(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029103
(43)【公開日】2022-02-17
(54)【発明の名称】掘削装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
E21B 7/20 20060101AFI20220209BHJP
E21B 10/32 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
E21B7/20
E21B10/32
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020132241
(22)【出願日】2020-08-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】595101665
【氏名又は名称】株式会社オーク
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】樫本 孝彦
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129BA10
2D129BB03
2D129EA02
2D129EA12
2D129GA34
(57)【要約】 (修正有)
【課題】軟弱な崩壊層地盤であっても、杭の建込みが可能な掘削装置を提供する。
【解決手段】地盤の地表に設置されるテーブルマシーンによって回転駆動される外側ケーシング3と、外側ケーシング3内に挿入されるインナーロッド4と、インナーロッド4の下部4bに設けられると共に、外側ケーシング3内にインナーロッド4が挿入された際、外側ケーシング3より突出し、さらに、外側ケーシング3の内径よりも外方へ突出した拡径姿勢と、外側ケーシング3の内径よりも内側に移動した縮径姿勢とに拡縮可能である拡径ビット42bと、インナーロッド4の上部4aに設けられると共に、外側ケーシング3と着脱自在に連結可能で、さらに、外側ケーシング3が回転する際に共に回転可能な回転駆動キャップ40と、を有し、インナーロッド4は、回転駆動キャップ40と共に回転可能であり、拡径ビット42bは、インナーロッド4と共に回転し、地盤を掘削可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤の地表に設置されるテーブルマシーンによって回転駆動されるケーシングと、
前記ケーシング内に挿入されるロッドと、
前記ロッドの下部に設けられると共に、前記ケーシング内に前記ロッドが挿入された際、該ケーシングより突出し、さらに、前記ケーシングの内径よりも外方へ突出した拡径姿勢と、前記ケーシングの内径よりも内側に移動した縮径姿勢とに拡縮可能である拡径ビットと、
前記ロッドの上部に設けられると共に、前記ケーシングと着脱自在に連結可能で、さらに、該ケーシングが回転する際に共に回転可能な連結部と、を有し、
前記ロッドは、前記連結部と共に回転可能であり、
前記拡径ビットは、前記ロッドと共に回転し、前記地盤を掘削可能である掘削装置。
【請求項2】
前記ケーシングには、第1係合凸部又は第1凹部が設けられ、
前記連結部には、第2係合凹部又は第2係合凸部が設けられ、
前記連結部と前記ケーシングを連結するにあたっては、前記第1係合凸部と前記第2係合凹部とを係合することにより連結するか、又は、前記第1係合凹部と前記第2係合凸部とを係合することにより連結してなる請求項1に記載の掘削装置。
【請求項3】
前記連結部には、前記地盤を掘削した際発生するスライムを外部に排出可能な排出口が設けられている請求項1又は2に記載の掘削装置。
【請求項4】
上部に連結部を設け、下部に拡径ビットを設けているロッドを前記ケーシング内に挿入することによって、該ケーシングより前記拡径ビットを突出させ、前記連結部と前記ケーシングを連結する第1工程と、
前記第1工程によって、前記連結部と連結しているケーシングを、地盤の地表に設置されるテーブルマシーンによって回転駆動させると、前記ロッドが共に回転し、前記ケーシングより突出している前記拡径ビットが前記ケーシングの内径よりも外方へ突出した拡径姿勢となり、前記地盤を掘削する第2工程と、
前記地盤の掘削によって掘削孔が形成され、該掘削孔の形成が終了すると、前記第2工程とは逆方向に、前記ケーシングを前記テーブルマシーンによって回転駆動させることにより、前記ロッドを回転させ、前記ケーシングより突出している前記拡径ビットを前記ケーシングの内径よりも内側に移動した縮径姿勢とする第3工程と、
前記拡径ビットを縮径姿勢とした後、前記連結部と前記ケーシングとの連結を解除し、前記ケーシングより、前記ロッドを抜出し、該ケーシングを前記掘削孔に残置する第4工程と、
前記第4工程により、前記掘削孔に残置されたケーシング内に杭を挿入し、該ケーシングを前記掘削孔より抜出する第5工程と、を含んでなる掘削方法。
【請求項5】
前記第1工程にて、前記連結部と前記ケーシングを連結するにあたって、前記ケーシング又は前記ロッドを回転させることによって、前記ケーシングに設けられている第1係合凸部と、前記連結部に設けられている第2係合凹部とを係合することにより連結するか、又は、前記ケーシングに設けられている第1係合凹部と、前記連結部に設けられている第2係合凸部とを係合することにより連結してなる請求項4に記載の掘削方法。
【請求項6】
前記第1工程にて、前記連結部と前記ケーシングを連結するにあたって、前記ケーシングを支持する支持台を、前記地盤の地表に設置してなる請求項4又は5に記載の掘削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の掘削装置として、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。この掘削装置は、掘削用のケーシングと、ケーシングを回転駆動する全周回転駆動装置と、クレーンによりケリーロッドを介し吊支されて、ケーシング内に挿入される回転駆動ユニット及び破砕ユニットと、破砕ユニットに高圧エアを供給するスイベル継手とを備え、回転駆動ユニットはケーシングの内周面に圧接固定可能で且つ回転駆動手段を有し、破砕ユニットは、大径のダウンザホールハンマからなるもので、各ダウンザホールハンマは、前記回転駆動手段によって回転駆動されると共に、前記高圧エアによって打撃駆動されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような掘削装置は、硬質地盤には有効であるものの、軟弱な崩壊層地盤においては、掘削孔が崩壊し、もって、杭の建込みをすることができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、軟弱な崩壊層地盤であっても、杭の建込みが可能な掘削装置及びその方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0007】
