(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028822
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】コハク酸を製造する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 51/02 20060101AFI20220208BHJP
C07C 55/10 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
C07C51/02
C07C55/10
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187170
(22)【出願日】2021-11-17
(62)【分割の表示】P 2020057327の分割
【原出願日】2016-07-14
(31)【優先権主張番号】15176659.9
(32)【優先日】2015-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】518012021
【氏名又は名称】ピューラック バイオケム ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ブルーゲル,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン,ペーテル パウル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィダル ランシス,ヨセ マリア
(72)【発明者】
【氏名】デキク ジブコヴィック,タニヤ
(72)【発明者】
【氏名】コン,アードリアン ディルク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ろ過による単離が容易で、収率及び純度が改善されたコハク酸を製造する方法を提供する。
【解決手段】コハク酸マグネシウム溶液を塩化水素の添加によって酸性化して、コハク酸及び塩化マグネシウムを含む水溶液を得る工程、得られた水溶液に、活性炭による処理を施す工程、処理後のコハク酸及び塩化マグネシウムを含む水性混合物から、コハク酸を沈殿させて、固体状コハク酸及び塩化マグネシウム溶液を形成する工程、塩化マグネシウム溶液から固体状コハク酸を分離する工程、塩化マグネシウム溶液に、少なくとも300℃の温度で熱分解を施し、塩化マグネシウムを酸化マグネシウム及び塩化水素に分解する工程、並びに熱分解工程において発生した塩化水素を酸性化工程にリサイクルする工程を含む、コハク酸を製造する方法、である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 酸性化したコハク酸水溶液を得る工程、
- 前記コハク酸水溶液に、活性炭による処理工程を施す工程、
- 活性炭処理工程から生じた前記コハク酸水溶液から、沈殿工程においてコハク酸を沈殿させて、固体状コハク酸を形成する工程、及び
- 沈殿溶液から固体状コハク酸を分離する工程、
を含み、
前記酸性化したコハク酸水溶液は、2以下のpHを有する、コハク酸を製造する方法。
【請求項2】
前記コハク酸水溶液が、コハク酸マグネシウム水溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コハク酸水溶液が、塩化マグネシウムをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
活性炭処理を施されたコハク酸水溶液が、少なくとも10wt%のコハク酸濃度を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
コハク酸濃度が、少なくとも60℃の温度で、少なくとも18wt%である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
活性炭処理を、活性炭を含むカラムにコハク酸水溶液を通すことによって、又は活性炭をコハク酸水溶液に加えて媒体中で活性炭を混合し、続いて、活性炭を除去することによって実施する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
活性炭処理中の接触時間が、1分~24時間の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
活性炭処理を、50~120℃の温度で実施する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コハク酸水溶液を、塩化水素(HCl)による酸性化により得る、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
