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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029706
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】自律走行車
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20220210BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20220210BHJP
【FI】
G01B11/00 H
G05D1/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020133141
(22)【出願日】2020-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松浦 翼
【テーマコード(参考)】
2F065
5H301
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065AA09
2F065BB15
2F065CC11
2F065CC40
2F065DD04
2F065FF04
2F065FF61
2F065FF67
2F065GG07
2F065GG13
2F065HH02
2F065HH14
2F065HH18
2F065JJ03
2F065JJ09
2F065MM06
2F065NN01
2F065NN02
2F065PP22
2F065QQ03
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ28
2F065QQ31
2F065QQ39
2F065RR06
2F065UU05
5H301AA01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】自己位置推定精度を向上させることができる自律走行車を提供する。
【解決手段】車体の下面に設置され、車体の下方の路面を撮影するカメラ20と、車体の下面に設置され、複数のLEDよりなり、路面におけるカメラの撮影領域に光を照射する光源群30と、予め路面を撮影しておいた地図画像71を記憶する記憶部70と、カメラ20により撮影された路面の画像から抽出された特徴と、地図画像71から抽出された特徴とを比較することにより自律走行車の自己位置を推定する自己位置推定部61と、を備える。カメラ20による路面の撮像画像における区画された複数のエリアのうちの少なくとも輝度が低いエリアを特定する判定部80と、光源群30における輝度が低いエリアに対応するLEDを制御して輝度が低いエリアを明るくする照度調整部81と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の下面に設置され、前記車体の下方の路面を撮影するカメラと、
前記車体の下面に設置され、複数の光源よりなり、前記路面における前記カメラの撮影領域に光を照射する光源群と、
予め前記路面を撮影しておいた地図画像を記憶する記憶部と、
前記カメラにより撮影された前記路面の画像から抽出された特徴と、前記地図画像から抽出された特徴とを比較することにより自律走行車の自己位置を推定する自己位置推定部と、
を備える自律走行車であって、
前記カメラによる前記路面の撮像画像における区画された複数のエリアのうちの少なくとも輝度が低いエリアを特定する判定部と、
前記光源群における前記輝度が低いエリアに対応する光源を制御して前記輝度が低いエリアを明るくする調整部と、
を備えることを特徴とする自律走行車。
【請求項2】
前記調整部は、前記光源群における前記輝度が低いエリアに対応する光源の照度を大きくすることで前記輝度が低いエリアを明るくすることを特徴とする請求項1に記載の自律走行車。
【請求項3】
前記調整部は、前記光源群における前記輝度が低いエリアに対応する光源を当該輝度が低いエリアの中心に近づくように移動させることで前記輝度が低いエリアを明るくすることを特徴とする請求項1に記載の自律走行車。
【請求項4】
前記調整部は、前記光源群における前記輝度が低いエリアに対応する光源の光軸の向きを当該輝度が低いエリアの中心に近づくように変えることで前記輝度が低いエリアを明るくすることを特徴とする請求項1に記載の自律走行車。
【請求項5】
前記判定部は、前記カメラによる前記路面の撮像画像における輝度が低いエリア及び輝度が高いエリアを特定し、
前記調整部は、前記光源群における前記輝度が低いエリアに対応する光源を制御して前記輝度が低いエリアを明るくするとともに前記光源群における前記輝度が高いエリアに対応する光源を制御して前記輝度が高いエリアを暗くすることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の自律走行車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無人車両の状態(位置情報など)を推定する技術としてSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)がある。SLAMは、移動体の自己位置推定と環境地図作成を同時に行う技術であり、移動体が未知の環境下で環境地図を作成できる。構築した地図情報を使って障害物などを回避しつつ特定のタスクを遂行する。
