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2022-29433構造物資産の損傷評価のための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029433
(43)【公開日】2022-02-17
(54)【発明の名称】構造物資産の損傷評価のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20220209BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120104
(22)【出願日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】16/984,767
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ホン・ユウ
(72)【発明者】
【氏名】アジェイ・ラガヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・キーゼル
(72)【発明者】
【氏名】カイル・アラカキ
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー・アンダーソン
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AD34
2G024BA12
2G024CA04
2G024DA12
2G024FA04
2G024FA06
2G024FA14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】構造物の損傷評価のための方法及びシステムを提供する。
【解決手段】負荷を支えるように構成されている資産105に恒久的に取り付けられた複数のセンサ110から、複数のひずみ値が受信される。複数のひずみ値に基づいて、資産105のひずみプロファイルを監視する。資産105に関する追加情報が受信される。追加情報及びひずみプロファイルに基づいて、負荷評定因子を監視する。負荷評定因子に基づいて、等価累積損傷係数を監視する。ひずみプロファイル及び等価累積損傷係数に基づいて、資産105の残余寿命予測を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
負荷を支えるように構成されている資産に恒久的に取り付けられた複数のセンサから、複数のひずみ値を受信することと、
前記複数のひずみ値に基づいて、前記資産のひずみプロファイルを監視することと、
前記資産に関する追加情報を受信することと、
前記追加情報及び前記ひずみプロファイルに基づいて、負荷評定因子を監視することと、
前記負荷評定因子に基づいて、等価累積損傷係数を監視することと、
前記ひずみプロファイル及び前記等価累積損傷係数に基づいて、前記資産の残余寿命予測を計算することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記ひずみプロファイルに基づいて、潜在的損傷累積を決定することを更に含み、前記資産の前記残余寿命予測を計算することが、前記潜在的損傷累積及び前記等価累積損傷係数に基づいて、前記資産の残余寿命予測を計算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
通常の負荷下での応力の推定、1日の平均損傷、及び予測されるトラフィック負荷を含む1つ以上のメトリックを監視することを更に含み、前記潜在的損傷累積が、前記1つ以上のメトリックに基づく、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記資産の応力-寿命曲線を受信することを更に含み、前記潜在的損傷累積を監視することが、前記応力-寿命曲線に基づいて前記潜在的損傷累積を監視することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記追加情報が、資産設計基準、資産仕様、及び前記複数のセンサの場所のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のひずみ値を受信することが、前記複数のひずみ値を連続的に受信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記負荷評定因子が所定の閾値未満であるかどうかを決定することと、
負荷評定値が前記所定の閾値未満であると決定された場合、前記資産の検査及び復旧のうちの1つ以上を提案することと、
前記負荷評定値が前記閾値以上であると決定された場合、前記資産の前記残余寿命予測を計算することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記資産が、道路、橋梁、滑走路、港湾埠頭、ケーブル構造物、及びレール構造物のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
システムであって、
負荷を支えるように構成されている資産上に配置されたセンサであって、前記センサが、不明な重量の物体によって引き起こされるトラフィック負荷事象のサンプルに関する、資産のひずみ値を測定するように構成されている、センサと、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサが、
負荷を支えるように構成されている資産に恒久的に取り付けられた複数のセンサから、複数のひずみ値を受信することと、
前記複数のひずみ値に基づいて前記資産のひずみプロファイルを監視することと、