コハク酸マグネシウム溶液を塩化水素の添加によって酸性化し、これにより、コハク酸及び塩化マグネシウムを含むコハク酸水溶液を得る酸性化工程により前記コハク酸水溶液を得、及び、沈殿後、固体状コハク酸を塩化マグネシウム溶液から分離する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
酸性化工程に供給されるコハク酸水溶液が、5~50wt%のコハク酸濃度を有する、請求項10に記載に方法。
【請求項12】
コハク酸水溶液が、1~2のpHを有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
塩化マグネシウム溶液に、少なくとも300℃の温度における熱分解を施し、これにより、塩化マグネシウムを酸化マグネシウム及び塩化水素に分解する工程をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
熱分解工程において発生した塩化水素を酸性化工程にリサイクルする工程をさらに含む請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コハク酸、特に結晶形態のコハク酸を製造する方法を対象としている。
【背景技術】
【0002】
ブタン二酸としても公知のコハク酸は、数多くの工業的な用途を有する。コハク酸は、例えば、食品産業及び飲料産業において使用されている。コハク酸は、コハク酸エステルの生成のための出発物質としても使用されており、コハク酸エステルは、例えば、ブタンジオールの生成のための出発物質として使用され得、ブタンジオールは、プラスチックの製造においてモノマーとして使用され得る。
【0003】
コハク酸製造のための魅力的な方法は、炭素源を微生物によって発酵して、コハク酸を形成する、発酵プロセスを用いる。炭水化物供給源を発酵する液体は、発酵ブロス又は発酵媒体(fermentation medium)と呼ばれている。発酵中のコハク酸の形成は、発酵ブロスのpH低下を起こす。このようなpHの低下は、微生物の代謝プロセスを損なう可能性があるため、中和剤、即ち、塩基を発酵媒体に加えて、微生物が機能を果たすことができる範囲のpHを保つことが、一般的な実用である。この結果、生成されたコハク酸は、コハク酸塩の形態で発酵媒体中に存在し、塩のカチオンは、発酵中に添加された塩基のカチオンである。
【0004】
発酵後の発酵ブロスからコハク酸を回収するために、下流処理(downstream processing)が必要とされる。このような処理において、発酵ブロス中のコハク酸塩を、コハク酸に変換させる必要がある。更に、コハク酸(又は、まだ未変換の場合はスクシネート)を、発酵ブロスから単離する必要がある。発酵ブロスは、著しい量のバイオマス(微生物等)及び塩(中和剤に由来)を含む、数多くの化合物を含むため、コハク酸の回収及び単離は、かなり複雑なことがある。
【0005】
特許文献1(WO2013025105)は、特に発酵プロセスによってコハク酸マグネシウムを調製する工程、塩化水素によってコハク酸マグネシウムを酸性化して、コハク酸及び塩化マグネシウムを含む溶液を得る工程、コハク酸及び塩化マグネシウムを含む溶液を濃縮する工程並びに溶液からコハク酸を沈殿させる工程を含む、コハク酸を調製する方法を記載している。塩化マグネシウム溶液は、熱分解工程を施されて、塩化水素及び酸化マグネシウムを形成することが可能であり、塩化水素は、酸性化工程にリサイクルされることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、更なる改善を必要とすることが判明した。より具体的には、塩化マグネシウム溶液からのコハク酸の沈殿が、改善されるべきであることが判明した。特許文献1の方法において、コハク酸は、単離が困難な針状結晶の形態で沈殿することが判明した。この沈殿は、ろ過による単離が困難で洗浄も困難な生成物をもたらすが、単離される生成物の収率及び純度は、改善されることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
特許文献1に記載の方法の生成物特性は、本発明による方法によって解決できることが判明した。
【0009】
したがって、本発明は、
- コハク酸マグネシウム水溶液を酸性化工程に供給し、コハク酸マグネシウム溶液を塩化水素の添加によって酸性化し、これにより、コハク酸及び塩化マグネシウムを含む水溶液を得る工程、
- 酸性化工程から取得されたコハク酸及び塩化マグネシウムを含む水溶液に、活性炭による処理工程を施す工程、
- 活性炭処理工程から生じたコハク酸及び塩化マグネシウムを含む水性混合物から、沈殿工程においてコハク酸を沈殿させて、固体状コハク酸及び塩化マグネシウム溶液を形成する工程、
- 塩化マグネシウム溶液から固体状コハク酸を分離する工程、
- 塩化マグネシウム溶液に、少なくとも300℃の温度における熱分解を施し、これにより、塩化マグネシウムを酸化マグネシウム及び塩化水素に分解する工程、並びに
- 熱分解工程において発生した塩化水素を酸性化工程にリサイクルする工程
を含む、コハク酸を製造する方法に関する。
【0010】
