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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029251
(43)【公開日】2022-02-17
(54)【発明の名称】燃料供給システム
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/06 20100101AFI20220209BHJP
【FI】
B67D7/06 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020132491
(22)【出願日】2020-08-04
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤見 裕介
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 栄三
(72)【発明者】
【氏名】野澤 健太郎
【テーマコード(参考)】
3E083
【Fターム(参考)】
3E083AA03
3E083AB15
3E083AB20
3E083AC09
3E083AC14
3E083AK10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】顧客サービス、安全性の向上を図った、携帯可能な操作端末を有する管理装置を備えた燃料供給システムを提供する。
【解決手段】管理装置端末70を携帯する給油所係員が給油許可待ち状態の給油作業ポイント「08」の給油機10-4の給油許可可能エリアP4外で別の業務を行っているような場合は、給油所係員が給油許可待ち状態の給油作業ポイント「08」の給油機10-4の給油許可可能エリアP4外に所在していることを、給油許可待ち状態の給油ポイントの許可待ち案内報知画面で理解することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の燃料供給装置と、
前記燃料供給装置それぞれの燃料供給作業の実行を管理する管理装置と、
前記管理装置と無線通信接続され、報知部および入力部を備えた携帯可能な管理装置端末と、
を備えた、燃料供給所の燃料供給システムであって、
前記管理装置端末が燃料供給所内における何れの場所に所在しているかを検出する端末所在検出部と、
複数の前記燃料供給装置のうちの何れかで燃料供給作業の許可要求が発せられたときに、前記管理装置端末の前記報知部によって当該許可要求があったことを案内報知する許可要求報知制御部と、
前記管理装置端末の前記入力部の確認操作によって当該許可要求の発生が確認されたときに、前記端末所在検出部によって検出された前記管理装置端末の所在場所が、前記燃料供給装置それぞれに対応した複数の燃料供給許可可能エリアのうちの当該燃料供給作業の許可要求を発した燃料供給装置に対応した燃料供給許可可能エリアの範囲内であるか否かを判定する端末所在判定部と、
前記端末所在判定部による判定結果が範囲外であるときには、前記管理装置端末が、当該燃料供給作業の許可要求を発した燃料供給装置に対応した燃料供給許可可能エリアの範囲外に所在していることを、前記管理装置端末の前記報知部によって案内報知するエリア外報知制御部と
を備えた燃料供給システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記管理装置端末毎に、前記端末所在判定部によって範囲外との判定結果が得られる度に当該判定回数を積算記憶する端末別積算部と、
前記端末別積算部に積算記憶されている判定回数の確認を行える回数確認部と、
を備えた燃料供給システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記管理装置端末毎に、前記端末所在判定部によって範囲外との判定結果が得られる度に当該判定回数を積算記憶する端末別積算部と、
前記端末別積算部に積算記憶されている判定回数が規定回数に達したか否かを判定し、規定回数に達した場合は、対応する前記管理装置端末を稼働できなくする稼働禁止部と、
を備えた燃料供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、顧客自身が燃料供給装置を操作して燃料供給作業を行うセルフサービス方式の燃料供給所に適用して好適な燃料供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
セルフサービス方式の燃料供給システムでは、車両等の供給対象に対する燃料供給を、顧客自身が供給液種、供給液量等を設定し、燃料供給装置に備えられた燃料供給ノズルを操作して行う。
【0003】
セルフサービス方式の燃料供給システムの一例としてのセルフ給油システムでは、顧客自らが、給油作業設定器を操作して、これから車両等の供給対象に供給する油種、油量等の給油作業情報の設定を行い、給油ノズル(燃料供給ノズル)を給油機(燃料供給装置)のノズル掛けから取り外して、給油ノズルの吐出パイプを車両等の給油口に挿入させた状態で操作レバーを開弁操作し、供給対象に対する燃料供給を行う。
【0004】
その際、給油機のノズル掛けから給油ノズルが取り外されると、給油機から、その設定された給油作業情報や、給油ノズルへの送液許可要求を含む給油許可要求が、管理装置(セルフ・サービス・コンソール、SSC)に対して送られる。
【0005】
作業監督者としての給油所係員は、顧客による上述した準備作業が誤りなく適確に行われていることを確認すると、管理装置によって、給油許可要求があった給油機に設定油種の給油ノズルへの送液を許可し、供給対象に対する給油(実際の燃料供給)を顧客自らの操作レバーの操作で開始できるようにする。
【0006】
一例として、特許文献1、2に記載されたセルフ給油システムでは、管理装置には、給油所係員が携帯可能な専用の操作端末(リモートコントローラ、ヘッドマウントディスプレイ装置からなる管理装置端末)が備えられている。操作端末は、管理装置と無線通信接続され、給油所に設置されている複数の給油機それぞれの作動状態(稼動状態)が表示される表示部と、給油機それぞれのポンプ等の送液機器の作動を許可して実際の給油開始(燃料供給開始)を許可する操作部と、を有する構成になっている。
【0007】
このような、携帯可能な操作端末を有する管理装置を備えたセルフ給油システムでは、給油所係員は、操作端末を携帯していれば、給油機から給油許可要求が発せられても、管理装置が設置された事務所まで戻ったりせずにその場に居ながら操作端末を操作し、給油許可要求があった給油機に対して給油許可を発信し、顧客がノズル掛けから取り外した給油ノズルに対応する送液機器の作動を許可することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000-335696号公報
【特許文献2】特開2018-52570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、このようなセルフ給油システムでは、その利便性のため、給油所係員が例えば給油許可要求を発した給油機から離れた場所で別の業務を行っているような場合は、顧客による給油作業の様子の確認が十分に行われないまま操作端末で給油許可の操作がなされてしまう可能性があった。このような場合は、給油所係員の確認が不十分な状態のままで給油が開始されてしまうことになる。
【0010】
顧客が行った給油作業について、例えば、給油ノズルの筒先が供給対象の給油口の奥まで十分に挿入されていない、等の安全上の問題が見過ごされてしまうと、給油機では、給油許可に基づく送液機器の作動によって給油中に給油口で給油ノズルがぐらついてしまう等といった問題が起きる可能性があった。
【0011】
特にセルフサービス方式の給油所の場合、スタッフ不足等によって給油所係員の仕事が増加・多様化する情況では、顧客が行う給油作業についての確認が給油所係員によって十分かつ確実に行われることが、顧客サービス面、給油所の安全面で重要である。
【0012】
本開示は上記した課題を解決するものであって、顧客サービス、安全性の向上を図った、携帯可能な操作端末を有する管理装置を備えた燃料供給システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示に係る燃料供給システムは、
複数の燃料供給装置と、
前記燃料供給装置それぞれの燃料供給作業の実行を管理する管理装置と、
前記管理装置と無線通信接続され、報知部および入力部を備えた携帯可能な管理装置端末と、
を備えた、燃料供給所の燃料供給システムであって、
前記管理装置端末が燃料供給所内における何れの場所に所在しているかを検出する端末所在検出部と、
複数の前記燃料供給装置のうちの何れかで燃料供給作業の許可要求が発せられたときに、前記管理装置端末の前記報知部によって当該許可要求があったことを案内報知する許可要求報知制御部と、
前記管理装置端末の前記入力部の確認操作によって当該許可要求の発生が確認されたときに、前記端末所在検出部によって検出された前記管理装置端末の所在場所が、前記燃料供給装置それぞれに対応した複数の前記燃料供給許可可能エリアのうちの当該燃料供給作業の許可要求を発した燃料供給装置に対応した燃料供給許可可能エリアの範囲内であるか否かを判定する端末所在判定部と、
前記端末所在判定部による判定結果が範囲外であるときには、前記管理装置端末が、当該燃料供給作業の許可要求を発した燃料供給装置に対応した燃料供給許可可能エリアの範囲外に所在していることを、前記管理装置端末の前記報知部によって案内報知するエリア外報知制御部と