前記資産に関する追加情報を受信することと、
前記追加情報及び前記ひずみプロファイルに基づいて、負荷評定因子を監視することと、
負荷評定に基づいて、等価累積損傷係数を監視することと、
前記ひずみプロファイル及び前記等価累積損傷係数に基づいて、前記資産の残余寿命予測を計算することと、を行うように構成されている、システム。
【請求項10】
前記センサが、光学センサである、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記センサが、ファイバブラッグ格子(fiber Bragg grating、FBG)センサである、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記ひずみプロファイルに基づいて、潜在的損傷累積を監視することを更に含み、前記資産の前記残余寿命予測を計算することが、前記潜在的損傷累積及び前記等価累積損傷係数に基づいて、前記資産の残余寿命予測を計算することを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
通常の負荷下での応力の推定、1日の平均損傷、及び予測されるトラフィック負荷を含む1つ以上のメトリックを監視することを更に含み、前記潜在的損傷累積が、前記1つ以上のメトリックに基づく、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記資産の応力-寿命曲線を受信することを更に含み、前記潜在的損傷累積を監視することが、前記応力-寿命曲線に基づいて前記潜在的損傷累積を監視することを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記追加情報が、資産設計基準、資産仕様、及び前記複数のセンサの場所のうちの1つ以上を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数のひずみ値を受信することが、前記複数のひずみ値を連続的に受信することを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
前記負荷評定因子が所定の閾値未満であるかどうかを決定することと、
負荷評定値が前記所定の閾値未満であると決定された場合、前記資産の検査及び復旧のうちの1つ以上を提案することと、
前記負荷評定値が前記閾値以上であると決定された場合、前記資産の前記残余寿命予測を計算することと、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記資産が、道路、橋梁、滑走路、港湾埠頭、ケーブル構造物、及びレール構造物のうちの1つ以上を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項19】
前記物体が、車両、歩行者、飛行機、ボート、ケーブルカー、スキーリフト、及び列車車両のうちの1つ以上を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項20】
コンピュータプログラム命令を記憶している非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータプログラム命令は、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
負荷を支えるように構成されている資産に恒久的に取り付けられた複数のセンサから、複数のひずみ値を受信することと、
前記複数のひずみ値に基づいて、前記資産のひずみプロファイルを監視することと、
前記資産に関する追加情報を受信することと、
前記追加情報及び前記ひずみプロファイルに基づいて、負荷評定因子を監視することと、
前記負荷評定因子に基づいて、等価累積損傷係数を監視することと、
前記ひずみプロファイル及び前記等価累積損傷係数に基づいて、前記資産の残余寿命予測を計算することと、を含む動作を実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、構造物の健全性監視のための技術に関する。本出願はまた、このような技術に関する構成要素、デバイス、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の健全性監視は、資産上に設置されたセンサを使用して、構造物の健全性又は状態に関する有用な情報を抽出することを目的とする、大規模かつ発展中の研究分野である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
方法は、負荷を支えるように構成されている資産に恒久的に取り付けられた複数のセンサから、複数のひずみ値を受信することを伴う。複数のひずみ値に基づいて、資産のひずみプロファイルを監視する。資産に関する追加情報が受信される。追加情報及びひずみプロファイルに基づいて、負荷評定因子を監視する。負荷評定因子に基づいて、等価累積損傷係数を監視する。ひずみプロファイル及び等価累積損傷係数に基づいて、資産の残余寿命予測を算出する。
【0004】
システムは、負荷を支えるように構成されている資産上に配置されたセンサを含み、センサは、不明な重量の物体によって引き起こされるトラフィック負荷事象のサンプルに関する、資産のひずみ値を測定するように構成されている。プロセッサは、負荷を支えるように構成されている資産に恒久的に取り付けられた複数のセンサから、複数のひずみ値を受信するように構成されている。複数のひずみ値に基づいて、資産のひずみプロファイルを監視する。資産に関する追加情報が受信される。追加情報及びひずみプロファイルに基づいて、負荷評定因子を監視する。負荷評定因子に基づいて、等価累積損傷係数を監視する。ひずみプロファイル及び等価累積損傷係数に基づいて、資産の残余寿命予測を算出する。
