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特開2022-29394極紫外線リソグラフィ用ペリクル及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029394
(43)【公開日】2022-02-17
(54)【発明の名称】極紫外線リソグラフィ用ペリクル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/62 20120101AFI20220209BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20220209BHJP
   C23C 16/56 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
G03F1/62
C23C16/42
C23C16/56
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020188261
(22)【出願日】2020-11-11
(31)【優先権主張番号】10-2020-0097258
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514205126
【氏名又は名称】エスアンドエス テック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シン,チョル
(72)【発明者】
【氏名】イ,チャン-フン
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ジュ-ヒ
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ジョン-ウォン
(72)【発明者】
【氏名】パク,チョル-キュン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ソン-ジョ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジ-ヘ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヘ-ナ
【テーマコード(参考)】
2H195
4K030
【Fターム(参考)】
2H195BA10
2H195BC33
2H195BC34
4K030AA06
4K030AA09
4K030AA14
4K030BA48
4K030BB13
4K030CA04
4K030CA12
4K030DA08
4K030FA10
4K030JA01
(57)【要約】
【課題】 極紫外線リソグラフィ用ペリクル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】極紫外線リソグラフィ用ペリクルは、中心層及び補強層を含むペリクル部を備える。中心層は、シリコン(Si)を必須に含み、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)のうち少なくとも一つの物質をさらに含む。補強層は、シリコン(Si)、ホウ素(B)、ジルコニウム(Zr)、窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)のいずれか一つ以上を含む物質で形成される。ペリクルの厚さが最小化して極紫外線用露光光に対して高い透過率を維持しながら、機械的・熱的・化学的特性に富んでいる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心層及び補強層を含んで構成されるペリクル部を備え、
前記中心層は、シリコン(Si)を必須に含み、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)のうち少なくとも一つの物質をさらに含むか、この物質に窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)のいずれか一つ以上をさらに含む化合物で形成され、
前記補強層は、シリコン(Si)、ホウ素(B)、ジルコニウム(Zr)、窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)のいずれか一つ以上を含む物質で形成されることを特徴とする極紫外線リソグラフィ用ペリクル。
【請求項2】
前記中心層は、100nm以下の厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載の極紫外線リソグラフィ用ペリクル。
【請求項3】
前記中心層は、ホウ素(B)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)、水素(H)のいずれか一つ以上の物質のイオン又はガスを用いたイオン注入又は拡散工程によって表面処理されることを特徴とする、請求項1に記載の極紫外線リソグラフィ用ペリクル。
【請求項4】
前記補強層は、50nm以下の厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載の極紫外線リソグラフィ用ペリクル。
【請求項5】
前記中心層の上部及び下部の少なくとも一方に形成される単層構造又は多層構造のキャッピング層をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の極紫外線リソグラフィ用ペリクル。
【請求項6】
前記キャッピング層は、シリコン(Si)、ホウ素(B)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ニオビウム(Nb)、チタン(Ti)のいずれか一つ以上の物質、又はこの物質に窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)のいずれか一つ以上が含まれた化合物で構成されることを特徴とする、請求項5に記載の極紫外線リソグラフィ用ペリクル。
【請求項7】
