(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022028995
(43)【公開日】2022-02-17
(54)【発明の名称】荷こぼれ防止用の柵を備えた台車
(51)【国際特許分類】
B62B 3/02 20060101AFI20220209BHJP
B62B 5/00 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
B62B3/02 F
B62B5/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020130669
(22)【出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】398075851
【氏名又は名称】株式会社ホシプラ
(74)【代理人】
【識別番号】100104581
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 伊章
(72)【発明者】
【氏名】星川 和胤
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050CC06
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050KK11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】荷こぼれ防止のために台車の運搬台の側面に柵を設けた運搬台車でありながら、柵部分を取り外しや取り付けが簡単で、運搬中の振動で滑動したり滑落するのを防止できる運搬台車を提供すること。
【解決手段】天板1に、荷こぼれ防止用の柵2a、2b、3a、3bを備えた樹脂製台車において、柵は、樹脂製で、かつ、柵を収納する天板の収納溝4a、4b、5a、5b、が天板の側辺側に沿って配置されており、柵を使用するときは天板の収納溝から、天板に垂直方向に引き上げ可能で、柵を使用しないときは天板の収納溝の中に、天板に垂直方向に収納可能である、ことを特徴とする運搬台車。
【選択図】
図1(a)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板に、荷こぼれ防止用の柵を備えた樹脂製台車において、
上記柵は、樹脂製で
かつ、上記柵を収納する上記天板の収納溝が天板の側辺側に沿って配置されており、
上記柵を使用するときは天板の収納溝から、天板に垂直方向に引き上げ可能で、
上記柵を使用しないときは天板の収納溝の中に、天板に垂直方向に収納可能である、
ことを特徴とする運搬台車。
【請求項2】
上記柵は、差し込み部と切込み部を交互に備え、
上記差し込み部は
X舌部、Y溝部、Z舌部からなり、
上記舌部はそれぞれ下に凸で、柵の側面からみて下方に向かって突出しており、
上記X舌部と上記Z舌部の突出方向は柵の側面からみて左右反対方向であり、
上記Y溝部は、上記X舌部と上記Z舌部の間に設置されていて、
上記切込み部は、柵の上端を貫かないように設けられており、
かつ、上記天板の収納溝において、
柵を引き上げる際に指を挿入するために中央に円形もしくは楕円形の穴部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の運搬台車。
【請求項3】
上記柵は、
中央に摘み部と、その両側に差し込み部と切込み部を備え、
上記摘み部は、棚の正面から見て中央にあり、指で柵を摘むためにあり
上記差し込み部は
X舌部、Y溝部、Z舌部からなり、
上記舌部はそれぞれ下に凸で、柵の側面からみて下方に向かって突出しており、
上記X舌部と上記Z舌部の突出方向は柵の側面からみて左右反対方向であり、
上記Y溝部は、上記X舌部と上記Z舌部の間に設置されていて、
上記切込み部は、柵の上端を貫かないように設けられており、
かつ、上記天板の収納溝において、