請求項1の発明によれば、地盤(G)の地表(Ga)に設置されるテーブルマシーン(2)によって回転駆動されるケーシング(外側ケーシング3)と、
前記ケーシング(外側ケーシング3)内に挿入されるロッド(インナーロッド4)と、
前記ロッド(インナーロッド4)の下部(4b)に設けられると共に、前記ケーシング(外側ケーシング3)内に前記ロッド(インナーロッド4)が挿入された際、該ケーシング(外側ケーシング3)より突出し、さらに、前記ケーシング(外側ケーシング3)の内径よりも外方へ突出した拡径姿勢と、前記ケーシング(外側ケーシング3)の内径よりも内側に移動した縮径姿勢とに拡縮可能である拡径ビット(42b)と、
前記ロッド(インナーロッド4)の上部(4a)に設けられると共に、前記ケーシング(外側ケーシング3)と着脱自在に連結可能で、さらに、該ケーシング(外側ケーシング3)が回転する際に共に回転可能な連結部(回転駆動キャップ40)と、を有し、
前記ロッド(インナーロッド4)は、前記連結部(回転駆動キャップ40)と共に回転可能であり、
前記拡径ビット(42b)は、前記ロッド(インナーロッド4)と共に回転し、前記地盤(G)を掘削可能であることを特徴としている。
【0008】
また、請求項2の発明によれば、上記請求項1に記載の掘削装置(1)において、前記ケーシング(外側ケーシング3)には、第1係合凸部(凸部32)又は第1凹部が設けられ、
前記連結部(回転駆動キャップ40)には、第2係合凹部(凹部40a)又は第2係合凸部が設けられ、
前記連結部(回転駆動キャップ40)と前記ケーシング(外側ケーシング3)を連結するにあたっては、前記第1係合凸部(凸部32)と前記第2係合凹部(凹部40a)とを係合することにより連結するか、又は、前記第1係合凹部と前記第2係合凸部とを係合することにより連結してなることを特徴としている。
【0009】
さらに、請求項3の発明によれば、上記請求項1又は2に記載の掘削装置(1)において、前記連結部(回転駆動キャップ40)には、前記地盤(G)を掘削した際発生するスライム(Gs)を外部に排出可能な排出口(第1排出口40c,第2排出口40d)が設けられていることを特徴としている。
【0010】
一方、請求項4の発明によれば、上部(40a)に連結部(回転駆動キャップ40)を設け、下部(40b)に拡径ビット(42b)を設けているロッド(インナーロッド4)を前記ケーシング(外側ケーシング3)内に挿入することによって、該ケーシング(外側ケーシング3)より前記拡径ビット(42b)を突出させ、前記連結部(回転駆動キャップ40)と前記ケーシング(外側ケーシング3)を連結する第1工程(
図8(a)~(b)参照)と、
前記第1工程(
図8(a)~(b)参照)によって、前記連結部(回転駆動キャップ40)と連結しているケーシング(外側ケーシング3)を、地盤(G)の地表(Ga)に設置されるテーブルマシーン(2)によって回転駆動させると、前記ロッド(インナーロッド4)が共に回転し、前記ケーシング(外側ケーシング3)より突出している前記拡径ビット(42b)が前記ケーシング(外側ケーシング3)の内径よりも外方へ突出した拡径姿勢となり、前記地盤(G)を掘削する第2工程(
図8(c)参照)と、
前記地盤(G)の掘削によって掘削孔(Gb)が形成され、該掘削孔(Gb)の形成が終了すると、前記第2工程(
図8(c)参照)とは逆方向に、前記ケーシング(外側ケーシング3)を前記テーブルマシーン(2)によって回転駆動させることにより、前記ロッド(インナーロッド4)を回転させ、前記ケーシング(外側ケーシング3)より突出している前記拡径ビット(42b)を前記ケーシング(外側ケーシング3)の内径よりも内側に移動した縮径姿勢とする第3工程(
図8(d)参照)と、
前記拡径ビット(42b)を縮径姿勢とした後、前記連結部(回転駆動キャップ40)と前記ケーシング(外側ケーシング3)との連結を解除し、前記ケーシング(外側ケーシング3)より、前記ロッド(インナーロッド4)を抜出し、該ケーシング(外側ケーシング3)を前記掘削孔(Gb)に残置する第4工程(
図8(e)参照)と、
前記第4工程(
図8(e)参照)により、前記掘削孔(Gb)に残置されたケーシング(外側ケーシング3)内に杭(K)を挿入し、該ケーシング(外側ケーシング3)を前記掘削孔(Gb)より抜出する第5工程(
図9(a)~(e)参照)と、を含んでなることを特徴としている。
【0011】
また、請求項5の発明によれば、上記請求項4に記載の掘削方法において、前記第1工程(
図8(a)~(b)参照)にて、前記連結部(回転駆動キャップ40)と前記ケーシング(外側ケーシング3)を連結するにあたって、前記ケーシング(外側ケーシング3)又は前記ロッド(インナーロッド4)を回転させることによって、前記ケーシング(外側ケーシング3)に設けられている第1係合凸部(凸部32)と、前記連結部(回転駆動キャップ40)に設けられている第2係合凹部(凹部40a)とを係合することにより連結するか、又は、前記ケーシング(外側ケーシング3)に設けられている第1係合凹部と、前記連結部(回転駆動キャップ40)に設けられている第2係合凸部とを係合することにより連結してなることを特徴としている。
【0012】
さらに、請求項6の発明によれば、上記請求項4又は5に記載の掘削方法において、 前記第1工程(
図8(a)~(b)参照)にて、前記連結部(回転駆動キャップ40)と前記ケーシング(外側ケーシング3)を連結するにあたって、前記ケーシング(外側ケーシング3)を支持する支持台(6)を、前記地盤(G)の地表(Ga)に設置してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
