IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プルノヴォ メディカル (ウーシー) カンパニー リミテッドの特許一覧

特開2022-28883多極同時肺動脈高周波アブレーションカテーテル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028883
(43)【公開日】2022-02-16
(54)【発明の名称】多極同時肺動脈高周波アブレーションカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20220208BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192988
(22)【出願日】2021-11-29
(62)【分割の表示】P 2019193400の分割
【原出願日】2015-07-10
(31)【優先権主張番号】62/023,781
(32)【優先日】2014-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/666,214
(32)【優先日】2015-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/672,021
(32)【優先日】2015-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/672,010
(32)【優先日】2015-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/672,013
(32)【優先日】2015-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515024519
【氏名又は名称】プルノヴォ メディカル (ウーシー) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(72)【発明者】
【氏名】チェン シャオリャン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】肺の除神経により肺高血圧症を治療するために使用され得る装置を提供する。
【解決手段】多極同時肺動脈高周波アブレーションカテーテルであって、調整装置が制御ハンドル上に配置されており、キャビティがカテーテル本体内に配置されており、リード線、温度検知線、およびプルワイヤがキャビティ内に配置され、カテーテル本体の一端が可撓性でアニュラリングに接続されており、プルワイヤの張力が可撓性端部のラジアン制御を達成するために調整装置を介して調整され、形状記憶ワイヤがアニュラリング内に配置され一端がアニュラリングの先端まで延在しており、他端がアニュラリングの根元を通りカテーテル本体の可撓性端部に固定されており、アニュラリングは、各電極がリード線と温度検知線とに接続された電極群を備え、リード線および温度検知線はカテーテル本体を通り制御ハンドルに電気的に接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の主肺動脈のターゲット組織をアブレーションするための装置であって、
近端部と端子遠端部とを備えるカテーテル本体と、
前記カテーテル本体の前記端子遠端部に連結されたアニュラリングと、
前記アニュラリングによって支持された複数の電極と、
を備え、
前記複数の電極は、前記アニュラリングが前記主肺動脈内に配置されたときに前記主肺動脈の左側面頂端に接触するように配置され、およびサイズが決められた第1の電極と、前記左側面頂端の前側に接触するように配置され、およびサイズが決められた第2の電極と、前記左側面頂端の後側に接触するように配置され、およびサイズが決められた第3の電極とを有する、
装置。
【請求項2】
前記複数の電極のうちの前記第2の電極および前記第3の電極は前記アニュラリング上の前記第1の電極の両側にまたがるように配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カテーテル本体の前記端子遠端部は可撓性であり、前記アニュラリングは前記主肺動脈内に配置されたときに前記端子遠端部に対して直交している、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記アニュラリングは平面状である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記アニュラリングは360度未満のカーブを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の電極は第1の長さを有し、前記第2の電極は前記第1の長さとは異なる第2の長さを有し、前記第3の電極は第1の長さとは異なりかつ前記第2の長さとも異なる第3の長さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1、第2、および第3の電極は実質的に同一平面上にある、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記アニュラリングは、360度未満でありかつ270度より大きいカーブを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の長さは4mmである、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記第2の長さは少なくとも3mmでありかつ前記第1の長さ未満である、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
前記第3の長さは少なくとも2mmでありかつ前記第2の長さ未満である、請求項6に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の電極は前記第2の電極および前記第3の電極から等しい距離離間されている、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば多極同時肺動脈高周波アブレーションカテーテルを用いて除交感神経(de-sympathetic)法により肺動脈における肺高血圧症を治療するための医療機器、ならびに肺高血圧症の診断方法および治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肺高血圧症(PH)は、心血管系、呼吸器系、結合組織系、免疫系、およびリウマチ系における難病であると理解されている。肺高血圧症の現在利用可能な臨床治療法は限定的であり、その治療有効性は低い。原発性肺高血圧症の発生率は低いが、肺間質性線維症、結合組織病、門脈圧亢進症、慢性肺動脈塞栓症、および左心系障害に伴う二次性の肺高血圧症はよく見られ、5年死亡率は30%に達する。したがって、肺高血圧症の防止および治療は極めて有意義である。
【0003】
近年、肺高血圧症の病因の研究に基づき、これをターゲットとする新薬が出現している。しかし、これらの薬の中には、多くの副作用、不適切な剤形、高コスト、および信頼できない有効性を含む、重大な制限を有するものがあるため、多くの薬が、臨床治療に広く適用されるには至っていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書で開示する本発明の少なくとも1つの局面は、肺高血圧症が肺動脈における過剰な交感神経活動と活動亢進性受容器とに関連付けられることを、これを実証する実験データにサポートされることによって、理解することを含む。交感神経を遮断したり受容器構造およびその機能を永久に損傷させたりすると、肺動脈圧を低下させることができ、これによって治療がより成功し易くなる。
【0005】
本明細書で開示するいくつかの実施形態は、除交感神経法によって肺動脈における肺高血圧症を治療するための多極同時肺動脈高周波アブレーションカテーテルを提供する。いくつかの実施形態では、カテーテルは血液ではなく粘着性の組織を加熱するだけである。更に、いくつかの実施形態では、カテーテルは、血管内膜を保護するために、アブレーション部位においてまたはその付近に冷生理食塩水灌流を提供するように、構成され得る。いくつかの実施形態は、簡単な操作、短い操作時間、および制御可能かつ正確なアブレーションという利点も提供する。
【0006】
いくつかの実施形態では、多極同時肺動脈高周波アブレーションカテーテルが、制御ハンドルと、カテーテル本体と、アニュラリングとを備え得る。制御ハンドルは調整装置を備え得る。カテーテル本体は中空であり得、キャビティを含み得る。1または複数のリード線、1以上の温度検知線、および1以上のプルワイヤがキャビティ内に配置され得る。カテーテル本体の一端が可撓性であり得る。該可撓性端部はアニュラリングに接続され得、カテーテル本体の他端が制御ハンドルに接続され得る。プルワイヤの一端が可撓性端部に接続され得、プルワイヤの他端が調整装置に接続され得る。プルワイヤの張力が、可撓性端部の例えば曲率制御などの形状制御を達成するために、調整装置を介して調整され得る。形状記憶ワイヤが、アニュラリング内に配置され得る。形状記憶ワイヤの一端はアニュラリングの先端まで延在でき、形状記憶ワイヤの他端はアニュラリングの根元を通りカテーテル本体の可撓性端部に固定され得る。アニュラリングは、各電極が1以上のリード線と1以上の温度検知線とに接続された電極群を備えることができる。リード線(複数可)および温度検知線(複数可)は、カテーテル本体を通って延在し、制御ハンドルに電気的に接続されている。
【0007】
注入管がカテーテル本体のキャビティ内に配置され得、貫通孔が1以上の電極上に配置され得る。注入管はアニュラリングを通って電極に接続され得る。輸液された流体は、貫通孔から流出し、したがって、経皮的な肺の除神経(PADN)術の一部としてアブレーション中に冷却目的のために使用され得る。
【0008】
アニュラリング上の電極は、電極の数を3~30の範囲内とし、電極の直径を1.3~2.0mmの範囲内とし、電極の長さを1.2~4mmの範囲内とし、隣接する電極同士の端と端の間の空間を0.5~10mmの範囲内として、プラチナ―イリジウム合金、金、ステンレス鋼、およびニッケル合金からなる群から選択される材料から作製され得る。
【0009】
カテーテル本体の可撓性端部は端ぐりを備えることができ、端ぐりの内径はアニュラリングの根元の外径に合っていてよく、したがって、アニュラリングの根元は、端ぐり内へ挿入かつ固定され得る。
【0010】
カテーテル本体の可撓性端部は溝を備え、コネクタがこの溝内に配置され、コネクタの一端がプルワイヤに接続され、コネクタの他端が形状記憶ワイヤに接続される。
【0011】
アニュラリング内の形状記憶ワイヤの材料は、直径0.25~0.5mmを有する、ニッケル―チタン合金、ステンレス鋼、またはチタンからなる群から選択される形状記憶合金であってよい。アニュラリングの直径は12~40mmであってよい。例えば、アニュラリングは、例えば形状記憶材料を使用して、付勢されると所望の(例えば、12~40mmの範囲内の)直径を有する円周形状へ変形するように、構成され得る。好ましくは、10個の電極がアニュラリング上に配置される。電極の裸部分の幅は0.75mmであり、その間の空間は5mmである。
【0012】
可撓性端部は、30~80mmの範囲の長さを有する医療用高分子材料で作製され得る。接続は紫外線硬化接着剤によって達成され得る。可撓性端部とアニュラリングとの間の接合部は封止され得る。
【0013】
プルワイヤは、ステンレス鋼またはニッケル―チタン合金から作製される。プルワイヤの外側はばねコイルを備え、ばねコイルの外側はポリイミド材料で作製されたばねスリーブを備える。
【0014】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、異なる直径を有するように付勢される複数の異なるアニュラリングを含むキットにパッケージ化され得る。アニュラリングと、可撓性本体と、ハンドルとが互いに永久接続されたいくつかの実施形態では、キットは、ハンドルと、可撓性本体と、異なるサイズのアニュラリングとをそれぞれ有する、複数の異なるカテーテルを含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態および/または使用方法では、カテーテルは、電極に直接接触している組織を高周波エネルギーで加熱し、血液の加熱を回避することができる。更に、カテーテルは、簡単な操作、短い操作時間、および制御可能かつ正確なアブレーションという利点を提供できる。カテーテル本体は、好ましくは伝導性の低い熱導体である高分子材料から作製され得、その結果、電極を加熱する際に、カテーテル本体に接触して流れている血液に熱を伝達することが回避でき、それによって、血液を加熱することが効果的に回避できる。
【0016】
更に、可撓性端部の形状または曲率は、調整装置を操作することによって調整され得る。これにより、操作者が片手でハンドルを制御でき、その結果、アニュラリングと電極とを位置づける目的で可撓性端部の曲率を容易に調整することができる。したがって、所望通りに位置づけた後、アニュラリング上の電極を肺動脈に押しつけて、肺動脈内膜のアブレーションを達成することができる。高周波電流をかけている間、電極は高い局所温度をもたらし、血管内膜上に高度の損傷を与えることができる。
【0017】
したがって、いくつかの実施形態では、カテーテルは、冷生理食塩水灌流を提供して局所温度を下げるように構成され得る。電極が電流を受けると、生理食塩水が貫通孔を介して自動的かつ一様に拡散される。これによって、例えば局所温度を60℃未満に下げて血管内膜を保護するなど、有益な冷却を提供することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、多極同時肺動脈高周波アブレーションカテーテルが、制御ハンドルと、カテーテル本体と、アニュラリングとを備えてもよい。制御ハンドルは、調整装置を含んでもよい。カテーテル本体は中空であってもよく、カテーテル本体内に配置されたキャビティを備えてもよい。リード線、温度検知線、およびプルワイヤがキャビティ内に配置されてもよい。カテーテル本体の一端は可撓性であってもよく、カテーテル本体の可撓性端部はアニュラリングに接続されてもよい。カテーテル本体の他端は制御ハンドルに接続されてもよい。プルワイヤの一端は可撓性端部に接続されてもよい。プルワイヤの他端は制御ハンドル上の調整装置に接続されてもよい。調整装置は、プルワイヤの張力を調整して可撓性端部の曲率を変えてもよい。形状記憶ワイヤがアニュラリング内に配置されてもよい。形状記憶ワイヤの一端はアニュラリングの先端まで延在してもよく、形状記憶ワイヤの他端はアニュラリングの根元を通りカテーテル本体の可撓性端部に固定されてもよい。アニュラリングは電極群を備えてもよい。電極群は、第1の長さを有する第1の電極と、第1の長さとは異なる第2の長さを有する第2の電極と、第3の電極とを備えてもよい。電極群の各電極はリード線と温度検知線とに接続されてもよい。リード線および温度検知線はカテーテル本体を通り、制御ハンドルに電気的に接続されてもよい。
【0019】
アニュラリングは、アニュラリングの根元からアニュラリングの先端まで延在し、360度未満のカーブを備えてもよい。アニュラリングは、アニュラリングの根元からアニュラリングの先端まで延在し、270度を超えるカーブを備えてもよい。アニュラリングは、第1の直径と、第1の直径とは異なる第2の直径とを備えてもよい。第1の直径は少なくとも25mmであってもよく、第2の直径は少なくとも20mmであってもよい。
【0020】
電極群の電極は実質的に同一平面上にあってもよい。第1の電極の第1の長さは少なくとも4mmであってもよい。第2の電極の第2の長さは少なくとも3mmであってもよい。第3の電極は、第1の長さとは異なりかつ第2の長さとも異なる第3の長さを備えてもよい。第3の長さは少なくとも2mmであってもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、カテーテルが、カテーテル本体とアニュラリングとを備えてもよい。カテーテル本体の一端は可撓性であってもよく、アニュラリングに接続されてもよい。アニュラリングのカーブは360度未満かつ270度より大きくてもよい。
【0022】
アニュラリングは、第1の長さを有する第1の電極と、第1の長さとは異なる第2の長さを有する第2の電極と、第1の長さとは異なりかつ第2の長さとも異なる第3の長さを有する第3の電極とを含む電極群を備えてもよい。電極群の電極は実質的に同一平面上にあってもよく、アニュラリングの根元からアニュラリングの先端まで延在するアニュラリングのカーブに沿って配置されてもよい。第1の長さは少なくとも4mmであってもよい。第2の長さは少なくとも3mmであってもよく、第1の長さ未満であってもよい。第3の長さは少なくとも2mmであってもよく、第2の長さ未満であってもよい。第1の長さは4mmであってもよい。電極群は4つ未満の電極を備えてもよい。
【0023】
