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▶ ラドゥックス・ディヴァイシーズ・エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028835
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】遮蔽装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 3/00 20060101AFI20220208BHJP
   G21F 1/10 20060101ALI20220208BHJP
   G21F 1/12 20060101ALI20220208BHJP
   A61B 6/10 20060101ALI20220208BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
G21F3/00 S
G21F1/10
G21F1/12
A61B6/10 302
A61N5/10 S
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021188034
(22)【出願日】2021-11-18
(62)【分割の表示】P 2019216456の分割
【原出願日】2014-09-19
(31)【優先権主張番号】62/028,896
(32)【優先日】2014-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516082822
【氏名又は名称】ラドゥックス・ディヴァイシーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・スコット・ワーンシャッフ
(57)【要約】
【課題】医療処置中に医療従事者(例えば、外科医、看護師、技術者)に対して良好な保護を提供すること。
【解決手段】いくつかの実施形態にかかる遮蔽装置は、基体と、基体に連結された遮蔽体と、を有し得る。遮蔽装置は、医療処置中に医療従事者(例えば、外科医、看護師、技術者)に対して保護を提供するために使用され得る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部分を有する放射線遮蔽体と、
基体と、
を備える放射線遮蔽装置であって、
前記基体が、
前記放射線遮蔽体が当該基体を介して患者に支持されるように前記患者に取り付け可能な基礎構造体であって、付着性底面を有する平坦部材を備える、基礎構造体と、
前記放射線遮蔽体が前記基体の上方で支持されつつ前記放射線遮蔽体が前記基体を介して前記患者によって支持されるように、前記放射線遮蔽体の前記底部分に近接して取り付け可能な保持構造体と、
を備え、
前記保持構造体が、ユーザが選択した位置へ調整可能な調整可能連結体を備えることを特徴とする放射線遮蔽装置。
【請求項2】
前記放射線遮蔽体が、1mm以上5mm以下の最大厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の放射線遮蔽装置。
【請求項3】
前記調整可能連結体が、少なくとも2自由度で前記放射線遮蔽体を移動させることを許容することを特徴とする請求項1に記載の放射線遮蔽装置。
【請求項4】
前記調整可能連結体が、前記放射線遮蔽体の角度位置がユーザが選択した位置へ調整可能であるロック解除位置と、前記放射線遮蔽体の前記角度位置をほぼ固定するロック位置と、の間で動作可能であることを特徴とする請求項3に記載の放射線遮蔽装置。
【請求項5】
前記放射線遮蔽体が、当該放射線遮蔽体の前側面に対する凸状方向で、幅方向に関して曲線付けされていることを特徴とする請求項4に記載の放射線遮蔽装置。
【請求項6】
前記放射線遮蔽体が、当該放射線遮蔽体の頂部にある外側突出淵部と、弓状中間セクションと、を画成し、
前記放射線遮蔽体の前記外側突出淵部の曲率半径が、約5mm以上約10mm以下であり、
前記弓状中間セクションの曲率半径が、約3cm以上約10cm以下であることを特徴とする請求項5に記載の放射線遮蔽装置。
【請求項7】
前記放射線遮蔽体が、前記底部分から頂縁部までの高さよりも大きくかつ厚さよりも大きい幅を有することを特徴とする請求項5に記載の放射線遮蔽装置。
【請求項8】
前記放射線遮蔽体が、5cm以上25cm以下の高さと、1mm以上5mm以下の最大厚さと、を有することを特徴とする請求項5に記載の放射線遮蔽装置。
【請求項9】
前記放射線遮蔽体が、硫酸バリウムを加えたプラスチック材料を含むことを特徴とする請求項8に記載の放射線遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2014年7月25日に出願した米国仮特許出願第62/028896号の優先権を主張する。先行出願の開示は、本願の開示の一部であると考慮される(そして参考として組み込まれる)。
【0002】
本明細書は、医療環境で使用するための携帯用放射線遮蔽装置のような遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの状況において、介入放射線医または他の医療従事者(例えば、外科医、看護師、技術者)は、患者を治療するときに、放射線場(例えばX線透視装置、X線、他の画像システムなど)の下で働き得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医療処置中に患者が放射線にさらされることを最小化するために十分な措置をしばしばとっているが、この処置を実行している医療従事者は、しばしば、-少なくともいくらかの程度で-放射線にさらされたままであり、このような被曝は、しばしば、新たな患者ごとに繰り返される。例えば、医療従事者の手は、(例えばX線透視処置中に)中心線を患者に挿入し手いる間に、放射線画像装置からの放射線にさらされ得る。物理的な障壁を使用して医療従事者を放射線被曝から遮蔽し得るが、しばしば、障壁は、嵩張り、処置中に医療従事者に混乱を生じさせる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの形態における遮蔽装置は、医療処置中に医療従事者(例えば、外科医、看護師、技術者)に対して保護を提供するために使用され得る。このような状況において、遮蔽装置の遮蔽体は、基体に対するユーザが選択した向きへ操作され得、任意で、その後、遮蔽体は、選択した位置にロックされ得、それにより、そうでなければリアルタイムX線画像形成機器からの放射線場内にある医療従事者の手に対して放射線遮断を提供する。医療従事者の手をX線放射から保護することに加え、遮蔽体は、医療従事者に対して処置中に発生し得る血液または他の体液の飛び散りからの物理的保護をさらに提供し得つつ、-混乱を生じさせずかつ人間工学的に効果的な態様で、医療従事者が医療従事者の手を位置付けることを可能とする。
