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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029553
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】下半身用衣類
(51)【国際特許分類】
   A41D 1/06 20060101AFI20220210BHJP
   A41D 1/14 20060101ALI20220210BHJP
   A41D 31/00 20190101ALI20220210BHJP
【FI】
A41D1/06 A
A41D1/14 502B
A41D1/14 502E
A41D31/00 503E
A41D1/14 501B
A41D1/06 501B
A41D1/06 503E
A41D31/00 502C
A41D1/06 502E
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020132876
(22)【出願日】2020-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】510282985
【氏名又は名称】ドーコインターナショナル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596064846
【氏名又は名称】井上リボン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】楠田 桂子
(72)【発明者】
【氏名】井上 豊彰
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、装着者のウエストへの接触感をよりソフトにすることができ、しかもウエスト付近での蒸れを解消することができる下半身用衣類の提供。
【解決手段】本発明の下半身用衣類100は、ウエスト部10と、ウエスト部10から延在する被覆部20と、ウエスト部10の内側表面に、ウエスト部10の内周に少なくとも部分的に沿って取り付けられた帯状部材100とを備え、帯状部材100は、ウエスト部10の内側表面に取り付けられる第1生地110と、装着者のウエストに面する、少なくとも1つの第2生地120と、第1生地110と少なくとも1つの第2生地120との間に設けられた少なくとも1つの接合層130とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下半身用衣類であって、
ウエスト部と、
前記ウエスト部から延在する被覆部と、
前記ウエスト部の内側表面に、前記ウエスト部の内周に少なくとも部分的に沿って取り付けられた帯状部材と
を備え、
前記帯状部材は、
前記内側表面に取り付けられる第1生地と、
装着者のウエストに面する少なくとも1つの第2生地と、
前記第1生地と前記少なくとも1つの第2生地との間に設けられた少なくとも1つの接合層と
を備える、下半身用衣類。
【請求項2】
前記第1生地と前記第2生地との間の距離は、約2mm~約4mmである、請求項1に記載の下半身用衣類。
【請求項3】
前記少なくとも1つの接合層は、前記第1生地と前記第2生地とを接続する複数の繊維による起毛部を備える、請求項1または2に記載の下半身用衣類。
【請求項4】
前記起毛部における前記複数の繊維の密度は、約2本/mm~約4本/mmである、請求項3に記載の下半身用衣類。
【請求項5】
前記起毛部における前記複数の繊維の繊度は、約80dtex~約200dtexである、請求項3に記載の下半身用衣類。
【請求項6】
前記繊維の材料は、
ポリエステル、
ポリエステルマルチフィラメント加工糸、
ナイロンモノフィラメント、
ポリウレタン、または
これらの組み合わせ
のうちの少なくとも1つを含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の下半身用衣類。
【請求項7】
前記第1生地の短手方向の長さは、約40mm~約80mmである、請求項1~6のいずれか一項に記載の下半身用衣類。
【請求項8】
前記第2生地の短手方向の長さは、約4mm~約12mmである、請求項1~7のいずれか一項に記載の下半身用衣類。
【請求項9】
3本~5本の前記第2生地を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の下半身用衣類。
【請求項10】
前記接合層は、前記第1生地の長辺端部から約0.5mm~約2mmの部分には設けられていない、請求項1~9のいずれか一項に記載の下半身用衣類。
【請求項11】
前記第1生地および/または前記第2生地は、ニット生地を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の下半身用衣類。
【請求項12】
前記下半身用衣類は、スーツ用パンツである、請求項1~11のいずれかに記載の下半身用衣類。
【請求項13】
第1生地と、第2生地と、前記第1生地と前記第2生地との間に設けられた接合層とを備える帯状部材を製造する方法であって、
前記接合層は、複数の繊維による起毛部を備え、
前記方法は、
前記第1生地および前記第2生地を提供することと、
前記第1生地の糸と前記複数の繊維の少なくとも一部の一端とを同時に編み込み、かつ、前記第2生地の糸と前記複数の繊維の少なくとも一部の他端とを同時に編み込むことと
を含む、帯状部材の製造方法。
【請求項14】
前記第1生地および前記第2生地はそれぞれマルチフィラメント糸とポリウレタン糸とで形成されており、
前記複数の繊維は、それぞれモノフィラメント糸であり、
前記帯状部材は、前記第1生地と前記第2生地とが前記接合層におけるモノフィラメント糸で接続されたダブルラッシュ生地である、請求項13に記載の帯状部材の製造方法。
【請求項15】
請求項13または14に記載の製造方法によって製造された帯状部材を提供することと、
ウエスト部と、前記ウエスト部から延在する被覆部とを有する下半身用衣類において、前記ウエスト部の内側表面に、前記ウエスト部の内周に少なくとも部分的に沿って前記帯状部材を取り付けることと
を含む、下半身用衣類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下半身用衣類に関し、特に、下半身用衣類のウエスト部の裏面に取り付けられる帯状部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
衣服には、一般に、人の体の上半身を覆う上半身用衣類(例えば、シャツ、またはジャケットなど)と、人の体の下半身を覆う下半身用衣類(例えば、ズボン(パンツ)、またはスカートなど)がある。
【0003】
下半身用衣類は、重力の作用でずり落ちることがないように、例えば、人の身体のウエストのくびれ部分に巻き付けるウエスト部を有している。このような下半身用衣類の一例として、特許文献1には、スラックスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-227008号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような従来の下半身用衣類では、ウエスト部が装着者のウエストに密着することから、装着者がウエストへのウエスト部の当たりをきつく感じたり、ウエスト部が密着するウエストの付近が蒸れることにより不快感を持ったりすることがあった。
