(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029010
(43)【公開日】2022-02-17
(54)【発明の名称】マスク用冷却シート及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220209BHJP
A62B 18/08 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/08 D
A41D13/11 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020132092
(22)【出願日】2020-08-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)WEBサイト WEBサイトのアドレス https://onelifeshop.net/page_411.html 掲載日:令和2年4月24日 (2)WEBサイト WEBサイトのアドレス https://onelifeshop.net/page_412.html https://www.youtube.com/watch?v=bZhanFWSJHY&feature=emb_logo 掲載日:令和2年6月13日
(71)【出願人】
【識別番号】513007930
【氏名又は名称】テクナード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(72)【発明者】
【氏名】原 真澄
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA09
(57)【要約】
【課題】熱中症対策及びウイルス対策に優れたマスク用冷却シートを提供する。
【解決手段】2枚の基材シートの間に、多数のシリカゲルの粒が層状に分布した調湿層が形成された調湿シート10と、気化熱を利用して冷却する冷却層20と、抗菌層30とを備え、調湿シート10の一方の面に冷却層20が形成され、調湿シート10の他方の面に抗菌層30が形成されているマスク用冷却シート1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の基材シートの間に、多数のシリカゲルの粒が層状に分布した調湿層が形成された調湿シートと、
気化熱を利用して冷却する冷却層と、
抗菌層とを備え、
前記調湿シートの一方の面に前記冷却層が形成され、前記調湿シートの他方の面に前記抗菌層が形成されていることを特徴とするマスク用冷却シート。
【請求項2】
前記マスク用冷却シートは、横長の八角形状である
請求項1に記載のマスク用冷却シート。
【請求項3】
前記抗菌層側がマスクと対面するよう前記マスクに装着される
請求項1または2に記載のマスク用冷却シート。
【請求項4】
前記マスク用冷却シートは、水に濡らして使用される
請求項1~3のいずれか一項に記載のマスク用冷却シート。
【請求項5】
請求項1または2に記載のマスク用冷却シートを水に濡らした後、前記抗菌層側がマスクと対面するよう前記マスクに装着して使用することを特徴とするマスク用冷却シートの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク用冷却シート及びその使用方法に関し、詳しくはマスクに装着して使用するマスク用冷却シート及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、花粉対策、風邪対策、ウイルス対策、防寒対策、防塵対策等としてマスクの着用が拡大している。マスクは飛沫の拡散予防に有効であるが、マスクを着用していない場合と比べると、心拍数や呼吸数、血中二酸化炭素濃度、体感温度が上昇する等、身体に負担がかかる。したがって、高温や多湿といった環境下でのマスク着用は、熱中症のリスクが高くなるおそれがあるため、屋外で人と十分な距離が確保できる場合には、マスクをはずすように推奨されている。
【0003】
しかし、屋内や人と十分な距離が確保できない場合には、マスクを装着せざるを得ず、夏期の気温・湿度が高い中でマスクを着用すると、熱中症のリスクが高くなる。
【0004】
そこで、熱中症対策グッズとして、吸汗速乾素材を使用したマスク用フィルターが提案されている(非特許文献1)。
【0005】
