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特開2022-29444光変換インク組成物、光変換積層基板、バックライトユニット、光変換画素基板および画像表示装置
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  • 特開-光変換インク組成物、光変換積層基板、バックライトユニット、光変換画素基板および画像表示装置 図1
  • 特開-光変換インク組成物、光変換積層基板、バックライトユニット、光変換画素基板および画像表示装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029444
(43)【公開日】2022-02-17
(54)【発明の名称】光変換インク組成物、光変換積層基板、バックライトユニット、光変換画素基板および画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20220209BHJP
   C09K 11/62 20060101ALI20220209BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20220209BHJP
   C08F 20/26 20060101ALI20220209BHJP
   B41M 5/00 20060101ALN20220209BHJP
【FI】
G02B5/20
C09K11/62
C09K11/08 G
C08F20/26
B41M5/00 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127738
(22)【出願日】2021-08-03
(31)【優先権主張番号】10-2020-0097493
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 胄 皓
(72)【発明者】
【氏名】金 召 喜
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲ヒョン▼ 佑
(72)【発明者】
【氏名】金 亨 柱
(72)【発明者】
【氏名】申 奎 ▲チュル▼
(72)【発明者】
【氏名】王 賢 正
【テーマコード(参考)】
2H148
2H186
4H001
4J100
【Fターム(参考)】
2H148AA07
2H148AA11
2H148AA19
2H148AA25
2H186AB11
2H186BA08
2H186DA18
2H186FB04
2H186FB11
2H186FB36
2H186FB38
2H186FB44
2H186FB46
2H186FB56
4H001CC07
4H001CC13
4H001XA16
4H001XA31
4H001XA47
4H001XA49
4J100AL62P
4J100AL63Q
4J100AL66P
4J100AL67Q
4J100BA02Q
4J100BA03P
4J100BA08P
4J100CA23
4J100JA07
4J100JA32
(57)【要約】
【課題】光変換特性および連続インクジェット工程に優れた光変換インク組成物を提供すること。
【解決手段】発光粒子および重合性モノマーを含み、前記発光粒子は、Ag、In、GaおよびSを含むコアと、In、GaおよびSの少なくとも2種の元素を含むシェルとを含むことを特徴とする、光変換インク組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光粒子および重合性モノマーを含み、
前記発光粒子は、
Ag、In、GaおよびSを含むコアと、
In、GaおよびSの少なくとも2種の元素を含むシェルとを含むことを特徴とする、光変換インク組成物。
【請求項2】
前記発光粒子は、表面上にリガンド層を有し、
前記リガンド層が下記化学式1で表される化合物を含む、請求項1に記載の光変換インク組成物。
【化1】

(前記化学式1において、
Aは、-NHまたは-SHであり、
およびRは、互いに独立に、直接連結、または、C1~C12のアルキレン基であり、
は、C1~C10のアルキル基またはC1~C10アルケニル基またはC4~C10のアリール基であり、
は、

であり、
mおよびnは、それぞれ独立に、0~10の整数であるが、同時に0ではない。)
【請求項3】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1~1-13のいずれか一つで表される、請求項2に記載の光変換インク組成物。
【化1-1】

【化1-2】

【化1-3】

【化1-4】

【化1-5】

【化1-6】

【化1-7】

【化1-8】

【化1-9】

【化1-10】

【化1-11】

【化1-12】

【化1-13】

【請求項4】
前記シェルは、GaSを含む、請求項1に記載の光変換インク組成物。
【請求項5】
前記重合性モノマーは、下記化学式2で表される化合物を含む、請求項1に記載の光変換インク組成物:
【化2】

