(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029130
(43)【公開日】2022-02-17
(54)【発明の名称】消毒システム
(51)【国際特許分類】
A61L 2/20 20060101AFI20220209BHJP
A61L 2/24 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
A61L2/20
A61L2/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020132298
(22)【出願日】2020-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】冨田 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】栗原 隆
(72)【発明者】
【氏名】田中 勲
(72)【発明者】
【氏名】辻 裕次
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA02
4C058AA23
4C058BB07
4C058CC02
4C058DD01
4C058DD07
4C058DD13
4C058DD16
4C058JJ14
4C058JJ28
4C058JJ29
(57)【要約】
【課題】十分な消毒を行いつつ、室内に人が入室した際に安全性を確保することができる消毒システムを提供する。
【解決手段】室内を消毒ガスにより消毒する消毒システムであって、消毒ガスを発生させ室内に放出する発生部と、室内の空気を循環させ消毒ガスを除去する除去部と、室内の消毒ガスの濃度を検出するセンサ部と、発生部を停止させる要因である停止条件を検出する検出部と、発生部が稼働している場合、検出部により検出された停止条件に基づいて、発生部を停止すると共に、除去部を制御してセンサ部により検出される室内に残留する消毒ガスの濃度を基準以下に調整する制御部と、を備えることを特徴とする消毒システムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内を消毒ガスにより消毒する消毒システムであって、
前記消毒ガスを発生させ前記室内に放出する発生部と、
前記室内の空気を循環させ前記消毒ガスを除去する除去部と、
前記室内の前記消毒ガスの濃度を検出するセンサ部と、
前記発生部を停止させる要因である停止条件を検出する検出部と、
前記発生部が稼働している場合、前記検出部により検出された前記停止条件に基づいて、前記発生部を停止すると共に、前記除去部を制御して前記センサ部により検出される前記室内に残留する前記消毒ガスの濃度を基準以下に調整する制御部とを備えることを特徴とする、
消毒システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記停止条件が検出されない場合、所定の稼働時間の間、前記室内における前記消毒ガスの濃度が所定の範囲内に維持されるように前記発生部を稼働させる、
請求項1に記載の消毒システム。
【請求項3】
前記停止条件は、所定の稼働時間の経過、人の接近、扉の開き、停止のための操作の各要因のうち少なくとも一つを含む、
請求項1または2に記載の消毒システム。
【請求項4】
前記発生部と前記除去部とは、隣接する部屋を仕切ると共に、前記室内に面する壁内に設けられ前記隣接する部屋において共有されている、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の消毒システム。
【請求項5】
前記発生部と前記除去部とは、前記室内の温度を調整する空調装置に設けられている、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の消毒システム。
【請求項6】
前記除去部は、前記消毒ガスを除去するケミカルフィルタを有する、
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の消毒システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内を消毒する消毒システムに関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウイルスによる感染症が世界的に拡大している。室内における感染要因となるウイルスを除去するためには頻回な室内消毒作業が求められる。しかしながら、消毒剤を用いて室内を清拭する方法は手間を要すると共に、拭き残しが発生する虞がある。
【0003】