しかしながら、非特許文献1に記載のマスク用フィルターは、熱中症対策としての冷感を目的とするものであり、ウイルス対策としては不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Makuake,“接触冷感、紫外線遮蔽率(UVカット)の検査結果は好結果でした”,[online],[令和2年6月30日検索],インターネット<https://www.makuake.com/project/ms_mask/communication/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、熱中症対策及びウイルス対策に優れたマスク用冷却シート及びその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のマスク用冷却シートは、2枚の基材シートの間に、多数のシリカゲルの粒が層状に分布した調湿層が形成された調湿シートと、気化熱を利用して冷却する冷却層と、抗菌層とを備え、前記調湿シートの一方の面に前記冷却層が形成され、前記調湿シートの他方の面に前記抗菌層が形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のマスク用冷却シートの使用方法は、前述のマスク用冷却シートを水に濡らした後、前記抗菌層側がマスクと対面するよう前記マスクに装着して使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱中症対策及びウイルス対策に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一態様に係るマスク用冷却シートを示す斜視図である。
【
図2】本発明の一態様に係るマスク用冷却シートを示す背面図である。
【
図3】本発明の一態様に係るマスク用冷却シートを示す正面図である。
【
図4】本発明の一態様に係る調湿シートを示す断面図である。
【
図5】本発明の一態様に係るマスク用冷却シートの使用方法を説明する模式図であり、(a)はプリーツ型マスクの模式図、(b)はプリーツ型マスクへの本発明の一態様に係るマスク用冷却シートの装着方法を説明する模式図である。
【
図6】本発明の別の態様に係るマスク用冷却シートを示す背面図である。
【
図7】本発明の別の態様に係るマスク用冷却シートを示す正面図である。
【
図8】本発明の別の態様に係るマスク用冷却シートの使用方法を説明する模式図であり、(a)は立体型マスクの模式図、(b)は立体型マスクへの本発明の別の態様に係るマスク用冷却シートの装着方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<概要>
本発明の一態様に係るマスク用冷却シートは、2枚の基材シートの間に、多数のシリカゲルの粒が層状に分布した調湿層が形成された調湿シートと、気化熱を利用して冷却する冷却層と、抗菌層とを備え、前記調湿シートの一方の面に前記冷却層が形成され、前記調湿シートの他方の面に前記抗菌層が形成されていることを特徴としている。
【0013】
この態様によれば、熱中症対策及びウイルス対策に優れている。
【0014】
また、前記マスク用冷却シートは、横長の八角形状である
【0015】
この態様によれば、マスクへの装着性が向上する。
【0016】
さらに、前記抗菌層側がマスクと対面するよう前記マスクに装着される。
【0017】
この態様によれば、熱中症対策及びウイルス対策にさらに有効である。
【0018】
また、前記マスク用冷却シートは、水に濡らして使用される。
【0019】
この態様によれば、冷却層が水を含み、その水分が蒸発する際、周囲の熱を奪う気化冷却効果で口元がひんやり快適になる。
【0020】
本発明の他の態様に係るマスク用冷却シートは、前述のマスク用冷却シートを水に濡らした後、前記抗菌層側がマスクと対面するよう前記マスクに装着して使用する。
【0021】
この態様によれば、熱中症対策及びウイルス対策に優れている。
【0022】
<実施の形態>
(第1の実施形態)
以下、本発明の一態様に係るマスク用冷却シートについて、図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の一態様に係るマスク用冷却シートを示す斜視図である。
図2は、本発明の一態様に係るマスク用冷却シートを示す背面図である。
図3は、本発明の一態様に係るマスク用冷却シートを示す正面図である。
【0024】
以下、図面において、矢印UPの方向は上方向、矢印DNの方向は下方向、矢印Lの方向は左方向、矢印Rの方向は右方向をそれぞれ示す。
【0025】
1.全体構成
本実施形態のマスク用冷却シート1は、横長の八角形状であり、調湿シート10の片面に冷却層20が形成され、調湿シート10の他方の面に抗菌層30が形成されてなる。
【0026】
マスク用冷却シート1の形状は特に限定はないが、マスクへの装着性の観点から、横長の八角形状が好ましい。マスクは通常横長であるため、正八角形ではなく、横長の八角形状のマスク用冷却シート1を使用する方がマスクへよりフィットしやすくなり、装着性が向上する。
【0027】
図1~
図3に示すマスク用冷却シート1は、上端部11,下端部12、左右端部13,14の4辺の長さが略同じであるが、上下方向よりも左右方向の長さが少し長い横長の八角形状である。
【0028】
図5は、本発明の一態様に係るマスク用冷却シートの使用方法を説明する模式図であり、(a)はプリーツ型マスクの模式図、(b)はプリーツ型マスクへの本発明の一態様に係るマスク用冷却シートの装着方法を説明する模式図である。
【0029】