【0006】
本発明は、装着者のウエストへの接触感をよりソフトにすることができ、しかもウエスト付近での蒸れを解消することができる下半身用衣類を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
下半身用衣類であって、
ウエスト部と、
前記ウエスト部から延在する被覆部と、
前記ウエスト部の内側表面に、前記ウエスト部の内周に少なくとも部分的に沿って取り付けられた帯状部材と
を備え、
前記帯状部材は、
前記内側表面に取り付けられる第1生地と、
装着者のウエストに面する少なくとも1つの第2生地と、
前記第1生地と前記少なくとも1つの第2生地との間に設けられた少なくとも1つの接合層と
を備える、下半身用衣類。
(項目2)
前記第1生地と前記第2生地との間の距離は、約2mm~約4mmである、項目1に記載の下半身用衣類。
(項目3)
前記少なくとも1つの接合層は、前記第1生地と前記第2生地とを接続する複数の繊維による起毛部を備える、項目1または2に記載の下半身用衣類。
(項目4)
前記起毛部における前記複数の繊維の密度は、約2本/mm~約4本/mmである、項目3に記載の下半身用衣類。
(項目5)
前記起毛部における前記複数の繊維の繊度は、約80dtex~約200dtexである、項目3に記載の下半身用衣類。
(項目6)
前記繊維の材料は、
ポリエステル、
ポリエステルマルチフィラメント加工糸、
ナイロンモノフィラメント、
ポリウレタン、または
これらの組み合わせ
のうちの少なくとも1つを含む、項目3~5のいずれか一項に記載の下半身用衣類。
(項目7)
前記第1生地の短手方向の長さは、約40mm~約80mmである、項目1~6のいずれか一項に記載の下半身用衣類。
(項目8)
前記第2生地の短手方向の長さは、約4mm~約12mmである、項目1~7のいずれか一項に記載の下半身用衣類。
(項目9)
3本~5本の前記第2生地を備える、項目1~8のいずれか一項に記載の下半身用衣類。
(項目10)
前記接合層は、前記第1生地の長辺端部から約0.5mm~約2mmの部分には設けられていない、項目1~9のいずれか一項に記載の下半身用衣類。
(項目11)
前記第1生地および/または前記第2生地は、ニット生地を含む、項目1~10のいずれか一項に記載の下半身用衣類。
(項目12)
前記下半身用衣類は、スーツ用パンツである、項目1~11のいずれかに記載の下半身用衣類。
(項目13)
第1生地と、第2生地と、前記第1生地と前記第2生地との間に設けられた接合層とを備える帯状部材を製造する方法であって、
前記接合層は、複数の繊維による起毛部を備え、
前記方法は、
前記第1生地および前記第2生地を提供することと、
前記第1生地の糸と前記複数の繊維の少なくとも一部の一端とを同時に編み込み、かつ、前記第2生地の糸と前記複数の繊維の少なくとも一部の他端とを同時に編み込むことと
を含む、帯状部材の製造方法。
(項目14)
前記第1生地および前記第2生地はそれぞれマルチフィラメント糸とポリウレタン糸とで形成されており、
前記複数の繊維は、それぞれモノフィラメント糸であり、
前記帯状部材は、前記第1生地と前記第2生地とが前記接合層におけるモノフィラメント糸で接続されたダブルラッシュ生地である、項目13に記載の帯状部材の製造方法。
(項目15)
項目13または14に記載の製造方法によって製造された帯状部材を提供することと、
ウエスト部と、前記ウエスト部から延在する被覆部とを有する下半身用衣類において、前記ウエスト部の内側表面に、前記ウエスト部の内周に少なくとも部分的に沿って前記帯状部材を取り付けることと
を含む、下半身用衣類の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装着者のウエストへの接触感をよりソフトにすることができ、しかもウエスト付近での蒸れを解消することができる下半身用衣類を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態1による下半身用衣類1を説明するための図である。
図2図2は、図1のR1部分の構造を説明するための図である。
図3図3は、図2に示す帯状部材100の構造を詳しく説明するための図である。
図4図4は、図3に示す第1生地110の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を最良の形態の一例を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及されない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及されない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。矛盾する場合、(定義を含めて)本明細書の記載が優先される。
【0011】
以下に本明細書において特に使用される用語の定義および/または基本的技術内容を適宜説明する。
【0012】
本明細書において、「約」とは、後に続く数値の±10%を意味する。
【0013】
本明細書において、「下半身用衣類」とは、ウエスト部と、ウエスト部から延在する被覆部とを少なくとも備えるものをいい、その他の構成は特に限定されない。具体的には、本発明の下半身用衣類は、例えば、スーツのパンツ(ズボン)またはスカートを含むが、これらに限定されない。パンツは、その種類が限定されるものではなく、スーツのパンツでもよいし、カジュアル着あるいは運動着としてのパンツ、半パンツなどでもよい。スカートも、その種類が限定されるものではなく、スーツのスカートでもよいし、その他のスカート、例えば、ロングスカート、ミニスカート、タイトスカートなどでもよい。
【0014】
以下、下半身用衣類の各部を説明する。
【0015】
ウエスト部
本明細書において、「ウエスト部」とは、下半身用衣類の一部分であり、装着時にその位置がずれないように締められる部分である。ウエスト部は、例えば、ウエスト部が装着者の身体に対する着用位置からずれないように装着者の身体の腰回りに密着する部分である。また、ウエスト部は、表地と裏地とを有するものでもよいし、裏地を有さないものでもよい。
【0016】
例えば、ウエスト部が表地と裏地とを有する場合、ウエスト部は、表地と裏地との間に設けられた芯材を含む構造となっていてもよいし、あるいは、表地と裏地との間に芯材が設けられていない構造でもよい。ウエスト部が裏地を有さない場合、ウエスト部は、ウエスト部の表地に芯材が取り付けられた構造となっていてもよいし、あるいは、ウエスト部にはこのような芯材が取り付けられておらず、ウエスト部が表地のみで構成されていてもよい。
【0017】
具体的には、スーツのパンツ(ズボン)およびスカートのウエスト部は、一般的に、表地と裏地との間に設けられた芯材を含む構造を有するが、例えば、ジーンズなどにおいて使用される硬いデニム生地などが表地および裏地に用いられている場合には、下半身用衣類のウエスト部は、表地に裏地を縫い合わせた構造を有し、芯材を有していない場合もあり得る。
【0018】
また、ウエスト部は、下半身用衣類の前側、後側、あるいは側部で少なくとも部分的に分離された構造を有し、下半身用衣類の着用時にウエスト部の分離されている端部同士を締結部材(例えば、バックル、ボタン、紐)を用いてつなぐようにしたものでもよい。あるいは、ウエスト部が伸縮可能である場合は、ウエスト部は、(少なくとも部分的に分離していない)連続した環状形状を有し、着用時には、ウエスト部を引き伸ばして臀部を通過させるようにしたものでもよい。