室内全体の接触面を消毒する方法として室内にオゾンガスを放出して室内をオゾンガスにより暴露させるオゾン燻蒸に関する技術が知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。これに関連して例えば、特許文献3には、室内のオゾン消毒が推定できる値であるCT値を算出して室内のオゾン濃度を調整する技術が記載されている。オゾン燻蒸を行った後は、室内のオゾン濃度が高濃度であり、人が入室可能なオゾン濃度になるまで長時間の分解時間が必要となる。
【0004】
人体に影響を与えないように低濃度においてオゾン濃度を調整する技術が提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、人体に影響を与えない濃度では十分な消毒効果が得られなくなる虞がある。室内が有人環境の場合、0.1ppmの低濃度でオゾン燻蒸が適用される事例もあるが低濃度のオゾンでは消毒効果が低減すると共に、長時間使用する場合は健康被害の虞がある。また、上述した技術によれば、消毒中に入室した場合は、想定されておらず安全性の確保が十分とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-019825号公報
【特許文献2】特開2019-162046号公報
【特許文献3】特開2012-075711号公報
【特許文献4】特開2019-187653号公報
【特許文献5】特表2012-531979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
提案されている上記方法によれば、消毒後のオゾンの分解に時間がかかるため、室内のオゾン濃度が低下するまでに長時間にわたって無人環境にする必要があった。また、室内のオゾンガスが高濃度の環境下において入室する必要がある場合には人が窓開けをして換気する必要があった。特許文献5には、可搬型オゾン発生装置によりオゾン燻蒸を行った後、オゾン処理を行う装置を用いてオゾンを除去する技術が記載されている。しかしながら、この技術においても消毒中に人が入室した場合の安全性の確保について提案されていない。
【0007】
本発明は、十分な消毒を行いつつ、室内に人が入室した際に安全性を確保することができる消毒システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達するために、本発明は、室内を消毒ガスにより消毒する消毒システムであって、消毒ガスを発生させ前記室内に放出する発生部と、前記室内の空気を循環させ前記消毒ガスを除去する除去部と、前記室内の前記消毒ガスの濃度を検出するセンサ部と、前記発生部を停止させる要因である停止条件を検出する検出部と、前記発生部が稼働している場合、前記検出部により検出された前記停止条件に基づいて、前記発生部を停止すると共に、前記除去部を制御して前記センサ部により検出される前記室内に残留する前記消毒ガスの濃度を基準以下に調整する制御部とを備えることを特徴とする、消毒システムである。
【0009】
本発明によれば、発生部において室内を消毒ガスにより十分な消毒を行いつつ、消毒後は除去部が消毒ガスを安全な濃度まで迅速に除去して室内に人が入室した際に安全性を確保することができる。
【0010】
また、本発明の前記制御部は、前記停止条件が検出されない場合、所定の稼働時間の間、前記室内における前記消毒ガスの濃度が所定の範囲内に維持されるように前記発生部を稼働させるように構成されていてもよい。
【0011】
本発明によれば、制御部が消毒ガスを十分な濃度に保つように発生部を制御するため、室内を確実に消毒することができる。
【0012】
また、本発明の前記停止条件は、所定の稼働時間の経過、人の接近、扉の開き、停止のための操作の各要因のうち少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0013】
本発明によれば、消毒後の部屋に人の入室や接近等の停止条件を検出した場合、に除去部を稼働させ室内のオゾン濃度を低下させるため、安全性を確保することができる。
【0014】
また、本発明の前記発生部と前記除去部とは、隣接する部屋を仕切ると共に、前記室内に面する壁内に設けられ前記隣接する部屋において共有されていてもよい。
【0015】
本発明によれば、発生部と除去部とを壁内に設けることによって、他の部屋と発生部と除去部とを共有することで消毒システムの設置コストを低減することができる。
【0016】
また、本発明の前記発生部と前記除去部とは、前記室内の温度を調整する空調装置に設けられていてもよい。
【0017】