【0006】
いくつかの形態において、放射線遮蔽装置は、放射線遮蔽体及び基体を有し得る。基体は、物体に取り付け可能な基礎構造体と、放射線遮蔽体に取り付け可能な保持構造体と、を有し得る。任意で、基体は、基体に対して遮蔽装置を調整した後に遮蔽体を選択した角度位置でロックするロック装置を有し得る。
【0007】
本明細書で説明する特有の形態は、医療処置中に放射線を遮蔽する方法を含む。この方法は、放射線遮蔽装置の基体を放射線源に近接する物体に連結するステップを有し得る。方法は、同様に、放射線遮蔽装置の遮蔽体を基体に連結するステップを有し得る。任意で、遮蔽装置の基体及び物体に対する遮蔽体の角度は、ユーザが選択した向きへ調整され得、その後、遮蔽体は、選択した角度位置で適切にロックされ得る。方法は、医療処置を行っているときに、放射線源からの放射線を遮蔽するステップをさらに有し得る。
【0008】
いくつかの形態において、放射線遮蔽装置は、放射線遮蔽体及び基体を有し、基体は、物体に取り付け可能な基礎構造体と、放射線遮蔽体に取り付け可能な保持構造体と、を有し得る。任意で、保持構造体は、調整可能な連結体を有し得、この連結体は、重なる態様で互いに垂直に方向付けられた第1及び第2の半球状のヨークを備える。さらにまたはあるいは、保持構造体は、任意で、遮蔽体の角度位置をユーザが選択した位置へ調整可能なロック解除状態と、遮蔽体の角度位置をほぼ固定するロック位置と、の間で動作可能である。さらにまたはあるいは、放射線遮蔽体は、任意で、その高さに沿って非対称反転曲面輪郭を提供する曲線形状を有し得る。さらにまたはあるいは、放射線遮蔽体は、任意で、(硫酸バリウムのような)放射線遮蔽特性を有する材料を含み得、放射線遮蔽体は、約1.5g/cmから約2.5g/cmの密度を有し得る。
【0009】
いくつかの形態において、放射線遮蔽装置は、約5cmから約25cmの高さ及び約1mmから約5mmの最大厚さを有し得る。同様に、放射線遮蔽体は、放射線遮蔽特性を有する材料を含み得る。装置は、同様に、基体を有し得、この基体は、物体に取り付け可能な基礎構造体と、保持構造体に取り付け可能な保持構造体と、を有する。
【0010】
複数の形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明で説明される。本発明の他の特徴、目的及び利点は、説明及び図面から並びに特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】いくつかの実施形態にかかる遮蔽デバイスを示す前方斜視図である。
図1B】いくつかの実施形態にかかる遮蔽デバイスを示す後方斜視図である。
図1C】いくつかの実施形態にかかる遮蔽デバイスを示す上面図である。
図2図1Aから図1Cの遮蔽デバイスを示す分解斜視図である。
図3A図1Aから図1Cの遮蔽デバイスを示す横断面図である。
図3B図3Aの遮蔽デバイスの一部を示す横断面図である。
図4A図1Aから図1Cの遮蔽デバイスを基体に対して角度を付けた非垂直位置にある遮蔽体と共に示す後方斜視図である。
図4B図1Aから図1Cの遮蔽デバイスを基体に対して角度を付けた非垂直位置にある遮蔽体と共に示す側面図である。
図4C図1Aから図1Cの遮蔽デバイスを基体に対して角度を付けた非垂直位置にある遮蔽体と共に示す後面図である。
図5A】いくつかの別の実施形態にかかる別の遮蔽デバイスを示す後方斜視図である。
図5B図5Aの遮蔽デバイスを示す分解後方斜視図である。
図6A】追加の実施形態にかかる遮蔽デバイスを示す側面図である。
図6B】追加の実施形態にかかる遮蔽デバイスを示す斜視図である。
図6C】さらなる実施形態にかかる遮蔽デバイスを示す側面図である。
図6D】さらなる実施形態にかかる遮蔽デバイスを示す斜視図である。
図6E】追加の実施形態にかかる遮蔽デバイスを示す側面図である。
図6F】追加の実施形態にかかる遮蔽デバイスを示す斜視図である。
図6G】さらなる実施形態にかかる遮蔽デバイスを示す側面図である。
図6H】さらなる実施形態にかかる遮蔽デバイスを示す斜視図である。
図6I】追加の実施形態にかかる遮蔽デバイスを示す側面図である。
図6J】追加の実施形態にかかる遮蔽デバイスを示す斜視図である。
図6K】さらなる実施形態にかかる遮蔽デバイスを示す側面図である。
図6L】さらなる実施形態にかかる遮蔽デバイスを示す斜視図である。
図7】いくつかの実施形態にかかる第2の別の遮蔽装置を示す分解前方斜視図である。
図8】いくつかの実施形態にかかる第3の別の遮蔽装置を示す分解前方斜視図である。
図9】いくつかの実施形態にかかる遮蔽装置を使用する処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1Aから図1Cを参照すると、いくつかの実施形態の遮蔽装置100は、基体102と、基体102に連結された遮蔽体104と、を有し得る。遮蔽装置100は、医療処置中に医療従事者(例えば、外科医、看護師、技術者)に対して保護を提供するために使用され得る。一例として、遮蔽装置100の基体102は、リアルタイムX線画像形成を使用しながら胆汁排管を挿入するときに、患者の肝臓の近くに位置する患者の皮膚に付着され得る。このような状況において、遮蔽体104は、基体102に対してユーザが選択した向きに操作され、その後、選択した位置でロックされ得、それにより、そうでなければリアルタイムX線画像形成機器からの放射線場内にある医療従事者の手に対して放射線遮断を提供する。医療従事者の手をX線放射から保護する遮蔽装置100に加え、遮蔽体104は、医療従事者に対して処置中に発生し得る血液または他の体液の飛び散りからの物理的保護をさらに提供し得つつ、-混乱を生じさせずかつ人間工学的に効果的な態様で、医療従事者が医療従事者の手を位置付けることを可能とする。
【0013】
いくつかの用途において、従事者の手のような医療従事者の身体のうち放射線源に最も近い部分を保護することは、放射線源からの距離に基づいて放射線被曝が減少するので、有益である。このため、医療従事者の手は、保護されていないと、X線画像形成処置中に医療従事者の胴体が曝されるものに対して9倍曝され得る。いくつかの用途において、遮蔽装置100は、携帯可能な構造体として設けられており、この構造体は、医療従事者によって(例えば試験室または手術室など)医療処置の現場に搬送され、処置の終了時に廃棄されて患者及び/医療従事者間の病原体の伝染を防止し得る。
【0014】