柵を引き上げる際に指を挿入するために中央に円形もしくは楕円形の穴部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の運搬台車。
【請求項4】
上記柵の摘み部が、
2本の弁からなるストッパーで構成されていて、
上記弁はそれぞれ上記柵の側面からみて下方に向かって突出しており、
上記2本の弁の突出方向は上記柵の側面からみて左右反対方向であり、
柵を天板から引き上げて使用する時は
引き上げることにより、上記ストッパーの2本の弁は柵の側面からみて左右に突出して、
上記収納溝の穴部の凹みに落ちてそこで止まり、
柵を天板に収納する時は、
摘み部を指で摘むことにより上記ストッパーの2本の弁は突出は抑えられて、指を離した後は天板の溝部の壁によって突出が抑えられており、
その結果、上記収納溝の穴部の凹みからはずれ、収納可能となり、
かつ、
上記天板の各収納溝の中央にある円形もしくは楕円形の、穴部は、
収納溝に向かって下向きのスロープ構造になっており、
スロープの底面に矩形状の凹みを有している、
ことを特徴とする請求項3記載の運搬台車。
【請求項5】
上記差し込み部において
上記X舌部は柵の側面からみて突出する方向側に、上記X舌部の下部に膨らみがあり、
上記Z舌部は柵の側面からみて突出する方向側に、上記Z舌部の下部に膨らみがあり、
かつ、上記収納溝には柵が天板内に落ち込むことを防止するために
収納溝の内側には、上記X舌部、Y溝部及びZ舌部にそれぞれ対応する広さになるよう隙間が設けられており、
上記X舌部と上記Z舌部に対応する隙間は、
上部及び下部に上記 X舌部またはZ舌部の膨らみを収める空間があり、
その空間より上及び下に行くほど広くなっており、
上記Y溝部に対応する隙間は、隙間中間部において上記Y溝部の厚みにほぼ等しく、
上部及び下部は柵の厚みより広くなっている
請求項2または3記載の運搬台車。
【請求項6】
上記天板の収納溝において、
収納溝の上記穴部はスロープを有し、上記穴部と収納溝との境界がアールで処理されている、
請求項2または3記載の運搬台車。
【請求項7】
上記収納溝は、その両端部に柵の正面方向に突き出したリブが設けられている
請求項2または3記載の運搬台車。
【請求項8】
上記柵において、
上記柵の上縁部に、長辺方向に沿って、凹凸の膨らみからなる波型構造を有する
ことを特徴とする請求項2または3記載の運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物の運搬に用いる手押しの運搬台車に関し、中でも荷物の荷こぼれ防止のために取り付け可能な樹脂製柵を設けた樹脂製運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台車、なかでも手押し式の運搬台車のなかには、荷崩れ防止のために台車の運搬台の側面に、荷崩れ防止の柵を設けたものがある。
【0003】
荷崩れ防止のために台車の運搬台の側面に柵を設けた運搬台車は、柵が折り畳みでき、運搬中の振動で、滑動したり滑落するのを防止できるものがある。
【特許文献1】特開2012-144207
【0004】
しかしながら、従来の運搬用台車は、運搬台の側面に柵を設けた台車において、簡易な操作で柵の取り外しや取り付けが可能な台車はなかった。これは、柵を設けた台車の場合、柵を取り付けるのに時間がかかり、また一旦取り付けた柵を台車から取り外すには、煩雑で実用的でなかったからである。
【0005】
また、柵を取り付けるのに時間がかからないように柵を折り畳みにした場合、柵の上に荷物を載せてしまうと、柵を起こせないという課題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、上記現状に鑑みて、本発明では、荷こぼれ防止のために台車の運搬台の側面に柵を設けた運搬台車でありながら、当該柵部分を取り外しや取り付けが簡単で、運搬中の振動で、荷物が滑動や滑落するのを防止でき、荷物を載せた後でも、柵を設けることができる運搬台車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下の手段を用いて上記課題を解決した。