本発明によれば、発生部と除去部とが空調装置内に設けられていることにより、消毒システムの設置コストを低減することができる。
【0018】
また、本発明の前記除去部は、前記消毒ガスを除去するケミカルフィルタを有するように構成されていてもよい。
【0019】
本発明によれば、ケミカルフィルタを用いることにより、低濃度の消毒ガスを効率的に除去することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、十分な消毒を行いつつ、室内に人が入室した際に安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る消毒システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】消毒対象である部屋の他の構成を示す図である。
【
図4】部屋における消毒システムの配置関係を示す図である。
【
図5】部屋における消毒システムの他の配置関係を示す図である。
【
図6】消毒後のオゾン濃度の経時変化を示す図である。
【
図7】消毒後に除去部を稼働させた場合のオゾン濃度の経時変化を示す図である。
【
図8】消毒システムにおいて実行される処理の流れを示すフロチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る消毒システムの実施形態について説明する。消毒システムは、室内をオゾンガスにより消毒するものである。消毒システムは、例えば、ウイルス感染者利用室、休憩室、トイレ、レストランの個室など消毒が必要な場所に適用される。消毒システムは、扉やエアカーテンなどで仕切られた室内、空間で一定時間(例えば30分以上、可能であればより少ない時間)無人にできる場所であれば適用可能である。
【0023】
図1に示されるように、消毒システム1は、オゾンガスを発生させる発生部2と、オゾンガスを除去する除去部10と、オゾンガスの濃度を検出するセンサ部20と、発生部を停止させる要因である停止条件を検出する検出部30と、発生部2及び除去部10を制御する制御部40と、制御に関するデータを記憶する記憶部50とを備える。
【0024】
発生部2は、例えば、室内の天井内に取り付けられている。発生部2は、室内の温度を調整する空調装置に設けられていてもよい。発生部2は、可搬型の装置であってもよい。発生部2は、消毒ガスを発生する。発生部2は、例えば、オゾンガスを発生させるオゾン発生器を備える。オゾン発生器は、例えば、平行電極と、電極間に設けられた誘電体とを有する。電極間には、酸素ガス、乾燥空気等が供給され、電極間に交流高電圧を加えると誘電体から放電が発生し、酸素からオゾンが生成される。発生部2は、吸気口から吸引した室内の空気を発生器に流通させ、生成したオゾンを含んだ空気を送風口から室内に放出する。
【0025】
除去部10は、例えば、室内の天井内に取り付けられている。除去部10は、室内の温度を調整する空調装置に設けられていてもよい。除去部10は、可搬型の装置であってもよい。除去部10は、オゾンガス等の化学物質を分解して除去するケミカルフィルタを備える。オゾンガスの濃度によっては、二酸化マンガン等の分解触媒も併用してもよい。
【0026】
ケミカルフィルタは、クリーンルームや半導体製造装置などの設備に適用例があり、オゾンガスが極めて低濃度であっても高効率に除去することができる。除去部10は、室内の空気を吸気口から吸引してケミカルフィルタを通過させてオゾンガスを除去した後の空気を送風口から室内に送風し、循環させる。発生部と除去部とを空調装置に設けることにより、消毒システム1の設置コストを低減することができる。
【0027】
センサ部20は、室内の複数の箇所に設置される複数のセンサを備える。複数のセンサは、人が多く触れる50cm以上の位置に設置される。センサは、検出限界が0.01ppmであり、0.01ppm以上の濃度のオゾンガスを検出する。
【0028】
検出部30は、例えば、所定の稼働時間の経過、人の接近、扉の開き、停止のための操作の各要因のうち少なくとも一つを含む停止条件を検出する。検出部30は、タイマ、人感センサ、扉のロックの開閉センサ、操作盤を備える。検出部30は、タイマにより発生部2の稼働時間を検出する。検出部30は、人感センサによる人の検出信号を検出する。人感センサは、室内や、部屋に通じる廊下等に設けられている。人感センサは、人の入室や部屋への接近を検出する。人感センサは、Bluetooth(登録商標)等の無線機器用いて利用者の携帯端末と通信して利用者の位置を検出するものであってもよい。
【0029】