図示のように、遮蔽装置100の基体102は、基礎構造体106と、保持構造体108と、を有する。遮蔽装置100を使用する間、基礎構造体106は、物体(図示略)の表面で基体102を支持し、保持構造体108は、基体102を遮蔽体104に連結する。遮蔽装置100のさまざまな用途において、支持する物体は、患者の露出した身体(例えば肢体または胴)に沿う患者の皮膚の一部、または、基体102及び取り付けた遮蔽体104をしっかりと支持できる任意の他の物体(例えばテーブル、ベッドのレールなど)、を含み得る。いくつかの用途において、支持する物体は、例えば手または腕など医療従事者の身体の一部を含み得る。
【0015】
基礎構造体106の構造は、(例えば、遮蔽体104を基体102に連結しているまたは医療従事者によって操作されているような)使用中にほぼ固定した位置に物体の表面で基体102を支持するのに十分な機械的強度及び剛性を提供する。この実施形態において、基礎構造体106は、バタフライ状のほぼ平坦な部材を有しており、この部材は、両側にある楕円状翼部112が延在する円形中央体110を有する。基礎構造体106の中央体110は、保持構造体108に取り付けられており(そして、任意で、連続的であり、それにより、中央体は、保持構造体108の全体の下に延在する(図2参照))。翼部112は、支持する物体に接触するためのさらなる表面積を提供し(例えば、それにより、患者の肌または他の支持する物体により強固に付着するまたは取り付けられる)。いくつかの実施形態において、基礎構造体106は、弾性部材を有し得、この弾性部材は、支持する物体のさまざまな輪郭及び角に適合できる。例えば、この実施形態において、翼部112は、平面から外れるように曲げられ得、物体の形状に沿う。いくつかの実施形態において、基礎構造体106は、可鍛性のワイヤフレームを有し得、弾性部材を補強する。
【0016】
いくつかの実施形態において、基礎構造体106は、1以上のプラスチック材料から製造され、このプラスチック材料は、放射線遮蔽材料(例えば、バリウム、鉛、タングステン、錫、アルミニウム及び/または任意の減衰金属を含む金属)を加えることを許容できる。いくつかの実施形態において、基礎構造体106は、積層多層構造を有し得る。例えば、基礎構造体106は、皮膚にやさしい下層(例えば発泡層)を有し得、この下層は、補強上層(例えば可撓性を有する金属またはプラスチックの層)に接着される。いくつかの実施形態において、基礎構造体106は、医療用途に適した1以上の材料(例えば生体適合性金属及び/またはポリマー材料))から製造されている。例えば、基礎構造体106は、医療グレードの高密度発泡シート材料から製造され得、この高密度発泡シート材料は、約1mmから2.5mmの厚さを有する。いくつかの実施形態において、基礎構造体106の底面114は、基体102を支持する物体に一時的に付着させるのに適した付着材料を有し得る。付着剤は、医療グレードの付着剤であり、この付着剤は、水、血液及び他の体液に対して耐性を有し、対象の皮膚表面の外側に付着するのに適している。いくつかの実施形態において、底面114上の付着剤は、使用するために付着剤を露出させるための取外し可能なシートによって初期的に覆われ得る。さまざまなタイプの適切な取付機構を使用し得、基礎構造体106を支持する物体に連結する。例えば、いくつかの実施形態において、基礎構造体は、吸引デバイスまたは調整可能なストラップシステムを有し得、基礎構造体を物体に取り付ける。いくつかの実施形態において、基礎構造体は、医療従事者によって医療処置(例えば呼吸を評価するためのX線透視診断処置)を実行しながら装着可能な手袋またはストラップシステムの形態で設けられ得る。
【0017】
上述のように、保持構造体108は、使用中に基体102を遮蔽体104に連結する。いくつかの実施形態において、保持構造体108は、調整可能な連結を提供し、この調整可能な連結は、遮蔽体104が少なくとも2自由度(いくつかの実施形態において、3自由度)で移動することを許容する。このように、遮蔽体は、基体102の基礎構造体106(したがって支持する物体)に対して複数の角度で位置決めされ得る。いくつかの実施形態において、保持構造体108を連結することは、遮蔽体104の角度位置がユーザが選択した位置へ調整可能であるロック解除状態と、遮蔽体104の角度位置が固定されているロック状態と、の間で動作され得る。
【0018】
図2図3A及び図3Bを参照すると、保持構造体108は、プラットフォーム116、第1ヨーク118a、第2ヨーク118b、パイロット部材120、クランプ部材122及びロックノブ124を有する。プラットフォーム116は、基礎構造体106の中央体110にしっかりと取り付けられた円状フレームである。図示のように、第1及び第2ヨーク118a、118bそれぞれは、細長いスロット126a、126bを有する半球状セグメントであり、これらスロットは、セグメントの長さに沿って延在する。第1及び第2ヨーク118a、118bは、互いに垂直に方向付けられており、重なるように位置付けられており、それにより、スロット126a、126bは、ヨーク118a、118bの交差点で交わる。第1及び第2ヨーク118a、118bの直径方向で反対側の端部128a、128bは、固定位置でプラットフォーム116に回転可能に備え付けられている。このため、第1ヨーク118aは、プラットフォーム116に対して第1方向130aで回動移動するように制約され、第2ヨーク118bは、第1方向130aに垂直な第2方向130bで回動移動可能である。
【0019】
図3Bを参照すると、パイロット部材120は、中心シャフト132と、径方向外側に延在してシャフト132を囲む凸状フランジ134と、を有する。シャフト132は、中央ネジ孔136を画成する。凸状フランジ134は、曲率を有する傾斜上側フランジ面を形成し、第1及び第2ヨーク118a、118bの半球形状に適合する。パイロット部材120は、凸状フランジが第1及び第2ヨーク118a、118bの下方に位置付けられ、シャフト132がスロット126a、126bの交差点を通って突出する状態で、位置している。クランプ部材122は、パイロット部材120に連結されており、パイロット部材120をスロット126a、126bの交差点で保持する。クランプ部材122は、中央開口部138と、開口部138から径方向外側に延在する凹状フランジ135と、を有する。凹状フランジ135は、曲率を有する傾斜下側フランジ面を形成し、第1及び第2ヨーク118a、118bの半球形状に適合する。クランプ部材122は、凹状フランジ135が第1及び第2ヨーク118a、118bの上方に位置する状態で、位置している。パイロット部材120のシャフト132の上側部分は、クランプ部材122の開口部138内に長手方向に突出する。クランプ部材122をパイロット部材120に連結するため、パイロット部材120のシャフト132の上端部における径方向淵部139は、クランプ部材122の開口部138内の径方向肩部140とのスナップ係合を提供する。
