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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029331
(43)【公開日】2022-02-17
(54)【発明の名称】熱交換装置及び熱交換装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/26 20060101AFI20220209BHJP
   F28F 9/22 20060101ALI20220209BHJP
   F28D 7/00 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
F28F9/26
F28F9/22
F28D7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020132623
(22)【出願日】2020-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】519157107
【氏名又は名称】株式会社MiKuTAY
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新田 實
(72)【発明者】
【氏名】高橋 惇
(72)【発明者】
【氏名】田原 幸一
【テーマコード(参考)】
3L065
3L103
【Fターム(参考)】
3L065DA11
3L065FA19
3L103AA37
(57)【要約】
【課題】極めて高い熱効率を実現しつつ、大量発生するドレンを効果的に処理することが可能な熱交換装置の提供。
【解決手段】複数の熱交換器により構成される熱交換装置4において、前記複数の熱交換器には、第1の熱交換媒体Cを内部に流通させ、第2の熱交換媒体Dを外部に流通させるための管状部材10からなる熱交換要素1a,1bが、同じ配列で垂直に立設された一次熱交換器2と二次熱交換器3とが含まれ、一次熱交換器2の上方に二次熱交換器3を設けて構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の熱交換器により構成される熱交換装置において、
前記複数の熱交換器には、第1の熱交換媒体を内部に流通させ、第2の熱交換媒体を外部に流通させるための管状部材からなる熱交換要素が、同じ配列で垂直に立設された第1の熱交換器と第2の熱交換器とが含まれ、
前記第1の熱交換器の上方に前記第2の熱交換器を設けた
ことを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
前記第1の熱交換器における各熱交換要素のそれぞれの上方に、前記第2の熱交換器における各熱交換要素を設けた
ことを特徴とする請求項1記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記第1の熱交換媒体を、前記第1の熱交換器における熱交換要素の内部を流通させた後に前記第2の熱交換器における熱交換要素の内部に流通させることが可能であり、かつ、前記第2の熱交換媒体を、前記第2の熱交換器における熱交換要素の外部を流通させた後に、前記第1の熱交換器における熱交換要素の外部に流通させることが可能な流通機構を備えた
ことを特徴とする請求項1又は2記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記第1の熱交換器の下方には、前記第1の熱交換媒体として燃焼ガスを発生させる燃焼器を設置可能である
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の熱交換装置。
【請求項5】
前記第1の熱交換器と前記第2の熱交換器との間に板状部材を設け、
前記板状部材には、各熱交換要素の設置位置に対応する部分に開口を施すと共に、前記開口を壁状に囲む堰部を設けた
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の熱交換装置。
【請求項6】
各熱交換要素は、前記管状部材における管の一部の幅を他の部分より拡張した拡管部を設けた
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の熱交換装置。
【請求項7】
各熱交換要素は、前記管状部材の内部に、前記管状部材の軸線に対して傾斜して配置された衝突板を設けた
ことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の熱交換装置。
【請求項8】
複数の熱交換器により構成される熱交換装置の製造方法において、
前記複数の熱交換器には、第1の熱交換媒体を内部に流通させ、第2の熱交換媒体を外部に流通させるための管状部材からなる熱交換要素が、同じ配列で垂直に立設された第1の熱交換器と第2の熱交換器とが含まれ、
前記第1の熱交換器の上方に前記第2の熱交換器を設ける工程を有する
ことを特徴とする熱交換装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の熱交換器によって構成される熱交換装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼排ガスに含まれる潜熱をも回収して加熱に利用する潜熱回収型熱交換器が知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
潜熱回収型熱交換器の一例である給湯器について図21を参照して説明する。
図21に示すように、この種の給湯器は、一次熱交換器と二次熱交換器を組み合わせた統合型熱交換装置とも称され、一般には、一次熱交換器の真上に二次熱交換器が設置された構成となっている。
熱交換装置(一次熱交換器)の直下には、高温(約1500℃)の燃焼排ガスを放出可能な燃焼器が設けられ、一次熱交換器は、この燃焼排ガスの排熱(顕熱)を回収することで水を加熱する。この熱回収を経て、約200℃の燃焼排ガスが二次熱交換器に向けて放出される。
二次熱交換器は、一次熱交換器を通過した燃焼排ガスの顕熱と燃焼排ガスに含まれる潜熱(水蒸気が凝縮する際の凝縮熱)の両方を回収することで水を加熱する。
給湯器全体としては、まず、給水された水が二次熱交換器に供給され、ここで燃焼排ガスの潜熱を回収して予熱される工程と、次に、この予熱された水が一次熱交換器に供給され、ここで燃焼排ガスの顕熱を回収して加熱される工程とがあり、この2つの工程を経ることで給水された水が温水として出水される。
このように、統合型熱交換装置は、燃焼排ガスから潜熱をも回収することで、約95%の熱効率を実現している。
このため、約80%の熱効率(熱交換効率ともいう)とされる一次熱交換器のみからなる給湯器に比べても、熱効率に優れ、省エネ効果も高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5656423号公報
【特許文献2】特許第5742074号公報
【特許文献3】特許第5306909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の熱交換器として、石油系燃料を燃焼させた際に生じる燃焼排ガスを用いるものが多く利用されてきた。
石油系燃料には硫黄成分が含有されていることから、燃焼の際、硫黄成分が硫黄酸化物(SOx)に化学変化し、燃焼時に生成される高温の水蒸気に吸収される結果、強酸性の水蒸気を含む燃焼排ガスが生成される。