検出部30は、部屋の扉のロックの開閉センサの検出信号を検出する。開閉センサは、部屋の扉の開状態、閉状態を検出する。検出部30は、操作盤における停止ボタンの制御信号を検出する。
【0030】
記憶部50は、制御プログラム、オゾン濃度の設定条件等のデータを記憶している。記憶部50は、HDD、フラッシュメモリ等の記憶媒体である。記憶部50は、ネットワークを通じて接続されていてもよい。
【0031】
制御部40は、センサ部20及び検出部30の検出結果に基づいて、発生部2及び除去部10を制御する。制御部40は、ネットワークを通じて接続されていてもよい。制御部40及び記憶部50は、パーソナルコンピュータ、タブレット型端末、スマートフォン等の端末装置により実現されてもよい。これらの端末装置は、ネットワークを通じて遠隔操作するものであってもよい。
【0032】
制御部40は、例えば、検出部30の人感センサ、扉のロックの開閉センサの検出結果に基づいて、室内における人の存在が確認されず、且つ、部屋の扉が閉まっている場合、発生部2を稼働させ、室内にオゾンガスを放出させる。制御部40は、センサ部20の検出結果に基づいて、発生部2を調整し、室内のオゾンガスの濃度が所定範囲となるように調整する。
【0033】
制御部40は、例えば、オゾン濃度を最低1ppm、有効濃度1-10ppmに調整する。制御部40は、管理可能であればオゾン濃度10ppm以上に調整してもよい。制御部40は、所定時間の間、発生部2を稼働させる。制御部40は、部屋に人が存在しなくなり、停止条件が検出されない場合、所定の稼働時間の間、室内におけるオゾンガスの濃度が所定の範囲内に維持されるように発生部2を稼働させる。
【0034】
制御部40は、検出部30のタイマが夜間等の予め設定された時間帯である場合に発生部2を稼働させてもよい。制御部40は、検出部30のタイマが発生部2の稼働開始から所定の稼働時間以上となった場合、発生部2を停止すると共に、除去部10を制御する。これにより、消毒システム1は、室内に人が存在しない場合、自動的に消毒処理を行うことで、効率的に感染リスクを低減することができる。
【0035】
発生部2が稼働中に室内への人の入室、部屋への人の接近、部屋の扉の開状態、操作盤における停止ボタンが操作された等の停止条件が検出された場合、室内のオゾン濃度を低下させる必要がある。制御部40は、発生部2を稼働中に検出部30により検出された停止条件に基づいて、発生部2を停止すると共に、除去部10を制御してセンサ部20により検出される室内に残留するオゾンガスの濃度を基準以下に調整する。これにより、消毒システム1は、消毒後の部屋の安全性を確保することができる。
【0036】
制御部40は、除去部10を制御してオゾン濃度をWELL認証の評価項目である0.051ppm未満に調整する。喘息やアレルギーなどのリスクが高い人がいる場合は、制御部40は、除去部10を制御してオゾン濃度をセンサ検出限界である0.01ppm以下に調整する。制御部40は、オゾン除去時に空調装置と連動させ、外気排気による換気の併用も行ってもよい。
【0037】
次に、消毒システム1の具体的な構成について説明する。
【0038】
図2に示されるように、部屋R内に発生部2及び除去部10が設けられている。部屋R内には、オゾン濃度を検出するためのセンサ部20が設けられている。部屋Rには、人が出入りする開閉自在な扉Tが設けられている。扉Tは、発生部2の稼働中は閉じられる。部屋Rの外部において扉Tに通じる廊下Kが設けられている。廊下Kには、消毒システム1の操作盤Sが設けられている。利用者は、操作盤Sにより、消毒システム1の稼働又は停止を操作することができる。操作盤Sは室内にも設けられていてもよい。
【0039】
図3に示されるように、部屋R内と廊下Kには、検出部30(人感センサ)が設けられていてもよい。人感センサは、廊下Kにおいて扉Tから所定距離離間して設けられている。人感センサにより、廊下Kにおいて部屋Rに人が接近したことが検出される。
【0040】
図4に示されるように、複数の部屋Rのそれぞれの天井内に発生部2が設けられている。除去部10は、天井内に設けられている。除去部10は、複数の部屋Rのオゾンガスの除去をするために共有されてもよい。除去部10は、吸気管11が各部屋Rを仕切る壁B内に設けられている。吸気口12は、壁Bの下部にそれぞれの部屋Rに開口して形成されている。
【0041】
除去部10は、送風管13が分岐してそれらの部屋Rに接続されている。送風口14は、それぞれの部屋Rの天井に開口して形成されている。制御部40は、いずれかの部屋Rを選択して発生部2及び除去部10を制御し、消毒処理を行う。上記構成により、除去部10が各部屋Rにおいて共有されているため、消毒システム1の設置コストを低減することができる。
