(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029142
(43)【公開日】2022-02-17
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/62 20060101AFI20220209BHJP
A44B 18/00 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
A61F13/62 110
A44B18/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020132322
(22)【出願日】2020-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福元 淳生
【テーマコード(参考)】
3B100
3B200
【Fターム(参考)】
3B100DA02
3B100DB02
3B200CA02
3B200CA07
3B200CB01
3B200DE14
3B200DE16
(57)【要約】
【課題】フック部材が設けられた部分で着用者の体表面の曲面形状に対する追従性を高めることができ、また安定して止着テープを使い捨ておむつの止着対応部に止着することができる使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】おむつ本体2の幅方向xの両側に止着テープ11が設けられた使い捨ておむつ1であって、止着テープ11は、テープ基材12と、テープ基材12に設けられたフック部材13とを有し、フック部材13は、基盤と、基盤から突出する複数の係合素子とを有し、基盤が接着部でテープ基材13に接着されており、基盤には切り込み線および/または窪み線17が形成され、切り込み線または窪み線17と重なる位置に接着部が設けられず非接着部が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向と前後方向を有し、おむつ本体の幅方向の両側に止着テープが設けられた使い捨ておむつであって、
前記止着テープは、テープ基材と、前記テープ基材に設けられたフック部材とを有し、
前記フック部材は、基盤と、前記基盤から突出する複数の係合素子とを有し、前記基盤が接着部で前記テープ基材に接着されており、
前記基盤には切り込み線および/または窪み線が形成され、前記切り込み線または前記窪み線と重なる位置に前記接着部が設けられず非接着部が形成されていることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記接着部は、前記切り込み線または窪み線と重なる位置から少なくとも0.3mmの範囲内に設けられない請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記切り込み線および/または窪み線は、前記基盤の前側縁から後側縁にかけて直線状に延びるように形成されている請求項1または2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記接着部は、前記基盤の幅方向の両端部に設けられない請求項3に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記フック部材は、前記テープ基材の幅方向の外方縁から幅方向に離隔して設けられ、
前記フック部材の幅方向の外方縁から前記テープ基材の幅方向の外方縁までの長さが、前記フック部材の幅方向の外方縁から前記切り込み線および/または窪み線までの長さよりも長い請求項3または4に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記フック部材は、前記切り込み線および/または窪み線により幅方向に複数の領域に区分され、
前記フック部材の幅方向の内方側の領域は、前記フック部材の幅方向の外方側の領域よりも、幅方向の長さが長く形成されている請求項1~5のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記フック部材は、前記切り込み線および/または窪み線により幅方向に複数の領域に区分され、
前記フック部材の幅方向の内方側の領域は、前記フック部材の幅方向の外方側の領域よりも、面積が広く形成されている請求項1~6のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記フック部材は、前記切り込み線および/または窪み線により幅方向に複数の領域に区分され、
前記フック部材の幅方向の内方側の領域中の前記接着部の割合は、前記フック部材の幅方向の外方側の領域中の前記接着部の割合よりも大きい請求項1~7のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項9】
前記止着テープは、前記フック部材として、第1フック部材と、前記第1フック部材から幅方向に離隔し、前記第1フック部材よりも幅方向の内方に設けられた第2フック部材とを有し、
前記第1フック部材と前記第2フック部材は、前記切り込み線および/または窪み線により幅方向に複数の領域に区分され、
前記第1フック部材の幅方向の内方側の領域中の前記接着部の割合は、前記第1フック部材の幅方向の外方側の領域中の前記接着部の割合よりも大きく、
前記第2フック部材の幅方向の内方側の領域中の前記接着部の割合は、前記第2フック部材の幅方向の外方側の領域中の前記接着部の割合よりも小さい請求項1~5のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止着テープを備えた使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、止着テープを備えたいわゆるテープタイプの使い捨ておむつが広く知られている。止着テープには面ファスナーのフック部材が設けられることが多く、止着テープを使い捨ておむつの後側部の幅方向の両側に設け、着用時に止着テープのフック部材を使い捨ておむつの前側部の止着対応部に係合させることにより、使い捨ておむつを着用者の腰回りに装着することができる。フック部材が設けられた止着テープは、フック部材が設けられた部分で剛性が高まり、使い捨ておむつを装着した際に着用者の体表面の曲面形状に対する追従性や、着用者の動きに対する追従性が低下するおそれがある。このようなフック部材の剛性による追従性低下に対して、特許文献1、2には、フック部材にスリットが形成された止着テープが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-155598号公報