この強酸性の水蒸気は、結露(凝縮)することにより強酸性酸露水(凝縮水)となるが、この凝縮水は、強酸性であるため、煙突や周辺の金属機器類等の酸腐食原因となる。
このような問題に対し、酸露点(約180℃)以下の温度まで冷却しない(潜熱を回収しない)対策、つまり、凝縮水を極力生成させないための対策が一般的に採られてきた。
一方、近年、環境破壊の問題や国際的な地球環境保全の観点から、石油系燃料に代わる燃料として、LNGやLPGなどの炭化水素系燃料の利用が推奨されている。
LNGやLPGには硫黄成分が含まれないため、強酸性の凝縮水は生成されない。
このため、炭化水素系燃料を用いる場合、上記対策を採る必要はないとも考えられ、そうすることで、可能な限り燃焼排ガスから熱回収でき、熱効率を極限まで高めることができる。
【0005】
しかしながら、炭化水素系燃料の燃焼排ガスから可能な限り熱回収する(冷却する)場合には、別の問題が発生する。
この問題について、図22のグラフを参照しながら説明する。
図22は、排ガス温度に対する燃焼排ガス熱量と酸性結露水量(凝縮水量)の変化を示すグラフである。
このグラフに示すように、燃焼排ガス温度を60℃以下に冷却すると凝縮水の発生が顕著になる。つまり、可能な限り潜熱を回収しようとして燃焼排ガス温度を低温にすればするほど凝縮水が大量に発生する。
このため、燃焼排ガスから可能な限り熱回収するには、二次熱交換器において大量に発生する凝縮水(ドレン)を適切に排出する必要がある。
具体例として、一次熱交換器の上方に、蛇状のSUS管(ステンレス製の配管)からなる二次熱交換器を設けた従来の統合型熱交換装置におけるドレン処理方法について説明する。
例えば、二次熱交換器のSUS管を傾斜させることで、SUS管の表面に結露した凝縮水を端部に伝え集めて排出する方法が知られている。
この方法は、潜熱回収温度が50℃以上であるために凝縮水の発生量がごく少量である従来の統合型熱交換器に対しては有効に機能する。
しかしながら、この方法では、大量に発生した凝縮水をすべて端部に伝えることはできず、その途中で、少なからず凝縮水が下方に落下する問題が生じる。
具体的には、一次熱交換器における熱回収の効率を下げたり、燃焼器において不完全燃焼など燃焼反応に悪影響を及ぼすおそれがある。
また、SUS管の下方に受け皿を設け、この受け皿に溜まった凝縮水をパイプなどで外部に排出する方法が考えられる。
ところが、この方法だと、受け皿がSUS管に対する燃焼排ガスの供給を阻害し、二次熱交換器における熱効率(回収熱量)を低下させ、ひいては、熱交換装置全体の熱効率を低下させるおそれがある。また、回収熱量の増加に伴い、伝熱表面を更に長くする必要から大型化する。
また、燃焼器を上段に配置し、一次熱交換器を中段に配置し、二次熱交換器を下段に配置した装置が知られている。
このような装置によれば、二次熱交換器において発生した凝縮水は重力によりその下方に落下するため、一次熱交換器や燃焼器に悪影響を及ぼすことはない。
ただし、燃焼排ガスは浮力で上昇対流することが自然現象であり、このような自然現象に逆らった機構・構造を採用する場合には、火炎温度と周りの空気との温度差(浮力)に打ち勝つだけの積極的な換気を行う必要があり、自然換気では、例えば、給湯器の燃焼器より高い位置まで煙突高さが必要となるなど、無駄に構造を複雑化してしまう。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、極めて高い熱効率を実現しつつ、その引き換えに大量に発生するドレンを効果的に処理可能な熱交換装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る熱交換装置は、複数の熱交換器により構成される熱交換装置において、前記複数の熱交換器には、第1の熱交換媒体を内部に流通させ、第2の熱交換媒体を外部に流通させるための管状部材からなる熱交換要素が、同じ配列で垂直に立設された第1の熱交換器と第2の熱交換器とが含まれ、前記第1の熱交換器の上方に前記第2の熱交換器を設けたことを特徴としている。
すなわち、本発明の熱交換装置は、第1の熱交換器(一次熱交換器)の上方に第2の熱交換器(二次熱交換器)を結合した統合型熱交換装置であり、それぞれの熱交換器には、管状部材からなる熱交換要素を垂直に立設した態様で同じ配列で設けている。
これにより、本発明の熱交換装置は、第2の熱交換器における各熱交換要素が、第1の熱交換器における各熱交換要素の上方に配置するようにしている。
また、これにより、本発明の熱交換装置は、燃焼器から放出された第1の熱交換媒体(燃焼排ガス)を、第1の熱交換器における各熱交換要素の内部と第2の熱交換器における各熱交換要素の内部とを一連に流通させ、他方、第2の熱交換媒体(水)は、第2の熱交換器における熱交換要素の外部を流通させた後に、第1の熱交換器における熱交換要素の外部に流通させるようにしている。
各熱交換要素の管状部材の内部には、管状部材の軸線に対して傾斜して配置された衝突板を設けている。
これにより、第1の熱交換媒体の衝突板に対する衝突伝熱により高い熱伝達率を実現することができることから、この熱交換要素を多数設けた各熱交換器において、それぞれ高い熱効率を実現することができる。
すなわち、第1の熱交換器では、燃焼器における燃焼(酸化)反応により発生した高温の燃焼排ガスの排熱(顕熱)を効率よく回収しながら、第2の熱交換器では、第1の熱交換器を通過した燃焼排ガスの顕熱と燃焼排ガスに含まれる潜熱(水蒸気が凝縮する際の凝縮熱)の両方を効率よく回収することができる。
したがって、本発明の熱交換装置によれば、燃料が燃焼する際に発生する熱量を、高位発熱量(燃料の燃焼熱+水蒸気の凝縮熱の合計熱量)として可能な限り回収でき、結果として、97%という極めて高い熱効率を実現することができる。
なお、熱効率の算出根拠は後述する。
【0008】
また、本発明の熱交換装置は、前記第1の熱交換器と前記第2の熱交換器との間に板状部材を設け、前記板状部材には、前記熱交換要素の設置位置に対応する部分に開口を施すと共に、前記開口を壁状に囲む堰部を設けたことを特徴としている。
すなわち、第2の熱交換器における各熱交換要素(管状部材)において生成される大量の凝縮水を受け止めるための排水受け板を設け、この排水受け板には、第2の熱交換器における熱交換要素の内部と第1の熱交換器における熱交換要素の内部とを第1の熱交換媒体が一連に流通できるように開口を施した。
また、開口の周りに壁状の堰部を設けることで、第2の熱交換器における各熱交換要素の管状部材の内面に結露した凝縮水を下方に漏らすことなく溜めつつ、対流熱や放射熱による蒸発によって凝縮水量を減らすことができる。
このため、燃焼排ガスから可能な限り熱回収(冷却)することと引き換えに大量に発生するドレンを、熱効率や燃焼反応に影響を及ぼすことなく円滑に処理することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の熱交換装置によれば、極めて高い熱効率を実現しつつ、大量に発生するドレンを効果的に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は、本発明の熱交換装置の前方斜視図を示し、(b)は、本発明の熱交換装置の後方斜視図を示す。
図2】本発明の熱交換装置の分解図を示す。