【0019】
さらに、ウエスト部は、ウエスト部に沿ってベルトを通すためのベルト通し部材(所謂、ベルトループ)を有するものでもよいし、ベルト通し部材を有さないものでもよい。
【0020】
なお、ウエスト部を構成する生地(表地、裏地、あるいは芯材)の素材(構造)は、編み物(編地)でも織り物(織地)でもよいが、これに限定されない。ウエスト部を構成する生地(表地、裏地、あるいは芯材)の素材は、組物および網物も含み得る。また、ウエスト部を構成する生地(表地、裏地、あるいは芯材)の素材の編み方は、例えば、天竺(てんじく)、フライス、スウェット(裏毛)、ベロア、フリース、梨地ニットなどを含み、さらに、経編地を形成する編み方(例えば、トリコット、レース編み、アトラス、サテン、クインズコート、チュールネットなど)を含む。ウエスト部を構成する生地(表地、裏地、あるいは芯材)の素材の織り方は、例えば、平織り、綾織り(ツイル)、しゅす織りを含む。ただし、ウエスト部を構成する生地の編み方あるいは織り方はこれらに限定されない。さらに、ウエスト部の生地の素材を構成する繊維は、例えば、種々の天然繊維(例えば、植物繊維(例えば、コットン(綿)、リネン(亜麻)など)、動物繊維(例えば、シルク(絹)、ウール(毛)、モヘア、カシミアなど)であってもよいし、種々の化学繊維(例えば、再生繊維(例えば、木材を再生して作ったテンセル(登録商標)、レーヨン、キュプラなど)、石油を原料としたポリエステル、ナイロン、アクリル、アセテート、ポリウレタンなど)であってもよい。
【0021】
被覆部
本明細書において「被覆部」とは、装着者の身体の少なくとも一部を被覆する部分をいう。特に、下半身用衣類の被覆部は、装着者の下半身を被覆する部分であり、下半身用衣類としてのパンツを構成するものでもよいし、あるいは、下半身用衣類としてのスカートを構成するものでもよい。
【0022】
また、被覆部は、表地に加えて裏地を有する構造でも、表地のみを有する構造(すなわち、裏地を有さない構造)でもよい。
【0023】
ここで、被覆部を構成する表地の素材には、一般的にウエスト部を構成する表地の素材と同じ素材(織り物、編み物など)および同じ繊維が用いられるが、場合によっては、ウエスト部を構成する表地の素材および繊維とは異なる素材および繊維が用いられてもよい。また、被覆部が裏地を有する場合、被覆部を構成する裏地の素材には、ウエスト部を構成する裏地の素材と同じ素材が用いられるが、場合によっては、ウエスト部を構成する裏地の素材とは異なる素材が用いられてもよい。
【0024】
帯状部材
本明細書において、「帯状部材」とは、衣類の少なくとも一部に取り付け可能な帯状の形状を有する部材をいう。特に、下半身用衣類の帯状部材は、下半身用衣類のウエスト部の内周に少なくとも部分的に沿ってウエスト部の内側表面に取り付けられる部材であり、下半身用衣類のウエスト部における通気性とクッション性を確保するための部材である。帯状部材は、ウエスト部の内側表面に取り付けられる第1生地と、装着者のウエストに面する少なくとも1つの第2生地と、第1生地と少なくとも1つの第2生地との間に設けられた少なくとも1つの接合層とを備えたものであれば、その他の構成は限定されず任意であり得る。
【0025】
ここで、帯状部材は、ウエスト部の内周の一部に沿って取り付けられていてもよいし、あるいは、ウエスト部の内周全体に沿って取り付けられていてもよい。帯状部材がウエスト部の内周の一部に沿って取り付けられている場合は、帯状部材がウエスト部の内周全体にわたって離散的に取り付けられている場合を含み、帯状部材がウエスト部の内周全体に沿って取り付けられている場合は、帯状部材がウエスト部の内周全体に渡って連続的につながった状態で取り付けられている場合を含む。
【0026】
このような帯状部材を下半身用衣類のウエスト部の内面に取り付けることにより、第1生地上の接合層および第2生地により、帯状部材の表面側(第2生地側)に凸凹部分が形成され、これにより、装着者のウエストと下半身用衣類のウエスト部との間に通気のためのスペースを形成して通気性を高め、また、接合層がクッションとなることで、装着者のウエストへのウエスト部の当たりをソフトにすることができる。
【0027】
また、帯状部材がウエスト部の芯材として働くことから、ウエスト部が表地と裏地とを有する場合、ウエスト部の表地と裏地との間に芯材を設ける必要はなくなり、ウエスト部が裏地を有さない場合、表地に芯材を設ける必要はなくなる。
【0028】
帯状部材を構成する生地(第1生地、第2生地、および接合層のうちの少なくとも1つ)の素材は、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタンを主とする化学繊維、あるいは、綿を主とする天然繊維を含むが、これらに限定されない。さらに、帯状部材を構成する生地(第1生地、第2生地、および接合層のうちの少なくとも1つ)の素材にポリウレタンを混用することにより、帯状部材のストレッチ性も高めることができ、その結果、装着者のウエストに対する下半身用衣類のウエスト部のフィット感を高め、下半身用衣類(特に、下半身用衣類のウエスト部)が身体の動きに馴染む特性を得ることができる。この場合、ポリウレタンの混合率は全体重量の20%以下である。なお、帯状部材を構成する生地の素材(編地あるいは織地)において、ポリウレタンは、編地あるいは織地の全体にわたって均一に混用してもよいし、編地あるいは織地に対して部分的に混用してもよい。
【0029】
また、帯状部材の生地にはストレッチ機能を持たせることが好ましい。
【0030】
昨今、ズボン、スカートなどの下半身用衣類では、表地(場合によっては表地および裏地)にストレッチ機能を持つものが多くなってきている。このような衣類の腰裏部分として機能する帯状部材にストレッチ機能を持たせることにより、衣類の腰裏部分が表地に追随して着心地が良くなり、また表地が伸びた状態から元の状態に戻ることも補助できる。なお、帯状部材にストレッチ機能を持たせるためには、帯状部材の生地の素材として伸縮性に富んでいる編地を用いたり、帯状部材の生地の素材を構成する繊維にポリウレタンなどのストレッチ性に富んだ繊維を用いたりすればよい。
【0031】
さらに、帯状部材の生地の素材を構成する繊維としてナイロン製のモノフィラメントを使用することにより、帯状部材の肌触りがソフトになるようにすることができる。
【0032】
以下、帯状部材の構成要素である第1生地、第2生地、接合層をより具体的に説明する。
【0033】
・第1生地
本明細書において、帯状部材の「第1生地」とは、ウエスト部の内側表面に取り付けられる生地をいう。
【0034】
(第1生地の形状)
例えば、第1生地は、帯状であり得、ウエスト部の内周の一部あるいは全体に沿った形状を有する。この場合、ウエスト部の内周方向における第1生地の長さ(長手方向の寸法)は、ウエスト部の内周方向長さに相当する長さであり、例えば、約60cm~約100cmである。また、ウエスト部の上下方向における第1生地の幅(短手方向の寸法)は、例えば、約40mm~約80mmであり、より好ましくは、60mmである。
【0035】