【特許文献2】特表2008-522730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に開示された止着テープによれば、フック部材にスリットが形成されることにより着用者の体表面の曲面形状に対する追従性を高めることができるが、より着用者の体表面の曲面形状に対する追従性を高めることができ、また安定して止着テープを使い捨ておむつの止着対応部に止着できる止着テープがあれば望ましい。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フック部材を備えた止着テープが設けられた使い捨ておむつであって、フック部材が設けられた部分で着用者の体表面の曲面形状に対する追従性を高めることができ、また安定して止着テープを使い捨ておむつの止着対応部に止着することができる使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明の使い捨ておむつとは、幅方向と前後方向を有し、おむつ本体の幅方向の両側に止着テープが設けられた使い捨ておむつであって、止着テープは、テープ基材と、テープ基材に設けられたフック部材とを有し、フック部材は、基盤と、基盤から突出する複数の係合素子とを有し、基盤が接着部でテープ基材に接着されており、基盤には切り込み線および/または窪み線が形成され、切り込み線または窪み線と重なる位置に接着部が設けられず非接着部が形成されているところに特徴を有する。
【0007】
本発明の使い捨ておむつは、止着テープのフック部材に切り込み線および/または窪み線が形成されているため、止着テープを着用者の腰回りに装着した際、フック部材が設けられた部分で止着テープの体表面の曲面形状に対する追従性を高めることができる。また、止着テープを止着対応部に止着する際に、フック部材の止着位置を細かく調整することが容易になる。そして、フック部材は、切り込み線または窪み線と重なる位置に接着部が設けられないことにより、止着テープが切り込み線または窪み線で折れ曲がる自由度が高まる。また、止着テープが止着対応部に止着した状態で止着テープが切り込み線または窪み線で折れ曲がっても、フック部材の基盤が切り込み線または窪み線を起点として、フック部材が止着対応部から意図せず剥がれにくくなる。そのため、本発明の使い捨ておむつは、止着テープを使い捨ておむつの止着対応部にフィット性良くかつ安定して止着することができる。
【0008】
接着部は、切り込み線または窪み線と重なる位置から少なくとも0.3mmの範囲内に設けられないことが好ましい。このように切り込み線または窪み線と重なる位置に非接着部が形成されていれば、止着テープをよりフィット性良く止着対応部に止着することができる。
【0009】
切り込み線および/または窪み線は、基盤の前側縁から後側縁にかけて直線状に延びるように形成されていることが好ましい。このように切り込み線および/または窪み線が形成されていれば、フック部材が着用者の腰回りの周方向に沿って幅方向に曲がりやすくなる。そのため、使い捨ておむつを装着した際、止着テープの着用者の腰回りへのフィット性を高めることができる。
【0010】
接着部は、基盤の幅方向の両端部には設けられないことが好ましい。これにより、フック部材を止着対応部に止着した際に、フック部材に幅方向にずれる力が作用しても、フック部材の基盤が当該両端部を起点として剥がれにくくなる。そのため、フック部材を安定して止着対応部に止着することができる。
【0011】
フック部材は、テープ基材の幅方向の外方縁から幅方向に離隔して設けられることが好ましい。このように止着テープが形成されていれば、止着テープの先端部を摘まみやすくなる。この場合、フック部材の幅方向の外方縁からテープ基材の幅方向の外方縁までの長さは、フック部材の幅方向の外方縁から切り込み線および/または窪み線までの長さよりも長く形成されることが好ましい。これにより、止着テープの先端部がフック部材の幅方向の外縁に沿って折れ曲がってフック部材に誤って止着しても、フック部材を切り込み線および/または窪み線で折り曲げることで、止着テープの先端部をフック部材から容易に剥がすことができる。
【0012】
フック部材は、切り込み線および/または窪み線により幅方向に複数の領域に区分され、フック部材の幅方向の内方側の領域は、フック部材の幅方向の外方側の領域よりも、幅方向の長さが長く形成されていることが好ましい。このようにフック部材が形成されていれば、止着テープを止着対応部に止着した際、フック部材は幅方向の内方側の領域で止着対応部に安定して止着されるとともに、幅方向の外方側の領域でフック部材の止着位置を細かく調整することが容易になる。また、フック部材に対して幅方向の外方側から剥がれる力が作用しても、幅方向の長さが短く形成された幅方向の外方側のフック部材の領域が当該力を吸収して、フック部材が意図せず止着対応部から剥がれにくくなる。
【0013】
フック部材は、切り込み線および/または窪み線により幅方向に複数の領域に区分され、フック部材の幅方向の内方側の領域は、フック部材の幅方向の外方側の領域よりも、面積が広く形成されていることも好ましい。このようにフック部材が形成されていても、止着テープを止着対応部に止着した際、フック部材は幅方向の内方側の領域で止着対応部に安定して止着されるとともに、幅方向の外方側の領域でフック部材の止着位置を細かく調整することが容易になる。また、フック部材に対して幅方向の外方側から剥がれる力が作用しても、面積が狭く形成された幅方向の外方側のフック部材の領域が当該力を吸収して、フック部材が意図せず止着対応部から剥がれにくくなる。
【0014】
フック部材は、切り込み線および/または窪み線により幅方向に複数の領域に区分され、フック部材の幅方向の内方側の領域中の接着部の割合は、フック部材の幅方向の外方側の領域中の接着部の割合よりも大きく形成されていることも好ましい。このようにフック部材に接着部が設けられていれば、フック部材は幅方向の内方側の領域における剛性が高まり、幅方向の外方側の領域の剛性が相対的に低くなる。そのため、止着テープを止着対応部に止着した際、フック部材は、剛性の高い幅方向の内方側の領域で止着対応部に安定して止着されるとともに、剛性の低い幅方向の外方側の領域でフック部材の止着位置を細かく調整することが容易になる。また、フック部材に対して幅方向の外方側から剥がれる力が作用しても、剛性が低く形成された幅方向の外方側のフック部材の領域が当該力を吸収して、フック部材が意図せず止着対応部から剥がれにくくなる。
【0015】
止着テープは、フック部材として、第1フック部材と、第1フック部材から幅方向に離隔し、第1フック部材よりも幅方向の内方に設けられた第2フック部材とを有するものであってもよい。この場合、第1フック部材と第2フック部材は、切り込み線および/または窪み線により幅方向に複数の領域に区分され、第1フック部材の幅方向の内方側の領域中の接着部の割合が、第1フック部材の幅方向の外方側の領域中の接着部の割合よりも大きく、第2フック部材の幅方向の内方側の領域中の接着部の割合が、第2フック部材の幅方向の外方側の領域中の接着部の割合よりも小さく形成されていることが好ましい。このように止着テープが形成されることにより、止着テープを止着対応部に安定して止着することができるとともに、止着テープに対して先端側または根元側から剥がれる力が作用しても、第1フック部材と第2フック部材が意図せず止着対応部から剥がれにくくなる。また、止着テープを止着対応部に止着する際、第1フック部材の幅方向の外方側の領域で第1フック部材の止着位置を細かく調整することが容易になり、第2フック部材の幅方向の内方側の領域で第2フック部材の止着位置を細かく調整することが容易になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の使い捨ておむつは、止着テープを使い捨ておむつの止着対応部にフィット性良くかつ安定して止着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の使い捨ておむつの一例を表し、使い捨ておむつを肌面側から見た平面図を表す。
