(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029441
(43)【公開日】2022-02-17
(54)【発明の名称】軌道加工機、特にインパクトレンチマシンおよび軌道加工機を用いた軌道加工のための方法
(51)【国際特許分類】
E01B 29/28 20060101AFI20220209BHJP
【FI】
E01B29/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021127488
(22)【出願日】2021-08-03
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/071928
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】507069564
【氏名又は名称】ローベル バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBEL Bahnbaumaschinen GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 31, D-83395 Freilassing, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】べアンハート コッホ
(72)【発明者】
【氏名】マークス ファフィアン ディエゲス
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057BA29
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ポイント内または橋の上など、利用可能な加工スペースが限られている軌道の領域で簡単かつ柔軟に使用することができる軌道加工機を作製する。
【解決手段】軌道加工機(1)、特に軌道加工用のインパクトレンチマシンは、軌道加工機(1)を手動で案内するための少なくとも1つのハンドル(14,15a)と、軌道加工のために回転軸線(7)を中心として回転駆動可能な加工ヘッド(6)を有する第1の構造ユニット(2)と、第2の構造ユニット(3)と、第1の構造ユニット(2)を第2の構造ユニット(3)に機械的に接続し、かつ回転軸線(7)に沿って軌道加工機(1)の長手方向の寸法を縮小させるためのリンクユニット(4)と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道加工用の軌道加工機(1)、特にインパクトレンチマシンであって、
前記軌道加工機(1)を手動で案内するための少なくとも1つのハンドル(14,15a,15b)と、
回転軸線(7)を中心として回転駆動可能な加工ヘッド(6)を有する第1の構造ユニット(2)と、
第2の構造ユニット(3)と、
前記第1の構造ユニット(2)を前記第2の構造ユニット(3)に機械的に接続し、かつ前記回転軸線(7)に沿って前記軌道加工機(1)の長手方向の寸法(L1,L2)を縮小させるためのリンクユニット(4)と、
を備える、軌道加工機(1)。
【請求項2】
前記リンクユニット(4)が、第1の加工位置と第2の加工位置との間で互いに対して変位可能であるように、前記第1の構造ユニット(2)を前記第2の構造ユニット(3)に接続することを特徴とする、請求項1記載の軌道加工機(1)。
【請求項3】
前記軌道加工機(1)が、第1の加工位置において前記回転軸線(7)に沿った第1の長手方向の寸法(L1)を有しており、第2の加工位置において第2の長手方向の寸法(L2)を有しており、前記第2の長手方向の寸法(L2)が、前記第1の長手方向の寸法(L1)よりも少なくとも25%だけ小さいことを特徴とする、請求項1または2記載の軌道加工機(1)。
【請求項4】
前記リンクユニット(4)が、前記第2の構造ユニット(3)に対して前記第1の構造ユニット(2)を枢動させるためのリンクジョイント(5)を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の軌道加工機(1)。
【請求項5】
前記リンクユニット(4)が、前記第2の構造ユニット(3)に対して前記第1の構造ユニット(2)をツールなしに変位させるように解釈されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の軌道加工機(1)。
【請求項6】
前記回転軸線(7)を中心として前記加工ヘッド(6)を回転駆動するためのインパクトレンチ(10)を備えることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の軌道加工機(1)。
