(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029138
(43)【公開日】2022-02-17
(54)【発明の名称】チンピロー
(51)【国際特許分類】
A47G 9/10 20060101AFI20220209BHJP
【FI】
A47G9/10 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020132312
(22)【出願日】2020-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】592150930
【氏名又は名称】富士ベッド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100011
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 省三
(72)【発明者】
【氏名】小野 弘幸
【テーマコード(参考)】
3B102
【Fターム(参考)】
3B102AB07
(57)【要約】
【課題】小型化かつ軽量化でき、見栄えのよい、使用の際の角度調整の煩わしさがないチンピローを提供する。
【解決手段】チンピロー1は、使用者Uの下顎Aの一部に当接するための下顎当接部11と、使用者Uの上胸Bの一部に当接するための上胸当接部12と、下顎当接部11と上胸当接部12とを連結する連結部13と、上胸当接部12を使用者Uの首Nに吊り下げて上胸Bに固定するための紐14とによって構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の下顎の一部に当接するための下顎当接部と、
前記使用者の上胸の一部に当接するための上胸当接部と、
前記下顎当接部と前記上胸当接部とを連結する連結部と、
前記上胸当接部を前記使用者の首に吊り下げて前記上胸当接部を前記上胸の一部に固定するための紐と
を具備するチンピロー。
【請求項2】
前記下顎当接部、前記上胸当接部及び前記連結部は一体成形された請求項1に記載のチンピロー。
【請求項3】
前記下顎当接部は前記下顎に対する第1の当接面を有し、該第1の当接面に対して裾拡がり状をなし、
前記上胸当接部は前記上胸に対する第2の当接面を有し、該第2の当接面に対して裾拡がり状をなした請求項1に記載のチンピロー。
【請求項4】
前記下顎当接部は前記下顎に対する第1の当接面を有し、該第1の当接面に対して半球状をなし、
前記上胸当接部は前記上胸に対する第2の当接面を有し、該第2の当接面に対して半球状をなした請求項1に記載のチンピロー。
【請求項5】
前記連結部は1本又は2本である請求項1に記載のチンピロー。
【請求項6】
前記下顎当接部は第1、第2の下顎当接部を具備し、
前記連結部は第1、第2の連結部を具備し、
前記第1の連結部は前記第1の下顎当接部を前記上胸当接部に連結し、
前記第2の連結部は前記第2の下顎当接部を前記上胸当接部に連結する請求項1に記載のチンピロー。
【請求項7】
前記下顎当接部は第1、第2の下顎当接部を具備し、
前記上胸当接部は第1、第2の上胸当接部を具備し、
前記連結部は第1、第2の連結部を具備し、
前記第1の連結部は前記第1の下顎当接部を前記第1の上胸当接部に連結し、
前記第2の連結部は前記第2の下顎当接部を前記第2の上胸当接部に連結する請求項1に記載のチンピロー。
【請求項8】
さらに、前記第1、第2の連結部を連結する第3の連結部を具備する請求項7に記載のチンピロー。
【請求項9】
さらに、前記第1、第2の連結部を連結するためのワンタッチ留め具を具備する請求項7に記載のチンピロー。
【請求項10】
前記連結部は弾力性を有することにより高さ自動調整機能を有する請求項1に記載のチンピロー。
【請求項11】
前記連結部は該連結部の高さを調整するための高さ調整手段を具備する請求項1に記載のチンピロー。
【請求項12】
前記連結部を下部連結部及び上部連結部に分割し、
前記高さ調整手段は、
前記下部連結部及び前記上部連結部の一方に設けられた空洞グリップと、
前記下部連結部及び前記上部連結部の他方を前記空洞グリップ内に移動させて固定するための高さ固定ねじと
を具備する請求項11に記載のチンピロー。
【請求項13】
前記連結部を太さの異なる下部連結部及び上部連結部に分割し、
前記高さ調整手段は前記下部連結部及び前記上部連結部の太い方に前記下部連結部及び前記上部連結部の細い方を移動させて前記下部連結部及び前記上部連結部を固定するためのスリーブを具備する請求項11に記載のチンピロー。