【0005】
非一時的コンピュータ可読媒体がコンピュータプログラム命令を記憶することを伴い、コンピュータプログラム命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに動作を実施させる。動作は、負荷を支えるように構成されている資産に恒久的に取り付けられた複数のセンサから、複数のひずみ値を受信することを含む。複数のひずみ値に基づいて、資産のひずみプロファイルを監視する。資産に関する追加情報が受信される。追加情報及びひずみプロファイルに基づいて、負荷評定因子を監視する。負荷評定因子に基づいて、等価累積損傷係数を監視する。ひずみプロファイル及び等価累積損傷係数に基づいて、資産の残余寿命予測を算出する。
【0006】
上記の概要は、各実施形態又は全ての実装態様を説明することを意図したものではない。添付図面と併せて、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することによって、より完全な理解が明らかとなり、理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本明細書に記載される実施形態による、複数のセンサを用いて連続的な資産監視が可能なシステムを示す。
図2A図2Aは、本明細書に記載される実施形態による、資産上の2つの異なるセンサ構成を示す。
図2B図2Bは、本明細書に記載される実施形態による、資産上の2つの異なるセンサ構成を示す。
図3図3は、本明細書に記載される実施形態による、光ファイバ感知システム及び現地検査からの複数の測定基準の融合プロセスを示す。
図4図4は、本明細書に記載される実施形態による、ひずみ測定値からのひずみ曲線の判定及びたわみ曲線の抽出を示す。
図5図5は、本明細書に記載される実施形態による、資産の残余寿命を判定するためのプロセスを示す。
図6図6は、本明細書に記載される実施形態による、統合資産状態アセスメント及び疲労寿命予測のためのフレームワークを示す。
図7図7は、本明細書に記載される実施形態による、曲線状の傾斜を有するトラム橋梁の有限要素モデルを示す。
図8A図8Aは、本明細書に記載される実施形態による、より複雑な応力-寿命挙動を説明するのに使用され得る、異なる傾きを有する2つ以上の線区分を示す。
図8B図8Bは、本明細書に記載される実施形態による、標準負荷の例を示す。
図9図9は、本明細書に記載される実施形態による、標準負荷への既知の車両負荷の伝達を示す。
図10図10は、本明細書に記載される実施形態による、例示的な検証試験を示す。
図11図11は、本明細書に記載される実施形態を実装することができるシステムのブロック図を示す。
【0008】
図面は、必ずしも縮尺どおりではない。図面に使用される同様の数字は、同様の構成要素を指す。しかしながら、所与の図の構成要素を指す数字の使用は、同じ数字でラベル付けされた別の図における構成要素を制限することを意図していないことが理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0009】
構造物の健全性監視は、資産、すなわち、構造物上に設置されたセンサを使用して、構造物の健全性又は状態に関する有用な情報を抽出することを目的とする、大規模かつ発展中の研究分野である。本明細書に記載される様々な実施形態によれば、これらの資産は、負荷を支持する目的で構築される。資産は、物体を用いて負荷がかけられ得る任意の構造物を含むことができる。例えば、資産としては、道路、橋梁、滑走路、港湾埠頭、ケーブル構造物、及びレール構造物のうちの1つ以上を含んでもよい。本明細書に記載される多くの実施形態は、橋構造物の上を走行する車両の例を使用するが、本明細書に記載される方法及びシステムのいずれも、物体を用いて任意の負荷がかけられ得る種類の構造物に適用することができることを理解されたい。物体は、資産に負荷を適用することができる任意の物体であってもよい。例えば、物体としては、自動車、列車、歩行者、航空機、ボート、ケーブルカー、スキーリフト、及び列車車両のうちの1つ以上を含むことができる。
【0010】
これらの資産は、死負荷、移動トラフィック負荷、衝撃負荷、及び/又は他の環境負荷(風、河川電流など)を含み得る複雑な負荷条件にさらされ得る。トラフィック負荷からの様々な大きさを有する繰り返し応力は、資産構造物への疲労損傷をもたらす。これらの橋梁資産の破損の損傷は、例えば、人命や財産の重大な損失をもたらす可能性がある。したがって、資産の状態を一貫して確認し、かつ/又は動負荷条件下で資産の残余疲労を予測する監視システムを有することが有用である。
【0011】
現在の構造物監視システムの多くは、十分に制御された衝撃試験を必要とする従来の加速又は変位応答に基づいている。例えば、いくつかのシステムは、トラフィック負荷推定のための無停止検量(WIM)データに依存する。そのようなWIMシステムは、トラフィック負荷の全体的な説明を提供するが、それらは車線ごとのトラフィック負荷を特定しない場合がある。また、このようなシステムは、初期損傷状態が不明である古い橋梁を考慮しない場合がある。全体的な構造物応答(例えば、橋梁の振動モード)は、従来の加速度計、変位及びひずみゲージから取得することができる。全体的な構造物応答は、資産の全体的な状態を示すことができるが、初期段階における局所的な損傷を反映することはできない。ひずみ測定は、構造物の局所的な損傷に直接関連する。様々なひずみに基づく方法が、橋梁構造物上でテストされている。しかしながら、従来の点ひずみセンサは、損傷がセンサの対象である場合のみ、損傷を反映することができる。現在の解決策には、実際のトラフィック負荷を反映した疲労寿命を正確に予測することを妨げてしまういくつかの欠点がある。例えば、それらは、WIMデータに依存し得るが、その場合は追加の機器やシステムが必要になる。これらは、単純化した負荷分布及び負荷増大パターンを想定することができる。これらは局所的損傷に対して感知できない場合がある。構造物の前提条件及び/又は復旧など、構造の変更を考慮することができない場合もある。設計疲労負荷は、実際のトラフィック負荷とは大きく異なる場合がある。