【
図2】
図1に示した使い捨ておむつのII-II断面図を表す。
【
図3】
図1に示した使い捨ておむつに備えられた止着テープの拡大平面図を表す。
【
図4】
図1に示した使い捨ておむつのIV-IV断面図を表す。
【
図5】
図3に示した止着テープにおけるフック部材とテープ基材との接着部の形成例を表す。
【
図6】止着テープのフック部材に設けられる切り込み線および/または窪み線の形成例を表す。
【
図7】止着テープの構成例を表し、
図7(a)は止着テープの平面図を表し、
図7(b)は
図7(a)に示した止着テープにおけるフック部材とテープ基材との接着部の形成例を表す。
【
図8】止着テープの構成例を表し、
図8(a)は止着テープの平面図を表し、
図8(b)は
図8(a)に示した止着テープにおけるフック部材とテープ基材との接着部の形成例を表す。
【
図9】止着テープの構成例を表し、
図9(a)は止着テープの平面図を表し、
図9(b)は
図9(a)に示した止着テープにおけるフック部材とテープ基材との接着部の形成例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、フック部材を備えた止着テープが設けられたいわゆるテープタイプの使い捨ておむつに関するものである。フック部材は面ファスナーの一種であり、面ファスナーは、「マジックテープ」(登録商標)、「ベルクロ」(登録商標)、「クイックロン」(登録商標)等の商品名で知られている。フック部材は、基盤から複数の係合素子が突出して構成されており、通常、ループ部材と対になって用いられ、ループ部材に対して着脱可能に取り付けられるか、あるいは、ループ部材として機能する材料(例えば、不織布、織布、編布等の布材料)に着脱可能に取り付けられる。
【0019】
テープタイプの使い捨ておむつは、通常、使い捨ておむつの後側部の幅方向の両側にフック部材を備えた止着テープが設けられ、着用時に止着テープのフック部材を使い捨ておむつの前側部の止着対応部に止着することにより、使い捨ておむつを着用者の腰回りに装着させることができる。フック部材(特に基盤)は樹脂成形体などから構成され、使い捨ておむつを構成するそれ以外の部材よりも比較的高い剛性を有する。そのためテープタイプの使い捨ておむつでは、着用者の腰回りに装着した際、フック部材が設けられた部分で着用者の体表面の曲面形状に対する追従性が低下して、着用者が違和感を覚えやすくなる。本発明の使い捨ておむつはこのようにフック部材を備えた止着テープが設けられたものであって、フック部材が設けられた部分で着用者の体表面の曲面形状に対する追従性を高めることができ、かつ安定して止着テープを使い捨ておむつの止着対応部に止着することができるものである。以下、本発明の使い捨ておむつについて、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、本発明は図面に示された実施態様に限定されるものではない。
【0020】
図1~
図4には、本発明の使い捨ておむつの一例を示した。
図1は、使い捨ておむつを肌面側から見た平面図を表し、
図2は、
図1に示した使い捨ておむつのII-II断面図を表し、
図3は、
図1に示した使い捨ておむつに備えられた止着テープの拡大平面図を表し、
図4は、
図1に示した使い捨ておむつのIV-IV断面図を表す。
図1では、図面の上側がおむつの前側に相当し、図面の下側がおむつの後側に相当する。なお、本願の図では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。
【0021】
使い捨ておむつ1は、おむつ本体2と、おむつ本体2の幅方向xの両側に設けられた止着テープ11とを有する。おむつ本体2は、前側部と後側部とこれらの間に位置する股部とを有し、止着テープ11がおむつ本体2の後側部の両側に取り付けられている。使い捨ておむつ1は、着用の際、前側部を着用者の腹部に、股部を着用者の股間部に、後側部を着用者の背部に当て、止着テープ11をおむつ本体2の前側部に止着することで、パンツ形状に形成して使用する。例えば、おむつ本体2の前側部の外側面に止着対応部21が設けられ、止着テープ11を止着対応部21に止着することで、使い捨ておむつ1を着用することができる。
【0022】
使い捨ておむつ1は、前後方向yと幅方向xを有する。前後方向yと幅方向xは、使い捨ておむつ1を平面状に広げた状態で規定される。前後方向yとは、使い捨ておむつを着用した際に着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当する。幅方向xとは、使い捨ておむつと同一面上にあり前後方向yと直交する方向を意味し、使い捨ておむつを着用した際の着用者の左右方向に相当する。また本発明において、使い捨ておむつの肌面側とは、使い捨ておむつを着用した際の着用者の肌に向く側を意味し、使い捨ておむつの外側とは、使い捨ておむつを着用した際の着用者とは反対に向く側を意味する。
【0023】
おむつ本体2は、例えば、トップシート3とバックシート4の間に吸収体5が配されて構成される。トップシート3は、使い捨ておむつを着用した際に着用者側に位置するシートであり、バックシート4は、使い捨ておむつを着用した際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートである。着用者から排泄された尿等は、トップシート3を透過して吸収体5に収容される。バックシート4は、排泄物が外部へ漏れるのを防ぐ。
【0024】
トップシート3は液透過性であることが好ましく、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシート3として、織布、編布、有孔樹脂フィルム等を用いてもよい。
【0025】
バックシート4は液不透過性であることが好ましく、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、樹脂フィルム等を用いることができる。またバックシート4として、不織布とフィルムとの積層体を用いてもよい。
【0026】
吸収体5は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収体5としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いたり、あるいは当該成形体を紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等の被覆シートで覆ったものを用いることができる。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱溶着性繊維が含まれてもよい。これらの熱溶着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