酸性化工程後及び沈殿工程前の特定位置に活性炭による処理工程を実施することは、改善された特性を伴う沈殿プロセスをもたらすことが判明した。より具体的には、本発明による方法は、特許文献1の方法において形成される針状結晶よりも、むしろブロック形結晶を生じさせることが判明した。ブロック形結晶は、例えばろ過による単離がより容易である。この単離がより容易なことは、より容易な処理及び改善された収率をもたらす。結晶は、やはり、洗浄がより容易であり、この結果、より低い塩素含量がより低い最終生成物を生じさせる。更に、結晶は、より大きい。
【0011】
本発明による方法は、下記でより詳細に論述される。
【0012】
本発明による方法は、図面の参照によっても説明されるが、これらの図面に限定される又はこれらの図面によって限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明による方法において得られたコハク酸結晶を示す図である。
【
図3】本発明によらない方法において得られたコハク酸結晶を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1において、コハク酸マグネシウム水溶液は、管路(1)を介して酸性化反応器(2)に供給され、管路(3)を介して供給されたHClと接触する。コハク酸及び塩化マグネシウムを含む水溶液は、管路(4)を介して抜き出され、炭素処理工程(5)に供給される。炭素処理工程(5)から抜き出された溶液は、管路(6)を介して沈殿反応器(7)に供給される。沈殿反応器(7)において、固体状コハク酸のスラリーが形成され、管路(8)を介して分離装置(9)に供給される。分離装置(9)において、固体状コハク酸生成物は、例えばろ過によって分離され、管路(10)を介して抜き出される。塩化マグネシウム溶液は、管路(11)を介して抜き出され、熱分解工程(12)に供給される。熱分解工程(12)において、塩化マグネシウム溶液が分解されて、HClガス及び固体状MgOを形成する。固体状MgOは、管路(13)を介して抜き出されるが、そのようにすることが所望される場合は、発酵反応器(図示なし)、特に、コハク酸が炭素源の発酵によって生成される発酵反応器に塩基として直接、又は水酸化マグネシウム若しくは炭酸マグネシウム若しくは重炭酸マグネシウムへの変換後に供給されてもよい。HClは、酸性化反応器(2)に直接、又は水性液体中への溶解後に供給される。
【0015】
本発明は、コハク酸マグネシウム水溶液を酸性化工程に供給することによって開始する。
【0016】
コハク酸マグネシウム水溶液は、様々な供給源から取得することが可能である。一実施形態において、コハク酸マグネシウム水溶液を、発酵プロセスから取得する。このような発酵プロセスにおいて、炭素源をコハク酸を生成できる微生物によって発酵媒体中で発酵して、コハク酸を形成し、コハク酸の少なくとも一部を、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び重炭酸マグネシウムから選択されるマグネシウム型塩基(magnesium base)によって中和する。発酵が完了したらすぐに、溶存コハク酸マグネシウムを含む発酵媒体には一般に、当技術分野において公知の方法によるバイオマス除去工程を施す。得られたコハク酸マグネシウム溶液を、本発明による方法における出発物質として供給することが可能である。発酵プロセスは、当技術分野において公知であり、ここで、更なる説明を必要としない。
【0017】
酸性化工程に供給されるコハク酸マグネシウム溶液は一般に、5~50wt%のコハク酸マグネシウム濃度を有する。この範囲内では、より高い濃度が好ましく、理由として、このより高い濃度が、沈殿工程において、改善されたコハク酸収率をもたらすという点がある。一方、より高い濃度は、コハク酸マグネシウムの結晶化又は無制御のプロセスをもたらす可能性がある。適切なコハク酸マグネシウム濃度も同様に、HClの濃度に依存する。実際、15~50wt%、特に15~40wt%のコハク酸マグネシウム濃度が、好ましいこともある。より高い濃度の場合、沈殿を防止するために、より高い温度のコハク酸マグネシウム溶液を有することが必要なこともある。したがって、溶液は、20~140℃、特に60~120℃、より具体的には80~120℃の温度であることが好ましいこともある。当業者には明らかなように、溶液の温度が100℃超である場合、溶液は、溶液が液相中に確実に取り込まれるのに十分なほど高い圧力下に置くべきである。
【0018】
発酵プロセスから取得されたコハク酸マグネシウム溶液の濃度は一般に、1~17wt%の範囲、特に5~14wt%の範囲である。酸性化前のコハク酸マグネシウム溶液には、水が蒸発によって除去される濃縮工程を施し、そのようにすることが所望される場合はより高くした温度及び/又はより低くした圧力において濃縮工程を施すことが好ましいこともあり、この結果、所望の範囲のコハク酸マグネシウム濃度を有するコハク酸マグネシウム溶液が得られる。