を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、携帯可能な管理装置端末を有する管理装置を備えた燃料供給システムにあって、燃料供給所係員が例えば燃料供給作業の許可要求を発した燃料供給装置から離れた場所で別の業務を行っているような場合は、燃料供給所係員が当該燃料供給作業の許可要求を発した燃料供給装置に対応した燃料供給許可可能エリアの範囲外に所在していることが、当該許可要求の発生を燃料供給所係員が管理装置端末で確認したときに自動的に管理装置端末の報知部に報知される。
【0015】
そのため、燃料供給作業の許可を行う場合は、燃料供給所係員は、許可要求を発した燃料供給装置に対応した燃料供給許可可能エリアの範囲内に移動することが促され、顧客による燃料供給ノズルの供給対象の給液口に対する装着状態等の安全作業確認が燃料供給所係員によって十分にかつ確実に行われるようになり、顧客による燃料供給作業の安全性が向上する。
【0016】
また、必然的に燃料供給所係員が許可要求を発した燃料供給装置の燃料供給作業エリアを含む燃料供給許可可能エリアに出向くようになるので、顧客サービスも向上する。
【0017】
また、本開示の上記した以外の、課題、構成および効果については、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示に係る燃料供給システムの一実施例としてのセルフ給油システムの全体構成図である。
図2】給油管理装置の管理装置端末について給油所内における所在場所を検出するためのSSC端末の位置検出制御処理のフローチャートである。
図3図1に示したセルフ給油システムを例にした、給油所内に設けられた給油許可可能エリアPの説明図である。
図4】管理装置端末または給油管理装置に記憶されている許可可能判定テーブルの一実施例を模式的に示した図である。
図5】給油機の給油機制御装置が各部を制御して行う給油機制御を表したフローチャートである。
図6】給油機からの給油許可要求を受けて給油所管理装置行う給油管理制御のフローチャートである。
図7】給油機からの給油結果情報を受けて給油所管理装置が行う給油管理制御のフローチャートである。
図8】給油所管理装置が行う給油管理制御のうちの給油機の緊急停止制御のフローチャートである。
図9】管理装置端末を備えた給油管理装置のうちの給油管理装置側で行われる、給油許可要求を受信した給油機の給油作業エリアに対しての給油許可制御処理の一実施例のフローチャートである。
図10】管理装置端末を備えた給油管理装置のうちの管理装置端末側で行われる、給油許可要求を受信した給油機の給油作業エリアに対しての給油許可制御処理の一実施例のフローチャートである。
図11A】給油許可要求の給油機が発生したときに、管理装置端末の画面操作部に表示される給油許可要求発生の案内報知画面である。
図11B】給油許可要求の給油機が発生したときに、管理装置端末の画面操作部に表示される給油許可要求発生の案内報知画面である。
図11C】給油許可要求の給油機が発生したときに、管理装置端末の画面操作部に表示される給油許可要求発生の案内報知画面である。
図12】管理装置端末を備えた給油管理装置のうちの給油管理装置側で行われる、給油許可要求を受信した給油機の給油作業エリアに対しての給油許可制御処理の別実施例のフローチャートである。
図13】管理装置端末を備えた給油管理装置のうちの管理装置端末側で行われる、給油許可要求を受信した給油機の給油作業エリアに対しての給油許可制御処理の別実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示に係る燃料供給システムの一の実施形態について、図面に基づいて説明する。説明では、本開示に係る燃料供給システムを、顧客自身が給油機の給油ノズルを操作して車両等の供給対象に対する給油作業を行うセルフサービス方式の給油所に適用した場合のセルフ給油システムを例に説明する。なお、本開示に係る燃料供給システムが適用されるセルフサービス方式の燃料供給所は、セルフサービス方式の給油所に限られるものではなく、液化石油ガス(LPG)、圧縮天然ガス(CNG)、圧縮水素ガス等といった燃料ガスのセルフサービス方式の燃料供給所等にも適用可能である。
【0020】
図1は、本開示に係る燃料供給システムの一実施例としてのセルフ給油システムの全体構成図である。
【0021】
図示の例では、セルフ給油システム1は、セルフサービス給油方式に適用可能な複数の給油機10(10-1~10-4)と、釣銭機(精算機)20と、これら給油機10および釣銭機20を備えた給油所全般の作業管理を行う給油所管理装置30とを有する。これら給油機10、釣銭機20、給油所管理装置30は、給油所内のSS-LAN(Service Station - Local Area Network)6を介して通信接続され、これら各機器間では、各種信号および各種情報データの交信が可能になっている。
【0022】
給油機10は、給油機筐体11内に、ポンプ等の送液機器、流量計等の流量計測機器、給油機各部の作動制御や給油量の演算を行う給油機制御装置を収容している。給油機筐体11からは、先端に給油ノズル13を有するホース12が延設され、ホース12に基端側は、給油機筐体11内の流量計の流出側と連通されている。
【0023】
給油ノズル13には、操作レバーの操作に応動して開閉弁し、車両等の供給対象内における燃料油液の液面がノズル先端の吐出パイプに達すると操作レバーの操作位置にかかわらず閉弁する自動閉弁機構が備えられている。給油ノズル13は、給油機筐体11に設けられたノズル掛け14に対して取り出し・収納自在になっており、給油作業が行われていない間はノズル掛け14に収納される。
【0024】
給油機10は、ポンプ等の送液機器の作動によって、図示せぬ地下タンク(貯液タンク)から燃料油液を汲み上げる。汲み上げられた燃料油液は、流量計を介して、ホース先端の給油ノズル13に向けて送液される。
【0025】
給油作業者である顧客は、給油ノズル13をノズル掛け14から取り出して、その吐出パイプを車両等の供給対象の給油口(燃料補給口)に挿入し、操作レバーを開弁操作して、供給対象に対する燃料補給を行う。
【0026】
その際における給油量(燃料油液の給液量)は、流量計に付設された流量発信器から出力される流量パルス信号を基に給油機制御装置によって演算され、給油機筐体11に設けられた表示器15に表示される。
【0027】
図示の例では、給油機10は、例えばハイオク、レギュラー、軽油といった供給液種の違いに対応させて、ホース12、給油ノズル13およびノズル掛け14が、給油機筐体11の前面に複数設けられた構成になっている。また、図示せぬ給油機筐体11の後面にも、ハイオク、レギュラー、軽油といった供給液種の違いに対応させて、ホース12、給油ノズル13およびノズル掛け14が同様に複数設けられた構成になっている。表示器15も同様に給油機筐体11の前・後面にそれぞれ設けられた構成になっている。これにより、図示の給油機10の場合は、給油機筐体11の前面側と後面側とで別々の供給対象に対する給油作業を、独立にかつ並行して行うことが可能な構成になっている。
【0028】
これに伴い、給油機筐体11内のポンプおよび流量計といった機器は、供給液種の違いや、給油機筐体11の前・後面側それぞれで所望液種についての給油作業を可能にすべく給油機筐体11に備えられた給油ノズル13の数(給油系統の数に該当)に応じて、給油機筐体11内に複数収容された構成になっている。
【0029】
すなわち、図示の例の給油機10‐n(ただし、nは1~4のうちの何れか1つの整数)の場合は、給油機筐体11の前面,後面にそれぞれ一つの給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)E(En1,En2)が構成され、各給油作業エリアEn1,En2には、ハイオク、レギュラー、軽油といった3つの給油系統が設けられた構成になっている。各給油作業エリアEn1,En2では、給油機制御装置が3つ給油系統それぞれのポンプ等の送液機器をはじめとする給油機各部を作動制御することによって、これらハイオク、レギュラー、軽油といった複数の油種の中から選択された所望の油種の燃料油液を、該当油種の給油ノズル13を操作して車両等の供給対象に対して給油できるようになっている。
【0030】
なお、1台の給油機10‐nの給油作業エリアEn1,En2間では、供給液種が同じ給油系統それぞれのポンプについては共用することも可能である。しかし、図示のセルフ給油システム1の説明では、後述する給油機制御装置による給油機制御についての理解を簡便にするため、供給液種が同じ複数の給油系統同士であっても各給油系統が個別にポンプを備えているものとして、以降では説明する。
【0031】
また、図示の例では、給油機10はセルフサービス方式の給油所に適用されるため、給油機10には、給油作業エリアEn1,En2毎に対応させて、設定器16、給油代金払込装置17、伝票発行装置18等といったセルフサービス適応装置が、給油機筐体11の前面,後面それぞれに、給油機筐体11に一体的に設けられている。
【0032】
設定器16は、給油作業者である顧客が給油ノズル13をノズル掛け14から取り出して給油作業を開始するに当たって、供給対象に供給する燃料油液の液種(例えば、ハイオク,レギュラー,軽油といった油種)および液量(例えば、満タンあるいは所望のプリセット量やプリセット金額)を設定入力するためのセルフサービス適応装置である。設定器16で設定入力された情報は、給油機制御装置に供給される。
【0033】
給油代金払込装置17は、顧客が給油作業を行うに当たって、予め給油代金(給油料金)を現金若しくはクレジットカード等によって後払い又はプリペイドカード等によって前払いするためのセルフサービス適応装置である。給油代金払込装置17に投入された前払い給油代金の金額情報は、給油機制御装置に供給される。
【0034】