第1の電極は、第2の電極および第3の電極から等しい距離離間されていてもよい。等しい距離は1mmであってもよい。第1の電極は、第2の電極および第3の電極よりも、アニュラリングの根元からから遠い距離にあってもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、コントローラが、筐体と、電子ディスプレイと、バッテリーと、電子データ記憶部と、演算装置とを備えてもよい。筐体は、筐体の表面に沿って配置されたカテーテル接続ポートを備えてもよい。接続ポートは、カテーテルにインターフェース接続するように構成されてもよい。カテーテルは、第1の長さを有する第1の電極と、第1の長さとは異なる第2の長さを有する第2の電極とを備えてもよい。筐体は、筐体の表面に沿って配置された電子ディスプレイを備えてもよい。筐体は、バッテリーと、電子データ記憶部と、演算装置とを覆ってもよい。電子ディスプレイは、ユーザーインターフェースを提示するように構成されてもよい。バッテリーは、第1の電極を使用するアブレーション用に十分なレベルの電力、または第2の電極を使用するアブレーション用に十分なレベルの電力を蓄積するように構成されてもよい。電子データ記憶部は、複数の患者を特徴づける保存された患者プロファイルを備えてもよい。演算装置は1以上のプロセッサを備えてもよい。演算装置は、電子データ記憶部、電子ディスプレイ、およびバッテリーと通信状態にあってもよい。演算装置は少なくとも、ユーザーインターフェースから保存された患者プロファイルのうちの第1の患者プロファイルの選択を受け付け、ユーザーインターフェース上に第1の患者プロファイルを特徴づける情報を表示し、ユーザーインターフェースから第1の電極の選択を受け付け、第1の電極を使用するアブレーション用に十分なレベルの電力をバッテリーから第1の電極へ向かわせ、ユーザーインターフェースから第2の電極の選択を受け付け、第2の電極を使用するアブレーション用に十分なレベルの電力をバッテリーから第2の電極へ向かわせるように、構成されてもよい。
【0025】
演算装置は、同時に、バッテリーから第1の電極へ電力を向かわせ、バッテリーから第2の電極へ電力を向かわせるように構成されてもよい。演算装置は、それぞれ異なる時間に、バッテリーから第1の電極へ電力を向かわせ、バッテリーから第2の電極へ電力を向かわせるように構成されてもよい。演算装置は、バッテリーから第1の電極へ向けられた電力を中断し、バッテリーから第1の電極へ向けられた電力が中断された後、バッテリーから第2の電極へ電力を向かわせるように構成されてもよい。演算装置は、バッテリーが充電を終えた後に、バッテリーから第1の電極へ電力を向かわせるように構成されてもよい。演算装置は、第1の電極がバッテリーから電力を受けている間、第1のセンサによって取得された第1の電極アブレーション情報をユーザーインターフェース上に表示するように構成されてもよい。演算装置は、第1の患者プロファイルと共に第1の電極アブレーション情報を保存するように構成されてもよい。演算装置は、第1の電極がバッテリーから電力を受けている間、第1のセンサによって取得された第1の電極アブレーション情報をユーザーインターフェース上に表示し、第2の電極がバッテリーから電力を受けている間、第2のセンサによって取得された第2の電極アブレーション情報をユーザーインターフェース上に表示するように構成されてもよい。第2の電極アブレーション情報は、第1の電極がバッテリーから電力を受けるのを停止した後、ユーザーインターフェース上に表示されてもよい。
【0026】
筐体は、バッテリーを充電するのに十分なレベルの電力を受けるように構成された電力接続ポートを備えてもよい。
【0027】
カテーテルは、第1の電極に接続された第1のセンサを備えてもよい。カテーテルは、第1の電極に接続された第1のセンサと、第2の電極に接続された第2のセンサとを備えてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、コンピュータにより実施される方法が、特定のコンピュータ実行可能な命令を実行する1以上の演算装置の制御下において、筐体の表面に配置された電子ディスプレイ上に提示されたユーザーインターフェースから複数の保存された患者プロファイルのうちの第1の患者プロファイルの選択を受け付けるステップを含んでもよい。本方法は、ユーザーインターフェース上に第1の患者プロファイルを特徴づける情報を表示するステップを含んでもよい。本方法は、ユーザーインターフェースから第1の電極の選択を受け付けるステップを含んでもよい。本方法は、第1の電極を使用するアブレーション用に十分なレベルの電力を蓄積するように構成されているバッテリーから、第1の電極を使用するアブレーション用に十分なレベルの電力を第1の電極へ向かわせるステップを含んでもよい。本方法は、ユーザーインターフェースから第2の電極の選択を受け付けるステップを含んでもよい。本方法は、第2の電極を使用するアブレーション用に十分なレベルの電力をバッテリーから第2の電極へ向かわせるステップを含んでもよい。バッテリーは、第2の電極を使用するアブレーション用に十分なレベルの電力を蓄積するように構成されてもよい。筐体は、筐体の表面に沿って配置されたカテーテル接続ポートを備えてもよい。接続ポートは、第1の長さを有する第1の電極と、第1の長さとは異なる第2の長さを有する第2の電極と、を備えるカテーテルにインターフェース接続するように構成されてもよい。筐体は、バッテリーと、電子データ記憶部と、特定のコンピュータ実行可能な命令を実行する1以上の演算装置とを覆ってもよい。電子データ記憶部は、複数の患者を特徴づける複数の保存された患者プロファイルを備えてもよい。
【0029】
第1の電極および第2の電極は、バッテリーからの電力を交感神経繊維のアブレーション用の高周波(RF)エネルギーに変換するように構成されてもよい。第1の電極および第2の電極は、バッテリーからの電力を交感神経繊維のアブレーション用のウルトラソニックエネルギーに変換するように構成されてもよい。第1の電極および第2の電極は、バッテリーからの電力を交感神経繊維のアブレーション用の電気穿孔エネルギーに変換するように構成されている。第1の電極および第2の電極は、バッテリーからの電力を交感神経繊維のアブレーション用の電離エネルギーに変換するように構成されてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、コンピュータ実行可能な命令を記憶するコンピュータ読取可能な非一時的記憶媒体において、該コンピュータ実行可能な命令は、1以上のコンピュータシステムによって実行されると、該1以上のコンピュータシステムに、筐体の表面に配置された電子ディスプレイ上に提示されたユーザーインターフェースから複数の保存された患者プロファイルのうちの第1の患者プロファイルの選択を受け付けることを含む動作を実行させるように、構成される。上記動作は、ユーザーインターフェース上に第1の患者プロファイルを特徴づける情報を表示することを含んでもよい。上記動作は、ユーザーインターフェースから第1の電極の選択を受け付けることを含んでもよい。上記動作は、第1の電極を使用するアブレーション用に十分なレベルの電力をバッテリーから第1の電極へ向かわせることを含んでもよい。バッテリーは、第1の電極を使用するアブレーション用に十分なレベルの電力を蓄積するように構成されてもよい。上記動作は、ユーザーインターフェースから第2の電極の選択を受け付けることを含んでもよい。上記動作は第2の電極を使用するアブレーション用に十分なレベルの電力をバッテリーから第2の電極へ向かわせることを含んでもよい。バッテリーは、第2の電極を使用するアブレーション用に十分なレベルの電力を蓄積するように構成されてもよい。
【0031】
筐体は、筐体の表面に沿って配置されたカテーテル接続ポートを備えてもよい。接続ポートは、第1の長さを有する第1の電極と、第1の長さとは異なる第2の長さを有する第2の電極と、を備えるカテーテルにインターフェース接続するように構成されてもよい。筐体は、バッテリーと、電子データ記憶部と、1以上のコンピュータシステムとを覆ってもよい。電子データ記憶部は、複数の患者を特徴づける複数の保存された患者プロファイルを備えてもよい。
【0032】
バッテリーからの電力を第2の電極へ向かわせる動作は、バッテリーから向けられた電力を第1の電極から第2の電極へ切り替えることによって行ってもよい。バッテリーからの電力を第2の電極へ向かわせる動作は、バッテリーから第1の電極に向けられた電力量より大きい電力量を向かわせてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、多極同時肺動脈高周波アブレーションカテーテルが、制御ハンドルと、カテーテル本体と、アニュラリングとを備える。制御ハンドルは、調整装置を備えてもよい。カテーテル本体は中空であってもよく、カテーテル本体内に配置されたキャビティを備えてもよい。カテーテル本体の一端は可撓性であってもよい。該可撓性端部はアニュラリングに接続されてもよい。カテーテル本体の他端は制御ハンドルに接続されてもよい。プルワイヤの一端は可撓性端部に接続されてもよく、プルワイヤの他端は制御ハンドル上の調整装置に接続されてもよい。調整装置はプルワイヤの張力を調整して可撓性端部の曲率を変えてもよい。形状記憶ワイヤがアニュラリング内に配置されてもよい。形状記憶ワイヤの一端はアニュラリングの先端まで延在してもよく、形状記憶ワイヤの他端はアニュラリングの根元を通りカテーテル本体の可撓性端部に固定されてもよい。アニュラリングは長軸と短軸とを備える卵形に形成されてもよい。長軸は短軸に沿った第2の直径よりも長い長軸に沿った第1の直径を備えてもよい。アニュラリングは、アニュラリングの根元からアニュラリングの先端まで延在し、360度未満のカーブを備えてもよい。アニュラリングは長軸の頂点をまたいで配置された電極を備えてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、カテーテルが、カテーテル本体とアニュラリングとを備える。カテーテル本体の一端は可撓性であってもよく、アニュラリングに接続されてもよい。アニュラリングは卵形であってもよい。
【0035】
アニュラリングは、長軸と短軸とを備え、長軸は短軸に沿った第2の直径よりも長い長軸に沿った第1の直径を備えてもよい。第1の直径は第2の直径より5mm長くてもよい。長軸は第1の対称軸に沿っていてもよく、短軸は第2の対称軸に沿っていてもよい。アニュラリングは長軸の頂点をまたいで配置された電極を備えてもよい。アニュラリングは可撓性であるカテーテル本体の端部に対して直交していてもよい。アニュラリングは平面状であってもよい。アニュラリングは360度未満のカーブを備えてもよい。アニュラリングは360度未満でありかつ270度より大きいカーブを備えてもよい。
【0036】
アニュラリングは、第1の長さを有する第1の電極と、第1の長さとは異なる第2の長さを有する第2の電極と、第1の長さとは異なりかつ第2の長さとも異なる第3の長さを有する第3の電極とを含む電極群を備えてもよい。電極群の電極は実質的に同一平面上にあってもよい。第1の長さは少なくとも4mmであってもよい。第2の長さは少なくとも3mmであってもよく、第1の長さ未満であってもよい。第3の長さは少なくとも2mmであってもよく、第2の長さ未満であってもよい。第1の長さは4mmであってもよい。第1の電極は第2の電極および第3の電極から等しい距離離間されていてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、肺の除神経を行う方法が、生きている動物の肺動脈幹にアブレーション装置を位置づけるステップを含んでもよい。肺動脈幹は、主肺動脈の遠位部分と左肺動脈の近位部分と、右肺動脈の近位部分とを含んでもよい。本方法はアブレーション装置からアニュラリングを配備するステップを含んでもよい。アニュラリングは長軸と短軸とを備えてもよい。長軸は短軸に沿った第2の直径よりも長い長軸に沿った第1の直径を備えてもよい。本方法は主肺動脈の遠位部分、左肺動脈の近位部分、および右肺動脈の近位部分のうちの少なくとも1つをアブレーションするステップを含んでもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、コントローラが、筐体と、電子ディスプレイと、電子データ記憶部と、演算装置とを備えてもよい。筐体は、筐体の表面に沿って配置された接続ポートを備えてもよい。接続ポートは、第1の長さを有する第1の電極と、第1の長さとは異なる第2の長さを有する第2の電極と、を備えるカテーテルにインターフェース接続するように構成されてもよい。電子ディスプレイは筐体の表面に沿って配置されてもよい。筐体は電子データ記憶部と演算装置とを覆ってもよい。電子ディスプレイはユーザーインターフェースを提示するように構成されてもよい。電子データ記憶部は複数の患者を特徴づける保存された患者プロファイルを備えてもよい。演算装置は1以上のプロセッサを備えてもよい。演算装置は電子データ記憶部および電子ディスプレイと通信状態にあってもよい。演算装置は少なくとも、ユーザーインターフェースから保存された患者プロファイルのうちの第1の患者プロファイルの選択を受け付け、ユーザーインターフェース上に第1の患者プロファイルを特徴づける情報を表示し、第1の電極を使用するアブレーション用に十分な第1の電力レベルの電力を第1の電極へ向かわせるように、構成されてもよい。第1の電力レベルは第1の患者プロファイルに基づくものであってもよい。電力は電源から向けられたものであってもよい。電源はバッテリーであってもよい。電源は送電網に接続されたコンセントであってもよい。
【0039】
カテーテルは、第1の長さとは異なる第2の長さを有する第2の電極を備えてもよい。演算装置は、第2の電極を使用するアブレーション用に十分な第2の電力レベルの電力を第2の電極へ向かわせるように構成されてもよい。第2の電力レベルは第1の患者プロファイルに基づくものであってもよい。第2の電力レベルは第1の電力レベルとは異なるものであってもよい。
【0040】
筐体はバッテリーを覆ってもよい。バッテリーは第1の電極を使用するアブレーション用に十分な第1の電力レベルの電力を蓄積するように構成されてもよい。演算装置はバッテリーと通信状態にあってもよく、第1の電極を使用するアブレーション用に十分な第1の電力レベルの電力をバッテリーから第1の電極へ向かわせるように構成されてもよい。筐体は、バッテリーを充電するのに十分なレベルの電力を受けるように構成された電力接続ポートを備えてもよい。演算装置は、バッテリーが充電を終えた後に、バッテリーから第1の電極へ電力を向かわせるように構成されてもよい。演算装置は、バッテリーが充電を終える前に第1の電極へ電力を向かわせるように構成されてもよい。
【0041】
カテーテルは第1の電極に接続された第1のセンサを備えてもよい。演算装置は、第1の電極がバッテリーから電力を受けている間、第1のセンサによって取得された第1の電極アブレーション情報をユーザーインターフェース上に表示するように更に構成されてもよい。演算装置は、第1の患者プロファイルと共に第1の電極アブレーション情報を保存するように更に構成されてもよい。第1の電極アブレーション情報は温度を含んでもよい。カテーテルは長軸と短軸とを備える卵形に形成されたアニュラリングを備えてもよい。長軸は短軸に沿った第2の直径よりも長い長軸に沿った第1の直径を備えてもよい。第1の電極は長軸の頂点をまたいで配置されてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、コンピュータにより実施される方法が、特定のコンピュータ実行可能な命令を実行する1以上の演算装置の制御下にあってもよい。本方法は、第1の患者プロファイルの選択を受け付けるステップと、ユーザーインターフェース上に第1の患者プロファイルを特徴づける情報を表示するステップと、ユーザーインターフェースから第1の患者プロファイルの選択を受け付けるステップと、第1の電極を使用するアブレーション用に十分な第1の電力レベルを第1の患者プロファイルから決定するステップと、第1の電力レベルの電力を第1の電極へ向かわせるステップと、を含んでもよい。
【0043】
第1の患者プロファイルは、筐体の表面に配置された電子ディスプレイ上に提示されたユーザーインターフェースからの、複数の保存された患者プロファイルのうちの一部であってよい。筐体は、筐体の表面に沿って配置されたカテーテル接続ポートを備えてもよい。接続ポートは、第1の電極を備えるカテーテルにインターフェース接続するように構成されてもよい。筐体は、電子データ記憶部と、特定のコンピュータ実行可能な命令を実行する1以上の演算装置とを覆ってもよい。電子データ記憶部は、複数の患者を特徴づける複数の保存された患者プロファイルを備えてもよい。
【0044】
第1の電極は、電力を交感神経繊維のアブレーション用の高周波(RF)エネルギーに変換するように構成されてもよい。第1の電極は、電力を交感神経繊維のアブレーション用のウルトラソニックエネルギーに変換するように構成されてもよい。第1の電極は、電力を交感神経繊維のアブレーション用の電気穿孔エネルギーに変換するように構成されてもよい。第1の電極は、電力を交感神経繊維のアブレーション用の電離エネルギーに変換するように構成されてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、コンピュータ実行可能な命令を記憶するコンピュータ読取可能な非一時的記憶媒体において、該コンピュータ実行可能な命令は、1以上のコンピュータシステムによって実行されると、該1以上のコンピュータシステムに、筐体の表面に配置された電子ディスプレイ上に提示されたユーザーインターフェースから複数の保存された患者プロファイルのうちの第1の患者プロファイルの選択を受け付ける動作と、ユーザーインターフェース上に第1の患者プロファイルを特徴づける情報を表示する動作と、ユーザーインターフェースから第1の患者プロファイルの選択を受け付ける動作と、第1の電極を使用するアブレーション用に十分な第1の電力レベルを第1の患者プロファイルから決定する動作と、第2の電極を使用するアブレーション用に十分な第2の電力レベルを第1の患者プロファイルから決定する動作と、第1の電力レベルの電力を第1の電極へ向かわせる動作と、第2の電力レベルの電力を第2の電極へ向かわせる動作と、を行わせるように構成されている。
