(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029707
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
A01K 63/02 20060101AFI20220210BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20220210BHJP
B65D 85/52 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
A01K63/02 A
B65D85/50 150
B65D85/50 300
B65D85/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020133143
(22)【出願日】2020-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中田 裕貴
【テーマコード(参考)】
2B104
3E035
【Fターム(参考)】
2B104CA09
2B104CB17
2B104CB21
2B104CB28
2B104CB34
3E035AA05
3E035AB10
3E035BA08
3E035BB02
3E035BC02
3E035BD02
3E035CA04
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で生体を内部空間で保持できる包装体を提供する。
【解決手段】包装体1は、内部空間Sに流体を保持し、前記内部空間S中に生体を保持可能にした包装体1であって、前記包装体1の本体10は、シート20により構成され、前記シート20は、基材層およびシーラント層を含み、前記内部空間Sと外部空間とを連通する連通部23と、前記連通部23に設けられ前記流体の流れを一方から他方に限定する逆止機構40を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間に流体を保持し、前記内部空間中に生体を保持可能にした包装体であって、
前記包装体の本体は、シートにより構成され、
前記シートは、基材層およびシーラント層を含み、
前記内部空間と外部空間とを連通する連通部と、前記連通部に設けられ前記流体の流れを一方から他方に限定する逆止機構を備える、包装体。
【請求項2】
前記シーラント層の厚さは、50μm以上200μm以下の厚さである、請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記シーラント層は、直鎖状低密度ポリエチレンを含む、請求項1または2に記載の包装体。
【請求項4】
前記逆止機構は、前記包装体に複数設けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項5】
前記シーラント層がシールされるシール部を含み、前記シール部は、第1幅でシールされる第1シール部と、前記第1幅とは異なる幅でシールされる第2シール部とを含む、請求項4に記載の包装体。
【請求項6】
前記逆止機構は、ノズルが挿入されることにより前記外部空間から前記内部空間への流体の流れを形成する第1逆止機構と、前記ノズルが挿入されることにより前記内部空間から前記外部空間への流体の流れを形成する第2逆止機構と、を含み、
前記第2シール部は、前記第1逆止機構と前記第2逆止機構とにより構成される流体の流路に沿って設けられる、請求項5に記載の包装体。
【請求項7】
前記包装体は、切り込み部をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体を内部空間で保持する包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
魚介類等を生きた状態で輸送するために、個別に魚介類を入れる容器が知られている。特許文献1は、エアポンプを備え魚介類の輸送を好適に行う活魚輸送用容器を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような活魚輸送用容器において、内部空間にエアポンプが設けられることにより魚介類が存在する環境の流体を循環させることができる。しかし、各活魚輸送用容器にエアポンプを設けることにより活魚輸送用容器の構成が複雑になる。このため、限られた空間を利用した大量輸送に適さない可能性がある。