給油機10の給油機制御装置では、設定器16により設定入力された液種、液量や、給油代金払込装置17により投入された前払い給油代金の金額情報を基に、これから給油ノズル13を操作して開始される給油作業の給油作業情報が作成される。給油作業情報は、給油機10や給油作業で使用される給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)Eの識別情報が付加されて、SS-LAN6を介して、給油機10から給油所管理装置30に送信される。
【0035】
伝票発行装置18は、例えば給油ノズル13がノズル掛け14に収納される等して給油作業が終了した際に、給油機10の給油機制御装置によって演算された当該給油作業の実際の給油量、給油金額等の給油結果情報を基にして、当該給油作業の精算伝票を発行するためのセルフサービス対応装置である。給油結果情報は、SS-LAN6を介して、給油機10から給油所管理装置30に送信される。
【0036】
本実施例では、伝票発行装置18から発行された精算伝票は、前払い給油代金、液種、実際の給油量、給油金額、釣銭、等といった給油結果情報の内容確認に使用される。加えて、精算伝票は、実際の給油金額が予め給油代金払込装置17に入金した前払い給油代金に達していない顧客が、釣銭機20から釣銭の返却を受ける際の識別片としても利用される。そのため、伝票発行装置18は、精算伝票の印刷出力にあたって、釣銭機20で釣銭を受ける各顧客を特定できるように、当該精算伝票の識別情報を生成する。この識別情報は、伝票発行装置18によって給油結果情報とともに精算伝票に印刷出力される。また、識別情報は、給油機制御装置に供給されて、給油機10から給油所管理装置30に送信される給油結果情報の中にも含められる。
【0037】
なお、図示の例では、設定器16、給油代金払込装置17、伝票発行装置18からなるセルフサービス適応装置については、給油機10毎に給油機筐体11に一体的に設けた構成としたが、給油機筐体11とは別個の、複数の給油機10に対応させたセルフサービス適応ユニット機器として、SS-LAN6に接続して設けることも可能である。設定器16を複数の給油機10や給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)Eで共用する場合は、顧客は、給油作業情報として、給油作業に用いる給油機10の番号等の識別情報も設定入力することになる。
【0038】
また、給油機10-nには、給油機筐体11の前面,後面の給油作業エリアEn1,En2毎に対応させて、後述する監視装置50の監視カメラ51が設けられている。また、後述する携帯可能な管理装置端末(SSC端末)70の所在確認で利用されるビーコン8も付設されている。
【0039】
監視カメラ51(51En1,51En2)は、給油機10-nに対応する給油作業エリアE(En1,En2)の様子を撮影し、その撮影画像データを、画像データ専用信号線7を介して、給油所管理装置30の監視装置50に送信する。
【0040】
ビーコン8は、図示の例では、給油機10-n毎に、給油機筐体11の各側面側に1つずつ一対(8-nA,8-nB)が配置されている。各ビーコン8は、管理装置端末(SSC端末)70の所在確認用のビーコン信号(例えば、Bluetooth Low Energy(BLE)を活用した省電力通信信号)をそれぞれ送信する。各ビーコン信号は、各ビーコン(8-nA,8-nB、nは1~4)毎で識別可能になっている。なお、ビーコン8は、図示の例では、給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)E毎に複数配置された構成として説明したが、給油所におけるビーコン8の配置位置や配置数は図示の例に限定されるものでない。例えば、複数のビーコン8それぞれからのビーコン信号の受信組み合わせの違いや、複数のビーコン8それぞれからの受信強度を基に測定された距離組み合わせの違いに応じて、給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)Eを識別できるようにしてもよい。また、ビーコン8の具体的な設置先には、アイランドの柱、事務所3やピットの壁面、キャノピー、看板、等を利用できる。
【0041】
釣銭機(精算機)20は、セルフサービス方式の給油作業で、給油作業者である顧客が予め支払った給油代金に実際の給油量に基づく給油金額が達せず、釣銭が生じた場合に、顧客が釣銭を受け取るための装置である。釣銭機20には、給油機10からセルフサービス方式の給油作業が行われる度に送信される給油結果情報が取り込まれ、その中の釣銭の返却が必要な顧客についての精算伝票の識別情報や釣銭額等が精算情報として蓄積される。釣銭機20は、その伝票識別部で顧客の精算伝票の識別情報を読み取ると、蓄積された精算情報を照会し、返却を受けるべき顧客であることが確認されると、その釣銭の支払を行う。なお、図示の例では、釣銭機(精算機)20は、給油機10とは別筐体で複数の給油機10で共用する構成としたが、給油機筐体11と一体的に、給油機10毎に設けられていてもよい。
【0042】
給油所管理装置30は、給油所事務所3内に設置され、本実施例では、給油所における販売時点管理を行うPOS端末機40と、給油作業エリアEを含めた給油所内の様子を監視するための監視装置50と、顧客自身による給油機10を用いたセルフサービス方式の給油作業の実行を管理する給油管理装置60と、を有する構成になっている。その中、POS端末機40および給油管理装置60は、SS-LAN6に接続され、各給油機10、釣銭機20ともに給油所内ネットワークを構成している。給油管理装置60は、いわゆるセルフサービス・ステーション・コントローラ(Self-service Station controller、SSC)に該当する。
【0043】
POS端末機40は、各給油機10からSS-LAN6を介して送信される、給油作業を開始するに当たって設定器16で設定された給油作業情報、給油開始(給油ノズルへの送液開始)の許可要求、および給油作業の終了時に作成される給油結果情報を受信し、給油所における燃料油液の販売時点管理を行う。給油開始の許可要求は、設定器16で設定された給油作業情報で特定される給油系統個別に、すなわち給油ノズル13個別に行われる。なお、以下では、各給油機10からSS-LAN6を介して送信される、給油作業を開始するに当たって設定器16で設定された給油作業情報と給油開始の許可要求とを合わせたもののことを、給油許可要求と総称することもある。
【0044】
監視装置50は、各給油作業エリアEおよび釣銭機20にそれぞれ対応させて設けられた監視カメラ51(51En1,51En2,51-20)を有し、各監視カメラ51とは画像データ専用信号線7を介して接続されている。監視装置50は、各監視カメラ51によって撮影された各給油作業エリアEや釣銭機20周辺の動画像もしくは静止画像からなる撮影画像から、監視画像を生成して表示出力する。これにより、給油所係員は、監視画像を見ることによって、給油所内の各所の様子を事務所内に居ながらにして監視できるようになっている。監視装置50は、給油所係員の操作指示に応じて、複数の監視カメラ51それぞれによる撮影画像を分割表示した監視画像を生成したり、その中の所望の撮影画像を選択して拡大した監視画像を生成したりできるようになっている。
【0045】
給油管理装置60は、各給油機10からSS-LAN6を介して送信される、給油作業情報、給油開始の許可要求、および給油結果情報を、POS端末機40と同様に受信できるようになっている。また、給油管理装置60は、監視装置50ともデータ信号接続され、監視装置50から所望の監視画像の提供も受けられるようになっている。
【0046】
給油管理装置60は、各給油機10の作動状態について、例えば、各給油機10からSS-LAN6を介して送信される給油作業情報、給油開始の許可要求、給油結果情報の受信に基づき、給油機10の給油作業受付状態、給油許可待ち状態、給油作業終了状態(待機状態)を判別する。また、給油管理装置60は、各給油機10にSS-LAN6を介して送信する起動/停止指示、給油許可、緊急停止に基づき、給油機10の起動/停止状態、給油中状態(送液作動状態)、給油禁止状態(緊急停止状態)を判別する。そして、給油管理装置60は、その記憶部に、これら判別した給油機10それぞれの作動状態を、給油機10毎またはその給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)E毎に逐次、更新記憶する。
【0047】
その際、給油管理装置60の表示部には、給油機10それぞれの現在のまたは最新の作動状態が表示される。給油所係員は、給油管理装置60の操作部を操作して、給油許可要求を受信した給油許可待ち状態にある給油機10に対して給油開始の許可を行ったり、対象の給油機10を選択して給油禁止状態(緊急停止状態)にしたりできる。この場合、給油開始の許可とは、顧客が操作レバーを開弁操作すれば給油ノズル13から燃料吐出できるように、対応する給油機10の給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)Eについて、設定油種に係るポンプ等の送液機器の作動を許可することを指す。また、給油禁止とは、給油機10の作動状態が、給油ノズル13がノズル掛け14から取り外されている給油作業中状態であるか、給油ノズル13がノズル掛け14に収納されている、給油作業が行われていない待機状態であるかにかかわらず、所定の復帰操作が行われるまで、対応する給油機10-nの給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)En1およびEn2について、ポンプ等の送液機器の作動を禁止することを指す。これら給油開始の許可や給油の禁止は、給油管理装置60からSS-LAN6を介して、対象の給油機10宛に送信される。
【0048】