【0046】
筐体は、筐体の表面に沿って配置されたカテーテル接続ポートを備えてもよい。接続ポートは、第1の長さを有する第1の電極と、第1の長さとは異なる第2の長さを有する第2の電極と、を備えるカテーテルにインターフェース接続するように構成されてもよい。筐体は電子データ記憶部と1以上のコンピュータシステムとを覆ってもよい。電子データ記憶部は、複数の患者を特徴づける複数の保存された患者プロファイルを備えてもよい。電力を第2の電極へ向かわせる動作は、第1の電極へ向けられた電力量より大きい電力量を向かわせてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、コントローラが、筐体と、ユーザーインターフェースと、電子データ記憶部と、1以上のプロセッサを含む演算装置とを備え、演算装置は電子データ記憶部およびユーザーインターフェースと通信状態にあってもよい。筐体は、筐体の表面に沿って配置された接続ポートと、筐体の表面に沿って配置されたユーザーインターフェースとを備えてもよい。筐体は電子データ記憶部と演算装置とを覆ってもよい。接続ポートは、第1の長さを有する第1の電極と、第1の長さとは異なる第2の長さを有する第2の電極と、を備えるカテーテルにインターフェース接続するように構成されてもよい。演算装置は、少なくともユーザーインターフェースから第1の電極の選択を受け付け、第1の電極を使用するアブレーション用に十分な第1の電力レベルの電力を第1の電極へ向かわせ、ユーザーインターフェースから第2の電極の選択を受け付け、第2の電極を使用するアブレーション用に十分な第2の電力レベルの電力を第2の電極へ向かわせるように構成されてもよい。
【0048】
演算装置は、同時に、第1の電極へ電力を向かわせ、第2の電極へ電力を向かわせるように構成されてもよい。演算装置は、それぞれ異なる時間に、第1の電極へ電力を向かわせ、第2の電極へ電力を向かわせるように構成されてもよい。演算装置は、第1の電極へ向けられた電力を中断し、バッテリーから前記第1の電極へ向けられた電力が中断された後、第2の電極へ電力を向かわせるように構成されてもよい。
【0049】
カテーテルは、長軸と短軸とを備える卵形に形成されたアニュラリングを備えてもよい。長軸は短軸に沿った第2の直径よりも長い長軸に沿った第1の直径を備えてもよい。第1の電極は長軸の頂点をまたいで配置されてもよい。
【0050】
コントローラは、第1の電極を使用するアブレーション用に十分な第1の電力レベルの電力、または第2の電極を使用するアブレーション用に十分な第2の電力レベルの電力を蓄積するように構成されたバッテリーを備えてもよい。筐体はバッテリーを覆ってもよい。演算装置はバッテリーと通信状態にあってもよく、第1の電極を使用するアブレーション用に十分な第1の電力レベルの電力をバッテリーから向かわせ、第2の電極を使用するアブレーション用に十分な第2の電力レベルの電力をバッテリーから向かわせるように構成されてもよい。筐体は、バッテリーを充電するのに十分なレベルの電力を受けるように構成された電力接続ポートを備えてもよい。演算装置は、バッテリーが充電を終えた後に、バッテリーから第1の電極へ電力を向かわせるように構成されてもよい。演算装置は、バッテリーが充電を終えた後に、バッテリーから第2の電極へ電力を向かわせるように構成されてもよい。
【0051】
カテーテルは第1の電極に接続された第1のセンサを備えてもよい。演算装置は、演算装置が第1の電極へ電力を向かわせている間、第1のセンサによって取得された第1の電極アブレーション情報をユーザーインターフェース上に表示するように更に構成されてもよい。カテーテルは、第1の電極に接続された第1のセンサと、第2の電極に接続された第2のセンサとを備えてもよい。演算装置は、演算装置が第1の電極へ電力を向かわせている間、第1のセンサによって取得された第1の電極アブレーション情報をユーザーインターフェース上に表示し、演算装置が第2の電極へ電力を向かわせている間、第2のセンサによって取得された第2の電極アブレーション情報をユーザーインターフェース上に表示するように構成されてもよい。第2の電極アブレーション情報は、演算装置が第1の電極へ電力を向かわせることを停止した後に、ユーザーインターフェース上に表示されてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、コンピュータにより実施される方法が、特定のコンピュータ実行可能な命令を実行する1以上の演算装置の制御下において、筐体の表面に配置されたユーザーインターフェースにおいて第1の電極の選択を受け付けるステップと、第1の電極を使用するアブレーション用に十分な第1の電力レベルの電力を第1の電極へ向かわせるステップと、ユーザーインターフェースから第2の電極の選択を受け付けるステップと、第1の電極へ電力を向かわせることから、第2の電極を使用するアブレーション用に十分な第2の電力レベルの電力を第2の電極へ向かわせることへ切り替えるステップと、を含んでもよい。筐体は、筐体の表面に沿って配置されたカテーテル接続ポートを備えてもよく、このとき、接続ポートは、(第1の長さを有してもよい)第1の電極と(第1の長さとは異なる第2の長さを有してもよい)第2の電極と、を備えるカテーテルにインターフェース接続するように構成される。筐体は、電子データ記憶部と特定のコンピュータ実行可能な命令を実行する1以上の演算装置とを覆ってもよい。
【0053】
切り替えは、少なくとも1つの可動部を備える機械的スイッチを使用して行われてもよい。ユーザーインターフェースは回転可能なノブであってもよい。切り替えは、少なくとも1つの可動部を備える機械的スイッチと、可動部を備えないソリッドステートスイッチとを備える、切り替えシステムを使用して行われてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、コンピュータ実行可能な命令を記憶するコンピュータ読取可能な非一時的記憶媒体において、該コンピュータ実行可能な命令は、1以上のコンピュータシステムによって実行されると、1以上のコンピュータシステムに、動作を行わせるように構成されてもよい。上記動作は、筐体の表面に配置された電子ディスプレイ上に提示されたユーザーインターフェースから第1の電極の選択を受け付けることと、第1の電極を使用するアブレーション用に十分な第1の電力レベルの電力を第1の電極へ向かわせることと、ユーザーインターフェースから第2の電極の選択を受け付けることと、第1の電極へ電力を向かわせることから、第2の電極を使用するアブレーション用に十分な第2の電力レベルの電力を第2の電極へ向かわせることへ切り替えることとを含んでもよい。筐体は、筐体の表面に沿って配置された接続ポートを備えてもよい。接続ポートは、(第1の長さを有する)第1の電極と(第1の長さとは異なる第2の長さを有する)第2の電極と、を備えるカテーテルにインターフェース接続するように構成されてもよい。筐体は、電子データ記憶部と1以上のコンピュータシステムとを覆ってもよい。切り替えは、可動部を含まないソリッドステートスイッチを制御することによって行われてもよい。
?
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1図1は実施形態によるカテーテルの実施形態の模式的な構造図である。
【0056】
図2図2図1で示されたパートBの部分拡大図である。
【0057】
図3図3図1の線3-3に沿った模式的な断面図である。
【0058】
図4図4図1のカテーテルと共に使用され得る電極の外表面の模式的な構造図である。
【0059】
図5図5はヒトの心臓の立面部分断面図である。
【0060】
図6図6は主肺動脈の遠位部分と左右の肺動脈の近位部分とを含む肺動脈幹の模式的な部分図である。
【0061】
図7A図7Aは解剖して平坦にしたイヌ肺動脈の内表面の図である。
図7B図7Bは解剖して平坦にしたイヌ肺動脈の内表面の図である。
【0062】
図8図8は、主肺動脈の遠位部分と左右の肺動脈の近位部分とを含む解剖した肺動脈のセグメント化を示す模式図である。
【0063】
図9図9図8に示した3つのセグメント化の図である。
【0064】
図10A図10A図9の右肺動脈のレベルA1のS1として示した部分に対応する顕微鏡観察スライドを拡大したものである。
図10B図10B図9の右肺動脈のレベルA1のS2として示した部分に対応する顕微鏡観察スライドを拡大したものである。
図10C図10C図9の右肺動脈のレベルA1のS3として示した部分に対応する顕微鏡観察スライドを拡大したものである。
図10D図10D図9の右肺動脈のレベルA1のS4として示した部分に対応する顕微鏡観察スライドを拡大したものである。
【0065】
図11図11図9の主肺動脈のレベルA9のS6として示した部分の顕微鏡観察写真である。
【0066】
図12図12図7Aおよび7Bの左肺動脈のモデルの後側斜視図である。
【0067】
図13図13図12の左肺動脈の前側図である。
【0068】
図14A図14Aは、図8の主肺動脈のレベルA9における6つの異なるロケーションの顕微鏡観察に対応するロケーションを示す図である。
【0069】
図14B図14Bは、異なるアブレーション動作パラメータを使用して得られた肺動脈圧(PAP)の低下を示す表である。
【0070】
図15A図15Aは、肺の除神経を行うために使用され得るカテーテルの斜視図である。
【0071】
図15B図15Bは、10個のRF電極の位置を示す印を付した図15Aのカテーテルの遠端部の拡大端面図である。
【0072】
図15C図15Cは、アブレーション術中に図15Aのカテーテルを制御するために使用され得るコントローラの斜視図である。
【0073】
図15D図15D図15Cのコントローラの頂部平面図である。
【0074】
図15E図15E図15Aのカテーテルに接続されたコントローラの斜視図である。
【0075】
図16A図16Aは、図15Aのカテーテルを主肺動脈内へ案内するために主肺動脈内へ挿入された鞘装置の蛍光透視画像である。
【0076】
図16B図16Bは、ヒト患者の左肺動脈内に挿入され拡張された図15Aのカテーテルの更なる蛍光透視画像である。
図16C図16Cは、ヒト患者の左肺動脈内に挿入され拡張された図15Aのカテーテルの更なる蛍光透視画像である。
図16D図16Dは、ヒト患者の左肺動脈内に挿入され拡張された図15Aのカテーテルの更なる蛍光透視画像であり、患者の左肺動脈のアブレーションおよび動脈除神経のために使用される位置を例示する。
【0077】
図16E図16Eは、アブレーションのために使用される位置における患者の主肺動脈内に位置づけられた図15Aのカテーテルを例示する。
【0078】
図16F図16Fは、右肺動脈の近位に位置づけられ、かつカテーテルがアブレーションの目的のために適切に位置づけられているか否かを判定するために押された状態の、図15Aのカテーテルを例示する。
図16G図16Gは、右肺動脈の近位に位置づけられ、かつカテーテルがアブレーションの目的のために適切に位置づけられているか否かを判定するために引かれた状態の、図15Aのカテーテルを例示する。
【0079】
図16H図16Hは、右肺動脈の近位部分でアブレーションを行う位置における図15Aのカテーテルの蛍光透視画像である。
【0080】
図17A図17Aは、肺動脈幹の模式図であり、主肺動脈の遠位部分におけるアブレーションのためのロケーションを示す。
【0081】
図17B図17Bは、肺動脈幹の模式図であり、左右の肺動脈の近位部分におけるアブレーションのためのロケーションを示す。
【0082】
図18A図18Aは、肺動脈管に近位の左肺動脈の部分におけるアブレーションのための位置を示す肺動脈幹の模式図である。
【0083】
図18B図18Bは、図18Aで示されたアブレーション位置の前壁におけるアブレーションの点の模式図である。
【0084】
図19A図19Aは、一側性慢性血栓塞栓症の治療のための右肺動脈の近位部分におけるアブレーションのための位置を示す肺動脈幹の模式図である。
【0085】
図19B図19Bは、図19Aで示された部分の拡大模式図であり、右肺動脈の近位部分の前壁におけるアブレーションのための位置を示す。
【0086】
図20図20は、主肺動脈の遠位部分と左右の肺動脈の近位部分とを含む肺動脈幹の模式図である。
【0087】
図21図21は、主肺動脈の左側壁から左肺動脈の近位部分の下壁への移行部分に近接する、図20で示されたレベルCに沿ったアブレーションの選択肢としての点の模式図である。
【0088】
図22A図22Aは、5つのRF電極の位置を示す印を付した、図1および15Aのカテーテルの更なる実施形態の拡大斜視図である。
【0089】
図22B図22Bは、3つの電極を有する、図22Aのカテーテルの更なる実施形態の拡大斜視図である。
【0090】
図23A図23Aは、PADN術の部分を例示する血管造影画像である。
図23B図23Bは、PADN術の部分を例示する血管造影画像である。
図23C図23Cは、PADN術の部分を例示する血管造影画像である。
【0091】
図24A図24Aは、投薬治療およびPADN術における、6か月フォローアップ時の、6分間歩行距離(6MWD)からベースライン6MWDを差し引いたものを例示するチャートである。
【0092】
図24B図24Bは、PADN術後の6MWDがどのように投薬治療に相関するかを例示するチャートである。
【0093】
図24C図24Cは、PADN術後1年フォローアップの間、血行動態および心機能における改善がどのように維持されたかを例示するチャートである。
【0094】
図25A図25Aは、デジタルアブレーションコントローラの斜視図である。
図25B図25Bは、デジタルアブレーションコントローラの斜視図である。
図25C図25Cは、デジタルアブレーションコントローラの斜視図である。
図25D図25Dは、デジタルアブレーションコントローラのユーザーインターフェースのスクリーンショットである。
図25E図25Eは、デジタルアブレーションコントローラのユーザーインターフェースのスクリーンショットである。
図25F図25Fは、デジタルアブレーションコントローラのユーザーインターフェースのスクリーンショットである。
図25G図25Gは、デジタルアブレーションコントローラのユーザーインターフェースのスクリーンショットである。
図25H図25Hは、デジタルアブレーションコントローラのユーザーインターフェースのスクリーンショットである。
【0095】
図26図26は、図25A~25Hのコントローラまたは図15C~15Dのコントローラにおいて実施されてもよい機械的切り替えシステムを例示する模式図である。
【0096】
図27図27は、図25A~25Hのコントローラまたは図15C~15Dのコントローラにおいて実施されてもよいソリッドステート切り替えシステムを例示する模式図である。
【0097】
図28図28は、図25A~25Hのコントローラまたは図15C~15Dのコントローラにおいて実施されてもよい汎用切り替えシステムを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
以下の例は本発明の実施形態を更に例示するものであるが、本発明を制限すると考えられるべきではない。本発明の精神および本質から逸脱することなく、以下に開示する実施形態の方法、工程、または条件の変形例または置換例も本発明の範囲に含まれる。
【0099】
別途指定しない限り、実施形態に使用する技術手段は、当業者が周知する従来の手段である。
【実施例0100】
以下の例および図1~3を参照し、様々な実施形態によって達成され得る技術的解決策のいくつかを以下に更に説明する。
【0101】
いくつかの実施形態では、肺動脈における除交感神経アブレーション用の多極同時肺動脈高周波アブレーションカテーテルは、遠端部と近端部とを有するカテーテル本体1を含み得る。遠端部は可撓性端部3を備えることができ、近端部は制御ハンドル2を備えることができる。プルワイヤがカテーテル本体内に延在することができる。
【0102】
好ましくは、カテーテル本体は熱伝導性の低い高分子材料から作製され得、そのため、カテーテル本体に接触している血流へ電極からの熱が伝わらないようにしたり電極から伝わる熱量を低減したりことができ、それによって、電極による血流の加熱をより良く防止することができる。
【0103】
可撓性端部3は、近端部と遠端部とを含み得る。アニュラリング4が遠端部に配置され得る。可撓性端部3は、カテーテル本体の残りの部分より柔軟であってもよい。アニュラリング4は、複数の電極5を備えることができ、各電極5は、神経電気信号を検知または抽出し、温度を検知し、アブレーションを行うように、構成され得る。電極のそれぞれは、リード線と温度検知線とに接続され得、リード線および温度検知線はカテーテル本体を通って制御ハンドルまで延在しており、したがって、電極のそれぞれは制御ハンドルに電気的に接続されている。アブレーション中に温度を正確に監視するために、1以上の温度検知線が各電極の下に埋め込まれ得る。加えて、いくつかの実施形態では、温度検知線は、電極5の内部に面する側に接続された熱電対に接続され得、または、一体化された熱電対を含み得る。他の構成もまた使用可能である。
【0104】
複数の実施形態によれば、高周波(RF)エネルギーを用いる電極5によってアブレーションを行い、交感神経繊維をアブレーションして交感神経伝達の破壊または神経調節を生じさせてもよい。いくつかの実施形態では、電極5は、ウルトラソニックエネルギーを使用して交感神経繊維をアブレーションしてよい。いくつかの実施形態では、電極5は、超音波(ultrasound)(例えば、高強度集中型超音波または低強度集中型超音波)エネルギーを使用して交感神経繊維を選択的にアブレーションする。他の実施形態では、電極5は電気穿孔法を使用して交感神経繊維を調節する。