本発明の目的は、簡易な構成で生体を内部空間で保持できる包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に従う包装体は、内部空間に流体を保持し、前記内部空間中に生体を保持可能にした包装体であって、前記包装体の本体は、シートにより構成され、前記シートは、基材層およびシーラント層を含み、前記内部空間と外部空間とを連通する連通部と、前記連通部に設けられ前記流体の流れを一方から他方に限定する逆止機構を備える。
【発明の効果】
【0006】
上記包装体は、簡易な構成で生体を内部空間で保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】逆止機構にノズルを挿入する途中の状態を示す図。
【
図5】逆止機構ノズルを挿入完了した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(包装体が取り得る形態の一例)
本発明に従う包装体は、内部空間に流体を保持し、前記内部空間中に生体を保持可能にした包装体であって、前記包装体の本体は、シートにより構成され、前記シートは、基材層およびシーラント層を含み、前記内部空間と外部空間とを連通する連通部と、前記連通部に設けられ前記流体の流れを一方から他方に限定する逆止機構を備える。
この包装体によれば、逆止機構が設けられることにより、意図しない内部空間の変化が抑制される。このため、簡易な構成で生体を内部空間で保持できる。
【0009】
前記包装体の一例によれば、前記シーラント層の厚さは、50μm以上200μm以下の厚さである。
この包装体によれば、シーラント層の厚さが適切に設定されることにより包装体の本体の強度が維持される。
【0010】
前記包装体の一例によれば、前記シーラント層は、直鎖状低密度ポリエチレンを含む。
この包装体によれば、シーラント層の材料が適切に設定されることにより包装体の本体の強度が維持される。
【0011】
前記包装体の一例によれば、前記逆止機構は、前記包装体に複数設けられる。
この包装体によれば、内部空間をより好適に管理できる。
【0012】
前記包装体の一例によれば、前記シーラント層がシールされるシール部を含み、前記シール部は、第1幅でシールされる第1シール部と、前記第1幅とは異なる幅でシールされる第2シール部とを含む。
この包装体によれば、シール部の構成により、内部空間が好適に維持される。
【0013】
前記包装体の一例によれば、前記逆止機構は、ノズルが挿入されることにより前記外部空間から前記内部空間への流体の流れを形成する第1逆止機構と、前記ノズルが挿入されることにより前記内部空間から前記外部空間への流体の流れを形成する第2逆止機構と、を含み、前記第2シール部は、前記第1逆止機構と前記第2逆止機構とにより構成される流体の流路に沿って設けられる。
この包装体によれば、第2シール部の構成により、内部空間が好適に維持される。
【0014】
前記包装体の一例によれば、前記包装体は、切り込み部をさらに備える。
この包装体によれば、包装体を容易に開封できる。
【0015】
(第1実施形態)
図1から
図6を参照して、第1実施形態の包装体1について説明する。包装体1は、流体を保持可能に構成される。流体は、液体および気体を含む。液体は、例えば、水である。気体は、例えば酸素を多く含む空気である。包装体1は、流体の内部に生体を保持可能に構成される。生体は、水中生物または陸上生物を含む。水中生物の一例は、魚Fである。陸上生物の一例は、昆虫または植物である。生体が水中生物である場合、流体は少なくとも液体を含む。生体が陸上生物である場合、流体は少なくとも気体を含む。包装体1は、流体および生体を含んだ状態で、破裂しない程度の強度を備える。
【0016】
包装体1は、本体10、および、逆止機構40から構成される。本体10は、内部空間Sを備え、生体および流体を保持する。逆止機構40は、内部空間Sと外部空間流体の流れを制限する。生体は、本体10の形状および大きさに応じて、1または複数が内部空間Sに保持される。本体10の形状の一例は、正面視において、長方形状または略長方形状である。なお以下において、本体10の左右方向を幅方向XAと称し、本体10の高さ方向であり、幅方向XAと直交する方向を高さ方向XBと称する場合がある。
【0017】