請求項1,4に係る発明によれば、テーブルマシーン(2)を用いた地盤(G)の掘削にあたって、地盤(G)を掘削すると同時に、地盤(G)にケーシング(外側ケーシング3)を貫入させることができるから、地盤(G)が軟弱な崩壊層であっても、杭(K)の建込みが可能となる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、連結部(回転駆動キャップ40)とケーシング(外側ケーシング3)を連結するにあたって、第1係合凸部(凸部32)と第2係合凹部(凹部40a)とを係合することにより連結するか、又は、第1係合凹部と第2係合凸部とを係合することにより連結しているから、連結作業が簡単容易となる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、連結部(回転駆動キャップ40)には、地盤(G)を掘削した際発生するスライム(Gs)を外部に排出可能な排出口(第1排出口40c,第2排出口40d)が設けられているから、スライム(Gs)を外部に確実に排出することができる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、連結部(回転駆動キャップ40)とケーシング(外側ケーシング3)を連結するにあたって、ケーシング(外側ケーシング3)又はロッド(インナーロッド4)を回転させることによって、ケーシング(外側ケーシング3)に設けられている第1係合凸部(凸部32)と、連結部(回転駆動キャップ40)に設けられている第2係合凹部(凹部40a)とを係合することにより連結するか、又は、ケーシング(外側ケーシング3)に設けられている第1係合凹部と、連結部(回転駆動キャップ40)に設けられている第2係合凸部とを係合することにより連結しているから、連結作業がより簡単容易となる。
【0018】
さらに、請求項6に係る発明によれば、連結部(回転駆動キャップ40)とケーシング(外側ケーシング3)を連結するにあたって、ケーシング(外側ケーシング3)を支持する支持台(6)を、地盤(G)の地表(Ga)に設置しているから、連結作業がさらに簡単容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る掘削装置をクローラクレーンで吊支している状態を示す正面図である。
【
図2】同実施形態に係る掘削装置の分解正面図である。
【
図3】同実施形態に係る掘削装置をテーブルマシーンに設置した状態を示す正面図である。
【
図4】(a)は同実施形態に係る掘削装置の一部縦断面図を示し、(b)は同実施形態に係る掘削装置の下部側を拡大した一部縦断面図を示す図である。
【
図5】(a)は同実施形態に係る外側ケーシングの平面図、(b)は同実施形態に係る外側ケーシングの一部を示す正面図である。
【
図6】同実施形態に係る外側ケーシング内にインナーロットを挿入した状態を示し、(a-1)は拡径ビットが縮径姿勢となっている際の底面図、(a-2)は拡径ビットが縮径姿勢となっている際の一部縦断面図、(b-1)は拡径ビットが拡径姿勢となっている際の底面図、(b-2)は拡径ビットが拡径姿勢となっている際の一部縦断面図である。
【
図7】(a)は同実施形態に係るテーブルマシーンの平面図、(b)は同実施形態に係るテーブルマシーンの正面図である。
【
図8】(a)~(b)は同実施形態に係る外側ケーシング内にインナーロッドを挿入し、外側ケーシング内にインナーロッドが挿入された状態を保持させる工程を順に示す概略縦断面図、(c)~(e)は同実施形態に係る掘削装置を用いて地盤を掘削し、外側ケーシング内からインナーロッドを抜出する工程を順に示す概略縦断面図である。
【
図9】(a)~(e)は地盤に残置された外側ケーシング内に杭を挿入し、地盤への杭の建込みが完了するまでの工程を順に示す概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る掘削装置の一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0021】
<掘削装置の概要>
図1に示すように、掘削装置1は、地盤Gの地表Gaに設置されるブームBを備えたクローラクレーンMに吊支されている。より詳しく説明すると、
図1に示すように、クローラクレーンMは、ブームBの先端に設けられたシーブSに巻上ロープRを掛け回し、巻上ロープRの先端にフックFを接続することによって、作業姿勢としている。そして、このクローラクレーンMのフックFに接続されている吊支ワイヤWによって、掘削装置1は、吊支されている。
【0022】
ところで、このように吊支ワイヤWによって吊支されている掘削装置1は、
図1~
図3に示すように、テーブルマシーン2によって回転駆動される外側ケーシング3と、インナーロッド4と、スイベル機構5と、で主に構成されている。以下、各構成について詳しく説明することとする。
【0023】
<テーブルマシーンの説明>
テーブルマシーン2は、
図1に示すように、地盤Gの地表Gaに設置される。より詳しく説明すると、このようなテーブルマシーン2は、油圧駆動式のロータリーテーブルであって、
図7(b)に示すように、正面視矩形状のテーブルマシーン本体20を備えている。そしてこのテーブルマシーン本体20の下面20aには、左右側面側に、一対のI型の支持部21が設けられており、ボルト等によって固定されている。なお、この支持部21は、反力用鋼材等からなるものである。
【0024】
一方、テーブルマシーン本体20は、
図7(a),(b)に示すように、テーブルマシーン本体20内に駆動用円環部材22を回転自在に支持している。そして、この駆動用円環部材22の内周面には、後述する外側ケーシング3の凸条部31に対応する凹条部22aが所定間隔置きに、複数設けられている。なお、この駆動用円環部材22は、図示しない油圧モータが回転することにより回転するようになっている。
【0025】
<外側ケーシングの説明>
外側ケーシング3は、
図2に示すように、軸方向(上下長手方向)に長尺な略円筒状の外側ケーシング本体30を備えている。
図5(a)に示すように、この外側ケーシング本体30の内周面30aには、円形状の空間S1が形成されており、
図2及び
図5に示すように、外側ケーシング本体30の外周面30bには、軸方向(上下長手方向)に沿って、所定間隔置きに、複数の凸条部31が設けられている。さらに、
図5に示すように、外側ケーシング本体30の外周面30bには、一対の凸部32が設けられている。なお、この凸部32は、後述する回転駆動キャップ40の凹部40aに対応するものである。
【0026】
また、
図4に示すように、外側ケーシング本体30の内周面30a先端側には、略リング状のケーシングトップ33が設けられている。
【0027】
かくして、上記のように構成される外側ケーシング3は、
図3に示すように、テーブルマシーン2の駆動用円環部材22内に挿入され、もって、外側ケーシング3の凸条部31と、駆動用円環部材22の凹条部22aとが係合されることとなる。これにより、図示しない油圧モータにより駆動用円環部材22が回転すると、外側ケーシング3も回転することとなる。
【0028】
<インナーロッドの説明>
インナーロッド4は、
図2に示すように、軸方向(上下長手方向)に長尺な略円筒状に形成されており、