前記キャッピング層は、50nm以下の厚さを有することを特徴とする、請求項6に記載の極紫外線リソグラフィ用ペリクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極紫外線リソグラフィ用ペリクル及びその製造方法に関し、特に、極紫外線露光光に対して高い透過率を有し、熱的特性及び機械的特性を改善できるペリクルに関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィ(Photo-lithography)と呼ばれる露光(Exposure)技術の発達は、半導体集積回路の高集積化(High integration)を可能にした。より微細な回路パターンをウエハー上に形成するためには、分解能と呼ばれる露光装備の解像力(resolution)が高くなる必要がある。解像力の限界を超える微細パターンを転写すると、光の回折(diffraction)及び散乱(scattering)による光干渉が発生し、元来のマスクパターンとは異なる歪んだ像が転写される問題につながる。
【0003】
現在、商用化している露光工程は、193nmのArF波長を用いる露光装備で転写工程を行ってウエハー上に微細パターンを形成しているが、50nm以下の微細パターンの形成においては光の回折及び散乱による限界を示しており、空気に比べて屈折率の大きい液状媒体を用いた液浸露光技術(Immersion lithography)、露光工程を2回行う二重露光技術(Double lithography)、光の位相を180゜反転させ、隣接する透過光と弱め合い干渉を起こさせる位相転移技術(Phase shift technology)、光の干渉及び回折効果によって設計パターンサイズよりも小さくなったり端部が丸くなる現象を補正する光学位相補正(Optical phase correction)など、様々な方法が開発されている。
【0004】
しかしながら、前記ArF波長を用いる露光技術では、より微細化した32nm以下の回路線幅が具現し難く、また生産費用及び工程複合性も増加せざるを得ない。このため、193nmの波長に比べて非常に短波長である13.5nm波長を主露光波長とする極紫外線(Extreme Ultra-Violet、以下、‘EUV’という。)光を用いるEUVリソグラフィ技術が、次世代工程として注目されている。
【0005】
一方、リソグラフィ工程は、パターニングのための原版としてフォトマスク(Photomask)が用いられ、フォトマスク上のパターンがウエハー(Wafer)に転写されるが、仮に、フォトマスク上にパーティクル(Particle)や異物などの不純物が付着していれば、この不純物によって露光光が吸収又は反射され、転写されたパターンが損傷することがあり、これは、半導体装置の性能や収率の低下につながる。
【0006】
これによって、フォトマスクの表面に不純物が付着することを防止するために、フォトマスクにペリクル(Pellicle)を付着する方法が用いられている。ペリクルはフォトマスクの表面上に配置され、ペリクル上に不純物が付着しても、フォトリソグラフィ工程時に焦点はフォトマスクのパターン上に一致しているので、ペリクル上の不純物は焦点が合わず、ウエハーの表面に転写されない。最近では、回路線幅の微細化により、パターン損傷に働き得る不純物のサイズも減っているため、フォトマスクを保護するためのペリクルの役目は一層重要になりつつある。ペリクルは、EUV露光光に対する円滑な透過の点で、基本的に100nm以下の厚さの極薄膜(Thin film)の形態で構成される必要があり、また真空環境とステージの移動加速度に対する機械的信頼性、EUV露光光に対する優れた透過率、長期間の露光工程にも耐えられる熱的安定性を満たす必要があり、このような要素を考慮して構成物質及び構造が決定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、露光光に対して高い透過率を有し、熱的特性及び機械的強度に優れた極紫外線リソグラフィ用ペリクル及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る極紫外線リソグラフィ用ペリクルは、中心層及び補強層を含んで構成されるペリクル部を備える。前記中心層は、シリコン(Si)を必須に含み、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)のうち少なくとも一つの物質をさらに含むか、この物質に、窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)のいずれか一つ以上をさらに含む化合物で形成される。前記補強層は、シリコン(Si)、ホウ素(B)、ジルコニウム(Zr)、窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)のいずれか一つ以上を含む物質で形成される。
【0009】
前記中心層は、100nm以下の厚さを有する。
【0010】
前記中心層は、ホウ素(B)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)、水素(H)のいずれか一つ以上の物質のイオン又はガスを用いたイオン注入又は拡散工程によって表面処理され得る。
【0011】
前記補強層は、50nm以下の厚さを有する。
【0012】
前記中心層の上部及び下部の少なくとも一方には単層構造又は多層構造のキャッピング層が形成される。
【0013】
前記キャッピング層は、シリコン(Si)、ホウ素(B)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ニオビウム(Nb)、チタン(Ti)のいずれか一つ以上の物質、又はこの物質に窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)のいずれか一つ以上が含まれた化合物で構成され得る。
【0014】
前記キャッピング層は、50nm以下の厚さを有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、厚さが最小化して極紫外線用露光光に対して高い透過率を維持しながら、機械的・熱的・化学的特性に優れた極紫外線リソグラフィ用ペリクルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施例に係る極紫外線リソグラフィ用ペリクルを示す断面図である。
図2図1の極紫外線リソグラフィ用ペリクルの製作工程を順次に示す図である。
図3図1の極紫外線リソグラフィ用ペリクルの製作工程を順次に示す図である。
図4図1の極紫外線リソグラフィ用ペリクルの製作工程を順次に示す図である。
図5図1の極紫外線リソグラフィ用ペリクルの製作工程を順次に示す図である。