前記化学式(2)において、
は、C~C20のアルキレン基、フェニレン基またはC~C10のシクロアルキレン基であり、
およびRは、それぞれ独立に、水素またはメチル基であり、
lは、1~15の整数である。
【請求項6】
前記重合性モノマーは、単官能または3つ以上の不飽和二重結合を有する多官能モノマーをさらに含む、請求項5に記載の光変換インク組成物。
【請求項7】
前記化学式1で表される化合物は、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、2-ヒドロキシ-3-メタクリルプロピルアクリレート、1,9-ビスアクリロイルオキシノナンおよびトリプロピレングリコールジアクリレートより選択される1種以上を含む、請求項5に記載の光変換インク組成物。
【請求項8】
散乱粒子、光重合開始剤、添加剤および溶剤より選択された1種以上をさらに含む、請求項1に記載の光変換インク組成物。
【請求項9】
前記散乱粒子は、Al、SiO、ZnO、ZrO、BaTiO、TiO、Ta、Ti、ITO、IZO、ATO、ZnO-Al、Nb、SnO、MgO、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上を含む、請求項8に記載の光変換インク組成物。
【請求項10】
溶剤を含まない無溶剤型である、請求項1に記載の光変換インク組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の光変換インク組成物を用いて製造された、光変換積層基板。
【請求項12】
請求項11に記載の光変換積層基板を含む、バックライトユニット。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の光変換インク組成物を用いて製造された、光変換画素基板。
【請求項14】
請求項12に記載のバックライトユニット、または、請求項13に記載の光変換画素基板を含む、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変換インク組成物、これを用いて製造された光変換積層基板および光変換画素基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報化社会が発展するにつれて、画像を表示するための表示装置に対するニーズが様々な形で増加しており、近年では、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)、プラズマ表示装置(PDP:Plasma Display Panel)、有機電界発光表示装置(OLED:Organic Light Emitting Diode Display Device)のような様々な表示装置が活用されている。
【0003】
色再現率は、表示装置において最も重要な要素の一つである。最近では、表示装置の色再現率を高めるための案の一例として、通常の白色LEDの代わりに青色LEDを用い、別の光変換手段である量子ドット(quantum dot)を含む光変換積層基板を備えた表示装置が使用されている。例えば、青色のLEDチップを使用したバックライトまたは画素を含むカラーフィルタに、量子ドットが分散された光変換層を含む光変換積層基板または光変換画素基板を適用して光変換効率を高めることにより、表示装置の色再現性を向上させようとする。
【0004】
一方、光変換画素が適用されたカラーフィルタを製造するために、量子ドットのような発光粒子を含む組成物を用いたフォトリソグラフィ方法を使用することができる。しかし、このような方法は、カラーフィルタの精巧性と再現性の面では優れているが、画素を形成するために、それぞれの色に対して、コーティング、露光、現像および硬化する過程がそれぞれ求められ、製造工程、時間およびコストが増え、工程間の制御因子が多くなり、歩留まりの管理に困難がある。
【0005】
このような問題点を解決するために、インクジェット(inkjet)方法が提示されている。インクジェット方法は、インクジェットヘッド(inkjet head)を使用して区画されている所定の位置に液体インクを噴射し、それぞれのインクが着色されたイメージを実現する技術であって、赤色、緑色および青色を含む複数の色を一度に着色することができ、製造工程、時間およびコストを大幅に節減することができる。
【0006】
これに関連して、韓国登録特許公報第10-1475520号において、インクジェットプリント用量子ドットインク組成物に関する技術を、韓国登録特許公報第10-1628065号において、発光複合体を含む組成物に関する技術を開示しているが、光変換効率およびジェッティング時間による膜厚の変化が激しく、ムラとして視認される問題がある。
【0007】
したがって、光変換効率に優れた光変換積層基板および光変換画素基板を形成することができ、パターンの膜厚の均一性に優れた特性を有する光変換インク組成物の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特許文献1:韓国登録特許公報第10-1475520号
特許文献2:韓国登録特許公報第10-1628065号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、光変換特性および連続インクジェット工程に優れた光変換インク組成物を提供することを一つの目的とする。
【0010】
また、本発明は、前記光変換インク組成物を用いて製造された光変換積層基板および光変換画素基板を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明は、発光粒子および重合性モノマーを含み、前記発光粒子は、Ag、In、GaおよびSを含むコアと、In、GaおよびSの少なくとも2種の元素を含むシェルとを含む光変換インク組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、前記光変換インク組成物を用いて製造された光変換積層基板および光変換画素基板を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る光変換インク組成物を用いると、相対的に高い光変換効率が生じ、優れた輝度が得られるだけでなく、ジェッティング時間による膜厚の変化が低く、均一なパターンの実現が可能である。したがって、連続工程の進行時に、ムラのない優れた光変換塗膜を提供することができる。
【0014】
本発明は、前記光変換インク組成物を用いて、バックライトユニットまたは光変換画素基板に有用に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の光変換効率の測定結果を説明するための図である。
図2】本発明の塗膜の均一度の評価に用いられた基材を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、発光粒子および重合性モノマーを含み、前記発光粒子として特定した金属元素を含むコアおよびシェルを含むことにより、光変換効率およびジェッティング特性に優れた光変換インク組成物、およびこれを用いて製造された光変換積層基板および光変換画素基板を提供する。
【0017】
具体的には、本発明は、Ag、In、GaおよびSを含むコアと、In、GaおよびSの少なくとも2種の元素を含むシェルとを含む発光粒子を含むことによって、青色光源に対する吸収が向上される特性があり、光変換効率が向上されることを特徴とする。特に、In、Ga、Sの少なくとも2種の元素を含むシェルを含んでおり、狭い半値幅の実現が可能であり、色純度に優れた特徴を付与することができる。
【0018】
また、本発明の光変換インク組成物を用いて製造されたバックライトユニット、および/または光変換画素基板を含む画像表示装置は、変換されて放出される光の半値幅が40nm以下の場合、色純度に優れ、NTSC色再現領域を基準として100%以上の色再現性を確保することができるという利点がある。
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
<光変換インク組成物>