図3】(a)は、熱交換要素群の斜視図を示し、(b)は、(a)のX1部分の拡大図を示す。
図4】(a)は、熱交換要素群の平面図を示し、(b)は、(a)のX2部分の拡大図を示す。
図5】排水受け板(排水パイプを含む)の外観図であり、(a)は、正面図を示し、(b)は、平面図を示し、(c)は、側面図を示す。
図6】熱交換要素の断面模式図である。
図7】第1の例に係る熱交換要素の透視斜視図を示す。
図8】(a)は、図7に示した熱交換要素の正面図模式図を示し、(b)は、(a)の断面図模式図を示す。
図9】(a)は、第2の例に係る熱交換要素の透視斜視図を示し、(b)は、透視側面図を示し、(c)は、正面図を示す。
図10図9(c)のAC-AC線に沿って切断した熱交換要素の斜視図を示す。
図11】(a)は、第2の例に係る熱交換要素を構成する衝突板及びU字溝部材の側面図を示し、(b)は、上面図を示し、(c)は、正面図を示す。
図12】熱交換装置における第2の熱交換媒体の流れを説明するための図を示す。
図13】熱交換装置における第1の熱交換媒体の流れを説明するための図であり、(a)は、熱交換装置の平面図を示し、(b)は、(a)のAA-AA線に沿って切断した断面図を示し、(c)は、(b)の拡大図模式図である。
図14】本発明の熱交換装置における潜熱回収性能(予熱性能)を示す図表であり、(a)は、二次熱交換器における各種排ガス測定値の市販品との比較を示し、(b)は、二次熱交換器における各種給水測定値の市販品との比較を示す。
図15】(a)は、排水受け板の斜視図を示し、(b)は、(a)のX3部分の拡大図を示し、(c)は、排水受け板の断面図模式図を示す。
図16】(a)は、片端拡管型の熱交換要素の斜視図を示し、(b)は、(a)の熱交換要素を備えた熱交換器の内部平面図を示し、(c)は、(b)の側面図を示す。
図17】拡管部を利用した熱交換要素の配列方法を示す図である。
図18】(a)は、両端拡管型の熱交換要素の斜視図を示し、(b)は、(a)の熱交換要素を備えた熱交換器の内部平面図を示し、(c)は、(b)の側面図を示す。
図19】(a)は、両端及び中央拡管型の熱交換要素の斜視図を示し、(b)は、(a)の熱交換要素を備えた熱交換器の内部平面図を示し、(c)は、(b)の側面図を示す。
図20】(a)は、ストレート型の熱交換要素の斜視図を示し、(b)は、(a)の熱交換要素を備えた熱交換器の内部平面図を示し、(c)は、(b)の側面図を示す。
図21】従来の統合型熱交換装置の概略説明図を示す。
図22】排ガス温度に対する燃焼排ガス温度と酸性結露水量(凝縮水量)との関係を示すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の熱交換装置4の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、(a)は、本発明の熱交換装置4の前方斜視図を示し、(b)は、本発明の熱交換装置4の後方斜視図を示す。図2は、本発明の熱交換装置4の分解図を示す。
これらの図に示すように、本発明の熱交換装置4は、一次熱交換器2の真上(上方)に二次熱交換器3を設けた、複数の熱交換器からなる統合型熱交換装置である。
なお、熱交換装置4を3台以上の熱交換器で構成することもできる。
また、本実施形態において、一次熱交換器2は、本発明の「第1の熱交換器」の一例として説明し、二次交換器3は、本発明の「第2の熱交換器」の一例として説明するが、この限りではない。
例えば、熱交換装置4が3台以上の熱交換器で構成される場合は、相対的な位置が下方の熱交換器が「第1の熱交換器」に相当し、相対的な位置が上方の熱交換器が「第2の熱交換器」に相当する。
また、本実施形態において、熱交換装置4は、主に給湯器に適用することを想定して説明するが、給湯器以外の機器として適用することもできる。
また、本実施形態において、「第1の熱交換媒体C」は、燃焼器から放出される燃焼排ガスを想定しており、「第2の熱交換媒体D」は、給湯器に給水される水を想定しているが、「第1の熱交換媒体C」として燃焼排ガス以外の媒体を用いたり、「第2の熱交換媒体D」として水以外の媒体を用いることもできる。
【0012】
一次熱交換器2は、所定数の熱交換要素1(一次熱交換器2におけるものを特に「熱交換要素1a」という)の集合体である熱交換要素群21と、各熱交換要素1aを所定の配列で固定可能なベースプレート27と、熱交換要素群21の前側及び後側に設けられたサイドプレート25(前側のサイドプレート25a及び後側のサイドプレート25b)と、熱交換要素群21の左側及び右側に設けられたマニホールド26(左側のマニホールド26a及び右側のマニホールド26b)と、により構成される。
二次熱交換器3は、熱交換要素1aと同じ数の熱交換要素1(二次熱交換器3におけるもものを特に「熱交換要素1b」という)の集合体である熱交換要素群31と、各熱交換要素1bを熱交換要素1aと同じ配列で固定可能なベースプレート37と、熱交換要素群31の前側及び後側に設けられたサイドプレート35(前側のサイドプレート35a及び後側のサイドプレート35b)と、熱交換要素群31の左側及び右側に設けられたマニホールド36(左側のマニホールド36a及び右側のマニホールド36b)と、により構成される。
一次熱交換器2における熱交換要素1aと二次熱交換器3における熱交換要素1bは、いずれも同様の管状部材10によって構成され、この管状部材10が、同じ配列で垂直に立設された態様で設けられている(図2参照)。
このように、一次熱交換器2と二次熱交換器3とは、同じ構成要素及び構造からなる同じ熱交換器である。
【0013】
図3及び図4を参照しながら、熱交換要素1a,1bについて説明する。
なお、熱交換要素1aと熱交換要素1bとは、管(長手部分)の長さが異なるだけで、構造や設置態様等は共通する(図2参照)ため、図3及び図4は、熱交換要素1aと熱交換要素1bの共通図面として参照する。
図3及び図4に示すように、熱交換要素1a,1bは、端部の開口や断面の形状が正方形であって、内部が空洞の金属製(SUS等)の管状部材10により構成されており、これらを所定数配列した集合体として熱交換要素群21,31が形成されている。
本実施形態において、熱交換要素1a,1b(管状部材10)は、32個(前後方向)×44個(左右方向)の配列で立設されており、これにより、平面視長方形状の熱交換要素群21,31を形成している。
各熱交換要素1a,1bは、隣り合う管状部材10と管状部材10とは、僅かな間隔を空けて離間するように配置されており、これにより、隣り合う管状部材10と管状部材10との間に形成される隙間空間を第2の熱交換媒体の流路として構成している。
また、各熱交換要素1a,bは、前後方向に沿っては、管状部材10を同じ位置に配置することで並列(一連)に配列されているが、左右方向に沿っては、隣り合う管状部材10の配置位置を異ならせることで互い違い(千鳥状)に配列されている。
このような千鳥状の配列により、左方向から右方向に向かう第2の熱交換媒体の流路を、直線ではなく交互に曲折する態様にして流路長を長くすることができる。
このような流路によれば、第2の熱交換媒体Dを、隣り合う管状部材10と管状部材10との間を、これらの外面を広範囲にかつ長時間接触しながら流通させることができる(図3(b),図4(b)の矢印参照)。