【0003】
自律走行車の自己位置を推定する技術として路面画像を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、車体の下面に路面を撮影するカメラを設置し、予め撮影しておいた画像(地図画像)と、現時点での路面画像(実際の画像)のそれぞれから特徴を検出し、それらを比較して自己位置を推定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8725413号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、例えば図10に示すように適切な明るさにより撮像された画像P10を得ることができればよいが、例えば、カメラの撮影タイミングにおいて複数の照明用光源を同期して点灯させる場合においては各光源の配置や明るさの強弱のばらつきによりカメラにより撮影された路面の画像内に明るさのばらつきが発生しまう。これにより、例えば図11に示すように、画像P10において暗い所にノイズN10による特徴点が集まってしまう。このように、ノイズN10による実際の路面には無い特徴点が出てしまい、カメラのノイズを路面の模様での特徴点と誤判定されてしまい、路面の特徴(パターン)F11~F15を正しく検出できない。その結果、ノイズN10の特徴点を含む状態で複数の地図画像で同じ特徴(パターン)F11~F15の特徴点を検出すると、正しい自己位置を推定できなくなる懸念がある。
【0006】
本発明の目的は、自己位置推定精度を向上させることができる自律走行車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための自律走行車は、車体の下面に設置され、前記車体の下方の路面を撮影するカメラと、前記車体の下面に設置され、複数の光源よりなり、前記路面における前記カメラの撮影領域に光を照射する光源群と、予め前記路面を撮影しておいた地図画像を記憶する記憶部と、前記カメラにより撮影された前記路面の画像から抽出された特徴と、前記地図画像から抽出された特徴とを比較することにより自律走行車の自己位置を推定する自己位置推定部と、を備える自律走行車であって、前記カメラによる前記路面の撮像画像における区画された複数のエリアのうちの少なくとも輝度が低いエリアを特定する判定部と、前記光源群における前記輝度が低いエリアに対応する光源を制御して前記輝度が低いエリアを明るくする調整部と、を備えることを要旨とする。
【0008】
これによれば、カメラによる路面の撮像画像における区画された複数のエリアのうちの少なくとも輝度が低いエリアが特定され、光源群における輝度が低いエリアに対応する光源を制御することにより輝度が低いエリアが明るくされることにより、カメラによる路面の撮像画像中にノイズの発生を抑制してノイズを特徴として捉えにくくできる。その結果、自己位置推定精度を向上させることができる。
【0009】
また、自律走行車において、前記調整部は、前記光源群における前記輝度が低いエリアに対応する光源の照度を大きくすることで前記輝度が低いエリアを明るくするとよい。
また、自律走行車において、前記調整部は、前記光源群における前記輝度が低いエリアに対応する光源を当該輝度が低いエリアの中心に近づくように移動させることで前記輝度が低いエリアを明るくするとよい。
【0010】
また、自律走行車において、前記調整部は、前記光源群における前記輝度が低いエリアに対応する光源の光軸の向きを当該輝度が低いエリアの中心に近づくように変えることで前記輝度が低いエリアを明るくするとよい。
【0011】
また、自律走行車において、前記判定部は、前記カメラによる前記路面の撮像画像における輝度が低いエリア及び輝度が高いエリアを特定し、前記調整部は、前記光源群における前記輝度が低いエリアに対応する光源を制御して前記輝度が低いエリアを明るくするとともに前記光源群における前記輝度が高いエリアに対応する光源を制御して前記輝度が高いエリアを暗くするとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、自己位置推定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態における自律走行車の側面図。
図2図1におけるA部拡大図。
図3】画像の一例を示す図。
図4】カメラ、光源群及び画像を示す平面図。
図5】自律走行車の電気的構成を示すブロック図。
図6】作用を説明するためのフローチャート。
図7】作用を説明するためのカメラ、光源群及び画像を示す平面図。
図8】画像の一例を示す図。
図9】別例を説明するためのカメラ、光源群及び画像を示す平面図。
図10】課題を説明するための画像の一例を示す図。