【請求項7】
前記回転軸線(7)を中心とした前記加工ヘッド(6)の駆動トルク(M)が、少なくとも150Nmであることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の軌道加工機(1)。
【請求項8】
前記第1の構造ユニット(2)が、前記加工ヘッド(6)を回転可能に駆動するためのモータ(11)を有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の軌道加工機(1)。
【請求項9】
前記加工ヘッド(6)に伝達される駆動力を提供するためのエネルギー貯蔵装置(13)を備えることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の軌道加工機(1)。
【請求項10】
前記エネルギー貯蔵装置が、蓄電池(13)を含むことを特徴とする、請求項9記載の軌道加工機(1)。
【請求項11】
前記第2の構造ユニット(3)が、前記エネルギー貯蔵装置(13)を備えることを特徴とする、請求項9または10記載の軌道加工機(1)。
【請求項12】
前記加工ヘッド(6)に伝達される駆動力を制御するための制御ユニット(19)を備えることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の軌道加工機(1)。
【請求項13】
前記制御ユニット(19)が、少なくとも1つの加工位置における前記軌道加工機(1)の配置を検出するように解釈されることを特徴とする、請求項12記載の軌道加工機(1)。
【請求項14】
前記加工ヘッド(6)と前記少なくとも1つのハンドル(14,15a,15b)との間に作用する振動デカップラ(26)を備えることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の軌道加工機(1)。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項記載の軌道加工機(1)を用いた軌道加工のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道加工機、特に軌道加工用のインパクトレンチマシンに関する。さらに、本発明は、そのような軌道加工機を用いた軌道加工のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2019/228609号から、軌道ボルト接続部を緊緩するためのインパクトレンチマシンが知られている。ポイント内または橋の上など、利用可能な加工スペースが限られている軌道の領域では、このようなインパクトレンチマシンの取り扱いが困難となることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、特に簡単かつ柔軟に使用することができる改良された軌道加工機を作製することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を有する軌道加工機によって達成される。軌道加工機が、第1の構造ユニットを第2の構造ユニットに機械的に接続し、かつ加工ヘッドの回転軸線に沿って軌道加工機の長手方向の寸法を縮小させるためのリンクユニットを有するという事実により、長手方向の寸法を利用可能な加工スペースに適合させることができる。例えば、回転軸線が垂直方向に配向されている場合、操作の容易さのために、長手方向の寸法が大きいことが有利である。回転軸線を水平に配向して軌道を加工する場合には、長手方向の寸法を縮小させる必要がある可能性がある。軌道加工機が占める設置スペースは、リンクユニットによって、利用可能な加工スペースに柔軟に適合させることができる。つまり、軌道加工機は、ポイント内または橋の上など、軌道の限られた場所でも使用することができる。したがって、軌道加工機の適用範囲は拡大し、軌道加工機は特に使いやすく、操作の際に経済的である。
【0005】
軌道加工機の長手方向の寸法は、加工ヘッドの回転軸線に沿った軌道加工機の測定値と理解される。長手方向の寸法は、加工ヘッドから始まる加工側で決定される。加工ヘッドに可逆的に接続することができる加工ツールは、軌道加工機の長手方向の寸法決定の際に考慮されない。軌道加工機に関連する利点は,軌道加工機に接続される加工ツールの性質とは無関係である。
【0006】