本体10は、シート20を含む。好ましくは、本体10は複数のシート20により構成される。一例ではシート20は、第1シート21および第2シート22を含む。第1シート21と第2シート22とは、一部分がシール部30により互いが張り付けられる。シール部30により貼り付けられない部分は、第1シート21および第2シート22により、内部空間Sを構成する。別の例では、本体10は1枚のシート20が折りたたまれることにより構成される。
【0018】
図2を参照して、シート20の構成について説明する。シート20は、複数の層が積層されて構成される。本実施形態において、第1シート21と第2シート22とは、同様の構成を備える。第1シート21と第2シート22とを構成する材料および層の厚さの少なくとも一方が異なっていてもよい。
【0019】
第1基材層20Aは、シート20のうちの最も外側、換言すれば、生体から最も離れ外部空間と接触する位置に積層される。第1基材層20Aは例えば、ガスバリア性に優れた材料によって構成される。このため、内部空間Sに外部空間の生体の品質が長期間にわたり良好に保持される。第1基材層20Aを構成する材料は、一例では酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素等の無機薄膜が蒸着されたポリエチレンテレフタレートである。別の例では、ナイロンである。第1基材層20Aによって透過が抑制されるガスは、例えば酸素および窒素である。第1基材層20Aの厚さは材料に応じて任意に選択可能である。第1基材層20Aが酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素等の無機薄膜が蒸着されたポリエチレンテレフタレートで構成される場合、一例では第1基材層20Aの厚さは、12μmである。第1基材層20Aがナイロンで構成される場合、一例では第1基材層20Aの厚さは、15μmである。
【0020】
第1接着層20Bは第1基材層20Aと第2基材層20Cとを接着するように第1基材層20Aと第2基材層20Cとの間に設けられる。第1接着層20Bを構成する材料は、一例ではポリエステルウレタン系接着剤である。第1接着層20Bの厚さは任意に選択可能である。第1接着層20Bの厚さは、一例では2μmである。
【0021】
第2基材層20Cは例えば、第1基材層20Aに対して内部空間S側に積層される。以下では、任意の層に対して内部空間S側を内側と称する場合がある。第2基材層20Cは例えば、突き刺し強度を高めるために優れた材料によって構成される。第2基材層20Cを構成する材料は、一例ではナイロンである。別の例では、アルミニウム膜である。第2基材層20Cの厚さは任意に選択可能である。第2基材層20Cを構成する材料がナイロンである場合、第2基材層20Cの厚さは、一例では15μmである。第2基材層20Cを構成する材料がアルミニウム膜である場合、第2基材層20Cの厚さは、一例では7μmである。
【0022】
第2接着層20Dは第2基材層20Cとシーラント層20Eとを接着するように第2基材層20Cとシーラント層20Eとの間に設けられる。第2接着層20Dを構成する材料は、一例ではポリエステルウレタン系接着剤である。第2接着層20Dの厚さは任意に選択可能である。第2接着層20Dの厚さは、一例では2μmである。
【0023】
シーラント層20Eは例えば、シート20のうちの最も内側、換言すれば、生体に最も近い位置、内部空間Sと対向する位置に設けられる。シーラント層20Eは、一例ではヒートシール可能な材料によって構成される。シーラント層20Eを構成する材料は、一例では直鎖状低密度ポリエチレンである。別の例では、ポリエチレンまたはポリプロピレンである。シーラント層20Eの厚さは、任意に選択可能である。シーラント層20Eの厚さは好ましくは、シール部30の剥離のしにくさとシート20の厚さとの関係に基づいて決められる。シーラント層20Eの厚さの最大値の好ましい一例は200μmである。シーラント層20Eの厚さが200μm以下である場合、シート20の厚さが厚くなりすぎない。シーラント層20Eの厚さの最小値の好ましい一例は、50μmである。シーラント層20Eの厚さが50μm以上である場合、シール部30のシール強度を高くすることができ、内部空間Sの圧力が高い場合であっても、シール部30が剥離しにくい。シーラント層20Eの厚さが取り得る好ましい範囲は、一例では50μm以上である。シーラント層20Eの厚さが取り得る好ましい範囲は、一例では200μm以下である。一例では、シーラント層20Eの厚さは80μmである。