図11】課題を説明するための画像の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、自律走行車10は、四輪車両であって、車体11と、車体11の下部に配置された駆動輪102と、車体11の下部に配置された操舵輪105と、を備える。
【0015】
図1図2に示すように、自律走行車10は、カメラ20を備える。カメラ20は、車体11の下面中央部に設置され、車体11の下方の路面Srを撮影することができる。図3には、カメラ20による画像P1の一例を示す。画像P1は、円形をなしている。
【0016】
図1図2図4に示すように、自律走行車10は、照明用の光源群30を備える。光源群30は、車体11の下面に設置されている。光源群30は、複数の光源としての16個の発光ダイオード(以下、単にLEDという)31~46よりなる。光源群30は、路面Srにおけるカメラ20の撮影領域に光を照射するためのものである。光源群30は、車体11の下面においてカメラ20の周囲を囲むように16個のLED31~46が配置されている。図2に示すように、各LED31~46の光軸Axは、LED31~46から真下(鉛直方向)に延びている。
【0017】
図4に示すように、LED31とLED32とが接近して配置され、対をなしている。LED33とLED34とが接近して配置され、対をなしている。LED35とLED36とが接近して配置され、対をなしている。LED37とLED38とが接近して配置され、対をなしている。LED39とLED40とが接近して配置され、対をなしている。LED41とLED42とが接近して配置され、対をなしている。LED43とLED44とが接近して配置され、対をなしている。LED45とLED46とが接近して配置され、対をなしている。
【0018】
図4に示す平面図において、一対のLED31,32は、画像P1の中心(カメラ20の中心)Oに対する放射方向のうちのD1方向に配置されている。一対のLED33,34は、画像P1の中心Oに対する放射方向のうちのD1方向よりも反時計回りに45度ずれた方向であるD2方向に配置されている。一対のLED35,36は、画像P1の中心Oに対する放射方向のうちのD2方向よりも反時計回りに45度ずれた方向であるD3方向に配置されている。一対のLED37,38は、画像P1の中心Oに対する放射方向のうちのD3方向よりも反時計回りに45度ずれた方向であるD4方向に配置されている。一対のLED39,40は、画像P1の中心Oに対する放射方向のうちのD4方向よりも反時計回りに45度ずれた方向であるD5方向に配置されている。一対のLED41,42は、画像P1の中心Oに対する放射方向のうちのD5方向よりも反時計回りに45度ずれた方向であるD6方向に配置されている。一対のLED43,44は、画像P1の中心Oに対する放射方向のうちのD6方向よりも反時計回りに45度ずれた方向であるD7方向に配置されている。一対のLED45,46は、画像P1の中心Oに対する放射方向のうちのD7方向よりも反時計回りに45度ずれた方向であるD8方向に配置されている。
【0019】
一対のLED33,34、一対のLED37,38、一対のLED41,42、一対のLED45,46は、真円形をなす画像P1の外側において接近して配置されている。一対のLED31,32、一対のLED35,36、一対のLED39,40、一対のLED43,44は、真円形をなす画像P1が内接円となる正方形における四隅に、それぞれ配置されている。
【0020】
光源群30の各LED31~46は、カメラ20の撮影タイミングに同期して点灯する。このとき、各LED31~46の配置や明るさの強弱のばらつきによりカメラ20により撮影された路面の画像内に明るさのばらつきが発生する可能性がある。
【0021】
図5に示すように、自律走行車10は、制御装置50と、モータドライバ100,103と、走行モータ101と操舵モータ104を備える。制御装置50にはカメラ20が接続されている。制御装置50は、モータドライバ100を介して走行モータ101を制御して駆動輪102を駆動することができるようになっている。制御装置50は、モータドライバ103を介して操舵モータ104を制御して操舵輪105を駆動することができるようになっている。
【0022】
図5に示すように、自律走行車10は、LEDドライバ82を備える。制御装置50は、LEDドライバ82を介してLED31~46を制御することができる。詳しくは、各LED31~46は、それぞれ、スイッチング素子83を介して電源Vccと接続されており、各LED31~46に対応するスイッチング素子83をデューティ制御することにより各LED31~46の照度を制御することができる。
【0023】
図5に示すように、制御装置50は、処理部60と、記憶部70と、判定部80と、調整部としての照度調整部81を備える。処理部60は、自己位置推定部61を備える。自己位置推定部61は、特徴抽出部62とマッチング部63を有する。
【0024】