【0027】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点から、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収体は親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
【0028】
吸収体5は、シート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は、不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
【0029】
吸収体5の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収体(あるいは吸収体を構成する成形体)の形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が挙げられる。なお、吸収体が着用者の大腿部に挟まれて幅方向xに圧迫されても歪みにくくする点から、吸収体、あるいは吸収体を構成する成形体は、砂時計形に形成されていることが好ましい。
【0030】
おむつ本体2には、トップシート3の幅方向xの両側に、トップシート3よりも幅方向xの外方に延在するサイドシート6が接合していることが好ましい。サイドシート6は液不透過性であることが好ましく、バックシート4に使用可能なシート材料から構成することができる。
【0031】
サイドシート6は、トップシート3とサイド接合部8で接合され、サイド接合部8よりも幅方向xの内方部分がトップシート3から起立可能に形成され、サイド接合部8よりも幅方向xの外方部分がバックシート4に積層されている(
図2を参照)。サイドシート6の幅方向xの内方部分が起立することにより立ち上がりフラップが形成され、これにより尿等の幅方向xの横漏れを防止することができる。なお、サイドシート6の幅方向xの内方部分がトップシート3から起立可能に形成されるために、サイドシート6には、サイド接合部8よりも幅方向xの内方部分に前後方向yに延びる起立用弾性部材7が設けられることが好ましい。
【0032】
上記説明した各シートとして不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。各シートの単位面積あたりの質量は、10g/m2以上が好ましく、12g/m2以上がより好ましく、また40g/m2以下が好ましく、30g/m2以下がより好ましい。
【0033】
おむつ本体2には、幅方向xの両側にそれぞれ、前後方向yに延びる脚用弾性部材9が設けられることが好ましい(
図1を参照)。脚用弾性部材9を設けることにより、着用者の脚回りにギャザーを形成して脚回りのフィット性を高めたり、横漏れを防止することができる。
【0034】
おむつ本体2には、前後方向yの端部に、幅方向xに延びるウェスト用弾性部材10を設けてもよい。ウェスト用弾性部材10の収縮力により、着用者の胴周りに沿ったウェストギャザーが形成され、背中側や腹部側からの尿等の排泄物の漏れが防止される。
【0035】
上記に説明した各弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。弾性部材は、伸張状態で、ホットメルト接着剤等の接着剤で固定されることが好ましい。例えば、繊度40~1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1~5.0倍に伸張して配設し、固定する。接着剤としては、ゴム系のホットメルト接着剤を用いることが好ましい。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
【0036】
止着テープ11は、テープ基材12と、テープ基材12に設けられたフック部材13とを有する。止着テープ11の形状は特に限定されず、おむつ本体2の幅方向xの側縁より幅方向xの外方に延在するように形成されていればよい。
図3には止着テープの拡大平面図を示したが、
図3に示した止着テープ11は、おむつ本体2に取り付けられた固定部18と、固定部18から幅方向xの外方に延在する中間部19と、中間部19から幅方向xの外方に延在し、中間部19よりも前後方向yの長さが短く形成されたつまみ部20とを有し、つまみ部20にフック部材13が設けられている。
【0037】
図1および
図3では、つまみ部20は前後方向yに並んで2つ設けられているが、つまみ部20の数は1つでもよく、3つ以上でもよい。
図1および
図3ではまた、1つのつまみ部20に1つのフック部材13が設けられているが、1つのつまみ部20に複数のフック部材13が設けられてもよい。後者の場合、複数のフック部材13は互いに離隔して設けられ、好ましくは幅方向xに互いに離隔して設けられる。
【0038】
テープ基材12としては、不織布、織布、編布、樹脂フィルム、あるいはこれらの積層体等を用いることができる。なお、テープ基材12の剛性を確保し、止着テープ11の取り扱い性を高める点から、テープ基材12は、織布、編布または不織布から構成されていることが好ましく、不織布から構成されていることがより好ましい。
【0039】
テープ基材12に不織布を用いる場合、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることができるが、テープ基材12としては、スパンボンド不織布またはSMS不織布を用いることが好ましく、スパンボンド不織布を用いることがより好ましい。このような不織布を用いれば、高強度のテープ基材を得やすくなる。また、テープ基材12に用いられる不織布はエンボス加工されていることが好ましく、これによりテープ基材12に適度な剛性が付与され、止着テープ11の取り扱い性が向上する。
【0040】
テープ基材12の単位面積あたりの質量は、50g/m2以上が好ましく、55g/m2以上がより好ましく、また120g/m2以下が好ましく、100g/m2以下がより好ましい。テープ基材12の単位面積あたりの質量が50g/m2以上であれば、テープ基材12が十分な剛性を有するようになり、テープ基材12の単位面積あたりの質量が120g/m2以下であれば、テープ基材12が厚くなりすぎず、取り扱い性が向上する。
【0041】
フック部材13は、
図4に示すように、基盤14と、基盤14から突出する複数の係合素子15とを有し、基盤14は、係合素子15が設けられる面と反対側の面がテープ基材12に接着部16で接着されている。係合素子15の形状は特に限定されず、鉤形、錨形、きのこ形、柱形等が挙げられる。フック部材13は、おむつ本体2の前側部(具体的には止着対応部21)と着脱可能に形成される。
【0042】
止着対応部21としては、面ファスナーのループ部材を用いたり、おむつ本体2の前側部の外側面をループ部材として機能する材料(例えば、不織布、織布、編布等)で構成し、これを止着対応部21とすることができる。使い捨ておむつ1は、止着テープ11に設けられたフック部材13の係合素子15をおむつ本体2の前側部の止着対応部21に係合させることにより、使い捨ておむつ1をパンツ形状に形成して着用することができる。
【0043】