図5(a)に示すように、マスク200は、通常、上下方向よりも耳部方向(左右方向)が長い横長の形状である。したがって、
図5(b)に示すように、横長の八角形状のマスク用冷却シート1の上端部11,下端部12が、マスク200の短手方向(上下方向)に、マスク用冷却シート1の左右端部13,14が、マスク200の左右方向(耳側方向)になるように装着することが好ましい。
【0030】
このようにすると、八角形状のマスク用冷却シート1の八箇所の頂点15でマスク200を支持するため、マスク200内でマスク用冷却シート1がずれにくくなり、マスク200への装着性が向上する。
【0031】
マスク用冷却シート1の大きさは特に限定はないが、長手方向(左右方向)の長さが通常110~130mm、好ましくは115~125mmであり、短手方向(上下方向)の長さが通常90~110mm、好ましくは95~105mmである。
【0032】
2.調湿シート
図4は、本発明の一態様に係る調湿シートを示す断面図である。
【0033】
調湿シート10は、2枚の基材シート2,3の間に、多数のシリカゲル6の粒が層状に分布した調湿層9を備える。
【0034】
調湿シート10は、例えば、基材シート2と基材シート3との間に、多数の粒状をなすシリカゲル6を挟み、縫合や熱溶着等により固定して調湿層9を形成することにより作製することができる。
【0035】
調湿シート10は可撓性で通気性を備え、内部に吸湿機能を有する材料を備えている。そのため、汗の吸水性に優れている。
【0036】
2-1.基材シート
基材シート2,3は、特に限定はないが、通気性を備え、空気や湿分を透過可能なものが好ましく、例えば不織布、織布、編物等が用いられる。基材シート2,3の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂、レーヨン等が使用できる。基材シート2はウェブ7の集合体であり、同じく基材シート3はウェブ8の集合体である。
【0037】
2-2.調湿層
調湿層9の材質は、吸湿機能や消臭機能に優れ、即効性がある点でシリカゲルが使用される。シリカゲルは水分の他に空気中に飛散する臭いの元であるアンモニア、トリメチルアミン、硫化水素、メルカプタンや、加齢臭の原因となるノネナールガス等も吸着し消臭機能をも有する。したがって、マスク内にこもった湿気や臭い等を除去することができる。
【0038】
調湿層9は、
図4に示すように、基材シート2,3間において層状(図では4層)をなし、基材シート2,3の対向面4,5間に全体に亘り均一に分布してなる多数のシリカゲル6の集合体である。シリカゲル6を上下両側から挟持した状態において、基材シート2,3の対向面4,5は、
図4において拡大して示すように、基材シート2,3の構成素材であるウェブ7,8により互いに縫合されている。
【0039】
シリカゲル6を固定するために、基材シート2と基材シート3との重合部分にはシリカゲル6を上下両側から挟持した状態においてニードルパンチが複数箇所に亘って施されている。すなわち各ニードルパンチの箇所において基材シート2と基材シート3のウェブ7,8同士が機械的に絡み合うことにより、その絡み合った各箇所付近に基材シート2と基材シート3とが接合され固定されている。これにより、ウェブ7,8により対向面4と対向面5との間が縫合された基材シート2と基材シート3にてシリカゲル6は層状をなしたまま移動不能に挟着保持されている。
【0040】
シリカゲル6の粒は、多数の微細貫通孔を有しており、高湿度雰囲気下では表面吸着又は毛細管現象により空気中の水分を吸収し、乾燥雰囲気下では吸収した水分を放出し得る機能を有するものが好ましい。そのため、かかる吸湿機能及び放湿機能を良好にするべく、本実施形態におけるシリカゲル6には微細空間容積が0.5~1.0ml/g及び表面積が650~350m2/gの範囲内にあるものが好ましい。
【0041】
また、微細貫通孔の孔径は30~120オングストロームのものが吸湿機能等を良好に発揮する上で好ましい。
【0042】
このように、多数のシリカゲル6の粒が基材シート2と基材シート3とに挟持されることで、高い調湿性、防湿性、消臭性を長時間に亘って保つことができる。
【0043】
調湿シート10は、定期的に天日に干すと吸湿機能が再生し、繰り返し使用することができるECO製品である。
【0044】
【0045】
冷却層20は、気化熱を利用して冷却するクーリング素材で構成されている。
【0046】
クーリング素材としては、例えば、異型断面化した気化促進繊維があげられ、具体的にはユニチカ社製の「打ち水(登録商標)/Uchimizu(登録商標)」や、「打ち水・ドライ(登録商標)/Uchimizu Dry(登録商標)」等があげられる。これらは、吸水速乾性に優れている。
【0047】
冷却層20は、気化熱を利用して温度を下げる効果があるため、水に少し濡らして使用することが好ましい。
【0048】
また、冷却層20は、汗をすばやく吸収し、蒸発を加速させる。汗の蒸発時に多くの気化熱が奪われるため、口元が冷却される。
