(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029194
(43)【公開日】2022-02-17
(54)【発明の名称】接合方法、銅焼結体及び銅ペースト
(51)【国際特許分類】
B22F 7/08 20060101AFI20220209BHJP
C22C 1/04 20060101ALI20220209BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20220209BHJP
H01B 1/22 20060101ALI20220209BHJP
H01B 1/00 20060101ALI20220209BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20220209BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20220209BHJP
B82Y 30/00 20110101ALI20220209BHJP
【FI】
B22F7/08 E
C22C1/04 A
B22F1/00 L
H01B1/22 A
H01B1/00 K
H01L21/52 C
H01L21/52 E
B82Y40/00
B82Y30/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020132419
(22)【出願日】2020-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000197975
【氏名又は名称】石原ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113712
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】川戸 祐一
(72)【発明者】
【氏名】濱西 恭良
(72)【発明者】
【氏名】有村 英俊
【テーマコード(参考)】
4K018
5F047
5G301
【Fターム(参考)】
4K018AA03
4K018BA02
4K018BB05
4K018BD04
4K018HA08
4K018JA36
4K018KA32
5F047AA03
5F047AA14
5F047BA14
5F047BB03
5G301DA06
5G301DA42
5G301DD01
5G301DD03
5G301DE01
(57)【要約】
【課題】シート状の銅焼結体を用いた接合において、低コストに接合強度を向上する。
【解決手段】銅焼結体1を用いた接合方法である。銅焼結体1は、銅ナノ粒子が焼結されてシート状に形成されている。この接合方法は、積層工程と接合工程とを有する。積層工程において、一方の被接合物2と、銅焼結体1と、他方の被接合物3とをこの順に積層した積層物4が作られる。接合工程において、積層物4が加圧及び加熱して接合される。積層工程の前に、銅焼結体1の表面の銅酸化物が除去される前処理が行われる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅ナノ粒子が焼結されてシート状に形成された銅焼結体を用いた接合方法であって、
一方の被接合物と、前記銅焼結体と、他方の被接合物とをこの順に積層した積層物を作る積層工程と、
前記積層物を加圧及び加熱して接合する接合工程とを有し、
前記積層工程の前に、前記銅焼結体の表面の銅酸化物が除去される前処理が行われることを特徴とする接合方法。
【請求項2】
前記前処理として、前記銅ナノ粒子の焼結による前記銅焼結体の形成は、還元雰囲気下で行われることを特徴とする請求項1に記載の接合方法。
【請求項3】
前記還元雰囲気は、ギ酸雰囲気であることを特徴とする請求項2に記載の接合方法。
【請求項4】
前記前処理として、銅表面の酸化被膜を還元する還元剤、又は銅表面の酸化被膜をエッチングするエッチング液が前記銅焼結体に塗布されることを特徴とする請求項1に記載の接合方法。
【請求項5】
前記還元剤は、ギ酸であることを特徴とする請求項4に記載の接合方法。
【請求項6】
前記エッチング液は、硫酸を含む水溶液であることを特徴とする請求項4に記載の接合方法。
【請求項7】
前記接合工程は、非酸化雰囲気下で行われることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の接合方法。
【請求項8】
銅ナノ粒子が焼結されてシート状に形成された銅焼結体であって、
前記銅ナノ粒子として、焼結前の1次粒子におけるメジアン径が10nm以上100nm以下の小粒径の銅ナノ粒子と、メジアン径がそれより大きい大粒径の銅ナノ粒子とが焼結され、
前記小粒径の銅ナノ粒子が焼結されて形成される銅粒子に、前記1次粒子の粒子径を有するものが残存していることを特徴とする銅焼結体。
【請求項9】