【0012】
本明細書に記載される実施形態は、分散型光感知システムを使用して、資産の健全性状態を評価するためのシステム及び方法を伴う。統計モデル及びビーム解析モデルと共に綿密に設計されたセンサネットワークを用いることで、資産の状態を連続的に監視して、評価することができる。実施形態は、トラフィック負荷下での構造応答をリアルタイムで監視し、連続的に評価することを許容する。
【0013】
本明細書に記載される実施形態は、条件評価と疲労寿命予測を組み合わせたため、別個のWIMデータ収集システムを必要としない。このシステムでは、トラフィック負荷の監視と構造物の健全性の監視の両方(たわみなどの全体的応答と、応力集中などの局所的応答の両方)を行うために、分散型センサ(光学センサなど)を使用している。これは、車道及び鉄道橋の両方だけでなく、負荷を支えるように構成されている他の構造物に適用することができる。疲労寿命予測方法は、負荷評定因子から損傷等価係数を推定することにより、橋梁構造物の前提条件又は復旧を考慮するので、新たな構造物及び既存の構造物の両方に機能する。
【0014】
図1は、本明細書に記載される実施形態による、複数のセンサを用いて連続的な資産監視が可能なシステムを示す。複数のセンサ110が、資産105上に配置されている。センサは、負荷応答を測定することができる任意の種類のセンサであってもよい。様々な実施形態によれば、複数のセンサは、光学センサである。例えば、センサは、ファイバブラッググレーティング(FBG)歪みセンサ、ファブリペローセンサ、及び/又は他の干渉光学センサであってもよい。場合によっては、センサは、電気及び/又は抵抗センサ、機械センサ、及び/又は他の種類のひずみゲージのうちの1つ以上を含んでもよい。場合によっては、異なる種類のセンサの組み合わせが使用されてもよい。図1に示す実施形態は、7つのセンサを描写しているが、いずれかの数のセンサが使用されてもよいことを理解されたい。例えば、100個超のセンサを資産に沿って配置してもよい。
【0015】
複数のセンサ110は、資産105のひずみ値のセットを監視するように構成されている。センサ110に結合されたプロセッサ130は、負荷応答のセットから少なくとも1つの統計パラメータを監視するように構成されている。プロセッサ130は、データベース120から様々な情報を受信して、資産状態を評価し、かつ/又は動的負荷条件下で橋梁の残余疲労寿命を監視することができる。
【0016】
FBGセンサは、ブラッグ反射の原理を利用するスペクトルフィルタである。格子は、屈折率の周期的な変調であり、光ファイバのコアに刻まれている。光ファイバは、紫外線の周期的パターンにさらされており、その結果、格子は、高及び低屈折率の交互領域からなる。周期的な格子要素はフィルタとして作用し、ピーク波長を中心とした狭い波長範囲を反射する。外部刺激(例えば、温度及び/又はひずみ)は、格子の周期性及び繊維の屈折率を変化させることができ、それによって反射波長を変化させることができる。得られた波長シフトは、刺激の尺度であり得る。波長シフトΔλ/λとひずみとの間の関係は、(1)に示される。
Δλ/λ={1-n/2[p12-n(p11+p12)]}ε+[α+1/n(dn/dT)ΔT (1)
ここで、nは屈折率であり、p11及びp12はひずみ-光学定数であり、εは、長手方向のひずみであり、αは熱膨張係数であり、Tは温度である。波長シフトに対するひずみ及び温度からの影響は、(a)ひずみ及び温度によって異なる影響を受ける複数のFBGセンサ、(b)二重ファイバ、及び/又は(c)特別なFBGセンサと組み合わせて、高度データ評価アルゴリズムを用いて分離することができる。
【0017】
(2)において、Kε及びKが実質的に線形であると仮定して、ひずみ及び温度感度がそれぞれKε及びKと略される。ひずみ及び温度誘発波長シフトは、(2)に示すように表すことができる。
Δλ=Kεε+KΔT (2)
ここで、Kε及びKは、Kε及びKが実質的に線形であると仮定して、それぞれ光ファイバのひずみ感度及び温度感度である。これらは、特定の波長シフトの範囲で一定であると見なすことができる。測定期間中の波長シフトが線形範囲に確実に収まるように、特別な注意が払われてもよい。
【0018】
特に、FBGセンサは、歪み、応力、流体圧力、振動、加速、及び温度に本質的に敏感である。適切なコーティングと特殊な構成により、FBG及び他のFOセンサは、電流、電圧、化学環境、腐食を監視するのにも有用であり得る。本明細書に記載される実施形態によれば、測定された波長シフトは、温度補償、トレンド除去、及びノイズ除去含む一連の信号処理工程後にひずみに変換することができる。FO感知システムの利点の1つは、離散的な場所においてデータを収集し、橋梁の全体的な応答を反映するようにデータをまとめることができる点である。この特徴は、等価損傷係数の推定に使用することができる負荷評定因子を計算するのに利用される。
【0019】
