(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029396
(43)【公開日】2022-02-17
(54)【発明の名称】射出成形装置及び射出成形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20220209BHJP
B29C 45/77 20060101ALI20220209BHJP
B29C 45/78 20060101ALI20220209BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/77
B29C45/78
B29C45/26
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020192180
(22)【出願日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】109126325
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】506255902
【氏名又は名称】中原大學
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】陳 夏宗
(72)【発明者】
【氏名】張 詠翔
(72)【発明者】
【氏名】魏 子翔
(72)【発明者】
【氏名】蔡 碧霖
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AP02
4F202AP05
4F202CA11
4F202CB01
4F206AP02
4F206AP05
4F206JA07
4F206JP11
4F206JQ81
(57)【要約】 (修正有)
【課題】射出成形製品の品質を改善することのできる射出成形装置及び射出成形方法を提供する。
【解決手段】金型110は型穴を含み、射出装置120は、材料を成形品に形成するため、材料を型穴に射出し、少なくとも1つのセンサは金型に設けられ、型穴内の温度と圧力の少なくとも1つを検出し、少なくとも1つのセンサは型穴の内面に位置し、成形品の非外観S1面に対応する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型穴を含む、金型と、
材料が成形品に形成されるよう、前記材料を前記型穴に射出する、射出装置と、
前記型穴に設けられ、前記型穴内の温度と圧力の少なくとも1つを検出する、少なくとも1つのセンサと
を含み、
前記少なくとも1つのセンサが前記型穴の内面に位置し、前記成形品の非外観面に対応する、
射出成形装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのセンサが、温度センサと圧力センサとを含む、
請求項1に記載の射出成形装置。
【請求項3】
前記温度センサと前記圧力センサとが、単一の検出素子に統合された、
請求項2に記載の射出成形装置。
【請求項4】
前記型穴の前記内面が少なくとも1つの凹部を含み、前記少なくとも1つの凹部が前記成形品の被切断部位に対応し、前記少なくとも1つのセンサが前記少なくとも1つの凹部に位置する、
請求項1に記載の射出成形装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの凹部が、前記型穴の材料射出領域、又は、前記型穴の少なくとも1つのオーバーフロー領域である、
請求項4に記載の射出成形装置。
【請求項6】
金型と、少なくとも1つのセンサとを提供することであって、前記金型が型穴を含み、前記少なくとも1つのセンサが前記金型に設けられ、前記型穴の温度と圧力のうちの少なくとも1つを検出するステップと、
射出装置を介し、材料を前記型穴に射出することにより、前記材料を成形品に形成することであって、前記少なくとも1つのセンサが前記型穴の内面に位置し、前記成形品の非外観面に対応するステップと、
を含む射出成形方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサを提供する動作が、温度センサと圧力センサとを提供することを含む、
請求項6に記載の射出成形方法。
【請求項8】
前記温度センサと前記圧力センサを提供する動作が、前記温度センサと前記圧力センサとを単一の検出素子に統合することを含む、
請求項7に記載の射出成形方法。
【請求項9】
前記型穴の前記内面が少なくとも1つの凹部を含み、前記少なくとも1つの凹部が前記成形品の被切断部位に対応し、前記少なくとも1つのセンサを提供する動作が、前記少なくとも1つのセンサを前記少なくとも1つの凹部に設けることを含む、
請求項6に記載の射出成形方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの凹部が、前記型穴の材料射出領域、又は、前記型穴の少なくとも1つのオーバーフロー領域である、