焼結によって請求項8に記載の銅焼結体を作るための銅ペーストであって、
分散媒と、その分散媒中に分散された前記銅ナノ粒子とを含有し、
前記銅ナノ粒子は、メジアン径が10nm以上100nm以下の小粒径の銅ナノ粒子と、メジアン径がそれより大きい大粒径の銅ナノ粒子をと含み、
前記分散媒は、ヒドロキシ基を有する有機溶剤であることを特徴とする銅ペースト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の銅焼結体を用いた接合方法、シート状の銅焼結体、及びその焼結体を形成するための銅ペーストに関する。
【背景技術】
【0002】
鉛はんだの代替として、銅焼結構造体(銅焼結体)を有する接合シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この接合シートは、銅焼結構造体に銀シングルナノ粒子を分散配置することによって接合強度を確保するので、コストが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題を解決するものであり、シート状の銅焼結体を用いた接合において、低コストに接合強度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の接合方法は、銅ナノ粒子が焼結されてシート状に形成された銅焼結体を用いた方法であって、一方の被接合物と、前記銅焼結体と、他方の被接合物とをこの順に積層した積層物を作る積層工程と、前記積層物を加圧及び加熱して接合する接合工程とを有し、前記積層工程の前に、前記銅焼結体の表面の銅酸化物が除去される前処理が行われることを特徴とする。
【0006】
この接合方法において、前記前処理として、前記銅ナノ粒子の焼結による前記銅焼結体の形成は、還元雰囲気下で行われることが好ましい。
【0007】
この接合方法において、前記還元雰囲気は、ギ酸雰囲気であることが好ましい。
【0008】
この接合方法において、前記前処理として、銅表面の酸化被膜を還元する還元剤、又は銅表面の酸化被膜をエッチングするエッチング液が前記銅焼結体に塗布されてもよい。
【0009】
この接合方法において、前記還元剤は、ギ酸であることが好ましい。
【0010】
この接合方法において、前記エッチング液は、硫酸を含む水溶液であることが好ましい。
【0011】
この接合方法において、前記接合工程は、非酸化雰囲気下で行われることが好ましい。
【0012】
本発明の銅焼結体は、銅ナノ粒子が焼結されてシート状に形成されたものであって、前記銅ナノ粒子として、焼結前の1次粒子におけるメジアン径が10nm以上100nm以下の小粒径の銅ナノ粒子と、メジアン径がそれより大きい大粒径の銅ナノ粒子とが焼結され、前記小粒径の銅ナノ粒子が焼結されて形成される銅粒子に、前記1次粒子の粒子径を有するものが残存していることを特徴とする。
【0013】
本発明の銅ペーストは、焼結によって前記の銅焼結体を作るためのものであって、分散媒と、その分散媒中に分散された前記銅ナノ粒子とを含有し、前記銅ナノ粒子は、メジアン径が10nm以上100nm以下の小粒径の銅ナノ粒子と、メジアン径がそれより大きい大粒径の銅ナノ粒子をと含み、前記分散媒は、ヒドロキシ基を有する有機溶剤であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の接合方法によれば、銅焼結体の表面の銅酸化物が除去される前処理が行われるので、銅焼結体の銅表面が活性化され、接合強度が向上する。その銅焼結体は、銀を含む必要が無いため、低コストである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る接合方法によって接合される積層物の断面構成図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る銅焼結体の表面を拡大した画像。
【
図3】焼結が進み過ぎた銅焼結体の表面を拡大した画像。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る接合方法、銅焼結体、及び銅ペーストについて
図1乃至
図3を参照して説明する。
図1に示すように、この接合方法は、シート状の銅焼結体1を用いた接合方法である。
【0017】
銅焼結体1は、例えば、鉛はんだの代替として用いられる。銅焼結体1は、平滑なシート状であり、厚さが50μm~200μm程度である。接合対象である被接合物2、3は、ある程度平滑な銅、金、銀、又はこれらの合金である。被接合物2、3は、セラミックスやシリコンチップ上に、これらの金属をスパッタやめっき等の方法で作製した接合面を有するものであってもよい。
【0018】
銅焼結体1について説明する。銅焼結体1は、銅ナノ粒子が焼結されてシート状に形成されている。すなわち、銅焼結体1は、銅のみから構成される。
【0019】