【0019】
酸性化工程において、コハク酸マグネシウム溶液は、塩化水素(HCl)と接触する。HCl酸性化は、例えば、HCl水溶液又はHClガスによって実施されることが可能である。HCl溶液が使用される場合、HCl溶液は好ましくは、系への不要な水の添加を防止するために、比較的高いHCl濃度を有する。したがって、HCl溶液は、好ましくは少なくとも5wt%、より好ましくは少なくとも10wt%、更により好ましくは少なくとも20wt%のHClを有する。
【0020】
気体状HCl流の使用も可能である。一実施形態において、気体状HCl流は、塩化マグネシウムの熱分解から取得される。これは、下記でより詳細に論述される。
【0021】
酸性化工程において添加されるHClの量は、コハク酸マグネシウムをコハク酸に変換するのに必要な量によって左右される。この酸性化プロセスに供給されるHClの総量と、この酸性化プロセスに供給されるコハク酸マグネシウムの総量との比は、わずかに過剰なHClが存在するような比であることが、好ましいこともある。例えば、使用される過剰なHClは、コハク酸及び塩化マグネシウムを含む最終的な水性混合物が、2以下のpH、好ましくは1~2のpHを有するようなHClであってよい。
【0022】
HClの温度は、広範囲にわたり得、例えば5~130℃であり得るが、やはり、HClが気体形態で供給されるか、水溶液の形態で供給されるかに依存する。より高い温度が好ましいこともあるが、理由として、酸性化反応が好ましくは、より高い温度で実施されるという点がある。更に、下記でより詳細に論述されるようにHClが塩化マグネシウムの熱分解から取得される場合、HClは自然に、より高い温度を有する。HClの適切な温度は、50~120℃、特に70~120℃の範囲であってもよい。
【0023】
酸性化工程は、所望に応じて、単一の工程で実施されてもよいし、又は2つ以上の工程で実施されてもよい。
【0024】
酸性化工程の生成物は、コハク酸及び塩化マグネシウムを含む水溶液である。
【0025】
本発明による方法において、炭素処理工程が、酸性化工程後に実施される。したがって、コハク酸及び塩化マグネシウムを含む水溶液が酸性化工程(任意選択により、濃縮工程が後続する)後に得られたら、炭素処理が、コハク酸及び塩化マグネシウムを含む水溶液に実施されるが、この溶液は好ましくは、少なくとも10wt%、より好ましくは少なくとも15wt%の濃度のコハク酸及び少なくとも10wt%、より好ましくは少なくとも15wt%の濃度の塩化マグネシウムを含む。
【0026】
炭素処理による干渉を防止するために、炭素処理を施される水溶液中のコハク酸及び塩化マグネシウムの濃度は、これらの化合物が完全に溶解されるような濃度であることが求められる。このような濃度は、コハク酸濃度、塩化マグネシウム濃度、pH及び温度の適切な選択によって達成され得る。沈殿した結晶が(直接又は最初に液体から分離された後で)、(例えば、例えば水等の希釈剤の添加によって)再び再溶解され、次いで炭素によって処理された後、かなりの量のコハク酸(かなりの量は好ましくは、コハク酸及び塩化マグネシウムを含む酸性化及び任意選択により濃縮された水溶液中のコハク酸の総量に対して、少なくとも10wt%である。)が沈殿するような態様で、酸性化工程又は後続する任意選択による濃縮工程が実施されることは、本発明の目的ではない。この点に関して、塩化マグネシウムの濃度、コハク酸の濃度、pH及び温度等の工程パラメータを制御することによって、炭素処理が実施される前に、最大5wt%、より好ましくは最大1wt%、更により好ましくは最大0.1wt%のコハク酸が、酸性化及び任意選択により濃縮された溶液から沈殿するような態様で、酸性化及び後続する任意選択による濃縮工程が実施されることが特に好ましく、これらの量はやはり、コハク酸及び塩化マグネシウムを含む酸性化及び任意選択により濃縮された水溶液中のコハク酸の総量に対するものである。本発明による方法の特に好ましい一実施形態によれば、酸性化及び後続する任意選択による濃縮工程は、炭素処理が実施される前に、コハク酸が、酸性化及び任意選択により濃縮された溶液からほとんど沈殿しないように実施される。
【0027】
一実施形態において、酸性化工程から得られた溶液(又は任意選択により、後続する濃縮工程後にこの濃縮工程から得られた溶液)は、炭素処理を施されると、少なくとも10wt%、特に少なくとも15wt%のコハク酸濃度を有する。高温、例えば少なくとも60℃、特に少なくとも75℃又は更には少なくとも85℃が使用される場合、より高い濃度、例えば少なくとも18wt%も同様に、適用することができる。更により高い濃度、例えば少なくとも20wt%の場合、更により高い温度、例えば少なくとも90℃又は少なくとも100℃が要求される場合がある。100℃超で操作する場合、溶液が液相中に確実に取り込まれるような圧力下で操作することが求められる。最高温度として、180℃の値が言及され得る。コハク酸濃度の上限は、溶液の温度、pH及び塩化マグネシウム濃度に依存する。一般の最大値として、25wt%の値が言及され得る。適切なコハク酸濃度を選択することは、当業者の範囲である。