請求項9に記載の射出成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形装置及び成形方法に関するものであり、特に、射出成形装置及び射出成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形は、熱可塑性又は熱硬化性プラスチック製の部品を製造するための製造工程である。プラスチック材料は、射出成形機のバレル内で加熱、溶融され流体状となり、次いで、プラスチック材料は、プランジャー又はスクリューステムの圧力下で、バレルの前方のノズルを介し、より冷たい温度を有する閉じられた金型へ急速に射出されるため、圧縮され前へ押し出される。一定時間冷却及び成形された後、金型が開かれ、射出成形製品が得られる。
【0003】
射出成形工程において、射出圧力、金型温度、保圧時間、雰囲気温度といった要素の全てが、射出成形製品の品質に影響する。従来の射出成形機は、プラスチック材料の圧力と金型温度を検出することにより、射出成形製品の品質を推定することができる。センサは通常、金型内のプラスチック材料の温度と圧力を検出するため、金型の内面に設けられる。しかし、金型の内側に設けられたセンサは、内側に予期せぬ形状又は凹凸をもたらし、射出成形製品の品質に影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、射出成形製品の品質を改善することのできる射出成形装置及び射出成形方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の射出成形装置は、金型と、射出装置と、少なくとも1つのセンサとを含む。金型は型穴を有する。射出装置は型穴内に材料を射出し、材料は成形品に成形される。少なくとも1つのセンサは、金型に設けられ、型穴内の温度と圧力のうちの少なくとも1つを検出する。少なくとも1つのセンサは、型穴の内面に位置し、成形品の非外観面に対応する。
【0006】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのセンサは、温度センサと圧力センサとを含む。
【0007】
本発明の1つの実施形態において、温度センサと圧力センサは、単一の検出素子に統合される。
【0008】
本発明の1つの実施形態において、型穴の内面は少なくとも1つの凹部を含み、少なくとも1つの凹部は、成形品の被切断部位に対応し、少なくとも1つのセンサは少なくとも1つの凹部に位置する。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの凹部は、型穴の材料射出領域、又は型穴の少なくとも1つのオーバーフロー領域である。
【0010】
本発明の射出成形方法は次のステップを含む。金型と少なくとも1つのセンサとを提供することであって、金型は型穴を有し、少なくとも1つのセンサは金型に設けられ、型穴内の温度と圧力のうちの少なくとも1つを検出する。射出装置を介し材料を型穴内に射出することにより、材料が成形品に形成されることであって、少なくとも1つのセンサは型穴の内面に位置し、成形品の非外観面に対応する。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのセンサを提供するステップは、温度センサと圧力センサとを提供することを含む。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、温度センサと圧力センサを提供するステップは、温度センサと圧力センサを単一の検出素子に統合することを含む。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、型穴の内面が少なくとも1つの凹部を含み、少なくとも1つの凹部が成形品の被切断部位に対応し、少なくとも1つのセンサが提供されるステップは、少なくとも1つのセンサを少なくとも1つの凹部に設けるステップを含む。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの凹部は、型穴の材料射出領域、又は型穴の少なくとも1つのオーバーフロー領域である。
【発明の効果】
【0015】
上記に基づき、本発明の射出成形装置において、センサは成形品の非外観面に対応し、成形品の外観面はセンサの配置により凹凸となることがなく、これにより射出成形製品の品質を改善する。
【0016】
本発明の上述した特徴及び利点を理解できるようにするため、図面を伴う実施形態を以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の1つの実施形態による射出成形装置の概略図である。
【0018】