フック部材13は、基盤14に切り込み線および/または窪み線17が形成され、切り込み線または窪み線17と重なる位置に接着部16が設けられずに非接着部が形成されている。
図4には止着テープ11の断面図が示され、フック部材13がテープ基材12へ接着部16で接着された状態が示されている。
図5には、
図3に示した止着テープ11の拡大平面図において、フック部材13を取り除いた状態のフック部材13とテープ基材12との接着部16の形成例が示されている。
図5では、フック部材13が設けられる部分の輪郭と切り込み線および/または窪み線17の形成箇所が一点鎖線で表されている。なお、
図4では、基盤14に切り込み線が形成された例が示されている。
【0044】
フック部材13は、基盤14に切り込み線および/または窪み線17が形成され、切り込み線または窪み線17と重なる位置に接着部16が設けられずに非接着部が形成されることにより、使い捨ておむつ1を装着した際に、着用者の体表面の曲面形状に対する止着テープ11の追従性が向上し、止着テープ11をフィット性良く安定して止着対応部21に止着することができる。すなわち、使い捨ておむつ1を着用者の腰回りに装着する際、止着テープ11は着用者の腰回りの形状に沿って湾曲形成されるが、フック部材13は比較的高い剛性を有するために、フック部材13が設けられた部分では着用者の体表面の曲面形状に対する追従性が低下しやすくなるところ、フック部材13の基盤14に切り込み線および/または窪み線17を形成することにより、止着テープ11はフック部材13が設けられた部分での曲面形状に対する追従性を高めることができる。また、止着テープ11を止着対応部21に止着する際に、フック部材13の止着位置を細かく調整することが容易になる。さらに、切り込み線または窪み線17と重なる位置に接着部16が設けられないことにより、フック部材13を止着対応部21に止着させた状態で、止着テープ11が切り込み線または窪み線17で折れ曲がる自由度が高まる。また、止着テープ11が切り込み線または窪み線17で折れ曲がっても、フック部材13の基盤14が切り込み線または窪み線17を起点として、フック部材13が止着対応部21から意図せず剥がれにくくなる。そのため、止着テープ11をフィット性良くかつ安定して止着対応部21に止着することができる。
【0045】
切り込み線および/または窪み線17は、フック部材13の基盤14を平面視で線状に延びるように形成される。切り込み線は基盤14を厚み方向zに貫通して形成され、窪み線は基盤14を厚み方向zに貫通せず、係合素子15が設けられる面が窪んで形成される。基盤14に切り込み線が形成される場合、切り込み線を挟んだ基盤14の一方側と他方側は互いに近接して配置され、例えば止着テープ11を折り曲げた際に互いに接触可能に配置される。切り込み線を挟んだ基盤14の一方側と他方側の離隔距離は0.5mm以下が好ましく、0.3mm以下がより好ましく、0.1mm以下がさらに好ましい。一方、テープ基材12は、切り込み線または窪み線17と重なる部分で切断されないことが好ましい。切り込み線および/または窪み線17は、フック部材13を接着部16でテープ基材12に取り付けた後、フック部材13の基盤14にカッターの刃を当てるなどして、基盤14を切断または圧搾することにより容易に形成することができる。
【0046】
基盤14には切り込み線が形成されることが好ましい。これにより、止着テープ11が切り込み線で折れ曲がる自由度が高まる。この場合、基盤14には、切り込み線と窪み線の両方が形成されてもよいが、好ましくは切り込み線の総延長の方が窪み線の総延長よりも長く形成される。例えば、切り込み線の総延長は窪み線の総延長の2倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましく、5倍以上がさらに好ましい。基盤14には切り込み線のみが形成されることが特に好ましい。
【0047】
フック部材13の形状や、切り込み線および/または窪み線17の延在方向や配置位置は、特に限定されない。
図1および
図3では、フック部材13は略矩形(略台形)に形成されているが、フック部材13は、例えば円形、楕円形、任意の多角形、不定形等に形成されていてもよい。切り込み線および/または窪み線17は、
図1および
図3では、基盤14を前後方向yに横切って前後方向yに延びる直線状に、すなわち基盤14の前側縁から後側縁にかけて前後方向yに延びる直線状に形成されているが、切り込み線および/または窪み線17は、幅方向xに延びる直線状に形成されていてもよく、前後方向yに対して斜めに延びる直線状に形成されていてもよく、また曲線状や折れ線状に形成されていてもよい。また、切り込み線および/または窪み線17は1本のみ設けられてもよく、複数本設けられてもよい。切り込み線および/または窪み線17は、基盤14の外縁と交わるように形成されてもよく、基盤14の外縁と交わらないように形成されてもよい。
【0048】
図6には、切り込み線および/または窪み線17の様々な形成例を示した。
図6(a)では、切り込み線および/または窪み線17は、前後方向yに延びる直線状に形成されているが、基盤14の前後方向yの一部のみに形成されている。
図6(b)では、切り込み線および/または窪み線17は、幅方向xに延びる直線状に形成されている。
図6(c)では、切り込み線および/または窪み線17は、前後方向yに対して一方向と他方向に傾斜した直線状に形成され、その結果、切り込み線および/または窪み線17が斜方格子状に形成されている。
図6(d)では、切り込み線および/または窪み線17は、前後方向yに対して延びる直線状と前後方向yに対して一方向と他方向に傾斜した直線状に形成され、その結果、切り込み線および/または窪み線17が三角格子状に形成されている。
【0049】
図3および
図6(a)に示すように、切り込み線および/または窪み線17が前後方向yに延びる直線状に形成されていれば、フック部材13は幅方向xに曲がりやすくなり、使い捨ておむつ1を装着した際、止着テープ11の着用者の腰回りの周方向へのフィット性を高めることができる。そのため、使い捨ておむつ1を装着した状態で着用者が寝返りや歩行等の動作を行った際に、フック部材13が止着対応部21に安定して止着され、フック部材13が止着対応部21から剥がれにくくなる。また、止着テープ11に対して幅方向xに剥がれる力が作用しても、フック部材13が意図せず止着対応部21から剥がれにくくなる。
【0050】
図6(b)に示すように、切り込み線および/または窪み線17が幅方向xに延びる直線状に形成されていれば、フック部材13が前後方向yに曲がりやすくなり、使い捨ておむつ1を装着した際、止着テープ11の着用者の腰回りの上下方向や前後方向へのフィット性を高めることができる。そのため、使い捨ておむつ1を装着した状態で着用者が前かがみの姿勢をとったり腹部に力を入れたりした際に、フック部材13が止着対応部21に安定して止着され、フック部材13が止着対応部21から剥がれにくくなる。また、止着テープ11に対して前後方向yに剥がれる力が作用しても、フック部材13が意図せず止着対応部21から剥がれにくくなる。
【0051】