第1生地は、このようなサイズの1つの帯状生地に限定されず、第1生地は、ウエスト部の内周の一部または全体に沿って所定間隔で離散的に取り付けられた複数のタイル状生地を含むものでもよい。タイル状生地のウエスト部の内周方向(長手方向)における寸法は、ウエスト部の内周方向長さの何分の一(例えば、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約6分の1、約8分の1、約10分の1、約12分の1、約14分の1など)に相当する寸法であり、タイル状生地の幅(ウエスト部の上下方向(短手方向)における寸法)は、上述した帯状生地の幅と同程度の幅でもよいし、帯状生地の幅より小さくてもよい。
【0036】
あるいは、第1生地は、ウエスト部の内周の一部または全体に沿って取り付けられた複数の平たい紐状生地(平型紐状生地)を含み、複数の平型紐状生地がウエスト部の短手方向に沿って所定間隔で並行に配置された構造でもよい。この場合、平型紐状生地の長さ(長手方向の寸法)は、ウエスト部の内周方向長さに相当する長さであり、平型紐状生地の幅(短手方向の寸法)は、上述した1つの帯状生地の幅(短手方向の寸法)の2分の1より狭い寸法(例えば、約3分の1、約4分の1、約5分の1、約6分の1、約8分の1、約10分の1、約12分の1、約14分の1などの寸法)(具体例としては、約20mm、約10mm、あるいは約5mm)である。
【0037】
第1生地の厚み(高さ)は、限定されるものではないが、強度を確保する関係で約1mm~約2mmの範囲であり得る。
【0038】
(第1生地の素材)
第1生地の素材は、特に限定されるものではなく、任意である。第1生地の素材は、例えば、編み物(ニット)である編地であってもよいし、織り物(布帛)である織地であってもよい。
【0039】
ここで、編み物は、1本の糸から編目を作りながらループという輪を繋ぎ合わせて作られる生地(編地)であり、伸縮性に優れている。編み物は、緯編地と経編地とに分類されることが知られている。緯編地は、編み手の左右方向である横方向にループを繰り返し形成しながら作られる編地であり、経編地は、編み手の上下方向である縦方向にループを繰り返し形成しながら作られる編地である。
【0040】
第1生地の素材が編地(ニット生地)である場合において、編地(ニット生地)は、好ましくは、マルチフィラメント糸とポリウレタン糸で形成された経編地であって、帯状部材としてのダブルラッシュ生地を構成するものであってもよい。例えば、第2生地もこのような経編地を用い、第1生地である経編地と第2生地である経編地とを接合層としてのモノフィラメント糸で接続することにより帯状部材としてのダブルラッシュ生地が得られる。
【0041】
第1生地の素材であり得る編地は、例えば、フィラメント糸(長繊維)(例えば、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど)と、紡績糸(短繊維)(例えば、綿、毛、ポリエステルなど)と、弾性素材としてのポリウレタンとのうちの少なくとも1つを含む生地でもよい。
【0042】
一方、織り物は、経糸(縦糸)と緯糸(横糸)とを交差させて作られる生地(織地)であってもよく、この場合、第1生地は型崩れし難いものとなる。例えば、経糸には、ポリエステル加工糸167/2dtex、ポリエステル加工糸84/2dtexなどを用いることができ、緯糸には、ポリエステル加工糸167/1dtex、ポリエステル加工糸167/2dtexなどを用いることができる。なお、dtexは繊維の重さの指標であり、10000mの重さが1gの繊維を1dtexとして示す。
【0043】
ところで、編地では、横方向(水平方向)に並ぶ編目(ループ)の列は、コースと呼ばれ、縦方向(垂直方向に並ぶ編目(ループ)の列は、ウェルと呼ばれている。
【0044】
第1生地の素材である編地の密度は、編地の1インチ(25.4mm)幅当たりに含まれるウェル(縦方向のループ列)の個数と、編地の1インチ(25.4mm)高さ当たりに含まれるコース(横方向のループ列)の個数とで表される。
【0045】
例えば、第1生地の素材としての編地では、実質的なウェルの範囲は、約16ウエル~約28ウェルの範囲であり、コースの範囲は、約17コース~約33コースの範囲であり、好ましくは、第1生地の素材である編地の密度は、約20ウェル、約25コースである。
また、第1生地の素材である織地の密度も編地の密度と同様に求められる。すなわち、上述したように、織り物は、経糸(縦糸)と緯糸(横糸)とを交差させて作られる生地(織地)であり、織地の経糸(たていと)は、編地のウェル(縦方向のループ列)に相当し、織地の緯糸(よこいと)は、編地のコースに相当するので、織地の密度は、単位寸法(1インチ)当たりの経糸の数と、単位寸法(1インチ)当たりの緯糸の数とで表される。
【0046】
例えば、実質的な織地の密度は、一般の広幅織物の密度単位で表すと、経糸約100本/インチでかつ緯糸約60本/インチで表される密度から、経糸約140本/インチでかつ緯糸約100本/インチで表される密度の範囲である。ただし、第1生地のような細巾織物の場合は、縦糸の密度は、幅に対する縦糸のトータル本数で表し、横糸の密度は1cm間の横糸の本数で表される。たとえば、幅が60mmである場合、縦糸の密度は、約100/6(本/cm)~約140/6(本/cm)の範囲であり、横糸の密度は、約60/2.54(本/cm)~約100/2.54(本/cm)の範囲である。
【0047】
・第2生地
本明細書において、帯状部材の「第2生地」とは、帯状部材の第1生地に隣接して配置される生地であり、帯状部材の第1生地と共に下記の接合層を画定するものをいう。帯状部材の第2生地は、装着者のウエストに面し得る。
【0048】
(第2生地の形状)
例えば、少なくとも1つの第2生地は、第1生地を構成する1つの帯状生地と略同じ長さ(長手方向の寸法)を有する生地であり、1~5本、2~4本、典型的には3~4本存在し得る。
【0049】
第2生地は、第1生地を構成する1つの帯状生地の幅より狭い幅(短手方向の寸法)を有している。
【0050】
複数の第2生地は、両端の第2生地の外側長辺が第1生地の両長辺から外側へはみ出さないようになっていることが好ましい。より好ましい実施形態において、第2生地は、第1生地を構成する生地(1つの帯状生地、タイル状生地、あるいは平型紐状生地)の最も外側の長辺端部から約0.5mm~約2mm(具体的には、例えば約1.0mm)の幅の部分には設けられていない。これにより、第1生地に接合されていない第2生地をなくすこと、および、第1生地の縁に沿って丸まったり折れたりして変形するのを避けることができる。
【0051】
少なくとも1つの第2生地が4本の第2生地である場合は、第1生地の幅の約6~20%の幅の第2生地を、第1生地の幅の約6~25%の間隔で備え得る。
【0052】
また、第1生地の幅方向に配列された少なくとも1つの第2生地は、第1生地と略同じ長さを有する連続した1つの細い帯状生地には限定されず、第1生地の長手方向に沿ってその全長に渡って離散的に配置された複数の生地片で構成されたものでもよい。
【0053】
さらに、第1生地が上述した複数のタイル状生地を含む場合、複数の第2生地の各々が、第1生地に含まれる複数のタイル状生地のうちの対応するものと対向し、それと同じ程度のサイズを有していてもよい。
【0054】
あるいは、第1生地が上述した複数の平型紐状生地を含む場合、複数の第2生地の各々が、第1生地に含まれる複数の平型紐状生地の各々に対向し、それと同じ程度のサイズを有していてもよい。
【0055】
なお、少なくとも1つの第2生地は、第1生地としての1つの帯状生地と同じ程度のサイズ(同じ程度の長さおよび幅)を有する1つの第2生地であってもよい。