【0042】
図5に示されるように、発生部2と除去部10とは、複数の部屋Rを仕切る室内に面する壁B内に設けられていてもよい。除去部10は、発生部2の下方に設けられている。吸気管11は、隣接する各部屋Rを仕切る壁B内に設けられている。吸気口12は、壁Bの下部にそれぞれの部屋Rに開口して形成されている。送風管13は、発生部2に接続されている。発生部2の送風口3は、それぞれの部屋Rに開口して形成されている。制御部40は、いずれかの部屋Rを選択して発生部2及び除去部10を制御し、消毒処理を行う。上記構成により、除去部10が各部屋Rにおいて共有されているため、消毒システム1の設置コストを低減することができる。
【0043】
図6には、発生部2を稼働後における部屋R内のオゾン濃度とCT値が示されている。CT値は、一般にオゾンによる滅菌処理を行うときの消毒の効果を示す指標値であり、オゾン濃度(ppm)と滅菌時間(分)との積である。CT値が高いほど消毒の効果が高いことを示す。除去部10を稼働しない場合、発生部2を停止した後、オゾン濃度が入室可能濃度の基準値(0.1ppm)に低下するまで3-4時間かかる。
【0044】
図7には、発生部2を稼働後に除去部10を稼働させた場合における部屋R内のオゾン濃度とCT値が示されている。発生部2を停止した後、除去部10を稼働した場合、オゾン濃度が入室可能濃度の基準値(0.1ppm)に低下するまでかかる時間は5-30分となり、大幅に短縮される。
【0045】
制御部40は、発生部2の稼働中において、部屋の外部に設けられた表示部(不図示)に消毒中を示す情報を表示させてもよい。制御部40は、発生部2の稼働中において、扉のロックを閉状態にしてもよい。制御部40は、扉のロックを閉状態にした場合、操作盤における停止ボタンが操作されたことを検出後に、除去部10を制御してセンサ部20により検出される室内に残留するオゾンガスの濃度を基準以下に調整された後、扉のロックを開状態にしてもよい。
【0046】
次に、消毒システム1による部屋R内の消毒方法の処理について説明する。
【0047】
図8には、消毒システム1において実行される処理の流れが示されている。制御部40は、検出部30の検出結果に基づいて、部屋Rの中や近傍に人が存在せず、且つ、扉Tが閉まっている開始条件であると判定した場合(ステップS10)、発生部2を稼働させオゾン燻蒸を開始する(ステップS12)。
【0048】
制御部40は、センサ部20の検出結果に基づいて、部屋R内のオゾン濃度を基準の範囲内に維持する。制御部40は、検出部30の検出結果に基づいて、停止条件であると判定した場合(ステップS14)、発生部2を停止させオゾン燻蒸を停止する(ステップS16)。制御部40は、除去部10を稼働させ、センサ部20の検出結果に基づいて、部屋R内のオゾン濃度を基準値以下となるまでにオゾン除去を行う(ステップS18)。
【0049】
上述したように消毒システム1によれば、室内を消毒後においても除去部10を稼働させることにより短時間で入室が可能になる。消毒システム1によれば、消毒中に人の入室や接近を検出した場合に、除去部10を稼働させることにより室内のオゾン濃度を短時間に低下させることで安全性を向上できる。消毒システム1によれば、消毒後に早期に感染症患者を受け入れる必要がある高稼働施設、感染者や不特定多数利用者が多い施設において使用できる。
【0050】
消毒システム1によれば、利用者、滞在者が入れ替わる際に、無人となる時間帯を利用して対象室内を消毒することで感染リスクを低減することができる。消毒システム1によれば、所定の濃度のオゾンにより室内を暴露するため、室内を清拭して消毒する消毒者の感染リスクを低減することができる。
【0051】
上述した制御部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0052】
プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0053】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、消毒システム1は、オゾンの除去だけでなく、他の化学物質、例えば、過酸化水素、過酢酸、次亜塩素酸等を含む消毒ガスの除去に応用してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 消毒システム
2 発生部
3 送風口
10 除去部
11 吸気管
12 吸気口
13 送風管
14 送風口
20 センサ部
30 検出部
40 制御部
50 記憶部
B 壁
K 廊下
R 部屋
S 操作盤
T 扉