図6(c)に示すように、切り込み線および/または窪み線17が斜方格子状に形成されていれば、フック部材13が前後方向yに対する斜め方向に曲がりやすくなる。そのため、使い捨ておむつ1を装着した状態で、着用者が斜めに腰をねじったり、側臥位から起き上がったりする際に、フック部材13が止着対応部21に安定して止着され、フック部材13が止着対応部21から剥がれにくくなる。また、止着テープ11に対して前後方向yの斜め方向から剥がれる力が作用しても、フック部材13が意図せず止着対応部21から剥がれにくくなる。
【0052】
図6(d)に示すように、切り込み線および/または窪み線17が三角格子状に形成されていれば、フック部材13が幅方向xとその斜め方向に曲がりやすくなる。そのため、使い捨ておむつ1を装着した状態で、着用者が様々な動作を行った際に、フック部材13が止着対応部21に安定して止着され、フック部材13が止着対応部21から剥がれにくくなる。また、止着テープ11に対して幅方向xやその斜め方向から剥がれる力が作用しても、フック部材13が意図せず止着対応部21から剥がれにくくなる。
【0053】
切り込み線および/または窪み線17は、直線状に延びるように形成されていることが好ましい。これにより、フック部材13が切り込み線および/または窪み線17でスムーズに折れ曲がりやすくなる。切り込み線および/または窪み線17はまた、基盤14の前側縁から後側縁にかけて直線状に、すなわち基盤14を前後方向yに横切って直線状に延びるように形成されていることがより好ましい。このように切り込み線および/または窪み線17が形成されていれば、フック部材13が着用者の腰回りの周方向に沿って幅方向xに曲がりやすくなる。そのため、使い捨ておむつ1を装着した際、止着テープ11の着用者の腰回りへのフィット性を高めることができる。この場合、切り込み線および/または窪み線17は、前後方向yに対して略平行に延びる直線状に形成されていることが好ましく、直線状の切り込み線および/または窪み線17は、例えば前後方向yに対して10°以内の角度で延在することが好ましく、5°以内の角度で延在することがより好ましい。なお、切り込み線および/または窪み線17が多方向に延びるように形成されている場合は、少なくとも一つの切り込み線および/または窪み線17が基盤14の前側縁から後側縁にかけて直線状に延びるように形成されていればよい。
【0054】
切り込み線および/または窪み線17が基盤14の前側縁から後側縁にかけて直線状に延びるように形成される場合、
図4および
図5に示すように、接着部16は、基盤14の幅方向xの両端部に設けられないことが好ましい。これにより、フック部材13を止着対応部21に止着した際に、フック部材13に幅方向xにずれる力が作用しても、フック部材13の基盤14が当該両端部を起点として剥がれにくくなる。そのため、フック部材13を安定して止着対応部21に止着することができる。
【0055】
接着部16は、切り込み線または窪み線17と重なる位置から少なくとも0.3mmの範囲内に設けられないことが好ましく、0.5mmの範囲内に設けられないことがより好ましく、1.0mmの範囲内に設けられないことがさらに好ましい。換言すれば、切り込み線または窪み線17と重なって形成される非接着部は、切り込み線または窪み線17に沿って幅0.6mm以上で形成されることが好ましく、幅1.0mm以上で形成されることがより好ましく、幅2.0mm以上で形成されることがさらに好ましい。このように切り込み線または窪み線17と重なる位置に非接着部が形成されていれば、止着テープ11をよりフィット性良く、また安定して止着対応部21に止着することができる。一方、接着部16の少なくとも一部は、切り込み線または窪み線17と重なる位置から3.0mmの範囲内に設けられることが好ましく、2.5mmの範囲内に設けられることがより好ましく、2.0mmの範囲内に設けられることがさらに好ましい。これにより、フック部材13をテープ基材12に安定して接着・固定することができる。
【0056】
切り込み線および/または窪み線17は前後方向yに延びる直線状に形成され、接着部16は前後方向yに延びるストライプ状に設けられることが好ましい。あるいは、切り込み線および/または窪み線17は幅方向xに延びる直線状に形成され、接着部16は幅方向xに延びるストライプ状に設けられることも好ましい。このように切り込み線および/または窪み線17が一方向に延びる直線状に形成され、接着部16も当該一方向に延びるストライプ状に設けられていれば、止着テープ11はフック部材13が設けられた部分で曲面形状に対する追従性をより高めることができ、止着テープ11の着用者の腰回りへのフィット性をさらに高めることができる。また、止着テープ11を止着対応部21に安定して止着することができる。
【0057】
図3などに示されるように、フック部材13がテープ基材12の幅方向xの外方縁(すなわちつまみ部20の先端)から幅方向xに離隔して設けられる場合、切り込み線および/または窪み線17は、基盤14の前側縁から後側縁にかけて直線状に延びるように形成され、止着テープ11は、フック部材13の幅方向xの外方縁からテープ基材12の幅方向xの外方縁までの長さがフック部材13の幅方向xの外方縁から切り込み線および/または窪み線17までの長さよりも長くなるように形成されていることが好ましい。このように止着テープ11が形成されていれば、つまみ部20の先端部を摘まみやすくなるとともに、つまみ部20の先端部がフック部材13の幅方向xの外縁に沿って折れ曲がってフック部材13に誤って止着しても、フック部材13を切り込み線および/または窪み線17で折り曲げることで、つまみ部20の先端部をフック部材13から容易に剥がすことができる。
【0058】
図3に示すように、フック部材13は、切り込み線および/または窪み線17により幅方向xに複数の領域に区分され、フック部材13の幅方向xの内方側の領域は、フック部材13の幅方向xの外方側の領域よりも、幅方向xの長さが長く形成されていることが好ましい。このようにフック部材13が形成されていれば、止着テープ11を止着対応部21に止着した際、フック部材13は幅方向xの内方側の領域で止着対応部21に安定して止着されるとともに、幅方向xの外方側の領域でフック部材13の止着位置を細かく調整することが容易になる。また、フック部材13に対して幅方向xの外方側から剥がれる力が作用しても、幅方向xの長さが短く形成された幅方向xの外方側のフック部材13の領域が当該力を吸収して、フック部材13が意図せず止着対応部21から剥がれにくくなる。なお、フック部材13が、切り込み線および/または窪み線17によって幅方向xに3つ以上の領域に区分される場合は、フック部材13の幅方向xの最も内方側の領域が、フック部材13の幅方向xの最も外方側の領域よりも幅方向xの長さが長く形成され、かつ隣り合った領域どうしは、幅方向xの内方側の領域が幅方向xの外方側の領域よりも幅方向xの長さが短くならないように形成されていればよい。
【0059】