【0008】
すなわち、本発明は、天板に、荷こぼれ防止用の柵を備えた樹脂製台車において、上記柵は樹脂製で、かつ、上記柵を収納する上記天板の収納溝が天板の側辺側に沿って配置されており、上記柵を使用するときは天板の収納溝から、天板に垂直方向に引き上げ可能で、上記柵を使用しないときは天板の収納溝の中に、天板に垂直方向に収納可能であることを特徴とする運搬台車である。
【0009】
上記柵を使用するときは、引き上げ時に天板に垂直方向に引き上げられ、移動時の振動によって柵が収納溝に落ち込むことはないのが好ましい。
【0010】
上記柵を使用しないときは、天板の収納溝の中に、天板に垂直方向に収納可能あり、運搬台上面ができるだけ面一となる前記運搬台車であることが好ましい。
なお、柵は取り外さずそのまま収納溝に収納しておいてもよいが、取り外すことも可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の運搬台車によれば、台車に乗せた荷物を滑動や滑落させたくないときに、荷こぼれ防止用の柵をつくるため柵を収納溝から引き上げることができ、柵による凸が不要な時は、柵を取り外すか収納溝に収めることができる。柵を使用するかしないかの状況によって、柵を引き上げたり、収納溝に収納したり、また取り付けや取り外しができる。
一般的に、荷こぼれ防止用の柵がないと、荷物をロープやひもなどで固定しなければ、運搬中の振動のため、荷物の滑動や滑落を防止できない。一方、荷こぼれ防止用の柵が常時固定され取り外しができないと、運搬台上面に柵による突部が形成されることになり、保管時に容易に垂直に積み上げることができない。
荷こぼれ防止用の柵があると、柵を引き上げたときには運搬中の振動での運搬物の滑動や滑落を防止できる。柵を外した時には上面が面一となり柵による突部が形成されることがないので、保管時に容易に垂直に積み上げることができる。また本発明の柵は使用していないときは、収納溝の中に納まっていて天板の中に垂直方向に収納可能であり、上面が面一となるので保管時に容易に垂直に積み上げることができる。
また本発明の運搬台車によれば、柵の引き上げや収納に時間がかからず、また一旦取り付けた柵を台車から取り外すことも可能である。
【0012】
更には、従来の台車で、柵が固定されている場合、荷物を運ぶ時必ず持ち上げなければならないが、本発明の運搬台車は、柵を収納溝の中に入れることができるので、荷物を運ぶ時に持ち上げず、スライドして容易に運ぶことかできる。
また、従来の台車で、柵が折り畳みの場合は、柵の上に荷物を載せるともう柵を起こせないが、本発明の運搬台車は、柵を引き上げるだけであるので、荷物を載せた後に柵を使用することが容易である。
【0013】
また、前記柵の形状は、前後左右対称あるので、上下を間違えなければひっくり返しても、使用できる。すなわち、取り付けの時に、裏表を考えずに取り付けることができる。
【0014】
前記柵は、引き上げ時は垂直方向にまっすぐ引き上げられ、曲がることはなく、移動時の振動によって起立している柵が収納溝に落ち込むことがなく、当該柵部分を取り付けや取り外しが簡単で、荷物が運搬中の振動により、滑動、また滑落することを防止できる運搬台車を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の運搬台車を詳述する。ただし、本発明の運搬台車は、図面に示された態様に限定されるものではない。
【0016】
本発明の荷こぼれ防止用の柵を備えた台車は、荷物を搭載する天板1と前記天板1の側辺側に沿って配置された柵を具備するものである。
【0017】
図1(a)は、本発明の運搬台車の斜視図であり、上記運搬台車の天板1に前記運搬台上の柵2a、2b、3a、3bが取り付けられた場合の図である。
【0018】
天板1には、収納溝が天板の側辺側に沿って配置されており、上記天板の両方の長辺側に収納溝4a、4b、両方の短辺側に収納溝5a、5bが配置されている。
【0019】