軌道加工機は、軌道加工機を手動で案内するための、かつ/または手動で支持するための、少なくとも1つのハンドルを有している。軌道加工機は、軌道加工中に作業者によって少なくとも部分的に、特に専ら案内され、特に支持されると解釈することができる。軌道加工機は、加工される軌道に対して、特に軌道の少なくとも1つのレールに対して、少なくとも部分的に案内するための案内装置を有することもできる。好ましくは、軌道加工機は、軌道加工機を手動で案内するための少なくとも1つ、特に少なくとも2つ、特に少なくとも3つのハンドルを備える。少なくとも1つのハンドルは、軌道加工機に、特に第1の構造ユニットおよび/または第2の構造ユニットに、固定的にかつ/または取り外し可能にかつ/または折り畳み可能にかつ/または変位可能に取り付けることができる。
【0007】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つのハンドルは、第2の構造ユニットのコンポーネントであり、すなわち、特にリンクユニットに対して加工側とは対向する側に配置されている。ハンドルと加工ヘッドとの間の距離が増大することは、使いやすさの面で有利である。好ましくは、少なくとも1つのハンドルは、第1の構造ユニットの一部である。したがって、軌道加工機は、特に異なる加工位置において、特に使いやすく取り扱うことができる。
【0008】
加工ヘッドは、加工ツールおよび/または加工ツールを取り付けるためのツールコネクタとして解釈することができる。加工ヘッドを加工ツールに可逆的に解放可能に接続するために、加工ヘッドは、例えば、ソケットレンチコネクタおよび/または砥石車コネクタおよび/またはドリルチャックを有することができる。好ましくは、加工ヘッドは、シャフト接続部のリンク要素として、特に歯付きシャフト接続部、および/または実矧ぎ接続部、および/または多角形接続部、特に矩形接続部または六角接続部のリンク要素として解釈される。
【0009】
軌道加工機は、研削機、切断機、特に砥石切断機および/または鋸、穿孔機、および/またはミリングマシンであってよい。好ましくは、軌道加工機は、ねじ接続部を締め付けるか、または緩めるためのねじ締め機、特に衝撃式のねじ締め機である。加工ツールは、研削ツール、切断ツール、ドリルツール、特にタッピングツール、ねじ締めツール、および/またはミリングツールであってもよい。したがって、軌道加工機は、特に柔軟に使用することができる。
【0010】
好ましくは、リンクユニットは、回転軸線に垂直な軌道加工機の横方向の寸法を縮小させるようにも解釈される。例えば、リンクユニットは、軌道加工機の長手方向の寸法を縮小させると同時に横方向の寸法を増大させるように構成することができ、またその逆も可能である。
【0011】
リンクユニットは、第2の構造ユニットに対する第1の構造ユニットの変位移動、または変位位置および/もしくは加工位置を解除可能にロックするためのロック手段を有することができる。ロック手段は、第1の構造ユニットを第2の構造ユニットと可逆的に、摩擦接続的に(frictionally)かつ/または形状接続的に(positively)ロックするように解釈することができる。例えば、ロック手段は、ラッチ接続部および/またはねじボルトを備えることができる。有利なことに、これにより、軌道加工機を特に安全に操作することができる。
【0012】
リンクユニットは、好ましくは、互いに対して変位可能な2つのリンク要素を有している。第1の構造ユニットは、好ましくは、第1のリンク要素に取り付けられ、第2の構造ユニットは、第2のリンク要素に取り付けられる。リンクユニットは、リニアガイドとして解釈することができる。リンク要素は、互いに対して線形に変位可能なリニアガイドの2つのコンポーネントとすることができる。このような軌道加工機は、特に経済的に製造することができ、操作の際に堅牢である。
【0013】
好ましくは、軌道加工機は、加工ヘッドを回転可能に駆動するための少なくとも1つのモータ、特に流体モータ、特に内燃機関および/または液圧モータおよび/または空圧モータ、および/または電動モータを備える。少なくとも1つのモータは、第2の構造ユニットのコンポーネントとすることができる。加工ヘッドは、好ましくは、モータを用いて少なくとも1つのハンドルに対して回転駆動可能である。
【0014】
本発明の更なる態様によれば、リンクユニットは、第2の構造ユニットに対する第1の構造ユニットに対する変位を、長手方向の寸法の少なくとも10%、特に少なくとも25%、特に少なくとも50%だけ許容するように解釈される。好ましくは、リンクユニットは、第2の構造ユニットに対する第1の構造ユニットの変位を、特に回転軸線に沿って、少なくとも80mm、特に少なくとも100mm、特に少なくとも250mm、および/または最大で500mmだけ可能にするように解釈される。好ましくは、リンクユニットは、第2の構造ユニットに対する第1の構造ユニットの変位を、枢動軸線を中心として、少なくとも25°、特に少なくとも45°、特に少なくとも90°、特に少なくとも120°および/または最大で270°だけ可能にするように解釈される。