フック部材13は、切り込み線および/または窪み線17により幅方向xに複数の領域に区分され、フック部材13の幅方向xの内方側の領域は、フック部材13の幅方向xの外方側の領域よりも、面積が広く形成されていることも好ましい。このようにフック部材13が形成されていれば、止着テープ11を止着対応部21に止着した際、フック部材13は幅方向xの内方側の領域で止着対応部21に安定して止着されるとともに、幅方向xの外方側の領域でフック部材13の止着位置を細かく調整することが容易になる。また、フック部材13に対して幅方向xの外方側から剥がれる力が作用しても、面積が狭く形成された幅方向xの外方側のフック部材13の領域が当該力を吸収して、フック部材13が意図せず止着対応部21から剥がれにくくなる。なお、フック部材13が、切り込み線および/または窪み線17によって幅方向xに3つ以上の領域に区分される場合は、フック部材13の幅方向xの最も内方側の領域が、フック部材13の幅方向xの最も外方側の領域よりも面積が広く形成され、かつ隣り合った領域どうしは、幅方向xの内方側の領域が幅方向xの外方側の領域よりも面積が狭くならないように形成されていればよい。
【0060】
図7に示すように、フック部材13は、切り込み線および/または窪み線17により幅方向xに複数の領域に区分され、フック部材13の幅方向xの内方側の領域中の接着部16の割合が、フック部材13の幅方向xの外方側の領域中の接着部16の割合よりも大きくなるように形成されることも好ましい。なお
図7には、
図3および
図5に示した止着テープ11の変形例が示されており、
図7(a)は止着テープの拡大平面図を表し、
図7(b)は
図7(a)に示した止着テープにおけるフック部材とテープ基材との接着部の形成例を表す。
図7に示すように接着部16が設けられていれば、フック部材13は幅方向xの内方側の領域における剛性が高まり、幅方向xの外方側の領域の剛性が相対的に低くなる。そのため、止着テープ11を止着対応部21に止着した際、フック部材13は、剛性の高い幅方向xの内方側の領域で止着対応部21に安定して止着されるとともに、剛性の低い幅方向xの外方側の領域でフック部材13の止着位置を細かく調整することが容易になる。また、フック部材13に対して幅方向xの外方側から剥がれる力が作用しても、剛性が低く形成された幅方向xの外方側のフック部材13の領域が当該力を吸収して、フック部材13が意図せず止着対応部21から剥がれにくくなる。なお、フック部材13が、切り込み線および/または窪み線17によって幅方向xに3つ以上の領域に区分される場合は、フック部材13の幅方向xの最も内方側の領域中の接着部16の割合が、フック部材13の幅方向xの最も外方側の領域中の接着部16の割合よりも大きく、かつ隣り合った領域どうしは、幅方向xの内方側の領域中の接着部16の割合が幅方向xの外方側の領域中の接着部16の割合よりも小さくならないように形成されればよい。
【0061】
上記のようにフック部材13が切り込み線および/または窪み線17によって幅方向xに複数の領域に区分される場合、フック部材13が幅方向xに区分されることにより形成される領域の数は2~5が好ましく、4以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。これにより、フック部材13が各領域で安定してテープ基材12に接着され、フック部材13がテープ基材12から剥がれることが起こりにくくなる。
【0062】
止着テープ11にフック部材13が複数設けられる場合は、各フック部材13の基盤14に切り込み線および/または窪み線17が形成され、切り込み線または窪み線17と重なる位置に接着部16が設けられずに非接着部が形成されていることが好ましい。このように止着テープ11が形成されていれば、止着テープ11を止着対応部21に止着した際に、複数設けられたフック部材13によって止着テープ11の全体を着用者の腰回りにフィット性良く配置することができるとともに、各フック部材13の着用者の体表面の曲面形状への追従性を高めることができ、止着テープ11を安定して止着対応部21に止着することができる。
【0063】
フック部材13が複数設けられる場合、各フック部材13に形成される切り込み線および/または窪み線17の配置パターンは同じであっても異なっていてもよい。なお、フック部材13が切り込み線および/または窪み線17によって幅方向xに複数の領域に区分されるように形成される場合は、止着テープ11の先端側に設けられるフック部材13は、幅方向xの外方側の領域が内方側の領域よりも幅方向xの長さが短く、あるいは面積が狭く、あるいは接着部16の面積割合が小さく形成され、止着テープ11の根元側に設けられるフック部材13は、幅方向xの内方側の領域が幅方向xの外方側の領域よりも幅方向xの長さが短く、あるいは面積が狭く、あるいは接着部16の面積割合が小さく形成されることが好ましい。このように止着テープ11が構成されることにより、先端側のフック部材13は幅方向xの外方側の領域によりフック部材13の止着位置を細かく調整することができ、根元側のフック部材13は幅方向xの内方側の領域によりフック部材13の止着位置を細かく調整することができる。止着テープ11の両フック部材13の間の部分(すなわちフック部材13が設けられない部分)は、先端側のフック部材13の幅方向xの内方側の領域と根元側のフック部材13の幅方向xの外方側の領域とで両フック部材13が止着対応部21に安定して止着されることにより、安定して着用者の腰回りを覆うことができる。
【0064】
図8および
図9には、複数のフック部材13(13A,13B)が互いに幅方向xに離隔して設けられた止着テープ11の構成例を示した。
図8(a)および
図9(a)は止着テープの拡大平面図が示され、
図8(b)および
図9(b)は、
図8(a)および
図9(a)に示した止着テープにおけるフック部材とテープ基材との接着部の形成例が示されている。
【0065】
図8に示した止着テープ11は、フック部材13として、第1フック部材13Aと、第1フック部材13Aから幅方向xに離隔し、第1フック部材13Aよりも幅方向xの内方に設けられた第2フック部材13Bとを有し、第1フック部材13Aと第2フック部材13Bは、切り込み線および/または窪み線17により幅方向xに複数の領域に区分されている。そして、第1フック部材13Aの幅方向xの内方側の領域は、第1フック部材13Aの幅方向xの外方側の領域よりも幅方向xの長さが長く形成され、第2フック部材13Bの幅方向xの内方側の領域は、第2フック部材13Bの幅方向xの外方側の領域よりも幅方向xの長さが短く形成されている。あるいは、第1フック部材13Aの幅方向xの内方側の領域は、第1フック部材13Aの幅方向xの外方側の領域よりも面積が広く形成され、第2フック部材13Bの幅方向xの内方側の領域は、第2フック部材13Bの幅方向xの外方側の領域よりも面積が狭く形成されている。