本発明の光変換インク組成物は、発光粒子および重合性モノマーを含み、散乱粒子、光重合開始剤、添加剤および溶剤のうち1種以上をさらに含んでもよい。
【0020】
発光粒子
発光粒子は、例えば、所定の波長の光を吸収することにより、吸収した波長とは異なる波長の光を発することができる。発光性ナノ結晶粒子は、605~665nmの範囲に発光ピーク波長を有する光(赤色光)を発する赤色発光粒子であってもよいし、500~600nmの範囲に発光ピーク波長を有する光(緑色光)を発する緑色発光粒子であってもよいし、420~480nmの範囲に発光ピーク波長を有する光(青色光)を発する青色発光粒子であってもよい。本発明の光変換インク組成物は、前記発光粒子の少なくとも1種を含むものが好ましい。
【0021】
本発明において、前記発光粒子は、半導体材料を含むものであって、例えば、量子ドットなどが挙げられる。
【0022】
本発明の一実施例によれば、前記発光粒子は、表面上にリガンド層を有し、前記リガンド層が下記化学式1で表される化合物を含んでもよい。
【0023】
【化1】
【0024】
前記化学式1において、
Aは、-NHまたは-SHであり、
およびRは、互いに独立に、直接連結、または、C1~C12のアルキレン基であり、
は、C1~C10のアルキル基またはC1~C10アルケニル基またはC4~C10のアリール基であり、
は、
【0025】
であり、
mおよびnは、それぞれ独立に、0~10の整数であるが、同時に0ではない。
【0026】
本発明の一実施例において、前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1~1-13のいずれかで表される化合物であってもよい。
【0027】
【化1-1】
【0028】
【化1-2】
【0029】
【化1-3】
【0030】
【化1-4】
【0031】
【化1-5】
【0032】
【化1-6】
【0033】
【化1-7】
【0034】
【化1-8】
【0035】
【化1-9】
【0036】
【化1-10】
【0037】
【化1-11】
【0038】
【化1-12】
【0039】
【化1-13】
【0040】
本発明において、前記化学式1で表される化合物は、有機リガンドであって、発光粒子(量子ドット)の表面に配位結合して量子ドットを安定化する役割を果たす。したがって、本発明の発光粒子が表面上に前記化学式1で表される化合物を含むリガンド層を有する場合、優れた発光特性、光維持率および工程特性を示すことができる。
【0041】
通常製造された量子ドットは、表面上にリガンド層を有することが一般的であり、製造直後、リガンド層は、オレイン酸(oleic acid)、ラウリン酸(lauric acid)、2-(2-メトキシエトキシ)酢酸、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、およびコハク酸モノ-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エチル]エステルなどからなってもよい。この場合、前記化学式1で表される化合物をリガンド層として含む本発明の量子ドットと比較して、リガンド層と量子ドットとの間のより弱い結合力によって量子ドットの表面の非結合の欠陥による理由で、表面保護効果が低下することがある。また、オレイン酸の場合、高揮発性化合物(VOC;volatile organic compound)であるn-ヘキサンのような飽和炭化水素系溶剤、クロロホルム、ベンゼンなどのような芳香族系溶剤に分散されやすいが、PGMEAのような溶剤やモノマー(光重合性化合物)には分散性が不良である。
【0042】
本発明に係る量子ドットは、リガンド層に、前記化学式1で表される化合物を含むことにより、量子ドットの表面が保護されることによって、従来の量子ドットに比べて優れた酸化安定性が生じるだけでなく、モノマーでの分散性に非常に優れており、光特性を向上させる効果を奏する。
【0043】
また、本発明の量子ドットは、クロロホルムなどの芳香族系溶剤だけでなく、PGMEAのような溶剤でも、優れた分散性が生じ、QLED素子の製造時に適用することができる。
【0044】
一部の実施例において、本発明に係る量子ドットは、リガンド層に、前記化学式1で表される化合物を含みながら、オレイン酸(oleic acid)、ラウリン酸(lauric acid)、2-(2-メトキシエトキシ)酢酸、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、およびコハク酸モノ-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エチル]エステルなどをさらに含んでもよい。
【0045】
本発明の一実施例において、前記量子ドットは、コアおよび前記コアの少なくとも一部を覆うシェルを含むコア-シェル構造を有する。
【0046】
本発明において、前記コア-シェル構造は、コアと第1シェルとからなる構造、例えば、コア/シェル構造であってもよいし、コアと第1シェルおよび第2シェルとからなる構造、すなわち、コア/シェル/シェル構造であってもよい。
【0047】
前記コアは、銀(Ag)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)および硫黄(S)の四元素化合物を含む。例えば、前記コアはAgInGaSである。このようなコアは、短波長の光源をより効率的に吸収し、発光領域の光吸収率は最小化できるという利点があるので、少ない含有量でも優れた光変換効率を期待することができる。
【0048】
前記シェルは、In、GaおよびSの少なくとも2種の元素を含み、例えば、GaS、などを含んでもよい。本発明において、前記シェルは、コアのトラップエミッションを抑制して発光波長の半値幅を狭く維持することができるので、色純度が向上される機能をする。
【0049】
例示的な実施例によると、コア-シェル構造の量子ドットは、AgInGaS/GaSなどが挙げられ、これに制限されるものではない。
【0050】
一部の実施例において、本発明は、必要に応じて、前述したコア-シェル構造のほかに、他の構造の量子ドットをさらに含んでもよい。例えば、InP/ZnSe/ZnS、InP/ZnS、InGaP/ZnS、InGaP/ZnSe/ZnSなどのコア-シェル構造の量子ドットをさらに含んでもよいが、これに制限されるものではない。
【0051】
前記量子ドットは、湿式化学工程(wet chemical process)、有機金属化学蒸着工程(MOCVD、metal organic chemical vapor deposition)、または分子線エピタキシー工程(MBE、molecular beam epitaxy)によって合成されてもよいが、これに限定されるものではなく、好ましくは、湿式化学工程(wet chemical process)によって合成することが、より光特性に優れた量子ドットを得ることができる。
【0052】
前記湿式化学工程とは、有機溶剤に前駆体物質を入れて粒子を成長させる方法である。結晶が成長されるとき、有機溶剤が自然に量子ドット結晶の表面に配位して分散剤の役割をし、結晶の成長を調節することになるので、有機金属化学蒸着工程や分子線エピタキシーのような気相蒸着法よりも、より容易で安価な工程を通じて、ナノ粒子の成長を制御することができるので、前記湿式化学工程を使用して前記量子ドットを製造することが好ましい。
【0053】
本発明において、前記発光粒子は、前記光変換インク組成物内の固形成分100重量%に対して、3~50重量%、好ましくは、5~45重量%、より好ましくは、8~40重量%で含まれてもよい。発光粒子が前記範囲内で含まれる場合、光変換効率を向上させることができる。
【0054】
前記発光粒子が、前記含有量の範囲の未満で含まれる場合、光変換効率が低下して高品位の表示装置の実現が困難になることがある。また、前記含有量の範囲を超える場合、硬化を実現する成分が不足して塗膜の硬化度の不足によって、ディスプレイ製造の後工程の生産性および製品の信頼性を低下させることがある。
【0055】
重合性モノマー