【0015】
請求項2記載の軌道加工機は、特に柔軟に使用することができる。好ましくは、リンクユニットは、第1の構造ユニットおよび第2の構造ユニットが、少なくとも2つ、特に少なくとも3つ、特に少なくとも4つの加工位置の間で互いに対して変位可能であるように解釈される。加工位置は、これらの位置で軌道加工機を軌道加工に使用できることを特徴とする。好ましくは、軌道加工機は、第1の加工位置および第2の加工位置、特に各加工位置において、特にロック手段によって固定することができる。したがって、軌道加工機は、特に信頼性が高く、安全に操作することができる。
【0016】
請求項3記載の軌道加工機は、特に柔軟に使用することができる。第2の長手方向の寸法は、好ましくは、第1の長手方向の寸法よりも、少なくとも25%、特に少なくとも30%、特に少なくとも40%、特に少なくとも50%、特に少なくとも60%、および/または最大で90%だけ小さい。これにより、スペースが非常に限られている軌道の領域でも、軌道加工機を使用することができる。
【0017】
請求項4記載の軌道加工機は、特に経済的に製造することができ、操作の際に堅牢であり、柔軟に使用することができる。リンクユニットは、第1の構造ユニットを第2の構造ユニットに対して枢動させるための1つ以上のリンクジョイントを備えることができる。特に、接続ジョイントは、第1の構造ユニットおよび第2の構造ユニットの互いに対する向きを変更する役割を果たす。好ましくは、リンクユニットは、第1の加工位置と第2の加工位置との間で、構造ユニットを互いに対して枢動させるように解釈される。接続ジョイントは、枢動停止部のない枢動ジョイントとして、または枢動停止部のあるスイベルジョイントとして解釈することができる。好ましくは、ジョイント軸線または旋回軸線は、回転軸線に対して斜めに、特に垂直に配向される。有利なことに、これにより、軌道加工のために回転軸線を垂直方向と水平方向との間で移行させても、第2の構造ユニットが、第2の構造ユニットの向きを維持することができる。好ましくは、第1の構造ユニットは、第1の加工位置と第2の加工位置との間で、第2の構造ユニットに対して、少なくとも70°、特に少なくとも80°、特に少なくとも90°だけ枢動する。第2の加工位置における第2の長手方向の寸法は、好ましくは、最大でも第1の構造ユニットの長手方向の寸法に等しい。したがって、本発明の軌道加工機は、特に操作の際に容易かつ便利である。
【0018】
請求項5記載の軌道加工機は、特に操作の際に経済的であり、かつ使いやすい。好ましくは、軌道加工機は、変位駆動装置によって手動で、かつ/またはモータ駆動で変位可能である。好ましくは、リンクユニットは、第1の加工位置と第2の加工位置との間でツールなしに変位できるように解釈される。ロック手段は、ロック駆動装置によって、ロック位置と解除位置との間で手動またはモータ駆動で変位可能である。
【0019】
請求項6記載の軌道加工機は、特に柔軟に使用することができる。インパクトレンチは、好ましくは、第1の構造ユニットのコンポーネントである。したがって、駆動トルクをインパクトレンチから加工ヘッドに特に低損失かつ効率的に伝達することができる。インパクトレンチは、好ましくは、レールのねじを締め付けるかまたは緩めるように解釈される。
【0020】
請求項7記載の軌道加工機は、軌道加工に特に柔軟に使用することができる。好ましくは、軌道加工機は、少なくとも150Nm、特に少なくとも250Nm、特に少なくとも500Nm、特に少なくとも1000Nm、および/または最大2500Nm、特に最大1500Nmの駆動トルクを、回転軸線を中心として加工ヘッドに与えるように解釈される。駆動トルクは、インパクトレンチから加工ヘッドに伝達されることが好ましい。したがって、軌道加工機は、特に強固に締結された軌道上のねじ接続部を作動させることを可能にする。
【0021】
請求項8記載の軌道加工機は、特に経済的に製造することができ、操作の際に効率的かつ堅牢である。モータは、好ましくは、インパクトレンチを回転可能に駆動するように解釈される。したがって、第1の構造ユニットは、加工ヘッドを回転可能に駆動するためのドライブトレイン全体を備えることができる。したがって、軌道加工機を第1の加工位置と第2の加工位置との間で変位させるための、ドライブトレインのコンポーネント同士の互いに対する移動が回避される。したがって、加工ヘッドの回転駆動を、効率的かつ低摩耗で実行することができる。
【0022】