このため、各管状部材10の内部に第1の熱交換媒体C(燃焼排ガス)を流通させながら、この流路(管状部材10の外部)に第2の熱交換媒体D(水)を流通させた場合には、各管状部材10を介して、第1の熱交換媒体C(燃焼排ガス)を可能な限り冷却することができ、その引き換えに、第1の熱交換媒体Cが有する熱(排熱)を第2の熱交換媒体(水)に可能な限り回収(伝達)させることができる。
なお、熱交換要素1a,1bの個数は、所要の交換熱量(回収熱量)等に応じて決定することができ、また、各熱交換要素1a,1bを様々な配列態様で配置することができる。
このため、熱交換要素1a,1bの個数・配列態様に応じた様々な性能・仕様及びデザインの熱交換器2,3や熱交換装置4を容易に設計・製造することができる。
【0014】
また、各熱交換要素1a,1bは、隣り合う管状部材10と管状部材10との離間間隔Wが均一となるように配列している。
このように、隣り合う熱交換要素1の離間間隔Wを均一にしたことにより、間隔のばらつきによる伝熱むらの発生が抑制され、さらに、熱交換要素1の管状部材10の外部を流動する第2の熱交換媒体の均等な流れが形成される。
また、隣り合う熱交換要素1の離間間隔Wを均一にすると、離間間隔Wに応じて提供可能な交換熱量を算出することができることから、所要の交換熱量に応じて、離間間隔Wを決定することができる。
【0015】
図2及び図3に示すように、ベースプレート27,37は、熱交換要素群21,31の上部に敷設される金属製(SUS等)のベース部材であり、具体的には、立設配列された各熱交換要素1a,1bの上部に結合される板状部材である。
ベースプレート27,37には、各熱交換要素1a,1bの設置位置に対応する部分に、各管状部材10の端部(上端)を嵌め込み可能な開口27a,37aが施されている。
このため、ベースプレート27,37は、各熱交換要素1a,1bの管状部材10の上端に各開口27a,37aが嵌め込まれた状態において、ろう付けなどにより密着接合することができる。
このようなベースプレート27,37によれば、各熱交換要素1a,1bを、強靱に固定することができる。
具体的には、熱交換要素1a,1bは、例えば外部から第2の熱交換媒体(水)の流動を受けるところ、この流動に係る耐圧・耐衝撃強度をベースプレート27,37が担うようにしている。
また、予め熱交換要素1a,abの配列に対応した開口27a,37aが施されているので、各開口27a,37aに熱交換要素1a,1bを嵌め込んで接合するだけで均一な離間間隔Wでの配列を正確に実現することができる。
【0016】
このほか、熱交換装置4は、一次熱交換器2と二次熱交換器3の間に排水受け板5を設けている。
図5に示すように、この排水受け板5には、各熱交換要素1a,1bに対応する部分に開口5aが施されている。
また、熱交換装置4は、二次熱交換器3の上部に排気カバー6を設け、マニホールド36aの上部に入口ヘッダ71を設け、マニホールド26aの下部に出口ヘッダ72を設け、マニホールド36bとマニホールド26bとをつなぐU字管73を設けている(図1,2参照)。
【0017】
このように、本発明の熱交換装置4は、複数の熱交換器により構成され、この複数の熱交換器には、第1の熱交換媒体Cを内部に流通させ、第2の熱交換媒体Dを外部に流通させるための管状部材10からなる熱交換要素1が、同じ配列で垂直に立設された一次熱交換器2と二次熱交換器3とが含まれ、一次熱交換器2の上方に二次熱交換器3を設けた構成としている。
すなわち、本発明の熱交換装置4は、同一構成・同一形状の熱交換器を正確に重ね合わせて一体的に連結することで実現することができる。
このため、本発明の熱交換装置4は、熱交換器の上方に、これと同じ構成の熱交換器を設ける工程を経るだけで製造することができる。
【0018】
熱交換装置4(一次熱交換器2)の直下には、LPG、LNGなどの炭化水素系燃料を燃料として使用可能な燃焼器(図示省略)が配置される。
これにより、燃焼器における燃焼反応に伴い発生した高温の燃焼排ガス(第1の熱交換媒体)が、燃焼器の上方、すなわち、一次熱交換器2に向けて放出される。
燃焼排ガスを、一定の風量で均等に送り込むためのファン(図示省略)を設置することもできる。
なお、石油系燃料など、炭化水素系燃料以外の燃料を使用可能な燃焼器を用いることもできる。
【0019】
図6を参照して、熱交換装置4における、熱交換要素1aと熱交換要素1bとの位置関係及び第1の熱交換媒体Cの流路について説明する。
図6は、熱交換要素1aと熱交換要素1bの断面模式図である。
なお、本発明の熱交換装置4における熱交換要素1a,1bは、基本的には、管状部材10の内部に傾斜した衝突板11を設けるものであるが(図4図7~11等参照)、ここでは、説明を簡単にするため、衝突板11に関する図説を省略する。
図6に示すように、各熱交換要素1aと各熱交換要素1bとは、共に垂直に立設されており、各熱交換要素1aの真上にそれぞれ各熱交換要素1bが配置される。
具体的には、熱交換要素1aの上端部の開口(第2開口端)と、熱交換要素1bの下端部の開口(第1開口端)とが、水平方向において一致し、上下方向において対向する位置関係が成立するように各熱交換要素1a,1bが設けられる。
また、各熱交換要素1aの上部には、熱交換要素1a全体を覆うベースプレート27が設けられるところ、このベースプレート27の各熱交換要素1aの設置位置に対応する部分には開口27aが施されている。
また、熱交換要素1aと熱交換要素1bとの間には、熱交換要素1a,1b全体を覆う排水受け板5が設けられるところ、この排水受け板5の各熱交換要素1a,1bの設置位置に対応する部分には開口5aが施されている。
また、熱交換要素1bの上部には、熱交換要素1b全体を覆うベースプレート37が設けられるところ、このベースプレート37の各熱交換要素1bの設置位置に対応する部分には開口37aが施されている。
すなわち、熱交換要素1a,1bの管状部材10の両端部の開口を塞がない構成及び態様でベースプレート27,37及び排水受け板5が設けられている。
このため、図6に示すように、下方から上方に向かう第1の熱交換媒体C(燃焼排ガス)を、一次熱交換器2における各熱交換要素1a(管状部材10)の内部と二次熱交換器3における各熱交換要素1b(管状部材10)の内部とを一連に流通させることができる。
つまり、本発明の熱交換装置4は、同じ構成の一次熱交換器2と二次熱交換器3とが上下に重なって構成されるところ、これにより、一次熱交換器2における熱交換要素1aと二次熱交換器3における熱交換要素1bとは、共に内部が空洞の管状部材10が垂直に立設した態様で上下に重なる位置関係を有しており、この上下に重なる管状部材10による一連の内部空間によって上下方向に貫通した燃焼排ガスの流路を形成している。
【0020】
熱交換要素1の2つの例について、図7図11を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
(熱交換要素の第1の例)
図7図8を参照して、第1の例に係る熱交換要素について説明する。
図7及び図8に示すように、第1の例の熱交換要素1は、第1の熱交換媒体Cを内部に流通させ、第2の熱交換媒体Dを外部に流通させるための管状部材10と、管状部材10の内部に管状部材10の軸線Oに対して傾斜して配置された衝突板11とを備えている。
【0022】
管状部材10は、第1開口端12と第2開口端13とを有し、軸線Oに直交する断面において、正方形の外形を有している。