【0105】
しかし、本明細書で使用する電極5は、アブレーションを引き起こすことに限定されず、神経の調節(例えば、部分的もしくは可逆的アブレーション、アブレーションなしの遮断、または刺激)を容易にする装置も含む。いくつかの実施形態では、カテーテルは、神経繊維に対して電極5のロケーションにおいて投与された薬品を使用して神経繊維を(例えば、化学アブレーションを介して)調節してもよい。化学アブレーション(または化学的媒介による神経調節の何らかの他の形)で使用される化学薬品は、例えば、フェノール、アルコール、神経繊維の化学アブレーションを生じさせる任意の他の化学薬品を含んでよい。いくつかの実施形態では、寒冷療法が使用される。例えば、カテーテルは、寒冷アブレーションのために電極5のロケーションにおいて投与された薬品を使用して、交感神経繊維を選択的に調節(例えば、アブレーション)してよい。他の実施形態では、カテーテルは、近接照射療法を使用して神経繊維を調節してよい。カテーテルは更に、RFエネルギー、マイクロ波エネルギー、ウルトラソニックエネルギー、集中型超音波(例えば、HIFU、LIFU)エネルギー、電離エネルギー(X線、陽子線、ガンマ線、電子ビーム、およびアルファ線等)、電気穿孔法、薬物送達、化学アブレーション、寒冷アブレーション、近接照射療法、または任意の他の物理療法を任意に組み合わせて、自律(例えば、交感または副交感)神経繊維の破壊または神経調節(例えば、アブレーション、除神経、刺激)を生じさせてもよい。
【0106】
いくつかの実施形態によれば、1以上のロケーションまたはターゲット部位において交感神経繊維を調節または破壊するために、神経調節システムが使用される。例えば、カテーテルは、(アニュラリング4を使用するなどして)円周方向パターンまたは半径方向パターンでアブレーションを行ってもよく、および/または、カテーテルは、血管の長さに沿って直線状に離間して配置された複数の点においてアブレーションを行ってもよい。他の実施形態では、カテーテルは、交感神経繊維の伝達経路の破壊を生じさせ得る任意の他のパターン(例えば、螺旋パターン、ジグザクパターン、多直線パターン等)で、1以上のロケーションにおいてアブレーションを行う。パターンは、連続的または非連続的(例えば断続的)であってよい。アブレーションは、血管の外周のうちのある部分(例えば外周の半分または半分より小さい部分)をターゲットとしてもよい。
【0107】
形状記憶ワイヤがアニュラリング4内に配置され得、形状記憶ワイヤの遠端部はアニュラリング4の遠端部まで延在することができる。形状記憶ワイヤの近端部は、可撓性端部3の遠端部に固定され得る。アニュラリング4内の形状記憶ワイヤは、0.25~0.5mmの範囲内の直径を有する、ニッケル-チタン合金、ステンレス鋼、またはチタンなどの様々な形状記憶合金から作製されることが好ましい。
【0108】
アニュラリング4の直径は、12~40mmの範囲内である。例えば、形状記憶ワイヤは、12~40mmの範囲内などの所望の直径になるようアニュラリング4を付勢するように構成され得る。加えて、いくつかの実施形態では、プルワイヤを使用して、12~40mmまたは他の範囲を含む直径の範囲で、アニュラリング4の直径を変更または調整することができる。
【0109】
可撓性端部3の長さは、30~80mmの範囲内であってよく、フッ素、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、およびポリイミドなどの医療用高分子材料から作製され得る。端ぐりが可撓性端部3の遠端部に配置され得、アニュラリングの近端部は端ぐり内に固定され得、アニュラリングの近端部は細い接地端となっている。
【0110】
プルワイヤがカテーテル本体に埋め込まれ得、プルワイヤの一端を制御ハンドルに固定され得る。可撓性端部3の曲率は、制御ハンドルを操作することによって制御できる。例えば、プルワイヤの一端をハンドル上の制御ボタンに固定でき、可撓性端部3の曲率はそのボタンを操作することによって制御できる。これにより、操作者が片手でハンドルを制御して可撓性端部3の曲率を容易に調整できるようになり、その結果、アニュラリング4上の電極5を押しこんで肺動脈に接触させることができ、肺動脈内膜の許容可能なアブレーションを達成することができる。
【0111】
更に、端ぐりを可撓性端部3の遠端部上に作成することができ、その深さは、実際の必要性に応じて設定でき、好ましくは2~8mmの範囲内の深さである。アニュラリング4の近端部は、細い接地端であってよく、細い接地端の外径は端ぐりの内径に合っている。細い接地端は、可撓性端部3に挿入可能であり、接着、溶接、または他の適切な手段、好ましくは紫外線硬化接着剤によって、可撓性端部3の遠端部に固定され得る。過剰量の接着剤を使用して、可撓性端部3の遠端部とアニュラリング4の近端部とを封止してもよい。
【0112】
図1は、多極同時肺動脈高周波アブレーションカテーテルの模式的な構造図を示す。アニュラリング4は、可撓性端部3の遠端部に配置され得る。アニュラリング4は、環状構造を有してよく、アニュラリング4の半径は形状記憶ワイヤの作用を受けてよい。
【0113】
アニュラリング4は複数の電極5を備えることができる。各電極5は、神経電気信号を抽出または検出し、温度を検知し、アブレーションを行うように構成され得る。電極5の数は、3~30、好ましくは5~20の範囲で変動可能である。電極5は、プラチナ―イリジウム合金、金、ステンレス鋼、またはニッケル合金からできている。電極直径は、概ね1.3~2.0mmであってよく、電極5の長さは、概ね1.2~4mm、より適切には2~3.5mmの範囲内であってよい。隣接する電極同士の端と端の間の空間は、適切には0.5~10mm、より適切には1~5mmの範囲内であってよい。
【0114】
プルワイヤ8は、好ましくはステンレス鋼またはニッケル―チタンで作製され得る。図2および図3に示すように、プルワイヤ8の遠端部は、中空キャビティ9を通ってアニュラリング4の近端部まで延在し、可撓性端部3の遠端部に固定され得る。可撓性端部3の遠端部にプルワイヤ8を固定するために使用する方法は、先行技術における任意の既知の方法であってよい。
【0115】
任意で、溝が可撓性端部3の遠端部に配置され得、コネクタ11が当該溝内に配置され得る。コネクタ11の一端がプルワイヤ8に接続され得、コネクタ11の他端が形状記憶ワイヤ12に接続され得る。紫外線硬化接着剤などの接着剤を溝に注入することによって、コネクタ11は可撓性端部3の遠端部に固定され得る。
【0116】
プルワイヤ8の一部分が可撓性端部3内に延在し、プルワイヤ8の一部分がカテーテル本体1内に延在する。プルワイヤは、好ましくはコイルばね13で被覆され得、コイルばね13は、ばねスリーブ14で被覆され得る。ばねスリーブ14は、任意の適切な材料、好ましくはポリイミド材料から作製されてもよい。
【0117】
プルワイヤ8の近端部は制御ハンドル2上にまたは制御ハンドル2内に固定さえ得、制御ハンドル2は調整装置を備えることができる。調整装置はアニュラリング4の曲率または直径を調整するように構成され得る。
【0118】
図2および図3に示すように、リード線6は、リード線キャビティ10を通ってアニュラリング4のリード線キャビティまで延在する。リード線6の遠端部は、電極5に接続され得る。リード線6の遠端部は、溶接によって電極5に固定され得る。いくつかの実施形態では、カテーテルは、電極5のそれぞれに対して1本のリード線6を含む。
【0119】
温度検知線7の遠端部は、電極5下に埋め込まれ得、温度検知線7の遠端部は接着、溶接、または他の適切な手段によって電極5に固定され得る。温度検知線7は、カテーテル本体1内へ入り、可撓性端部3のリード線キャビティ10内に延在し、制御ハンドル2から外へ出て温度制御装置に接続され得る。いくつかの実施形態では、カテーテルは電極5のそれぞれに対して1本の温度検知線7を含む。
【0120】
カテーテルを使用する際は、制御ハンドル2を介してプルワイヤ8を操作して可撓性端部3を撓ませることができ、それによって、肺動脈の開口部といった所望のロケーションに使用者がアニュラリング4を位置づける際の制御が高められる。このとき、電極5は、肺動脈内膜上でアブレーションを行うために通電され得る。
【0121】
いくつかの実施形態による多電極設計は、アブレーションの有効性および安全性を改善でき、複数の電極による信号分析および好ましくは同時のアブレーションを達成できる。これにより、ターゲット精度を改善でき、アブレーション効果を適時に判断し、操作時間を短縮できる。例えば、所望のロケーションにアニュラリング4を置いた状態で、選択された部位においてアブレーションを行うように電極を個々に作動させることができる。これは有益である。なぜならば、以下に説明する治療のいくつかの方法において、ある解剖学的構造の全円周方向表面よりも小さい選択部位においてアブレーションを行えるからである。
【実施例0122】
多極同時肺動脈高周波アブレーションカテーテルは、制御ハンドル2と、カテーテル本体1と、アニュラリング4とを備える。制御ハンドル2は調整装置を備えることができ、カテーテル本体1は中空であり得、キャビティがカテーテル本体1内に配置され得る。1以上のリード線6と、温度検知線7と、プルワイヤ8とがキャビティ内に配置され得る。
【0123】
カテーテル本体の一端は可撓性であってよく、可撓性端部3はアニュラリング4に接続され得る。カテーテル本体の他端は制御ハンドル2に接続され得る。プルワイヤ8の一端が可撓性端部3に接続され得、プルワイヤ8の他端が制御ハンドルの調整装置に接続され得、調整装置はプルワイヤ3の張力を調整して可撓性端部の曲率を制御する。これにより、操作者は片手でハンドルを制御して可撓性端部3の曲率を容易に調整できるようになる。これにより、アニュラリング4の電極5は、肺動脈などの所望の解剖学的構造の内表面に押しつけられてより良く接触することができ、肺動脈内膜のアブレーションを強化することができる。
【0124】
形状記憶ワイヤ12がアニュラリング4内に配置され得る。形状記憶ワイヤ12の一端がアニュラリング4の先端まで延在でき、形状記憶ワイヤ12の他端がアニュラリング4の根元を通ってカテーテル本体の可撓性端部3に固定され得る。
【0125】
アニュラリング4は電極を備えることができる。各電極5はリード線6と温度検知線7とに接続され得、神経電気信号を抽出または検出し、温度を検知し、アブレーションを行うように構成され得る。リード線6および温度検知線7はカテーテル本体1を通過して延在でき、制御ハンドル2に電気的に接続され得る。制御ハンドル2は外部の温度制御装置に接続され得る。
【0126】
アニュラリング電極5は、プラチナ―イリジウム合金、金、ステンレス鋼、およびニッケル合金材料からなる群から選択される材料で作製され得、その数は3~30の範囲内であり、直径は1.3~2.0mmの範囲内であり、長さは1.2~4mmの範囲内であり、隣接する電極同士の間の端と端の間の空間は0.5~10mmの範囲内である。
【0127】
カテーテル本体の可撓性端部3は端ぐり32を有し得る。アニュラリング4の根元の外径は端ぐり32の内径に合っていてよい。アニュラリング4の根元は端ぐり32に挿入かつ固定され得る。
【0128】
カテーテル本体の可撓性端部3は溝を備え得る。コネクタ11が当該溝内に配置され得る。コネクタの一端がプルワイヤ8に接続され得、コネクタの他端が形状記憶ワイヤ12に接続され得る。
【0129】
形状記憶ワイヤ12は、0.25~0.5mmの範囲内の直径を有する、ニッケル―チタン合金、ステンレス鋼、またはチタンなどの形状記憶合金から作製され得る。アニュラリング4の直径は12~40mmの範囲内にあってよい。好ましくは10個の電極がアニュラリング上に配置され、電極の裸(露出)側の幅は0.75mmであってよく、その間の空間は5mmであってよい。
【0130】
カテーテル本体の可撓性端部3は、30mm~80mmの範囲内の長さを有する、フッ素、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、およびポリイミドなどの医療用高分子材料から作製され得る。
【0131】
上記接続は、紫外線硬化接着剤を介して行われ得る。カテーテル本体の可撓性端部とアニュラリングとの間の接合部は、封止され得る。プルワイヤ8は、ステンレス鋼またはニッケル―チタン合金から作製され得る。プルワイヤ8はコイルばね13で被覆されてよく、コイルばね13は、ポリイミド材料で作製されたばねスリーブ14で被覆され得る。
【実施例0132】
実施例3は実施例1および実施例2と同様であるが、相違点は、カテーテル本体内に配置された注入管22と、1以上の電極5上に配置され、孔径1μmを有する均一に分布された貫通孔15(図4)の群と、を含み得る。注入管22の一端がアニュラリング4を通って電極5に接続され得、それによって、電極5のそれぞれにおける貫通孔15から流体が拡散する。例えば、アニュラリング4は、閉じた流体接続を形成するようにアニュラリング4の近端部と貫通孔15との間に延在する少なくとも1つのルーメン24を含むまたは画成してよい。そのような実施形態では、注入管22の遠端部が、アニュラリング4内のルーメン24の近端部に接続され得る。注入管22の他端は、定流量ポンプまたは他の既知のポンプ等の輸液系に接続され得る。
【0133】
電極5が電流を生成すると、液体が自動的に貫通孔15から拡散する。輸液される液体は生理食塩水であってよい。冷生理食塩水(4℃)灌流は局所温度を低下させる一助となり得る。電極が電流を生成すると、生理食塩水は自動的に貫通孔15から拡散し、それによって局所温度が制御されて60℃未満などの所望の温度になり、それによって血管内膜を保護することができる。
【0134】
図5はヒトの心臓と周囲の脈管構造とを示す模式図であり、これは、例えば肺動脈の除神経などであるがこれに限定されない、アブレーション治療を行うために図1~4のカテーテルが使用され得る、環境であってよい。いくつかの治療方法において、主肺動脈502ならびに左肺動脈504および右肺動脈506の内壁へのアクセスは、周知の手法を使用してカテーテルを大腿静脈内へ、上向きに下大静脈508(図5の左下の角)へと通すことによって達成され得る。そして、カテーテルは、上向きに押されて右心房510内へと入り、下向きに右心室512へと入り、肺半月弁514を上向きに通って、主肺動脈502の幹へと入る。本明細書では、主肺動脈(MPA)502という用語は、肺半月弁514のところの、主肺動脈502の最上流端である主肺動脈の近端部から、主肺動脈の二分岐までを含む。MPAの遠位部分は、MPA502の二分岐付近から左右の肺動脈(LPA504、RPA506)へと入るMPA502の部分を含む。
【0135】
同様に、RPA506の近端部およびLPA504の近端部は、MPA502の遠端部に接続された隣接するLPA504の端部およびRPA506の端部である。LPA504およびRPA506に沿った遠位方向は、それぞれ、血流がLPA504およびRPA506を通って左右の肺へと向かう下流方向である。
【0136】
したがって、周知の手法を用いてカテーテルを使用して、MPA502の近位部分および遠位部分ならびにLPA504およびRPA506の近位部分および遠位部分へのアクセスを提供することができる。
【0137】
図6は、肺動脈の「幹」の模式図である。本明細書では、MPA502の「幹」は、少なくともMPA502の遠位部分ならびにLPA504およびRPA506の近位部分を含む。図6は、MPA502からのLPA504およびRPA506の分枝点における気管分岐部602の模式描写も含む。
【0138】
以下に説明するように、本明細書で開示する本発明のうちの少なくともいくつかにおける局面は、イヌおよびヒトを含む特定の動物の肺動脈の幹が、MPA502からLPA504およびRPA506へと延びる交感神経の集中した束を含み得ることを理解することを含む。例えば、MPA502の前側、特にMPA502の遠位部分の近傍において、交感神経がより集中していることが発見されている。加えて、交感神経は、より集中しているこの領域から、LPA504およびRPA506の近位部分の前側へと、二分岐していることが発見されている。これらの近位部分の領域において、より集中している交感神経は、上向きにそしてLPA504およびRPA506の後側へと延びていることも発見されている。
【0139】
したがって、本明細書で開示する本発明のうちのいくつかによれば、MPA502の遠位部分ならびにLPA504およびRPA506の近位部分においてアブレーションが行われる。いくつかの実施形態では、アブレーションはこれらの構造の内壁の前側において優先的に行われる。いくつかの実施形態では、アブレーションは、MPA502の近位部分の前側において、ならびにLPA504およびRPA506の近位部分の上側部分および前側において、例えば、LPA504およびRPA506におけるMPA502の遠位部分のほぼ上側接続部位において、優先的に行われる。したがって、交感神経の除神経を高い成功率で達成でき、また、肺高血圧症の症状を高い成功率で減らすかあるいはなくすことができる。
【0140】