特性設定では、センサ配列上の1つのセンサを構造物に結合されないままにし、他のセンサを堅固に結合することができる。結合ファイバセグメントと非結合ファイバセグメントとの間の距離は、それらが同一又は同様の環境温度変化にさらされている仮定するのに十分なほど小さくてもよい。この条件下では、結合ファイバセグメント及び非結合ファイバセグメントの両方の熱出力は、実質的に同一でなければならない。したがって、応力誘発ひずみは、これらの測定値の差を取ることによって計算することができる。
【0020】
本明細書に記載される実施形態で使用される光ファイバセンサは、通常、点ごとのひずみを測定するために使用される短いゲージセンサであってもよいが、戦略的に組み合わされて、全体的な構造物パラメータを捕捉することができる。図2A及び図2Bは、全体的及び局所的なパラメータ抽出のための2つの異なるセンサ構成を示す。
【0021】
図2Aに示す構成では、4つのセンサ230、240が、桁腹の底部220及び頂部210に沿って均等に分布されている。これらのセンサ230、240は、引張及び圧縮ひずみ測定に使用されてもよい。このひずみ測定のグループは、例えば、回帰分析を使用して、欠陥形状抽出のために使用することができる。図2Bは、第2のセンサ構成を示す。第2の構成では、3つのセンサ235は、特別に設計されたひずみロゼットを形成する。ひずみロゼット222、224は、桁腹212の側面及び底面上に配置されてもよい。図2Bは、1組のひずみロゼットを有する実施例を示しているが、多くのひずみロゼットが存在し得ることを理解されたい。剪断ひずみ及び主ひずみ構成要素は、ひずみロゼットから計算され得る。いくつかのファイバ配列では、配列内のセンサのうちの1つは、構造物に結合せずに、温度センサとして機能させる。
【0022】
資産状態アセスメントの通常の適用は、日常的に実施され得る。定期検査では、クラック、スポール、化学的劣化、及び/又は腐食などの損傷の兆候を目に見える形で見つけることができる。しかしながら、そのような目に見える損傷の兆候と、それに対応する構造物の状態との関係は、どちらかというと主観的であり、しばしば橋梁検査基準を参照することに依存する。本明細書に記載される実施形態は、単独で、又は目視検査方法と併せて使用することができる。両方のシステムは、複数のモデルからの評価結果を統合する構造物損傷指数アグリゲータを通して、協調的に動作することができる。
【0023】
図3は、光ファイバ感知システム及び現地検査からの複数の測定基準の融合プロセスを示す。図3は、様々な評価方法310、及び対応するデータ収集320、及び出力条件インジケータ330を示す。現地検査方法は、経験のある現地検査員がヒューリスティック312技術を使用して、視覚的サイン322を判定する。視覚的サイン322は、資産の状態指数332を生成するために使用されてもよい。
【0024】
様々な光ファイバ方法が使用される。図3に提供される実施例としては、モーダル314、統計316、及び幾何学的318が含まれる。ヒューリスティック312、モーダル314、統計316、及び幾何学的318方法の出力のうちの1つ以上は、資産の残余疲労寿命を判定するために集約340することができる。残余疲労寿命が所定の閾値未満である場合、アラーム350を開始することができる。本明細書に記載される様々な実施形態によれば、異なる方法は、資産の残りの疲労寿命を判定するために、互いに異なって重み付けされてもよい。場合によっては、この方法は、集約プロセスにおいて同一又は同様の重みを有する。
【0025】
モーダル方法314は、健全性を評価するための構造物の振動モード形状及び/又は固有振動数の推定を伴う。具体的には、図3を参照すると、周波数及び動的応答324を使用して、モーダル形状及び/又はモーダル屈曲性334を判定することができる。
【0026】
統計的方法316については、複数の場所におけるひずみ測定値の最大、平均、中央値、最小値、標準偏差などの記述子326を計算することができる。これらの記述は、異常な挙動を識別し、異常スコア336を生成する異常検出アルゴリズムに与えることができる。フラグ付きの異常とは、仮定したモデルからの新しい観測結果の逸脱である。このフラグ付きの異常は、センサの故障及び/又はセンサの場所における資産の損傷に関連し得る。ひずみ応答は、負荷のタイプ及び大きさに直接リンクされ得る。ひずみ分布の変化は、物体負荷の変化を示すことができる。これは、バッチ感知データから負荷及び車両通過事象を抽出するための計算効率の高い手順である。
【0027】
幾何学的方法の場合、曲率及び/又はたわみ328は、橋梁状態評価のための指標として使用され得る。閾値は、通常、橋梁検査基準又は橋梁設計ガイドラインにおいて明確に定義されている。光ファイバ感知システムは、デフォルトではたわみではなくひずみを計測するが、古典的なビーム理論に基づいて、ひずみ計測をたわみ曲線338に変換する方法がある。曲げ曲率とひずみとの関係は、(3)に示すように表すことができる。
【0028】
【数1】
ここで、iは別個の梁のi番目の長手方向の場所であり、εは長手方向のひずみであり、yは、断面の中立軸からの距離である。曲率は、中立軸に平行な長手方向のひずみ測定によって決定することができる。様々な実施形態によれば、資産の損傷及び/又は温度変化が生じる場合、中立軸はシフトしてもよい。中立軸に平行な異なる距離に置かれた2つのひずみセンサを使用して、(図2Aに示すように)中立軸のシフトの影響を排除することができる。対応する長手方向の場所にある2つのセンサについて、曲率は、(4)に示されるように表される。
【0029】
【数2】
ここで、εは底部ひずみであり、εは頂部ひずみであり、hはセンサ間の距離である。