請求項9記載の軌道加工機は、特に柔軟に使用することができる。エネルギー貯蔵装置は、好ましくは、モータを駆動するための動力を供給する。エネルギー貯蔵装置は、好ましくは、少なくとも350Wh、特に少なくとも500Wh、特に少なくとも700Wh、特に少なくとも1kWh、特に少なくとも5kWh、および/または最大50kWhの容量を有している。エネルギー貯蔵装置は、電気エネルギー貯蔵装置、化学エネルギー貯蔵装置、および/または流体貯蔵装置、特に燃料タンクを含むことができる。エネルギー貯蔵装置は、好ましくは、第2の構造ユニットのコンポーネントである。
【0023】
請求項10記載の軌道加工機は、特に安全で柔軟な取り扱いが可能である。好ましくは、蓄電池は、リチウムポリマー蓄電池と解釈される。軌道加工機は、蓄電池を軌道加工機に可逆的に着脱可能に取り付けるための蓄電池レセプタクルを有することができる。蓄電池の電源電圧は、好ましくは少なくとも18V、特に少なくとも36V、特に最大130Vである。
【0024】
エネルギー貯蔵装置、特に蓄電池は、蓄電池を輸送するための、かつ/または軌道加工機を手動で案内するためのハンドルを有することができる。
【0025】
請求項11記載の軌道加工機は、特にインパクトレンチマシンとして解釈した場合に、操作性が特に高い。エネルギー貯蔵装置は、第2の構造ユニットのコンポーネントであるため、慣性ダンパとして機能することができる。エネルギー貯蔵装置の比較的大きな質量は、インパクトレンチから第2の構造ユニット、特に少なくとも1つのハンドルに伝達される振幅運動、すなわち振動運動を減衰させる。さらに、エネルギー貯蔵装置は、無視できない構造容積を占める。エネルギー貯蔵装置が第2の構造ユニットのコンポーネントであることにより、軌道加工機の長手方向の寸法は、第1の加工位置と第2の加工位置との間で移行することにより、相当縮小することができる。
【0026】
好ましくは、モータは、可撓性ライン、特に電気的なラインを介してエネルギー貯蔵装置に接続される。これにより、リンクユニットを介してエネルギー貯蔵装置とモータとの間の電力輸送が確実に行われる。
【0027】
請求項12記載の軌道加工機は、特に柔軟に容易に取り扱うことができる。制御ユニットは、特にモータを介して加工ヘッドに伝達される駆動力を、特に連続的に制御するように解釈することができる。制御ユニットは、駆動力を制御するための電子回路、特にプログラマブル制御電子機器を備えることができる。好ましくは、制御ユニットは、エネルギー貯蔵装置によって提供される駆動力、特に電力を用いて、モータを可逆的に切り替えるための動力コンポーネントを備えている。好ましくは、制御ユニットは、第2の構造ユニットのコンポーネントである。したがって、制御ユニットに伝達される振動が低減される。
【0028】
請求項13記載の軌道加工機は、操作の際に特に信頼性が高く、堅牢である。好ましくは、制御ユニットは、軌道加工機が加工位置の1つにないときに、かつ/または加工位置の1つにロックされていないときに、軌道加工機の操作を可逆的に中断するように解釈される。この目的のために、制御ユニットは、少なくとも1つの加工位置での軌道加工機の配置および/または少なくとも1つの加工位置でのロック状態を検出するセンサと信号接続することができる。制御ユニットは、加工ヘッドへの駆動力、特にモータへの電力の供給を可逆的に中断するように解釈することができる。
【0029】
請求項14記載の軌道加工機は、高い操作性を有しており、特に操作の際に堅牢である。振動デカップラは、好ましくは、特に振動経路に沿って、加工ヘッドとリンクユニットとの間、特にモータとリンクユニットとの間に配置される。したがって、リンクユニットには、振動による集中的な負荷が少なくなる。振動デカップラは、好ましくは、特にゴム弾性材料製の少なくとも1つの減衰要素を有している。好ましくは、モータは、特にねじボルトを用いて、減衰要素によってリンクユニットに取り付けられる。振動デカップラは、第1の構造ユニットのコンポーネントである。代替的に、振動デカップラは、第2の構造ユニットのコンポーネントとすることもできる。
【0030】
本発明の他の目的は、簡単かつ柔軟に、軌道加工機を用いた軌道加工のための方法を提供することである。
【0031】
この目的は、請求項15の特徴を有する方法によって達成される。この方法の利点は、上述した軌道加工機の利点に対応する。好ましくは、方法は、軌道加工機に関連して上述した特徴のうちの少なくとも1つを用いてさらに開発される。軌道を加工するために、前記軌道加工機を使用するという事実により、十分な加工スペースがある場所、およびポイント内や橋の上などの軌道加工に利用できるスペースが少ない限定された場所の両方で、軌道加工を実施することができる。したがって、異なる軌道加工機の取得、保守、および操作を省略することができる。軌道加工機は、特に経済的に軌道を加工する。
