて所定の処理を行う。
【0064】
アフィリエイト処理部326は、デマルチプレクサ322によってトランスポートストリームから分離されたアフィリエイトタグのパケットから、XML-AITに記述されたアフィリエイトタグIDに一致するアフィリエイトタグを検出する。アフィリエイト処理部326は、検出されたアフィリエイトタグに記述された、アフィリエイトインフォを取得するための情報をもとに、アフィリエイトインフォサーバ14もしくは放送信号からアフィリエイトインフォを取得し、アプリケーションエンジン329において実行中のアプリケーションに応答するように構成されている。
【0065】
通信インタフェース328は、ネットワーク200を通じて外部の機器と通信を行うためのインタフェースである。通信インタフェース328は無線による通信、有線による通信を問わない。
【0066】
映像合成部330は、ビデオデコーダ323からの映像信号、アプリケーションエンジン329において実行中のアプリケーションによって生成された表示データを合成し、例えば、受信端末32に接続された記録装置(図示せず)、表示部及びスピーカ部(図示せず)に出力する。
【0067】
上記の受信端末32の少なくとも証明書受信処理部325、アフィリエイト処理部326、アプリケーション制御部327、アプリケーションエンジン329を含む構成の少なくとも一部は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを有するコンピュータと、このコンピュータを受信端末32としてとして機能させるプログラムとにより構成される。
【0068】
[受信端末32の動作]
次に、本実施形態の受信端末32の動作の詳細を説明する。
図7は受信端末32においてシーン毎のアフィリエイトタグおよびアフィリエイトインフォの取得の流れを示す図である。
図8はXML-AIT、アプリケーション、アフィリエイトタグ、アフィリエイトインフォの関係を示す図である。
【0069】
例えば、ユーザ30から視聴中の放送番組に対応するアプリケーション実行指示を受けると、アプリケーション制御部327は、通信インタフェース328を使ってアプリケーション事業者20のアプリケーション/AITサーバ24にアクセスし、目的のアプリケーションの動作制御情報であるXML-AITを取得する。
【0070】
アプリケーション制御部327は、取得したXML-AITに記述されているアプリケーションのロケーション情報(例えばApp_URL)をもとにアプリケーション/AITサーバ24から目的のアプリケーションを取得し、ハッシュ値及び電子署名の検証を行う。なお、ハッシュ値の検証及び電子署名の検証の詳細については後で説明する。ハッシュ値及び電子署名の検証に成功した場合、アプリケーション制御部327は、XML-AITに記述されたアプリケーション制御コードに従って、そのアプリケーションをアプリケーションエンジン329の上で起動させる。
【0071】
次に、アプリケーションエンジン329において実行中のアプリケーション(例えば
図7のApp1またはApp2)は、アフィリエイト処理部326に対して、XML-AITに記述されたアフィリエイトタグIDに一致するアフィリエイトタグを、放送信号から検出するように指示する(
図8:Affiliate_Tag検出開始)。
【0072】
アフィリエイト処理部326は、デマルチプレクサ322によってトランスポートストリームから分離されたアフィリエイトタグのパケットから、XML-AITに記述されたアフィリエイトタグIDに一致するアフィリエイトタグを検出する。
【0073】
実行中のアプリケーションは、アフィリエイト処理部326に対してアフィリエイトタグの取得の完了を周期的に問い合わせる(
図8:Affiliate_Tag取得確認)。実行中のアプリケーションは、アフィリエイト処理部326から取得完了の通知を受けると、続いてアフィリエイトインフォの取得をするようにアフィリエイト処理部326に指示する。アフィリエイト処理部326は、この指示に従って、アフィリエイトタグに記述された、アフィリエイトインフォを取得するための情報(
図8:Affiliate_tokenまたはAffiliate_URI)をもとに、アフィリエイトインフォサーバ14もしくは放送信号からアフィリエイトインフォを取得する(
図8:Affiliate_info取得)。
【0074】
図8に示すように、アフィリエイトタグには、アフィリエイトインフォを取得するための情報として、アフィリエイトインフォサーバ14に格納されたアフィリエイトインフォのファイルを取得するための情報(
図8:Affiliate_token、Affiliate_URI)、またはアフィリエイトインフォが放送信号で伝送されるチャンネル情報(
図8:original_network_id、transport_stream_id、service_id)などがある。
【0075】
アフィリエイトタグの伝送方法には、