図6図1の極紫外線リソグラフィ用ペリクルの製作工程を順次に示す図である。
図7図1の極紫外線リソグラフィ用ペリクルの製作工程を順次に示す図である。
図8図1の極紫外線リソグラフィ用ペリクルの製作工程を順次に示す図である。
図9】本発明の第2実施例に係る極紫外線リソグラフィ用ペリクルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して本発明を具体的に説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1実施例に係る極紫外線リソグラフィ用ペリクルを示す断面図である。
【0019】
本発明に係る極紫外線リソグラフィ用ペリクルは、支持部100とペリクル部200で構成されている。ペリクル部200は支持部100の上部に置かれ、支持部100はペリクル部200を支持する機能を有する。
【0020】
支持部100は、支持層パターン110aとエッチング阻止層パターン120aを含んで構成される。支持部100は補強層パターン210aをさらに含むことができ、後述するように、補強層パターン210aは必要によって除去されてもよい。
【0021】
後述するように、支持層パターン110aは、支持層110をエッチングして形成し、エッチング阻止層パターン120aは、エッチング阻止層120をエッチングして形成する。湿式エッチングによって支持層パターン110aを形成する時、エッチング領域の縁が中央領域に比べて速くエッチングされることがある。このため、ペリクル部200の縁が先に露出されながら、支持層パターン110aの形成が完了する前にペリクル部200の縁領域が過度にエッチングされて破壊されることがある。このような問題を解決するとともに、薄膜の厚さを正確に制御するために、本発明ではエッチング阻止層120を形成する。
【0022】
支持層パターン110aは、エッチング阻止層120に対してエッチング選択比に優れた物質で構成され、具体的には、単結晶、無結晶及び多結晶のいずれか一つ以上の状態を含むシリコン、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)のいずれか一つ以上、又はこれら物質に酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のいずれか1種以上が含まれた化合物で構成できる。支持層パターン110aは、1um以下、好ましくは50~200nmの厚さを有する。
【0023】
ペリクル部200は、補強層210と中心層220を含んで構成される。
【0024】
中心層220は、極紫外線を透過させる機能を担い、高いエネルギーを持つEUVによってペリクル部200に蓄積された熱エネルギーを外部に放出できるように、熱放射能力に優れた物質で構成される。具体的には、中心層220は、シリコン(Si)を含んで構成され、さらに、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)のうち少なくとも一つの物質を含んで構成される。また、中心層220は、この物質に窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)のいずれか一つ以上が含まれた化合物で形成されてもよい。中心層220に含まれるシリコンは、ペリクルに要求される透過率を確保する機能を有する。中心層220に含まれる前記金属物質は、中心層220の熱特性を改善する機能を有する。
【0025】
中心層220は、100nm以下、好ましくは10~30nmの厚さを有する。ペリクル部200に要求される透過率が90%以上である場合、中心層220は、極力薄い10nmの厚さを有し、要求される透過率が80%以上である場合、中心層220は30nmの厚さを有することができる。中心層220は、単層又は多層で構成できる。
【0026】
中心層220は、熱的、機械的、化学的特性を改善するために、リン(P)、ホウ素(B)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)、水素(H)のいずれか一つ以上の物質のイオン又はガスを用いたイオン注入又は拡散工程によって表面処理することができる。
【0027】
補強層210は、極紫外線用露光光に対して高い透過率を維持しながら、中心層220の機械的強度を向上させ且つ化学的安定性を確保する機能を有する。補強層210はシリコン(Si)、ホウ素(B)、ジルコニウム(Zr)、窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)のいずれか一つ以上を含む物質で構成される。一例として、補強層210は、SiC、SiN、SiO2、B4C、BN、ZrNで構成できる。このような物質は、ペリクルが用いられる環境に存在する水素(H)ラジカルとの反応が少ないため、化学的安定性を確保し、また機械的安定性を確保する機能を有する
補強層210は、50nm以下、好ましくは2~5nmの厚さを有する。2nm以下の厚さでは、補強層210の機能が発現できず、5nm以上の厚さでは、ペリクル部200に要求される最小限の透過率、例えば80%以上の透過率が確保し難い。補強層210は、単層又は多層で構成できる。
【0028】
図2図8は、図1における極紫外線リソグラフィ用ペリクルの製作工程を順次に示す図である。
【0029】
図2を参照すると、本発明に係る極紫外線リソグラフィ用ペリクルの製造のための下地となる支持層110としてシリコン又は石英ウエハー基板を準備する。
【0030】
図3を参照すると、支持層110上にエッチング阻止層120が形成される。エッチング阻止層120は、熱酸化蒸着(Thermal oxidation)、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition:CVD)、プラズマ化学気相蒸着(Plasma enhanced Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング蒸着(Sputtering)、原子層蒸着(Atomic layer deposition)、イオンビーム蒸着(Ion beam deposition)などの方法によって形成される。エッチング阻止層120が蒸着によって形成されることにより、エッチング阻止層120は支持層110の両面、すなわち上面及び下面の両方に形成される。
【0031】