記憶部70には、自律走行車10を制御するための種々のプログラムが記憶されている。制御装置50は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路:ASICを備えていてもよい。制御装置50は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは、それらの組み合わせを含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU、並びに、RAM及びROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリ、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆるものを含む。
【0025】
制御装置50は、記憶部70に記憶されたプログラムに従い、走行モータ101及び操舵モータ104を制御することで、自律走行車10を動作させる。本実施形態の自律走行車10は、搭乗者による操作が行われることなく、制御装置50による制御によって自動で走行、操舵の動作を行う車両である。
【0026】
記憶部70には、予め路面Srを撮影しておいた地図画像71が記憶されている。地図画像71は、地理的位置情報が紐付けられた状態で作成されている。
自己位置推定部61は、カメラ20により撮影された路面Srの画像から抽出された特徴(点群)と、記憶部70の地図画像71から抽出された特徴とを比較することにより自律走行車の自己位置を推定することができる。自己位置とは、車体11の一点を示す座標であり、例えば、車体11の水平方向の中央の座標である。
【0027】
詳しくは、特徴抽出部62において、図3に示すように、現時点での路面画像(実際の画像)である撮像画像P1から特徴点を検出するとともに、その特徴点についての特徴量、即ち、特徴点のあるピクセルに対する周りのピクセルでの輝度の大きさの程度を表す特徴量を検出する。同様に、特徴抽出部62において、予め撮影しておいた地図画像から特徴点を検出するとともに、その特徴点についての特徴量、即ち、特徴点のあるピクセルに対する周りのピクセルでの輝度の大きさの程度を表す特徴量を検出する。そして、マッチング部63において、現時点での路面画像(実際の画像)における各特徴点の特徴量と、予め撮影しておいた地図画像における各特徴点の特徴量を比較することにより自己位置を推定する。
【0028】
地図画像71を予め記憶部70に記憶する場合、路面の模様の座標を環境地図として記憶する。環境地図は、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)によるマッピングにより作成される。SLAMは、移動体の自己位置推定と環境地図作成を同時に行うものであり、移動体が未知の環境下で環境地図を作成できる。構築した地図情報を使って特定のタスクを遂行する。自己位置推定の際、カメラで取得した路面画像と事前に取得した地図画像を比較することで自律走行車の自己位置を推定する。
【0029】
制御装置50は、地図上での自律走行車10の位置を推定する自己位置推定を行いながら走行モータ101及び操舵モータ104を制御することで、所望の位置に自律走行車10を移動させることが可能である。
【0030】
次に、作用について説明する。
図6は、制御装置50が実行する処理を示すフローチャートである。図7は、カメラ20、光源群30(LED31~46)及び画像を示す平面図であり、カメラ20による路面の撮像画像P1は、複数のエリアとしての9個のエリアE1~E9に区画されている。詳しくは、真円形をなす画像P1が内接円となる正方形において、対向する一対の辺を3分割するとともに他の対向する一対の辺を3分割することにより9個の正方形の分割エリアE1~E9が区画されている。各エリアE1~E9は同形・同面積である。
【0031】
制御装置50は、図6のステップS10において、カメラ20で路面を撮影させる。
判定部80は、ステップS11において、撮影した画像から輝度分布をみることにより、撮影した画像から輝度値が最も高いエリアを抽出(特定)する。輝度値が最も高いエリアは、図7においてはエリアE4である。
【0032】
判定部80は、図6のステップS12において、輝度値が最も高いエリアと輝度の差が一定以上(閾値以上)ある輝度が低い暗いエリアを抽出(特定)する。輝度が低い暗いエリアは、図7においてはエリアE7である。
【0033】
このようにして、判定部80は、カメラ20による路面Srの撮像画像P1における輝度が低いエリア及び輝度が高いエリアを特定する。広義には、判定部80は、カメラ20による路面の撮像画像における区画された複数のエリアのうちの少なくとも輝度が低いエリアを特定する。
【0034】
判定部80は、図6のステップS13において、撮像画像の中心Oから輝度が低いエリアに向かう方向(画像中心Oと暗いエリアの中心位置を結ぶ方向)を第1方向として算出する。図7においてはD1方向が第1方向となる。
【0035】
判定部80は、図6のステップS14において、撮像画像の中心Oから輝度が最も高いエリアに向かう方向(画像中心Oと明るいエリアの中心位置を結ぶ方向)を第2方向として算出する。図7においてはD8方向が第2方向となる。
【0036】