図4(b)に示すように、第1インナーロッド4Aと、第2インナーロッド4Bとが連結されて形成されている。このインナーロッド4の上部4aには、正面視T字状の凹部40aが形成された正面視略矩形状の回転駆動キャップ40が取り付け固定されている。より詳しく説明すると、この回転駆動キャップ40は、
図4(a)に示すように、内部に逆凹状の空間S1が設けられており、凹部40aの上部に位置する内周面40b側が、連結ピン40b1によって、インナーロッド4の上部4aに連結固定されている。そして、
図4(a)に示すように、この回転駆動キャップ40の左右両側面には、左右方向に貫通して設けられている孔である第1排出口40cが設けられている。そしてさらに、
図4(a)に示すように、この回転駆動キャップ40の下面には、上下方向に貫通して設けられている孔である第2排出口40dが設けられている。なお、この第1排出口40c、及び、第2排出口40dからは、地盤G(
図8参照)を掘削する際発生する、砂、シルト、礫などの掘削屑であるスライムGs(
図3,
図4参照)を外部に排出することができようになっている。この点の詳細は、後述することとする。
【0029】
一方、インナーロッド4の上部4aには、回転駆動キャップ40を介して、略円柱状の取付部41が一体的に設けられている。
【0030】
また一方、
図2に示すように、インナーロッド4の下部4bには、掘削部42が取り付けられている。この掘削部42は、従来周知の構造のもので、
図2に示すように、デバイス42aと、拡径ビット42bと、で構成されている。デバイス42aは、インナーロッド4の下部4bに取り付け固定されており、デバイス42aの下部には、拡径ビット42bが取り付け固定されている。この拡径ビット42bは、拡径姿勢と、縮径姿勢とに拡縮可能なもので、
図6(a-1),(b-1)に示すように、底面視略扇形状に形成された同一形状の、ビットヘッド42b1,42b2,42b3にて構成されている。より詳しく説明すると、
図6(a-1),(b-1)に示すように、デバイス42aの底面には、軸孔42a1,42a2,42a3が、デバイス42aの中心から偏心した位置で、且つ、デバイス42aの周方向に等角度置き(120°置き)に形成されている。そして、これら軸孔42a1,42a2,42a3には、それぞれ、ビットヘッド軸42b1a,42b2a,42b3aが回転自在に、且つ、抜け止めされて嵌入されている。そしてこれらビットヘッド軸42b1a,42b2a,42b3aには、それぞれ、ビットヘッド42b1,42b2,42b3が取り付けられている。これにより、
図6(a-1)に示すように、掘削方向(矢印Y1方向)にビットヘッド42b1,42b2,42b3が回転すると、ビットヘッド42b1,42b2,42b3は、掘削抵抗により、ビットヘッド軸42b1a,42b2a,42b3aを中心に自転し、もって、
図6(b-1)に示すように、ビットヘッド42b1,42b2,42b3の一部がデバイス42aの外径よりも突出することとなる。しかして、このようにして、拡径ビット42bは、拡径姿勢となる。なお、この際、各ビットヘッド42b1,42b2,42b3の側端面が隣り合う各ビットヘッド42b1,42b2,42b3の側端面に当接し、これが互いにストッパの機能を果たして、各ビットヘッド42b1,42b2,42b3のそれ以上の自転を規制するようになっている。
【0031】
一方、
図6(b-1)に示すように、掘削方向とは逆方向(矢印Y2方向)にビットヘッド42b1,42b2,42b3が回転すると、ビットヘッド42b1,42b2,42b3は、ビットヘッド軸42b1a,42b2a,42b3aを中心に、掘削時とは逆方向に自転し、もって、
図6(a-1)に示すように、ビットヘッド42b1,42b2,42b3がデバイス42aの外径42a1よりも内側に移動することとなる。しかして、このようにして、拡径ビット42bは、縮径姿勢となる。なお、この際、各ビットヘッド42b1,42b2,42b3の側端面が隣り合う各ビットヘッド42b1,42b2,42b3の側端面に当接し、これが互いにストッパの機能を果たして、各ビットヘッド42b1,42b2,42b3のそれ以上の自転を規制することとなる。
【0032】
しかして、このようにして、拡径ビット42bは、拡径姿勢と、縮径姿勢とに拡縮可能となる。
【0033】
なお、各ビットヘッド42b1,42b2,42b3には、
図6(a-1),(b-1)に示すように、それぞれ、先端面に複数のビット42cが植設されている。
【0034】
また、
図6(a-1),(b-1)に示すように、デバイス42aの底面には、上下方向に貫通して設けられている孔である吐出口42a4が設けられている。この吐出口42a4からは、後述するスイベル機構5より供給される圧力エアが噴出される。これにより、地盤G(
図8参照)を掘削する際発生するスライムGs(
図3,
図4(a)参照)が、デバイス42aに設けられている排出溝42a5(
図6(a-1),(b-1)参照)を経由し、外部に排出されることとなる。
【0035】
一方、上記のように構成される掘削部42、すなわち、デバイス42aの上部には、
図4(b)に示すように、ダウンザホールハンマ43が設けられている。そして、このダウンザホールハンマ43には、
図4(b)に示すように、オス型のジョイント部44及メス型のジョイント部45を介して、エアーパイプ46が連結されている。なお、オス型のジョイント部44は、
図4(b)に示すように、一対の第1ジョイント固定プレート44a,44bにて固定され、メス型のジョイント部45は、
図4(b)に示すように、一対の第2ジョイント固定プレート45a,45bにて固定されている。一方、
図4(b)に示すように、ダウンザホールハンマ43は、第2インナーロッド4B内に設けられ、エアーパイプ46は、第1インナーロッド4A内に設けられている。
【0036】
かくして、上記のように構成されるインナーロッド4は、
図2に示すように、外側ケーシング3の空間S2(
図5(a)参照)内に挿入されることとなる。この際、外側ケーシング本体30の内周面30aの径(内径)より、インナーロッド4の外径は小径に形成され、掘削部42の外径も小径に形成されているから、
図2に示すように、外側ケーシング3の空間S2(
図5(a)参照)内にインナーロッド4を挿入できることとなる。そして、このように、外側ケーシング3の空間S2(
図5(a)参照)内にインナーロッド4が挿入されると、
図3に示すように、外側ケーシング3より、拡径ビット42bが突出することとなる。なお、この際、拡径ビット42bは、縮径姿勢となっているため、
図6(a-1),
図6(a-2)に示すように、各ビットヘッド42b1,42b2,42b3は、外側ケーシング本体30の内周面30aの径、より詳しくは、ケーシングトップ33の径よりも、内側に移動している。
【0037】