【0056】
(第2生地の素材)
第2生地の素材は、特に限定されず任意であり、例えば、第1生地と同様に編み物(編地)でも織り物(織地)でもよい。
【0057】
例えば、第2生地には、第1生地と同様に編地(ニット生地)が用いられ、さらに、具体的な編地として、上述したように、例えば、マルチフィラメント糸とポリウレタン糸で形成された経編地であって、帯状部材としてのダブルラッシュ生地を構成するものでもよい。すなわち、第1生地および第2生地ともにこのような経編地を用い、第1生地である経編地と第2生地である経編地とを接合層としてのモノフィラメント糸で接続することにより帯状部材としてのダブルラッシュ生地が得られる。
【0058】
あるいは、第2生地には、第1生地と同様に、フィラメント糸(長繊維)(例えば、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど)と、紡績糸(短繊維)(例えば、綿、毛、ポリエステルなど)と、弾性素材としてのポリウレタンとの少なくとも1つを含む生地が用いられてもよい。
【0059】
なお、第2生地の素材は、編地に限定されず、第1生地と同様に織地を用いることもできる。
【0060】
さらに、第2生地の素材である編地の密度も、ウェルとコースとで表され、第1生地の素材である編地の密度を同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0061】
また、第2生地の素材である編地の密度は、帯状部材における凸部の高さとの因果関係はなく、独立して調整可能である。
【0062】
さらに、第2生地の素材である織地の密度(1インチ当たりの経糸の数と1インチ当たりの緯糸の数とで表される密度)も、第1生地の素材である織地の密度を同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0063】
第2生地の厚さ(高さ)も第1生地と同程度であってもよいし、第1生地の厚さとは異なっていてもよい。
【0064】
・接合層
本明細書において、「接合層」は、第1生地と第2生地とを接合する層であり、第1生地と第2生地との間に設けられているものをいう。接合層は、第1生地と第2生地との離間間隔(スペース)を画定する。
【0065】
接合層は、第1生地と第2生地とを接続する複数の繊維による起毛部を備え得る。これにより、高いクッション性と高い通気性とを確保することができる。複数の繊維は、第1生地の糸と接合層の繊維(連結糸)とが同時に編み込まれ(すなわち、オーバーラップされ)、かつ、同様に第2生地の糸と接合層の繊維(連結糸)とが同時に編み込まれる(すなわち、オーバーラップされる)ことによって、第1生地および第2生地の各々に固定されている。従って、起毛部における複数の繊維の各々は、第1生地と第2生地とを接続する連結糸である。ここで、起毛部における複数の繊維の各々は、相互に離間しており、繊維間の距離は、接合層の通気性に影響を及ぼす。
【0066】
起毛部における複数の繊維の各々は、第1生地から第2生地まで延在する限りにおいて任意の方向を有する。好ましくは、起毛部における複数の繊維の各々は、互いに平行ではなく、ねじれの位置の関係にあり得る。それ故、起毛部における複数の繊維の各々の長さもまた、第1生地から第2生地まで延在する限りにおいて任意である。
【0067】
このような構造の接合層を備える帯状部材では、この帯状部材を下半身用衣類のウエスト部の内側表面に取り付けた場合、ウエスト部と装着者のウエストとの間で帯状部材の起毛部が空気の通路となり、帯状部材による通気性を確保することができる。
【0068】
ここで、起毛部の特性の1つが密度(単位面積当たりの繊維の本数)であり、起毛部を構成する複数の繊維の密度は、例えば、約2本/mm~約4本/mmであり、好ましくは約2.8本/mmである。
【0069】
なお、起毛部の特性は、上記のように、起毛部を構成する複数の繊維の密度でも表されるが、以下のように、繊維(あるいは糸)の太さを表す繊度を用いて表すこともできる。繊維の繊度は、接合層のクッション性に影響を及ぼす。
【0070】
繊度の単位としては、d(デニール)、dtex(デシテックス)などを用いることができる。
【0071】
dtex(デシテックス)は、10000mの重さが1gの繊維を、繊度1dtexとして表す単位である。なお、繊維(あるいは糸)の太さを表わす繊度の単位は、デシテックス(dtex)に限らず、d(デニール)でもよい。デニールは、9,000mで重量が1gの繊維の太さを1デニールとして表す。
【0072】
例えば、接合層における起毛を構成する複数の繊維は、繊度が約80dtex~約200dtex、約100dtex~約170dtexなどのものが用いられ得る。
【0073】
(接合層の形状)
例えば、第1生地がウエスト部の内側表面に取り付けられる1つの第1生地であり、少なくとも1つの第2生地が装着者のウエストに面する複数の第2生地である場合、少なくとも1つの接合層は、第1生地と複数の第2生地との間に設けられた複数の接合層であってもよい。
【0074】
また、第1生地が上述した複数のタイル状生地を含み、少なくとも1つの第2生地が、第1生地に含まれる複数のタイル状生地と同じ程度の大きさを有する場合、少なくとも1つの接合層は、第1生地としての複数のタイル状生地と、これらに対向する第2生地との間に設けられた複数の接合層である。
【0075】
また、第1生地が複数の平型紐状生地を含み、少なくとも1つの第2生地が、第1生地に含まれる複数の平型紐状生地と同じ程度の大きさを有する場合、少なくとも1つの接合層は、第1生地としての複数の平型紐状生地と、これらに対向する第2生地との間に設けられた複数の接合層である。
【0076】
さらに、第1生地が1つの帯状生地であり、少なくとも1つの第2生地が第1生地としての1つの帯状生地と同じ程度の長さと幅とを有する1つの第2生地である場合、少なくとも1つの接合層は、第1生地としての1つの帯状布地と1つの第2生地との間に設けられた1つの接合層である。
【0077】
(接合層の素材)
接合層の起毛部を構成する繊維には、例えば、ポリエステル製のものが用いられる。
【0078】
あるいは、接合層の起毛部を構成する繊維には、好ましくは、
(1)ポリエステルマルチフィラメント加工糸(167dtex、48フィラメント)、
(2)ナイロンモノフィラメント(99dtex)、
(3)ポリウレタン(122dtex)
などの素材が用いられる。
【0079】
なお、下半身用衣類の帯状部材を構成する第1生地および第2生地の素材には、上述した第1生地および第2生地の説明で示した材料以外に、ウエスト部および被覆部を構成する生地の素材を用いることができ、さらには、接合層の繊維にも、上述の接合層の説明で示した材料以外に、ウエスト部および被覆部を構成する生地の繊維を用いることも可能である。
【0080】
このように帯状部材は、その長さ、幅、厚み、素材(編み物あるいは織り物)、素材における編目あるいは繊維の密度などに拘わらず、表面に凹凸部分が形成されたものであって、凹凸部分の凹部により形成されるスペース(空隙)のサイズおよび凸部の厚み(高さ)の少なくとも一方を自在に調整することにより、下半身用衣類のウエスト部での通気性とクッション性が確保されるものであればどのようなものでもよい。
【0081】