【0024】
本体10は、シール部30をさらに含む。シール部30は、シート20を接合する。本実施形態では、第1シート21と第2シート22とを接合する。シール部30は、第1シート21および第2シート22と逆止機構40とをさらに接合する。内部空間Sは、第1シート21と第2シート22とシール部30に囲まれた空間であり、外部空間と連通しないように、逆止機構40によって閉じられる。
【0025】
シール部30は、本体の形状に応じて複数のシール部30が構成される。本体10の形状が、長方形である場合、シール部30は、上部シール部31、下部シール部32、第1側部シール部33、第2側部シール部34、および、弁シール部35を備える。
【0026】
上部シール部31および弁シール部35は、高さ方向XBにおいて上側に幅方向XAに沿って設けられる。下部シール部32は、高さ方向XBにおいて下側に幅方向XAに沿って設けられる。第1側部シール部33は、幅方向XAにおいて右側または左側の一方に高さ方向XBに沿って設けられる。第2側部シール部34は幅方向XAにおいて右側または左側の他方に高さ方向XBに沿って設けられる。
【0027】
上部シール部31の内縁31A、下部シール部32の内縁32A、第1側部シール部33の内縁33A、第2側部シール部34の内縁34Aおよび、弁シール部35の内縁35Aは、内部空間Sの内郭を規定している。上部シール部31の外縁31B、下部シール部32の外縁32B、第1側部シール部33の外縁33B、第2側部シール部34の外縁34B、および、弁シール部35の外縁35Bは本体10の外郭を規定する。
【0028】
シール部30のシール強度は、任意に選択可能である。シール部30のシール強度は、好ましくは、シール部30の剥離のしにくさとヒートシールの容易さとの関係に基づいて決められる。シール部30のシール強度の最大値は、一例では130N/15mmである。シール部30のシール強度の最小値は、一例では50N/15mmである。シール部30のシール強度が50N/15mm以上である場合、内部空間Sの圧力が高い場合であっても、シール部30が剥離しにくい。シール部30のシール強度が取り得る範囲は、一例では50N/15m以上である。シール部30のシール強度が取り得る範囲は、一例では130N/15mm以下である。一例では、シール部30のシール強度は100N/15mmである。
【0029】
本体10は、連通部23をさらに備える。連通部23は、シート20がシール部30によりシールされていない部分である。連通部23は、本体10の内部空間Sと外部空間とを連通する。連通部23には、逆止機構40が設けられ、本体10の内部空間Sと外部空間との間の流体の流れを制限する。
【0030】
本体10は、切り込み部24をさらに備える。切り込み部24は、本体10の開封を容易にするための構成である。切り込み部24は、本体10の外縁から内縁に達しない程度に設けられる。一例では、切り込み部24は、第1側部シール部33の外縁33Bから内縁33Aに向けて構成される。別の例では、下部シール部32の外縁32Bから内縁32Aに向けて形成される。ユーザは、手またはハサミ等の刃物により切り込み部24から内部空間Sを開放できる。
【0031】
図3は、包装体1の使用例を示す。包装体1の本体10の内部空間Sには、流体として水が封入され、生体として魚Fが封入される。ユーザは、逆止機構40に対してノズル50を挿入することにより、魚Fに対して気体を供給する。好ましい魚Fを保持する包装体1の一例は、幅方向XAが200mm、高さ方向XBが300mmである。内部空間S内の水量は、2000mlである。内部空間Sの酸素圧力は、予め実施した耐圧試験により好適な圧力が設定される。一例では、酸素圧力は、70kPaである。
【0032】
図4および
図5は、逆止機構40の構成を示す。逆止機構40は、外部空間から内部空間Sへの流体の流れを許可し、内部空間Sから外部空間への流体の流れを抑制する構成である。
【0033】
逆止機構40は、本体部41、貫通孔42、および、逆止弁43を備える。
本体部41は、例えばプラスチックにより形成される。本体部41は、略筒状に形成される。本体部41が弁シール部35によって、シート20と接合されることで逆止機構40が本体10に対して固定される。
【0034】