一方、外側ケーシング3の空間S2(
図5(a)参照)内にインナーロッド4が挿入されると、外側ケーシング3の一対の凸部32が、回転駆動キャップ40の凹部40a内に係合されることとなる。これにより、
図3に示すように、外側ケーシング3と回転駆動キャップ40とが連結され、もって、拡径ビット42bが外側ケーシング3より突出した状態で、外側ケーシング3内にインナーロッド4が挿入された状態が保持されることとなる。なお、この際、
図4に示すように、外側ケーシング3の内周面30aと、インナーロッド4の外周との間に僅かな隙間S3を設けて、外側ケーシング3内にインナーロッド4が挿入された状態が保持されることとなる。
【0038】
しかして、
図3に示すように、外側ケーシング3内にインナーロッド4が挿入された状態が保持されると、テーブルマシーン2によって、外側ケーシング3が回転した際、外側ケーシング3の一対の凸部32も回転することとなる。この際、一対の凸部32が回転駆動キャップ40の凹部40a内に係合していることにより、一対の凸部32によって、回転駆動キャップ40も回転しようとする。しかるに、この回転キャップ40は、上記説明したように、インナーロッド4の上部4aに連結固定されているから、インナーロッド4が回転することなる。しかして、この回転が、
図6(a-1)に示す掘削方向(矢印Y1方向)の回転であれば、ビットヘッド42b1,42b2,42b3は、掘削抵抗により、ビットヘッド軸42b1a,42b2a,42b3aを中心に自転し、もって、
図6(b-1),(b-2)に示すように、ビットヘッド42b1,42b2,42b3の一部が、外側ケーシング3の内周面30aの径(内径)よりも突出することとなる。
【0039】
一方、上記回転が、
図6(b-1)に示す掘削方向とは逆方向(矢印Y2方向)の回転であれば、ビットヘッド42b1,42b2,42b3は、ビットヘッド軸42b1a,42b2a,42b3aを中心に、掘削時とは逆方向に自転し、もって、
図6(a-1),
図6(a-2)に示すように、各ビットヘッド42b1,42b2,42b3は、外側ケーシング本体30の内周面30aの径(内径)、より詳しくは、ケーシングトップ33の径よりも、内側に移動することとなる。
【0040】
<スイベル機構の説明>
スイベル機構5は、
図2及び
図3に示すエアーホース5aが設けられており、このエアーホース5aには、図示しないエアコンプレッサーからの圧力エアが供給される。そして、このようなスイベル機構5は、
図2に示すように、インナーロッド4の取付部41に、図示しない連結ピン等を用いて連結され、フックF(
図1参照)に接続されている吊支ワイヤWによって吊支される。これにより、
図1に示すように、掘削装置1は、地盤Gの地表Gaに設置されるブームBを備えたクローラクレーンMに吊支されることとなる。
【0041】
ところで、エアーホース5aに供給された圧力エアは、
図4(b)に示すエアーパイプ46に供給されることとなる。エアーパイプ46に圧力エアが供給されるとダウンザホールハンマ43が、圧力エアによって上下動する。これにより、ダウンザホールハンマ43の下動時に、掘削部42のデバイス42aが、外側ケーシング3のケーシングトップ33(
図4(b)参照)に打撃力を伝達することとなり、もって、掘削部42の拡径ビット42bと、外側ケーシング3のケーシングトップ33とによって、地盤G(
図8参照)を打撃することとなる。しかして、この打撃力と回転力によって地盤G(
図8参照)を掘削するようになっている。
【0042】
ところで、上記のように地盤G(
図8参照)を掘削すると、スライムGs(
図3,
図4(a)参照)が発生する。このようなスライムGs(
図3,
図4(a)参照)は、
図6(a-1),(b-1)に示すデバイス42aの底面に設けられている吐出口42a4から、スイベル機構5より供給される圧力エアが噴出されると、デバイス42aに設けられている排出溝42a5(
図6(a-1),(b-1)参照)を経由し、
図4(a),(b)に示すように、隙間S3を通って、
図4(a)に示すように、回転駆動キャップ40の空間S1内に導かれ、もって、回転駆動キャップ40に設けられている第1排出口40c、及び、第2排出口40dから、外部に排出されることとなる。しかして、このように、回転駆動キャップ40に第1排出口40c、及び、第2排出口40dを設けておけば、スライムGsを外部に確実に排出することができることとなる。
【0043】
<掘削装置の使用方法の説明>
かくして、上記のように構成される掘削装置1は、以下のように使用されることとなる。なお、以下に示す使用方法は、あくまで一例でありこれに限定されるものではない。
【0044】
まず、
図8(a)に示すように、略逆T字状の支持台6を地盤Gの地表Gaに設置する。この支持台6の内部には、空洞が形成されており、この空洞内に、
図8(a)に示すように、外側ケーシング3が挿入され、もって、支持台6にて外側ケーシング3が支持される。
【0045】
次いで、
図8(b)に示すように、インナーロッド4の取付部41に連結されたスイベル機構5を、フックF(
図1参照)に接続されている吊支ワイヤWによって吊支する。これにより、インナーロッド4が吊支された状態となるから、巻上ロープRを下方に繰り出せば、インナーロッド4を、支持台6にて支持されている外側ケーシング3内に挿入することができる。この状態で、作業員等が、外側ケーシング3又はインナーロッド4を、掘削方向(矢印Y1方向)に回転させることによって、
図3に示すように、外側ケーシング3の一対の凸部32が、回転駆動キャップ40の凹部40a内に係合されることとなる。これにより、
図3に示すように、外側ケーシング3と回転駆動キャップ40とが連結され、もって、拡径ビット42bが外側ケーシング3より突出した状態で、外側ケーシング3内にインナーロッド4が挿入された状態が保持されることとなる。なお、この際、拡径ビット42bは、外側ケーシング3内に拡径ビット42bが挿入できるように、縮径姿勢となっている。
【0046】
しかして、本実施形態によれば、外側ケーシング3と回転駆動キャップ40とを連結させるにあたって、外側ケーシング3の一対の凸部32を、回転駆動キャップ40の凹部40a内に係合させるだけで良いため、連結作業が簡単容易となる。
【0047】
また、本実施形態によれば、外側ケーシング3の一対の凸部32を、回転駆動キャップ40の凹部40a内に係合させるにあたって、外側ケーシング3又はインナーロッド4を、掘削方向(矢印Y1方向)に回転させるだけで良いため、連結作業がより簡単容易となる。
【0048】
さらに、本実施形態によれば、支持台6にて外側ケーシング3が支持された状態で、作業を行うことができるため、連結作業がさらに簡単容易となる。