【0032】
好ましくは、軌道加工機は、ねじ接続部、特にレールをまくらぎに締結するための軌道ねじ接続部を緊緩するためのインパクトレンチマシンとして設計されている。この種の軌道加工機は、通常、特にスペースを必要とせず、ひいては長手方向の寸法を縮小させることから特に著しい恩恵を受ける。
【0033】
本発明の更なる特徴、詳細、および利点は、図に基づく例示的な実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】第1の構造ユニットと、第2の構造ユニットと、第1の構造ユニットと第2の構造ユニットとを機械的に接続するためのリンクユニットとを備える軌道加工機、特にインパクトレンチマシンの軌道加工中の斜視図であり、軌道加工機は第1の加工位置に配置されている。
【
図3】
図1の軌道加工機の側面図であり、第1の構造ユニットの加工ヘッドにソケットレンチが取り付けられており、軌道加工機は垂直方向に配向したねじ軸線を有するねじ接続部を緩めるために使用される。
【
図4】ソケットレンチのない
図1の軌道加工機の正面図である。
【
図5】
図1の軌道加工機の斜視図であり、軌道加工機は、リンクユニットによって第2の構造ユニットが第1の構造ユニットに対して枢動する第2の加工位置に配置されている。
【
図7】
図5の軌道加工機の側面図であり、特に、ねじ軸線が水平に配向した状態でねじ接続部を緩めるときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1から
図7を用いて、軌道加工機1、特に軌道加工用のインパクトレンチマシンを説明する。軌道加工機1は、第1の構造ユニット2と、第2の構造ユニット3とを備える。第1の構造ユニット2と第2の構造ユニット3とは、リンクユニット4によって互いに機械的に接続されている。リンクユニット4は、第2の構造ユニット3を第1の構造ユニット2に対して枢動させるためのリンクジョイント5を有している。
【0036】
第1の構造ユニット2は、回転軸線7を中心に回転駆動することができる加工ヘッド6を有している。加工ツール8を回転駆動するために、加工ヘッド6は、外側が矩形の接続部の形態のツールコネクタ9を有している。ソケットレンチとして解釈される加工ツール8が、ツールコネクタ9に可逆的に着脱可能に取り付けられている。
【0037】
加工ヘッド6は、軌道加工機1のインパクトレンチ10のコンポーネントである。インパクトレンチ10は、軌道加工機1の電動モータ11に回転可能に接続されている。第1の構造ユニット2は、電動モータ11と、加工ヘッド6を備えたインパクトレンチ10とを備えている。
【0038】
軌道加工機1は、蓄電池レセプタクル12を有している。蓄電池13が、蓄電池レセプタクル12に可逆的に着脱可能に取り付けられている。蓄電池13は、リチウムポリマー蓄電池として解釈される。特に、蓄電池13は、電動モータ11に電力を供給するように解釈される。
【0039】
軌道加工機1は、携帯可能に解釈され、軌道加工のために手動で案内することができる。この目的のために、軌道加工機1は、第1のハンドル14と、第2のハンドル15aと、第3のハンドル15bとを有している。第1のハンドル14は、蓄電池レセプタクル12に固定的に接続されている。第2のハンドル15aは、蓄電池13に取り付けられている。第3のハンドル15bは、リンクユニット4にヒンジ式に取り付けられている。第3のハンドル15bは、第1の構造ユニット2のコンポーネントである。
【0040】
蓄電池13は、ラッチ接続部16によって蓄電池レセプタクル12に取り付けられている。ラッチ接続部16は、枢動可能に取り付けられたラッチレバー17と、ラッチ係合部18とを備えている。ラッチレバー17は、蓄電池レセプタクル12に接続されており、図示しないばね要素によって、ラッチ接続部16が閉じているラッチ位置に付勢されている。ラッチレバー17の開位置では、蓄電池13を蓄電池レセプタクル12から取り外すことができる。
【0041】
軌道加工機1の制御ユニット19は、蓄電池レセプタクル12を介して、蓄電池13と信号伝達式に、特に動力伝達式に接続されている。制御ユニット19は、蓄電池13から提供され電動モータ11に供給される電力を制御するように解釈される。この目的のために、制御ユニット19は、図示されない電子制御要素、特にプログラマブルコントローラと、電動モータ11に供給される電力を切り替えるための、電子制御要素に信号接続された図示されない動力コンポーネントとを備えている。
【0042】