全ての血管壁が交感神経系および副交感神経系によって制御されることは広く認められている。特に、肺血管は知覚神経繊維によって神経支配されることが知られている。これまでの研究により、肺動脈に沿った交感神経のノルアドレナリン作動性神経支配密度はその近位セグメントで最も高くそして周辺部に向かって低くなることが、分かっている。これは、最も高い神経支配密度が最も小さい小動脈のレベルにおいて見つかる他の器官の動脈とは異なる、典型的な知見である。しかし、上述の研究の結論は、肺動脈における神経支配の同定が主に交感神経の刺激またはそれと同等の方法に基づいて行われる術に基づいており、直接的な証拠または交感神経繊維の他のロケーションは用いていない。しかし、直接標識手法を用いた肺動脈における交感神経の存在およびロケーションを同定するための手法を用いることにより、上述の研究の結論のいくつかが間違いであることが発見されている。
【0141】
具体的には、実験手順は、南京医科大学のInstitutional Animal Care and Use Committeesにより承認され、National Guide for the Care and Use of Laboratory Animalsに準じて行われた。モンゴル犬(n=6、体重7.8±1.2kg)をNanjing Experimental Center(南京、中国)から入手した。動物は全て個室に入れ、24℃、12時間明るくし12時間遮光するサイクルで、新鮮な食べ物と水を与えた。
【0142】
この研究では、イヌをペントバルビタールナトリウム(1kgあたり60mg、腹腔内注射)で麻酔した。胸部を切除し注意深く切開した。肺動脈全体を、外膜を傷つけないように特に注意しながら胸部から取り出した。一匹のイヌにおいて、肺動脈を、血流方向に沿って長手方向に主肺動脈の開口部(主肺動脈の近位部分)から左右の分枝に向かって切り開いた。異なるセグメント同士の間で肺動脈の表面に目視可能な差があるか否かを確認するために、バーニヤフォーカスカメラを使用して撮影した。
【0143】
5匹の他のイヌについて、立体顕微鏡のガイドの下で、微細顕微解剖ハサミを用いて、結合組織系を肺動脈から手で切り取った。この手順の間、外膜を剥がさないよう、また血管周囲の神経を傷つけないように、極めて注意深く行った。血管は、更に染色するために-70℃で保管した。
【0144】
凍らせた血管を、パラフィンワックス内で処理し、4%パラホルムアルデヒド内で30分間固定し、次いで、リン酸緩衝食塩水(PBS)内で0.5%ポンタミンスカイブルー(Pontamine Sky Blue)(Sigma-Aldrich、セントルイス、ミズーリ)で30分間インキュベートしてバックグラウンド蛍光を低減させた。次いで、これを、PBS中4%正常ヤギ血清/0.3%TritonX-100のブロッキング溶液に入れ1時間室温に置き、次いで、チロシンヒドロキシラーゼに対するアフィニティー精製済みポリクローナル抗体(Temecula、カリフォルニア)を含むブロッキング溶液に入れ4℃で一晩おいた。次いで、血管セグメントをPBSで洗い、二次抗体(Invitrogen、Carlsbad、カリフォルニア)で1時間インキュベートし、再度洗い、ガラススライドに置いた。試料は、撮像の間、水和状態と血管の形態を保つためにPBSに浸けたままにした。
【0145】
これまでの研究に基づき、交感神経は主に肺動脈の近位セグメントに局在すると考えらた。したがって、主肺動脈の遠位セグメント(長さ5mm)と左右の分枝の近位5mmセグメントを選択して本研究における調査を行った。図6は、MPAの遠位部分の5mmセグメントと、LPAおよびRPAの5mm長の近位部分とを模式的例示するが、縮尺は比例していない。
【0146】
血管の横断方向の複数のスライス(厚さ2μm)を、1.6mm間隔でカットし、図8の標識(A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12)に従って以下のように同定した。注意深くスライスの管腔の形態を血管輪郭と一致させ、神経のロケーションを正確に位置決めした。スライスは病理学者が検査した。
【0147】
各スライスの画像を立体顕微鏡(Olympus)を用いて記録(倍率40x~200x)し、1レベルにつき全部でいくつの交感神経束(SPNDs)があるかを手で計算した。そして、全ての画像をImage Analysis Software(Image-proplus 5.0)に入力し、軸索の領域の短径(μm)、長径(μm)、および全表面積(TSA、μmx10)を計算した。
【0148】
肺動脈は、イヌの胸部から取り出した後、繰返し生理食塩水で洗浄して血管の表面にある全ての血液を取り除いた。そして、主肺動脈の近位部分から幹を通って左右の分枝へ入る方向に沿って、血管全体をカットした。上述の写真(図7A、7B)は、主肺動脈の前壁において、左肺動脈の開口部付近に明らかな隆起嚢胞702があったことを示している。隆起嚢胞702の部位は、肺動脈の他の領域と比べて、触ると固かった。
【0149】
肺動脈の二分岐部分の近傍において、遠位主肺動脈および左右肺動脈の近位部分の長さ5mmのセグメントを調べた。各セグメントからの4つの横断方向のスライス(厚さ2μm、1.6mm間隔)を分析用に用意した。各スライス(「レベル」)を、反時計回り方向に沿って、左右の肺動脈では4つのサブセグメント(図9のS1、S2、S3、S4)に分割し、主肺動脈では6つのサブセグメント(図9のS1、S2、S3、S4、S5、S6)に分割した。
【0150】
これらのサンプルを調べると、左右の肺動脈の両方において、より多くのSPNDs1002が後壁に確認されることが観察された。しかし、SPNDs1002の数は左肺動脈分枝においてA5レベルのS1サブセグメントで1.6±0.2であり、右肺動脈のレベルA1のS1サブセグメントでの1.2±0.2とは大きく異なっていた(p=0.033)。これに対して、主肺動脈(図11)の前壁(S6)においてより多くのSPNDs1002が標識され、レベルA9からA12にかけて徐々に減少していた。
【0151】
主肺動脈における交感神経の軸索の短径および長径は、それぞれ85±2μmおよび175±14μmであった。それに対して、左肺動脈ではそれぞれ65±3μmおよび105±12μmであり、右肺動脈ではそれぞれ51±2μmおよび86±8μmであり、主肺動脈とLPAおよびRPAとの間では軸索の表面積に大きな差があった(図9)。
【0152】
上述の観察の結果に基づき、図12および図13に模式的に示したように、イヌにおいては、交感神経は主肺動脈の前壁に沿ってより集中して分布し、左右の肺動脈へと延び、そして上向きに延び、そして左右の肺動脈の後壁に向かって延びる、と判断された。
【0153】
更に、MPAのレベルA9のサブセグメントS6(図11)(倍率200x)を調べると、交感神経の束または主束は主肺動脈の遠位部分の前壁の略中央から出発することと、この主束が左右の肺動脈に二分岐することとが分かった。
【0154】
この発見は、肺動脈のより効果的な除神経の根拠を提供する。例えば、主肺動脈および左右の肺動脈の一部分のみを選択的にアブレーションすることによって、不必要に組織を損傷することを低減しつつ除神経のより高い成功率を達成することができる。そのような除神経は以下に説明するような肺高血圧症などの疾患の治療に多大な恩恵をもたらし得る。
【0155】
肺高血圧症疾患に関しては、肺が、交感神経幹の最初の5つの胸神経節(星状神経節を含む)ならびに中頚および下頚にある主交感神経細胞からの軸索を受けていることは周知であり、脈管構造が肺における主たる交感神経のターゲットである。交感神経の刺激は、肺血管抵抗を増大させ、コンプライアンスを低下させる。これはaアドレナリン受容体、主にa1サブタイプ、を介してノルアドレナリンによって仲介される。
【0156】
これまでの研究により、1つの神経終末から多重の伝達物質が放出されることが確認されており、この伝達物質の多重性が、「古典的」伝達物質の薬理学的遮断のみでは神経刺激により誘発される効果を効果的に消失させることができないことの理由になるかもしれない。上記説明した本研究により、左右の肺動脈の近位のセグメントにおいては、遠位の基底の幹におけるよりも、肺幹に沿った交感神経の除神経をより成功させることができる、という概念がサポートされる。更に、経皮的な肺の除神経(PADN)術は、葉間動脈において片側バルーン閉塞によって誘発される肺抵抗および肺圧力を低下させる可能性がある。しかし、今までは、肺動脈幹における交感神経の分布を示すデータがなかった。したがって、PADN術を成功させるためには、交感神経の位置を正確に把握することが重要である。本研究では、交感神経の非常に大きな束が、左右の肺動脈の後壁へと二分岐する、主肺動脈の遠位部分の中~前壁において確認された。これらの結果は、上述した動物を用いた研究で示唆されたように、特に肺の主たる二分岐の遠位部分ならびにLPAおよびRPAの近位部分周辺において例えばPADN術などにより1回以上のアブレーション術を行えば、より良い結果がもたらされかつ除神経をより成功裏に行えそうである、ことを示唆している。
【0157】
なお、交感神経のノルアドレナリン作動性神経支配密度は、肺外かつ門部の血管(動脈および静脈両方)において最も高く、そして周辺部に向かって低下する。これは、最も高い神経支配密度が最も小さい小動脈のレベルで見出される他の多くの器官と比べて、顕著に異なる点である。そのような分布は、交感神経のノルアドレナリン作動性の軸索が肺内へと到達する程度に従って、種ごとに異なる。モルモット、ウサギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、およびヒトにおいては、最小で直径50μmまでの小動脈が神経支配されているのに対し、ラット、マウス、ハリネズミ、およびアナグマでは、ノルアドレナリン作動性の神経支配は肺近くで止まっている。
【0158】
ノルアドレナリン作動性およびNPY含有線維の広範なネットワークが複数の種の肺動脈周辺で確認されているが、共存の程度を評価するために二重標識手法を使用している研究はごくわずかである。モルモットでは、肺動脈および静脈を神経支配しているほぼ全てのノルアドレナリン作動性線維がNPYを含んでおり、更に、オピオイドファミリーの1つの神経ペプチドであるダイノルフィンを含んでいる。この点において、肺血管神経支配は、同一種における皮膚動脈の神経支配とは明らかに異なっており、ノルアドレナリン、NPY、およびダイノルフィンの3つの異なる組合せが交感神経の軸索によって使用される。これらの集団のそれぞれは、皮膚内の動脈ツリーの特定のセグメントに限定されている。それでもなお、ノルアドレナリン作動性およびNPY含有線維は肺において1:1にならない。なぜなら、NPYと血管作用性小腸ペプチド(VIP)とを含むがノルアドレナリンは含まない、モルモット肺動脈および静脈を神経支配する軸索の小集団があるからである。この低頻度の線維集団が、モルモット肺へと突出する非ノルアドレナリン作動性の神経細胞を示しているのか、他の系から出発しているのかは、まだ明らかにされていない。
【0159】
上記説明した本研究は、肺動脈幹を様々なレベルで連続的にスライスして行われたものであるが、神経のより大きな束が主肺動脈の前壁により局在しそしてLPAおよびRPAの後壁に沿って左右の肺動脈へと二分岐することを、実証している。上記研究はイヌの解剖学的構造に対して行われた。
【0160】
本方法および本装置で治療可能な疾患のうちの1つは、特発性肺動脈高血圧(IPAH)である。IPAHは、平均肺動脈圧(PAP)および肺血管抵抗(PVR)の上昇によって特徴づけられる。IPAHの病因は、局所的に産生された血管拡張物質と血管収縮物質との間の不均衡によるものと信じられてきた。最近の研究により、血管壁の再構築も上昇したPVRに寄与することが実証されている。IPAHの仲介および進行における神経反射の役割は特に調査されていない。上述した本動物研究は、PADN術は、葉間セグメントではバルーン閉塞によって誘発されたPAPの上昇を低減または完全に消失できるが基底の幹ではできないことを、実証している。
【0161】
本研究の更なる局面において、ヒトでの研究を行った。登録前に21人の患者全員に、利尿剤(ヒドロクロロチアジド、用量12.5mg~25mg、1日1回および/またはスピロノラクトン、用量20mg~40mg、1日1回)と、ベラプロスト(120mg、1日4回)(表1)とを、シルデナフィル(20mg、1日3回)またはボセンタン(120mg、1日2回)またはジゴキシン(0.125mg、1日1回)のいずれかと共に投与した。患者の機能的能力を6分間歩行試験(6MWT)により判定し、次いで、Borgスケールを用いて呼吸困難を評価した。6MWTは、PADN術の後、1週間、1か月、2か月、および3か月で行った。安静時および運動時のWHO分類は、本研究の設計を知らない内科医が記録した。
【0162】
術後、1週間、1か月、2か月、および3か月で心エコー検査を行った。心エコーの研究は、標準イメージングトランスデューサー付きVivid 7超音波システム(General Electric Co.、Easton Turnpike、コネチカット、米国)を使用して行った。心エコーは全てMedical University Echocardiographic Laboratoryで行い解釈した。測定は全て米国心エコー図学会の推奨事項に従って行った。最低3つの連続する拍動(心房細動の場合は5拍動)を含むデジタル心エコーデータを取得し保存した。RV収縮期圧は、肺動脈弁狭窄がない場合には収縮期PAPと等しい。収縮期PAPは、右心房(RA)圧と収縮期のRV―RA圧勾配との和に等しい。RA圧は、下大静脈の心エコーの特徴に基づき推定し、標準値を割り当てた。RV―RA圧勾配は、修正ベルヌーイ式を用いて4v と算出された。式中、vはm/sで表した三尖弁逆流の速度である。平均PAPを、m/sで表した肺動脈弁逆流の速度に従って推定した。三尖弁可動域指標(TEI)を(A-B)/Bと定義し、式中、Aは三尖弁環状拡張期速度の終わりと始まりとの間の時間間隔であり、Bは三尖弁環状収縮期速度の持続時間(またはRV駆出時間)である。患者のPAコンプライアンスは、一回拍出量を脈圧(収縮期PAP-拡張期PAP)で割ったものとして算出した。
【0163】
RA、RV、およびPAから血行動態測定および血液酸素圧/飽和判定を、PADN術の前および直後に行った。これらの測定を24時間ごとおよび3か月ごとに繰返した。
【0164】
7Fフローディレクテッド―スワン・ガンツカテーテル(131HF7、Baxter Healthcare Corp.、Irvine、カリフォルニア)を内頸静脈または鎖骨下静脈に挿入した。安静時RA圧、RV圧、収縮期/拡張期/平均PAP、肺動脈閉塞圧(PAOP)、心拍出量(CO)(温度希釈法使用)、および混合静脈血酸素飽和度の測定値を記録した。次いで、PVR[=(平均PAP-PAOP)/CO]と肺内外勾配(TPG=平均PAP-PAOP)とを算出した。測定値の全ては呼気の終了時に記録した。5つの判断基準を使用してPAOP測定値が有効であるか否かを評価した。すなわち、(1)PAOPが拡張期PAP未満であった;(2)軌跡が心房圧波形に匹敵した;(3)蛍光透視画像が膨張後定常状態のカテーテルを示していた;(4)カテーテル内に自由な流れが存在した(フラッシュテスト);および(5)高度に酸素を含んだ血液(毛細管)が閉塞位置の遠位部分から得られた。PAOP測定値が信頼できない場合、そのPAOPではなく、左室拡張末期圧を測定して使用した。酸素圧および酸素飽和の測定のために、SVCと肺動脈とからの血液サンプルを得た。50℃超の温度を使用し、60~120秒間8~10Wの電気負荷をかけることにより、例えば図14Bに示すように、収縮期PAPおよび平均PAPにおいて特に大きな低下が達成された。
【0165】
PADN術は、専用7.5Fマルチファンクション(温度センサおよびアブレーション)カテーテルを用いて行った。このカテーテルは、図1~4に例示したカテーテルの一実施形態であるハンドル2(図15A)とカテーテルシャフト3との2つの部品を備える。図15Aのカテーテルは、事前搭載された10個の電極5(E1~E10)を備える先細り(5Fまで)アニュラリング4を有する。これらの電極5は、それぞれ2mm間隔で離間されているが、他の間隔も使用できる。以下における記述のために、電極5には図15Bに示すように番号が振られており、最も遠位の電極5は電極E1であり、最も近位の電極5は電極E10である。
【0166】
図1~4を参照して上記説明したように、アニュラリング4または(「円形チップ」)は、所望の外径を有するように図15Bおよび図1で例示した円形などの環状/円形になるように付勢されるように構成され得る。例えば、様々な実施形態では、アニュラリング4は、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mmの外径、または他の直径を有する円形へと付勢されるように構成され得る。加えて、図1のカテーテルを含むキットが、上述したような複数の異なる外径または他の直径へと付勢されるように構成された、複数の異なるアニュラリング4を含み得る。
【0167】
コントローラまたは「接続箱」がアブレーションエネルギーを提供するためにカテーテルのハンドル2に接続され得る。例えば、アブレーションコントローラ100が、電極E1~E10のそれぞれにアブレーションエネルギーを提供するように構成され得る。したがって、いくつかの実施形態では、コントローラ100は、使用者が全ての電極E1~E10の作動させることを選択できるように、または個々の電極E1~E10を1度に1個ずつ選択的に作動させることができるように、構成されたセレクタノブ102を含む。
【0168】