【0020】
依然として図3Bを参照すると、ロックノブ124は、柄部141及び頭部142を有する。頭部142は、3つのフランジ144a、144b、144cを有し、これらフランジは、径方向外側に延在して柄部141と同軸に揃えられた筒状本体143を囲む。フランジ144a、144b、144cは、ほぼ平坦であり、本体143に沿う長手方向で互いに間隔をあけている。柄部141の下側部分には、ネジ山が形成されている。柄部141は、クランプ部材122の開口部138及びパイロット部材120のシャフト132の中央孔内へ長手方向に突出している。パイロット部材120のシャフト132の中央孔のネジ山は、ロックノブ124の柄部141の下側部分におけるネジ山と螺合する。このため、ロックノブ124は、パイロット部材120及びクランプ部材122に入れ子状に伸縮可能に連結されている。
【0021】
ロックノブ124は、第1及び第2ヨーク118a、118bによって許容された方向130a、130bにおいて、基礎構造体106に対して2自由度で移動可能である。ロックノブ124が移動することによって、連結したパイロット部材120の初期移動が引き起こされる。ロックノブ124によって駆動されてパイロット部材120が移動することによって、パイロット部材120のシャフト132がスロット126a、126bと相互作用すると、第1及び第2ヨーク118a、118bによって移動が引き起こされる。例えば、パイロット部材120が第1ヨーク118aのスロット126aを通って移動すると、第2ヨーク118bは、シャフト132によって引っ張られ、第2方向130bで回動する、その逆も同様である。ヨーク118a、118bそれぞれにあるスロット126a、126bの長さは、パイロット部材120のひいてはロックノブ124の移動を境界付ける。回動方向130a、130bにおける自由は、ロックノブ124が360°循環運動(circumduction movement)を実行することを許容し、この運動は、ジョイスティックの円錐運動に似ている。
【0022】
依然として図3Bを参照すると、遮蔽体104は、2つの把持部146a、146bによってロックノブ124に取り付けられており、これら把持部は、遮蔽体104の後側面148から外側に延在する。把持部146a、146bそれぞれは、フランジ144b、144c間に達する1対の両側の指体を有し、頭部142の本体143を把持する。図示のように、第1把持部146aは、ロックノブ124のフランジ144b及び144c間に位置付けられており、第2把持部146bは、フランジ144cの下方に位置付けられている。いくつかの実施形態において、把持部146a、146bは、本体143を緩く把持しており、ロックノブ124の中心軸回りの方向で360°回転運動149を可能とする。遮蔽体104は、同様に、ロックノブ124の循環運動によって、基礎構造体106に対してさまざまな角度で傾けられ得る。図4Aから図4Cは、基体102の不動基礎構造体106に対して前方かつ側方の角度で傾けられた遮蔽体104を示す。
【0023】
いくつかの実施形態において、上述した遮蔽体104の移動は、保持構造体108がロック解除状態にある間では許容され、保持構造体108がロック状態にあると間では防止される。この実施形態において、保持構造体108は、ロックノブ124を調整することによって、ロック解除状態からロック状態へ動作され得る。例えば、ロックノブ124は、(例えば時計回りにまたは反時計回りに)回転され得、螺合しているネジ山を介してパイロット部材120のシャフト132を通して柄部141を入れ子式に下方へ前進させる。パイロット部材120及びクランプ部材122に対してロックノブ124を下方に移動させることにより、遮蔽体104のうち最も下にある把持部146bをクランプ部材122の開口部138の淵部150に向けて推進させる。ロックノブ124が下方に前進し続けているので、クランプ部材122は、第1及び第2ヨーク118a、118bに当接して下方へ押される。第1及び第2ヨーク118a、118bは、クランプ部材122の凹状フランジ135とパイロット部材120の凸状フランジ134との間で締められ、したがって、摩擦力によって固定位置で保持される。第1及び第2ヨーク118a、118bが不動に保持されている状態で、ロックノブ124の循環運動は、防止される。同様に、第1把持部146aは、ロックノブ124のフランジ144b及び144c間で締められ始め、第2把持部146bは、ロックノブ124のフランジ144cとクランプ部材122の淵部150との間で締められ始める。このため、摩擦力は、ロックノブ124の中心軸回りの遮蔽体104の回転も防止する。図1Aから図4Cから理解されるように、遮蔽体104は、(ロックノブ124を調整することによって)ロック状態とロック解除状態との間で繰り返し動作され得、それにより、遮蔽体104は、医療処置にわたって基体102に対してユーザが選択したさまざまな向きへロックされる。
【0024】
上述のように、遮蔽体104は、同様に、医療従事者を保護する物理的な障壁として機能し得る。再び図1Aから図1Cを参照すると、遮蔽体104の外縁部は、遮蔽体104の全体寸法を画成し、この寸法は、高さ「H」、幅「W」及び厚さ「T」を有する(図1A)。いくつかの実施形態において、遮蔽体104は、曲線形状を有して設けられている。いくつかの実施形態において、遮蔽体104の曲線形状は、飛沫及び飛び散りに対する強化した保護を提供し得、医療処置中に液体(例えば血液及び他の体液)が医療従事者に触れることを抑制しつつ、同時に、使用中に医療従事者の手を位置付けるための人間工学的な空間を医療従事者に提供する。この実施形態において、遮蔽体104は、その高さに沿って、非対称反転曲面輪郭を有し、遮蔽体104の頂部にある短い外側に突出する淵部152と、弓状の中間セクション154と、を画成する(図1B)。使用中において、遮蔽体104は、遮蔽体104の前側面156が医療従事者を向き、遮蔽体104の後側面158が放射線源を向く状態で、位置付けられ得る。この向きにおいて、淵部152及び中間セクション154は、医療従事者から離間するように向けられ、液体の飛沫及び飛び散りに対する保護を提供する。さらに、遮蔽体104の中間セクション154が医療従事者から離間するように外側に曲がっているので、医療従事者の手を操るための(例えば医療処置を実行するためのかつ/またはロックノブ124を調整するための)医療従事者へのさらなる空間がある。この実施形態において、遮蔽体104は、同様に、幅方向に関して曲線付けされており(遮蔽体104の前側面156から凸状となっており)、医療従事者が医療従事者の手を位置付けると予測される空間の周りで曲がっている(図1C)。この構成は、医療従事者が医療従事者の手を位置付ける空間の周りにおいて医療従事者のためのさらなる保護を提供し得る。切欠部160は、遮蔽体104の底部近傍に設けられており、患者に設置された管状作業片(例えばカテーテル)を受ける(図1A)。