また、接合層の厚さ(すなわち、第1生地と第2生地との間の離間間隔)は、特に限定されるものではないが、例えば、約2mm~約4mmであることが好ましく、より好ましくは、約3mmである。なぜなら、接合層は、ウエストに対するソフトな接触感と通気性を確保する上で、第1生地と第2生地とを接続する複数の繊維による起毛部を備えることが好ましく、その場合、接合層の厚さ(すなわち、起毛部の高さ)が小さすぎる(例えば、約2mm未満である)と、通気性が低下し、接合層の厚さが大きすぎる(例えば、約4mmより大きい)場合には、装着者のウエストに帯状部材のウエスト部が当たったときに起毛部が横に寝てしまい、クッション性が低下するからである。
【0082】
本発明においては、複数の第2生地を間隔を設けて、1つの第1生地上に接合層を介して配置することにより第1生地の表面に凹凸形状が形成され、通気性を保つとともに滑り止め機能も提供することができる。
【0083】
さらに、上述した帯状部材は第1生地と第2生地とを接合層の複数の繊維で接続することにより得られるものである。従って、この帯状部材の製造方法は、少なくとも、第1生地および第2生地を形成することと、第1生地の糸と接合層の複数の繊維のそれぞれの一端とを同時に編み込み、かつ、第2生地の糸と接合層の複数の繊維のそれぞれの他端とを同時に編み込むこととを含むものである。
【0084】
〔実施形態1〕
以下の実施形態1では、下半身用衣類として、帯状部材が1つの第1生地と4つの第2生地とを備え、1つの第1生地と4つの第2生地との間にそれぞれ接合層(4つの接合層)が設けられており、さらに、ウエスト部および被覆部ともに表地と裏地とを有しているものを挙げる。
【0085】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0086】
図1は、本発明の実施形態1による下半身用衣類1を説明するための図であり、図1(a)は、下半身用衣類1の前側部分を示し、図1(b)は、下半身用衣類1の後側部分を示す。
【0087】
この実施形態1の下半身用衣類1は、男性用スーツのパンツであり、下半身用衣類1は、ウエスト部10と、ウエスト部10から延在する被覆部20と、ウエスト部10に設けられた帯状部材100とを備えている。実施形態1では、帯状部材100は、ウエスト部10の内側表面に、ウエスト部10の内周に少なくとも部分的に沿って取り付けられている。また、実施形態1では、帯状部材100は、縫い付けによりウエスト部10に取り付けられている。ただし、帯状部材100のウエスト部10への取り付けの態様は、縫い付けに限定されず、例えば、接着剤で取り付けられていてもよい。
【0088】
このウエスト部10の表側表面には、ベルトを通すためのベルト通し部材(所謂、ベルトループ)10aがウエスト部10の周方向に沿って所定の間隔で取り付けられている。なお、他の実施形態では、下半身用衣類1は、ウエスト部10にベルト通し部材10aが設けられていないものでもよい。
【0089】
なお、実施形態1における下半身用衣類は、男性用スーツのパンツに限定されるものではなく、女性用スーツのパンツなど任意の下半身用衣類であってもよい。
【0090】
図2は、図1(a)のR1部分の構造を説明するための図であり、図2(a)は、下半身用衣類1のウエスト部10およびその下側近傍を示す斜視図、図2(b)は、図2(a)のXa-Xa線断面図である。
【0091】
ウエスト部10
ウエスト部10は、ウエスト部10が装着者Uの身体に対する着用位置からずれないように装着者Uの身体の腰回りに密着する部分であり、表地11と、表地11に縫い付けられた裏地12とを有している。ウエスト部10の裏地12には、ウエスト部10の内周に沿って帯状部材100が取り付けられている(図2参照)。
【0092】
なお、ここでは、ウエスト部10の表地11と裏地12との間に芯材は設けられていない。これは、ウエスト部10には帯状部材100が取り付けられており、帯状部材100が芯材としての働きをするからである。ただし、場合によっては、ウエスト部をさらに補強するために、表地11と裏地12との間に芯材は設けられていてもよい。また、ここでは、ウエスト部10は表地11に加えて裏地12を有しているが、ウエスト部10は、表地のみを有し、裏地を有さない構造でもよい。
【0093】
ウエスト部10を構成する表地11、裏地12、および芯材13の素材としては、種々の編み物(編地)あるいは種々の織り物(織地)のうちの適切な生地が用いられており、さらにその素材を構成する繊維には、天然繊維あるいは化学繊維が用いられている。
【0094】
編み物は編み方が限定されるものではなく、例えば、編み物としては、天竺(てんじく)、フライス、スウェット(裏毛)、ベロア、フリース、梨地ニットなどの編み方で編まれた生地も採用可能である。また、織り物も織り方が限定されるものではなく、例えば、織り物としては、平織り、綾織り(ツイル)、しゅす織りなどの織り方で織られた生地を採用可能である。
【0095】
さらに、天然繊維のうち植物繊維として代表的なものは、コットン(綿)、リネン(亜麻)などであり、天然繊維のうち動物繊維として代表的なものは、シルク(絹)、ウール(毛)などである。また、化学繊維としては、再生繊維(例えば、木材を再生して作ったテンセル(登録商標)、レーヨンなど)、および、合成繊維(例えば、石油を原料としたポリエステル、ナイロン、アクリルなど)が挙げられる。
【0096】
被覆部20
被覆部20は、装着者Uの下半身を被覆する部分であり、被覆部20は、表地21と裏地(図示せず)とを有している。ただし、被覆部20は、表地だけを有する構造(すなわち、裏地を有さない構造)を有していてもよい。
【0097】
ここで、被覆部20を構成する表地21の素材には、ウエスト部10を構成する表地11の素材と同じ素材(織り物、編み物など)が用いられており、被覆部20を構成する裏地(図示せず)の素材には、ウエスト部10を構成する裏地12の素材と同じ素材が用いられている。なお、場合によっては、被覆部20を構成する表地21には、ウエスト部10を構成する表地11の素材とは異なる素材が用いられてもよく、被覆部20を構成する裏地(図示せず)の素材には、ウエスト部10を構成する裏地12の素材とは異なる素材が用いられてもよい。
【0098】
帯状部材100
帯状部材100は、ウエスト部10の内側表面(実施形態1では、裏地12)に取り付けられる第1生地110と、装着者Uのウエストに面する4つの第2生地120(120a、120b、120c、120d)(図3参照)と、第1生地110と4つの第2生地120との間に設けられた4つの接合層130(130a、130b、130c、130d)(図3参照)とを備えている。この帯状部材100では、第1生地110の内周側に4つの第2生地120がそれぞれ接合層130を介して配置されることにより、第1生地110の内面側には凹凸部分が形成されている。
【0099】
第1生地110と第2生地120との離間距離(すなわち、接合層の高さ)は、帯状部材100の内面側に形成される凹凸部分の凸部の強度との関係で約4mmとなっている。ただし、接合層130における繊維の密度および/または太さ(繊度)により凸部の強度は変化するので、第1生地110と第2生地120との離間距離は、4mmに限定されるものではなく、約2mm~約10mmの範囲で調整可能である。
【0100】
以下、帯状部材100の構造を詳しく説明する。
【0101】