【請求項14】
使用者の下顎の一部に当接するための第1、第2の下顎当接部と、
前記第1の下顎当接部に連結された第1のS字状連結部と、
前記第2の下顎当接部に連結された第2のS字状連結部と、
第1、第2のS字状連結部の前記第1、第2の下顎当接部と反対側を連結し、前記第1、第2のS字状連結部の反対側を前記使用者の首に吊り下げて前記使用者の上胸部に固定するための紐と
を具備するチンピロー。
【請求項15】
前記各第1、第2の下顎当接部は前記各第1、第2のS字状連結部と一体成形された請求項14に記載のチンピロー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチンピロー(顎枕)に関する。
【背景技術】
【0002】
電車、飛行機、椅子、ソファ等において横にならずに眠る仮眠時には、頭が前後左右に揺られる。たとえば、頭が前方に垂れると、後頭下筋群が前方において圧迫され、他方、後方において緊張し、この刺激が大脳皮質に伝えられ、正常位置回復命令が発生され、前に垂れた頭が持上る。この結果、頭は前後に傾倒する。また、頭が左方に垂れると、後頭下筋群が左方において圧迫され、他方、右方において緊張し、この刺激が大脳皮質に伝えられ、正常位置回復命令が発生され、左方に垂れた頭が持上る。この結果、頭は左右に傾倒する。このような前後左右の継続動作により熟睡することができず、また、首の痛み、肩こり、腰痛を招く。
【0003】
また、目が覚めている場合にも、映画、テレビ、ゲーム、タブレット、スマートフォン等の動画観賞を行うと、やはり頭は前後左右の継続動作により、首の痛み、肩こり、腰痛を招く。
【0004】
上述の仮眠時の熟睡を得るために、または、仮眠時及び動画観賞時における頭の前後左右の継続動作による首の痛み、肩こり、腰痛を緩和するために、チンピローが開発されている。
【0005】
第1の従来のチンピローは、複数の板状素材を高さ方向に重ねた本体と、この本体を下顎に装着させるための紐等とによって構成される(参照:特許文献1)。
【0006】
しかしながら、上述の第1の従来のチンピローにおいては、本体は複数の板状素材を重ねると共に、本体の喉に当る部分を薄くし、男性の場合の喉仏に対応する部分に貫通孔を設けているので、製造コストが高い。また、使用者の首の高さに合わせるために板状素材の枚数を調整する複雑な作業を必要とする。さらに、本体の上下面はほとんど平行になっているので、本体の上面が下顎に当接しても本体の下面は使用者の傾斜している上胸に当接できず、この結果、チンピローとして作用を発揮できない。さらにまた、本体の上面は下顎の全体に当接するようになっているので、チンピローが大型重量化し、電車等において使用すると、見栄えが悪い。
【0007】
第2の従来のチンピローは、下顎置部と、使用者の上胸に当接するための基体と、下顎置部と基体とを接続して高さ調整できる支柱及びねじ軸と、基体を回転可能に支持して使用者に固定するための係止体とによって構成される(参照:特許文献2の
図7~
図9)。下顎置部は使用者の下顎に当接すると共に、基体は使用者の上胸に当接するので、チンピローとして十分に作用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015-123155号公報
【特許文献2】特開平2-80045号公報の
図7~
図9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の第2の従来のチンピローにおいては、下顎置部は下顎全体に当接している。しかも、係止体の先端は基体の上部の軸受部に挿入され、下顎置部の支柱は軸受部中の係止体に軸着されている。この結果、下顎置部及び基体は別構成部品よりなると共に、下顎置部、基体及び係止体は大型重量化し、従って、チンピローは大型重量化すると共に、電車等で使用すると見栄えが悪いという課題がある。また、使用者がチンピローを使用する場合、下顎置部、基体及び係止体の相互の角度をその都度調整しなければならないという煩わしさがあるという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明に係るチンピローは、使用者の下顎の一部に当接するための下顎当接部と、使用者の上胸の一部に当接するための上胸当接部と、下顎当接部と上胸当接部とを連結する連結部と、上胸当接部を使用者の首に吊り下げて上胸当接部を上胸の一部に固定するための紐とを具備するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、小型化かつ軽量化できる。