【0025】
いくつかの実施形態において、遮蔽体104は、放射線源(図示略)によって遮蔽体104に向けられた電磁放射(例えばX線放射)の磁束を減衰させるまたは偏向させることができる。遮蔽体104の後率は、遮蔽体104を製造するために使用した材料の放射線遮蔽特性に直接対応している。遮蔽体104の必要な放射線遮蔽効率は、さまざまな用途にわたって変化し得る。例えば、あまり効果的でない遮蔽体は、医療従事者が放射線源から遠くに離れている場合の用途で使用され得、その逆も同様である。いくつかの実施形態において、遮蔽体104は、放射線遮蔽材料の1以上の層(例えば鉛箔のシート)を有し得る。例えば、このような放射線遮蔽層は、プラスチックまたは金属の補強層間に挟み込まれ得る。いくつかの実施形態において、遮蔽体104は、適切な放射線遮蔽材料(例えば、バリウム、鉛、タングステン、錫、アルミニウム及び/または任意の減衰金属を含む金属)を加えたプラスチック材料から製造され得る。
【0026】
上述のように、遮蔽体104は、保持構造体108のさまざまな構成部材によって支えられている。そのため、実際には、遮蔽体104の耐容重量は、保持構造体108の負荷支持能力の影響を受けうる。さらに、例えば遮蔽装置100を患者の身体部分で直接支持している用途において、遮蔽体104の耐容重量は、患者の皮膚または他の身体部分への過剰な負担を低減するように選択され得る。
【0027】
適切な重量を有する遮蔽体104を設計するときに考慮され得る要因は、遮蔽体104の体積及び製造する材料の密度を含む。遮蔽体104の重量は、体積及び/または密度が増加するにしたがって増加する。遮蔽体104の体積は、その表面積及び厚さにしたがって変化する。遮蔽体104の体積は、例えば曲線(例えば淵部152、中間セクション154及び幅方向に関する曲線)の湾曲度合を調整することによって、全体寸法(すなわち高さ「H」、幅「W」)に影響を及ぼすことなく変化され得る。いくつかの用途において、有利であり得ることは、遮蔽体104の比較的大きな全体寸法を維持して医療従事者に対して適切な保護を提供すること、である。遮蔽体104の密度は、使用した放射線遮蔽材料の具体的なタイプ及び量に基づいて変化し得る。例えば、硫酸バリウムは、鉛よりも約2/3密度が小さく、したがって、他の条件(例えば遮蔽体の体積及び/または他の製造材料)全てが同じ場合に、低密度で軽量な遮蔽体を提供する。このように、いくつかの実施形態において、遮蔽体は、放射線被曝を低減するもしくは遮断するのに適した硫酸バリウムまたは別の重金属材料のような材料であり得る。
【0028】
この実施形態において、遮蔽体の体積は、約50cmから約100cm(好ましくは、図示した例では約71cm)であり、硫酸バリウムを加えたプラスチック材料から製造されており、この材料は、約1.5g/cmから約2.5g/cm(好ましくは、図示した例では約2.0g/cm)の密度を遮蔽体にもたらす。遮蔽体の高さは、約5cmから約25cm(好ましくは、図示した例では約15cm)であり、遮蔽体の質量は、約100gから約200g(好ましくは、図示した例では約142g)であり、遮蔽体の厚さは、約1mmから約5mm(好ましくは、図示した例では約2.3mm)であり、遮蔽体の淵部の曲率半径は、約5mmから約10mm(好ましくは、図示した例では約7.7mm)であり、遮蔽体の中間セクションの曲率半径は、約3cmから約10cm(好ましくは、図示した例では約5.1cm)であり、幅方向に関する曲線の曲率半径は、約10cmから約25cm(好ましくは、図示した例では約17.7cm)である。この実施形態において、遮蔽体の重量は、約0.1lbs(約0.045kg)から約0.5lbs(約0.227kg)(好ましくは、図示した例では約0.3lbs(約0.136kg))である。
【0029】
図5A及び図5Bは、遮蔽装置100と同様の遮蔽装置500を示しており、この遮蔽装置は、基体502と、基体502に連結された遮蔽体504と、を有し、遮蔽体504の曲線は、遮蔽体104と比較してかなりよりはっきりしている。特に、淵部552及び中間セクション554は、かなり大きな度合いの曲率を有し、(全体寸法及び厚さが一定であると仮定すると)より大きな表面積を、ひいてはより大きな体積を形成する。このため、他の状況が同じであるならば、遮蔽体504は、遮蔽体104よりも大きな重量を有する。
【0030】
基体502は、基礎構造体506及び保持構造体508を有する。この実施形態において、基礎構造体506は、径方向脚部512を有する。いくつかの実施形態において、脚部512は、可撓性を有し、平面から外へ曲げられ得、支持する物体の形状に沿う。保持構造体508は、プラットフォーム516、第1ヨーク518a、第2ヨーク518b、パイロット部材520、クランプ部材522及びロックノブ524を有する。全体的に、これら構成部材は、ほぼ上述のように機能するように組み立てられ得る。しかしながら、この実施形態において、遮蔽体504は、連結ピン562によってロックノブ524に連結されている。特に、ロックノブ524は、連結ピン562の下端部を受けるための中央孔を有し、連結ピン562の上端部は、遮蔽体504の後側面548にある襟状筐体564によって受けられる。
【0031】
図6Aから図6Lは、さまざまな実施形態の適切な遮蔽装置で使用するのに適し得るさまざまな例の遮蔽体604a~604fを示す。上述のように、さまざまな遮蔽体604a~604fの全体的な形状及び寸法並びに曲線は、所定密度の製造材料に関して遮蔽体それぞれの体積、ひいては重量に影響され得る。遮蔽体の構成(例えば寸法、形状、曲線、厚さ、密度)は、所望の用途に基づいてさまざまな実施にわたって変化し得る。例えば、比較的高い度合いの散乱放射線から保護する必要がある用途は、全体寸法が比較的大きな遮蔽体を必要とし得、広い範囲を提供する。この場合において、遮蔽体の重量は、例えば遮蔽体を密度が低い材料で製造することによって、かつ/または、曲線があまり激しくないかつ/もしくは厚さが比較的小さい遮蔽体を製造することによって、耐容限度内を維持し得る。
【0032】