なお、管状部材10の軸線Oに直交する断面は、正三角形、正六角形をはじめとする正多角形の外形を有してもよい。
また、この断面は、円形でもよく、長方形などでもよい。
管状部材10の材料には、SUSが使用されるが、内部を流動する第1の熱交換媒体の性質に応じて、例えば、アルミニウムや銅を使用することもできる。
【0023】
衝突板11は、軸線Oに対する衝突板11の最大傾斜方向Sの両端縁、即ち、第1開口端12側に傾斜した第1端縁11eと、第2開口端13側に傾斜した第2端縁11fとで、管状部材10の内面10a,10bとそれぞれ接する一方、最大傾斜方向Sと直交する方向の両端縁、即ち、側端縁11c及び11dで、管状部材10の内面10c,10dとそれぞれ離間している。
【0024】
次に、第1開口端12から第2開口端13へ向かって管状部材10の内部を流通する第1の熱交換媒体Cの流れ方を説明する。
図7及び図8に示すように、熱交換要素1の管状部材10の第1開口端12から管状部材10内へ進入した第1の熱交換媒体Cは、傾斜した衝突板11に衝突して、衝突板11の表面11a上に低圧の渦を形成し、衝突板11の表面11aに沿って付着する流れである衝突噴流Aを形成する。この衝突噴流Aにより、衝突板11に極めて接近した速度境界層が形成され、その速度境界層の上側に温度境界層が形成される。これにより、熱交換要素1は、第1の熱交換媒体Cの衝突板11に対する衝突伝熱により、衝突板11に対して高い熱伝達率を示す。
【0025】
続いて、第1の熱交換媒体の衝突噴流Aは、引き続き、衝突板11の両側の隙間gから第2開口端13側へ噴出し、管状部材10の内面に沿って衝突板11の裏面11b側に回り込む旋回流Bとなる。旋回流Bの形成は、熱交換要素の管状部材10の内面である受熱面に張り付いた流れを持続させ、同時に、第1の熱交換媒体を一方向の流れに変換することで、低い圧力損失を示す旋回層流を形成する。これにより、熱交換要素1の管状部材10の内面10a~10dに対して高い熱伝達率を示す。
【0026】
さらに、管状部材10の第2開口端13の近くに絞り部材14を配置したことよって、管状部材10の第2開口端13の断面積が、第1開口端12の断面積よりも小さくなっている。これにより、入口の第1開口端12での断面積を広くすることで、入口圧力損失を低減できること、管状部材10内に配置される衝突板11を固定する効果があり、結果として、伝熱効率を高める作用と圧力損失を低減する作用の相乗効果が得られる。
なお、本例では、絞り部材14を配置して第2開口端13の断面性を小さくした例を説明したが、第1開口端12を先端に向かって広がる形状として、第1開口端12の断面積を大きくしてもよい。その場合、絞り部材14は設けてあってもよいし、設けてなくともよい。また、管状部材10の断面積を、第1開口端12から第2開口端13へ向かって徐々に狭くしてもよい。
【0027】
このように、熱交換要素1は、管状部材10の内部に、傾斜した衝突板11と旋回層流を形成する仕組みを設けているため、衝突噴流Aと旋回層流Bとの相乗効果により、フィンを設けなくても、熱交換要素1の内面の高い表面熱伝達と共に、低圧力損失を実現することができる。
【0028】
(熱交換要素の第2の例)
図9図11を参照して、第2の例に係る熱交換要素について説明する。
図9(a)及び図9(b)に示すように、第2の例の熱交換要素101は、第1の熱交換媒体Cを内部に流通させ、第2の熱交換媒体Dを外部に流通させるための、断面形状がほぼ正方形の管状部材110と、管状部材110の内部に管状部材110の軸線Oに対して傾斜して配置された衝突板111とを備えている。
管状部材110は、先端に向かって広がって開口した第1開口端112と、狭窄部110eを形成した第2開口端113とを有する。
【0029】
図9(c)に示すように、第2の例の熱交換要素101において、衝突板111は、軸線Oに対する衝突板111の最大傾斜方向Sの両端縁111e及び111fのうち、第1開口端112側に傾斜した第1端縁111eで管状部材110の内面110aと接している。
一方、図9(a)に示すように、衝突板111は、第2開口端113側に傾斜した第2端縁111fでは、管状部材110の内面110bから離間し、また、最大傾斜方向Sと直交する方向の両側縁111c及び111dもそれぞれ管状部材110の内面110c及び110dから離間している。
【0030】
図10及び図11(a)~図11(c)に示すように、熱交換要素101は、衝突板111の第2端縁111f及び両側縁111c及び111dから第2開口端113へ向かって、管状部材110の軸線Oに沿って延びるU字溝部材15を更に備えている。U字溝部材15は、底面部15bと、底面部15bから立ち上がった両側面部15c及び15dとから構成されている。底面部15aは、衝突板111の第2端縁111fと連続し、両側面部15c及び15dは、衝突板111の両側縁111c及び111dとそれぞれ連続している。したがって、衝突板111とU字溝部材15とは一体化されている。
また、図11(a)に示すように、U字溝部材15の両側面部15c及び15dの、管状部材110の軸線Oに沿って延びる両側縁15eは、衝突板111の第1端縁111eよりも下がって設けられている。すなわち、衝突板111の第1端縁111eは、両側縁15eから突出している。
【0031】
図11(c)に示すように、U字溝部材15の底面部15b及び両側面部15c及び15dには、それぞれ外側へ突出した爪部tが形成されている。図9(c)に示すように、U字溝部材15及び衝突板111は、これら爪部tがスペーサとなって、管状部材110内で位置決めされる。なお、爪部tは、第1の熱交換媒体Cの流通には実質的に影響しない。
【0032】
位置決めされたU字溝部材15の底面部15b及び両側面部15c及び15dそれぞれの外側面と、管状部材110の内面110b、110c及び110dとの間には、U字隙間Guが確保されている。本例では、U字溝部材15の底面部15b、側面部15c及び側面部15dの外面は、それぞれ管状部材110の内面110b、内面110c及び内面110dと平行になっている。
図9(a)、図9(b)及び図10に示すように、U字隙間Guは、第1開口端112側において、衝突板111の第2端縁111b及び両側縁111c及び111dに沿って、管状部材110内部で開口し、一方、第2開口端113側において、管状部材110の狭窄部110eによって閉塞されている。その結果、管状部材110の第2開口端113の断面積は、第1開口端112の断面積よりも小さくなっている。また、本例では、図9(b)に示すように、U字溝部材15の端部15fが、管状部材110の第2開口端113から外部へ突出している。
【0033】
また、図9(b)に示すように、U字溝部材15の両側面部15c及び15dそれぞれの、管状部材110の軸線Oに沿って延びる側縁15eと、衝突板111の第1端縁111eが接している管状部材110の内面100aとの間に、一定幅で延びる帯状隙間Gsが確保される。この帯状隙間Gsを介して、U字溝部材15の外側のU字隙間Gu内の空間とU字溝部材15の内側の空間とが連通している。
【0034】
次に、第1開口端12から第2開口端13へ向かって管状部材110の内部を流通する第1の熱交換媒体Cの流れ方を説明する。