【0049】
冷却層20の厚さは、通常0.1~1mmであり、好ましくは0.2~0.8mmである。
【0050】
【0051】
抗菌層30の材質は特に限定はないが、抗菌剤を練り込んだポリエステル糸が好ましい。具体的には、抗菌剤を練り込んだ抗菌ポリエステル糸(リブフレッシュ(登録商標)Pスーパー、KBセーレン社製)と、吸水速乾ポリエステル糸(ソアリオン(登録商標)YC、KBセーレン社製)とを織編したポリエステル糸があげられる。このポリエステル糸を使用することにより、銀イオンの優れた抗菌効果によりさまざまな菌の増殖を抑制できるとともに、Y型異型断面の毛細管現象により水分を素早く吸収・乾燥しマスク内を快適に保つことができる。また、吸水速乾性に優れるため、洗濯しても直ぐに乾くという利点もある。
【0052】
なお、抗菌剤を練り込んだポリエステル糸の表面に、酸化タングステン(WO3)や酸化チタン(TiO2)等を主成分とする光触媒を塗布することも可能である。光触媒に光があたると、触媒作用を発揮し、有機化合物(ウイルス、菌、臭い物質等)を二酸化炭素と水に酸化分解することで消滅させることができるため好ましい。
【0053】
抗菌層30の厚さは、通常0.1~1mmであり、好ましくは0.2~0.8mmである。
【0054】
5.マスクの種類(形)
本実施形態のマスク用冷却シートの使用対象となるマスクの種類(形)は、通常、次の3つのタイプに分けられる。
(1)一般的なガーゼマスクと称される「平型マスク」。
(2)立体的になるプリーツ構造を採用した「プリーツ型マスク」。
(3)顔のラインに沿った形で密着性を高めた「立体型マスク」。
【0055】
図1~
図3に示す本実施形態のマスク用冷却シート1は、プリーツ型マスク(
図5参照)に使用することが好ましい。マスク用冷却シート1の上端部11または下端部12が、プリーツ(ひだ、折り目)の折り目に引っかかるため、マスク内でマスク用冷却シート1がずれにくくなり、マスクへの装着性が向上する。
【0056】
6.マスク用冷却シートの使用方法
本実施形態の横長の八角形状のマスク用冷却シート1を、プリーツ型マスク200に使用する場合について、主に
図5を用いて説明する。
【0057】
なお、プリーツ型マスク200の材質は特に限定はなく、例えば、不織布、綿等があげられる。
【0058】
まず、上下方向に一定間隔で設けられた複数のプリーツ201を有するプリーツ型マスク200を準備する(
図5(a)参照)。なお、210はマスクの裏面(使用者の口部と接する側の面)を示す。
【0059】
次に、マスク用冷却シート1を水に濡らして軽く絞り、抗菌層30側がプリーツ型マスク200の裏面210と対面し、冷却層20側が表側になるように装着する(
図5(b)参照)。
【0060】
この際、横長の八角形状のマスク用冷却シート1の上端部11,下端部12が、プリーツ型マスク200の短手方向(上下方向)に、マスク用冷却シート1の左右端部13,14がプリーツ型マスク200の左右方向(耳側方向)になるように装着する。マスク用冷却シート1の上端部11または下端部12を、プリーツ201の折り目に当接させて装着すれば、プリーツ型マスク200との密着性が高くなり、より好ましい。
【0061】
このようにマスク用冷却シート1を水に濡らすことにより、冷却層20が水を含み、その水分が蒸発する際、周囲の熱を奪う気化冷却効果で口元がひんやり快適になる。
【0062】
本実施形態のマスク用冷却シート1は、繰り返し使用することができる。しかも、冷却層20は吸水速乾性に優れるため、洗濯後の乾燥も早い。
【0063】
また、本実施形態のマスク用冷却シート1の装着時には、マスクとの間にわずかな空間ができるため、口紅等がつきにくくなり、化粧くずれしにくくなる。
【0064】
さらに、本実施形態のマスク用冷却シート1は、湿気を吸湿するため、メガネがくもりにくくなる。
【0065】
(第2の実施形態)
以下、本発明の別の態様に係るマスク用冷却シートについて、主に
図6及び
図7を用いて説明する。
【0066】
図6は、本発明の別の態様に係るマスク用冷却シートを示す背面図であり、
図7は、本発明の別の態様に係るマスク用冷却シートを示す正面図である。
【0067】
1.全体構成
本実施形態に係るマスク用冷却シート101は、切欠き140,150を形成した以外は、前述した横長の八角形状のマスク用冷却シート1(
図1~
図3参照)と略同様の構成である。
【0068】
本実施形態のマスク用冷却シート101は、調湿シート(図示せず)の片面に冷却層120が形成され、調湿シート(図示せず)の他方の面に抗菌層130が形成されてなる。
【0069】
2.調湿シート
本実施形態における調湿シートは、第1の実施形態で例示した調湿シート10と同様の構成であるため、ここでの説明は省略する。
【0070】
3.冷却層
本実施形態における冷却層120は、第1の実施形態で例示した冷却層20と同様の構成であるため、ここでの説明は省略する。
【0071】
4.抗菌層