図8に示した止着テープ11は、止着対応部21に止着した際、幅方向xの長さが長く形成された、あるいは面積が広く形成された第1フック部材13Aの幅方向xの内方側の領域と第2フック部材13Bの幅方向xの外方側の領域とで、止着対応部21に安定して止着することができる。例えば、止着テープ11の第1フック部材13Aと第2フック部材13Bの間の部分に歪みが生じても、この歪みによって第1フック部材13Aと第2フック部材13Bが止着対応部21から剥がれることが起こりにくくなる。また、第1フック部材13Aに対して幅方向xの外方側から剥がれる力が作用しても、幅方向xの長さが短く形成された、あるいは面積が狭く形成された第1フック部材13Aの幅方向xの外方側の領域によって当該力が吸収され、第1フック部材13Aが意図せず止着対応部21から剥がれにくくなる。同様に、第2フック部材13Bに対して幅方向xの内方側から剥がれる力が作用しても、幅方向xの長さが短く形成された、あるいは面積が狭く形成された第2フック部材13Bの幅方向xの内方側の領域によって当該力が吸収され、第2フック部材13Bが意図せず止着対応部21から剥がれにくくなる。止着テープ11はまた、第1フック部材13Aの幅方向xの外方側の領域で第1フック部材13Aの止着位置を細かく調整することが容易になり、第2フック部材13Bの幅方向xの内方側の領域で第2フック部材13Bの止着位置を細かく調整することが容易になる。
【0066】
図9に示した止着テープ11は、フック部材13として、第1フック部材13Aと、第1フック部材13Aから幅方向xに離隔し、第1フック部材13Aよりも幅方向xの内方に設けられた第2フック部材13Bとを有し、第1フック部材13Aと第2フック部材13Bは、切り込み線および/または窪み線17により幅方向xに複数の領域に区分されている。そして、第1フック部材13Aの幅方向xの内方側の領域中の接着部16の割合が、第1フック部材13Aの幅方向xの外方側の領域中の接着部16の割合よりも大きく形成され、第2フック部材13Bの幅方向xの内方側の領域中の接着部16の割合が、第2フック部材13Bの幅方向xの外方側の領域中の接着部16の割合よりも小さく形成されている。
図9に示した止着テープ11は、止着テープ11を止着対応部21に止着した際、接着部16の面積割合が高く形成された第1フック部材13Aの幅方向xの内方側の領域と第2フック部材13Bの幅方向xの外方側の領域とで、止着対応部21に安定して止着することができる。例えば、止着テープ11の第1フック部材13Aと第2フック部材13Bの間の部分に歪みが生じても、この歪みによって第1フック部材13Aと第2フック部材13Bが止着対応部21から剥がれることが起こりにくくなる。また、止着テープ11に対してつまみ部20の先端側から剥がれる力が作用しても、接着部16の面積割合が低く剛性が相対的に低く形成された第1フック部材13Aの幅方向xの外方側の領域によって当該力が吸収され、第1フック部材13Aが意図せず止着対応部21から剥がれにくくなる。同様に、止着テープ11に対してつまみ部20の根元側から剥がれる力が作用しても、接着部16の面積割合が低く剛性が相対的に低く形成された第2フック部材13Bの幅方向xの内方側の領域によって当該力が吸収され、第2フック部材13Bが意図せず止着対応部21から剥がれにくくなる。止着テープ11はまた、第1フック部材13Aの幅方向xの外方側の領域で第1フック部材13Aの止着位置を細かく調整することが容易になり、第2フック部材13Bの幅方向xの内方側の領域で第2フック部材13Bの止着位置を細かく調整することが容易になる。
【符号の説明】
【0067】
1:使い捨ておむつ
2:おむつ本体
3:トップシート
4:バックシート
5:吸収体
11:止着テープ
12:テープ基材
13:フック部材、13A:第1フック部材、13B:第2フック部材
14:基盤
15:係合素子
16:接着部
17:切り込み線および/または窪み線
18:固定部
19:中間部
20:つまみ部
21:止着対応部
【手続補正書】
【提出日】2021-11-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向と前後方向を有し、おむつ本体の幅方向の両側に止着テープが設けられた使い捨ておむつであって、
前記止着テープは、テープ基材と、前記テープ基材に設けられたフック部材とを有し、
前記フック部材は、基盤と、前記基盤から突出する複数の係合素子とを有し、前記基盤が接着部で前記テープ基材に接着されており、
前記基盤には切り込み線および/または窪み線が形成され、前記切り込み線または前記窪み線と重なる位置に前記接着部が設けられず非接着部が形成され、
前記フック部材は、前記切り込み線および/または窪み線により幅方向に複数の領域に区分され、
前記フック部材の幅方向の内方側の領域中の前記接着部の割合は、前記フック部材の幅方向の外方側の領域中の前記接着部の割合よりも大きいことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
幅方向と前後方向を有し、おむつ本体の幅方向の両側に止着テープが設けられた使い捨ておむつであって、
前記止着テープは、テープ基材と、前記テープ基材に設けられたフック部材とを有し、前記フック部材として、第1フック部材と、前記第1フック部材から幅方向に離隔し、前記第1フック部材よりも幅方向の内方に設けられた第2フック部材とが設けられ、
前記フック部材は、基盤と、前記基盤から突出する複数の係合素子とを有し、前記基盤が接着部で前記テープ基材に接着されており、
前記基盤には切り込み線および/または窪み線が形成され、前記切り込み線または前記窪み線と重なる位置に前記接着部が設けられず非接着部が形成され、
前記第1フック部材と前記第2フック部材は、前記切り込み線および/または窪み線により幅方向に複数の領域に区分され、
前記第1フック部材の幅方向の内方側の領域中の前記接着部の割合は、前記第1フック部材の幅方向の外方側の領域中の前記接着部の割合よりも大きく、
前記第2フック部材の幅方向の内方側の領域中の前記接着部の割合は、前記第2フック部材の幅方向の外方側の領域中の前記接着部の割合よりも小さいことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記フック部材の幅方向の内方側の領域は、前記フック部材の幅方向の外方側の領域よりも、幅方向の長さが長く形成されている請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記フック部材の幅方向の内方側の領域は、前記フック部材の幅方向の外方側の領域よりも、面積が広く形成されている請求項1または3に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記接着部は、前記切り込み線または窪み線と重なる位置から少なくとも0.3mmの範囲内に設けられない請求項1~4のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記切り込み線および/または窪み線は、前記基盤の前側縁から後側縁にかけて直線状に延びるように形成されている請求項1~5のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記接着部は、前記基盤の幅方向の両端部に設けられない請求項6に記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記フック部材は、前記テープ基材の幅方向の外方縁から幅方向に離隔して設けられ、
前記フック部材の幅方向の外方縁から前記テープ基材の幅方向の外方縁までの長さが、前記フック部材の幅方向の外方縁から前記切り込み線および/または窪み線までの長さよりも長い請求項6または7に記載の使い捨ておむつ。