図9(a)~図9(c)に示すように、まず、熱交換要素101の管状部材110の第1開口端112から管状部材110内へ進入した第1の熱交換媒体Cは、傾斜した衝突板111に衝突して、衝突板111の表面111a上に低圧の渦を形成し、衝突板111の表面111aに沿って付着する流れである衝突噴流Aを形成する。この衝突噴流Aにより、衝突板11に極めて接近した速度境界層が形成され、その速度境界層の上側に温度境界層が形成される。これにより、熱交換要素1は、第1の熱交換媒体Cの衝突板11に対する衝突伝熱により、衝突板11に対して高い熱伝達率を示す。
【0035】
続いて、第1の熱交換媒体Cの衝突噴流Aは、U字隙間Guへ進入して、熱交換要素101の管状部材110の内面である受熱面に張り付いた流れ形成する。さらに、U字隙間Guに進入した第1の熱交換媒体Cは、U字隙間Guの第2開口端113側が閉塞されているため、帯状隙間GsからU字溝部材15の内側へ噴出し、衝突板111の裏面111b側に回り込む旋回流Bとなる。旋回流Bの形成は、第1の熱交換媒体Cを一方向の流れに変換することで、低い圧力損失を示す旋回層流を形成する。これにより、熱交換要素101の管状部材110の内面10a~10dに対して高い熱伝達率を示す。
特に、第2の例に係る熱交換要素101においては、入口側の第1開口端112での断面積を出口側の第2開口端113での断面積よりも大きくすることで、入口圧力損失を低減できること、内部に入る衝突板111を固定する効果があり、結果として、伝熱効率を高める作用と圧力損失を低減する作用の相乗効果が得られる。
【0036】
なお、図9(a)及び図9(b)においては、図面の理解を容易にするため、U字隙間Guのうち、一方の側面部15d側の隙間を通る第1の熱交換媒体Cの流れのみを図示し、他方の側面部15c側の隙間を通る第1の熱交換媒体Cの流れの図示を省略している。実際には、図9(c)に示すように、U字隙間Guに進入した第1の熱交換媒体Cは、大きく二手に分かれて両側面部15c及び15d側の隙間をそれぞれ進み、U字溝部材15の両側縁15eの帯状隙間Gsから、U字溝部材15の内側へそれぞれ流入し、U字溝部材15内で大きく2つの旋回流を形成している。
【0037】
このように、熱交換要素101は、管状部材110の内部に、傾斜した衝突板111と旋回層流を形成する仕組みを設けているため、衝突噴流Aと旋回層流Bとの相乗効果により、フィンを設けなくても、熱交換要素101の管状部材110の内面の高い表面熱伝達と共に、低圧力損失を実現することができる。
【0038】
次に、図12及び図13を参照して、給湯器としての熱交換装置4の機能について説明する。
図12及び図13(b)を参照して、水D(第2の熱交換媒体D)の流れについて説明する。
まず、入口ヘッド71に対し給水が行われると、給水された水Dはマニホールド36aの誘導によって二次熱交換器3の左側から内部に流入し、熱交換要素1bと熱交換要素1bとの間の隙間空間を流動しながら右側に向かって進行する。
二次熱交換器3の内部を通過し、マニホールド36bに到達した水Dは、U字管73及びマニホールド26bを介して一次熱交換器2の内部に誘導される。
一次熱交換器2の右側から流入した水Dは熱交換要素1aと熱交換要素1aとの間の隙間空間を流動しながら左側に向かって進行する。
一次熱交換器2の内部を通過し、マニホールド26aに到達した水は、出口ヘッダ72から出水される。
【0039】
次に、図13(b),(c)を参照して、燃焼排ガスC(第1の熱交換媒体C)の流れ及び各熱交換器2,3における熱回収について説明する。
なお、第1の例に係る熱交換要素1(図7図8参照)が、熱交換要素1a及び熱交換要素1bとして適用されているものとする。
ただし、第2の例に係る熱交換要素101(図9図11参照)を適用したり、第1の例に係る熱交換要素1と第2の例に係る熱交換要素1を組み合わせて適用することもできる。
熱交換装置4の直下には燃焼器やファンが設けられており(図示省略)、燃焼器からの高温(例えば1500℃)の燃焼排ガスCが熱交換装置4に向かって放出されているものとする。
熱交換装置4は、一次熱交換器2における熱交換要素1aと二次熱交換器3における熱交換要素1bとが、共に内部が空洞の管状部材10が垂直に立設した態様で上下に重なる位置関係を有しており、この上下に重なる管状部材10による一連の内部空間によって上下方向に貫通した燃焼排ガスCの流路を形成している。
このため、燃焼排ガスCは、熱交換装置4の下方から内部に進入し、一次熱交換器2の内部及び二次熱交換器の内部の流通を経て通過する。
なお、燃焼排ガスCは、熱交換装置4の内部を通過した後は、排気カバー6の排気口61から排気ガスとして排出される。
【0040】
(一次熱交換器における燃焼排ガスの流れ及び熱伝達)
図13(c)に示すように、一次熱交換器2において、燃焼排ガスCは、各熱交換要素1a(管状部材10)の第1開口端(下端)12から管状部材10の内部へ進入すると傾斜した衝突板11に衝突する。
これにより、燃焼排ガスCは、衝突板11の表面11a上に低圧の渦を形成し、衝突板11の表面11aに沿って付着する流れである衝突噴流Aを形成する(図7,8参照)。
このため、熱交換要素1aでは、燃焼排ガスCの衝突板11に対する衝突伝熱により、衝突板11に対して高い熱伝達率を示す。
【0041】
衝突噴流Aは、衝突板11の両側の隙間gから第2開口端13側へ噴出し、熱交換要素1aの管状部材10の内面に沿って衝突板11の裏面11b側に回り込む旋回流Bとなる。旋回流Bの形成は、熱交換要素1aの管状部材10の内面である受熱面に張り付いた流れを持続させ、同時に、燃焼排ガスCを一方向の流れに変換することで、低い圧力損失を示す旋回層流を形成する。
これにより、熱交換要素1aの管状部材10の内面10a~10dに対して高い熱伝達率を示す(図7,8参照)。
以上のように、各熱交換要素1aは、衝突伝熱や旋回層流の作用が加わることで伝熱能力が促進される。
【0042】
なお、旋回層流Bは、管状部材10の内部を上方に向かう流れとなり、第2開口端(上端)13から上方に向かって放出される。
【0043】
(二次熱交換器における燃焼排ガスの流れ及び熱伝達)
二次熱交換器3において、燃焼排ガスCは、各熱交換要素1b(管状部材10)の第1開口端(下端)12から管状部材10の内部へ進入すると傾斜した衝突板11に衝突して衝突噴流Aを形成し、当該衝突噴流Aに基づいて旋回層流Bを形成する。
このため、熱交換要素1bにおいても、衝突伝熱や旋回層流の作用が加わることで伝熱能力が促進される。
【0044】
なお、旋回層流Bは、管状部材10の内部を上方に向かう流れとなり、第2開口端(上端)13から上方に向かって放出される。
【0045】
(給湯器全体の流れ)
入口ヘッダ71に給水された水Dは、まず、二次熱交換器3に流入され、その内部(熱交換要素1bの外部)を流通する過程において燃焼排ガスCの潜熱及び顕熱を回収することで予熱される。
具体的には、水Dは、熱交換要素1bの管状部材10の外面に接触しながら、管状部材10を介して、一次熱交換器2を通過した燃焼排ガスCの顕熱と燃焼排ガスCに含まれる潜熱を回収する。
水Dの流路は、熱交換要素1b(管状部材10)を縦横に多数立設配列した熱交換要素群31において、隣り合う管状部材10と管状部材10との間の隙間空間により形成されており、かつ、各管状部材10を千鳥状に配列することで水Dが曲折しながら進行するように形成されている。