照度調整部81は、図6のステップS15において、第1方向を明るくするように第1方向上のLED対の照度を大きくする。具体的には、図7においてはLED31,32に対応するスイッチング素子83のデューティ比を大きくしてLED31,32に流れる電流を増加させ照度を大きくする。つまり、輝度が低い暗いエリアを明るくするためにこのエリアに影響のある光源であるLED31,32の照度を大きくすべくLED31,32に対応するスイッチング素子83のデューティ比を制御する。
【0037】
照度調整部81は、図6のステップS16において、第2方向を暗くするように第2方向上のLED対の照度を小さくする。具体的には、図7においてはLED45,46に対応するスイッチング素子83のデューティ比を小さくしてLED45,46に流れる電流を減少させ照度を小さくする。つまり、輝度が高い明るいエリアを暗くするためにこのエリアに影響のある光源であるLED45,46の照度を小さくすべくLED45,46に対応するスイッチング素子83のデューティ比を制御する。
【0038】
このようにして、照度調整部81は、光源群30における輝度が低いエリアに対応する光源(LED)を制御して輝度が低いエリアを明るくするとともに光源群30における輝度が高いエリアに対応する光源(LED)を制御して輝度が高いエリアを暗くする。広義には、照度調整部81は、少なくとも光源群30における輝度が低いエリアに対応する光源(LED)を制御して輝度が低いエリアを明るくする。
【0039】
図10に示したように、従来においては、カメラの撮影タイミングにおいて複数の光源を同期して点灯させる場合においては各光源の配置や明るさの強弱のばらつきによりカメラにより撮影された路面の画像内に明るさのばらつきが発生する。例えば図11に示すように、画像P10において暗い所にノイズN10による特徴点が集まり、明るい所には特徴点があまり出なくなってしまう。ノイズN10による実際の路面には無い特徴点が出てしまい、カメラのノイズを路面の模様での特徴点と誤判定されてしまい、路面の特徴(パターン)F11~F15を正しく検出できない。即ち、ノイズN10の特徴点を含む状態で複数の地図画像で同じ特徴(パターン)F11~F15の特徴点を検出すると、正しい自己位置を推定できない。
【0040】
本実施形態においては、カメラの画像から暗すぎる箇所、明るすぎる箇所を判定し、各光源(LED)の照度を変える。詳しくは、撮影した画像を複数エリアに分割し、輝度値の高いエリア、低いエリアを抽出し、さらに、画像中心から高いエリア、低いエリアの方向を算出し、その方向に影響のある光源(LED)を制御する。
【0041】
よって、図7における暗いエリアE7を明るくすることにより、図3におけるノイズN1による特徴点が、図8に示すように無くなり、ノイズを特徴点として捉えることも無くなる。これにより、路面の特徴(パターン)F1~F5を正しく検出でき、ノイズN1の特徴点を含まない状態で複数の地図画像で同じ特徴(パターン)F1~F5の特徴点を検出して自己位置推定精度を向上させることができる。また、画像P1における明るい所が暗くされることにより画像中に路面の模様での特徴点を出やすくでき、自己位置推定精度を向上させることができる。
【0042】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)自律走行車10の構成として、カメラ20による路面の撮像画像における区画された複数のエリアのうちの少なくとも輝度が低いエリアを特定する判定部80と、光源群30における輝度が低いエリアに対応する光源(LED)を制御して輝度が低いエリアを明るくする調整部としての照度調整部81と、を備える。よって、輝度が低いエリアが明るくされることにより、カメラ20による路面の撮像画像中にノイズの発生を抑制してノイズを特徴として捉えにくくできる。その結果、自己位置推定精度を向上させることができる。
【0043】
(2)調整部は照度調整部81であり、光源群30における輝度が低いエリアに対応する光源(LED)の照度を大きくすることで輝度が低いエリアを明るくするので、容易に輝度が低いエリアを明るくすることができる。
【0044】
(3)判定部80は、カメラ20による路面Srの撮像画像における輝度が低いエリア及び輝度が高いエリアを特定する。照度調整部81は、光源群30における輝度が低いエリアに対応する光源(LED)を制御して輝度が低いエリアを明るくするとともに光源群30における輝度が高いエリアに対応する光源(LED)を制御して輝度が高いエリアを暗くする。これにより、画像が暗すぎる箇所や、明るすぎる箇所がある場合にも対応することができる。
【0045】
(4)光源群30は、車体11の下面においてカメラ20の周囲を囲むように複数の光源(LED31~46)が配置されているので、路面におけるカメラの撮影領域に光を均等に照射することができる。
【0046】
(5)判定部80は、カメラ20による路面の撮像画像から輝度値が最も高いエリアを抽出するとともに、輝度値が最も高いエリアと輝度の差が閾値以上ある輝度が低いエリアを抽出する。調整部としての照度調整部81は、撮像画像の中心から輝度が低いエリアに向かう方向を明るくするように光源(LED)を制御するとともに、撮像画像の中心から最も高いエリアに向かう方向を暗くするように光源(LED)を制御する。これにより、光源群30が、車体11の下面においてカメラ20の周囲を囲むように複数の光源(LED31~46)が配置されている場合において、容易にエリアを明るくしたり暗くしたりすることができる。