【0019】
【0020】
【
図4】
図4は、本発明のもう1つの実施形態による、射出成形装置の型穴内の材料の成形品への形成を示す。
【0021】
【
図5】
図5は、本発明の1つの実施形態による、射出成形方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の1つの実施形態による射出成形装置の概略図である。
図2は、
図1の材料の成形品への形成を示す。
図1を参照し、本実施形態の射出成形装置100は、金型110と、射出装置120と、少なくとも1つのセンサ130(複数のセンサ130が図示されている)とを含む。金型110は型穴110aを含み、射出装置120は、材料Mを型穴110a内に射出し、材料Mは凝固し成形品Fに形成される。
【0023】
センサ130は、金型110に設けられ、型穴110a内の温度と圧力を検出し、これにより射出成形装置100は型穴110a内の材料の温度と圧力に応じた特定の容量を算出することが可能であり、これに従い射出成形パラメータを調整する。射出成形パラメータは、射出装置120の射出圧力、金型110の温度、射出装置120により実行される保圧時間を含んでよい。保圧は、金型110内の材料が凝固するまで適切な量の材料を金型110内に提供するため、射出装置120が材料を金型110内に射出した後に適切な射出圧力を継続して加えることを意味する。これにより、凝固プロセスの間の金型110内の材料の収縮が防止され、射出成形製品の寸法が期待に沿うものとなる。
【0024】
センサ130は、例えば、コンピュータデバイスに電気接続され、特定の容量を算出し、パラメータを調整するため、コンピュータデバイスに検出信号を送信する。コンピュータデバイスは、例えば、射出成形装置に統合されるか、射出成形装置100に外部接続されるが、本発明はこれに限定されない。
【0025】
図2に示されるように、センサ130は型穴110aの内面110a1に位置し、成形品Fの非外観面S1に対応する。これにより、成形品Fの外観面S2はセンサ130の配置により凹凸となることがなく、射出成形製品の品質が改善される。
【0026】
図3は、
図1のセンサの概略図である。
図3を参照し、本実施形態の各センサ130は、温度センサ132と圧力センサ134とを含み、温度センサ132と圧力センサ134とは単一の検出素子(即ち、センサ130)に統合される。これにより、温度センサと圧力センサを型穴の内面の異なる位置に別々に設ける配置と比較し、温度センサ132と圧力センサ143との単一の検出素子への統合は、型穴110a内の特定の位置の温度と圧力を精確に取得し、それに応じて特定の位置の特定の容量を精確に算出するための、同一位置における温度と圧力の検出を可能とする。
【0027】
図1と
図2の実施形態において、成形品Fの非外観面S1と外観面S2は、それぞれ成形品Fの対向する側に位置する。即ち、非外観面S1は製品の内面である。しかし、本発明はこれに限定されず、例を図面を伴い以下に説明する。
【0028】
図4は、本発明のもう1つの実施形態による、射出成形装置の型穴内の材料の成形品への形成を示す。
図4に示されるように、金型110の型穴110a’の内面110a1’は、少なくとも1つの凹部(凹部N2と複数の凹部N1として表される)を有する。凹部N2は、例えば、材料射出領域であり、射出装置120’は材料射出領域から型穴110a’内に材料を射出する。凹部N1は、例えば、型穴110a’内に射出された材料のオーバーフローのために追加的に設けられた複数のオーバーフロー領域である。凹部N1及びN2に位置する成形品F’の部分は、複数の被切断部位Cであり、複数のセンサ130’が凹部N1及びN2内にそれぞれ位置する。
【0029】
被切断部位Cは射出成形製品の一部ではなく、後続の処理で切断されることから、被切断部位Cは成形品Fの非外観面として見なされてよい。被切断部位Cがセンサ130’の配置により凹凸な面を有したとしても、被切断部位Cが切断された後、凹凸な面は射出成形製品に存在しない。他の実施形態において、センサ130’は凹部N2のみに設けられ、凹部N1には設けらなくてもよい、又は、センサ130’は凹部N1のみに設けられ、凹部N2には設けられない。本発明はこれに限定されない。加えて、温度センサ132と圧力センサ134とは、
図3に示されたセンサ130と同じく、単一の検出素子としてセンサ130’に統合されてよい。
【0030】
本発明の1つの実施形態による射出成形方法が以下に説明される。
図5は、本発明の1つの実施形態による射出成形方法のフロー図であり、上記の実施形態の射出成形装置に対応する。
図5を参照し、先ず、金型と、少なくとも1つのセンサとが提供される。金型は型穴を有し、少なくとも1つのセンサは金型に設けられ、型穴内の温度と圧力の少なくとも1つを検出する(ステップS101)。次いで、材料を成形品に形成するため、射出装置を介し、材料が型穴に射出される。少なくとも1つのセンサは型穴の内面に位置し、成形品の非外観面に対応する(ステップS102)。ステップS101において、