貫通孔42は、第1開口部42Aおよび第2開口部42Bを含む。第1開口部42Aは、例えば本体部41がシート20に接合された場合、外部空間側の開口である。第2開口部42Bは、例えば本体部41がシート20に接合された場合、内部空間S側の開口である。第1開口部42Aおよび第2開口部42Bの口径は任意の大きさで構成される。
【0035】
逆止弁43は、内部空間Sの流体が外部空間に流れることを抑制する。逆止弁43は、挿入孔44を備える。逆止弁43は、例えばプラスチックにより構成される。逆止弁43は、第1本体部43Aおよび第2本体部43Bを含む。第1本体部43Aと第2本体部43Bとの間には、隙間S1が形成される。逆止弁43の位置が本体部41に対して貫通孔42内で移動することにより、流体の流路Rの形成および流路Rの形成の抑制が実行される。
【0036】
図4および
図5を参照して、ノズル50からの流体の供給について説明する。ノズル50の材料は、柔軟性を備えるゴムおよびプラスチックであってもよく、ガラスおよび金属により構成されていてもよい。ノズル50の一端は、流体を供給する図示しないタンクおよびポンプと接続される。ノズル50の他端は、開口51を備え、流路Rを構成する。
【0037】
ノズル50が第1開口部42Aから挿入され、かつ、逆止弁43の挿入孔44に挿入された状態において、本体部41に対する逆止弁43の相対的な位置が内部空間S側に移動する。
図5に示される状態まで逆止弁43が移動すると、開口51および隙間S1が内部空間Sに露出する。このとき、流体の流路Rが構成され、内部空間Sの内圧に応じてノズル50から流体が供給される。内部空間Sの内圧が所定値以上になると、圧力が釣り合うことでノズル50からの流体の供給が抑制される。
【0038】
流体の供給が完了すると、ノズル50が引き抜かれ逆止弁43の位置が本体部41に対して相対的に外部空間側に移動する。このとき、第2本体部43Bにより貫通孔42が閉じられる。このため、流路Rの形成が抑制され、圧力の高い内部空間Sから圧力の低い外部空間への流体の流れが抑制される。
【0039】
本願発明者は、実施例1から4および比較例1の包装体1を用いて本実施形態の包装体1の性能を評価する比較試験を実施した。比較試験では、強度試験、酸素バリア性試験、融着適正試験、輸送試験を実施した。各試験において、実施例1から4および比較例1の包装体1は、複数個ずつ供した。一例では、10個である。数値で表示される比較試験の結果は、平均の値を試験結果とした。
【0040】
実施例1の包装体1において、第1基材層20Aは無機薄膜が蒸着されたポリエチレンテレフタレートで構成され、第1基材層20Aの厚さは、12μmである。第2基材層20Cはナイロンで構成され、第2基材層20Cの厚さは、15μmである。シーラント層20Eは直鎖状低密度ポリエチレンで構成され、シーラント層20Eの厚さは、50μmである。
【0041】
実施例2の包装体1において、第1基材層20Aは無機薄膜が蒸着されたポリエチレンテレフタレートで構成され、第1基材層20Aの厚さは、12μmである。第2基材層20Cはナイロンで構成され、第2基材層20Cの厚さは、15μmである。シーラント層20Eは直鎖状低密度ポリエチレンで構成され、シーラント層20Eの厚さは、80μmである。
【0042】
実施例3の包装体1において、第1基材層20Aは無機薄膜が蒸着されたポリエチレンテレフタレートで構成され、第1基材層20Aの厚さは、12μmである。第2基材層20Cはナイロンで構成され、第2基材層20Cの厚さは、15μmである。シーラント層20Eは直鎖状低密度ポリエチレンで構成され、シーラント層20Eの厚さは、100μmである。
【0043】
実施例4の包装体1において、第1基材層20Aはナイロンで構成され、第1基材層20Aの厚さは、15μmである。第2基材層20Cはアルミニウム膜で構成され、第2基材層20Cの厚さは、7μmである。シーラント層20Eは直鎖状低密度ポリエチレンで構成され、シーラント層20Eの厚さは、80μmである。
【0044】
比較例1の包装体1において、第1基材層20Aは無機薄膜が蒸着されたポリエチレンテレフタレートで構成され、第1基材層20Aの厚さは、12μmである。第2基材層20Cはナイロンで構成され、第2基材層20Cの厚さは、15μmである。シーラント層20Eは直鎖状低密度ポリエチレンで構成され、シーラント層20Eの厚さは、30μmである。
【0045】
強度試験は、シール部30のシール強度を評価する試験である。シール強度の測定は、JIS規格に基づいたT型剥離試験により評価した。T型剥離試験における、試験速度は、300mm/minにより実施した。