本発明の一実施形態において、光変換インク組成物は、重合性モノマーを含む。
【0056】
前記重合性モノマーは、下記化学式2で表される化合物を含んでもよい。
【0057】
【化2】
【0058】
前記化学式2において、
は、C~C20のアルキレン基、フェニレン基またはC~C10のシクロアルキレン基であり、
およびRは、それぞれ独立に、水素またはメチル基であり、lは、1~15の整数であってもよい。
【0059】
本明細書で使用されるC~C20のアルキレン基は、炭素数1~20個から構成された直鎖型または分枝型の2価炭化水素を意味し、例えば、メチレン、エチレン、n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、イソブチレン、n-ペンチレン、n-ヘキシレン、n-ヘプチレン、n-オクチレン、n-ノニレンなどが含まれるが、これに限定されるものではない。
【0060】
本明細書で使用されるC~C10のシクロアルキレン基、炭素数3~10個から構成された単純または融合環状2価炭化水素を意味し、例えば、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレンなどが含まれるが、これに限定されるものではない。
【0061】
前記C~C20のアルキレン基、フェニレン基およびC~C10のシクロアルキレン基は、1つまたはそれ以上の水素がC~Cのアルキル基、C~Cのアルケニル基、C~Cのアルキニル基、C~C10のシクロアルキル基、C~C10のヘテロシクロアルキル基、C~C10のヘテロシクロアルキルオキシ基、C~Cのハロアルキル基、C~Cのアルコキシ基、C~Cのチオアルコキシ基、アリール基、アシル基、ヒドロキシ、チオ(thio)、ハロゲン、アミノ、アルコキシカルボニル、カルボキシ、カルバモイル、シアノ、ニトロなどに置き換えられてもよい。
【0062】
本発明の一実施形態において、Rは、C~C20のアルキレン基であってもよいし、好ましくは、C~C16のアルキレン基であってもよい。RがC~C20のアルキレン基である場合、本発明の光変換インク組成物は、溶剤がなくても発光粒子の分散性に優れていて、ジェッティングが改善され、塗膜硬度および厚さの均一度を向上させることができる。
【0063】
本発明の一実施例によると、前記lは、前述のように、1~15の整数であってもよいし、好ましくは、1~5の整数であってもよい。前記範囲を超える場合、粘度が高いため、分散性が低下することがある。
【0064】
前記化学式2で表される化合物の具体例としては、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、2-ヒドロキシ-3-メタクリルプロピルアクリレート、1,9-ビスアクリロイルオキシノナンは、トリプロピレングリコールジアクリレートなどが挙げられ、これに制限されるものではない。
【0065】
前記化学式2で表される化合物は、発光粒子の分散性を向上させることにより、溶剤がなくても80cP以下の低粘度光変換インク組成物の実現を可能とする。これにより、本発明に係る光変換インク組成物は、インクジェット印刷方式で光変換積層基板を製造するのに効果的に使用することができる。
【0066】
本発明の光変換インク組成物は、前記化学式(2)で表される重合性モノマーの他にも、本発明の目的から外れない限度内で、当分野において通常使用される重合性化合物をさらに含んでもよい。例えば、単官能単量体、2官能単量体、その他の多官能単量体などが挙げられ、これらの中で、2官能単量体が好ましく使用される。
【0067】
前記単官能単量体の種類は、特に限定されず、例えば、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0068】
前記2官能単量体の種類は、特に限定されず、例えば、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテルなどが挙げられる。
【0069】
前記多官能単量体の種類は、特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシレーテッドジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0070】
このとき、3官能以上、多官能硬化性モノマーをさらに含む場合、インク組成物の粘度を80cP以内に制御する場合、インクジェット特性を得ることができる。
【0071】
前記重合性モノマーは、光変換インク組成物固形分全体100重量%に対して、30~95重量%、好ましくは、40~90重量%で含まれてもよい。前記重合性モノマーが前記範囲内で含まれる場合、画素部の強度や平滑性の面で好ましいという利点がある。前記重合性モノマーが前記範囲未満で含まれる場合、インクジェッティングのための流動性の確保が難しくなり、前記範囲を超えて含まれる場合、発光粒子の含有量が不足して発光効率が低下するという問題を誘起することがあるので、前記範囲内で含まれることが好ましい。
【0072】
散乱粒子
本発明に係る光変換インク組成物は、散乱粒子をさらに含んでもよい。
【0073】
前記散乱粒子は、通常の無機材料を使用してもよいし、好ましくは、平均粒径が50~1000nmである金属酸化物を含んでもよい。
【0074】
前記金属酸化物は、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Mo、Cs、Ba、La、Hf、W、Tl、Pb、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Ti、Sb、Sn、Zr、Nb、Ce、Ta、In、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1種の金属を含む酸化物であってもよいが、これに限定されない。
【0075】
具体的には、Al、SiO、ZnO、ZrO、BaTiO、TiO、Ta、Ti、ITO、IZO、ATO、ZnO-Al、Nb、SnO、MgO、BaSO、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1種が使用可能である。必要に応じて、アクリレートなどの不飽和結合を有する化合物で表面処理された材料も使用可能である。
【0076】
本発明に係る光変換インク組成物が散乱粒子を含む場合、前記散乱粒子を通じて発光粒子から放出された光の経路を増加させ、光変換コート層での全体としての光効率を高めることができるので、好ましい。このような面で、本発明の光変換インク組成物は、散乱粒子として、TiO、SiO、ZnO、BaSOの中から選択された1種以上を含むものが好ましい。
【0077】
前記散乱粒子は、50~1000nmの平均粒径を有してもよいし、好ましくは、100~500nmの範囲のものを使用する。このとき、粒子の大きさが小さ過ぎると、量子ドットから放出された光の十分な散乱効果が期待できず、これとは逆に、大き過ぎる場合には、組成物内に沈んだり、均一な品質の自発光層の表面が得られないので、前記範囲内で適宜調節して使用する。
【0078】
前記散乱粒子は、前記光変換インク組成物固形分全体100重量%に対して、0.5~20重量%、好ましくは、1~15重量%、より好ましくは、2~10重量%で含まれてもよい。前記散乱粒子が前記範囲内で含まれる場合、発光強度の増加効果を極大化することができるので、好ましい。前記散乱粒子が前記範囲未満で含まれる場合、得ようとする発光強度の確保がやや難しく、前記範囲を超える場合、青色照射光の透過度が顕著に低下して発光粒子の光変換が作用しないという問題があるので、前記範囲内で適宜使用することが好ましい。
【0079】
光重合開始剤
本発明の一実施例に係る光変換インク組成物は、光重合開始剤をさらに含んでもよい。
【0080】
本発明の一実施例において、前記光重合開始剤は、前記重合性モノマーを重合させることができるものであれば、その種類を特に制限することなく使用することができる。例えば、前記光重合開始剤は、重合特性、開始効率、吸収波長、入手性、価格などの観点から、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、非イミダゾール系化合物、オキシム系化合物、チオキサントン系化合物、およびホスフィンオキシド化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用するものが好ましい。