従って、電車等において使用した場合には、見栄えがよい。また、使用する際の角度調整の煩わしさはない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るチンピローの第1の実施の形態を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係るチンピローの第2の実施の形態を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係るチンピローの第3の実施の形態を示す斜視図であり、(A)は基本構成を示し、(B)は(A)の変更例を示す。
【
図4】本発明に係るチンピローの第4の実施の形態を示す斜視図であり、(A)は基本構成を示し、(B)は(A)の変更例を示す。
【
図5】本発明に係るチンピローの第5の実施の形態を示す斜視図である。
【
図6】本発明に係るチンピローの第6の実施の形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明に係るチンピローの第1の実施の形態を示す斜視図である。
【0014】
図1において、チンピロー1は、使用者Uの下顎Aの一部に当接するための下顎当接部11と、使用者Uの上胸Bの一部に当接するための上胸当接部12と、下顎当接部11と上胸当接部12とを連結する連結部13と、上胸当接部12を使用者Uの首Nに吊り下げて上胸Bに固定支持するための紐14とによって構成される。下顎当接部11、上胸当接部12及び連結部13は合成樹脂によって一体成形される。
【0015】
下顎当接部11は下顎Aの一部のみに当接するので、下顎当接部11の当接面は小さく、当接面に対して裾拡がり状をなしている。同様に、上胸当接部12の上胸Bの一部のみに当接するので、上胸当接部12の当接面は小さく、当接面に対して裾拡がり状をなしている。従って、連結部13の断面は下顎当接部11の当接面及び上胸当接部12の当接面より小さい。つまり、連結部13は下顎当接部11及び上胸当接部12よりも細くなっている。尚、紐14は2つの留め具14a(1つのみ図示)によって上胸当接部12に取外可能となっている。
【0016】
このように、
図1のチンピロー1によれば、一体成形された下顎当接部11、上胸当接部12及び連結部13は小型化でき、かつ軽量化できる。従って、電車等で使用した場合には、見栄えがよい。また、使用する際の角度調整の煩わしさはない。
【0017】
【0018】
始めに、使用者Uは一方の留め具14aを解除して紐14を上胸当接部12から取外し、自分の首Nに回してから当該留め具14aによって上胸当接部12に取付ける。これにより、上胸当接部12は使用者Uの上胸Bの所定位置に固定される。
【0019】
次に、使用者Uは下顎当接部11を自分の下顎Aの下部に当接させる。これにより、チンピロー1は使用状態となる。
【0020】
チンピロー1の使用中に、下顎当接部11が下顎Aの下部から外れることがある。この場合、チンピロー1は落下せずに紐14によって垂れ下がる。従って、使用者Uは下顎当接部11を下顎Aの下部に簡単に当接でき、下顎当接部11は下顎Aに再び固定される。
【0021】
最後に、チンピロー1の使用状態を解除する場合、使用者Uは下顎当接部11を下顎Aから取外し、さらに、紐14の少なくとも一端の留め具14aを解除して上胸当接部12から取外すことにより、チンピロー1は使用者Uから離脱する。
【0022】
このように、チンピロー1の使用方法によれば、下顎当接部11、上胸当接部12、連結部13の角度調整は不要であり、角度調整の煩わしさはない。
【0023】
図2は本発明に係るチンピローの第2の実施の形態を示す斜視図である。
【0024】
図2のチンピロー2においては、
図1のチンピロー1の連結部13の代りに2つの連結部13A、13Bを設けてある。この場合、連結部13A、13Bは細くかつ曲線状をなして弾力性を有する。従って、連結部13A、13Bは使用者に応じた高さ自動調整機能を有する。
【0025】
図2のチンピロー2の使用方法は
図1のチンピロー1の使用方法と同一である。
【0026】