また、本実施例では、給油管理装置60は、その操作部が監視装置50の操作部を兼ね、その表示部が監視画像の表示装置を兼ねるようになっている。そのため、給油管理装置60は、監視装置50が生成する監視画像を指示したり、監視装置50が生成した監視画像を表示したり、さらには、監視装置50が生成した監視画像に、対応する給油機10の現在のまたは最新の作動状態(給油作業情報、給油許可要求の有無、給油結果情報)をOSD(On-Screen Display)表示することができる。
【0049】
その上で、本実施例では、給油管理装置60には、携帯可能な管理装置端末(SSC端末)70が、給油管理装置60と無線通信接続されて備えられている。この場合、管理装置端末70は、給油管理装置60の上述した給油管理装置60の操作部および表示部と同様に、給油許可要求を受信して許可待ち状態にある給油機10に対して給油開始の許可を行ったり、対象の給油機10を選択して給油禁止状態(緊急停止状態)にしたりでき、給油機10それぞれの現在のまたは最新の作動状態を表示したり、監視装置50に監視画像の態様を指示してその監視画像を表示したりできる。
【0050】
管理装置端末70は、給油管理装置60専用の無線端末機器に限られるものではなく、給油管理装置60との通信接続が可能で、各ビーコン8それぞれからのビーコン信号を受信できるビーコン受信機能(近距離無線通信機能)を備えているものであるならば、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、通信機能を備えたタブレット型コンピュータ、等といった携帯可能な汎用の移動体通信端末機器を、管理装置端末70として機能させることも可能である。
【0051】
そのため、給油管理装置60には、管理装置端末70と通信可能な無線通信部68が備えられている。無線通信部68は、給油所内のSS-LAN(Service Station - Local Area Network)6のWi-Fiルータとして構成され、管理装置端末70は、無線通信部68を介して、給油管理装置60と直接通信接続され、SS-LANの給油管理装置60以外のSS-LAN接続機器とも、無線通信部68および給油管理装置60を介して、通信接続可能になっている。
【0052】
上述したように構成された本実施例のセルフ給油システム1では、顧客自らが給油機10の給油ノズル13を操作して行うセルフ給油作業に対する給油管理は、作業監督者としての給油所係員が給油管理装置60の管理装置端末70を操作して、次のようにして行われる。
【0053】
図2は、給油管理装置の管理装置端末について給油所内における所在場所を検出するためのSSC端末の位置検出制御処理のフローチャートである。
【0054】
図2に示すように、管理装置端末(SSC端末)70では、端末自身に予め備えられているビーコン受信機能としての近距離無線通信機能(例えば、ブルートゥース(Bluetooth))を作動させて、各ビーコン8(8-nA,8-nB、nは1~4)からそれぞれ送信されるビーコン信号を受信し、受信したビーコン信号それぞれの受信電波強度を取得する(図2、S010)。
【0055】
そして、管理装置端末70、または無線通信部68を介して管理装置端末70からビーコン信号それぞれの受信電波強度の提供を受けた給油管理装置(SSC本体)60は、受信したビーコン信号それぞれの受信電波強度に基づいて、対応するビーコン8から管理装置端末70までの距離を取得する(S020)。
【0056】
これに基づき、管理装置端末70または給油管理装置60は、給油所内における管理装置端末70の現在の所在、すなわち、管理装置端末70が現在所在している給油所内に設けられた給油許可可能エリアPを特定する(SA030)。また、管理装置端末70は、この給油許可可能エリアPの特定に当たって、配置位置が異なるビーコン8(8-nA,8-nB、nは1~4)のうちの2つ以上のビーコンからビーコン信号を受信して、自身の給油所内における現在位置を正確に特定できるようにもなっている。
【0057】
次に、給油所内に設けられた給油許可可能エリアPと、給油許可可能エリアPの特定の仕方の一実施例について、図3を参照しながら説明する。
【0058】
図3は、図1に示したセルフ給油システムを例にした、給油所内に設けられた給油許可可能エリアPの説明図である。
【0059】
図示の例では、ビーコン8は、給油機10-n毎に、給油機筐体11の各側面側に1つずつ一対(8-nA,8-nB)が配置された構成になっている。給油機10-n毎の給油許可可能エリアPは、給油機10-n毎の給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)E(En1,En2)をエリア内に含んだ上で、給油所係員が顧客による給油機10-nを用いた給油作業の様子を十分に確認できるような給油所内のエリアとして、給油機10-n毎に、対応するビーコン8(8-nA,8-nB)からのビーコン信号の受信強度によって給油許可可能エリアPの境界が規定されて設けられている。
【0060】
具体的に、給油機10-1を使用する給油作業に対する給油許可可能エリアP1は、ビーコン8-1Aからのビーコン信号の受信強度(取得受信強度W>受信強度W(1A))を基に規定されたエリアP(8-1A)またはビーコン8-1Bからのビーコン信号の受信強度(取得受信強度W>受信強度W(1B))を基に規定されたエリアP(8-1B)になっている。同様にして、給油機10-2を使用する給油作業に対する給油許可可能エリアP2は、ビーコン8-2Aからのビーコン信号の受信強度(取得受信強度W>受信強度W(2A))を基に規定されたエリアP(8-2A)またはビーコン8-2Bからのビーコン信号の受信強度(取得受信強度W>受信強度W(2B))を基に規定されたエリアP(8-2B)に、給油機10-3を使用する給油作業に対する給油許可可能エリアP3は、ビーコン8-3Aからのビーコン信号の受信強度(取得受信強度W>受信強度W(3A))を基に規定されたエリアP(8-3A)またはビーコン8-3Bからのビーコン信号の受信強度(取得受信強度W>受信強度W(3B))を基に規定されたエリアP(8-3B)に、給油機10-4を使用する給油作業に対する給油許可可能エリアP4は、ビーコン8-4Aからのビーコン信号の受信強度(取得受信強度W>受信強度W(4A))を基に規定されたエリアP(8-4A)またはビーコン8-4Bからのビーコン信号の受信強度(取得受信強度W>受信強度W(4B))を基に規定されたエリアP(8-4B)になっている。
【0061】
そして、SA030で、管理装置端末70が現在所在している給油所内に設けられた給油許可可能エリアPおよび給油許可可能対象の給油機10-nを特定する管理装置端末70または給油管理装置60には、給油許可可能エリアP1~P4、給油許可可能対象の給油機10-1~10-4を特定するための許可可能判定テーブルYが予め記憶されている。
【0062】
図4は、管理装置端末または給油管理装置に記憶されている許可可能判定テーブルYの一実施例を模式的に示した図である。
【0063】
例えば、管理装置端末70または給油管理装置60は、この許可可能判定テーブルYを基に、図3に示す管理装置端末70aに関して、取得受信強度W>受信強度W(3A)が得られるのでエリアP(8-3A)内、すなわち給油許可可能エリアP3内に所在し、給油機10-3を使用しての給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)E31,E32での給油作業に対してのみ給油許可可能であることを特定できる。同様にして、管理装置端末70または給油管理装置60は、この許可可能判定テーブルYを基に、図3に示す管理装置端末70bに関して、取得受信強度W>受信強度W(3A)、取得受信強度W>受信強度W(3B)が得られるのでエリアP(8-3A)およびエリアP(8-3B)内、すなわち給油許可可能エリアP3内に所在し、給油機10-3を使用しての給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)E31,E32での給油作業に対して給油許可可能であることを特定できる。また、管理装置端末70bに関しては、取得受信強度W>受信強度W(1A)、取得受信強度W>受信強度W(1B)が得られるのでエリアP(8-1A)およびエリアP(8-1B)内、すなわち給油許可可能エリアP1内に所在し、給油機10-1を使用しての給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)E11,E12での給油作業に対しても給油許可可能であることを特定できる。なお、この許可可能判定テーブルYについては、個別のビーコン8からのビーコン信号の取得受信強度Wに代えて、個別のビーコン8からのビーコン信号の取得受信強度Wから算出した距離Lまたは位置Sを取得し、予め設定した比較距離Lまたは比較位置Sと比較して、所在する給油許可可能エリアPを特定できる構成としてもよい、
【0064】
次に、本実施例のセルフ給油システム1で、顧客自身が給油機10-n(この場合、nは1~4のうちの何れか1つ)の給油ノズル13を自ら操作して給油作業を行う場合に、給油機10-nの給油機制御装置が各部を制御して行う給油機制御について、図5に基づいて説明する。
【0065】
図5は、給油機制御装置が各部を制御して行う給油機制御を表したフローチャートである。
【0066】
セルフ給油作業を行うに当たって、作業者である顧客は、給油作業を行う給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)Eに対応した給油機10-nの、給油機筐体11の前面(すなわち、給油作業エリアEn1側)若しくは後面(すなわち、給油作業エリアEn2側)のうちの何れかの所望の設定器16を操作して、供給対象に供給する燃料油液の液種(例えば、ハイオク、レギュラー、軽油といった油種)および液量(例えば、満タン或いは所望のプリセット量やプリセット金額)を設定入力し、前払い給油代金を給油代金払込装置17に投入する(S110)。