したがって、いくつかの実施形態では、図15Dに例示するように、セレクタノブ102は位置インジケータ104を含む。位置インジケータ104は、ノブ102を回転することによって、電極E1~E10に対応する印に合わすことができる。例示した実施形態では、コントローラ100上の印は、番号1~10ならびに「OFF」の位置および「なし」の位置を含む。いくつかの実施形態では、接続ケーブル106は、複数のワイヤを含み得る。これら複数のワイヤは、例えば、図1~4を参照して上述したリード線6に相当する10本のワイヤであり、各ワイヤが個々にそれぞれの電極E1~E10に接続されている。
【0169】
コントローラ100は、RFエネルギーの源と電極E1~E10のうちの所望の1つとの間に電気接続を形成するための物理的スイッチを含み得る。電極(図示せず)を上記ノブ102に直接接続し、この電極の周りに更なる接点(図示せず)をコントローラ100上の1~10の位置にほぼ対応させて配置してもよい。これにより、ノブ102を回転すれば、内部電極(図示せず)が、位置1~10のそれぞれに合わされた接点に接続される。
【0170】
コントローラ100は、コントローラ100上の対応する位置(1~10)に位置インジケータ104を合わすことによって回路が形成されると、所望量のアブレーションエネルギーを提供し、それによって、電極E1~E10のうちの選択された1つに電気エネルギーを送達し、それによって、電気エネルギーが、選択された電極5を通って、当該選択された電極に接触している任意の導電性材料へと送られるように、構成され得る。
【0171】
例えば、PADN術の間、電極E1~E10は肺動脈幹の内壁に接触することができ、それによって、電極E1~E10のうちの1つから電気エネルギーが肺動脈の内壁の組織を通って流れるようにすることができる。これについては以下に更に詳しく説明する。
【0172】
いくつかの実施形態では、図15Dを参照して、コントローラ100は、複数のポートを含み得る。例えば、コントローラ100は、カテーテルポート120を含み得る。カテーテルポート120は、アニュラリング4へ生理食塩水の流れを提供する目的でアニュラリングに対して流体接続を形成するように構成され得る。コントローラ100はまた、アブレーション術に関して使用される任意の既知の高周波発生器に接続されるように構成された、RFポート122を含み得る。
【0173】
加えて、コントローラ100は、標準ECG監視機器に接続するように構成された「ECG」ポート124を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、接続ケーブル106は、RFポート124を介してデータを送信するためのワイヤまたは導管も含み得る。
【0174】
したがって、いくつかの構成では、RFポート122はRFエネルギーの源(図示せず)に接続され得る。1本以上のワイヤ(図示せず)が、セレクタノブ102に接続された電極の端部上の接点にポート122を接続できる。加えて、10本のワイヤ(図示せず)は、RF電気エネルギーを電極E1~E10へ送達するように構成され得る。電極E1~E10のそれぞれは、セレクタノブ102の周辺部に配置されたセレクタ位置1~10に関連付けられた接点(図示せず)に接続され得る。
【0175】
したがって、回転するセレクタノブ102に接続された電極は、位置1~10のそれぞれに関連付けられた電気接点に接触するように動かされ得、それによって、ポート122を介してコントローラ100に入る電気エネルギーを当該関連付けられたリード線6へと接続する回路を形成し、電気エネルギーを所望の電極E1~E10へ伝導することができる。
【0176】
したがって、具体的には、位置インジケータ104がコントローラ100上の位置1に合うようにセレクタノブ102が回されると、RFポート122からの電気エネルギーが、関連付けられたリード線6を介して電極E1へ伝導される。インジケータ104を、コントローラ100上の他の位置に合わせれば、それらの他の位置に関連付けられた他の電極へ電気エネルギーが伝導される。
【0177】
いくつかの実施形態では、肺高血圧症を治療するための方法は、血管造影を使用して患者の肺動脈幹の位置を同定する工程を含み得る。例えば、ベースライン肺動脈血管造影は、主肺動脈から左右の肺動脈への肺動脈二分岐の位置を同定するために行われ得る。
【0178】
加えて、ベースライン肺動脈血管造影は、アブレーションが望まれる肺動脈幹の部分の直径を求めるために使用され得る。したがって、アニュラリング4の適切な直径は、上述した肺動脈幹の求められた直径に基づいて決定され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ターゲットの解剖学的構造の直径よりわずかに大きい付勢された直径を有するアニュラリング4を使用して、電極5とターゲットの解剖学的構造の内表面との接触を強化することができる。したがって、例えば、アニュラリング4が鞘1602から出て肺動脈幹のターゲット部分の内径よりわずかに大きい外径を有する付勢された円周方向構成へと拡張されると、アニュラリング4の付勢は、電極5を押しつけてターゲット組織に接触させる際の一助となる。
【0179】
いくつかの実施形態では、図16A~16Hを参照して、ある方法は、カテーテルを肺動脈幹内に位置づける工程を含み得る。例えば、図16Aに示すように、鞘1602は、大腿静脈を介して挿入され、主肺動脈へと進められ得る。図1および図15A~15Eに例示したカテーテルなどのカテーテルが、図16Aに示す鞘1602に沿って、肺動脈幹のロケーションへと進められ得る。
【0180】
カテーテルの遠端部を正しく維持した状態で、鞘1602を引き戻すことができる。アニュラリング4を形成するカテーテルの部分を肺動脈幹内に保持した状態でカテーテルの位置を維持するために、カテーテルを押すことが必要かもしれない。
【0181】
図16Bに例示するように、アニュラリング4が鞘1602から離されると、アニュラリング4は、自己がうけている付勢による形と直径とをとることができる。
【0182】
ハンドル2を時計回り方向へわずかに回転し押すことにより、アニュラリング4を、例えば入口部などの左肺動脈の近位部分に位置づけることができる。いくつかの実施形態では、この初期位置は、図16Dに例示するように、左肺動脈の開口部からほぼ5mmの範囲内に、または2mmの範囲内にあってよい。
【0183】
アニュラリング4の向きを観察することにより、所望の1または複数の電極E1~E10を選択的に通電させて、左肺動脈の内表面における所望のロケーションでアブレーションを行うことができる。例えば、いくつかの実施形態では、左肺動脈の、および左肺動脈の入口部の2mmまたは5mm内といった左肺動脈の小近位部分の、少なくともいくらかの交感神経の除神経を達成するために、左肺動脈の後壁を選択的にアブレーションすることがより効果的な場合がある。
【0184】
そして、アニュラリング4を例えば二分岐領域におけるように主肺動脈の遠位部分へと再度位置けるためにハンドル2を回転し引き戻すことによって、アニュラリング4を例えば反時計回り方向に回転することができる。例えば、いくつかの実施形態では、図16Eに例示するように、アニュラリング4を肺動脈幹内の二分岐の約5mm以内に位置づけることができる。そして、所望の1または複数の電極E1~E10を使用して、アブレーションを行うことができる。
【0185】
例えば、そのように位置づけた状態で、選択された1または複数の電極E1~E10を通電して、主肺動脈の遠位部分の所望の交感神経の除神経を達成することができる。いくつかの実施形態では、優先的に主肺動脈の遠位部分の前壁においてアブレーションを行うことが望ましい。
【0186】
加えて、ハンドル2を更に回転し押すことにより、アニュラリング4を例えば入口部などの右肺動脈の近位部分に位置づけることができる。いくつかの実施形態では、この位置は右肺動脈の入口部の5mm以内であってよい。更に、いくつかの実施形態では、この位置は、右肺動脈の入口部の2mm以内であってよい。
【0187】
アニュラリング4をそのように位置づけた状態で、所望の1または複数の電極E1~E10を通電して、右肺動脈の近位部分における少なくともいくらかの交感神経の除神経を達成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、右肺動脈の後壁に焦点を当てることが有益な場合がある。
【0188】
いくつかの実施形態では、肺高血圧症を治療するための方法は、上述した3つの位置に対応する血管内表面と電極E1~E10との間の適切な接触を確認する工程を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、そのような確認は、ハンドル2を回転しようとしたときに手に強い抵抗を感じたか否かを判断することにより行われ得る。加えて、アニュラリング4を遠位方向に進めることができず、結果として図16Gに例示するようなカテーテルの変形が生じるか否かを、または、近位方向へ引き戻すのが容易く、結果として図16Hに例示するカテーテルの変形が生じるか否かを、判断することができる。加えて、血管造影確認を用いて確認を行ってよい。
【0189】
アニュラリング4が、所望通り、例えば図16D図16E、および図16Fに例示する位置に、位置づけられた後、少なくとも1つの電極E1~E10を通電してアブレーションを行うことができる。例えば、いくつかの実施形態では、肺高血圧症を治療するための方法は、電極E1~E10のそれぞれを順次通電することを含み得る。
【0190】
加えて、いくつかの実施形態では、肺高血圧症を治療するための方法、または、肺の除神経を行うための方法は、電極E1~E10のロケーションをずらすようにアニュラリング4を再度位置づけ、次いで電極E1~E10の全ての通電を繰返す、工程を含み得る。したがって、当該関連付けられた血管の内表面全体の更に完全な除神経が達成できる。
【0191】
いくつかの実施形態では、任意の所望のエネルギーレベルまたは温度を使用して、上述した電極E1~E10を用いたアブレーションを行うことができる。例えば、いくつかの実施形態では、50℃超の温度で60~120秒間8~10Wの電気負荷をかけて、アブレーションを行うことができる。加えて、いくつかの実施形態では、肺高血圧症を治療するための方法または肺動脈の交感神経の除神経を行う方法は、患者は麻酔をかけられているが意識のある状態で、行うことができる。したがって、患者が耐え難い胸部痛を訴えた場合には、アブレーション術を中止することができる。
【0192】
いくつかの実施形態では、本方法を行う間中、EKGおよび血行動態圧を監視し連続的に記録することができる。上記説明に従って行われた研究では、成功は、平均PAP≧10mmHg(スワン・ガンツカテーテルにより測定)の低下として定義された。研究の間、合併症は起こらなかった。加えて、患者を、PADN術が行われた後少なくとも24時間、冠疾患集中治療室(CCU)内で監視した。
【0193】
例えば、本明細書で開示する方法のいくつかの実施形態では、専用7.5Fトリプルファンクションカテーテル(A)を使用でき、このカテーテルは、10個の電極5を有する先細りアニュラリング4を含み得る(各電極は0.75mm電極幅を有し、2mmずつ離間されており、事前搭載されている)。電極は、接続ケーブル106と接続箱/コントローラ100とに接続されている。コントローラ100の表面上にはノブ102(図15D)の10個の位置があり、それぞれは、アブレーションカテーテルのアニュラリング4上の電極E1~E10のうちの1つに関連付けられている。システム全体がセットアップされた後ノブ102を所望通り回転することによって、順次アブレーションを行うことができる。特定の実施形態では、アブレーションを1つの電極から他の電極へと切り替えながら、アブレーションを中断する。
【0194】
いくつかの実施形態では、肺動脈除神経を行うための方法、または主肺動脈の遠位部分の原発性PAHアブレーション治療方法は、優先的にその前側において行われ得る。例えば、いくつかの実施形態では、図17Aに示すように、M1、M2、M3、M4、およびM5の位置でアブレーションを行うことができる。
【0195】
図17Aを続けて参照すると、M1の位置は、主肺動脈の遠位部分における「6時」の位置である。M3の位置とM5の位置は、それぞれ、主肺動脈の前壁が左右の肺動脈へつながる部位である。M2の位置とM4の位置は、主肺動脈の遠位部分の前側における「5時」の位置と「7時」の位置である。
【0196】
いくつかの実施形態では、図17Bを参照して、左右の肺動脈における交感神経の除神経は、優先的に、左肺動脈の近位部分の前壁のほぼ中央(L1)において、および、左肺動脈における主肺動脈の遠位部分のほぼ上側接続部位(L2)において、行われ得る。
【0197】
同様に、右肺動脈の肺の除神経を行う方法を実施している間、アブレーションは、優先的に、右肺動脈の近位部分の前壁のほぼ中央における点(L3)、および、右肺動脈と主肺動脈の遠位部分のほぼ上側接続部位(L4)において、行われ得る。
【0198】
いくつかの実施形態では、交感神経の除神経は、例えば、肺管動脈(pulmonary duct artery(PDA))1802に関連する肺高血圧症の治療のために、行われ得る。例えば、図5に示すように、肺管動脈は、通常、下行する大動脈を左肺動脈504に接続する。この解剖学的構造により、左肺動脈は右肺動脈に比べて非常に大きいものであり得る。
【0199】
したがって、いくつかの実施形態では、アブレーションは、図18Aの「レベルA」として示される、左肺動脈と肺管動脈との間の接続部に対して近位である位置で、行われ得る。したがって、図16A~16Hを参照して上述した手法を用いて、アニュラリング4を、図18Bの「レベルA」に対応する位置に、位置づけることができる。そして、そのロケーションにおいて、左肺動脈の内壁の一部または全部の周囲で、アブレーションを行うことができる。
【0200】
いくつかの実施形態では、アブレーションは、優先的に、肺管動脈の近端部に対して近位の、左肺動脈の前壁において行われ得る。例えば、アブレーションは、部位L11、L12、L13、L14として示されるような4つ以上の部位において、行われ得る。図18Bに例示するように、位置L11は、「12時」に対応し、位置L12は「2時」に対応し、位置L13は「3時」に対応し、位置L14は「6時」に対応している。他の位置もまた使用可能である。
【0201】
加えて、いくつかの実施形態では、アブレーションは、図17Aに例示する位置M1~M5および図17Bの位置L1~L4においても行われ得る。
【0202】
いくつかの実施形態では、交感神経の除神経のための方法は、一側性慢性血栓塞栓症から生じる肺高血圧症を治療するために使用され得る。例えば、一側性CTEHの患者は閉塞した右肺動脈を有し得る。例えば、患者の中には、図19Aの左側に例示するように、RPAが非常に肥大していることがあり得る。図18Bを参照して上述した方法と同様に、アブレーションは、図19Aで「レベルB」として示される位置において行われ得る。アブレーションは、レベルBの位置または他の位置において右肺動脈の内表面に沿って1または複数のロケーションで行われ得る。加えて、アブレーションは、優先的に、レベルBの位置において右肺動脈の前壁に沿って複数の点において行われ得る。
【0203】
例えば、図19Bに示された位置は、「12時」に対応する位置L21、「2時」に対応する位置L22、「3時」に対応する位置L23、および「6時」に対応する位置L24であると考えることができる。加えて、いくつかの実施形態では、アブレーションはまた、図17Aに例示する位置M1~M5、ならびに図17Bに例示する位置L1およびL2においても行われ得る。
【0204】
図20を参照して、肺高血圧症の治療の更なる実施形態は、上述した実施形態のいくつかにおけるよりも少ないアブレーション部位において、肺動脈幹の部分を選択的にアブレーションすることを含み得る。例えば、図20は、図21で示したアブレーション部位の「レベルC」を示す。
【0205】
図21を参照して、図20に示した「レベルC」の拡大模式図が、複数のアブレーション部位b1、2、を示している。これらのアブレーション部位は、主肺動脈の上端の左側側壁に対して近位であり、左肺動脈の近位部分の下壁に対して近位であり、かつそこでこれらの部分が合流している、肺動脈幹の部分においてグループ化されている。例えば、図21に例示するように、アブレーション部位bは、主肺動脈の遠端部のほぼ左側面頂端に位置しており、この頂端が、左肺動脈の近端部の下壁に続いている。加えて、アブレーション部位b、bは、図20で示される「レベルC」に沿ってまたはほぼ沿って、アブレーション部位bの前側および後側にそれぞれ位置している。これらのアブレーション部位b、b、およびbは、主肺動脈の遠端部の左側面側における交感神経の特定の束クラスターをアブレーションするために、ターゲットとされ得る。これらの束クラスターは、肺動脈弁514(図5)の上、ほぼ5mmにあり得るが、気管分岐部602(図6)の下である。
【0206】
図22Aは、図1および図15Bを参照して例示および上述したアニュラリング4の更なる実施形態を例示する。図22Aに例示するアニュラリング4の実施形態は、参照符号204で示されている。図22Aに例示するアニュラリング204は、アニュラリング4に関して上述した説明に従って構築することができ、以下に説明する差異に関する点を除いては、手持ち式装置1(図1)と共に使用することができる。
【0207】