軌道加工機1の操作ユニット20は、作業者からの対応する入力に基づいて、軌道加工機1を起動するように解釈される。制御ユニット19および操作ユニット20は、作業者の入力に応じて、電動モータ11に伝達される電力を制御、特に調整するように解釈される。操作ユニット20は、この目的のために、制御ユニット19と信号接続されている。
【0043】
第2の構造ユニット3は、第1のハンドル14と、蓄電池レセプタクル12と、第2のハンドル15aを有する蓄電池13と、制御ユニット19と、操作ユニット20とを有している。
【0044】
リンクユニット4は、第1の構造ユニット2と第2の構造ユニット3とを、それらが第1の加工位置と第2の加工位置との間で互いに対して変位、特に枢動できるように接続する。両方の加工位置において、軌道加工機1は、軌道21の加工に使用することができる。リンクジョイント5は、第1の構造ユニット2と第2の構造ユニット3とが、互いに対して2つの所定のリンク角度α1,α2で固定できるように解釈される。リンク角度α1,α2は、リンクジョイント5の枢動軸線22を中心として、回転軸線7と、枢動軸線22に対して半径方向に向けられた第2の構造ユニット3の主延在方向23との間で設定される。第1のリンク角度α1は、第1の加工位置で優勢であり、180°である。また、第2の加工位置で優勢である第2のリンク角α2は、90°である。
【0045】
第1の加工位置と第2の加工位置との間で移行する際に、第1の構造ユニット2を第2の構造ユニット3に対して旋回させることができる旋回角度Δαは、90°である。
【0046】
リンクジョイント5は、第1のジョイント部品24と、第2のジョイント部品25とを有しており、第1のジョイント部品24の各々は、第2のジョイント部品25の各々に対して枢動可能である。第1のジョイント部品24および第2のジョイント部品25は、リンクユニット4のコンポーネントである。リンクユニット4は、第1のジョイント部品24によって、2つの側面で第1の構造ユニット2に接続されている。また、第2のジョイント部品25によって、リンクユニット4は、蓄電池レセプタクル12に2つの側面で接続されている。
【0047】
リンクユニット4は、軌道加工機1を第1の加工位置または第2の加工位置に、特に所定のリンク角度α1,α2の各々に可逆的に解除可能に固定するための図示しない枢動ロック装置を有している。この目的のために、枢動ロック装置は、特に第1のジョイント部品24の1つと関連する第2のジョイント部品25との間で作用するねじボルトを備えている。枢動ロック装置は、作業者が軌道加工機1を第1の加工位置と第2の加工位置との間で変位させるために、ロック位置と解除位置との間で、手動で変位可能である。
【0048】
制御ユニット19は、リンクユニット4、特に枢動ロック装置がロック位置に配置されているか否かを検出するように解釈される。リンクユニット4がロック位置に配置されている場合にのみ、制御ユニット19によって電動モータ11の起動が可能となる。この目的のために、制御ユニット19は、枢動ロック装置に接続されたスイッチと信号接続することができる。
【0049】
振動デカップラ26は、加工ヘッド6とハンドル14,15a,15bとの間で作用する。振動デカップラ26を介して、第1の構造ユニット2は、リンクユニット4、特に第1のジョイント部品24に接続される。電動モータ11は、振動デカップラ26を介して、第1のジョイント部品24に取り付けられている。振動デカップラ26は、第1の構造ユニット2とリンクユニット4との間の振動運動を減衰させるための4つの減衰要素27を備えている。減衰要素27は、特に回転対称の、特に砂時計型の形状のゴム弾性体として解釈される。それぞれ1つのねじボルト28は、第1の構造ユニット2とリンクユニット4との間に減衰要素27を固定し、互いに対する振動運動を制限する。振動デカップラ26は、インパクトレンチ10で発生した振動がリンクユニット4に伝達されて、ハンドル14,15a,15bを介して作業者に伝達されることを低減する。
【0050】
軌道加工機1は、第1の加工位置では回転軸線7に沿った第1の長手方向の寸法L1を有しており、第2の加工位置では第2の長手方向の寸法L2を有している。長手方向の寸法L1,L2は、回転軸線7に沿って、加工ヘッド6、特にツールコネクタ9を始端として設定されている。加工ツール8は、長手方向の寸法L1,L2の設定の際に考慮されない。第2の長手方向の寸法L2は、例えば、第1の長手方向の寸法L1よりも約37%小さい。
【0051】
軌道加工機1は、特に電動モータ11とインパクトレンチ10とが、加工ヘッド6、特に加工ツール8において、回転軸線7を中心として500Nmの駆動トルクMを提供するように解釈される。
【0052】
軌道加工機1の操作モードは以下の通りである。