図4を参照すると、エッチング阻止層120上に補強層210及び中心層220が順次に形成される。補強層210は上部及び下部のエッチング阻止層120の外面にそれぞれ形成される。補強層210と中心層220は、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition:CVD)、スパッタリング蒸着(Sputtering)、電子ビーム蒸着(E-beam deposition)、原子層蒸着(Atomic layer deposition)、イオンビーム蒸着(Ion beam deposition)などの方法によって形成される。中心層220の蒸着後、中心層220はリン(P)、ホウ素(B)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)、水素(H)のいずれか一つ以上の物質のイオン又はガスを用いたイオン注入又は拡散工程によって表面処理される。
【0032】
図5を参照すると、中心層220の上部に上部エッチングマスク層240を形成し、支持層110の下部に、上部エッチングマスク層240と同じ物質を蒸着して下部エッチングマスク層130を形成する。上部エッチングマスク層240と下部エッチングマスク層130は一つの工程で同時に形成されてもよい。
【0033】
上部エッチングマスク層240は、支持層110をエッチングして支持層パターン110aを形成する時、エッチング溶液からペリクル部200を保護する機能を有する。そのために、上部エッチングマスク層240は、支持層110のエッチング溶液に対してエッチング選択比に優れた物質で構成される。上部エッチングマスク層240は、単結晶、無結晶、多結晶のいずれか一つ以上の状態を含むシリコン、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)のいずれか一つ以上の物質、又はこの物質に酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のうちの1種以上を含む化合物で構成することができる。上部エッチングマスク層240は、1um以下の厚さを有することが好ましい。下部エッチングマスク層130は、上部エッチングマスク層240と同一又は類似の組成及び厚さを有するように構成できる。
【0034】
図6を参照すると、下部エッチングマスク層130上にフォトレジスト膜を形成した後にパターニングしてレジストパターン140aを形成する。その後、レジストパターン140aをエッチングマスクにして下部エッチングマスク層130を乾式又は湿式エッチングしてパターニングすることによって、下部補強層210の一部を露出させる下部エッチングマスク層パターン130aを形成する。その後、レジストパターン140a及び下部エッチングマスク層パターン130aをエッチングマスクにして下部の補強層210及び下部のエッチング阻止層120をエッチングして補強層パターン210a及び下部エッチング阻止層パターン120aを形成する。
【0035】
図7を参照すると、レジストパターン140aを除去した後、下部エッチングマスク層パターン130a、補強層パターン210a、及び下部エッチング阻止層パターン120aをエッチングマスクにして乾式エッチング、又はKOH、TMAH、EDPなどの溶液を用いた湿式エッチング工程によって支持層110をエッチングする。これによって、支持層110の上部のエッチング阻止層120を露出させる支持層パターン110aが形成される。乾式エッチング時には等方性エッチング又は異方性エッチングを組み合わせることができる。
【0036】
図8を参照すると、上部エッチングマスク層240及び下部エッチングマスク層パターン130aを除去し、エッチング阻止層120をエッチングすることによって、支持層パターン110aの上部にペリクル部200を露出させる上部エッチング阻止層パターン120aを形成する。これでペリクルの製造が完了する。支持層パターン110aの下部における補強層パターン210aとエッチング阻止層パターン120aは必要によって除去されてもよく、除去されない状態で残っていてもよい。
【0037】
図9は、本発明の第2実施例に係る極紫外線リソグラフィ用ペリクルを示す断面図である。
【0038】
本実施例では、第1実施例の構成においてペリクル部200がキャッピング層230をさらに備えている。図1の状態で、ペリクル部200の上部及び下部に、それぞれ、中心層220及び補強層210を覆うキャッピング層230をさらに形成することによって、図9に示すような構造のペリクルを作製することができる。キャッピング層230はペリクル部200の上部及び下部のいずれか一方にのみ形成されてもよく、それぞれのキャッピング層230は単層構造又は2層以上の多層構造を有することができる。ペリクル部200の上部のキャッピング層230は、図4の状態において図5の工程を行う前に、すなわち、上部エッチングマスク層240を形成する前にキャッピング層230を形成することができる。ペリクル部200の下部のキャッピング層230は、図8の状態でキャッピング層230を形成することができる。キャッピング層230は、ペリクル部200の機械的特性を改善し、化学的安定性を向上させる機能を有する。
【0039】
キャッピング層230は、シリコン(Si)、ホウ素(B)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ニオビウム(Nb)、チタン(Ti)のうち少なくとも一つの物質、又はこの物質に窒素(N)、炭素(C)、酸素(O)のうち少なくとも一つが含まれた化合物で構成される。キャッピング層230は50nm以下、好ましくは2~5nm厚を有する。
【0040】
以上、図面を参照し、本発明の構造を用いて本発明を具体的に説明したが、これは、本発明の例示及び説明をするための目的で用いられたもので、意味限定又は特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を制限するために用いられたものではない。したがって、本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、構造から様々な変形及び均等な別の構造が可能である点が理解できよう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的事項によって定められるべきであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9