【0067】
給油機制御装置は、設定器16により設定入力された液種、液量や、給油代金払込装置17により投入された前払い給油代金の金額情報を基に、これから当該設定器16に対応する給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)Eで給油ノズル13を操作して開始する給油作業の給油作業情報を作成する。給油機制御装置は、作成した給油作業情報を、SS-LAN6を介して、給油機10-nから給油所管理装置30に送信する。
【0068】
そして、給油機制御装置は、顧客により当該設定器16に対応する給油作業エリアEの給油ノズル13がノズル掛け14から取り出されたことを、ノズル掛け14に設けられたノズルスイッチの出力に基づいて検出すると(S120)、SS-LAN6を介して、この給油作業エリアEでの給油機10-nによる給油作業の給油許可要求を給油管理装置60に送信する(S130)。
【0069】
その後、給油機制御装置は、給油許可要求に対する当該給油機10-nの給油許可を給油管理装置60から受信すると(S140)、当該給油作業エリアEの設定液種に対応する給油系統のポンプ等の送液機器を作動して(S150)、給油ノズル13への燃料油液の供給を開始する。
【0070】
したがって、給油機10-nでは、給油機制御装置のこれら一連の処理によって、供給対象の給油口に給油ノズル13の筒先が挿入された状態で、供給対象の給油口に筒先が挿入された給油ノズル13が顧客により開弁操作されることで、供給対象に対する実際の給油が開始される。
【0071】
このようにして供給対象に対する実際の給油が開始されると、給油機制御装置は、当該給油作業エリアEの設定液種に対応する給油系統の流量計に付設された流量発信器から出力される流量パルス信号を基に、給油量を演算して表示器15に表示するとともに(S160)、逐次、SS-LAN6を介して、現在の給油量を管理装置端末70に送信する。また、給油機制御装置は、この給油量計測・表示処理の実行と並行して、管理装置端末70からの給油許可を受信した後には、供給対象に対する給油を終了するか否かの確認を行う(S170)。
【0072】
この場合、給油終了の確認としては、例えば、ノズル戻し、制限量/制限時間到達、設定給油量の給油完了、緊急停止信号の入力、緊急停止ボタンの操作、等がある。
【0073】
具体的に、「ノズル戻し」は、顧客によってノズル掛け14から一旦取り出された給油ノズル13が、顧客によって再びノズル掛け14に収納されることに該当する。「制限量/制限時間到達」は、供給対象に対する給油量が予め設定されている制限量に達したり、ノズル掛け14から給油ノズル13が取り出されたままの経過時間が予め設定されている制限時間に至ることに該当する。「設定給油量の給油完了」は、供給対象に対する給油量が、顧客が給油に際して予め設定器16で設定したプリセット値の給油量や給油金額に達することに該当する。「緊急停止信号の入力」は、給油管理装置60からの緊急停止信号を受信すること該当する。「緊急停止ボタンの操作」は、給油管理装置60の操作部や管理装置端末70の画面操作部に設けられた緊急停止ボタンが操作されることに該当する。
【0074】
給油機制御装置は、このようにして給油終了を検出すると(S170、YES)、当該給油作業エリアEの設定液種に対応する給油系統のポンプを等の送液機器を作動停止する(S180)。そして、ノズル掛け14に設けられたノズルスイッチの出力を監視し、顧客によって一旦取り出された給油ノズル13がノズル掛け14に再び収納され、顧客による供給対象に対する給油作業が終了したか否かについて検出する(S190)。
【0075】
給油機制御装置は、このようにして給油作業エリアE(この場合は、給油作業エリアEn1またはEn2のうちの所望の一方)での給油機10-nによる給油作業終了を検出すると(S190、YES)、給油量に基づいて今回の給油作業に係る実際の給油量、給油金額等の給油結果情報を生成する。そして、その給油結果情報を、SS-LAN6を介して、給油管理装置60およびPOS端末機40に対して送信する(S200)。
【0076】
次に、本実施例のセルフ給油システム1で、上述した給油機制御が行われる給油機10(10-1~10-4)それぞれの給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)En1およびEn2での給油作業の実行を管理して、給油所全般の作業管理を行う給油所管理装置30の給油管理制御について、図6~8に基づいて説明する。
【0077】
図6は、給油機からの給油許可要求を受けて給油所管理装置行う給油管理制御のフローチャートである。
図7は、給油機からの給油結果情報を受けて給油所管理装置が行う給油管理制御のフローチャートである。
図8は、給油所管理装置が行う給油管理制御のうちの給油機の緊急停止制御のフローチャートである。
【0078】
給油管理装置60は、給油機10-nからこれから給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)En1またはEn2で行う給油作業の給油作業情報を受信すると、当該給油作業が行われる給油作業エリア(燃料供給作業ポイント)En1またはEn2での当該給油機10-nの作動状態を待機状態から給油作業受付状態に更新記憶して、受信した給油作業情報を当該給油機10-nの当該給油作業エリアEn1またはEn2での今回の給油作業情報として登録する。また、当該給油機10-nの当該給油作業エリアEn1またはEn2に関しての給油作業受付状態の作動状態および給油作業情報を表示部に表示するとともに、当該給油機10-nの当該給油作業エリアEn1またはEn2に関しての給油作業受付状態および給油作業情報を、無線通信部68を介して、管理装置端末70にも送信する。
【0079】
それから、給油管理装置60は、図6に示すように、給油機10-nからの当該給油作業エリアEn1またはEn2に関しての給油許可要求を受信すると(S311)、当該給油作業エリアEn1またはEn2に関しての当該給油機10-nの作動状態を給油作業受付状態から給油許可待ち状態に更新記憶する(S313)。また、給油管理装置60は、当該給油作業エリアEn1またはEn2に関して、当該給油機10-nが給油許可待ち状態の作動状態であることを表示部に表示するとともに、当該給油作業エリアEn1またはEn2に関しての当該給油機10-nの給油許可待ち状態を、無線通信部68を介して、管理装置端末70にも送信する。
【0080】
また、給油管理装置60は、図7に示すように、給油機10-nからの当該給油作業エリアEn1またはEn2に関しての給油結果情報を受信すると(S321)、当該給油作業エリアEn1またはEn2に関しての当該給油機10-nの作動状態をそれまでの給油中状態(送液作動状態)から給油作業終了状態(待機状態)に更新記憶する(S323)。また、給油管理装置60は、当該給油作業エリアEn1またはEn2に関しての当該給油機10-nの給油作業終了状態の作動状態を表示部に表示するとともに、当該給油作業エリアEn1またはEn2に関しての当該給油機10-nの給油作業終了状態(待機状態)および給油結果情報を、無線通信部68を介して、管理装置端末70にも送信する。
【0081】
また、給油管理装置60は、図8に示すように、その操作部に備えられた緊急停止ボタンが操作されるか(S331)、または、管理装置端末70からの緊急停止の出力指示を受信すると(S333)、SS-LAN6を介して、当該緊急停止対象の給油機10-nに対して緊急停止信号を出力するとともに、これら給油機10-nについての作動状態の記憶内容を給油禁止状態(緊急停止状態)に更新記憶する(S335)。また、給油管理装置60は、当該給油機10-nの給油禁止状態の作動状態を表示部に表示するとともに、当該給油機10-nの給油禁止状態を無線通信部68を介して管理装置端末70にも送信する。
【0082】
これにより、その作動状態を給油禁止状態とされた緊急停止対象の給油機10-nでは、給油管理装置60からの緊急停止信号の受信(図5のステップS170)により、給油機制御装置が、ポンプが駆動中である場合でもその駆動を停止させ(S180)、設定器16も、新たな給油作業に係る液種および液量の設定入力が行えない不活性状態にする。
【0083】
このように、給油管理装置60は、その作動状態を給油禁止状態にした給油機10-nに対しては、所定の解除操作がその操作部でなされるまで(S337)、給油禁止状態を維持し、給油機10-nを用いた新たな給油作業を行えないように維持する。一方、給油禁止状態にした給油機10-nに対して、所定の解除操作がその操作部でなされた場合(S337)、例えば、給油ノズル13全てが閉弁状態でそれぞれ対応するノズル掛け14に収納されていることを条件にして、給油機10-nの作動状態をそれまでの給油禁止状態から給油作業終了状態(待機状態)に更新記憶して表示部に表示するとともに、当該給油機10-nの給油作業エリアEn1およびEn2それぞれの待機状態(待機中状態)を、無線通信部68を介して、管理装置端末70にも送信する(S339)。
【0084】
次に、本実施例のセルフ給油システム1において、作動状態が給油許可待ち状態になっている給油機10-nの給油作業エリアEn1またはEn2に対しての、管理装置端末70を備えた給油管理装置60による給油許可制御について説明する。
【0085】
作動状態が給油許可待ち状態になっている給油機10-nの給油作業エリアEn1またはEn2に対する給油許可は、給油所係員が、給油所事務所3内で監視装置50の監視画面により給油許可待ち状態になっている給油機10-nの給油作業エリアEnを用いた給油作業の様子を確認しながら、給油管理装置60の操作部を所定操作することにより行える。また、給油所係員が、給油許可待ち状態になっている給油機10-nの給油作業エリアEn1またはEn2に対して規定されている給油許可可能エリアP内で、管理装置端末70の入力部と報知部とを兼ねた画面操作部を所定操作することにより行える。