【0053】
軌道加工機1は、初期状態では停止している。蓄電池13が充電され、蓄電池レセプタクル12に取り付けられる。加工ツール8は、ツールコネクタ9に取り付けられる。加工機1は、回転軸線7が第2の構造ユニット3の主延在方向23に実質的に平行に配向されている第1の加工位置にある。
【0054】
加工機1は、様々な軌道ねじ接続部29を締め付ける、かつ/または緩めるために使用することができる。垂直なねじ軸線30を有する軌道ねじ接続部29は、例えば、レール31を軌道のまくらぎ32に締結するために使用される。また、水平なねじ軸線30を有する軌道ねじ接続部29は、例えば、非常用ラグコネクタ33に使用される。
【0055】
図1から
図4では、軌道加工機1は、第1の加工位置で示されている。垂直なねじ軸線30で軌道ねじ接続部29を作動させるために、加工機1は、第1の加工位置に配置されている。長手方向の寸法L
1が垂直方向に大きいため、作業者は軌道加工機1を容易に把持し、案内することができ、横方向の寸法が水平方向に小さいため、特に省スペースで使用することができる。
【0056】
操作ユニット20により、軌道加工機1を起動させるためのオペレータコマンドが制御ユニット19に送信される。制御ユニット19は、操作ユニット20を介して検出された更なるオペレータコマンドに基づいて、電動モータ11に供給される電力を調整する。制御ユニット19によって、電力は、蓄電池13から動力コンポーネントを介して電動モータに切り替えられる。軌道ねじ接続部29は、作業者が指定した回転軸線7を中心とした回転方向に応じて、締め付けられるかまたは緩められる。
【0057】
非常用ラグコネクタ33の軌道ねじ接続部29を各々の水平なねじ軸線30で作動させるために、軌道加工機1は第1の加工位置から第2の加工位置へと移行する。この目的のために、作業者は手動で枢動ロック装置を緩め、特にねじボルトをロック位置から解除位置に変位させる。第2の構造ユニット3は、第1の構造ユニット2に対して90°の旋回角度Δαで、手動で旋回させることができる。解除位置における枢動ロック装置の位置は、制御ユニット19によって検出される。軌道加工機1の操作、特に蓄電池13と電動モータ11との間の電力伝送は、制御ユニット19によって阻止される。
【0058】
第2の加工位置では、枢動ロック装置はロック位置に戻り、特に、ねじボルトは、リンクユニット4を第2の加工位置に固定するための対応するボアに係合する。制御ユニット19は、ロック位置における枢動ロック装置の配置を検出し、軌道加工機1を起動させることができる。
【0059】
図5から
図7では、軌道加工機1が第2の加工位置にあることを示している。作業者は、ハンドル14,15a,15bを用いて、軌道加工機1または加工ツール8を、水平なねじ軸線30を有する軌道ねじ接続部29の1つに移動させ、この軌道ねじ接続部29に係合させることができる。縮小させられた長手方向の寸法L
2により、軌道加工機1の水平方向の設置スペース要件は特に小さい。第2の構造ユニット3がハンドル14,15aによって枢動軸線22を中心に上方に枢動されることにより、第2の構造ユニット3は鉛直軸線に対する向きを維持し、軌道加工機1は特に取り扱いが容易になる。
【0060】
第2の加工位置での軌道加工機1の操作モードは、第1の加工位置での軌道加工機1の操作モードに対応している。
【0061】
加工ヘッド6とハンドル14,15a,15bとの間に振動デカップラ26が配置されていることにより、作業者に作用する振動の強度が確実に低減されるようになっている。また、振動デカップラ26が第1の構造ユニット2とリンクユニット4との間に配置されていることにより、リンクユニット4にかかる振動応力も低減される。さらに、第2の構造ユニット3の一部である蓄電池13や制御ユニット19などのセンシティブな電気コンポーネントへの応力も低減される。
【0062】
ドライブトレイン全体、特に電動モータ11およびインパクトレンチ10が振動デカップラ26の振動側に配置されていることにより、ドライブシャフトを挟んだ構造的に複雑で摩耗しやすい振動デカップラを省略することができる。また、振動デカップラ26の操作側に質量の大きい蓄電池13を配置することで、質量の慣性による追加の振動減衰効果がもたらされる。
【0063】
加工ヘッド6を回転駆動するためにインパクトレンチ10が設けられているため、作業者が負担すべきハウジングトルクが大幅に低減される。軌道加工機1は、特に作業者が使用時に使いやすい。
【0064】
軌道加工機1は、特に省スペースで様々な用途の軌道加工に使用することができる。したがって、軌道加工機1は、特に柔軟に使用することができ、用途の範囲が広がる。
【外国語明細書】