図22Aに示すように、アニュラリング204は、上述したアニュラリング4に含まれるのよりも少ない数の電極を有し得る。この例示した実施形態では、アニュラリング204は、5つの電極200、205、206、208、210を含む。加えて、アニュラリング204は、配備/弛緩状態にあるときに卵形となるように(または卵形に付勢されるように)構成される。配備/弛緩状態においては、アニュラリング204は実質的に平面状であってもよい。また、配備/弛緩状態においては、アニュラリング204は、アニュラリング204に接続されたカテーテル本体の可撓性端部3の部分に対して、実質的に直交、または垂直であってもよい。図22Aに例示するように、配備状態では、アニュラリング204は、直径Dをその長軸に沿って有することができる。直径Dは、アニュラリング204の短軸に沿った第2の直径Dより大きい。そのような構成により、アニュラリング204は配備状態で卵形となる。アニュラリング204の電極200、205、206、208、210は、図22Aに示す寸法または他の寸法を有する空間におけるサイズを有してよい。また、特定の実施形態では、アニュラリング204は、楕円形であってもよく、任意で実質的に平面状であってもよい。任意で、そのような楕円形リングは完全なループでなくてよい。例えば、アニュラリング204の遠端部は、360度曲がってアニュラリングの近端部まで戻らなくてもよいが、360度未満の角度で曲がっていてもよい(例えば、270度~359度の角度で曲がるなど)。特定の実施形態では、アニュラリングの近端部は、360度曲がってアニュラリング204の近端部まで戻らないことにより、図22Aに例示するように3mmの距離を置いて離間していてもよい。
【0208】
図22Aを続けて参照して、電極206、205、208は、図21を参照して上述したアブレーション部位b、b、bに対応する肺動脈の選択的アブレーションを提供するように、配置され、そのサイズが決められ得る。更に、電極206、205、208は、異なるサイズを有し得る。いくつかの実施形態では、電極206は、部位bの除神経が可能な構成およびサイズを有し、電極205、208より大きくてよい。更に、いくつかの実施形態では、電極205は、電極208より大きくてよい。例えばbにおけるアブレーション用の電極206は長さが4mmであってもよく、その一方で、bにおけるアブレーション用の電極205は長さが3mmであってもよく、bにおけるアブレーション用の電極208は長さが2mmであってもよい。他の配置、構成、およびサイズもまた使用可能である。bにおけるアブレーション用の電極206は、直径Dの端に位置する、および/またはアニュラリング204の長軸の頂点をまたいで配置されいてもよい。
【0209】
図22Aを続けて参照して、アニュラリング204は、複数のサイズで構築され得る。例えば、図22Aは、アニュラリング204の5つの異なるサイズに対して使用可能な直径D、Dの例を含む。これら5つの異なるサイズ用の直径D、Dは以下に挙げる直径(単位ミリメートル)の対で組み合わせることができる。すなわち、フォーマット(D,D):(25,20)、(30,25)、(35,30)、(40,35)、および(50,45)である。このように、いくつかの実施形態では、直径Dは直径Dよりも5mm大きい。他のサイズおよび比率もまた使用可能である。
【0210】
少なくとも幾人かの患者においては、肺動脈(PA)の交感神経の衰弱は殆ど左近位PA付近に集中していることが知られている。右PAの交感神経の衰弱は比較的少ない可能性がある。迷走神経は(PAから見て)交感神経へと深く延び得る。
【0211】
いくつかの実施形態では、上述したように、PA高血圧(PAH)の効果的な低下は、左側のみの、ほぼ、図21を参照して示したロケーションb1、2、におけるような3つの部位においてアブレーションをおこなうことにより、達成できる。更なるアブレーションは省略できる。したがって、いくつかの実施形態では、アブレーションロケーションb、b、bにおいてまたはその近傍で、アブレーションを行うことができ、更なるアブレーションは回避または省略できる。
【0212】
図22Bは、図22Aを参照して例示および上述したアニュラリング204の更なる実施形態を例示する。図22Bに例示したアニュラリング204のこの実施形態は、参照符号220で示される。
【0213】
図22Bに例示するように、配備状態では、アニュラリング220は、その長軸に沿った直径Dを有し得る。直径Dは、アニュラリング220の短軸に沿った第2の直径Dよりも大きい。そのような構成により、アニュラリング220は、その配備状態で卵形を有する。例えば、図22Bは、アニュラリング220の5つの異なるサイズに対して使用可能な直径D、Dの例を含む。これらの5つの異なるサイズ用の直径D、Dは、以下に挙げる直径(単位ミリメートル)の対で組み合せることができる。すなわち、フォーマット(D,D4):(25,20)、(30,25)、(35,30)、(40,35)、および(50,45)である。このように、いくつかの実施形態では、直径Dは直径Dよりも5mm大きい。他のサイズおよび比率もまた使用可能である。
【0214】
アニュラリング220は、ほぼ、図21および図22Aを参照して上で示したロケーションb、b、bにおける電極206、205、および208を用いて3つの部位のアブレーションを行うように構成されてもよい。bにおけるアブレーション用の電極206は、直径Dの端に位置する、および/またはアニュラリング220の頂点をまたいで配置されてもよい。アニュラリング220の電極208、206、および205は、図22Aで示す寸法または他の寸法を有する空間におけるサイズを有してよい。
【0215】
いくつかの実施形態では、組織温度は、例えば3部位b、b、bにそれぞれ2分間ずつRFエネルギーをかけることによって、50℃(48℃~52℃の範囲)まで上げられる。上述したように、任意で、更なるアブレーションは省略できる。
【0216】
発生器は、3~15ワットのRFエネルギーを送達するように構成および操作され得る。いくつかの実施形態では、上述したような3つの部位b、b、bをアブレーションすることにより、少なくとも約10%のPA血圧が直ちに低下され得ることが観察されている。そのような生理学的変化は、直ちにフィードバックされ、治療の更なるガイドとして使用され得る。
【0217】
いくつかの動物においては、交感神経を視覚化すると、RFアブレーションの後、軸索が細くなっていることが分かる。PAHを有するヒトおよび(MCHTで処置して実験的にPAHを作り出した)動物において、治療後3か月で、HTN誘発による壁の肥大が見られ、血管の再構築の証拠がある。治療後1~2年の幾人かの患者では、上記PAHにおける初期の改善が、治療後上記間隔の間続いた。
【0218】
異なる病因を有するPAHの治療のための標準的薬物療法に対するPADN術の有効性を、追加研究において調べた。この追加研究では、PAHを有する28人の患者を標準的投薬とPADN術とに順次割り付けた。PADN術は、当該PADN術の後6か月間、6分間歩行距離(6MWD)および血行動態において、有意な改善に関連付けられた。また、PADN術おいて、当該PADN術後6~12か月後には、PAH関連事象はより少なくなった。
【0219】
追加研究には、合計28人の患者(男性11人、女性17人、平均年齢49歳)が含まれた。表1に示すように、8人の患者がIPAHを有し、9人の患者がLHDによるPHを有し、4人の患者が結合組織病を有し、3人の患者が慢性血栓塞栓性PHを有し、4人の患者が手術治療後先天性心臓疾患を有していた。PAH/PHの診断から本研究までの平均時間間隔は4.24年であった。休薬期間中、1人のLHD患者が、利尿剤治療を要する症状の悪化を示した。
【表1】
【0220】
WHO機能分類クラスII-IVPAHの安静時平均PAP(mPAP)≧25mmHgを有する患者が、この追加研究に含まれた。特に、左心疾患(LHD)による肺高血圧症(PH)を有する患者については、更なる要求事項として、安静時の肺動脈閉塞圧(pulmonary arterial obstructive pressure)(PAOP>15mmHgおよび肺血管抵抗(PVR)>2.5 woods unitが含まれた。活動性炎症またはがんを有する患者はいなかった。また、門脈圧亢進症および薬物または毒素暴露によるPHを有する患者はいなかった。本研究プロトコルはInstitute Research Board(南京医科大学)により承認された。
【0221】
5半減期の洗い流しが全ての患者に対して行われた。上記選択除外基準に適合した全ての患者が選択され、(ワルファリンを除いて少なくとも5半減期の間全ての投薬を停止すると定義される)第1の休薬期間に入った。全ての患者に対する右心カテーテル留置およびアデノシンテストは研究前には行わなかった。ワルファリンは連続的に処方した。ワルファリンに耐えられない患者には、ワルファリンの代わりにアスピリン(100mg/d)およびプラビックス(75mg/d)を処方した。PADN術の直後、PAH用の標準的投薬を全ての患者に対して停止した。
【0222】
患者が複数の薬を服用している場合には、それらの薬の中から最も長い半減期となる期間を選択した。例えば、ボセンタン(半減時間<5時間)およびジゴキシン(半減時間=33時間)を服用している患者の場合、休薬期間は5x33時間=165時間(7日間)となる。休薬期間の後、薬を再度処方して6か月間続けた(投薬治療)。薬の選択は、内科医の包括的分析に基づく判断に任せた。6か月後、患者はPADN術をスタンダードアローン(standard alone)治療法として確立するために5半減期の第2の休薬期間に入った。
【0223】
PADN術のために、7Fフローディレクテッド―スワン・ガンツカテーテル(Edwards、米国)を局所麻酔下にある患者に経皮的に内頸静脈へ挿入して、安静時RAP、sRVP、sPAP、mPAP、PAOP、および心拍出量(CO)の値を測定した。そして、PVR[=(mPAP-PAOP)/CO]を算出した。全ての測定は呼気の終了時に行った。PAOP測定値が信頼できない場合は、左室拡張末期圧を測定してPAOP測定値の代わりに使用した。酸素圧および酸素飽和の測定のために、RA、RV、およびPAから2つの血液サンプルを得た。これら2つのサンプルの酸素圧または酸素飽和の測定の間の差が>7%の場合、更にサンプリングを行って、左右短絡のロケーションを同定した。
【0224】
遠位主幹と入口部左分枝との間の接続領域の周りの3つの部位においてPADN術を行った。図23Aは、肺動脈の血管造影画像2300の前側―後側および頭側(20°)を例示する。具体的には、血管造影画像2300は、患者のうちの1人の心臓のRPA2302、MPA2306、およびLPA2304を例示する。図23Bは、図23Aの血管造影画像にMPAの側壁を表す線2320とLPAの前壁を表す線2318とを付したものを例示する。これら2本の線2312と2316との交差部位が点2310である。LPAの後壁を表す線2314とMPAの壁を表す線2320との交差部位が点2308であり、点2308は点2310の1~2mm後側にある。線2316はRPAの下壁から出発して点2310で終わり、点2312はこのレベルで局在し点2310の1~2mm前側にある。図23Cは、10個の電極を有するカテーテルが遠位MPAに位置づけられている、図23Aの血管造影画像を例示する。図23Cにおいて、電極2332は点2310に一致し、電極2330は点2308に一致し、電極2334は点2312に一致する。以下のアブレーションパラメータを各点にプログラムした:温度45℃~50℃、エネルギー≦15W、および時間120秒)。この術は、患者が術中に耐え難い胸部痛を感じた場合は、10秒で止まる。EKGおよび圧力線(心拍出量を含む)を、PADN術の間中、監視し、連続的に記録した。
【0225】
患者を少なくとも24時間CCU内で監視した。全ての測定を、術後、24時間、3か月、6か月、および12か月で繰返した。肺動脈の磁気共鳴断層撮影(MRI)とCTスキャンとをPADN術の前およびPADN術後6か月に行った。
【0226】
PADN術の成功は次のように定義した。すなわち、術内合併症を生じることなく、術の直後または24時間後におけるsPAPまたはmPAPがベースライン値と比較して≧10%低下していること。この追加研究のプライマリーエンドポイントは、6か月後6MWDの、投薬とPADN術との間における差であった。セカンダリーエンドポイントは、複合性及び個々のPAH関連事象を含んでいた。PAH関連事象には、PAHの悪化、薬の静脈または皮下注射による治療の開始、肺移植、心房中隔開口、またはあらゆる原因による死が含まれていた。繰返し入院もセカンダリーエンドポイントとした。
【0227】
6MWDの評価に関しては、6MWDを行う前に、N末端脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-pro BNP)レベルの分析のために、ベースライン血液サンプルを得た。6MWD、Borgスケール、ならびに安静時および運動時のWHO機能分類クラスを、本研究設計内容を知らない内科医が推定し記録した。6MWDを、PAH患者のこれまでの研究におけるエンドポイントとして選択した。特に、PAH関連事象を有さない患者における6MWDは、PAH関連事象を有する患者における6MWDよりも高かった。これは、6MWDの15%低下が臨床的に有意義であり得ることを示唆している。この結果は、臨床研究においてPAH悪化の判断基準として6MWDの15%低下を使用することを、サポートしている。また、PAP、RAP、およびPVRは、PAH患者の予後に相関する有用なパラメータである。50~70mmHgの間のsPAPおよびRAP>8mmHgは、PAH疾患の重症度を示すマーカであった。PADN術後の6MWD改善が、RAP、sPAP、およびmPAPの改善とともに見られた。しかし、ベースラインまたは投薬後におけるPA血行動態と6MWDとの相関関係は、確立されなかった。これは、おそらくは、PA血行動態に変化がなくても骨格血流が改善すれば、6MWDが改善されるからであろう。
【0228】
心エコーの測定については、全ての心エコーは、米国心エコー図学会の推奨事項に従いNanjing Echocardiographic Laboratoryにおいて実施し(Vivid 7, General Electric Co.、Easton Turnpike、コネチカット、米国)、解釈した。最低3つの連続する拍動(または心房細動の場合は5拍動)を含むデジタル心エコーデータを取得し保存した。RV収縮期圧(sRVP)は、肺動脈弁狭窄がない場合には収縮期PAP(sPAP)に等しい。sPAPは、右心房(RA)圧(RAP)と収縮期のRV―RA圧勾配との和に等しい。RAPは、下大静脈の心エコーの特徴に基づいて推定し、標準値を割り当てた。RV―RA圧勾配は修正ベルヌーイ式を用いて4v と算出された。式中、vは三尖弁逆流をm/sで表した速度である。mPAPを、m/sで表した肺動脈弁逆流の速度により推定した。三尖弁可動域指標(Tei)は、(A-B)/Bと定義され、式中、Aは三尖弁環状拡張期速度の終わりと始まりとの間の時間間隔であり、Bは三尖弁環状収縮期速度(またはRV駆出時間)の持続時間である。
【0229】
表2は、NT-pro BNPおよびWHO機能分類クラスの大きな低減と共に、6MWDが、6か月投薬治療後に361±112mから373±111m(p=0.009)へと、また、PADN術後に358±115mから423±98m(p<0.001)へと、どのように増加したかを示すデータを提供している。
【表2】
【0230】
PADN術後の血行動態の有意な改善と共に、6か月フォローアップにおける6MWDの増加の有意な差が、投薬(13±24m)とPADN術(65±85m)との間でみられた(95%CI:-21.34~-3.49,p=0.002)。6か月投薬治療後の42.9%(全てp<0.05)と比較して、PADN術については、6か月(10.8%)および12か月(17.9%)フォローアップにおいて、関連付けられたPAH関連事象は少なくなった。表3および図24Aに例示するように、Δ6MWD(6か月フォローアップにおける6MWDからベースライン6MWDを差し引いたものと定義される)は、投薬治療においては+13±24m(+3.9%増加)であった。これは、PADN術後6か月での+65±85m(+23.9%増加、95%CI:-21.34~-3.49,p=0.002)およびPADN術後1年での+95±61m(+34.9%増加)とは、非常に異なるものであった。
【表3】
【0231】
投薬治療では、6か月治療後、6MWDが低下した(範囲:-6m~-47m)患者が9人(32%)いた。これらの9人の患者のうち、5人の患者には、PADN術後6か月で45mの平均6MWD増加があった。一方、4人の患者には変化が見られなかった。これら4人の患者のうちの1人は、PADN術後1年においても6MWDの変化が見られなかった。最後に、PADN術後1年フォローアップにおいて6MWDの変化が見られなかった患者が2人いた。図24Bに例示するように、投薬治療後よりむしろPADN術後の6MWDが、mPAP(r=-0.416,p=0.028)およびsPAP(r=-0.401,p=0.034)に対して負の相関を有した。
【0232】
本研究は血行動態および心機能の改善も実証した。PADN術後6か月におけるΔmPAPとΔCOは、投薬治療におけるΔmPAPとΔCOよりも高く(-7.86±6.10mmHg対-0.14±2.48mmHg,P<0.001;0.67±1.05L/min/1.73m対0.06±0.24L/min/1.73m,p=0.005,表3)、結果として、囲心腔液量の低下(-0.74±2.63mm対+0.11±0.93mm,p=0.036)およびTeiの低下(-0.34±0.11ポイント対-0.04±0.09ポイント,p<0.001)に有意な差が見られた。図24Cに例示するように、これらの改善はPADN術後1年フォローアップを通して維持された。
【0233】