上記柵2a、2b、3a、3bは、上記天板に取り付けおよび取り外しが可能である。上記柵は荷崩れ防止のためのものであり、
図1のように、前記天板1の側縁側に設けるものである。
【0020】
図1(b)は、柵を取り付けた場合の天板1の平面図であるが、天板1には、上記柵2a、2b、3a、3bを収納するために、それぞれ両方の長辺側に収納溝4a、溝4b、両方の短辺側に収納溝5a、5bが設けられている。
【0021】
図2(a)~(d) は、それぞれ上記柵2aの正面図、側面図、平面図及び底面図である。
図2(a)は、上記柵2aの正面図であり、上記柵は、差し込み部6と切込み部7を交互に備えている。
【0022】
上記差し込み部6は、X舌部、Y溝部、Z舌部からなり、Y溝部は、X舌部とZ舌部の間に設置されている。
上記切込み部7は、柵の上端を貫かないように設けられている。
【0023】
図2(b)は、前記柵2aの側面図である。X舌部とZ舌部の突出方向は柵の側面から見てそれぞれ左右のいずれかに互いに反対側に、下方に向かって突出している。
【0024】
図2(b)では、X舌部とZ舌部は、互いに反対の方向に突出しているが、柵の使用時で柵が起立しているときには
図6(a)及び(c)のようにX舌部とZ舌部の突出している部分が収納溝の中で、互いに反対方向に収納溝内部壁面を抑えて突出せず収納溝内部に収まる。
【0025】
上記X舌部とZ舌部が側面からみて左右反対方向に下方に向かって突出していることにより、互いに反対方向に収納溝内部壁面を抑えるので、起立している柵が振動によって収納溝に落ち込むことを防ぐ効果がある。
【0026】
上記柵の各舌部が下に突出していても、収納溝の中で納まるのは、上記柵が樹脂製であり、樹脂のもつ「ばね性」の特徴を利用している。
【0027】
なお、
図2(a)では、X舌部、Y溝部、Z舌部と3つで1つのユニットとしているが、3つに限られることはなく、Y舌部を中心に両側に対としてX舌部とZ舌部があり、両側でバランスよく強度を増すことができればよい。
【0028】
一方、上記天板の収納溝において、
図3(a)は、柵を挿入していない場合の、収納溝4aの断面図である。
【0029】
上記柵のX舌部、Y溝部、Z舌部は、それぞれ
図3(a)の収納溝のx、y、zの位置に収まることになる。
【0030】
また
図3(a)には柵を引き上げる際に指を挿入するために中央に円形もしくは楕円形の穴部9が設けられている。
【0031】
この穴部9によって、指を挿入する空間ができ、柵を容易に摘まむことができる。
【0032】
よって、本発明の樹脂製台車は、天板に、荷こぼれ防止用の柵を備えた樹脂製台車であり、上記柵は、差し込み部と切込み部を交互に備え、上記差し込み部はX舌部、Y溝部、Z舌部からなり、
上記舌部はそれぞれ下に凸で、柵の側面からみて下方に向かって突出し、
上記X舌部とZ舌部の突出方向は柵の側面からみて左右反対方向であり、
上記Y溝部は、上記X舌部と上記Z舌部の間に設置されていて、
上記切込み部は、柵の上端を貫かないように設けられており、
かつ、上記天板の収納溝において、
柵を引き上げる際に指を挿入するために中央に円形もしくは楕円形の穴部が設けられている台車である。
【0033】
また上記柵には、中央部に摘み部8を設けているのが好ましい。
【0034】
図2(a)にあるように、摘み部8を設ける場合は、上記柵の中央部に設ける。中央部に設けるのは柵の引き上げと収納の際に、柵が傾かないようにためである。摘み部は、複数あってもよいが、その場合は複数の摘み部は、柵が傾かないところに設置する。
【0035】
図2(a)で、上記柵の摘み部8は、2本の弁からなるストッパーで構成されている。
上記弁はそれぞれ側面からみて下方に向かって突出しており、上記2本の弁の突出方向は柵の側面からみて左右反対方向である。
図2(c)の柵の平面図にあるように、上面から見ると、摘み部8の2本の弁は、互いに反対方向に突出している。
【0036】
一方、