図7は、さらに別の遮蔽装置700を示しており、この遮蔽装置は、基体702と、基体702に連結された遮蔽体704と、を有する。遮蔽体704は、遮蔽体104と同様であり、反転曲面輪郭を画成する曲線形状を有しており、この輪郭は、外側に突出する淵部752と、弓状の中間セクション754と、を有する。遮蔽体704は、同様に、幅方向に関して曲線を有し、遮蔽体704の前側面756からの凸面のように見える。上述のように、いくつかの実施形態において、遮蔽体704の曲線形状は、飛沫及び飛び散りに対する保護を提供し得、医療処置中に液体が医療従事者に触れることを抑制する。さらに、いくつかの実施形態において、遮蔽体704の曲線形状は、使用中に医療従事者の手を位置付けるための人間工学的な空間を医療従事者に提供し得る。
【0033】
基体702は、基礎構造体706と、保持構造体708と、を有する。上記実施形態におけるように、遮蔽装置700の使用中において、基礎構造体706は、基体702を物体(図示略)の表面で支持し、保持構造体708は、基体702を遮蔽体704に連結する。この実施形態において、基礎構造体706は、バタフライ状部材を有し、この部材は、狭小部710によって接続された両側にあるテーパ付きの楕円状翼部712を有する。いくつかの実施形態において、基礎構造体706は、弾性部材を有し得、この弾性部材は、支持する物体のさまざまな輪郭及び角に適合できる。例えば、この実施形態において、翼部712は、平面から外へ曲げられ得、物体の形状に沿う。いくつかの実施形態において、基礎構造体706は、可鍛性のワイヤフレームを有し得、弾性部材を補強する。いくつかの実施形態において、基礎構造体706は、医療用途に適した1以上の材料(例えば生体適合性金属及び/またはポリマー材料))から製造されている。いくつかの実施形態において、基礎構造体706の底面714は、基体702を支持する物体に一時的に付着させるのに適した付着材料を有し得る。付着剤は、医療グレードの付着剤であり、この付着剤は、水、血液及び他の体液に対して耐性を有し、アルコール(例えばエチルアルコール)によって解放可能である。いくつかの実施形態において、基礎構造体706は、1以上の材料から製造され、この材料は、放射線遮蔽材料(例えば、バリウム、鉛、タングステン、錫、アルミニウム及び/または任意の減衰金属を含む金属)を加えることを許容できる。いくつかの実施形態において、基礎構造体706は、積層多層構造を有し得る。例えば、基礎構造体706は、皮膚にやさしい下層(例えば発泡層)を有し得、この下層は、補強上層(例えば可撓性を有する金属またはプラスチックの層)に接着される。
【0034】
図示のように、基礎構造体706は、複数の開口部766をさらに有し、これら開口部は、材料を通して延在し、支持する物体を露出させる。使用中において、医療従事者は、例えば底面714に付着させることが特定の用途に関して適切ではなくかつ非効率的である場合に、1以上の開口部766を通して基礎構造体706を物体に縫合し得る。一例として、医療従事者は、患者が付着剤に対してアレルギーを有している場合に、開口部766を通して基礎構造体706を患者の皮膚に縫合し得る。
【0035】
保持構造体708は、翼部712間にある狭小部710にわたって基礎構造体706に取り付けられている。保持構造体708は、遮蔽体704の底端部に設けられた連結部材768に取り付けられ得、遮蔽体704を基体702に連結させる。いくつかの実施形態において、連結部材768は、保持構造体708にスナップ係合または圧入され得、遮蔽体704を基体702に固定する。この実施形態において、保持構造体708は、管状作業片(例えばカテーテル、ドレイン、静脈ライン)を受けるように適切に形付けられたかつ寸法付けられたスロット770と、作業片をスロット770内に固定するためのロック機構772と、を有する。例えば、遮蔽装置700がカテーテルの出口場所に近接して物体で維持されている場合、カテーテルは、長さに関してスロット770内に位置付けられ、ロック機構772によって適切に保持され、カテーテルが患者から意図せず解放されることを抑制する。スロット770及びロック機構772は、特有の寸法または所定範囲の寸法に適合するように設計され得る。いくつかの実施形態において、スロット770及びロック機構772は、約4フレンチ(1.33mm)から約12フレンチ(4mm)の範囲の管状作業片に適合する。いくつかの実施形態において、ロック機構772は、作業片を十分な力で把持して作業片の意図しない解放を抑制するバネ付勢式クランプ(図示略)を有する。いくつかの実施形態において、作業片は、遮蔽体704を基体702から取り外すことなくロック機構772に固定され得かつ/またはロック機構から解放され得、これにより、医療従事者は、放射線に露出されることなく、医療処置中に作業片を調整することが可能とされ得る。いくつかの実施形態において、遮蔽プラグ(図示略)は、保持構造体708に設置され得、作業片がないときに、流体及び/または放射線がスロット770及びロック機構772を貫通することを阻止する。
【0036】
図8は、遮蔽装置700と同様の遮蔽装置800を示しており、この遮蔽装置は、基体802と、基体802に連結された遮蔽体804と、を有する。この実施形態において、遮蔽体804は、ボール・ソケット結合体874によって連結部材868に備え付けられている。連結部材868は、遮蔽体804を基体802の保持構造体808に取り付けている。ボール・ソケット結合体874は、少なくとも2自由度で、基体802に対する遮蔽体804の運動を許容する。この実施形態において、ボール・ソケット結合体874は、基体802にほぼ垂直な軸878回りの遮蔽体804の運動876と、回転軸にほぼ垂直な軸882回りの関節運動880と、を許容する。図示のように、関節運動880は、遮蔽体804を基体802に対して前後に傾ける。いくつかの実施形態において、ボール・ソケット結合体874は、遮蔽体804の360°回転を許容する。いくつかの実施形態において、ボール・ソケット結合体874は、遮蔽体804の関節運動を±30°までに制限する。
【0037】
ここで図9を参照すると、適切な遮蔽装置(例えば遮蔽装置100、500、700及び800)は、医療処置中に放射線及び/または液体を医療従事者から遮蔽する処理900を実行するために(例えば医療従事者によって)動作され得る。留意することは、所望の結果を達成するために、処理900が図9に示しかつ後述する特有の操作順を必要としないこと、である。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、処理900に他の操作を設け得る、または、処理900から操作を省略し得る。
【0038】
操作910において、遮蔽装置の基体を物体に連結し得る。物体は、患者の露出した身体部分または基体及び取り付けた遮蔽体を支えることができる任意の他の構造体を含み得る。いくつかの実施形態において、基体は、基体の底面にある付着層によって物体に連結され得る。いくつかの実施形態において、基体は、物体に縫合され得る。