【0086】
図1および図2で示した例では、給油管理装置60は、給油機10-1~10-4のうちの何れか1つの給油機10-nの給油作業エリアEn1またはEn2、例えば、給油機10-4の給油作業エリアE42から送信された給油許可要求を受信すると、図6のステップS313で説明したように、当該給油機10-4の給油作業エリアE42について、給油機10-4の作動状態を給油作業受付状態から給油許可待ち状態に更新記憶する。また、給油管理装置60は、当該給油機10-4の給油作業エリアE42の給油許可待ち状態の作動状態を表示部に表示するとともに、当該給油機10-4の給油作業エリアE42の給油許可待ち状態を無線通信部68を介して管理装置端末70にも送信する。これにより、給油所係員は、当該給油機10-4の給油作業エリアE42が給油許可待ち状態になっていることを、給油管理装置60の表示部による案内報知だけでなく、管理装置端末70の操作画面部による案内報知でも認識できるようになっている。
【0087】
この給油許可待ち状態になっている給油機10-4の給油作業エリアE42に対する給油許可は、給油所係員が、給油所事務所3内で監視装置50の監視画面により給油許可待ち状態になっている給油機10-4の給油作業エリアE42を用いた給油作業の様子を確認しながら、給油管理装置60の操作部を所定操作することにより行える。また、給油所係員が、給油許可待ち状態になっている給油機10-4の給油作業エリアE42に対して規定されている給油許可可能エリアP4(P8(4A)またはP8(4B))内で、管理装置端末70の画面操作部を所定操作することにより行える。
【0088】
そのため、本実施例のセルフ給油システム1では、給油管理装置60は、この給油許可待ち状態になっている給油機10-4の給油作業エリアE42に対しては、図9に示すような給油許可制御処理を行い、給油管理装置60に無線通信接続された携帯可能な管理装置端末は、この給油許可待ち状態になっている給油機10-4の給油作業エリアE42に対しては、図10に示すような給油許可制御処理を行う構成になっている。
【0089】
図9は、本実施例のセルフ給油システムにおいて、管理装置端末を備えた給油管理装置のうちの給油管理装置側で行われる、給油許可要求を受信した給油機の給油作業エリアEに対しての給油許可制御処理の一実施例のフローチャートである。
【0090】
図10は、本実施例のセルフ給油システムにおいて、管理装置端末を備えた給油管理装置のうちの管理装置端末側で行われる、給油許可要求を受信した給油機の給油作業エリアに対しての給油許可制御処理の一実施例のフローチャートである。
【0091】
図9において、給油管理装置60は、給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業エリアE42に対しては、その操作部で給油所係員により給油許可操作が行われたか否か(S351)、または給油機10-4の給油作業エリアE42に係る給油許可要求の発生確認が、無線通信部68を介して、管理装置端末70から受信入力された否か(S353)を確認している。
【0092】
ここで、管理装置端末70からの給油許可要求の発生確認は、後述するように、給油所係員が管理装置端末70の画面操作部で所定の確認操作することにより、管理装置端末70側で生成され、給油管理装置60に無線送信される。そして、この給油許可要求の発生確認には、給油所係員が管理装置端末70の画面操作部で所定の確認操作する際に管理装置端末70側で取得された、各ビーコン8(8-nA,8-nB)それぞれからのビーコン信号の受信強度も含まれている。
【0093】
そして、給油管理装置60は、給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業エリアE42に対して、その操作部で給油所係員により給油許可操作が行われたことを検出すると(S351、YES)、給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業エリアE42に対し、SS-LAN6を介して、給油許可を出力する(S359)。さらに、給油管理装置60は、当該給油機10-4の給油作業エリアE42について、その作動状態を給油許可待ち状態から給油中状態(送液作動状態)に更新記憶する(S361)。また、給油管理装置60は、当該給油機10-4の給油作業エリアE42の給油許可待ち状態の作動状態を表示部に表示するとともに、当該給油機10-4の給油作業エリアE42の給油許可待ち状態を、無線通信部68を介して、管理装置端末70にも送信する。これにより、管理装置端末70側でも、当該給油機10-4の給油作業エリアE42についての作動状態が、給油許可待ち状態から給油中状態(送液作動状態)に変わったことが認識できるようになっている。
【0094】
これに対し、給油管理装置60は、給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業エリアE42に対して、給油機10-4の給油作業エリアE42に関する給油許可要求の発生確認が無線通信部68を介して管理装置端末70から受信入力されたことを検出すると(S351、YES)、給油管理装置60は、この給油許可要求の発生確認に含まれている、管理装置端末70側で取得された、各ビーコン8(8-nA,8-nB)それぞれからのビーコン信号の受信強度を基に、管理装置端末70側で給油許可要求の発生確認が行われる際に、管理装置端末70が給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業エリアE42に対する給油許可可能エリアP4(P8(4A)またはP8(4B))内に所在しているか否かの確認を行う(S355)。
【0095】
この確認は、給油管理装置60が、各ビーコン8(8-nA,8-nB)それぞれからのビーコン信号の受信強度を基に、例えば、給油管理装置60に予め記憶されている図4に示した許可可能判定テーブルYを参照し、図2に示した管理装置端末(SSC端末)70の位置検出制御処理のうちのステップS020,S030の処理を実行することによって行われる。
【0096】
そして、この管理装置端末70の所在確認の結果、給油管理装置60は、管理装置端末70が給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業エリアE42に対する給油許可可能エリアP4内に所在していることを検出すると(S355、YES)、さらに、当該給油許可要求の発生確認の送信元の管理装置端末70から、当該給油許可要求の発生確認の入力に続けて所定時間以内に、給油許可の指示が入力されたか否かの確認を行う(S357)。
【0097】
これらの確認によって、給油管理装置60は、管理装置端末70が給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業エリアE42に対する給油許可可能エリアP4内に所在していること、および、給油許可要求の発生確認に続けて所定時間以内に、給油許可の指示が管理装置端末70から入力されたことを検出すると(S355,357ともに、YES)、前述のステップS359,S361で説明した、給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業エリアE42の給油許可を行う。
【0098】
これに対し、給油管理装置60は、管理装置端末70が給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業エリアE42に対する給油許可可能エリアP4内に所在していない場合(S355、NO)、また、給油許可可能エリアP4内に所在していても管理装置端末70から給油許可要求に続けて所定時間以内に給油許可の指示が入力されない場合は(S355がYESで、S357がNO)、無線通信部68を介して、当該給油許可要求の発生確認の送信元の管理装置端末70に宛てて、エリア外給油不許可を送信出力する(S363)。
【0099】
そして、給油管理装置60は、該当する管理装置端末70の給油許可要求に対する不許可を表示部に報知し、該当する管理装置端末70による不許可回数をインクリメントして、不許可回数の履歴として記憶しておく(S365)。
【0100】
その上で、給油管理装置60は、該当する管理装置端末70による不許可回数が予め設定された所定回数に達したか否かを判定し(S367)、所定回数に達した場合は(S367、YES)、該当する管理装置端末70を使用した給油管理制御に係る操作を禁止させる。
【0101】
この場合、該当する管理装置端末70を使用した給油管理制御に係る操作の禁止は、該当する管理装置端末70自体を給油管理制御に係る操作ができないようにして不活性にすること、給油管理装置60側で、該当する管理装置端末70を使用した給油管理制御に係る操作を受け付けないようにすること、等を含む。
【0102】
一方、図10において、管理装置端末70は、給油管理装置60と無線通信を行う毎に、例えば給油管理装置60からの肯定応答Ackを受信できるか否かに基づいて、給油管理装置60の無線通信部68を介した無線通信圏内に所在しているか否かを随時確認している(S411)。そして、管理装置端末70は、給油管理装置60の無線通信圏内に所在していないと(S411、NO)、その画面操作部に通信不可状態であることを案内報知するようになっている(S415)。
【0103】