図3(a)に示すように、上記天板の各収納溝の中央にある円形もしくは楕円形の、穴部9は、収納溝に向かって下向きのスロープ構造である。穴部9のスロープの底面には、凹み10を有している。凹み10は、矩形状の凹みである。
【0037】
図4(a)と
図4(b)は、上記柵を引き上げた際の、上記柵と収納溝の拡大の斜視図である。
図4(c)は、上記柵を引き上げた際の、上記柵と収納溝の拡大の平面図である。
【0038】
図4(a)で、柵を使用する時は、天板の収納溝から引き上げることにより、上記ストッパーである摘み部8の2本の弁は柵の側面からみて下方に向かって左右反対方向に突出しているので、2本の弁の先端はそれぞれ収納溝の穴部の凹み10a、10bに落ちてそこで止まる。
【0039】
上記穴部の凹み10a、10bは、矩形状の凹みであり、2本の弁からなるストッパーとしての摘み部8が、穴部の凹み10a及び10bに留めるようになっており、その結果、引き上げた際に柵が落下を防ぐ。
【0040】
また柵を使用しない時は、天板の収納溝は、摘み部を指で摘むことにより上記ストッパーである摘み部8の2本の弁は突出が抑えられて、指を離した後は天板の溝部の壁によって突出が抑えられて、その結果、上記収納溝の穴部の凹みからはずれ、収納可能となる。
一旦収納溝に収まると、摘み部8の2本の弁は収納溝の壁により抑えられる。
【0041】
ストッパーの役割というのは、柵を天板から引き上げる時に、2本の弁の先端が、穴部に留まるようになり、その結果、起立している柵が収納溝に落ち込むことを防ぐからである。
【0042】
上記柵が樹脂製であり、上記ストッパーの2本の弁は、樹脂のもつ「ばね性」の特徴を利用している。
【0043】
上記柵側の摘み部8と上記天板の収納溝の穴部の凹み10の両方によって、引き上げた際の柵の落下防止が可能となる。
よって、本発明の台車は、上記柵の摘み部が、2本の弁からなるストッパーで構成されていて、上記弁はそれぞれ側面からみて下方に向かって突出しており、上記2本の弁の突出方向は柵の側面からみて左右反対方向であり、柵を天板から引き上げて使用する時は引き上げることにより、上記ストッパーの2本の弁は柵の側面からみて左右に突出して、収納部の穴にある凹みに落ちてそこで止まり、柵を天板に収納する時は、摘み部を指で摘むことにより上記ストッパーの2本の弁が抑えられ、指を離した後に天板の溝部の壁によって突出が抑えられており、その結果前記天板穴の柵挿入部からはずれ、収納可能となり、かつ、上記天板の各収納溝の中央にある円形もしくは楕円形の、穴部は、収納溝に向かって下向きのスロープ構造になっており、スロープの底面に矩形状の凹みを有している、台車である。
【0044】
これにより、柵が、使用時に移動時の振動によって収納溝に落ち込むことがなく、荷物が運搬中の振動による滑動や滑落することを防止でき、しかも当該柵部分を引き上げや収納が簡単な運搬台車を提供する。
【0045】
図8は、収納溝の穴部9にストッパーがどのように留まるかの概要を示す説明図であり、(1)は、穴部9の拡大平面図、(2)は柵側面から見た穴部9の拡大断面図(柵なしの状態)、(3)は柵側面から見た穴部9の拡大断面図(柵ありの状態)である。
なお、
図8に示すように、不意に柵に上からの過重がかかったときに、摘み部が2本の弁が破損しないよう、収納溝の上記穴部はスロープを有し、上記穴部と収納溝との境界がアールで処理されているものが好ましい。
【0046】
さらに、移動時の振動によって取り付けた柵が収納溝から外れることがなく、また収納溝に落ち込むことがなく、しかも当該柵部分の取り付けや取り外しが簡単で、運搬中の振動による滑動や滑落することを防止できる手段として、差し込み部6におけるX舌部、Y溝部、Z舌部の構造と、それに対応する収納溝の構造がある。
【0047】
以下、
図5(a)~(d)、
図6(a)~(c) および
図7を用いて説明する。
図5(a)は、上記柵を取り付けた場合の台車の側面図である。A-A断面は、上記柵の摘み部での断面であり、B-B断面は、上記柵のZ舌部での断面であり、C-C断面はY溝部の断面である。
図5(b)は、A-A断面図、