銅ナノ粒子として、焼結前の1次粒子におけるメジアン径(D50)が10nm以上100nm以下の小粒径の銅ナノ粒子と、メジアン径がそれより大きい大粒径の銅ナノ粒子とが焼結される。大粒径の銅ナノ粒子は、ナノ粒子であるので、メジアン径は1μm未満である。
【0020】
すなわち、焼結される銅ナノ粒子は、小粒径の銅ナノ粒子と大粒径の銅ナノ粒子が混合されている。その混合された銅ナノ粒子は、銅の重量のうち、小粒径の銅ナノ粒子を30%以上含むことが望ましい。
【0021】
JIS(日本産業規格)によれば、焼結体とは、粉末又は圧粉体を焼結したたものである(JIS Z 2500:2000「粉末冶金用語」参照)。焼結とは、粉末又は圧粉体の粒子を冶金学的に結合させ強度を増すために、主成分の融点より低い温度で粉末又は圧粉体を加熱処理する工程である(同JIS参照)。
【0022】
焼結現象は、原子(銅原子)の表面拡散、体積拡散、粒界拡散の順に進行する。表面拡散によって粒子同士(銅ナノ粒子同士)が接合され、ネックが形成される。体積拡散によって粒成長が起きる。粒界拡散によって、焼結体において、密なところは密に、疎なところは疎になる。
【0023】
銅焼結体1の焼結が進み過ぎると、バルクの銅に近くなるため焼結温度が高くなり、低温で接合できなくなるので、銅ナノ粒子は、適度に焼結される。
【0024】
銅焼結体1において、小粒径の銅ナノ粒子が焼結されて形成される銅粒子に、1次粒子の粒子径を有するものが残存していることが望ましい。
【0025】
銅ナノ粒子の表面拡散が進む程度で焼結を止めることにより、このような銅焼結体1が作られる。銅粒子に1次粒子の粒子径を有するものが残存しなくなると、粒成長が起きて、焼結が進み過ぎたことになる。
【0026】
シート状の銅焼結体1の表面を倍率30000倍で撮像した画像の例を
図2に示す。この銅焼結体1では、小粒径の銅ナノ粒子の1次粒子におけるメジアン径は40nmである。銅焼結体1の銅粒子に、小粒径の銅ナノ粒子の粒子径(40nm)を有するものが残存している。すなわち、焼結が適度なところで止められている。
【0027】
焼結が進み過ぎた銅焼結体の表面を倍率30000倍で撮像した画像の例を
図3に示す。この銅焼結体では、銅粒子に、小粒径の銅ナノ粒子の粒子径(40nm)を有するものが残存しておらず、焼結が進み過ぎている。
【0028】
銅焼結体1は、銅ペーストの焼結によって作られる。その銅ペーストについて説明する。
【0029】
銅ペーストは、分散媒と、銅ナノ粒子とを含有する。銅ナノ粒子は、分散媒中に分散される。銅ナノ粒子は、小粒径の銅ナノ粒子と、大粒径の銅ナノ粒子とを含む。小粒径の銅ナノ粒子は、メジアン径が10nm以上100nm以下である。大粒径の銅ナノ粒子は、メジアン径が小粒径の銅ナノ粒子のメジアン径より大きく、ナノ粒子であるので1μm未満である。分散媒は、ヒドロキシ基を有する有機溶剤である。
【0030】
なお、銅ペーストは、粘度等のレオロジー特性を調整するための樹脂や、銅ナノ粒子の分散を促進するための分散剤が添加されてもよい。
【0031】
この銅ペーストについて詳述する。この銅ペーストは、焼結して銅焼結体1を作るためのものであり、導電性粒子として銅ナノ粒子を含有する導電性ペーストである。銅ナノ粒子は、ナノレベルの粒子径を有する銅の粒子である。分散媒としての有機溶剤は、アルコール又はアルコール誘導体であり、いずれもヒドロキシ基を有する。
【0032】
大粒径の銅ナノ粒子は、シート状の銅焼結体1の厚さを確保するために用いられる。
【0033】
小粒径の銅ナノ粒子は、銅ペーストのレオロジー特性を改善するために用いられる。また、小粒径の銅ナノ粒子は、銅ペーストの焼結において、焼結が進んだ程度の指標にもなる。小粒径の銅ナノ粒子の1次粒子の粒子径を有するものが残存している状態で加熱及び加圧されることで、250℃程度の低温で被接合物との相互拡散が進み、接合される。
【0034】
銅ナノ粒子は、大気中に含まれる酸素によって最表面が酸化されるため、銅酸化物から成る薄い酸化皮膜が表面に形成される。一方、分散媒は、ヒドロキシ基を有する有機溶剤を含む。このため、銅ペースト中において、酸化被膜の酸素原子と、有機溶剤のヒドロキシ基の水素原子との間に水素結合が生じる。銅ナノ粒子の粒径が小さいと、各銅ナノ粒子における水素結合の影響が大きくなる。銅ナノ粒子のメジアン径が10nm以上100nm以下のときに適度な水素結合が生じる。すなわち、銅ナノ粒子と有機溶剤との間の水素結合により、レオロジー特性が改善される。
【0035】
銅焼結体1を用いた接合方法について説明する(
図1参照)。銅焼結体1は、シート状に形成されている。この接合方法は、積層工程と、接合工程とを有する。
【0036】
積層工程において、一方の被接合物2と、銅焼結体1と、他方の被接合物3とをこの順に積層した積層物4が作られる。
【0037】
そして、接合工程において、積層物4が加圧及び加熱されて接合される。
【0038】