【0081】
例えば、5μm以上の厚膜硬化のためには、オキシム系化合物またはホスフィンオキシド化合物を使用することが、硬化膜の硬化密度および表面粗さにより優れた物性を確保することができる。
【0082】
前記オキシム系化合物の具体的な例としては、o-エトキシカルボニル-α-オキシイアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられ、市販品として、BASF社のIrgacure OXE 01、OXE 02が代表的である。
【0083】
前記ホスフィンオキシド化合物の具体的な例としては、トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシドであるBASF社のDarocur TPO、Lucirin TPOが代表的である。
【0084】
前記光重合開始剤は、前記光変換インク組成物固形分全体100重量%に対して0.1~10重量%、好ましくは、0.5~8重量%で含まれてもよい。前記光重合開始剤が前記範囲内で含まれる場合、前記光変換インク組成物が高感度化して露光時間が短縮されるため、生産性を向上させることができるので、好ましい。光重合開始剤が前記範囲未満で含まれる場合、光による硬化が不足して十分な硬度を得ることができず、前記範囲を超えて含まれる場合、光重合開始剤による発光粒子の光変換効率の低下が急激に増加し、得ようとする発光強度が得られないという問題があるので、前記範囲内で使用することが画素部の強度と前記画素部の表面での平滑性が良好になるという利点がある。
【0085】
前記光重合開始剤は、本発明に係る光変換インク組成物の感度を向上させるために、光重合開始助剤をさらに含んでもよい。前記光重合開始助剤が含まれる場合、感度がさらに高くなり、生産性が向上されるという利点がある。
【0086】
前記光重合開始助剤は、例えば、アミン化合物、カルボン酸化合物、チオール基を有する有機硫黄化合物からなる群より選択される1種以上の化合物が好ましく使用してもよいが、これに限定されない。
【0087】
前記光重合開始助剤は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜追加して使用することができる。
【0088】
添加剤
本発明の一実施形態に係る光変換インク組成物は、前記した成分のほかに、塗膜の平坦性または密着性を増進させるために、界面活性剤、密着促進剤のような添加剤をさらに含んでもよい。
【0089】
本発明に係る光変換インク組成物が、前記界面活性剤を含む場合、塗膜の平坦性を向上させることができるという利点がある。例えば、前記界面活性剤は、BM-1000、BM-1100(BM Chemie社)、プロライドFC-135/FC-170C/FC-430(住友スリーエム株式会社)、SH-28PA/-190/-8400/SZ-6032(東レ・シリコン株式会社)などのフッ素系界面活性剤を使用してもよいが、これに限定されない。
【0090】
前記密着促進剤は、基板との密着性を高めるために添加できるものであって、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される反応性置換基を有するシランカップリング剤を含んでもよいが、これに限定されるものではない。
【0091】
その他にも、本発明に係る光変換インク組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤のような添加剤をさらに含んでもよいし、前記添加剤もまた、本発明の効果を阻害しない範囲で当業者が適宜追加して使用可能である。
【0092】
前記添加剤は、前記光変換インク組成物固形分全体100重量%に対して、0.01~10重量%、具体的に0.02~8重量%、より具体的に0.03~5重量%で使用してもよいが、これに限定されるものではない。
【0093】
前記添加剤は、前記範囲内で含まれる場合、前記光変換インク組成物の平坦性、密着性などを向上させることができるので、好ましい。添加剤が前記範囲未満で含まれる場合、期待する平坦性または密着性などの効果が十分でないことがあり、前記範囲を超えて含まれる場合、発光粒子または重合性モノマーの含有量が減り、発光強度の低下または硬化膜の硬化度の低下などの問題があるので、前記範囲内で使用することが画素部の強度および前記画素部の表面での平坦性または密着性が良好になるという利点がある。
【0094】
溶剤
本発明の一実施例に係る光変換インク組成物は、溶剤をさらに含んでもよいし、溶剤を含まない無溶剤型であってもよい。本発明の光変換インク組成物が溶剤を含む場合、例えば、光変換インク組成物全体100重量%に対して、20質量%以下の量で溶剤をさらに含んでもよい。
【0095】
好ましくは、本発明の一実施例に係る光変換インク組成物は、連続工程性の面で溶剤を含まない無溶剤型であってもよい。
【0096】
本発明の光変換組成物は、溶剤を含まない無溶剤型の場合であっても、前述した重合性モノマーを含むことにより、発光粒子の光特性および分散性に優れ、低粘度の実現が可能であり、インクのノズルジェッティング特性に優れている。
【0097】
前記溶剤では、エーテルまたはエステル系溶剤、脂肪族飽和炭化水素系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などを使用してもよいし、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類、γ-ブチロラクトンなどの環状エステル類などを使用してもよい。
【0098】
<光変換積層基板、バックライトユニットおよび画像表示装置>
本発明の一実施形態は、発光素子が放出する光を吸収して、青色、緑色または赤色に変換して放出する光変換積層基板であって、前記光変換積層基板は、前述した光変換インク組成物を用いて形成される。
【0099】
また、本発明は、前述した光変換インク組成物を用いて製造された、レッド(RED)、グリーン(GREEN)およびブルー(BLUE)のカラーフィルタ機能をする光変換画素基板を提供することができる。
【0100】
前記光変換積層基板および/または光変換画素基板は、前述した光変換インク組成物をインクジェット方式で所定の領域に塗布し、前記塗布された光変換インク組成物を硬化させて形成することができる。
【0101】
前記基材としては、ガラス基板、シリコン基板、ポリカーボネート基板、ポリエステル基板、芳香族ポリアミド基板、ポリアミドイミド基板、ポリイミド基板、Al基板、GaAs基板などの表面が平坦な基板が挙げられるが、これに制限されるものではない。これらの基板は、シランカップリング剤などの薬品による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング処理、スパッタリング処理、気相反応処理、真空蒸着処理などの前処理を行うことができる。基板として、シリコン基板などを使用する場合、シリコン基板などの表面には、電荷結合素子(CCD)、薄膜トランジスタ(TFT)などを形成されてもよい。また、隔壁マトリックスが形成されていてもよい。前記硬化は、熱硬化条件で行ってもよい。
【0102】
例えば、前記硬化は、100~250℃、好ましくは、150~230℃で、5分~30分、好ましくは、10分間行ってもよい。
【0103】
インクジェット噴射器の一例であるピエゾインクジェットヘッドから噴射され、基板上で適切な相(phase)を形成するために、粘度、流動性、量子ドット粒子などの特性をインクジェットヘッドにバランスよく合わせる必要がある。本発明で使用されたピエゾインクジェットヘッドは制限されないが、約3~100pL、好ましくは、約5~40pLの液滴大きさを有するインクを噴射する。
【0104】
本発明の光変換インク組成物の粘度は、約3~50cPが適当であり、より好ましくは、7~40cPの範囲で調節される。