図5(c)は、B-B断面図、
図5(d)は、C-C断面図である。
図6(a)は、上記柵が、上記収納溝に取り付けられた際の、X舌部における断面拡大斜視図である。
図6(b)は、上記柵が、上記収納溝に取り付けられた際の、Y溝部における断面拡大斜視図である。
図6(c)は、上記柵が、上記収納溝に取り付けられた際の、Z舌部における断面拡大斜視図である。
図7は、上から、(1)X舌部に対応する収納溝の断面のイメージ図、(2)Y溝部に対応する収納溝の断面のイメージ図、(3)Z舌部に対応する収納溝の断面のイメージ図である。
【0048】
図6(a) は、X舌部における断面拡大斜視図であるが、上記差し込み部6において、柵の側面からみてX舌部は突出する方向側の下部に膨らみ11を有する。
【0049】
一方、上記X舌部に対応する収納溝の内側の隙間は、上部及び下部に上記 X舌部の膨らみを収める空間があり、その空間より上及び下に行くほど広くなっている。
図6(a)は、柵の使用時に柵を引き上げた状態である。X舌部の膨らみ11は、収納溝の上部の空間16に収まり係合する。
【0050】
柵を使用せず収納溝に収納するときは、収納溝の隙間は、下に行くほど広くなっているので、X舌部の突出は収納溝内部の壁面に抑えられることなく開放される。
【0051】
図7の点線で囲った部分13は、柵を引き上げたときに、X舌部が接する収納溝要部である。
【0052】
図6(b) は、Y溝部における断面拡大斜視図であるが、上記差し込み部6において、Y溝部における膨らみはない。
【0053】
一方、収納溝の内側には、
図6(b)に示すように、上記Y溝部に対応する隙間は、隙間中間部において上記Y溝部の厚みにほぼ等しく、上部及び下部は柵の厚みより広くなっている。
図7の点線で囲った部分14は、Y溝部に対応しており、返り形状である。
【0054】
図7の点線で囲った部分14は、柵を引き上げたときに、Y溝部が接する収納溝要部である。
【0055】
図6(c) はZ舌部における断面拡大斜視図であるが。上記差し込み部6において、柵の側面からみてZ舌部は突出する方向側の下部に膨らみ12を有する。X舌部とは逆方向であるが、同様の膨らみである。一方、上記Z舌部に対応する収納溝の内側の隙間は、上部及び下部に上記Z舌部の膨らみを収める空間があり、その空間より上及び下に行くほど広くなっている。
図6(c)は、柵の使用時に柵を引き上げた状態である。Z舌部の膨らみ12は、収納溝の上部の空間17に収まり係合する。柵を使用せず収納溝に収納するときは、収納溝の隙間は、下に行くほど広くなっているので、Z舌部の突出は収納溝内部の壁面に抑えられることなく開放される。
開放される。
【0056】
図7の点線で囲った部分15は、柵を引き上げたときに、Z舌部が接する収納溝要部である。
【0057】
上記の構造は、起立している柵が振動によって収納溝に落ち込むことを防ぐ効果がある。
【0058】
X舌部の膨らみ11及びZ舌部の膨らみ12は、移動時の振動によって起立した柵が収納溝に落ち込むことのないように、ストッパーの役目を果たしている。
【0059】
これら舌部の膨らみが、収納溝の中で納まるのは、上記柵が樹脂製であり、樹脂のもつ「ばね性」の特徴を利用している。
【0060】
図6(a)及び
図6(c) において、X舌部及びZ舌部とそれに対応する収納溝はどちらも対応する広さになるよう隙間が設けられており同じ構造である。すなわち、
図7の(1)と、
図7の(3)は、全く同じ溝形状である。X舌部とZ舌部が、柵の側面から見て互いに逆方向に突出し、突出した方向に膨らみ11と膨らみ12があり、両側でストッパーの役目を果たしている。
【0061】
すなわち、本願の台車は、上記差し込み部6において、X舌部は柵の側面から見て突出する方向側に、下部に膨らみがあり、Z舌部は柵の側面から見て突出する方向側に、下部に膨らみがあり、かつ、柵が天板内に落ち込むことを防止するために収納溝の内側には、X舌部、Y溝部、Z舌部にそれぞれ対応する広さになるよう隙間が設けられており、X舌部とZ舌部に対応する隙間は、上部及び下部に X舌部またはZ舌部の膨らみを収める空間があり、その空間より上及び下に行くほど広くなっており、Y溝部に対応する隙間は、隙間中間部において上記Y溝部の厚みにほぼ等しく上部及び下部は柵の厚みより広くなっている、台車である。