1.セクション形式のアフィリエイトタグ(AFT:Affiliate_tag_Table)を伝送する方法。
2.データカルーセル、FLUTEによるファイル形式のアフィリエイトタグを伝送する方法。
3.例えばMPEG2 Videoのユーザデータ領域、H264のSEIなどのビデオデータにバイナリ形式のアフィリエイトタグを埋め込んで伝送する方法。
などがある。
【0076】
[アフィリエイトタグ(affiliate_tag)のデータ構造]
ここで、アフィリエイトタグのデータ構造について説明する。
図9はセクション形式で伝送されるアフィリエイトタグのデータ構造を示す図である。
【0077】
セクション形式で伝送されるアフィリエイトタグ(affiliate_tag)には、テーブルID(table_id)、セクションシンタックス識別子(section_syntax_indicator)、将来利用のための予約(reserved_future_use)、予約(reserved)、セクション長(section_length)、アフィリエイトタグID(affiliate_tag_id)、バージョン番号(version_number)、カレントネクスト指示(current_next_indicator)、セクション番号(section_number)、最後セクション番号(last_section_number)、アフィリエイトトークンフラグ(affiliate_token_flag)、アフィリエイトトークン(affiliate_token)、追加の記述子長(descriptor_loop_length)、および追加の記述子(descriptor)などが記述される。
【0078】
アフィリエイトタグのテーブルIDには、アフィリエイトタグテーブルであることを一意に識別可能なIDが記述される。アフィリエイトタグIDは各々のアフィリエイトタグを識別するためのIDである。
【0079】
アフィリエイトトークンフラグは、アフィリエイトトークンの有無を示すフラグである。
アフィリエイトトークンは、アフィリエイトタグIDに対応する秘密コードである。この秘密コードは、アフィリエイトインフォサーバ14において、どのアフィリエイトインフォに対するアクセス要求であるかを一意に判別することができるように決められた情報である。
【0080】
なお、セキュリティの強化のため、アフィリエイトインフォのファイルをアフィリエイトインフォサーバ14から取得するための情報としてはアフィリエイトトークンを用いることが望ましいが、本技術においては、少なくとも、アフィリエイトインフォを取得するための情報であればよい。例えば、URLのような一般的なロケーション情報であってもよい。また、データカルーセル方式やFLUTEによって放送されるアフィリエイトインフォのファイルを取得する場合には、アフィリエイトトークンフラグによりアフィリエイトトークンが無いことをアフィリエイトタグに明示し、original_network_id、transport_stream_id、service_idなどで構成される伝送チャンネル情報をアフィリエイトインフォを取得するための情報として記述することができる。
【0081】
追加の記述子(descriptor)には、例えば、伝送プロトコル記述子(transport_protocol_descriptor)などを目的に応じて記述できる。
【0082】
図10は、上記の伝送プロトコル記述子(transport_protocol_descriptor)のデータ構造を示す図である。
伝送プロトコル記述子は、伝送プロトコル記述子タグ(descriptor_tag)、伝送プロトコル記述子長(descriptor_length)、プロトコルID(protocol_id)、伝送プロトコルラベル(transport_protocol_label)およびセレクタバイト(selector_byte)を含む。
【0083】
伝送プロトコル記述子タグは、アフィリエイトインフォを伝送するプロトコルを示す。伝送プロトコルとしては、例えばHTTP(Hypertext Transfer Protocol)/HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)、データカルーセル伝送、FLUTEなどがある。
【0084】
セレクタバイトは、プロトコルID毎にシンタックスが規定される領域である。
【0085】
図11は、データカルーセル伝送のセレクタバイトのデータ構造を示す図である。
このデータカルーセル伝送のセレクタバイトは、リモートコネクション(remote_connection)、予約(reserved_future_use)、オリジナルネットワークID(original_network_id)、トランスポートID(transport_stream_id)、サービスID(service_id)、およびコンポーネントタグ(component_tag)を含む。
【0086】