図3に示される温度センサ132と圧力センサ134とが提供されてよく、温度センサ132と圧力センサ134とは単一の検出素子130aに統合されてよい。ステップS102において、複数のセンサ130’は、
図4に示されるように、型穴110a’の凹部N1とN2にそれぞれ位置してよい。
【0031】
上記に基づき、本発明の射出成形装置において、センサは成形品の非外観面に対応し、成形品の外観面はセンサの配置により凹凸となることがなく、これにより射出成形製品の品質が改善される。加えて、温度センサと圧力センサとの単一の検出素子への統合は、型穴の特定の位置の温度と圧力を精確に得るため、そして特定位置での特定の容量を精確に算出するための、同一位置における温度と圧力の検出を可能とする。従って、射出成形パラメータが効果的な方法で調整され、これにより射出成形製品の品質を更に改善する。
【0032】
本発明が上記の実施形態を参照し説明されているとはいえ、当業者にとって、説明された実施形態に対する改変が本発明の精神および範囲から逸脱することなく行われ得ることは明らかであろう。従って、本発明の範囲は、上記の詳細な説明ではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物により定義される。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の射出成形装置及び射出成形方法は、成形装置及び成形方法に応用することができる。
【符号の説明】
【0034】
100:射出成形装置
110、110’:金型
110a1、110a1’:型穴
120、120’:射出装置
130、130’:メモリ
130a:検出素子
132:温度センサ
134:圧力センサ
C:被切断部位
F、F’:成形品
M:材料
N1、N2:凹部
S1:非外観面
S2:外観面
S101、S102:ステップ
【手続補正書】
【提出日】2021-12-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型穴を含む、金型と、
材料が成形品に形成されるよう、前記材料を前記型穴に射出する、射出装置と、
前記型穴に設けられ、前記型穴内の温度と圧力の少なくとも1つを検出する、少なくとも1つのセンサと
を含み、
前記少なくとも1つのセンサが前記型穴の内面に位置し、前記成形品の非外観面に対応し、
前記型穴の前記内面が少なくとも1つの凹部を含み、前記少なくとも1つの凹部が前記成形品の被切断部位に対応し、前記少なくとも1つのセンサが前記少なくとも1つの凹部に位置する、
射出成形装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのセンサが、温度センサと圧力センサとを含む、
請求項1に記載の射出成形装置。
【請求項3】
前記温度センサと前記圧力センサとが、単一の検出素子に統合された、
請求項2に記載の射出成形装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの凹部が、前記型穴の材料射出領域、又は、前記型穴の少なくとも1つのオーバーフロー領域である、
請求項1に記載の射出成形装置。
【請求項5】
金型と、少なくとも1つのセンサとを提供することであって、前記金型が型穴を含み、
前記少なくとも1つのセンサが前記金型に設けられ、前記型穴の温度と圧力のうちの少なくとも1つを検出するステップと、
射出装置を介し、材料を前記型穴に射出することにより、前記材料を成形品に形成することであって、前記少なくとも1つのセンサが前記型穴の内面に位置し、前記成形品の非外観面に対応するステップと、
を含み、
前記型穴の前記内面が少なくとも1つの凹部を含み、前記少なくとも1つの凹部が前記成形品の被切断部位に対応し、前記少なくとも1つのセンサを提供する動作が、前記少なくとも1つのセンサを前記少なくとも1つの凹部に設けることを含む、
射出成形方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサを提供する動作が、温度センサと圧力センサとを提供することを含む、
請求項5に記載の射出成形方法。
【請求項7】
前記温度センサと前記圧力センサを提供する動作が、前記温度センサと前記圧力センサとを単一の検出素子に統合することを含む、
請求項6に記載の射出成形方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの凹部が、前記型穴の材料射出領域、又は、前記型穴の少なくとも1つのオーバーフロー領域である、
請求項5に記載の射出成形方法。
【外国語明細書】