【0039】
操作920において、遮蔽装置の遮蔽体は、基体に連結され得る。例えば、遮蔽体は、基体の保持構造体に取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、保持構造体は、ロックノブを有し得、遮蔽体の後側面は、ロックノブの頭部に係合する把持部を有し得る(例えば遮蔽装置100)。いくつかの実施形態において、遮蔽体は、連結ピンによってロックノブに連結され得る(例えば遮蔽装置500)。連結ピンの下端部は、ロックノブの中央孔内に受けられ、連結ピンの上端部は、遮蔽体の後側面にある襟状筐体によって受けられる。いくつかの実施形態において、遮蔽体の底端部にある連結部材は、保持構造体に圧入またはスナップ係合され得る(例えば遮蔽装置700)。いくつかの実施形態において、可鍛性のあるステムまたは締め具を使用して遮蔽体を基体に連結し得る。
【0040】
任意で、操作930において、遮蔽装置の基体及び物体に対する遮蔽体の角度を調整し得る。いくつかの実施形態において、遮蔽体と基体との間の連結は、基体に対して3自由度で遮蔽体を移動させることを許容する(例えば遮蔽装置100)。この場合において、基体に対する遮蔽体の角度は、遮蔽体を基体に対して回転及び循環運動させることによって、調整され得る。いくつかの実施形態において、連結は、少なくとも2自由度で遮蔽体を移動させることを許容する(例えば遮蔽装置800)。この場合において、基体に対する遮蔽体の角度は、遮蔽体を基体に対して回転及び関節運動させることによって、調整され得る。任意で、操作940において、遮蔽体は、所定角度において適切にロックされ得る。例えば、遮蔽体がパイロット部材に螺着されたロックノブを有する実施形態(例えば遮蔽装置100及び500)において、ロックノブを回転させ得、遮蔽体を適切に締める。
【0041】
操作950において、放射線及び/または液体が医療従事者に触れることを遮蔽体が抑制しながら、医療処置を実行し得る。いくつかの実施形態において、遮蔽体は、1以上の適切な放射線遮蔽材料から製造され得る。いくつかの実施形態において、遮蔽体には、医療処置中に発生し得る液体の飛沫及び飛び散りを阻止するように適切に曲線付けされ得る。任意で、操作960において、遮蔽装置を支持する物体から取り外して廃棄され、例えば、患者及び/または医療従事者間で病原体が広がることを防止する。
【0042】
明細書および特許請求の範囲にわたる「前方」、「後方」、「頂部」、「底部」、「上」、「上方」及び「下方」のような用語の使用は、本明細書で説明したシステムのさまざまな構成部材及び他の素子の相対位置を説明するためのものである。同様に、素子を説明するための任意の水平または垂直の用語の使用は、本明細書で説明したシステムのさまざまな構成部材及び他の素子の相対的な向きを説明するためのものである。明確に述べない限り、このような用語を使用することは、地球の重力方向もしくは地球の地面に対するシステムもしくは他の構成部材の特有の位置及び向き、または、操作中、製造中及び輸送中にシステムもしくは他の素子を配置し得る他の特有の位置及び向き、を暗示していない。
【0043】
本発明にかかる複数の実施形態を説明した。それにもかかわらず、理解されることは、本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな改変をなし得ること、である。
【0044】
[付記項1]
放射線遮蔽体と、
基体と、
を備え、
前記基体が、
物体に取り付け可能な基礎構造体と、
前記放射線遮蔽体に取り付け可能な保持構造体と、
を備え、
前記保持構造体が、調整可能な連結体を備え、前記連結体が、重なる態様で互いに垂直に方向付けられた第1及び第2半球状ヨークを備えることを特徴とする放射線遮蔽装置。
[付記項2]
前記第1及び第2ヨークが、パイロット部材によって互いに連結されており、
前記パイロット部材が、前記第1及び第2ヨークの重なるスロットを通って延在するシャフトを備えることを特徴とする付記項1に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項3]
前記保持構造体が、前記パイロット部材に連結されかつ前記遮蔽体に係合可能なノブをさらに有することを特徴とする付記項2に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項4]
前記第1及び第2ヨークが、当該第1及び第2ヨークの両端部においてプラットフォームに回動可能に備え付けられていることを特徴とする付記項1に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項5]
調整可能な前記連結体が、少なくとも2自由度で前記遮蔽体を移動させることを許容することを特徴とする付記項1に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項6]
許容された前記遮蔽体の移動が、循環運動を含むことを特徴とする付記項4に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項7]
放射線遮蔽体と、
基体と、
を備え、
前記基体が、
物体に取り付け可能な基礎構造体と、
前記放射線遮蔽体に取り付け可能な保持構造体と、
を備え、
前記保持構造体が、前記遮蔽体の角度位置をユーザが選択した位置へ調整可能であるロック解除状態と、前記遮蔽体の角度位置をほぼ固定したロック状態と、の間で動作可能に調整可能な連結体を備えることを特徴とする放射線遮蔽装置。
[付記項8]
前記保持構造体が、調整可能な前記連結体に螺着されたロックノブを備え、前記連結体を前記ロック状態と前記ロック解除状態との間で動作させることを特徴とする付記項7に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項9]
前記ロックノブが、前記遮蔽体と係合可能であることを特徴とする付記項8に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項10]
前記ロックノブが、筒状本体から径方向外側に延在する複数のフランジを有する頭部を備え、
前記遮蔽体が、前記フランジ間に到達して前記筒状本体を把持する1以上の把持部を備えることを特徴とする付記項9に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項11]
前記保持構造体が、前記連結体が前記ロック状態にあるときに前記ロックノブを当接支持し、前記放射線遮蔽体の角度位置を摩擦力によって固定するクランプ部材を備えることを特徴とする付記項10に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項12]