そして、管理装置端末70は、給油管理装置60の無線通信部68を介した無線通信圏内に所在している場合は(S411、YES)、給油機10-4の給油作業エリアE42に対しては、給油管理装置60から送信されてくる給油機10-4の給油作業エリアE42の作動状態を記憶し、画面操作部に給油機10-4の給油作業エリアE42の作動状態を案内報知するようになっている(S413)。そして、給油機10-4の給油作業エリアE42の作動状態が給油許可待ち状態である場合には、ステップS417以降の、給油許可要求を受信した給油機に対しての給油許可制御処理が行われる。
【0104】
図10では、ステップS417以降において、管理装置端末70は、給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業エリアE42に対しては、その画面操作部で給油所係員により緊急停止操作が行われたか否か(S417)、給油管理装置60からエリア外給油不可が受信入力されたか否か(S419)、その画面操作部で給油所係員により給油許可要求の発生確認操作が行われたか否か(S421)、その画面操作部で給油所係員により給油許可の操作が行われたか否か(S421)を確認している。
【0105】
そして、管理装置端末70は、その画面操作部で給油所係員により緊急停止操作が行われた場合は(S417、YES)、図8で説明した、給油管理装置60が行う給油管理制御のうちの給油機10の緊急停止制御に関連し、給油管理装置60に宛てて緊急停止の指示を送信出力する(S431)。また、管理装置端末70は、図9のステップS363における、給油管理装置60によるエリア外給油不許可の送信出力に関連し、給油管理装置60からエリア外給油不可が受信入力された場合は(S419、YES)、その画面表示部に所定時間の間だけ、エリア外で管理装置端末70での許可操作が無効であることを示すエリア外操作無効をポップアップ表示で案内報知する。また、管理装置端末70は、その画面操作部で給油所係員により給油許可要求の発生確認操作が行われた場合は(S421、YES)、図9のステップS353における、給油管理装置60による給油許可要求の発生確認の受信確認に関連し、給油管理装置60に宛てて許可要求発生の確認を送信出力する(S435)。また、管理装置端末70は、その画面操作部で給油所係員により給油許可の操作が行われた場合は(S423、YES)、図10のステップS357における、給油管理装置60による給油許可の指示の受信確認に関連し、給油管理装置60に宛てて給油許可の指示を送信出力する(S437)。
【0106】
次に、上述した図9及び図10に示した給油管理装置60側および管理装置端末70側それぞれで給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業エリアE42に対して行われる給油許可制御処理を、当該給油許可制御処理の実行によって管理装置端末70の画面操作部に表示される案内報知の遷移に沿って説明する。
【0107】
図11A図11Cは、給油許可要求の給油機が発生したときに、管理装置端末の画面操作部に表示される給油許可要求発生の案内報知画面である。
【0108】
図11Aに示すように、管理装置端末70の画面操作部71は、図示の例では、給油ポイント表示エリア72と、ナビゲーションエリア73とを有する構成になっている。
【0109】
給油ポイント表示エリア72には、給油機10-1~10-4それぞれの各給油作業エリアE11,E12,…,E41,E42の作動状態が、給油作業ポイント「01」の給油機10-1の作動状態,給油作業ポイント「02」の給油機10-1の作動状態,…,給油作業ポイント「07」の給油機10-4の作動状態,給油作業ポイント「08」の給油機10-4の作動状態として、作動状態別の作動状態アイコンを使用して一覧表示される。
【0110】
また、給油ポイント表示エリア72には、これら給油作業ポイント「01」~「08」のうちの選択された給油作業ポイント「m」(この場合、mは1から8のうちの何れか1つの整数)の給油機「10-[(m+1)/2]」(この場合、[(m+1)/2]は、1~4のうちの何れか1つの整数)の作動状態が、さらに詳細に表示されたりできるようになっている。
【0111】
一方、ナビゲーションエリア73には、例えば、全給油作業ポイント「01」~「08」に対応する全給油機10-1~10-1の作動を一斉停止操作するための「一斉停止」操作ボタン、給油作業ポイント「01」~「08」のうちの選択された給油作業ポイント「m」の給油機「10-[(m+1)/2]」の作動を停止操作するための「停止」操作ボタン、給油許可待ち状態の予め選択された給油作業ポイント「m」の給油機「10-[(m+1)/2]」の給油許可操作を行う「許可」操作ボタン、等の各種操作ボタンが、選択された給油作業ポイント「m」の給油機「10-[(m+1)/2]」の作動状態に応じて表示されるようになっている。
【0112】
図11Aは、給油作業ポイント「01」~「08」のうちの給油作業ポイント「08」の給油機10-4に、図5のステップS130の処理に基づき給油許可要求が生じて、給油作業ポイント「08」の給油機10-4の作動状態が給油許可待ち状態になったときの、管理装置端末70の画面操作部71の状態である。
【0113】
この場合、給油ポイント表示エリア72における給油作業ポイント「08」には、給油許可待ち状態を示す「ノズルマーク」作動状態アイコンが点滅され、給油許可待ち状態の給油作業ポイントが発生していることが案内報知される。この給油許可待ち状態の給油作業ポイントの発生は、管理装置端末70からの音声報知、管理装置端末70の振動報知によっても案内報知されるようにしてもよい。
【0114】
図11Aに示した、給油許可待ち状態の給油ポイント発生案内報知画面では、給油所係員は、この点滅している給油許可待ち状態を示す「ノズルマーク」の作動状態アイコンに触れることで、図10のステップS421の処理で説明した、給油機10-4の給油作業ポイント「08」について、許可要求が発生していることの確認操作が行えるようになっている。
【0115】
また、この給油許可待ち状態の給油ポイント発生案内報知画面では、ナビゲーションエリア73には、「一斉停止」操作ボタンが活性化されて操作可能に表示されているのに対し、「停止」操作ボタンならびに「許可」操作ボタンは不活性化されて操作できないように表示されている。
【0116】
そして、この給油許可待ち状態の給油ポイント発生の案内報知画面で、給油機10-4の給油作業ポイント「08」についての許可要求の発生確認操作が行われると、管理装置端末70では、図10に示したステップS435に示した処理が行われるとともに、給油管理装置60では、図9に示したステップS355に示した処理が行われる。その際に、管理装置端末70が給油許可待ち状態の給油作業ポイント「08」の給油機10-4の給油許可可能エリアP4内に所在している場合(S355、YES)には、管理装置端末70の画面操作部71は、図11Bに示すようになる。
【0117】
図11Bは、管理装置端末70が給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業ポイント「08」に対応した給油許可可能エリアP4内に所在している場合の(図9、S355、YES)、給油許可待ち状態の給油ポイントの許可待ち案内報知画面である。この給油許可待ち状態の給油ポイントの許可待ち案内報知画面は、管理装置端末70が給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業ポイント「08」の給油許可可能エリアP4内に所在している場合に(S355、YES)、図11Aに示した給油許可待ち状態の給油ポイント発生案内報知画面で、図10のステップS421で示した、給油作業ポイント「08」の給油機10-4についての許可要求の発生確認操作が給油所係員によって行われた場合に、管理装置端末70の画面操作部71で案内報知される。
【0118】
この給油許可待ち状態の給油ポイントの許可待ち案内報知画面では、給油許可待ち状態の給油作業ポイント「08」について、給油作業情報の設定油種である「レギュラー」、顧客がノズル掛け14から取り出している給油ノズル13の供給油種である「レギュラー」、給油作業情報の設定量である「満タン」が表示され、「停止」操作ボタンならびに「許可」操作ボタンも活性化されて操作可能に表示されている。
【0119】
この給油許可待ち状態の給油ポイントの許可待ち案内報知画面では、給油所係員は、設定油種と供給油種とが一致しているのを確認した上で、「許可」操作ボタンに触れることで、図10のステップS423の処理で説明した、給油作業ポイント「08」の給油機10-4についての給油許可操作が行えるようになっている。
【0120】
これに対し、図11Aで示した給油許可待ち状態の給油ポイント発生の案内報知画面で、給油機10-4の給油作業ポイント「08」についての許可要求の発生確認操作が行われ、給油管理装置60では、図9に示したステップS355に示した処理が行われるときに、管理装置端末70が給油許可待ち状態になっている給油機10-4の給油作業ポイント「08」の給油許可可能エリアP4内に所在していない場合(S355、NO)には、管理装置端末70の画面操作部71は、図11Cに示すようになる。
【0121】
図11Cは、管理装置端末70が、給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業ポイント「08」の給油許可可能エリアP4内に所在していない場合の(図9、S355、NO)、給油許可待ち状態の給油ポイントの許可待ち案内報知画面である。この給油許可待ち状態の給油ポイントの許可待ち案内報知画面は、管理装置端末70が、給油機10-4の給油許可待ち状態の給油作業ポイント「08」の給油許可可能エリアP4内に所在していない場合に(S355、YES)、図11Aに示した給油許可待ち状態の給油ポイント発生案内報知画面で、図10のステップS421で示した、給油機10-4の給油作業ポイント「08」に対しての許可要求の発生確認操作が給油所係員によって行われた場合に、管理装置端末70の画面操作部71で案内報知される。