本実施形態における抗菌層130は、第1の実施形態で例示した抗菌層30と同様の構成であるため、ここでの説明は省略する。
【0072】
5.切欠き
本実施形態に係るマスク用冷却シート101は、上端部111の中央に三角形状の切欠き140を有し、下端部112の中央に三角形状の切欠き150を有する。
【0073】
図6及び
図7に示す形状のマスク用冷却シート101は、
図1~
図3に示す横長の八角形状のマスク用冷却シート1の上端部11の中央及び下端部12の中央を、三角形状に切欠くことにより作製することができる。
【0074】
切欠きの形状は特に限定はないが、本実施形態の切欠き140,150は、マスク用冷却シート101の内側から外側(上端部111または下端部112)に向かって拡幅する三角形状の切り込み(スリット)である。
【0075】
本実施形態に係るマスク用冷却シート101は、上側の切欠き140が下側の切欠き150よりも三角形状が大きいが、切欠きの大きさについては特に限定はなく、上側の切欠き140が下側の切欠き150よりも三角形状が小さくてもよく、また上側の切欠き140と下側の切欠き150が同じ大きさ(形状)であっても差し支えない。
【0076】
6.マスク用冷却シートの使用方法
本実施形態のマスク用冷却シート101は、立体型マスクに使用することが好ましい。
【0077】
以下、本実施形態のマスク用冷却シート101を、立体型マスク300に使用する場合について、主に
図8を用いて説明する。
【0078】
なお、立体型マスク300の材質は特に限定はなく、例えば、不織布、綿等があげられる。
【0079】
まず、
図8(a)に示すように、鼻部301及び口部302が突出した立体型マスク300を準備する。なお、310はマスクの裏面(使用者の口部と接する側の面)を示す。
【0080】
次に、マスク用冷却シート101を水に濡らして軽く絞り、
図8(b)に示すように、抗菌層130側が立体型マスク300の裏面310と対面し、冷却層120側が表側になるように装着する。
【0081】
この際、マスク用冷却シート101の上側の切欠き140が立体型マスク300の裏面の鼻部301と密着し、マスク用冷却シート101の下側の切欠き150が立体型マスク300の口部302と密着するように装着する。
【0082】
本実施形態のように、切欠き140,150を設けることにより、切欠き140が鼻部301の折り目301aの形状と密着し、切欠き150が口部302の折り目302aの形状と密着する。これにより、立体型マスク300との密着性が高くなり、マスク用冷却シート101がずれにくくなるため、より好ましい。
【0083】
<変形例>
以上、一実施形態に係るマスク用冷却シートを説明したが、本発明はこの実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例とを組み合わせたものでもよいし、変形例同士を組み合わせたものでもよい。また、実施形態や変形例に記載していない例や要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0084】
1.抗菌層
本実施形態に係るマスク用冷却シートの抗菌層は、広義の抗菌を意味し、菌やウイルスを完全に死滅させる必要はなく、例えば除菌層、殺菌層、滅菌層であっても差し支えない。
【0085】
2.マスク用冷却シート
実施形態ではマスク用冷却シート1の形状は横長の八角形状であるが、これに限定されず、正八角形状、六角形状であっても差し支えない。
【0086】
また、実施形態では、マスク用冷却シート1の上端部11,下端部12、左右端部13,14の4辺の長さが略同じであるが、これに限定されず、異なっていても差し支えない。
【0087】
本実施形態に係るマスク用冷却シートは、抗菌層側がマスクと対面するよう装着することが好ましいが、冷却層側がマスクと対面するよう装着することも可能である。
【0088】
3.マスクの種類(形)
実施形態ではマスク用冷却シート1をプリーツ型マスクに使用し、マスク用冷却シート101を立体型マスクに使用したが、この組み合わせに限定されるものではない。
【0089】
本実施形態のマスク用冷却シートは、衛生・医療・医学等の分野を中心に用いられ、人体のうち顔の一部を覆う衛生マスクに使用することが好ましい。
【0090】
4.冷却層
マスク用冷却シート1の冷却層が一目でわかるように、冷却層側を紺色等に色付けしても差し支えない。
【0091】
なお、冷却層側ではなく、抗菌層側を色付けしても差し支えない。
【0092】
5.調湿シート
調湿シートは、
図4に示した構成に限定されず、例えば基材シート2,3の外側に、別の層を備えていても差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の実施形態に係るマスク用冷却シートは、今後のコロナ禍における熱中症対策として医療分野等での応用が期待されている。
【符号の説明】
【0094】
1 マスク冷却用シート
10 調湿シート
20 冷却層
30 抗菌層