リモートコネクションは、アフィリエイトタグとアフィリエイトインフォが同じチャンネルで伝送されるかどうかを示す値である。
【0087】
オリジナルネットワークID、トランスポートID、サービスIDはアフィリエイトインフォが伝送されるチャンネルを示す情報である。そして、コンポーネントタグは、そのチャンネルのどのストリームがアフィリエイトインフォであるかを示す値である。
【0088】
図12は、伝送プロトコルがHTTP/HTTPSである場合のセレクタバイトのデータ構造を示す図である。
このセレクタバイトには、1つ以上のURLを記述することができる。
【0089】
図13はアフィリエイトタグをXML形式のファイルとして、データカルーセル方式またはFLUTEにより伝送する場合のフォーマットの例である。
【0090】
図14は、アフィリエイトインフォを取得するためのHTTPS Postリクエストの例である。
この例では、アフィリエイトトークンはHTTPS Postリクエストのボディ部に格納される。SSL(Transport Layer Security)ではボディ部が暗号化されるので、アフィリエイトトークンを安全に伝送することができる。
【0091】
ボディ部には、さらに、XML-AITに記述された事業者ID(Organization_id)と、アプリケーション識別子(Application_Iidentifier)と、デバイス識別子(Affiliate_device)とが記述される。これにより、放送リソースを利用したアプリケーション事業者、アプリケーション、受信端末をログとしてアフィリエイトインフォサーバ14に記録することができ、アプリケーション事業者、ユーザ等に対する従量課金などに利用することができる。
【0092】
(電子署名およびハッシュ値の生成と検証)
次に、電子署名およびハッシュ値の生成と検証について説明する。
図15は電子署名およびハッシュ値の生成と検証の仕組みについて説明するためのブロック図である。
【0093】
アプリケーション/AITサーバ24は、AIT生成部350を有する。AIT生成部350は、具体的にはメインメモリにロードされた、電子署名およびハッシュ値の生成を行うプログラムと、このプログラムを実行するCPUとで実現される。
【0094】
AIT生成部350は、以下の処理を行う。
1.AIT生成部350は、アプリケーション351の実体(バイナリコード)から所定のハッシュ演算器352を用いてハッシュ値353を算出する。ハッシュのアルゴリズムとしては、例えばFIPS PUB 180-1,180-2で標準規格化されているSHA-1やSHA-2などがある。
【0095】
2.AIT生成部350は、当該アプリケーション351のXML-AITにハッシュ値353を合成(354)して、ハッシュ値付きのXML-AIT355を生成する。
【0096】
3.AIT生成部350は、アプリケーション351とXML-AIT355について放送局CA(Certificate Authority)800に対して認証を依頼する。
放送局CA800は、放送局12から、放送リソースの利用に関する認証業務の依頼を受けてその業務を遂行する。放送局CA800は、アプリケーション事業者20より依頼された認証の対象であるアプリケーション351とXML-AIT355の内容をチェックし、その内容に問題がなければ、ルートCA900より発行された秘密鍵と公開鍵のペアのうち秘密鍵を署名生成鍵として署名生成器356に設定する。署名生成器356はハッシュ値付きのXML-AIT355に対して署名用のハッシュ関数を用いてダイジェストを生成し、このダイジェストを署名生成鍵(秘密鍵)357で暗号化してXML署名358を生成する。放送局CA800は、生成したXML署名358をアプリケーション/AITサーバ24に応答する。
【0097】
4.アプリケーション/AITサーバ24のAIT生成部350は、放送局CA800より応答されたXML署名358をハッシュ値付きのXML-AIT355に付加(359)して電子署名付きのXML-AIT360を生成する。
5.そして、アプリケーション/AITサーバ24のAIT生成部350は、電子署名付きのXML-AIT360を受信端末32に提供する。なお、XML署名358の生成で用いられた秘密鍵に対応する公開鍵は、受信端末32に別経路で与えられ、受信端末32の署名検証部708はこの公開鍵を保持する。
【0098】
受信端末32の署名検証部708は、以下の処理を行う。
1.署名検証部708は、アプリケーション/AITサーバ24より取得したアプリケーション351の実体(バイナリコード)から所定のハッシュ演算器751(ハッシュ関数)を用いてハッシュ値752を算出する。ここで用いられるハッシュ関数は、アプリケーション/AITサーバ24のAIT生成部350のハッシュ演算器352のそれと同じである必要がある。そこで署名検証部708は、取得した電子署名付きのXML-AIT360に記述されたハッシュアルゴリズムを確認して、ハッシュ演算器751(ハッシュ関数)のハッシュアルゴリズムとの整合がとれているかどうかを判定する。もしハッシュアルゴリズムの不整合が判定された場合、署名検証部708はハッシュ演算器751(ハッシュ関数)を切り替えてアプリケーション/AITサーバ24のAIT生成部350のハッシュ演算器352のそれと整合させる。