図2のチンピロー2においても、一体成形された下顎当接部11、上胸当接部12及び連結部13A、13Bは小型化でき、かつ軽量化できる。従って、電車等で使用した場合には、見栄えがよい。また、使用する際の角度調整の煩わしさはない。
【0027】
図3は本発明に係るチンピローの第3の実施の形態を示す斜視図であり、(A)は基本構成を示し、(B)は(A)の変更例を示す。
【0028】
図3の(A)のチンピロー3においては、
図2のチンピロー2の下顎当接部11の代りに、下顎当接部11の形状とほぼ同一の裾拡がり状の2つの下顎当接部11A、11Bを設ける。各下顎当接部11A、11Bは、それぞれ、連結部13A、13Bに連結する。これにより、各下顎当接部11A、11Bは下顎Aに対して独立に当接するので、使用中に、下顎当接部11A、11Bの一方が下顎Aから外れても他方は下顎Aから外れない。
【0029】
図3の(B)のチンピロー3’においては、
図3の(A)の裾拡がり状の下顎当接部11A、11B及び上胸当接部12の代りに、半球状の下顎当接部11A’、11B’及び半球状の上胸当接部12’を設ける。
図3の(B)のチンピロー3’は、
図3の(A)のチンピロー3より重量感があり、安定している。また、連結部13A、13Bは細くかつ曲線状をなして弾力性を有する。従って、連結部13A、13Bは使用者に応じた高さ自動調整機能を有する。
【0030】
図3のチンピロー3(3’)の使用方法は
図1のチンピロー1の使用方法と同一である。
【0031】
図3のチンピロー3(3’)においても、一体成形された下顎当接部11A、11B(11A’、11B’)、上胸当接部12(12’)及び連結部13A、13Bは小型化でき、かつ軽量化できる。従って、電車等で使用した場合には、見栄えがよい。また、使用する際の角度調整の煩わしさはない。
【0032】
図4は本発明に係るチンピローの第4の実施の形態を示す斜視図であり、(A)は基本構成を示し、(B)は(A)の変更例を示す。
【0033】
図4の(A)のチンピロー4においては、
図3の(A)のチンピロー3の上胸当接部12の代りに、2つの上胸当接部12A、12Bを設ける。各上胸当接部12A、12Bは、それぞれ、連結部13A、13Bに連結する。これにより、下顎当接部11A、11Bは下顎Aに対してさらに独立に当接するので、使用中に、下顎当接部11A、11Bの一方が下顎Aから外れても他方は下顎Aから外れない。
【0034】
図4の(B)のチンピロー4’においては、
図4の(A)のチンピロー4における連結部13A、13B間を連結部13Cで連結する。これにより、下顎当接部11A、11B及び上胸当接部12A、12Bは、使用中、外れにくくなる。
【0035】
図4のチンピロー4(4’)の使用方法は
図1のチンピロー1の使用方法と同一である。
【0036】
図4のチンピロー4(4’)においても、一体成形された下顎当接部11A、11B、上胸当接部12及び連結部13A、13B、13Cは小型化でき、かつ軽量化できる。従って、電車等で使用した場合には、見栄えがよい。また、使用する際の角度調整の煩わしさはない。
【0037】
図5は本発明に係るチンピローの第5の実施の形態を示す斜視図である。
【0038】
図5のチンピロー5においては、
図4の(B)の連結部13Cの代りにワンタッチ留め具15を設ける。使用中は、ワンタッチ留め具15は
図4の(B)の連結部13Cと同一の作用をするので、下顎当接部11A、11B及び上胸当接部12A、12Bは外れにくくなる。
【0039】
しかし、
図5のチンピロー5の使用方法は
図4の(B)のチンピロー4’の使用方法と異なり、上胸当接部12A、12Bの取外し取付けを、
図4の(B)の紐14の留め具14aによる取外し取付けの代りに、ワンタッチ留め具15の取外し取付けによっても行うことができる。この場合、ワンタッチ留め具15の取外し取付けは紐14の留め具14aの取外し取付けよりも容易であるので、使用方法が容易となる。もちろん、上胸当接部12A、12Bの取外し取付けを紐14の留め具14aの取外し取付けによって行ってもよい。
【0040】
図6は本発明に係るチンピローの第6の実施の形態を示す斜視図である。
【0041】