【0049】
次いで、拡径ビット42bが外側ケーシング3より突出した状態で、外側ケーシング3内にインナーロッド4が挿入された状態が保持されると、巻上ロープRを上方に巻き上げ、外側ケーシング3を支持台6より抜出する。そして、
図8(c)に示すように、支持台6に代え、テーブルマシーン2を、地盤Gの地表Gaに設置する。そしてその後、巻上ロープRを下方に繰り出し、外側ケーシング3を、
図8(c),
図3に示すように、テーブルマシーン2の駆動用円環部材22内に挿入し、外側ケーシング3の凸条部31と、駆動用円環部材22の凹条部22aとを係合させる。そしてこの状態で、駆動用円環部材22を、図示しない油圧モータにて回転させ、外側ケーシング3を掘削方向(矢印Y1方向)に回転させる。これにより、外側ケーシング3の一対の凸部32(
図3参照)が、回転駆動キャップ40の凹部40a(
図3参照)内に係合しているから、インナーロッド4も掘削方向(矢印Y1方向)に回転することとなる。しかして、スイベル機構5から供給される圧力エアによる外側ケーシング3のケーシングトップ33(
図4(b)参照)と、拡径ビット42bとの打撃力と、外側ケーシング3及びインナーロッド4との回転力によって地盤Gを掘削し、
図8(c)に示すように、掘削孔Gbを形成することとなる。それゆえ、地盤Gを掘削すると同時に、外側ケーシング3を掘削孔Gb内に貫入させることができる。なお、この際、掘削孔Gbを形成した際発生するスライムGsは、上述したように、回転駆動キャップ40に設けられている第1排出口40c、及び、第2排出口40dから、外部に排出されることとなる。ところで、拡径ビット42bは、掘削孔Gbを形成する際、掘削抵抗によって、拡径姿勢となっている。
【0050】
次いで、掘削孔Gbの形成を終了、すなわち、地盤Gの掘削を終了すると、駆動用円環部材22を、図示しない油圧モータにて回転させ、
図8(d)に示すように、外側ケーシング3を掘削方向とは逆方向(矢印Y2方向)に回転させる。これにより、外側ケーシング3の一対の凸部32(
図3参照)が、回転駆動キャップ40の凹部40a(
図3参照)内に係合しているから、インナーロッド4も掘削方向とは逆方向(矢印Y2方向)に回転することとなる。これにより、拡径ビット42bは、外側ケーシング3内から拡径ビット42bを抜出できるように、縮径姿勢となる。
【0051】
次いで、作業員等が、インナーロッド4を、掘削方向とは逆方向(矢印Y2方向)に回転させ、回転駆動キャップ40の凹部40a内から、外側ケーシング3の一対の凸部32を、離脱できる位置にする。そしてその状態で、巻上ロープRを上方に巻き上げ、
図8(e)に示すように、外側ケーシング3内から、インナーロッド4を抜出する。これにより、
図9(a)に示すように、掘削孔Gb内に外側ケーシング3が残置されることとなる。
【0052】
次いで、
図9(b)に示すように、外側ケーシング3からテーブルマシーン2を抜出し、テーブルマシーン2を撤去した後、
図9(b)~(c)に示すように、外側ケーシング3内に杭Kを挿入する。そしてその後、外側ケーシング3の内周面30a(
図5(a)参照)と杭Kとの隙間に、モルタル、セメントミルク、採石、コンクリート等の根固め材C(
図9(d)参照)を充填させる。
【0053】
次いで、
図9(d)に示すように、外側ケーシング3を掘削孔Gbから抜出するようにすれば、
図9(e)に示すように、地盤Gへの杭Kの建込みが完了することとなる。
【0054】
しかして、本実施形態によれば、テーブルマシーン2を用いた地盤Gの掘削にあたって、地盤Gを掘削すると同時に、地盤Gに外側ケーシング3を貫入させることができるから、地盤Gが軟弱な崩壊層であっても、杭Kの建込みが可能となる。
【0055】
なお、本実施形態において示した掘削装置1の形状はあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、外側ケーシング3に凸部32を設け、回転駆動キャップ40に凹部40aを設けるようにしたが、外側ケーシング3に凹部を設け、回転駆動キャップ40に凸部を設けるようにしても良い。
【0056】
また、上記説明した拡径ビット42bの形状はあくまで一例であり、拡径姿勢と、縮径姿勢とに拡縮可能であればどのような形状でも良い。
【符号の説明】
【0057】
1 掘削装置
2 テーブルマシーン
3 外側ケーシング(ケーシング)
32 凸部(第1係合凸部)
4 インナーロッド(ロッド)
4a (インナーロッドの)上部
4b (インナーロッドの)下部
40 回転駆動キャップ(連結部)
40a 凹部(第2係合凹部)
40c 第1排出口(排出口)
40d 第2排出口(排出口)
42b 拡径ビット
5 スイベル機構
6 支持台
G 地盤
Ga 地表
Gb 掘削孔
K 杭
【手続補正書】
【提出日】2020-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤の地表に設置されるテーブルマシーンによって回転駆動されるケーシングと、
前記ケーシング内に挿入されるロッドと、
前記ロッドの下部に設けられると共に、前記ケーシング内に前記ロッドが挿入された際、該ケーシングより突出し、さらに、前記ケーシングの内径よりも外方へ突出した拡径姿勢と、前記ケーシングの内径よりも内側に移動した縮径姿勢とに拡縮可能である拡径ビットと、
前記ロッドの上部に設けられると共に、前記ケーシングと着脱自在に連結可能で、さらに、該ケーシングが回転する際に共に回転可能な連結部と、
前記ロッドの上部に前記連結部が設けられることによって、該連結部の上面に設けられるスイベル機構と、を有し、
前記ロッドは、前記連結部と共に回転可能であり、
前記拡径ビットは、前記ロッドと共に回転し、前記地盤を掘削可能であり、
前記テーブルマシーンには、内部に複数の凹条部が設けられ、
前記ケーシングの外周面には、前記凹条部に対応する凸条部が設けられると共に、該凸条部とは別に、第1係合凸部又は第1係合凹部が設けられ、
前記連結部は、上面及び両側面が閉止され、下面が開放された凹状に形成されており、
前記連結部には、前記ケーシングと連結するにあたって、内周面に、前記第1係合凸部と係合可能な第2係合凹部、又は、前記第1係合凹部と係合可能な第2係合凸部が設けられ、さらに、
前記連結部は、前記地盤を掘削した際発生するスライムが、前記開放された下面より外部に排出されるように、前記ケーシングと連結され、そしてさらに、
前記連結部には、前記ケーシングと連結された際、両側面からも、前記スライムが外部に排出されるように、該両側面には、前記スライムを外部に排出可能な排出口が設けられてなる掘削装置。
【請求項2】