図3は、図2に示す帯状部材100の構造を説明するための図であり、図3(a)は、図2(a)に示される帯状部材100を真っすぐに伸ばした状態で内側(装着者側)を見たときの構造を拡大して示す平面図、図3(b)は図3(a)のXb-Xb線断面図、図3(c)は図3(b)のR3部分を拡大して示す断面図である。なお、図3では、4つの第2生地120は第2生地120a~120dとして示し、4つの接合層130は接合層130a~130dとして示す。
【0102】
・第1生地110
(第1生地110の形状)
この実施形態1の帯状部材100では、第1生地110は、ウエスト部10の内周に沿ってその全体に渡って取り付けられた1つの連続した帯状生地であり、その長さ(第1生地の長手方向の寸法)L1は、下半身用衣類1であるパンツのウエストサイズに対応した長さであり、その幅(短手方向の寸法)W1は、例えば、約40mm~約80mmであり、好ましくは、約60mmであり、その厚さD1は、例えば、約1.0mm~約2.0mmである。
【0103】
ただし、本発明の第1生地は、図3(a)に示すように、ウエスト部10の内周に沿ってその全体に渡って取り付けられた1つの連続した帯状生地に限定されるものではなく、ウエスト部10の内周に沿ってその一部に取り付けられたものでもよい。
【0104】
ここで、1つの第1生地110の長手方向長さL1は、下半身用衣類1のウエストサイズの約70~100%、約80~98%、約90~95%などであり得る。
【0105】
なお、図4は、図3に示す第1生地110の変形例を説明するための図であり、図4(a)は第1生地110が1つの帯状生地110aで構成されている場合を示し、図4(b)は、第1生地111が複数のタイル状生地111aで構成されている場合を示し、図4(c)は、第1生地112が複数の平型紐状生地112aで構成されている場合を示す。
【0106】
本発明の帯状部材における第1生地110は、図4(a)に示すような連続した1つの帯状生地110aに限定されない。
【0107】
第1生地111は、図4(b)に示すように、X方向に沿って(ウエスト部の内周の一部または全体に沿って)所定間隔で離散的にウエスト部10の内側表面に取り付けられることができるように、複数のタイル状生地111aを含むものでもよい。あるいは、第1生地は、図4(c)に示すように、X方向に沿って(ウエスト部の内周の一部または全体に沿って)ウエスト部10の内側表面に取り付けられることができるように、複数の平たい紐状生地(平型紐状生地)112aを含み、複数の平型紐状生地112aがウエスト部の高さ方向Y(短手方向)に沿って所定間隔で並行に配置されることができるようにしてもよい。
【0108】
(第1生地110の素材)
この帯状部材100では、第1生地110の素材には伸縮性に優れた編み物(ニット生地)を用いており、特に、マルチフィラメント糸とポリウレタン糸で形成された経編地であって、帯状部材としてのダブルラッシュ生地を構成するものであってもよい。例えば、第2生地もこのような経編地を用い、第1生地である経編地と第2生地である経編地とを接合層としてのモノフィラメント糸で接続することにより帯状部材としてのダブルラッシュ生地が得られる。
【0109】
なお、第1生地110の素材は、このようなダブルラッシュ生地を構成する経編地に限定されず、その他のニット生地(編地)でもよい。さらに、第1生地110の素材は、ニット生地に限定されるものではなく、ニット生地以外の平織り、綾織りなどの織り物(織地)でもよい。
【0110】
また、第1生地110の素材を構成する繊維は、上述したものに限定されず、その他の動物繊維、植物繊維などの天然繊維、あるいは化学繊維を用いることができる。
【0111】
例えば、第1生地110の密度は、20ウェル、25コースである。ただし、第1生地110の密度は、上記の密度に限定されるものではなく、16~28ウェル、17~33コースの範囲で調整可能である。
【0112】
・第2生地120a~120d
(第2生地120a~120dの形状)
この実施形態1の帯状部材100では、装着者のウエストに面する少なくとも1つの第2生地は、例えば4つの第2生地120a~120dである。これらの4つの第2生地120a~120dは、図3(a)に示すように、第1生地110の幅方向(短手方向)Yに並ぶように、隣接するもの同士の間に間隔S1を空けて配列され、それぞれの第2生地120a~120dは、第1生地110の長手方向Xに沿って延在している。ここで、第2生地120a~120dの長さ(長手方向Xの寸法)L2は、第1生地110と略同じ長さL1であり、第2生地120a~120dの幅(短手方向の寸法)W2は、第1生地の幅W1の約6~20%の幅である。
【0113】
また、第2生地120a~120dのうちの両端の第2生地120aおよび120dの外側の長辺と、第1生地110を構成する生地の外側の長辺端部との距離S2は、約0.5mm~約2mm(例えば約1.0mm)である。距離S2を設けることにより、第1生地110の縁に沿って突出して設けられた第2生地に引っ張られて第1生地の縁が丸まったりして変形するのを防ぐことができる。
【0114】
また、第1生地110の幅方向に配列された複数の第2生地の各々は、第1生地と略同じ長さを有する連続した1つの細い帯状生地には限定されず、第1生地110の長手方向に沿ってその全長に渡って離散的に配置された複数の生地片で構成されたものでもよい。
【0115】
さらに、第1生地111が図4(b)に示すように、上述した複数のタイル状生地111aを含む場合、少なくとも1つの第2生地は、第1生地111に含まれる複数のタイル状生地111aと各々に対向し、同じ程度のサイズを有する複数の第2生地でもよい。
【0116】
あるいは、第1生地112が図4(c)に示すように、上述した複数の平型紐状生地112aを含む場合、少なくとも1つの第2生地は、第1生地112に含まれる複数の平型紐状生地と各々に対向し、同じ程度のサイズを有する複数の第2生地でもよい。
【0117】
ただし、少なくとも1つの第2生地は、複数の第2生地である場合に限らず、複数の第2生地に代わる、第1生地110としての1つの帯状生地(図4(a)参照)と同じ程度の長さと幅とを有する1つの第2生地であってもよい。
【0118】
(第2生地120a~120dの素材)
実施形態1の帯状部材100では、第2生地120の素材および素材を構成する繊維には、第1生地110のものと同じものを用いているが、第2生地120の素材および素材を構成する繊維には第1生地110のものとは異なるものを用いてもよい。
【0119】
また、第2生地120の素材の密度は、第1生地110の素材の密度と同じであってもよいし、あるいは第1生地110の素材の密度とは異なる密度であってもよい。
【0120】
また、第2生地120a~120dの厚み(高さ)D2は、好ましくは、第1生地110の厚さD1と同様に約1.0mm~約2.0mmである。但し、第2生地120a~120dの厚み(高さ)D2は、第1生地110の厚さD1と異なっていてもよい。
【0121】
・接合層130a~130d
(接合層130a~130dの形状)
この実施形態1の帯状部材100では、第1生地110と少なくとも1つの第2生地120との間に設けられた少なくとも1つの接合層は4つの接合層130a~130dである。
【0122】
これらの4つの接合層130a~130dは、第2生地120a~120dと対応するように隣接するもの同士の間に間隔S1を空けて配列されており、それぞれの接合層130a~130dは、第2生地120a~120dと重なるように第1生地110の長手方向Xに延びている。
【0123】