図6のチンピロー6においては、使用者Uの下顎Aの一部に当接するための2つの下顎当接部11A、11Bを設け、各下顎当接部11A、11Bを、それぞれ、S字状連結部16A、16Bの上部に連結する。S字状連結部16A、16Bの下部は上胸Bの一部に当接するための上胸当接部として作用する。S字状連結部16A、16Bは留め具14aによって紐14に接続する。従って、紐14によって連結されたS字状連結部16A、16Bの下部は定位置で使用者Uの上胸部Bに固定されて上胸当接部として作用する。この場合、下顎当接部11A(11B)及びS字状連結部16A(16B)は合成樹脂によって一体成形される。この場合、S字状連結部16A、16B自体がS字状形のために弾力性を有する。従って、S字状連結部16A、16Bは使用者に応じた高さ自動調整機能を有する。
【0042】
下顎当接部11A、11Bは下顎Aの一部に当接するので小さく、また、S字状連結部16A、16Bは下顎当接部11A、11Bより細い。
図6のチンピロー6においても、一体成形された下顎当接部11A(11B)及びS字状連結部16A(16B)は小型化でき、かつ軽量化できる。従って、電車等で使用した場合には、見栄えがよい。また、使用する際の角度調整の煩わしさはない。
【0043】
【0044】
始めに、使用者Uは紐14を留め具14aを解除してS字状連結部16A、16Bの一方から取外し、自分の首Nに回してからS字状連結部16A、16Bの当該一方へ再び留め具14aによって取付ける。これにより、S字状連結部16A、16Bの下部は自分の上胸Bの所定位置に固定される。このとき、下顎当接部11A、11Bを自分の下顎Aの下方に位置させ、自分の下顎Aを下顎当接部11A、11Bに載せることによりチンピロー6は使用状態となる。
【0045】
チンピロー6の使用中に、万一、下顎当接部11A、11Bが下顎Aから外れても、下顎当接部11A、11Bは落下することなく垂れ下がる。従って、使用者Uは再び自分の下顎Aを下顎当接部11A、11Bに載せることができる。
【0046】
最後に、チンピロー6の使用状態を解除する場合、使用者Uは留め具14aを解除して紐14をS字状連結部16A、16Bの一方から取外し、その後、チンピロー6全体を取外す。これにより、チンピロー6は使用者Uから離脱する。
【0047】
図1、
図3の(A)、
図4、
図5のチンピローは一体成形されているので、製造する際に、使用者Uの首Nの高さに応じたSサイズ、Mサイズ、Lサイズ、LLサイズ等の複数のサイズを準備しなければならない。これを回避するために、
図7に示す
図1、
図3の(A)、
図4、
図5のチンピローの高さ、つまり連結部13(13A、13B)の高さを積極的に調整する高さ調整手段Mを各連結部13(13A、13B)に設けることもできる。高さ調整手段Mは、連結部13(13A、13B)を中途で上下に分割して下部連結部131及び上部連結部132とし、下部連結部131に空洞グリップ71を固定し、空洞グリップ71に貫通できる高さ固定ねじ72を設ける。高さ調整する際には、高さ固定ねじ72を緩めて上部連結部132を空洞グリップ71内を移動させて使用者Uの首Nの高さに応じた場所で止める。最後に、高さ固定ねじ72を締めて上部連結部132を空洞グリップ71内に固定する。このようにして、連結部13(13A、13B)の高さを空洞グリップ71の高さの範囲で調整できる。尚、空洞グリップ71を上部連結部132に固定し下部連結部131を空洞グリップ71内に移動させて固定してもよい。
【0048】
また、高さ調整手段Mとして、連結部13(13A、13B)を太いたとえば下部連結部、太い下部連結部を貫通する細いたとえば上部連結部に分割し、細い上部連結部を太い下部連結部に固定するためのスリーブよりなるグリップストッパで構成してもよい。さらに、連結部13(13A、13B)に高さ調整手段Mを設けた場合には、下顎当接部は上部連結部と一体成形され、上胸当接部は下部連結部と一体成形される。
【0049】
高さ調整手段Mは実際には小さいので、高さ調整手段Mを設けた
図1、
図3の(A)、
図4、
図5のチンピローにおいても、小型化でき、かつ軽量化できる。また、高さ調整手段Mは一旦調整した後は調整の必要がないので、使用の際の角度調整の煩わしさはない。
【0050】
尚、本発明は上述の実施の形態の自明の範囲内でいかなる変更にも適用し得る。
【符号の説明】
【0051】
1、2、3、3’、4、4’、5、6:チンピロー
11、11A、11B、11A’、11B’:下顎当接部
12、12’、12A、12B:上胸当接部
13、13A、13B、13C:連結部
14:紐
14a:留め具
15:ワンタッチ留め具
16A、16B:S字状連結部
U:使用者
A:下顎
B:上胸
N:首
M:高さ調整手段
131:下部連結部
132:上部連結部
71:固定グリップ
72:高さ固定ねじ