上部にスイベル機構及び連結部を設け、下部に拡径ビットを設けているロッドを前記ケーシング内に挿入することによって、該ケーシングより前記拡径ビットを突出させ、前記連結部と前記ケーシングを連結する第1工程と、
前記第1工程によって、前記連結部と連結しているケーシングを、地盤の地表に設置されるテーブルマシーンによって回転駆動させると、前記ロッドが共に回転し、前記ケーシングより突出している前記拡径ビットが前記ケーシングの内径よりも外方へ突出した拡径姿勢となり、前記地盤を掘削する第2工程と、
前記地盤の掘削によって掘削孔が形成され、該掘削孔の形成が終了すると、前記第2工程とは逆方向に、前記ケーシングを前記テーブルマシーンによって回転駆動させることにより、前記ロッドを回転させ、前記ケーシングより突出している前記拡径ビットを前記ケーシングの内径よりも内側に移動した縮径姿勢とする第3工程と、
前記拡径ビットを縮径姿勢とした後、前記連結部と前記ケーシングとの連結を解除し、前記ケーシングより、前記ロッドを抜出し、該ケーシングを前記掘削孔に残置する第4工程と、
前記第4工程により、前記掘削孔に残置されたケーシング内に杭を挿入し、該ケーシングを前記掘削孔より抜出する第5工程と、を含んでなり、
前記スイベル機構は、前記連結部の上面に設けられ、
前記テーブルマシーンには、内部に複数の凹条部が設けられ、
前記ケーシングの外周面には、前記凹条部に対応する凸条部が設けられると共に、該凸条部とは別に、第1係合凸部又は第1係合凹部が設けられ、
前記連結部は、上面及び両側面が閉止され、下面が開放された凹状に形成されており、
前記連結部には、前記ケーシングと連結するにあたって、内周面に、前記第1係合凸部と係合可能な第2係合凹部、又は、前記第1係合凹部と係合可能な第2係合凸部が設けられ、さらに、
前記連結部は、前記地盤を掘削した際発生するスライムが、前記開放された下面より外部に排出されるように、前記ケーシングと連結され、そしてさらに、
前記連結部には、前記ケーシングと連結された際、両側面からも、前記スライムが外部に排出されるように、該両側面には、前記スライムを外部に排出可能な排出口が設けられてなる掘削方法。
【請求項3】
前記第1工程にて、前記連結部と前記ケーシングを連結するにあたって、前記ケーシング又は前記ロッドを回転させることによって、前記ケーシングに設けられている第1係合凸部と、前記連結部に設けられている第2係合凹部とを係合することにより連結するか、又は、前記ケーシングに設けられている第1係合凹部と、前記連結部に設けられている第2係合凸部とを係合することにより連結してなる請求項2に記載の掘削方法。
【請求項4】
前記第1工程にて、前記連結部と前記ケーシングを連結するにあたって、前記ケーシングを支持する支持台を、前記地盤の地表に設置してなる請求項2又は3に記載の掘削方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
請求項1の発明によれば、地盤(G)の地表(Ga)に設置されるテーブルマシーン(2)によって回転駆動されるケーシング(外側ケーシング3)と、
前記ケーシング(外側ケーシング3)内に挿入されるロッド(インナーロッド4)と、
前記ロッド(インナーロッド4)の下部(4b)に設けられると共に、前記ケーシング(外側ケーシング3)内に前記ロッド(インナーロッド4)が挿入された際、該ケーシング(外側ケーシング3)より突出し、さらに、前記ケーシング(外側ケーシング3)の内径よりも外方へ突出した拡径姿勢と、前記ケーシング(外側ケーシング3)の内径よりも内側に移動した縮径姿勢とに拡縮可能である拡径ビット(42b)と、
前記ロッド(インナーロッド4)の上部(4a)に設けられると共に、前記ケーシング(外側ケーシング3)と着脱自在に連結可能で、さらに、該ケーシング(外側ケーシング3)が回転する際に共に回転可能な連結部(回転駆動キャップ40)と、
前記ロッド(インナーロッド4)の上部に前記連結部(回転駆動キャップ40)が設けられることによって、該連結部(回転駆動キャップ40)の上面に設けられるスイベル機構(5)と、を有し、
前記ロッド(インナーロッド4)は、前記連結部(回転駆動キャップ40)と共に回転可能であり、
前記拡径ビット(42b)は、前記ロッド(インナーロッド4)と共に回転し、前記地盤(G)を掘削可能であり、
前記テーブルマシーン(2)には、内部に複数の凹条部(22a)が設けられ、
前記ケーシング(外側ケーシング3)の外周面(30b)には、前記凹条部(22a)に対応する凸条部(31)が設けられると共に、該凸条部(31)とは別に、第1係合凸部(凸部32)又は第1係合凹部が設けられ、
前記連結部(回転駆動キャップ40)は、上面及び両側面が閉止され、下面が開放された凹状に形成されており、
前記連結部(回転駆動キャップ40)には、前記ケーシング(外側ケーシング3)と連結するにあたって、内周面(40b)に、前記第1係合凸部(凸部32)と係合可能な第2係合凹部(凹部40a)、又は、前記第1係合凹部と係合可能な第2係合凸部が設けられ、さらに、
前記連結部(回転駆動キャップ40)は、前記地盤(G)を掘削した際発生するスライム(Gs)が、前記開放された下面(第2排出口40d)より外部に排出されるように、前記ケーシング(外側ケーシング3)と連結され、そしてさらに、
前記連結部(回転駆動キャップ40)には、前記ケーシング(外側ケーシング3)と連結された際、両側面からも、前記スライム(Gs)が外部に排出されるように、該両側面には、前記スライム(Gs)を外部に排出可能な排出口(第1排出口40c)が設けられてなることを特徴としている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
一方、請求項4の発明によれば、上部(40a)に
スイベル機構(5)及び連結部(回転駆動キャップ40)を設け、下部(40b)に拡径ビット(42b)を設けているロッド(インナーロッド4)を前記ケーシング(外側ケーシング3)内に挿入することによって、該ケーシング(外側ケーシング3)より前記拡径ビット(42b)を突出させ、前記連結部(回転駆動キャップ40)と前記ケーシング(外側ケーシング3)を連結する第1工程(
図8(a)~(b)参照)と、
前記第1工程(
図8(a)~(b)参照)によって、前記連結部(回転駆動キャップ40)と連結しているケーシング(外側ケーシング3)を、地盤(G)の地表(Ga)に設置されるテーブルマシーン(2)によって回転駆動させると、前記ロッド(インナーロッド4)が共に回転し、前記ケーシング(外側ケーシング3)より突出している前記拡径ビット(42b)が前記ケーシング(外側ケーシング3)の内径よりも外方へ突出した拡径姿勢となり、前記地盤(G)を掘削する第2工程(