【0105】
本発明に係る光変換積層基板は、青色光源に適用される場合、優れた光出力が生じ得る。
【0106】
本発明の一実施例は、緑色光を発光させる緑色発光素子であって、具体的には、500~600nm波長の緑色光を放出するものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0107】
前記緑色発光素子は、緑色発光ダイオード(LED)であってもよい。
本発明の一実施形態は、前記青色光源に適用された光変換積層基板を含むことを特徴とするバックライトユニットに関するものである。
【0108】
前記バックライトユニットは、導光板、反射板などの通常含まれる構成をさらに含んでもよい。
【0109】
本発明の一実施形態は、前記バックライトユニットを含む画像表示装置に関するものである。
【0110】
本発明の画像表示装置は、通常の液晶表示装置だけでなく、電界発光表示装置、プラズマ表示装置、電界放出表示装置などの各種の画像表示装置を含む。
【0111】
また、本発明の一実施形態は、前述した光変換インク組成物の硬化物を含む光変換画素に関するものである。
【0112】
例えば、前述した光変換インク組成物をインクジェット方式で所定の領域に塗布するステップおよび前記塗布された光変換インク組成物を硬化するステップを含み、光変換インク組成物のパターンを形成することにより、光変換画素を製造することができる。
【実施例0113】
以下、本発明の理解のために、具体的な実施例および比較例を含む実験例を提示するが、これは、本発明を例示するものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を制限するものではなく、本発明の範疇および技術思想の範囲内で実施例に対する様々な変更および修正が可能であることは当業者にとって自明であり、このような変形および修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。なお、以下で含有量を示す「%」および「部」は、特に言及しない限り、重量基準である。
【0114】
合成例
合成例1:AgInGaS/GaSコア-シェル発光粒子の合成(A-2)
0.0625mmolのヨウ化銀(AgI、99.999%)、1.25mmolのガリウムアセチルアセトネート(Ga(acac)3、99.99%)および1mmolの硫黄(99.998%)を、1-ドデカンチオール(DDT≧98%)1.5mLおよびオレイルアミン(OLA、70%)5mLと共にプラス(three-neck flask)に入れて混合溶液を製造し、混合溶液を120℃で加熱してディガスした後、N2パージをし、成長温度である240℃まで昇温した。この温度で30分間保持してAGSコアQDを成長させた。このAGSコア溶液に0.01mmolのインジウムアセテート(In(Ac)3、99.99%)を追加した。混合溶液を120℃で加熱してディガスした後、N2パージをし、成長温度である240℃まで昇温した。この温度で10分間保持してAIGSコアQDを成長させた。
【0115】
30nmolのAIGSコアQDを7mlのオレイルアミン、0.1mmolのガリウムアセチルアセトネート(Ga(acac)3、99.99%)、0.1mmolの1,3-dimethyl-thioureaと共に混合し、急速に230℃まで昇温した。そして、inert条件で1分当たり2℃ずつ増加させ、280℃まで昇温した。溶液を再び常温に冷却させ、30分間反応に参与しない硫黄化合物をディガスして除去する。量子ドットは、エタノールに沈殿させ、遠心分離して精製した後、減圧乾燥を行い、AgInGaS/GaS量子ドットパウダーを得た。
【0116】
得られた量子ドットパウダーをクロロホルム溶液に0.1w%に希釈した後、QE-2100(大塚電子)を用いて、発光波長および半値幅を測定した。発光波長および半値幅を測定した結果、それぞれ523nm、33nmであった。
【0117】
合成例2:AgInGaS/ZnSコア-シェル発光粒子の合成(A-3)
0.0625mmolのヨウ化銀(AgI、99.999%)、1.25mmolのガリウムアセチルアセトネート(Ga(acac)3、99.99%)および1mmolの硫黄(99.998%)を、1-ドデカンチオール(DDT≧98%)1.5mLおよびオレイルアミン(OLA、70%)5mLと共にプラス(three-neck flask)に入れて混合溶液を製造し、混合溶液を120℃で加熱してディガスした後、N2パージをし、成長温度である240℃まで昇温した。この温度で30分間保持してAGSコアQDを成長させた。このAGSコア溶液に0.01mmolのインジウムアセテート(In(Ac)3、99.99%)を追加した。混合溶液を120℃で加熱してディガスした後、N2パージをし、成長温度である240℃まで昇温した。この温度で30分間保持してAIGSコアQDを成長させた。
【0118】
三口フラスコに、亜鉛アセテート8mmol、オレイン酸8mLおよび1-オクタデセン4mLを入れ、撹拌しながら、110℃、100mTorr下で30分間脱気(degassing)過程を経た後、溶液が透明になるまで非活性ガス下で270℃の温度で加熱した後、60℃に冷却させ、透明な亜鉛オレエート形の亜鉛前駆体溶液を得た。
【0119】
三口フラスコに、硫黄(S)8mmolおよびトリ-n-オクチルホスフィン(TOP)10mLを入れ、溶液が透明になるまで非活性ガス雰囲気下で撹拌しながら、80℃の温度で加熱した後、常温に冷却させてTOP:S形の硫黄前駆体溶液を得た。
【0120】
別の三口フラスコに、AIGSのナノ粒子溶液を入れ、フラスコの温度を240℃に調節した後、予め用意した亜鉛前駆体溶液0.6mLをシリンジを用いて迅速に注入した。この後、予め用意した硫黄前駆体溶液0.3mLをシリンジポンプを用いて2mL/hrの速度でフラスコに注入した。注入が終わった後、1時間反応をさらに進行し、迅速に冷却させて反応を終結させた。量子ドットは、エタノールに沈殿させ、遠心分離して精製した後、減圧乾燥を行い、AgInGaS/ZnS量子ドットパウダーを得た。得られた量子ドットパウダーの発光波長および半値幅は、合成例1と同一の方法を通じて測定した結果、それぞれ523nm、42nmであることを確認した。
【0121】
合成例3:AgInGaS/ZnSe/ZnSコア-シェル発光粒子の合成(A-4)
0.0625mmolのAgI(99.999%)、1.25mmolのガリウムアセチルアセトネート(Ga(acac)3、99.99%)および1mmolの硫黄(99.998%)を、1-ドデカンチオール(DDT≧98%)1.5mLおよびオレイルアミン(OLA、70%)5mLと共にプラス(three-neck flask)に入れて混合溶液を製造し、混合溶液を120℃で加熱してディガスした後、N2パージをし、成長温度である240℃まで昇温した。この温度で30分間保持してAGSコアQDを成長させた。このAGSコア溶液に0.01mmolのインジウムアセテート(In(Ac)3、99.99%)を追加した。混合溶液を120℃で加熱してディガスした後、N2パージをし、成長温度である240℃まで昇温した。この温度で30分間保持してAIGSコアQDを成長させた。
【0122】
続いて、亜鉛アセテート8mmol、オレイン酸16mmolおよびトリオクチルアミン20mLを反応器に入れ、真空下で120℃で加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に入れ替えて反応器を280℃に昇温させた。先に合成したコア溶液2mLを入れ、続いて、トリオクチルホスフィン中のセレン(Se/TOP)16mmolを入れた後、最終混合物を2時間の間反応させた。常温に迅速に冷やした反応溶液にエタノールを入れ、遠心分離して得た沈殿を減圧ろ過した後、減圧乾燥してAgInGaS/ZnSeコア-シェルを形成させた。
【0123】