【0122】
この管理装置端末70が給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業ポイント「08」の給油許可可能エリアP4内に所在していない場合の、給油許可待ち状態の給油ポイントの許可待ち案内報知画面は、図11Bに示した給油許可待ち状態の給油ポイントの許可待ち案内報知画面とは異なり、管理装置端末70が給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業ポイント「08」の給油許可可能エリアP4内に所在していないことを示す、「給油許可可能エリア外です」との表示がさらに加えられ、「許可」操作ボタンも非活性化されて表示されて操作できないようになっている。
【0123】
この管理装置端末70が給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業ポイント「08」の給油許可可能エリアP4内に所在していない場合の、給油許可待ち状態の給油ポイントの許可待ち案内報知画面については、給油所係員は、画面上の「戻り」ボタンに触れることによって、給油機10-4の給油作業ポイント「08」についての許可要求の発生確認操作が再度行える、図11Aに示した、給油許可待ち状態の給油ポイント発生案内報知画面に戻すことができる。これにより、給油所係員は、管理装置端末70が給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業ポイント「08」の給油許可可能エリアP4外に所在することを、図11Cに示した給油許可待ち状態の給油ポイントの許可待ち案内報知画面で理解できる。この場合、給油所係員は、給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業ポイント「08」の給油許可可能エリアP4内に移動して、給油作業ポイント「08」の給油機10-4についての許可要求の発生確認操作をし直すことができる。
【0124】
このように、本実施例では、作業監督者としての給油所係員が給油許可可能エリアP4外で管理装置端末70を操作して給油許可要求の発生確認を給油管理装置60に無線送信した場合や、さらには、給油許可可能エリアP4内で管理装置端末70を操作して給油許可要求の発生確認を給油管理装置60に無線送信した場合であっても、その後、所定時間内に管理装置端末70で給油許可の指示操作が行われなかった場合は、給油所係員が、給油機10-4の給油作業エリアE42での給油作業の様子を確認できる給油許可可能エリアP4に居ない、または顧客による給油開始を不要に遅らせてしまうものとして、給油許可待ち状態の給油機10-4の給油作業エリアE42に対する給油許可を、給油管理装置60は行わないようになっている。これにより、例えば、給油所係員が給油許可要求を発生した給油機10-4から離れた場所にいるままで管理装置端末70で給油許可の指示操作を行ったり、給油所係員が給油許可要求の発生確認を確認しても給油作業エリアE42での給油作業の様子の確認がなかなか行われないのを、防止できるようになっている。
【0125】
また、作業者が、給油機10-4の給油作業エリアE42での給油作業の様子を確認できる給油許可可能エリアP4に居ないで、給油機10-4から離れた場所で管理装置端末70で給油許可を行うことを何回も試みると、当該作業者が携帯する管理装置端末70は給油許可要求に対する給油許可が行えなくなる。
【0126】
したがって、管理装置端末70を携帯する給油所係員が給油許可待ち状態の給油作業ポイント「08」の給油機10-4の給油許可可能エリアP4外で別の業務を行っているような場合は、給油所係員が給油許可待ち状態の給油作業ポイント「08」の給油機10-4の給油許可可能エリアP4外に所在していることを、図11Cに示した給油許可待ち状態の給油ポイントの許可待ち案内報知画面で理解することができる。そして、図11Cに示した給油許可待ち状態の給油ポイントの許可待ち案内報知画面では、「許可」操作ボタンが操作できない不活性状態になっているので、給油許可待ち状態の給油作業ポイント「08」の給油機10-4の給油許可可能エリアP4内に移動することが促され、顧客による給油ノズル13の供給対象の給液口に対する装着状態等の安全作業確認が給油所係員によって十分にかつ確実に行われるようになり、顧客による給油作業の安全性が向上する。また、必然的に燃料供給所係員は、給油許可を行うために給油許可待ち状態の給油作業ポイント「08」の給油機10-4の給油許可可能エリアP4に出向くようになるので、顧客サービスも向上する。
【0127】
次に、図9図10に示した給油管理装置側、管理装置端末側で行われる、給油許可要求を受信した給油機の給油作業エリアに対しての給油許可制御処理の別の実施例について、図12図13に基づいて説明する。なお、説明に当たって、図9図10で示した処理と同じ処理については、同じステップ符号を付し、その処理説明を省略する。
【0128】
図12は、管理装置端末を備えた給油管理装置のうちの給油管理装置側で行われる、給油許可要求を受信した給油機の給油作業エリアに対しての給油許可制御処理の別実施例のフローチャートである。
【0129】
図13は、管理装置端末を備えた給油管理装置のうちの管理装置端末側で行われる、給油許可要求を受信した給油機の給油作業エリアに対しての給油許可制御処理の一実施例のフローチャートである。
【0130】
図12図13に示す給油許可制御処理では、図9図10に示した給油許可制御処理では、給油管理装置60側で行っていた、管理装置端末70が給油許可待ち状態の給油作業ポイント「08」の給油機10-4の給油許可可能エリアP4内に所在しているか否かの確認を管理装置端末70側で行い、管理装置端末70は、給油作業ポイント「08」の給油機10-4の給油許可可能エリアP4内に所在していないと、給油管理装置60に給油許可の指示を送信することができない構成になっている。
【0131】
そのために、図13のステップS421において、その画面操作部で給油所係員により給油許可要求の発生確認操作が行われたことを検出すると、給油許可待ち状態の給油作業ポイント「08」の給油機10-4の給油許可可能エリアP4内に所在しているか否かの確認を管理装置端末70側で行い(S425)、管理装置端末70が給油許可待ち状態の給油作業ポイント「08」の給油機10-4の給油許可可能エリアP4内に所在していることが確認されると(S425、YES)、給油許可操作を活性化し(S425)、管理装置端末70が給油許可待ち状態の給油作業ポイント「08」の給油機10-4の給油許可可能エリアP4外に所在していることが確認されると(S425、NO)、給油許可操作を非活性化し(S427)、エリア外操作無効の案内報知を、例えば5秒間、画面操作部71にポップアップ表示する構成になっている(S429)。そのため、許可可能判定テーブルYは、管理装置端末70に記憶されている。
【0132】
そして、管理装置端末70は、給油許可操作が不活性化の間は(S422、NO)、給油許可操作ボタンが操作されたか否かを確認しないようになっている。これにより、本実施例でも、図9図10に示した給油許可制御処理と同様な作用効果を奏することができる。
【0133】
本開示の給油システムは以上説明したように構成されるが、給油システムであるならば、具体的な構成は説明した実施例に限られるものではない。管理装置端末70を携帯する給油所係員が給油許可待ち状態の給油作業ポイント(給油作業エリア、燃料供給作業ポイント)Eの給油機10の給油許可可能エリアP4外で別の業務を行っているような場合は、給油所係員に管理装置端末70が給油許可待ち状態の給油作業ポイントEの給油機10の給油許可可能エリアP外に所在していることを案内報知できるものであるならば、上述した実施例に限られるものではない。
【0134】
例えば、上述した実施例では、管理装置端末70で給油所係員により給油許可要求の発生確認操作が行われたことを検出すると、給油許可待ち状態の給油作業ポイントEの給油機10の給油許可可能エリアP内に所在しているか否かの確認が行われるように構成したが、この給油許可要求の発生確認操作を給油許可待ち状態の給油機10の給油作業ポイントEに対する給油許可操作で兼ねるようにして、給油許可待ち状態の給油作業ポイントEの給油機10の給油許可可能エリアP外に居ると判定された場合は、給油管理装置60から給油許可待ち状態の給油作業ポイントEの給油機10に給油許可を送信しないようにしたり、管理装置端末70から給油管理装置60に給油許可の指示を無線送信しないように構成してもよい。また、給油所内における給油機の数、一の給油機における給油作業ポイントEの数、一の給油作業ポイントEにおける給油系統(給油ノズル)の数も、上述した実施例に限定されるものではなく、さらには、給油作業ポイントEまたは給油系統(給油ノズル)の数が異なった複数種類の給油機を設けたものであってもよい。
【符号の説明】
【0135】
1 セルフ給油システム、
3 給油所事務所、
6 SS-LAN、
7 画像データ専用信号線、
8 ビーコン、
10 給油機、
11 給油機筐体、
12 ホース、
13 給油ノズル、
14 ノズル掛け、
15 表示器、
16 設定器、
17 給油代金払込装置、
18 伝票発行装置、
20 釣銭機、
30 給油所管理装置、
40 POS端末機、
50 監視装置、
51 監視カメラ、
52 モニタ装置、
53 モニタディスプレイ、
60 給油管理装置、
68 無線通信部、
70 管理装置端末、
71 画面操作部、
72 給油ポイント表示エリア、
73 ナビゲーションエリア、
P 給油許可可能エリア、
E 給油作業エリア(燃料供給作業ポイント、給油作業ポイント)
Y 許可可能判定テーブル。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13