このような流路を流通する水Dは、その過程で、多数の管状部材10の外面を広範囲にかつ長時間接触しながら流通するため、各管状部材10を介して、燃焼排ガスCを可能な限り(具体的には40℃以下まで)冷却することができ、その引き換えに、燃焼排ガスCの排熱(潜熱及び顕熱)を可能な限り水Dに回収させることができる。
【0046】
二次熱交換器3により予熱された水Dは、次に、一次熱交換器2により加熱される。
具体的には、水Dは、熱交換要素1aの管状部材10の外面に接触しながら、管状部材10を介して燃焼排ガスCの顕熱を回収する。
水Dの流路は、熱交換要素1a(管状部材10)を縦横に多数立設配列した熱交換要素群21において、隣り合う管状部材10と管状部材10との間の隙間空間により形成されており、かつ、各管状部材10を千鳥状に配列することで水Dが曲折しながら進行するように形成されている。
このような流路を流通する水Dは、その過程で、多数の管状部材10の外面を広範囲にかつ長時間接触しながら流通するため、各管状部材10を介して、燃焼排ガスCを可能な限り(具体的には160~200℃まで)冷却することができ、その引き換えに、燃焼排ガスCの排熱(顕熱)を可能な限り水Dに回収させることができる。
このように、熱交換装置4に給水された水Dは、二次熱交換器3における潜熱回収により予熱され、次に、一次熱交換器2における顕熱回収により加熱されることで温水となり、出口ヘッダ72から出水可能となる。
【0047】
図14は、本発明の熱交換装置4における潜熱回収性能(予熱性能)に関する実験結果を示す図表であり、(a)は、二次熱交換器3における各種排ガス測定値の市販品との比較を示し、(b)は、二次熱交換器3における各種給水測定値の市販品との比較を示す。
なお、図14に示す各測定値は、共に50KW級の装置における実測値である。
また、市販品は、本発明の熱交換装置4と同様、潜熱回収型の統合型熱交換装置であり、その熱効率は約95%(メーカ公表値)であることが知られている。
図14(a)に示すように、本発明の熱交換装置4と市販品(従来品)とは、二次熱交換器における燃焼排ガスの風量及び入口温度はほぼ同じであるにも関わらず、本発明の熱交換装置4の燃焼排ガスの出口温度(39.2℃)は市販品の出口温度(91.9℃)よりも大幅に低くすることができ、本発明の熱交換装置4の供給熱量(1.95kW)を市販品の供給熱量(1.14kW)よりも大幅に高くすることができる。
このため、図14(b)に示すように、本発明の熱交換装置4と市販品とは、二次熱交換器3における給水の水量及び入口温度は同じであるにも関わらず、本発明の熱交換装置4の給水の出口温度(30.3℃)を市販品の出口温度(28.8℃)よりも大幅に高くすることができ、本発明の熱交換装置4の潜熱の回収熱量(2.07kW)を市販品の回収熱量(1.04kW)よりも大幅(約2倍)に高くすることができる。
このような実験結果によっても、本発明の熱交換装置4が、極めて高い熱効率を実現しており省エネ性能に優れていることが示されている。
【0048】
以下、本発明の熱交換装置4の熱効率の算出根拠を示す。
・市販品の熱効率:95%(メーカー公表値)
・市販品の損失熱量:(50/0.95-50)KW=2.63KW
・市販品の回収熱量:1.04KW(実測値。図14(b)参照)
・本発明装置の回収熱量:2.07KW(実測値。図14(b)参照)
・本発明装置と市販品の回収熱量差:(2.07-1.04)KW=1.03KW
・本発明装置の熱効率:50KW/(50+2.63-1.03)KW=97%
【0049】
(排水受け板5について)
図15等を参照して、排水受け板5について説明する。
排水受け板5は、二次熱交換器3における潜熱回収の際に、燃焼排ガスに含まれる水蒸気が凝縮して熱交換要素1bの管状部材10の内面に結露する凝縮水を受け取るための部材である。
排水受け板5は、SUS等の金属製の板状部材であり、一次熱交換器2と二次熱交換器3の間に設けられる(図1図2参照)。
排水受け板5は、右側に排水パイプ55が設けられており、右側(排水パイプ側)がやや下方(傾斜角度0.2°以上が好ましい)に傾斜した態様で設けられる。
このような排水受け板5によれば、管状部材10の内面を伝って凝縮水が滴り落ちたとしても、排水受け板5全体で受け止めることができ(図15(c)参照)、相当量の貯水能力を有しながらも、排水パイプ55を通じて外部に速やかに排出することができる。
【0050】
排水受け板5には、熱交換要素1a,1bの設置位置に対応する部分に開口5aを施している(図15(b),(c)、図5(b)参照)。すなわち、熱交換要素1a,1bをなす管状部材10の数・配列・位置と同じ数・配列・位置の開口5aを設けている。
このような開口5aを設けることで、一次熱交換器2における各熱交換要素1aから、二次熱交換器3における各熱交換要素1bに向かう燃焼排ガスCを遮ることなく流通させることができる(図6参照)。
つまり、仮に開口5aを有しない排水受け板5であれば二次熱交換器3に対する燃焼排ガスCの供給が阻害されるところ、開口5aを設けることでそのような問題が生じないようにしている。
開口5aは、熱交換要素1a、1bの端部開口の形状と同じ形状(正方形)であることが好ましいが、端部開口の形状と異なる形状であってもよい。
【0051】
開口5aは、熱交換要素1a,1bをなす管状部材10の端部開口と同じか僅かに狭くしている。
これは、開口5aを熱交換要素1bの端部開口より大きくした場合、熱交換要素1bの管状部材10の内面に結露した凝縮水がその内面を伝って落下した場合、さらに、その開口5aを通過して燃焼器に落下し、その燃焼反応に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。
また、開口5aの大きさを熱交換要素1bの端部開口より大幅に狭くした場合、二次熱交換器3に対する燃焼排ガスCの流路が遮られることによる上記問題が生じるおそれがあるからである。
これに対し、本発明の熱交換装置4における開口5aは、熱交換要素1a,1bの端部開口と同じか僅かに狭くしているため、上記問題の発生を防止しつつ、熱交換要素1bの内面に結露した凝縮水を確実に受け止めることができる(図15(c)参照)。
【0052】
開口5aの周囲には、壁状の堰部5bを設けている(図15(b)参照)。
これにより、排水受け板5に溜めた凝縮水が開口5aから下方に漏れないようにしている。
すなわち、仮に、堰部5bを設けなければ排水受け板5に溜めた凝縮水が少なからず開口5aから下方に落下するおそれがあるところ、堰部5bを設けることで、そのような問題の発生を防止しつつ、凝縮水を確実に排水できるようにしている(図15(b),(c)参照)。
【0053】
このような排水受け板5によれば、装置内の対流熱や放射熱による蒸発によって排水受け板5に溜まった凝縮水を削減しつつ排水することができる。
つまり、凝縮水を排水するだけでなく、その排水量を削減することも同時に行うことができる。
このため、凝縮水が大量に発生した場合でも、合理的な手法により円滑にこれを速やかに処理することができる。
【0054】
(拡管加工について)
図16を参照しながら管状部材10における拡管加工について説明する。
図16は、(a)は、片端拡管型の熱交換要素の斜視図を示し、(b)は、(a)の熱交換要素を備えた熱交換器の内部平面図を示し、(c)は、(b)の側面図を示す。
図16に示すように、熱交換要素1は、管状部材10における管の一部の幅を他の部分より拡張した拡管部1zを設けている。