続いて、亜鉛アセテート8mmol、オレイン酸16mmolおよびトリオクチルアミン20mLを反応器に入れ、真空下で120℃で加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に入れ替えて反応器を280℃に昇温させた。先に合成したコア溶液2mLを入れ、続いて、トリオクチルホスフィン中の硫黄(S/TOP)16mmolを入れた後、最終混合物を2時間の間反応させた。量子ドットは、エタノールに沈殿させ、遠心分離して精製した後、AgInGaS/ZnSe/ZnS量子ドットパウダーを得た。得られた量子ドットの発光波長および半値幅を測定した結果、それぞれ525nm、45nmであった。
【0124】
合成例4:InP/ZnSコア-シェル発光粒子の合成(A-5)
三口フラスコ(3-neck flask)にインジウムアセテート0.05839g、オレイン酸0.12019gおよび1-オクタデセン(ODE)10mLを入れた。前記フラスコを撹拌しながら、110℃、100mTorr下で30分間脱気(degassing)過程を経た後、溶液が透明になるまで非活性ガス下で270℃の温度で加熱した。
【0125】
リン(P)前駆体として、トリス(トリメチルシリル)ホスフィンを0.025054g用意し、1-オクタデセン0.5mLとトリ-n-オクチルホスフィン0.5mLに入れて撹拌し、これを非活性ガス下で270℃で加熱された前記フラスコに迅速に注入した。1時間の間反応させた後、急速に冷却させて反応を終結させた。以降、フラスコの温度が100℃に達したとき、10mLのトルエンを注入した後、50mLの遠心分離チューブに移し入れた。エタノール10mLを添加した後、沈殿および再分散方法を用いて2回精製した。精製されたInPコアナノ粒子を1-オクタデセンに分散させた後、保存した。
【0126】
三口フラスコに、亜鉛アセテート3.669g、オレイン酸20mLおよび1-オクタデセン20mLを入れ、撹拌しながら、110℃、100mTorr下で30分間脱気(degassing)過程を経た後、溶液が透明になるまで非活性ガス下で270℃の温度で加熱した後、60℃に冷却させ、透明な亜鉛オレエート形の亜鉛前駆体溶液を得た。
【0127】
三口フラスコに、硫黄(S)0.6412gおよびトリ-n-オクチルホスフィン(TOP)10mLを入れ、溶液が透明になるまで非活性ガス雰囲気下で撹拌しながら、80℃の温度で加熱した後、常温に冷却させてTOP:S形の硫黄前駆体溶液を得た。
【0128】
別の三口フラスコに、予め用意したInPコアのナノ粒子溶液を入れ、フラスコの温度を300℃に調節した後、予め用意した亜鉛前駆体溶液0.6mLをシリンジを用いて、迅速に注入した。この後、予め用意した硫黄前駆体溶液0.3mLをシリンジポンプを用いて、2mL/hrの速度でフラスコに注入した。注入が終わった後、3時間反応をさらに進行し、迅速に冷却させて反応を終結させた。フラスコの温度が100℃に達したとき、10mLのトルエンを注入した後、50mLの遠心分離チューブに移し入れた。エタノール10mLを添加した後、沈殿および再分散方法を用いて2回精製した後、減圧乾燥を行い、InP/ZnS量子ドットパウダーを得た。得られた量子ドットの発光波長および半値幅は、それぞれ524nm、43nmであった。
【0129】
合成例5:InP/ZnSe/ZnSコア-シェル発光粒子の合成(A-6)
インジウムアセテート(Indium acetate)0.4mmol(0.058g)、パルミチン酸(palmitic acid)0.6mmol(0.15g)および1-オクタデセン(octadecene)20mLを反応器に入れ、真空下で120℃で加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に入れ替えた。280℃で加熱した後、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン(TMS3P)0.2mmol(58μl)およびトリオクチルホスフィン1.0mLの混合溶液を迅速に注入し、0.5分間反応させた。
【0130】
続いて、亜鉛アセテート2.4mmoL(0.448g)、オレイン酸4.8mmolおよびトリオクチルアミン20mLを反応器に入れ、真空下で120℃で加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に入れ替えて反応器を280℃に昇温させた。先に合成したInPコア溶液2mLを入れ、続いて、トリオクチルホスフィン中のセレン(Se/TOP)4.8mmolを入れた後、最終混合物を2時間の間反応させた。常温に迅速に冷やした反応溶液にエタノールを入れ、遠心分離して得た沈殿を減圧ろ過した後、減圧乾燥してInP/ZnSeコア-シェルを形成させた。
【0131】
続いて、亜鉛アセテート2.4mmoL(0.448g)、オレイン酸4.8mmolおよびトリオクチルアミン20mLを反応器に入れ、真空下で120℃で加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に入れ替えて反応器を280℃に昇温させた。先に合成したInPコア溶液2mLを入れ、続いて、トリオクチルホスフィン中の硫黄(S/TOP)4.8mmolを入れた後、最終混合物を2時間の間反応させた。常温に迅速に冷やした反応溶液にエタノールを入れ、遠心分離して得た沈殿を減圧ろ過した後、減圧乾燥してInP/ZnSe/ZnSコア-シェル構造の量子ドットを得た。得られた量子ドットの発光波長および半値幅は、それぞれ523nm、43nmであった。
【0132】
合成例6:化合物L1の合成
Dean stark、還流冷却器、並びに温度計を備えた1000mLの四口フラスコに、4-tert-Butoxycarbonylamino-piperidin-1-yl)-acetic acid(エイペクスモルテクノロジー社)129.2gとジエチレングリコールグリコールモノエチルエーテル73.8mole、p-トルエンスルホン酸1.6g、トルエン200gを入れ、110℃の加熱および撹拌しながら、8時間反応させた。脱水量を確認した後、反応を終了した。反応物を炭酸水素ナトリウム10%の水溶液でワークアップした後、分液して有機液層を硫酸マグネシウムで乾燥処理した後、減圧濃縮した。
【0133】
続いて、濃縮物にジクロロメタン100g、トリフルオロ酢酸3.0gを入れ、常温で2時間反応を行った。
【0134】
反応終了後、炭酸水素ナトリウム10%の水溶液でワークアップした後、分液して有機液層を硫酸マグネシウムで乾燥処理し、減圧濃縮した後、カラム精製を行い、下記の化合物L1を得た。収量:80g、GC-MS:275。
【0135】
HNMR(400MHz、CDCl3):δ4.27(t,2H)、3.43~3.67(m,8H)、3.35(d,2H)、2.65(s,1H)、1.75~2.25(m,10H)、1.13(t,3H)
L1:
【0136】
合成例7:化合物L2の合成
Dean stark、還流冷却器、並びに温度計を備えた1000mLの四口フラスコに、2-(4-sulfanylpiperidin-1-yl)acetic acid87.6gとジエチレングリコールグリコールモノエチルエーテル73.8g、p-トルエンスルホン酸1.2g、トルエン200gを入れ、110℃の加熱および撹拌しながら、6時間反応させた。脱水量を確認した後、反応を終了した。反応物を炭酸水素ナトリウム10%の水溶液に入れて撹拌した後、分液して有機液層を硫酸マグネシウムで乾燥処理およびろ過した後、減圧濃縮した。
【0137】
続いて、カラム精製を行い、下記の化合物L2を得た。収量:75g、GC-MS:292
HNMR(400MHz、CDCl3):δ4.25(t,2H)、3.40~3.66(m,8H)、3.33(d,2H)、2.58(s,1H)、1.65~2.26(m,8H)、1.11(t,3H)
L2:
【0138】
合成例8:化合物L3の合成
Dean stark、還流冷却器、並びに温度計を備えた1000mLの四口フラスコに、[4-(tert-Butoxycarbonylamino-methyl)-piperidin-1-yl]-acetic acid136.2g、Diethyleneglycolmonoallyl ether(アルドリッチ社)82.1g、p-トルエンスルホン酸3.0g、トルエン200gを入れ、110℃の加熱および撹拌しながら、6時間反応させた。脱水量を確認した後、反応を終了した。反応物を炭酸水素ナトリウム10%の水溶液に入れて撹拌した後、分液して有機液層を硫酸マグネシウムで乾燥処理およびろ過した後、減圧濃縮した。