図8(c)参照)と、
前記地盤(G)の掘削によって掘削孔(Gb)が形成され、該掘削孔(Gb)の形成が終了すると、前記第2工程(
図8(c)参照)とは逆方向に、前記ケーシング(外側ケーシング3)を前記テーブルマシーン(2)によって回転駆動させることにより、前記ロッド(インナーロッド4)を回転させ、前記ケーシング(外側ケーシング3)より突出している前記拡径ビット(42b)を前記ケーシング(外側ケーシング3)の内径よりも内側に移動した縮径姿勢とする第3工程(
図8(d)参照)と、
前記拡径ビット(42b)を縮径姿勢とした後、前記連結部(回転駆動キャップ40)と前記ケーシング(外側ケーシング3)との連結を解除し、前記ケーシング(外側ケーシング3)より、前記ロッド(インナーロッド4)を抜出し、該ケーシング(外側ケーシング3)を前記掘削孔(Gb)に残置する第4工程(
図8(e)参照)と、
前記第4工程(
図8(e)参照)により、前記掘削孔(Gb)に残置されたケーシング(外側ケーシング3)内に杭(K)を挿入し、該ケーシング(外側ケーシング3)を前記掘削孔(Gb)より抜出する第5工程(
図9(a)~(e)参照)と、を含んでな
り、
前記スイベル機構(5)は、前記連結部(回転駆動キャップ40)の上面に設けられ、
前記テーブルマシーン(2)には、内部に複数の凹条部(22a)が設けられ、
前記ケーシング(外側ケーシング3)の外周面(30b)には、前記凹条部(22a)に対応する凸条部(31)が設けられると共に、該凸条部(31)とは別に、第1係合凸部(凸部32)又は第1係合凹部が設けられ、
前記連結部(回転駆動キャップ40)は、上面及び両側面が閉止され、下面が開放された凹状に形成されており、
前記連結部(回転駆動キャップ40)には、前記ケーシング(外側ケーシング3)と連結するにあたって、内周面(40b)に、前記第1係合凸部(凸部32)と係合可能な第2係合凹部(凹部40a)、又は、前記第1係合凹部と係合可能な第2係合凸部が設けられ、さらに、
前記連結部(回転駆動キャップ40)は、前記地盤(G)を掘削した際発生するスライム(Gs)が、前記開放された下面(第2排出口40d)より外部に排出されるように、前記ケーシング(外側ケーシング3)と連結され、そしてさらに、
前記連結部(回転駆動キャップ40)には、前記ケーシング(外側ケーシング3)と連結された際、両側面からも、前記スライム(Gs)が外部に排出されるように、該両側面には、前記スライム(Gs)を外部に排出可能な排出口(第1排出口40c)が設けられてなることを特徴としている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
また、請求項
3の発明によれば、上記請求項
2に記載の掘削方法において、前記第1工程(
図8(a)~(b)参照)にて、前記連結部(回転駆動キャップ40)と前記ケーシング(外側ケーシング3)を連結するにあたって、前記ケーシング(外側ケーシング3)又は前記ロッド(インナーロッド4)を回転させることによって、前記ケーシング(外側ケーシング3)に設けられている第1係合凸部(凸部32)と、前記連結部(回転駆動キャップ40)に設けられている第2係合凹部(凹部40a)とを係合することにより連結するか、又は、前記ケーシング(外側ケーシング3)に設けられている第1係合凹部と、前記連結部(回転駆動キャップ40)に設けられている第2係合凸部とを係合することにより連結してなることを特徴としている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
さらに、請求項
4の発明によれば、上記請求項
2又は3に記載の掘削方法において、 前記第1工程(
図8(a)~(b)参照)にて、前記連結部(回転駆動キャップ40)と前記ケーシング(外側ケーシング3)を連結するにあたって、前記ケーシング(外側ケーシング3)を支持する支持台(6)を、前記地盤(G)の地表(Ga)に設置してなることを特徴としている。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項1,2に係る発明によれば、テーブルマシーン(2)を用いた地盤(G)の掘削にあたって、地盤(G)を掘削すると同時に、地盤(G)にケーシング(外側ケーシング3)を貫入させることができるから、地盤(G)が軟弱な崩壊層であっても、杭(K)の建込みが可能となる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
また、請求項1,2に係る発明によれば、連結部(回転駆動キャップ40)とケーシング(外側ケーシング3)を連結するにあたって、第1係合凸部(凸部32)と第2係合凹部(凹部40a)とを係合することにより連結するか、又は、第1係合凹部と第2係合凸部とを係合することにより連結しているから、連結作業が簡単容易となる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
請求項1,2に係る発明によれば、連結部(回転駆動キャップ40)は、地盤(G)を掘削した際発生するスライム(Gs)が、開放された下面より外部に排出されるように、ケーシング(外側ケーシング3)と連結され、そしてさらに、ケーシング(外側ケーシング3)と連結された際、両側面からも、スライム(Gs)が外部に排出されるように、両側面には、前記スライムを外部に排出可能な排出口(第1排出口40c)が設けられているから、スライム(Gs)を外部に確実に排出することができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
請求項3に係る発明によれば、連結部(回転駆動キャップ40)とケーシング(外側ケーシング3)を連結するにあたって、ケーシング(外側ケーシング3)又はロッド(インナーロッド4)を回転させることによって、ケーシング(外側ケーシング3)に設けられている第1係合凸部(凸部32)と、連結部(回転駆動キャップ40)に設けられている第2係合凹部(凹部40a)とを係合することにより連結するか、又は、ケーシング(外側ケーシング3)に設けられている第1係合凹部と、連結部(回転駆動キャップ40)に設けられている第2係合凸部とを係合することにより連結しているから、連結作業がより簡単容易となる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
さらに、請求項4に係る発明によれば、連結部(回転駆動キャップ40)とケーシング(外側ケーシング3)を連結するにあたって、ケーシング(外側ケーシング3)を支持する支持台(6)を、地盤(G)の地表(Ga)に設置しているから、連結作業がさらに簡単容易となる。