具体的には、管の下端部に、管状部材10と同一金属(SUS)で生成した角形リングを嵌めてろう付けにより密着接合したり(図16(a))、管状部材10の管そのものの下端部の正方形の幅を一回り大きくするなどして、管の一部の幅を拡張する拡管加工を施している。
このような拡管加工によれば、熱交換要素1を強靱化することができる。
具体的には、熱交換要素1a,1bは、例えば外部から第2の熱交換媒体(水)の流動を受けるところ、この流動に係る耐圧・耐衝撃強度をもたせることがせきる。
これにより、各熱交換要素1に対し、拡管部1z側(下端部側)にベースプレート27,37を設ける必要がなくなり、上端部側だけベースプレート27,37を設ければ足りることになる(図16(b),(c)、図3等参照)。
ベースプレート27,37は、管状部材10を強靱にする部材であるところ、拡管加工によって特に拡管部1z側の強靱化は必要なくなるからである。
このため、部品点数(ベースプレート27,37)の削減、部品点数の削減に伴う組立・製造工数や関連費用の低減、及び、部品点数の削減に伴う軽量化を実現することができる。
【0055】
また、拡管加工を施した熱交換要素1を用いることで、プレス加工や機械加工では実現できない熱交換要素1と熱交換要素1との離間距離Wを実現することができる。
例えば、管状部材10を1列に配列する場合、拡管部1zである下端部どうし(正方形の辺どうし)を突き合わせて並べつつ、突き合わせた部分をろう付け等により密着接合する。
図17に示すように、この場合、隣り合う管状部材10と管状部材10との離間間隔Wは、拡管加工を施した部分における管の幅(拡管部幅d2)から元の管の幅d1を差し引いた値(d2-d1)と等しくなる。
このため、予め離間間隔Wが決定している場合には、拡管部幅d2がW+d1となるように、管状部材10を拡管加工することで、隣り合う熱交換要素1どうしを離間間隔Wで離間させて配列することができる。
例えば、管の幅(断面の正方形の1辺の長さ)が10mmの管状部材10を離間間隔1mmで均一に離間配列したい場合には、下端部の幅(拡管部幅d2)が11mm(=10+1)になるように、外幅11mm(内幅10mm)の角形リングを下端部に密着接合したり、下端部の幅を11mmになるように管状部材10そのものを加工すればよい。
なお、管状部材10の拡管部1zどうしを突き合わせて密着接合することで、第2の熱交換媒体Cである水を漏らすことのない流通空間を形成することもできる。
【0056】
図18は、(a)は、両端拡管型の熱交換要素の斜視図を示し、(b)は、(a)の熱交換要素を備えた熱交換器の内部平面図を示し、(c)は、(b)の側面図を示す。
図18(a)に示すように、熱交換要素1(管状部材10)の両端部に拡管部1zを設けることもできる。
これにより、さらに、熱交換要素1を強靱化することができる。
また、各熱交換要素1の下端部側だけでなく上端部側にもベースプレート27,37を設ける必要がなくなる(図18(b),(c)参照)。
このため、片端拡管型よりも部品点数の削減、部品点数の削減に伴う組立・製造工数や関連費用の低減、及び、部品点数の削減に伴う軽量化等を図ることができる。
【0057】
図19は、(a)は、両端及び中央拡管型の熱交換要素の斜視図を示し、(b)は、(a)の熱交換要素を備えた熱交換器の内部平面図を示し、(c)は、(b)の側面図を示す。
図19(a)に示すように、熱交換要素1(管状部材10)の両端部の拡管部1zに加え、中央部に角形リングをろう付けするなどして拡管部1zを設けることもできる。
これにより、両端拡管型よりも熱交換要素1を強靱化することができる。
なお、中央部に限らず、同一の高さに揃えて施工された状態であれば、両端以外の箇所を拡管加工すればよい。
この場合も、各熱交換要素1の下端部側及び上端部側にベースプレート27,37を設ける必要がなく(図19(b),(c)参照)、両端型と同様、部品点数削減等に関する効果を奏する
特に、両端及び中央拡管型の熱交換要素1によれば、高圧の熱媒体(第2の熱交換媒体)の流動を受けたとしても、たわみを最小限に抑えることができる。
【0058】
図20は、(a)は、ストレート型の熱交換要素の斜視図を示し、(b)は、(a)の熱交換要素を備えた熱交換器の内部平面図を示し、(c)は、(b)の側面図を示す。
図20(a)に示すように、拡管部1zを設けないストレート型の熱交換要素1を採用することもできる。
この場合、図20(b)及び図20(c)に示すように、上部と下部の2枚のベースプレート27,37を接合することで熱交換要素1を強靱に固定することができる。
【0059】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能である。
例えば、前述した実施形態では、熱交換要素1として、管状部材10の内部に衝突板11を設けたものを用いたが、管状部材10の内部に衝突板11を設けない熱交換要素1を用いることもできる。
この場合であっても、管状部材10の内部を流通する燃焼排ガスを、管状部材10を介して、水により冷却することができ、その引き換えに燃焼排ガスの排熱(顕熱及び潜熱)を、水に回収させることができるため、熱交換器及び統合型熱交換装置として機能する。
また、熱交換要素1を千鳥状に配列するのではなく、前後方法及び左右方向のいずれも並列に配列したり、不規則に配列することもできる。
また、前述の実施形態では、排気ガスの排出方向を垂直方向から水平方向に変更するため最上部に排気カバー6(排気口61含む)を取り付けているが(図1,2等参照)、排気カバー6を取り外すことで、排気ガスの排出方向を垂直方向にすることもできる。
また、本発明の熱交換装置4を、給湯器(水の加熱)以外に用いることもできる。
例えば、本発明の熱交換装置4を、吸収冷凍機を循環する吸湿性水溶液を濃縮する再生器として用いることができ、この場合も燃焼排ガスの排熱を熱交換に効果的に利用することができる。
また、燃料電池の燃料である水素を天然ガス等から熱分解で生産するための改質器において、燃焼排ガスと空気や水の熱交換で排熱を回収して、回収した熱を燃料の予備加熱に再利用し、生成した凝縮水を改質器で再利用する熱交換器の例がある。
【符号の説明】
【0060】
1,101 熱交換要素
1a 一次熱交換器における熱交換要素
1b 二次熱交換器における熱交換要素
1z 拡管部
10,110 管状部材
11,111 衝突板
2 一次熱交換器
21 熱交換要素群
25 サイドプレート
26 マニホールド
27 ベースプレート
27a 開口
3 二次熱交換器
31 熱交換要素群
35 サイドプレート
37 ベースプレート
37a 開口
36 マニホールド
4 熱交換装置
5 排水受け板
5a 開口
5b 堰部
55 排水パイプ
6 排気カバー
61 排気口
71 入口ヘッダ
72 出口ヘッダ
73 U字管
A 衝突噴流
B 旋回流
C 第1の熱交換媒体
D 第2の熱交換媒体
O 軸線
W 離間間隔

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
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図13
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図15
図16
図17
図18
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図21
図22