【0047】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
〇判定部80は、カメラ20による路面Srの撮像画像P1における輝度が高いエリア及び輝度が低いエリアを特定した。これに対し、判定部80は、カメラ20による路面の撮像画像における輝度が低いエリアの特定のみを行ってもよい。また、照度調整部81は、光源群30における輝度が低いエリアに対応する光源(LED)を制御して輝度が低いエリアを明るくするとともに、光源群30における輝度が高いエリアに対応する光源(LED)を制御して輝度が高いエリアを暗くした。これに対し、照度調整部81は、光源群30における輝度が低いエリアに対応する光源(LED)の制御のみを行って輝度が低いエリアを明るくすることのみ行ってもよい。
【0048】
○光源としてLEDを用いたが、これに限ることなく例えばハロゲンランプ等であってもよい。また、光源の色は何色でもよく、例えば、赤、青、白等であってもよい。
〇輝度が低いエリアを明るくするためにスイッチング素子83のデューティ比を大きくしたが、これに代わり、一対のLED(LED31とLED32、LED32とLED33、・・・、LED45とLED46)のうちの片方のLEDを、それまで消していたが点けるようにしてもよい。
【0049】
〇輝度が高いエリアを暗くすべくスイッチング素子のデューティ比を小さくしたが、これに代わり、一対のLED(LED31とLED32、LED32とLED33、・・・、LED45とLED46)のうちの片方のLEDを、それまで点けていたが切ってもよい。このように通電を遮断するようにしてもよく、この場合には、節電効果も見込める。
【0050】
〇分割する各エリアE1~E9の形状は四角形であったが、これに限ることなく、例えば、円形でも三角形状等であってもよい。
○撮像画像を複数のエリアに分割する際に、上述した場合は9個に分割したが、分割するエリアの数は問わない。2以上の正の整数であればよい。このとき、分割するエリアの数を増やすことでより正確な方向を判定することができる。また、分割するエリアの数を減らすことで、リアルタイム性が向上する。
【0051】
〇撮像画像の特定エリアでの明るさの変え方について、光源の配置を動的に変化させてもよい。具体的には、図9に示すように各光源(LED31~LED46)を画像の中心Oに対する放射方向に移動可能に支持し、光源(LED)を移動させる。つまり、光源群における輝度が低いエリアE7に対応する光源としてのLED31,32を、図9に仮想線で示す位置から実線で示すように当該輝度が低いエリアE7の中心に近づくように移動させる。また、光源群における輝度が高いエリアE4に対応する光源としてのLED45,46を、図9に仮想線で示す位置から実線で示すように当該輝度が高いエリアE4の中心から離れるように移動させる。
【0052】
このように、調整部200(図5において仮想線で示す光源配置位置調整部)は、光源群における輝度が低いエリアに対応する光源(LED)を当該輝度が低いエリアの中心に近づくように移動させることで輝度が低いエリアを明るくする構成としてもよい。また、調整部200(図5において仮想線で示す光源配置位置調整部)は、光源群における輝度が高いエリアに対応する光源(LED)を当該輝度が高いエリアの中心から離れるように移動させることで輝度が高いエリアを暗くする構成としてもよい。
【0053】
あるいは、図2における各光源(LED31~LED46)の光軸Axの向きを各エリアの中心に接近・離間するように変えることができるように支持し、光源の光軸Axの向きを変更させる。つまり、光源群における輝度が低いエリアに対応する光源の光軸Axの向きを当該輝度が低いエリアの中心に近づくように変える。また、光源群における輝度が高いエリアに対応する光源の光軸Axの向きを当該輝度が高いエリアの中心から離れるように変える。
【0054】
このように、調整部201(図5において仮想線で示す光源光軸調整部)は、光源群における輝度が低いエリアに対応する光源の光軸Axの向きを当該輝度が低いエリアの中心に近づくように変えることで輝度が低いエリアを明るくする構成としてもよい。また、調整部201(図5において仮想線で示す光源光軸調整部)は、光源群における輝度が高いエリアに対応する光源の光軸Axの向きを当該輝度が高いエリアの中心から離れるように変えることで輝度が高いエリアを暗くする構成としてもよい。
【0055】
〇自律走行車の種類は問わない。例えば、空港で機体を移動させるトーイングカー等であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
10…自律走行車、11…車体、20…カメラ、30…光源群、31~46…LED、61…自己位置推定部、70…記憶部、80…判定部、81…照度調整部、200…光源配置位置調整部、201…光源光軸調整部、Ax…光軸、E1~E9…エリア、P1…撮像画像、Sr…路面。
図1
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図11