放射線遮蔽体と、
基体と、
を備え、
前記基体が、
物体に取り付け可能な基礎構造体と、
前記放射線遮蔽体に取り付け可能な保持構造体と、
を備え、
前記放射線遮蔽体が、当該放射線遮蔽体の高さに沿って非対称反転曲面輪郭を形成する曲線形状を有することを特徴とする放射線遮蔽装置。
[付記項13]
放射線遮蔽体は、当該遮蔽体の頂部にある外側突出淵部と、弓状中間セクションと、を画成することを特徴とする付記項12に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項14]
前記遮蔽体の前記淵部の曲率半径が、約5mmから約10mmであり、前記中間セクションの曲率半径が、約3cmから約10cmであることを特徴とする付記項13に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項15]
前記遮蔽体が、当該遮蔽体の前側面に対する凸状方向で、幅方向に関して曲線付けされていることを特徴とする付記項12に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項16]
前記遮蔽体の底部分が、少なくとも1つの切欠を備え、患者に設置される管状作業片を受けることを特徴とする付記項12に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項17]
前記遮蔽体の全体寸法が、医療処置中に医療従事者が当該医療従事者の手を位置付ける領域を守るのに十分であることを特徴とする付記項12に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項18]
放射線遮蔽体と、
基体と、
を備え、
前記基体が、
物体に取り付け可能な基礎構造体と、
前記放射線遮蔽体に取り付け可能な保持構造体と、
を備え、
前記放射線遮蔽体が、硫酸バリウムを含み、
前記放射線遮蔽体が、約1.5g/cmから約2.5g/cmの公称密度を有することを特徴とする放射線遮蔽装置。
[付記項19]
材料が、硫酸バリウムを加えたプラスチック材料を含むことを特徴とする付記項18に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項20]
材料が、硫酸バリウムの1以上のシート状発泡層を備えることを特徴とする付記項18に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項21]
前記遮蔽体の全体寸法が、医療処置中に医療従事者が当該医療従事者の手を位置付ける領域を守るのに十分であることを特徴とする付記項18に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項22]
前記放射線遮蔽体が、当該放射線遮蔽体の高さに沿って非対称反転曲面輪郭を形成する曲線形状を有することを特徴とする付記項18に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項23]
約5cmから約25cmの高さ及び約1mmから約5mmの最大厚さを有し、放射線遮蔽特性を有する材料を含む放射線遮蔽体と、
基体と、
を備え、
前記基体が、
物体に取り付け可能な基礎構造体と、
前記放射線遮蔽体に取り付け可能な保持構造体と、
を備えることを特徴とする放射線遮蔽装置。
[付記項24]
前記保持構造体が、前記基体に対する前記放射線遮蔽体の複数自由度の運動を提供するように構成された第1及び第2ヨークを備えることを特徴とする付記項23に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項25]
前記基体に連結され、前記基体に対する選択した向きで前記放射線遮蔽体を機械的にロックするように関節運動可能なロック装置をさらに備えることを特徴とする付記項24に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項26]
前記放射線遮蔽体が、高さ及び厚さよりも大きい幅を有し、約1.5g/cmから約2.5g/cmの密度を有し、約50cmから約100cmの体積を有し、約100gから約200gの質量を有し、
前記放射線遮蔽体の高さが、約5cmから約25cmであり、
前記放射線遮蔽体の厚さが、約1mmから約5mmであることを特徴等する付記項23に記載の放射線遮蔽装置。
[付記項27]
医療処置中に放射線を遮蔽する方法であって、
放射線遮蔽装置の基体を放射線源に近接する物体に連結するステップと、
前記放射線遮蔽装置の遮蔽体を前記基体に連結するステップと、
ロック装置を作動させ、前記基体及び前記物体に対するユーザが選択した向きで前記遮蔽体をロックするステップと、
医療処置を行っているときに前記放射線源からの放射線を遮蔽するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
[付記項28]
前記ロック装置が、前記基体の保持構造体に備え付けられた回転可能なロックノブを備えることを特徴等する付記項27に記載の方法。
[付記項29]
前記物体が、露出した身体部分に沿う皮膚の一部を含み、
前記放射線遮蔽装置の前記基体を前記物体に連結するステップが、前記基体の下側付着層を皮膚の前記一部に付着させるステップを有することを特徴とする付記項27に記載の方法。
【符号の説明】
【0045】
100,500,700,800 遮蔽装置、102,502,702,802 基体、104,504,604a~604f,704,804 遮蔽体(放射線遮蔽体)、106,506,706 不動基礎構造体,基礎構造体、108,508,708,808 保持構造体、116,516 プラットフォーム、118a,518a 第1ヨーク,ヨーク(第1半球状ヨーク)、118b,518b 第2ヨーク,ヨーク(第2半球状ヨーク)、120,520 パイロット部材、122,522 クランプ部材、124,524 ロックノブ(ノブ)、126a スロット、126b スロット、132 中心シャフト,シャフト、142 頭部、143 筒状本体,本体、144a フランジ、144b フランジ、144c フランジ、146a 第1把持部,把持部、146b 第2把持部,把持部、152,552,752 淵部(外側突出淵部)、154,554,754 中間セクション(弓状中間セクション)、768,868 連結部材、770 スロット、772 ロック機構、874 ボール・ソケット結合体
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J
図6K
図6L
図7
図8
図9
【外国語明細書】