【0028】
水性混合物の塩化マグネシウム濃度は、前述の溶液中のコハク酸マグネシウム濃度に応じて、一般に10~25wt%、より具体的には15~25wt%の範囲である。塩化マグネシウムが比較的高い溶解度を有するため、塩化マグネシウム濃度は、コハク酸濃度より重要ではない。
【0029】
溶液は一般に、2以下、特に1~2のpHを有する。
【0030】
そのようにすることが所望される場合、濃縮工程は、炭素処理工程中のコハク酸及び塩化マグネシウムの溶解度に関する上記要件が満たされる限り、酸性化工程後及び炭素処理前に、コハク酸及び塩化マグネシウムを含む水溶液に実施することが可能である。濃縮工程は、当技術分野において公知の方法によって実施することが可能であり、一般に、高い圧力及び/又は抑制された温度における水の除去を包含する。
【0031】
本方法におけるこの特定位置での炭素処理の実施は、改善された固体状コハク酸の特性、特に、改善された結晶構造をもたらすことが判明した。
【0032】
炭素処理は、更なる濃縮工程後であるか否かにかかわらず、酸性化工程の生成物を活性炭と接触させることによって、実施することが可能である。この接触は、当技術分野において公知の方法によって実施することが可能であり、例えば、活性炭を含むカラムに溶液を通すことによって、又は活性炭を溶液に加えてこの媒体中で活性炭を混合し、続いて、例えばろ過によって活性炭を除去するによって、又は他の適切な方法によって実施することが可能である。接触時間は、広範囲にわたり得る。接触時間は、例えば1分~24時間、特に10分~3時間、より具体的には60分~150分の範囲である。
【0033】
炭素処理を実施する温度は、この温度が、コハク酸が溶液から沈殿しないほど十分に高い限り、重要ではない。この温度は、コハク酸濃度にも依存する。この温度は、適切には5~150℃の範囲、特に20~130℃の範囲、より具体的には50~120℃の範囲であってもよい。
【0034】
炭素の量は、広範囲にわたり得、例えば、処理対象の水溶液1リットル当たりで炭素が0.01~10グラム、より具体的には、処理対象の水溶液1リットル当たりで炭素が0.1~2グラムであり得る。炭素処理において使用される炭素は、活性炭である。活性炭は、例えば0.2~3mmの直径を有する、粒子の形態であってよい。活性炭は、紛体の形態であってもよい。
【0035】
活性炭は、当技術分野において公知である。活性炭は、市販されており、ここで、更なる説明を必要としない。
【0036】
炭素処理工程は、コハク酸及び塩化マグネシウムを含む水溶液を生成し、この水溶液を、沈殿工程に供給する。
【0037】
そのようにすることが所望される場合、濃縮工程は、炭素処理後及び濃縮工程前に、一般に蒸発による水の除去によって実施することが可能である。溶液中のコハク酸濃度をより高くすると、コハク酸沈殿の効率が高まる。
【0038】
濃縮工程中に、一部のコハク酸が既に沈殿している場合がある。この一部のコハク酸の沈殿は、更なる沈殿工程に干渉しない。濃縮工程において除去される水の量は、塩化マグネシウムが沈殿しないように選択されるべきである。しかしながら、塩化マグネシウムの高い溶解度のため、この塩化マグネシウムの沈殿を、容易に回避することが可能である。
【0039】
したがって、沈殿工程に供給される生成物は、コハク酸及び塩化マグネシウムが溶存状態である、水溶液であってもよい。沈殿工程に供給される生成物は、溶存状態の塩化マグネシウム及び部分的に溶存状態で部分的に固体状態のコハク酸を含む、水性スラリーであってもよい。本明細書において、水性混合物という用語は、溶液及びスラリーの両方を包含するように意図されている。
【0040】
沈殿工程に供給される水性混合物は、少なくとも15wt%、特に少なくとも18wt%、より具体的には少なくとも20wt%のコハク酸濃度を有することが好ましいこともある。より高いコハク酸濃度は、沈殿工程においてより高いコハク酸収率をもたらすため、有利である。一般の最大値として、30wt%の値が言及され得る。30wt%より高い濃度は、達成が困難である。コハク酸濃度は、最大25wt%であることが好ましい場合もある。
【0041】
水性混合物の塩化マグネシウム濃度は、前述の溶液中のコハク酸マグネシウム濃度に応じて、一般に10~25wt%、より具体的には15~25wt%の範囲である。
【0042】
上記に示されたように、混合物は一般に、2以下、特に1~2のpHを有する。
【0043】
沈殿工程において、コハク酸を溶液から沈殿させて、塩化マグネシウム溶液から分離できる固体形態のコハク酸を形成させる。
【0044】
沈殿工程において、コハク酸を、混合物の温度低下を含む当技術分野において公知の方法、例えば、自然な冷却による結晶化、制御された冷却による結晶化又はフラッシュ冷却(flash-cooling)による結晶化、混合物からの水除去によるコハク酸濃度の上昇及び逆溶剤の添加によって、水性混合物から沈殿させる。後に挙げた実施形態は、系への更なる成分の添加を包含するため、好ましさが減じる可能性がある。