従って、接合層130a~130dの長さ(長手方向Xの寸法)L3および幅(短手方向の寸法)W3はそれぞれ、第2生地120a~120dの長さ(長手方向Xの寸法)L2および幅(短手方向の寸法)W2と同一である。ただし、接合層の長さL3および幅W3は、第2生地の長さおよび幅と必ずしも同一でなくてもよく、例えば、接合層の長さおよび幅の少なくとも一方が、第2生地の対応するものよりも大きくても小さくてもよい。
【0124】
また、この実施形態1では、第1生地110が1つの帯状生地110aであり(図4(a)参照)、第2生地が4つの第2生地120a~120dであるので、少なくとも1つの接合層は4つの接合層130a~130dであるが、本発明の少なくとも1つの接合層は、第1生地と第2生地との間に設けられたものであれば、その他の構成は限定されず任意であり得、本発明の少なくとも1つの接合層の数は、1つ以上の任意の整数であり得る。
【0125】
例えば、第1生地が上述した複数のタイル状生地111aを含む第1生地111である場合(図4(b)参照)、あるいは第1生地が複数の平型紐状生地112aを含む第1生地112である場合(図4(c)参照)、かつ、少なくとも1つの第2生地が、第1生地111に含まれる複数のタイル状生地111aあるいは第1生地112に含まれる複数の平型紐状生地112aと同じ程度の大きさを有する場合には、少なくとも1つの接合層は、第1生地としての複数のタイル状生地あるいは複数の平型紐状生地と、これらに対向する第2生地との間に設けられた複数の接合層であってもよい。
【0126】
さらに、第1生地110が1つの帯状生地110aであり(図4(a)参照)、少なくとも1つの第2生地が第1生地としての1つの帯状生地と同じ程度の長さと幅とを有する1つの第2生地である場合には、少なくとも1つの接合層は、第1生地としての1つの帯状布地と1つの第2生地との間に設けられた1つの接合層であってもよい。
【0127】
また、この実施形態1の帯状部材100では、接合層130aの厚さ(高さ)D3は、約3mmである。ただし、接合層130a~130dの厚さ(高さ)D3は、約3mmに限定されず、約2mm~約10mmの範囲の厚さとすることが可能である。また、この接合層130a~130dの厚さは、第1生地110と第2生地120a~120dとの離間距離に相当するものであり、接合層130a~130dが厚いほど、第1生地110と第2生地120a~120dとの間隔が広がることとなる。
【0128】
4つの接合層130a~130dは、第1生地110と第2生地120a~120dとを接続する複数の繊維による起毛部を備えている。
【0129】
ここで、複数の繊維による起毛部の特性を繊維の密度(単位面積当たりの繊維の本数)で表すと、その密度は、約2本/mm~約4本/mmであり、好ましくは約2.8本/mmである。
【0130】
ただし、起毛部の特性は、繊維の密度に代えて、繊維の太さを示す指標である繊度(dtex)で表すことが可能である。1dtexは、10000mの重さが1gである繊維の太さ(繊度)を表している。
【0131】
例えば、接合層130a~130dの起毛部の特性を、起毛部を構成する複数の繊維の繊度で表すと、その繊度は約80dtex~約200dtexの範囲である。
【0132】
(接合層130a~130dの素材)
さらに、接合層130a~130dの起毛部における複数の繊維を構成する繊維は、第1生地と第2生地とを接続する連結糸であれば任意のものでよく、好ましくは、
(1)ポリエステルマルチフィラメント加工糸(167dtex、48フィラメント)、
(2)ナイロンモノフィラメント(99dtex)、
(3)ポリウレタン(122dtex)、
などを用いることができる。ここで、マルチフィラメント(48フィラメント)は、糸の製造工程時に「引きそろえ状態」で生成された48本のフィラメントの集合体である。なお、フィラメント糸と同様に、ポリエステル、ナイロンなどの合成繊維の糸には、ウーリー糸がある。このウーリー加工糸は、撚糸が加えられているが、製造工程でその撚りは戻されるので、複数のフィラメントが「絡まりついている」状態の糸である。
【0133】
また、起毛部を構成する繊維は、上記のものに限定されず、ポリエステル製であってもよい。
【0134】
次に、帯状部材100を製造する方法を説明する。帯状部材100は、第1生地と第2生地とを接合層の複数の繊維で接合することにより得られるものであり、この帯状部材100の製造方法は、少なくとも、第1生地および第2生地を形成することと、第1生地の糸と接合層の複数の繊維のそれぞれの一端とを同時に編み込み、かつ、第2生地の糸と接合層の複数の繊維のそれぞれの他端とを同時に編み込むこととを含むものである。
【0135】
具体的には、この帯状部材100は、ダブルラッシェル機により編まれた経編地である。
【0136】
マルチフィラメント糸とポリウレタン糸とで形成された経編地を第1生地110および第2生地120a~120dとして形成した後、第1生地の糸と接合層のモノフィラメント糸(連結糸)とを同時に編み込みかつ第2生地の糸と接合層のモノフィラメント糸(連結糸)とを同時に編み込むことによって、第1生地110である経編地と第2生地120a~120dである経編地とが接合層130a~130dにおけるモノフィラメント糸で接続され、これにより、帯状部材100としてのダブルラッシュ生地が得られる。
【0137】
帯状部材100では、ウエスト部10の裏地12に取り付けられる第1生地110と装着者Uのウエストに面する第2生地120a~120dとの間に接合層130a~130dが設けられているので、接合層130a~130dがクッションとなって装着者Uのウエストへのウエスト部10の接触感をよりソフトにすることができる。さらに、下半身用衣類1のウエスト部10と装着者Uのウエストとの間には、第1生地110、第2生地120a~120d、および接合層130a~130dが介在することで通気スペースが確保され、これによりウエスト付近での蒸れを解消し、また滑り止め機能を提供することもできる。
【0138】
特に、接合層130a~130dが起毛部を備える場合には、第1生地110と第2生地120a~120dとの間に接合層130a~130dが介在する構造の帯状部材100では、より高いクッション性とより高い通気性とを確保できる。
【0139】
また、帯状部材100を構成する第1生地110および第2生地120a~120dにニット生地を用いている場合、帯状部材100を伸縮性のよいものとできる。
【0140】
さらに、ウエスト部10に取り付けられている帯状部材100がウエスト部10の芯材としての働きをすることから、パンツの着脱によってウエスト部が丸まったり折れ曲がったりするのが抑制される。このため、この実施形態1の下半身用衣類1のようにウエスト部10に帯状部材100を取り付けられているものでは、ウエスト部10の芯材は不要とできる。
【0141】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は、装着者のウエストへの接触感をよりソフトにすることができ、しかもウエスト付近での蒸れを解消することができる下半身用衣類を得ることができるものとして有用である。
【符号の説明】
【0143】
1 下半身用衣類
10 ウエスト部
20 被覆部
100 帯状部材
110、111、112 第1生地
110a 帯状生地
111a タイル状生地
112a 平型紐状生地
120、120a~120d 第2生地
130、130a~130d 接合層
図1
図2
図3
図4