【0099】
2.署名検証部708は、電子署名付きのXML-AIT360から抽出したハッシュ値353とハッシュ値752とをハッシュ比較器756を用いて比較し、一致/不一致の結果757を得る。
【0100】
3.署名検証部708は、署名生成器753にて、電子署名付きのXML-AIT360からXML署名を抽出し、このXML署名を署名検証鍵(公開鍵)754を用いて検証して署名検証結果755を得る。
【0101】
以上のようにして、サーバでの電子署名およびハッシュ値の生成と、受信端末32での電子署名およびハッシュ値の検証が行われる。
【0102】
[実施形態の効果等]
本実施形態によれば、放送番組のシーンの単位で、その放送番組に関連する情報をアプリケーションにおいて利用でき、しかもその放送番組に関連する情報が不正な受信端末やアプリケーションによって取得され、利用されるのを防止することができる。すなわち、セキュリティに関し、アフィリエイトインフォを取得するために必要な情報は、正規のXML-AITとアプリケーションを取得した受信端末32だけが取得できる仕組みが実現される。
【0103】
また、本実施形態によれば、XML-AITとアプリケーションには電子署名を付けて受信端末32に供給され、受信端末32はアプリケーション実行時にその電子署名を検証する。このため、XML-AITのアフィリエイトタグIDはすりかえることはできない。
【0104】
<変形例>
HbbTVの標準規格を前提とした実施形態を説明したが、本技術は、HbbTVの標準規格を前提とすることに必ずしも限定されるものではない。
【0105】
その他、本技術は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0106】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)1以上のシーンで構成される放送番組と、この放送番組の少なくとも一部のシーンについて、当該シーン毎に時間的に対応して伝送され、前記放送番組に関連する関連情報を取得するために必要な情報を含むタグ情報とを含む放送信号を受信する放送受信部と、
前記関連情報を利用するアプリケーションと、このアプリケーションの動作を制御するための情報、およびこのアプリケーションが利用する関連情報を特定するための情報を含むタグ情報を特定するための識別情報が少なくとも記述されたアプリケーション情報テーブルをそれぞれ取得し、このアプリケーション情報テーブルをもとに前記アプリケーションの動作を制御するアプリケーション制御部と、
前記受信された放送信号から、前記アプリケーション情報テーブルに記述された識別情報をもとに前記タグ情報を取得し、このタグ情報をもとに前記関連情報を取得し、実行中の前記アプリケーションに供給するタグ情報処理部と
具備する受信装置。
【0107】
(2)前記(1)に記載の受信装置であって、
請求項1に記載の受信装置であって、
前記アプリケーション情報テーブルには、前記アプリケーションから所定の演算によって求められた当該アプリケーションを代表する第1の代表値がさらに記述され、かつ電子署名が添付され、
前記アプリケーション制御部は、取得した前記アプリケーション情報テーブルに添付された前記電子署名を検証するように構成される
受信装置。
【0108】
(3)前記(1)または(2)に記載の受信装置であって、
前記タグ情報は、前記関連情報の伝送チャンネルを識別するためのチャンネル識別情報を含み、
前記タグ情報処理部は、前記チャンネル識別情報により特定される伝送チャンネルから前記関連情報を取得するように構成される
受信装置。
【0109】
(4)前記(1)または(3)に記載の受信装置であって、
前記タグ情報は、前記関連情報のネットワーク上のロケーション情報を含み、
前記タグ情報処理部は、前記ロケーション情報をもとに前記関連情報を取得するように構成される
受信装置。
【符号の説明】
【0110】
1…情報処理システム
10…放送事業者
12…放送局
14…アフィリエイトインフォサーバ
20…アプリケーション事業者
22…アプリケーション/AIT生成装置
24…アプリケーション/AITサーバ
32…受信端末
200…ネットワーク
241…格納部
242…配信部
321…放送インタフェース
322…デマルチプレクサ
323…ビデオデコーダ
324…オーディオデコーダ
325…証明書受信処理部
326…アフィリエイト処理部
327…アプリケーション制御部
328…通信インタフェース
329…アプリケーションエンジン
350…AIT生成部
708…署名検証部