【0045】
一実施形態において、水性混合物が、沈殿工程中に生成された固体形態のある程度のコハク酸を既に含有する場合、最初に混合物の温度を、全てのコハク酸溶液中に存在する値に上昇させ、次いで温度を低下させて、コハク酸の結晶化を開始することが有利なこともある。一実施形態において、コハク酸を沈殿させることになる溶液を、少なくとも35℃の温度から30℃未満の温度、好ましくは少なくとも40℃の温度から25℃未満の温度に冷却する。より大きな温度差は、コハク酸沈殿物の収率向上を可能にする。
【0046】
沈殿したコハク酸は、当技術分野において公知の方法によって塩化マグネシウム溶液から分離することが可能である。適切な方法は、ろ過法を含むが、膜ろ過、沈降法、デカンテーション等の比重分離に基づいた技法及び遠心分離工程を含む技法も含む。様々な方法の組合せ、例えば、遠心分離後にデカンテーションを行う方法を、使用することも可能である。
【0047】
先に示したように、本発明による方法によって得られた結晶は、ろ過によって分離し、容易に洗浄することができる、規則正しいブロック形状を有する。更に、本発明による方法によって得られた結晶は、WO2013/025105の方法を使用して得られた針形結晶より格段に低いクロリド含量になるまで洗浄することが可能である。
【0048】
分離工程から生じた塩化マグネシウム溶液は、所望に応じて処理することが可能である。一実施形態において、依然として著しい量のコハク酸が塩化マグネシウム溶液中に残留している場合、1つ以上の更なるコハク酸沈殿工程を実施し、続いて、1つ以上の更なる分離工程を実施することができる。これらの工程を、上記のように実施することが可能である。
【0049】
塩化マグネシウム溶液から固体状コハク酸を分離する工程から取得された塩化マグネシウム溶液を、熱分解工程に供給する。熱分解工程において、塩化マグネシウムは、水の存在下において、少なくとも300℃の温度、特に350~600℃の範囲の温度で分解されて、固体形態の酸化マグネシウム及び気体形態の塩化水素を形成する。適切な熱分解方法は、当技術分野において公知であり、ここで、更なる説明を必要としない。適切な熱分解方法は、例えば、WO2013/025105、WO2015/00956及び非先行公開(non-prepublished)PCT出願PCT/EP2015/056895において記載されている。
【0050】
熱分解工程において生成した塩化水素を、酸性化工程にリサイクルする。HClは、気体形態で供給し、又は、HCl水溶液を形成するような水への溶解後に供給することが可能である。
【0051】
一実施形態において、出発用のコハク酸マグネシウム水溶液を、発酵プロセスから取得する。このような発酵プロセスにおいては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び重炭酸マグネシウムから選択されるマグネシウム型塩基によってコハク酸の少なくとも一部を中和しながら、炭素源を、コハク酸を生成できる微生物によって発酵媒体中で発酵して、コハク酸を形成する。発酵が完了したらすぐに、溶存コハク酸マグネシウムを含む発酵媒体は一般に、当技術分野において公知の方法によるバイオマス除去工程を施す。得られたコハク酸マグネシウム溶液は、水を除去するために濃縮工程を施した後であるか否かにかかわらず、本発明による方法における出発物質として供給することが可能である。
【0052】
発酵プロセスは、当技術分野において公知であり、ここで、更なる説明を必要としない。
【0053】
HClに加えて、熱分解工程は、酸化マグネシウムも生成する。酸化マグネシウムは、所望に応じて処理することが可能である。一実施形態において、熱分解工程において生成した酸化マグネシウムを中和剤として、コハク酸を生成する発酵プロセスに直接供給し、又は水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム若しくは重炭酸マグネシウムへの変換後に供給する。
【0054】
一実施形態において、本発明は、
- コハク酸を生成できる微生物によって発酵ブロス中で炭素源を発酵させて、コハク酸を形成する工程並びに酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び重炭酸マグネシウムから選択されるマグネシウム型塩基の添加によってコハク酸の少なくとも一部を中和する工程を含む発酵工程を炭素源に施して、コハク酸を形成し、これにより、コハク酸マグネシウム溶液を得る工程、
- コハク酸マグネシウム水溶液を、任意選択によりバイオマス除去工程及び/又は濃縮工程の後で、酸性化工程に供給し、コハク酸マグネシウム溶液を塩化水素の添加によって酸性化し、これにより、コハク酸及び塩化マグネシウムを含む水溶液を得る工程、
- 酸性化工程から取得されたコハク酸及び塩化マグネシウムを含む水溶液に、活性炭による処理工程を施す工程、