【0062】
また前記収納は、その両端部に、柵の正面方向に突き出したリブが設けられていることが好ましい。
図3(a)では、上記収納部の両端部にリブ18が、設けられている。
このリブは、柵を引き上げる際に斜めにならないように垂直に引き上げるために設けている。
【0063】
また柵の収納時に台車が傾いたり転倒したりした場合、柵が飛び出してしまうことがある。しかし、柵に波型構造を設けることで、柵の引き上げ時の抵抗を軽減しかつ収納時の柵を防ぐ効果がある。よって、上記柵において、上記柵の上縁部に、長辺方向に沿って、凹凸の膨らみからなる波型構造を有することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の運搬台車は、荷物の荷こぼれ防止のために取り付け可能な樹脂製柵を設けた樹脂製運搬台車として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1(a)】本発明の運搬台車において、柵を取り付けた状態を示した斜視図である。
【
図1(b)】本発明の運搬台車の天板において、柵を取り付けた状態を示した平面図である。
【
図3(a)】運搬台車の天板の収納溝の、断面図(柵がない状態)である。
【
図3(b)】運搬台車の天板の収納溝の断面図(柵を取り付けた状態)である。
【
図5(a)】上記柵を取り付けた場合の台車の側面図である。
【
図5(b)】
図5(a)側面図におけるA-A断面図である。
【
図5(c)】
図5(a)側面図におけるB-B断面図である。
【
図5(d)】
図5(a)側面図におけるC-C断面図である。
【
図6(a)】上記柵が、上記収納溝に取り付けられた際の、X舌部における断面拡大斜視図である。
【
図6(b)】上記柵が、上記収納溝に取り付けられた際の、Y溝部における断面拡大斜視図である。
【
図6(a)】上記柵が、上記収納溝に取り付けられた際の、Z舌部における断面拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0066】
1 運搬台車の天板
2a、2b 天板の長辺側の柵
3a、3b 天板の短辺側の柵
4a、4b 天板の長辺側の収納溝
5a、5b 天板の短辺側の柵
6 柵の差し込み部
7 柵の切込み部
8 柵の摘み部
9 収納溝の穴部
10a、10b 収納溝の穴部の凹み
11 X舌部の膨らみ
12 Z舌部の膨らみ
13 X舌部に対応する収納溝要部
14 Y溝部に対応する収納溝要部
15 Z舌部に対応する収納溝要部
16 収納溝上部の空間
17 収納溝上部の空間
18 収納溝のリブ
【手続補正書】
【提出日】2020-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
【
図1(a)】本発明の運搬台車において、柵を取り付けた状態を示した斜視図である。
【
図1(b)】本発明の運搬台車の天板において、柵を取り付けた状態を示した平面図である。
【
図3(a)】運搬台車の天板の収納溝の、断面図(柵がない状態)である。
【
図3(b)】運搬台車の天板の収納溝の断面図(柵を取り付けた状態)である。
【
図5(a)】上記柵を取り付けた場合の台車の側面図である。
【
図5(b)】
図5(a)側面図におけるA-A断面図である。
【
図5(c)】
図5(a)側面図におけるB-B断面図である。
【
図5(d)】
図5(a)側面図におけるC-C断面図である。
【
図6(a)】上記柵が、上記収納溝に取り付けられた際の、X舌部における断面拡大斜視図である。
【
図6(b)】上記柵が、上記収納溝に取り付けられた際の、Y溝部における断面拡大斜視図である。
【
図6(c)】上記柵が、上記収納溝に取り付けられた際の、Z舌部における断面拡大斜視図である。