【0139】
続いて、濃縮物にジクロロメタン100g、トリフルオロ酢酸3.0gを入れ、常温で2時間反応を行った。
【0140】
反応終了後、炭酸水素ナトリウム10%の水溶液でワークアップした後、分液して有機液層を硫酸マグネシウムで乾燥処理し、減圧濃縮した後、カラム精製を行い、下記の化合物L3を得た。収量:96g、GC-MS:301
HNMR(400MHz、CDCl3):δ5.92(m,1H)、4.29(t,2H)、4.03(t,2H)、3.55~3.66(m、6H)、3.31(d,2H)、2.60(d,2H)、1.40~2.60(m、11H)
L3:
【0141】
合成例9:化合物L4の合成
Dean stark、還流冷却器、並びに温度計を備えた1000mLの四口フラスコに、4-tert-Butoxycarbonylamino-piperidin-1-yl)-acetic acid(エイペクスモルテクノロジー社)129.2gと2-(2-(2-(2-(2-allyloxyethoxy)ethoxy)ethoxy)ethoxy)ethan-1-ol153.1g、p-トルエンスルホン酸3.6g、トルエン200gを入れ、110℃の加熱および撹拌しながら、8時間反応させた。脱水量を確認した後、反応を終了した。反応物を炭酸水素ナトリウム10%の水溶液でワークアップした後、分液して有機液層を硫酸マグネシウムで乾燥処理した後、減圧濃縮した。
【0142】
続いて、濃縮物にジクロロメタン100g、トリフルオロ酢酸3.0gを入れ、常温で2時間反応を行った。
【0143】
反応終了後、炭酸水素ナトリウム10%の水溶液でワークアップした後、分液して有機液層を硫酸マグネシウムで乾燥処理し、減圧濃縮した後、カラム精製を行い、下記の化合物L4を得た。収量:110g、GC-MS:419
HNMR(400MHz、CDCl3):δ5.87(m,1H)、5.13~5.27(d,2H)、4.23(t,2H)、4.00(t,2H)、3.55~3.69(m,18H)、3.32(d,2H)、2.61(d,1H)、1.70~2.26(m,10H)
L4:
【0144】
合成例10:リガンド置換反応による量子ドット(A-7)
A-2の合成例のAIGS量子ドットを3.00gに「化合物L1」を入れ、窒素雰囲気下で60℃で加熱しながら、一時間の間反応させた。
【0145】
続いて、反応物に25mLのn-ヘキサンを入れ、量子ドットを沈殿させた後、遠心分離を行い、沈殿物を分離した後、HDDAを投入して、80℃で加熱しながら、分散させた。HDDAで固形分は50%に調整した。最大発光波長は、522nmであった。
【0146】
合成例11:リガンド置換反応による量子ドット(A-8)
A-2の合成例のAIGS量子ドットを3.00gに「化合物L2」を使用したことを除いて、合成例10と同様に行った。
【0147】
HDDAで固形分は50%に調整した。最大発光波長は、523nmであった。
合成例12:リガンド置換反応による量子ドット(A-9)
A-2の合成例のAIGS量子ドットを3.00gに「化合物L3」を使用したことを除いて、合成例10と同様に行った。
【0148】
HDDAで固形分は50%に調整した。最大発光波長は、524nmであった。
合成例13:リガンド置換反応による量子ドット(A-10)
A-2の合成例の量子ドットを3.00gに「化合物L4」を使用したことを除いて、合成例10と同様に行った。
【0149】
HDDAで固形分は50%に調整した。最大発光波長は、526nmであった。
合成例14:比較合成例(A-11)
A-5の合成例の量子ドットを3.00gに「化合物L1」を入れ、窒素雰囲気下で60℃で加熱しながら、一時間の間反応させた。
【0150】
続いて、反応物に25mLのn-ヘキサンを入れ、量子ドットを沈殿させた後、遠心分離を行い、沈殿物を分離した後、HDDAを投入して、80℃で加熱しながら、分散させた。HDDAで固形分は50%に調整した。最大発光波長は、525nmであった。
【0151】
実施例および比較例:光変換インク組成物の製造
下記の表1~表2の組成でそれぞれの成分を混合して光変換インク組成物を製造した(単位:重量%)。
【0152】
【表1】
【0153】
【表2】
【0154】
実験例
1.光変換コート層の製造および光変換効率の測定
実施例および比較例で製造されたそれぞれの光変換インク組成物をインクジェット方式で5cm×5cmのガラス基板上に塗布した後、紫外線光源として、g、h、i線をいずれも含有する1kWの高圧水銀灯を使用して1000mJ/cmで照射した後、180℃の加熱オーブンにて30分間加熱して光変換コート層を製造した。
【0155】
製造された光変換コート層を青色(blue)光源(XLamp XR-E LED、Royal blue450、Cree社)の上部に位置させた後、輝度測定器(CAS140CT Spectrometer、Instrument systems社)を用いて、(A)光変換効率を下記の式を用いて測定した。測定された結果を表3に記載した。
【0156】
【数1】
【0157】
また、測定された(A)光変換効率の結果は、比較例3のInP/ZnSコア-シェル発光粒子の光変換効率(%)を100%として、向上された(B)光変換効率(%)を表3に記載した。
【0158】
2.発光スペクトルの半値幅(FWHM)
製造された光変換コート層を青色(blue)光源(XLamp XR-E LED、Royal blue450、Cree社)の上部に位置させた後、輝度測定器(CAS140CT Spectrometer、Instrument systems社)を用いて測定された発光スペクトルの半値幅値を取った。
【0159】
測定された半値幅値は、表3に記載しており、半値幅値が低いほど色純度が良好になり、特に、半値幅が40nm以下の場合、より優れた色純度を期待することができる。
【0160】
3.塗膜の均一度
図2に示すように、横30μm、縦90μm、深さ10μmの井戸型パターンが形成された基材に、UniJet社のインクジェット装置を用いて、20pLの液滴を20滴滴下させた後、1時間経過後、隣接ピクセルに同一の方法でジェッティングを施した。ジェッティングされた基板は、前記光変換コート層の製造および光変換効率の測定で掲示された方法と同様に、紫外線照射した後、加熱オーブンにて30分間加熱を行った後、膜厚測定器(Dektak、ブルカー社製)を用いて、2つのパターンの膜厚を測定した後、2つのパターン間の膜厚変化率を求め、表3に記載した。
【0161】
膜厚変化率0%~5%以下:○
膜厚変化率5%超過~10%以下:△
膜厚変化率10%超過:×
【0162】
【表3】
【0163】
前記実験の結果より、本発明のコアおよびシェルを使用する場合、相対的に高い光変換効率が生じ、ジェッティング性、平坦性および耐光性においても優れた効果を有することが確認できる。具体的には、図1を参照して説明すると、本発明の実施例は、比較例よりも光変換スペクトル面積が大きく、(A)光変換効率(%)がより高いことが確認できた。特に、(A)光変換効率を基準にしたとき、本発明のすべての実施例は、光変換効率が20%以上であり、画素の形成に適したものであることが分かる。
【0164】
また、実施例1~6のように、式(2)で表される化合物を重合性モノマーとして使用する場合に、より向上された塗膜の均一度が生じることが確認できた。
【0165】
これと比較して、比較例の一部は、光変換効率が20%に遥かに至っていないことが確認でき、これにより、発光強度が弱く、画素としての使用が不可能であることが分かった。
【0166】
また、本発明の実施例は、半値幅が40nm以下であり、色純度に優れているだけでなく、塗膜の均一度においても優れた特性を示しているのに対し、比較例は、実施例に対して低下した結果となった。特に、実施例1~6のように、重合性モノマーとして、式(2)で表される化合物を含む場合に、相対的により優れた塗膜の均一度が生じることが確認できた。
図1
図2