- 活性炭処理工程から生じたコハク酸及び塩化マグネシウムを含む水性混合物から、沈殿工程においてコハク酸を沈殿させて、固体状コハク酸及び塩化マグネシウム溶液を形成する工程、
- 塩化マグネシウム溶液から固体状コハク酸を分離する工程、
- 塩化マグネシウム溶液に、少なくとも300℃の温度における熱分解を施し、これにより、塩化マグネシウムを酸化マグネシウム及び塩化水素に分解する工程、並びに
- 熱分解工程において発生した塩化水素を酸性化工程にリサイクルする工程、並びに任意選択により、
- そのままの状態の又は水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム若しくは重炭酸マグネシウムへの変換後の酸化マグネシウムを中和剤として、発酵工程に供給する工程
を含む、一貫式の方法に関する。
【0055】
本発明のこの実施形態による方法の様々な工程は、上記により詳細に記述されているようにして実施することができる。
【0056】
異なる段落で上述された本発明の様々な態様は、これらの態様が互いに矛盾しない限り、組み合わせることが可能であることは、当業者には明らかである。
【0057】
本発明及び本発明の特定の実施形態は、次の実施例及び/又は実施形態によって説明されているが、これらの実施例及び/若しくは実施形態に限定されること又はこれらの実施例及び/若しくは実施形態によって限定されることはない。
【0058】
[例1]
[例1a]
本発明による方法
22.5wt%のコハク酸マグネシウム濃度を有するコハク酸マグネシウム水溶液を、HClの添加によって酸性化した。HClを、HCl含有ガスの形態で供給した。HClガス流を、熱分解工程から取得しており、スクシネート沈殿工程から取得された塩化マグネシウム溶液に、熱分解工程を施した。HClの量を、得られる水溶液のpHが1.1になるように選択した。得られた酸性化された溶液は、19wt%のコハク酸濃度及び14wt%の塩化マグネシウム濃度を有していた。溶液は、92℃の温度を有していた。
【0059】
水溶液を、活性炭を詰められたカラムに、1時間当たり1床体積の流量で水溶液を供給することによって、炭素処理した。
【0060】
炭素処理から取得された水溶液に、沈殿工程を施し、溶液は、マグネチックスターラーによって撹拌しながら室温に冷却し、更に冷却することはなかった。
【0061】
沈殿させたコハク酸を、ろ過によって除去した。
図2は、得られたコハク酸結晶の顕微鏡写真(50倍の拡大率)である。
【0062】
図2から分かるように、本発明による方法によって得られた結晶は、規則正しいボックス状の構造を有する。これらの結晶は、ろ過によって容易に単離することが可能であり、高い純度を達成するように洗浄することが可能である。
【0063】
[例1b]
比較用の方法
酸性化工程と沈殿工程との間に炭素処理を実施しなかった点を除いて、例1aを繰り返した。
図3は、得られたコハク酸結晶の顕微鏡写真(10倍の拡大率)である。
【0064】
図3から分かるように、この比較用の方法によって得られた結晶は、非常に微細な針状構造を有する。この構造は、これらの結晶の単離及び洗浄を困難にしている。
(付記)
(付記1)
- コハク酸マグネシウム水溶液を酸性化工程に供給し、コハク酸マグネシウム溶液を塩化水素の添加によって酸性化し、これにより、コハク酸及び塩化マグネシウムを含む水溶液を得る工程、
- 酸性化工程から取得されたコハク酸及び塩化マグネシウムを含む水溶液に、活性炭による処理工程を施す工程、
- 活性炭処理工程から生じたコハク酸及び塩化マグネシウムを含む水性混合物から、沈殿工程においてコハク酸を沈殿させて、固体状コハク酸及び塩化マグネシウム溶液を形成する工程、
- 塩化マグネシウム溶液から固体状コハク酸を分離する工程、
- 塩化マグネシウム溶液に、少なくとも300℃の温度における熱分解を施し、これにより、塩化マグネシウムを酸化マグネシウム及び塩化水素に分解する工程、並びに
- 熱分解工程において生成した塩化水素を酸性化工程にリサイクルする工程
を含む、コハク酸を製造する方法。
(付記2)
- コハク酸を生成できる微生物によって発酵ブロス中で炭素源を発酵させて、コハク酸を形成する工程並びに酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び重炭酸マグネシウムから選択されるマグネシウム型塩基の添加によってコハク酸の少なくとも一部を中和する工程を含む発酵工程を炭素源に施して、コハク酸を形成し、これにより、コハク酸マグネシウム溶液を得る工程、
- コハク酸マグネシウム水溶液を、任意選択によりバイオマス除去工程及び/又は濃縮工程の後で、酸性化工程に供給し、コハク酸マグネシウム溶液を塩化水素の添加によって酸性化し、これにより、コハク酸及び塩化マグネシウムを含む水溶液を得る工程、
- 酸性化工程から取得されたコハク酸及び塩化マグネシウムを含む水溶液に、活性炭による処理工程を施す工程、