【0030】
橋梁の垂直たわみ及び/又は曲率は、未知であり得る、物体からの様々な負荷によって影響される。したがって、回帰分析を使用して、曲率及びたわみ関数を取得することができる。曲率関数をn次多項式で表すと、(5)に示すようになる。
【0031】
【数3】
ここで、c,c,c,...,cは、曲率測定値で得られる曲率関数の係数である。xは、橋梁に沿った横座標である。たわみ形状関数は、(6)に示されるように、曲率を二重積分することによって決定することができる。
【0032】
【数4】
【0033】
図4は、時間415に得られた複数のセンサによって測定されたひずみ測定値410からの、ひずみ曲線420の決定と、たわみ曲線430の抽出とを示している。
【0034】
図5は、本明細書に記載される実施形態による、資産の残りの寿命を決定するためのプロセスを示す。負荷を支えるように構成されている資産に恒久的に取り付けられた複数のセンサから、複数のひずみ値が受信される510。様々な実装態様によれば、複数のひずみ値は連続的に受信される。複数のひずみ値に基づいて、資産のひずみプロファイルを決定する520。
【0035】
資産についての追加情報を受信する530。様々な実施形態によれば、追加情報は、資産設計基準、資産仕様、及び複数のセンサの場所のうちの1つ以上のうちの1つ以上を含む。追加情報及びひずみプロファイルに基づいて、負荷評定因子を監視する540。負荷評定因子に基づいて、等価累積損傷係数を監視する550。ひずみプロファイル及び等価累積損傷係数に基づいて、残余寿命予測を算出する560。
【0036】
様々な実施形態によれば、ひずみプロファイルに基づいて潜在的損傷累積が監視される。資産の残余寿命予測は、潜在的損傷累積及び等価累積損傷係数に基づいて、資産の残余寿命予測を計算することによって、計算することができる。
【0037】
通常の負荷の下での応力の推定、及び1日の平均損傷、及び予測されるトラフィック負荷を含む1つ以上のメトリックが監視される。潜在的損傷累積は、1つ以上のメトリックに基づいてもよい。資産の応力-寿命曲線を受信することができ、応力-寿命曲線に基づいて潜在的損傷累積を監視することができる。
【0038】
本明細書に記載される様々な実施形態によれば、負荷評定因子が所定の閾値未満であるかどうかが決定される。負荷評定因子が所定の閾値未満であると決定される場合、資産の検査及び復旧のうちの1つ以上が提案される。負荷評定因子が閾値以上であると決定された場合、資産の残余寿命予測が計算される。
【0039】
図6は、統合資産状態アセスメント及び疲労寿命予測のためのより詳細なフレームワークを示す。入力には、合理化光ファイバ(FO)センサ測定値、橋梁設計基準(例えば、Australian bridge standard AS5100)、資産仕様、及びセンサの場所、並びに資産ひずみ-寿命曲線などの資産設計基準を含む。ブロック610、624、626、及び650は入力を表し、ブロック670及び680は出力を示す。
【0040】
具体的には、ストリーミング光ファイバデータを受信し、資産のひずみプロファイル620の作成に使用する。光ファイバデータは、資産が連続的に監視されるように、連続的に受信されてもよい。場合によっては、光ファイバデータは、別個の間隔で受信される。構造解析モデル622(例えば、有限要素モデル)を使用して、ひずみプロファイル620を較正することができる。通常の負荷下での応力範囲の推定640を決定するために、レインフロー計数法手順を使用することができる。1日の平均損傷を表すトラフィック負荷モデル642は、応力範囲から作成される。トラフィック負荷モデル642は、予測されるトラフィック負荷644を決定するために使用される。1つ以上の入力ひずみ寿命曲線650は、予測されるトラフィック負荷644と併せて使用されて、潜在的損傷累積662を決定することができる。例えば、潜在的損傷累積は、パルムグレン-マイナー則を使用して計算することができる。
【0041】
入力橋梁仕様624及びひずみプロファイル620を使用して、標準負荷を受ける等価ひずみ応答630を決定する。等価ひずみ応答630は、資産が配置されている管轄区域の橋梁設計基準626と組み合わせて、負荷評定632を決定するために使用されてもよい。負荷評価因子が所定の閾値(例えば、1)未満であるかどうかが決定される634。負荷評定因子が所定の閾値未満であると決定された場合634、橋梁が機能しなくなる危険性があると決定され得る。この場合、物理的検査及び/又は復旧が提案され得る。負荷評定因子が所定の閾値以上であると決定された場合634、等価累積損傷660が負荷評価因子から推定され得る。等価累積損傷は、潜在的損傷累積に加えて使用され、疲労寿命予測を決定する680。
【0042】
本明細書に記載される実施形態によれば、構造解析モデルは、センサの測定値を較正するため、重要な領域を特定するため、及び/又は直接測定が利用できない場合に応力を補完するために使用される。橋梁構造形状(寸法、材料、及び工法など)の知識を用いて、構造解析は、通常のトラフィック負荷下での応力プロファイルの推定を提供する。いくつかの構造解析モデルは、単独で、又は分析影響線モデル、格子桁モデル、及び有限要素モデル(FEM)を含む組み合わせで使用することができる。単純な幾何学的形状を有する橋梁に関しては、構造力学からの解析モデルで十分であり得るが、複雑な幾何学的形状又は材料構成を有する橋梁に関しては、FEMなどのより詳細なモデルが必要とされ得る。図7は、FEMを使用して計算される移動トラム下で曲線状の傾斜を有するトラム橋梁のひずみプロファイルを示す。
【0043】