加圧の圧力は、10MPa~40MPaが望ましい。加熱の温度は、250℃~350℃が望ましい。加圧及び加熱の保持時間は、1~10分が望ましい。
【0039】
この接合方法において、積層工程の前に、銅焼結体1の表面の銅酸化物が除去される前処理が行われる。
【0040】
この前処理には、2つの処理方法がある。
【0041】
第1の処理方法では、前処理として、銅ナノ粒子の焼結による銅焼結体1の形成は、還元雰囲気下で行われる。その還元雰囲気は、例えば、ギ酸雰囲気である。
【0042】
第2の処理方法では、前処理として、還元剤又はエッチング液が銅焼結体1に塗布される。還元剤は、銅表面の酸化被膜を還元するものであり、例えば、ギ酸である。エッチング液は、銅表面の酸化被膜をエッチングするものであり、例えば、硫酸を含む水溶液(希硫酸)である。なお、銅焼結体1に塗布された還元剤又はエッチング液は、ブロー(気吹き)がされる。
【0043】
接合工程は、非酸化雰囲気下で行われる。非酸化雰囲気は、不活性雰囲気若しくは還元雰囲気、又は真空雰囲気である。非酸化雰囲気における酸素濃度は、100ppm未満であることが望ましい。不活性雰囲気は、例えば、窒素雰囲気である。還元雰囲気は、例えば、ギ酸雰囲気、又は水素混合窒素雰囲気である。
【0044】
本実施形態に係る接合方法によれば、銅焼結体1の表面の銅酸化物が除去される前処理が行われるので、銅焼結体1の銅表面が活性化され、接合強度が向上する。その銅焼結体1は、銀を含む必要が無いため、低コストである。
【0045】
前処理として、銅ナノ粒子の焼結による銅焼結体1の形成が還元雰囲気下で行われることにより、銅ナノ粒子が還元焼結され、銅焼結体1の表面の酸化被膜が除去された状態となる。
【0046】
前処理として、還元剤又はエッチング液が銅焼結体1に塗布されることにより、還元又はエッチングにより銅焼結体1の表面の酸化被膜が除去される。
【0047】
接合工程において、積層物4の加熱が非酸化雰囲気下で行われることにより、銅焼結体1の表面が酸化されずに、積層物4が接合される。
【0048】
本実施形態に係る銅焼結体1によれば、小粒径の銅ナノ粒子が焼結されて形成される銅粒子に、1次粒子の粒子径を有するものが残存しているので、銅焼結体1が接合に適した表面状態となる。
【0049】
本実施形態に係る銅ペーストは、メジアン径が10nm以上100nm以下の小粒径の銅ナノ粒子と、ヒドロキシ基を有する有機溶剤とを含むので、小粒径の銅ナノ粒子と、ヒドロキシ基との水素結合により、レオロジー特性が改善される。また、小粒径の銅ナノ粒子は、銅ペーストの焼結において、焼結が進んだ程度の指標になる。銅ペーストが大粒径の銅ナノ粒子を含むので、シート状の銅焼結体1の厚さが確保される。
【0050】
上述した銅ペースト及び銅焼結体1(銅シート)を作り、実施例及び比較例として、銅焼結体1を用いて被接合物を接合する実験を行った。
【0051】
先ず、銅ペーストを作った。銅ペーストの銅ナノ粒子は、メジアン径(D50)が40nmの小粒径の銅ナノ粒子を30重量%、メジアン径が500nmの大粒径の銅ナノ粒子を55重量%とした。分散媒は、アルコール(日本テルペン化学社製、商品名「テルソルブMTPH」、7.5重量%)と、アルコール誘導体(アルコールのアセテート)(日本テルペン化学社製、商品名「テルソルブTHA-90」、7.5重量%)の混合とした。
【0052】
そして、この銅ペーストをシリコンウェハ上に塗布し、不活性雰囲気で分散媒(有機溶剤)を乾燥後、上から別のシリコンウェアで微加圧し、200℃で数分間焼結して平滑なシート状の銅焼結体1を作製した。銅焼結体1の厚さは約100μmであった。
【0053】
そして、この銅焼結体1を被接合物2、3の大きさに合わせてカットし、下部材(被接合物2)、銅焼結体1、上部材(被接合物3)の順に積層した(積層工程)。
【0054】
そして、その積層物を加圧及び加熱して接合した(接合工程)。接合工程の温度は300℃、接合工程の時間は1分間とした。下部材、上部材、前処理、接合工程の雰囲気、接合工程の加圧力の条件を変えて、各条件につき3回ずつ実験を行った(n=3)。その実験結果を接合強度(せん断強度)で評価した。
【実施例0055】
前処理として、銅ナノ粒子の焼結による銅焼結体1の形成を還元雰囲気下で行った。そして、その銅焼結体1を、作製した当日中、すなわち酸化されないうちに実験に使用した。下部材は銀めっきをした銅板、上部材は銀めっきをした3.5mm角のシリコンチップ、接合工程の雰囲気はギ酸、加圧力は25MPaとした。その結果、せん断強度は38~59MPaであり(n=3)、高い接合強度が得られた。接合後の接合断面のSEM(走査型電子顕微鏡)像を
図4に示す。倍率は1000倍である。良好な接合が見られる。
下部材は銅円柱、上部材は金めっきをした5mm角のシリコンチップ、接合工程の雰囲気は窒素、加圧力は30MPaとした。それ以外の条件は実施例1と同じにした。その結果、せん断強度は35~54MPaであった。