- 活性炭処理工程から生じたコハク酸及び塩化マグネシウムを含む水性混合物から、沈殿工程においてコハク酸を沈殿させて、固体状コハク酸及び塩化マグネシウム溶液を形成する工程、
- 塩化マグネシウム溶液から固体状コハク酸を分離する工程、
- 塩化マグネシウム溶液に、少なくとも300℃の温度における熱分解を施し、これにより、塩化マグネシウムを酸化マグネシウム及び塩化水素に分解する工程、並びに
- 熱分解工程において発生した塩化水素を酸性化工程にリサイクルする工程
を含む、一貫式の方法。
(付記3)
酸性化工程に供給されるコハク酸マグネシウム溶液が、5~50wt%、特に15~40wt%のコハク酸マグネシウム濃度を有する、付記1又は2に記載の方法。
(付記4)
酸性化工程を、1~2のpHになるまで実施する、付記1から3のいずれか一つに記載の方法。
(付記5)
炭素処理を施された溶液が、少なくとも10wt%、特に少なくとも15wt%のコハク酸濃度を有する、付記1から4のいずれか一つに記載の方法。
(付記6)
コハク酸濃度が、少なくとも60℃、特に少なくとも75℃又は更には少なくとも85℃の温度で、少なくとも18wt%である、付記5に記載の方法。
(付記7)
活性炭処理を、活性炭を含むカラムに溶液を通すことによって、又は活性炭を溶液に加えて媒体中で活性炭を混合し、続いて、例えばろ過によって活性炭を除去することによって実施する、付記1から6のいずれか一つに記載の方法。
(付記8)
活性炭処理中の接触時間が、1分~24時間、特に10分~3時間、より具体的には60分~150分の範囲である、付記1から7のいずれか一つに記載の方法。
(付記9)
活性炭処理を、50~120℃の温度で実施する、付記1から8のいずれか一つに記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 酸性化したコハク酸水溶液を得る工程、
- 前記酸性化したコハク酸水溶液に、活性炭による処理工程を施す工程、
- 活性炭処理工程から生じた前記コハク酸水溶液から、沈殿工程においてコハク酸を沈殿させて、結晶形態のコハク酸を形成する工程、及び
- 沈殿溶液から結晶形態のコハク酸を分離する工程、
を含み、
前記酸性化したコハク酸水溶液は、2以下のpHを有する、結晶形態のコハク酸を製造する方法。
【請求項2】
前記コハク酸水溶液が、コハク酸マグネシウム水溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コハク酸水溶液が、塩化マグネシウムをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
活性炭処理を施されたコハク酸水溶液が、少なくとも10wt%のコハク酸濃度を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
コハク酸濃度が、少なくとも60℃の温度で、少なくとも18wt%である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
活性炭処理を、活性炭を含むカラムにコハク酸水溶液を通すことによって、又は活性炭をコハク酸水溶液に加えて媒体中で活性炭を混合し、続いて、活性炭を除去することによって実施する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
活性炭処理中の接触時間が、1分~24時間の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
活性炭処理を、50~120℃の温度で実施する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コハク酸水溶液を、塩化水素(HCl)による酸性化により得る、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
コハク酸マグネシウム溶液を塩化水素の添加によって酸性化し、これにより、コハク酸及び塩化マグネシウムを含むコハク酸水溶液を得る酸性化工程により前記コハク酸水溶液を得、及び、沈殿後、結晶形態のコハク酸を塩化マグネシウム溶液から分離する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
酸性化工程に供給されるコハク酸水溶液が、5~50wt%のコハク酸濃度を有する、請求項10に記載に方法。
【請求項12】
コハク酸水溶液が、1~2のpHを有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
塩化マグネシウム溶液に、少なくとも300℃の温度における熱分解を施し、これにより、塩化マグネシウムを酸化マグネシウム及び塩化水素に分解する工程をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
熱分解工程において発生した塩化水素を酸性化工程にリサイクルする工程をさらに含む請求項13に記載の方法。