本明細書に記載される実施形態によれば、トラフィック負荷モデルは、光学センサ測定値を使用して決定することができる。毎日の平均損傷(ADD)は、様々な測定及び既知のパラメータを使用して計算することができる。疲労損傷は、(7)に示される応力範囲を決定することによって決定される。
S=Δσ=σmax-σmin (7)
ここで、σmax及びσminは、橋梁の所与の点及び所与の応力サイクルにおける最大及び最小応力である。実際には、橋梁がさらされる実際のトラフィック負荷の応力範囲は、レインフロー計数方法によって分類することができる。
【0044】
負荷サイクル数Nと応力範囲sとの関係を、(8)で近似することができる。
=C (8)
ここで、1/kは、両対数スケール上の線として表されるひずみ-寿命曲線の傾きである。定数Cは、応力集中、継手の幾何学的形状に依存し、橋梁の設計構成に依存している。実際には、より複雑な応力-寿命挙動を説明するために、異なる傾きを有する2つ以上の線区分を使用することができる。図8Aは、第1の傾きを有する第1の線区分802と、第2の傾きを有する第2の線区分804とを示す。図8Aに示される例では、上部の線806は、橋梁から観察される応力の上限を表し、底部の線808は、橋梁から観察される応力の下限を表す。
【0045】
1日の平均損傷ADDは、(9)に示される線形損傷累積のパルムグレン-マイナー理論によって与えられる。
【0046】
【数5】
ここでnは、実際のトラフィック負荷からカウントされる応力レベルiにおけるサイクル数であり、Nは、S-N曲線上の応力レベルiにおける疲労サイクル数である。
【0047】
本明細書に記載される実施形態によると、トラフィック増大傾向は、毎日のトラフィックモデルによる疲労損傷の初期ADD成長モデルを用いて推定することができ、(10)で表される。
ADD(t)=a*(1+β) (10)
ここで、aは初期ADDであり、βは増大因子である。パラメータは、リアルタイムのトラフィック負荷データを使用して、ベイズ推定及び/又は通常の最小二乗(OLS)回帰を使用して推定することができる。
【0048】
負荷評定の決定は、調査中の資産が設計された負荷を保持できるかどうかを決定する橋梁検査中の標準化された手順であり得る。負荷評定を決定するプロセスの詳細な仕様は、世界中で使用される異なる基準に基づいて変わるが、基本概念は同じままである。負荷評価因子(RF)は、一般に、(11)に示されるように、トラフィック負荷に対する有効橋梁容量と、評定車両の負荷効果との比として表される。
【0049】
【数6】
ここで、Lcapは、トラフィック負荷の有効橋梁容量であり、レstandardは、評定車両の負荷効果、Cmaterialは、材料(コンクリート、鋼鉄など)の極限強度によって決定される負荷容量、L及びαは、様々な負荷効果及び対応する負荷率である。
【0050】
標準負荷の例を、図8Bに示す。側面図510及び上面図515は、均一分布負荷及び4つの三軸グループを示す。図8Bは、標準負荷の一例を示すことを理解されたい。資産の場所に基づいて、異なる標準負荷を使用することができる。
【0051】
本明細書に記載される実施形態によれば、FOセンサの分散特性を利用して、橋梁に沿った複数の場所からのFOセンサ測定値から点負荷の影響線を抽出し、仮想標準負荷を構築することができる。
【0052】
既知の車両負荷を標準負荷に移す手順は、図9に示すように、以下の通りである。
1.橋梁スパンの長さに沿って分散型光ファイバセンサを使用して、複数のひずみ応答を測定する
2.適用された車両負荷で正規化された、橋梁スパンに沿った複数の感知点において、同一車両負荷からのひずみ910をプロットする。
3.ひずみ応答のピークから適合された包絡線920y=f(x)は、xの場所に単位負荷を印加したときのひずみ降伏を説明している。単純支持された梁の場合、放物線の公式を仮定することができる。
4.移動トラフィック負荷及び/又は静止トラフィック負荷は、複数の車軸の場所922、924、926、928に印加された一連の負荷の重畳として表現され得る。
【0053】
標準車両負荷下での等価ひずみ応答が抽出されると、負荷評定因子は、(11)を使用して計算することができる。計算された負荷評定因子が1未満である場合、橋梁が設計された疲労負荷を保持することができないこと、及び更なる検査及び潜在的な復旧を提案できることを示し得る。
【0054】
本明細書に記載される実施形態によれば、古い橋梁の疲労寿命を予測することは、既に累積された損傷を推定することによって、少なくとも部分的に行われてもよい。既に累積された損傷は、(12)に定義されるように、特定の時点での負荷評定因子を設計された負荷評定因子と比較することによって設計された、等価損傷係数を使用することで、推定することができる。
【0055】
【数7】
ここで、Dpreisは以前に累積された損傷であり、
【0056】
【数8】
は設計された負荷評定因子であり、RF(t)は、所与の時点tでの負荷評定因子である。
【0057】
将来の疲労負荷に対する残余損傷容量は、(13)を使用して決定することができる。
fatigue=1-Dpre (13)
【0058】
本明細書に記載される実施形態は、橋梁構造物の前提条件及び復旧の両方を考慮することができる。橋梁上で修復作業を行った後、負荷評定因子は変化(増大)し、累積損傷がより小さくなる。
【0059】
(14)に示されるように、t年における累積疲労損傷Dfatigueとトラフィック負荷増大率βとの間の関係が確立される。
【0060】
【数9】
【0061】
残余疲労損傷容量及びトラフィック増大因子が決定されると、長年の残余疲労寿命は、(14)を(15)に書き換えることによって計算することができる。