表4は、6か月治療後、どのように、投薬治療においてPAH関連事象が12人の患者(42.9%)に観察され、PADN術において3人の患者(10.8%)に観察されたかを示す(p=0.002)。これらの事象は主にPAHの悪化によるものであった。
【表4】
【0234】
治療から臨床的悪化までの平均時間は、投薬治療においては125日(22~166日の範囲)であった。これは、PADN術において報告された166日(47~172日の範囲)より大幅に短いものであった(p=0.01)。再入院は、(表4のp=0.018の場合に示されるように)PADN術においては患者の14.4%であったのに対して、投薬においては患者の42.9%に必要であった。6か月治療後、アクセス血腫、動脈瘤、血栓形成、または何らかの原因による死はなかった。
【0235】
Δ6MWDは、PADN術後はほぼ+60mであり、投薬治療後は+15mであった。合計28人の患者が有意性(両側p値、80%検出力)を達成することが必要であった。各治療のための各変数における(6か月期間からベースラインを引いた)差を算出し、2つの治療間で比較した。連続変数は平均±SDと表した。全ての連続変数についての正規性検定をコルモゴロフ―スミルノフ検定およびシャピロ―ウィルク検定を使用して行った。2つの治療間の連続変数における差を、対応のあるt検定または適切な場合にはマンホイットニーのU検定を使用して分析した。カテゴリー変数はフィッシャー直接検定を使用して比較した。無再発生存率を、カプラン―マイヤー法を使用して生成し、ログランク検定を用いて分析した。統計的有意性は両側P値<0.05と定義した。全ての分析は、統計プログラムSPSS19.0(SPSS Institute Inc.、Chicago,イリノイ,米国)を使用して行った。
【0236】
本追加研究のために、PAHの悪化を、以下の3つの観察全てが発生すること、と定義した:すなわち、第1回目の測定から14日以内の異なる日において行われた第2回目の6MWDによって確認された、ベースラインから少なくとも15%の6MWDの低下;PAHの症状の悪化;およびPAHのための更なる治療の必要性。PAHの症状の悪化を、以下の観察のいずれかであると定義した:すなわち、ベースラインからより高いWHO機能分類クラスへの変化したこと(またはベースラインにおけるWHO機能分類クラスIVにあった患者に変化が見られないこと);および経口利尿剤治療法に反応しない右心不全の兆候の出現または悪化。独立臨床事象委員会が、PAHに関連する全ての事象と、治療終了までに報告された全ての死とについて、盲検式に判断した。
【0237】
1年フォローアップにおいて、5件(17.9%)のPAH関連事象(2件の突然死を含む2件の新事象)があった。PAH関連事象のない患者における6MWDは467±100mであり、これは、ある事象を経験した患者で報告された393±42mよりも高かった(p=0.018)。したがって、6MWD<400mを有する患者は、PADN術後1年において、6MWD≧400mを有する患者におけるPAH関連事象率5.3%と比較して、PAH関連事象のより高い率(44.4%)を有した(p=0.010)。
【0238】
したがって、本追加研究は、PADN術が、6か月において6MWDと血行動態とにおいて有意な改善に関連付けられかつPAH関連事象がより少ないことを、示した。例えば、PADN術は肺動脈血行動態を著しく改善し、その後のPAH関連事象および再入院の頻度はより低いものであった。
【0239】
図25A~25Hは、図15C~15Dに例示したコントローラ100の代わりに使用され得るデジタルアブレーションコントローラ2500の様々な図である。コントローラ100と同様に、デジタルアブレーションコントローラ2500は、アブレーションエネルギーを提供するためにカテーテルのハンドル2に接続され得る。例えば、デジタルアブレーションコントローラ2500は、アブレーションエネルギーを提供しかつ図15Bの電極E1~E10を制御するように、構成され得る。
【0240】
概要を説明すると、デジタルアブレーションコントローラ2500は、PADN術の実施中に制御およびフィードバックの両方を行うための、単一の携帯型筐体を備える。デジタルアブレーションコントローラ2500は、電力量がアブレーションの公称限界値内となるように、電源(例えばバッテリーまたは送電網)から電極5へ提供する電力量を制御してもよい。また、デジタルアブレーションコントローラ2500は、様々な患者プロファイルの保存及び読み出しを可能にしてもよく、これらの様々な患者プロファイルは、カテーテル構成用の種々の構成設定および/またはカテーテルの電極への電力提供を含んでもよい。
【0241】
例えば、種々の患者プロファイルは、異なる電極についてそれぞれ異なる設定でPADN術を行うための、種々の設定を含んでもよい。また、デジタルアブレーションコントローラ2500はユーザーインターフェースを含んでもよく、そのユーザーインターフェースから、デジタルアブレーションコントローラの使用者または操作者が、手で制御を行う、および/または患者プロファイルからの情報を入力もしくは読み出してもよい。
【0242】
例えば、ユーザーインターフェースは、電極の動作特性(例えば、カテーテルのセンサにより取得されるアブレーション温度および時間)についての情報を含んでよく、また、デジタルアブレーションコントローラの使用者または操作者は、当該電極の動作特性に基づいてPADN術を行ってもよい。また、デジタルアブレーションコントローラの使用者または操作者は、ユーザーインターフェースから、アブレーション用に作動させる特定の1つの電極(または複数の電極)を直接選択してもよい。それによって、デジタルアブレーションコントローラは、ユーザーインターフェースを介して選択された適切な電極(複数可)へ電力(例えばバッテリーからの電力)を向かわせることになる。
【0243】
特定の実施形態では、デジタルアブレーションコントローラは、カテーテル上のセンサからのフィードバックに基づいてPADN術の自動制御を提供してもよい。例えば、電極の動作特性は、カテーテルのセンサによって取得され、PADN術の局面(例えば、アブレーションのロケーションにおける温度に基づいて当該特定のロケーションでアブレーションを行う時間)を制御するために使用され得る。
【0244】
特定の実施形態では、デジタルアブレーションコントローラは、多極同時肺動脈高周波アブレーションカテーテルの1以上の電極5を使用するアブレーション用に十分なレベルに電力を蓄積するように構成された、バッテリーを含む。バッテリーを直接使用することにより、電極への電力供給は、例えばローカル送電網によって提供される電力による場合のようにその場限りで電極へ提供される電力ではなく、蓄積された電力によって行われる。これによって、デジタルアブレーションコントローラが電力を利用可能となることに伴って電力が利用可能となるのではなく、デジタルアブレーションコントローラは、バッテリーが十分に充電されている限り、ローカル送電網に依存することなく機能できる。
【0245】
図25Aは、閉位置におけるデジタルアブレーションコントローラ2500の上面斜視図を例示する。この上面斜視図は、デジタルアブレーションコントローラ2500に接続された電力コード2504を例示する。例示されるように、デジタルアブレーションコントローラ2500は、多極同時肺動脈高周波アブレーションカテーテルの制御および電力ためのインターフェースを提供するように構成された、単一の筐体であってもよい。例えば、デジタルアブレーションコントローラ2500は、デジタルアブレーションコントローラ2500内の蓄積された(バッテリー)電力を使用してPADN術が行われえるように、電力を受け、蓄積してもよい。また、デジタルアブレーションコントローラ2500は、PADN術の種々の局面をデジタル制御することによって正確な電力制御を提供してもよい。PADN術の種々局面とは、アブレーションに使用する特定の電極(複数可)、特定の電極における電力、およびアブレーションの時間などである。デジタルアブレーションコントローラ2500はまた、図1~4で述べたような多極同時肺動脈高周波アブレーションカテーテル上の(電極のロケーションにおけるような)様々な点に配置されたセンサ(例えば温度センサおよび/またはインピーダンスセンサなど)からリアルタイムフィードバックを提供してもよい。
【0246】
図25Bは、開位置におけるデジタルアブレーションコントローラ2500の上面斜視図を例示する。ユーザーインターフェース2512は、デジタルアブレーションコントローラ2500の開位置において目視可能かつ使用可能である。また、取っ手2510がデジタルアブレーションコントローラ2500上に例示されている。図25Cは、開位置におけるデジタルアブレーションコントローラ2500の背面斜視図を例示する。
【0247】
図25Dは、デジタルアブレーションコントローラ2500の初期ユーザーインターフェース2526のスクリーンショットである。初期ユーザーインターフェースは、デジタルアブレーションコントローラ2500と相互作用するように選択され得るボタンを含む。例えば、初期ユーザーインターフェース2526は、ユーザーインターフェースの言語設定を変えるためのボタン2520と、デジタルアブレーションコントローラ2500に保存されたデータにアクセスするためのボタン2522と、デジタルアブレーションコントローラ2500の動作を開始するためのボタン2524とを例示している。
【0248】
図25Eは、PADN術を実施するための患者情報を入力するための選択肢を提示するユーザーインターフェース2530のスクリーンショットである。このユーザーインターフェースは、デジタルアブレーションコントローラ2500に保存された既存の患者プロファイルのブラウズを開始するためのボタン2532を含む。ユーザーインターフェースはまた、新たな患者プロファイル用に情報を入力するためのセクション2534も含む。その情報には、患者の名前、識別番号、年齢、性別、および、デジタルアブレーションコントローラ2500に関する様々なプリセットされた動作設定の選択内容、などが含まれる。ユーザーインターフェースはまた、当該患者プロファイルの患者に関する備考を入力するためのセクション2536も含む。
【0249】
図25Fは、PADN術の開始時におけるデジタルアブレーションコントローラ2500のユーザーインターフェース2540のスクリーンショットである。ユーザーインターフェース2540は、電力レベル2542と、時間2544と、温度2546と、カテーテルの電極のインピーダンス2548とに関する情報を含む。ユーザーインターフェースはまた、作動のためにアニュラリング4上の特定の電極5を選択可能とする、ボタンも含む。
【0250】
図25Gは、動作中のデジタルアブレーションコントローラ2500のユーザーインターフェース2550のスクリーンショットである。アブレーションは、当該ユーザーインターフェース上で強調表示された数字「2」で示された、電極2572に関連付けられたボタン2570などの特定の電極用のボタンを選択することにより、開始されてもよい。電極2572のインピーダンス、電力、および温度の時間に対する動作上の関係がグラフ2552上に示されている。例示する実施形態では、単一の電極が、ユーザーインターフェースにおいて選択され、アブレーションのために使用されるが、特定の実施形態では、アブレーションのために複数の電極が選択されて同時に使用される。また、アブレーションは、アブレーションのために使用される電極間で切り替えを行いながら、中断されてもよい。アブレーションのために異なる電極間で行う切り替えは、例えばデジタルアナログ/ソリッドステート切り替えなど、アブレーションに使用されるエネルギーを多極同時肺動脈高周波アブレーションカテーテルの種々の電極へ案内できるようにする、いかなるやり方で実施されてもよい。
【0251】
図25Hは、保存された患者プロファイルに関する情報を提示している、デジタルアブレーションコントローラ2500のユーザーインターフェースのスクリーンショット2580である。これらのユーザーインターフェースは、選択され得る2つの患者プロファイル2582、2584があることを示している。この患者プロファイルには、それぞれ、名前2586と、患者識別番号2588と、当該保存された患者プロファイルへの最後のアクセスの時間2590と、が示されている。このユーザーインターフェースはまた、様々な患者プロファイルをエクスポートするためのボタン2592と、選択された患者プロファイルを消去するための選択肢ボタン2594も含む。
【0252】
図26は、図25A~25Hのコントローラ2500内または図15C~15Dのコントローラ100内に実施されてもよい機械的切り替えシステム2600を例示する模式図である。機械的切り替えシステム2600は、ソース接点2602と、機械的スイッチ2604と、電極接点2606A~Jと、接地接点2610とを含む。ソース接点2602は、アブレーション用に十分なレベルのRFエネルギーの源に接続されてもよい。電極接点2606A~Jはそれぞれ、アブレーションに使用されてもよい異なる電極2608A~Jに接続されてもよい。接地接点2610は接地2612に接続されてもよい。電極2608A~Jはカテーテルの遠端部に位置づけられてもよい。機械的スイッチ2604は、物理的に動かされ得るダイアルまたはノブ2612の一部として作動され、それによって、機械的スイッチ2604がソース接点2602を特定の電極接点2606A~Jまたは接地接点2610に接続するようになっていてもよい。例えば、機械的スイッチ2604は、時計回りまたは反時計回り方向に物理的に動かされることによって、作動されてもよい。例示した実施形態では、スイッチ2604は、ソース接点2602を電極接点2606Aへ接続するように位置づけられている。
【0253】
図27は、図25A~25Hのコントローラ2500内または図15C~15Dのコントローラ100内において実施されてもよいソリッドステート切り替えシステム2700を例示する模式図である。図26の機械的切り替えシステム2600とは対照的に、ソリッドステート切り替えシステム2700は、物理的に動く可動部を使用することなく作動される。ソリッドステート切り替えシステム2700は、ソース接点2602と、信号源に接続されたセレクタ接点2702と、ソリッドステートスイッチ2704A~Jと、電極接点2606A~Jと、接地2612とを含んでもよい。電極接点2606A~Jはそれぞれ、アブレーションに使用されてもよい異なる電極2608A~Jに接続されている。ソース接点2602は、アブレーション用に十分なレベルのRFエネルギーの源に接続されてもよい。ソリッドステート切り替えシステムは、特定のソリッドステートスイッチ2704A~Jをしてソース接点2602を特定の電極接点2606A~Jへ接続させる特定の信号(例えば特定の電圧レベルに)にセレクタ接点2702を設定してもよい。例えば、ソリッドステート切り替えシステムは、ソリッドステートスイッチ2704Jを作動させる電圧レベルにセレクタ接点2702を設定してソース接点2602を電極接点2606Jへ接続し、それによって、アブレーション用に十分なレベルのRFエネルギーを電極接点2606Jに関連付けられた電極へ提供してもよい。また、ソリッドステートスイッチ2704Jがソース接点2602を電極接点2606Jに接続した状態で、他のソリッドステートスイッチ2704A~Iは、自己の関連付けられた電極接点2606A~Iと接地2612との間の接続を維持してもよい。ソリッドステートスイッチは、MOSFET、IGBT、バイポーラトランジスタ、およびサイリスタを含む、任意のタイプのソリッドステート装置を使用して実施されてもよい。
【0254】
図28は、図25A~25Hのコントローラ2500または図15C~15Dのコントローラ100において実施されてもよい汎用切り替えシステム2800を例示する図である。汎用切り替えシステム2800は、ソース接点2602を特定の電極接点2606A~Jへ接続するために、いかなるタイプの切り替えシステムを実施してもよい。例えば、汎用切り替えシステムは、機械的スイッチ、ソリッドステートスイッチ、または機械的スイッチとソリッドステートスイッチとの組合せを用いて実施されてもよい。
【0255】
本明細書で使用する、「動物」という用語は、ヒト、イヌなどの他の動物、他の哺乳動物などを含むことを意図している。本明細書で使用する、「生きる(live)」、「生きている(living)」、「生きている動物(live animal)」という用語は、安楽死の方法、解剖および死体解剖を含む死んだ動物に対して行われる手術、または他の死体を処分するための手法を除外することを意図している。
【0256】
少なくとも複数の異なる実施形態が本明細書で開示されているが、多数の変形例が存在することを理解されたい。本明細書で説明した実施形態は、請求する主題の範囲、適用範囲、または構成のいかなる限定も意図していない。むしろ、上記詳述した説明は、説明した実施形態を実施するための便利な手引きを当業者に提供するであろう。請求項によって定義される範囲から逸脱することなく、要素または工程の機能および配置において様々な変更がなされ得、これには、本特許の出願時に公知の等価物および予測可能な等価物が含まれることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図16G
図16H
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20
図21
図22A
図22B
図23A
図23B
図23C
図24A
図24B
図24C
図25A
図25B
図25C
図25D
図25E
図25F
図25G
図25H
図26
図27
図28