【0062】
【数10】
ここで、R(t)は、検査時間tにおける長年の残存疲労寿命であり、βは推定トラフィック増大因子であり、Dfatigueは前提条件及び復旧を考慮した後の残存疲労容量であり、ADD(t)は、検査時間tにおいて推定されたADDである。
【0063】
実施例
2018年10月の5日間で、オーストラリアのビクトリア州ハイデルベルグにあるBanksia Street橋の構造物全体に、112個のFOセンサを設置した。これらの信号は8つのグループにまとめられ、データ収集及び記憶のために中央コンピューティングシステムに送られた。電力については、システムは、近隣の車両メッセージングシステム(VMS)標識の既存の240Vラインを利用していた。システムへのリモートアクセスをユーザに許容するために、ルータを含めた。
【0064】
光ファイバセンサの場所と構成は、資産の利害関係者が関心を持つ負荷を効率的に捕捉するために慎重に設計されている。妥当性確認試験が行なわれ、図10は、独立したビデオデータが記録された1分間の試験を示しており、本明細書に記載される実施形態及び無線センサシステム(2Hzの公称サンプリングレート、動的負荷によってトリガされた場合は40Hz)の結果を、記録された主要なひずみ波の対応する車両通過事象に重ね合わせた。
【0065】
上記の方法は、周知のコンピュータプロセッサ、メモリユニット、記憶デバイス、コンピュータソフトウェア、及び他の構成要素を使用してコンピュータに実装することができる。このようなコンピュータの高レベルブロック図が図11に示されている。コンピュータ1100は、そのような動作を定義するコンピュータプログラム命令を実行することによって、コンピュータ1000の全体的な動作を制御するプロセッサ1110を含む。プロセッサ1110は、命令を実行することができるいずれかの種類のデバイスを含み得ることを理解されたい。例えば、プロセッサ1110は、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及び特定用途向け集積回路(ASIC)のうちの1つ以上を含んでもよい。コンピュータプログラム命令は、記憶デバイス1020(例えば、磁気ディスク)内に記憶され、コンピュータプログラム命令の実行が所望されるときにメモリ1130にロードされてもよい。したがって、本明細書に記載される方法のステップは、メモリ1130に記憶され、コンピュータプログラム命令を実行するプロセッサ1110によって制御されるコンピュータプログラム命令によって定義され得る。コンピュータ1100は、ネットワークを介して他のデバイスと通信するための1つ以上のネットワークインターフェース1150を含んでもよい。コンピュータ1100はまた、コンピュータ1100とのユーザ対話を可能にするユーザインターフェース1160を含む。ユーザインターフェース1160は、ユーザがコンピュータと対話することを許容にするために、I/Oデバイス1162(例えば、キーボード、マウス、スピーカ、ボタンなど)を含んでもよい。このような入力/出力デバイス1162は、本明細書に記載される実施形態に従って、コンピュータプログラムのセットと共に使用されてもよい。ユーザインターフェースはまた、ディスプレイ1164を含む。様々な実施形態によれば、図11は、例示目的のためのコンピュータの可能な構成要素の高レベル表現であり、コンピュータは、他の構成要素を含んでもよい。
【0066】
別途指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される形状サイズ、量、及び物理的特性を表す全ての数は、全ての場合において、「約」という用語によって改変されるものとして理解されるべきである。したがって、それと異なる指示がない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本明細書に開示される教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。端点による数値範囲の使用は、その範囲内の全ての数(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)、並びにその範囲内の任意の範囲を含む。
【0067】
上記の様々な実施形態は、特定の結果を提供するために相互作用する回路及び/又はソフトウェアモジュールを使用して実装され得る。コンピューティング技術分野の当業者は、当該技術分野で一般的に知られている知識を使用して、モジュールレベルで又は全体としてのいずれかで、このような記載された機能を容易に実装することができる。例えば、本明細書に例解されるフローチャートは、プロセッサによる実行のためのコンピュータ可読命令/コードを作成するために使用されてもよい。このような命令は、コンピュータ可読媒体に記憶され、当該技術分野において既知のように実行するためにプロセッサに転送されてもよい。
【0068】
例示的な実施形態の前述の説明は、例解及び説明の目的のために提示されている。本発明の概念に網羅的であること、又は本発明の概念を開示される正確な形態に限定することは意図されていない。上記の教示に照らして、多くの修正及び変形が可能である。開示される実施形態のいずれか又は全ての特徴は、個別に、又は任意の組み合わせで適用することができ、限定することを意図するものではなく、純粋に例解的なものである。発明の範囲は、詳細な説明によってではなく、本明細書に添付の特許請求の範囲によって限定されるものであることが意図されている。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11