【0046】
酸素バリア性試験は、包装体1からの一日当たりの酸素漏れの量を測定する試験である。酸素バリア性試験では、MOCON社製の酸素透過率測定装置OX-TRANを使用した。
【0047】
融着試験は、包装体1からの浸透液の漏れがないかを確認する試験である。融着試験では、本体10の連通部23に逆止機構40を融着した後に、内部空間Sに浸透液を充填し、連通部23および逆止機構40から内部空間Sからの浸透液の漏れがあるか否かを目視にて確認した。
【0048】
輸送試験は、輸送時に包装体1が破損しないかを確認する試験である。輸送試験では、JIS規格に基づき、180分間ランダム振動を与えた後に包装体1が破損しているか否かを目視にて確認した。
【0049】
図6を参照して、比較試験の結果について説明する。シール強度は、シーラント層20Eの厚さに応じてシール強度が高くなった。酸素バリア性については、実施例1から4および比較例1の包装体1のいずれにおいても十分な酸素バリア性を備えていた。
【0050】
融着試験において、実施例1から4の包装体1においては、浸透液の漏れが確認されなかった。一方で、比較例1の包装体1においては、10個中6個の浸透液の漏れが確認された。輸送試験において、実施例1から4の包装体1において、破損している包装体1は確認されなかった。比較例1の包装体1は、浸透液の漏れが確認されたため輸送試験に供さなかった。
【0051】
比較試験によれば、以下の点が明らかとなった。
第1基材層20Aは、無機薄膜が蒸着されたポリエチレンテレフタレートまたはナイロンで構成されることが好ましい。第2基材層20Cは、ナイロンまたはアルミニウム膜で構成されることが好ましい。シーラント層20Eは、直鎖状低密度ポリエチレンで構成されることが好ましく、50μm以上の厚さで構成されることが好ましい。
【0052】
さらに実施例1から4の包装体1と従来の活魚輸送用容器とを比較すると、以下の点において、実施例1から4の包装体1が優れる。従来の活魚輸送用容器は、例えば特開2004-113140号公報に開示される。実施例1から4の包装体1は、シール部30により接合されるため、従来の活魚輸送容器に比べて気密性が高い。実施例1から4の包装体1は簡素な構成であるため、従来の活魚輸送容器に比べて廃棄が容易である。実施例1から4の包装体1は軽量であるため、従来の活魚輸送容器に比べて輸送コストが低い。実施例1から4の包装体1は小型に構成できるため、従来の活魚輸送容器に比べて少量の魚Fの保持に適する。
【0053】
包装体1の製造方法の一例について説明する。包装体1の製造方法は、シート接合工程および逆止機構取付工程を含む。シート接合工程では、上部シール部31、第1側部シール部33、および、第2側部シール部34が形成されるように第1シート21と第2シート22とが接合される。下部シール部32は、接合されていない状態を維持する。下部シール部32に対応する部分には、開口部が形成される。逆止機構取付工程は、シート接合工程の後に実施される。逆止機構取付工程では、連通部23に逆止機構40が挿入され、弁シール部35が形成されるように第1シート21および第2シート22と、逆止機構40とが接合される。以下において、シート接合工程および逆止機構取付工程が完了した包装体1を、第1の状態の包装体1と称する場合がある。第1の状態の包装体1は、一例では生産者による出荷時の状態である。
【0054】
包装体1の使用方法について説明する。包装体1の使用方法は、収容工程、閉鎖工程、流体充填工程、管理工程、および、開放工程を含む。包装体1は、第1の状態の包装体1である。
【0055】
収容工程は、生体を第1の状態の包装体1に収容する工程である。生体は、下部シール部32に対応する部分の開口部から包装体1に収容される。閉鎖工程では、下部シール部32が形成されるように第1シート21と第2シート22とが接合される。包装体1は、内部空間Sを備える。流体充填工程では、逆止機構40にノズル50が挿入され、内部空間Sに流体が充填される。流体充填工程の終了後、ノズル50は、逆止機構40から引き抜かれる。閉鎖工程と流体充填工程とは短期間で完了することが好ましい。
【0056】
管理工程では、定期的に流体充填工程を実施し、内部空間Sに存在する流体の量を管理する。一例では、酸素濃度が所定値以上低下しないように、定期的に酸素を充填する。開放工程では、切り込み部24から本体10に切り込みを入れることで、内部空間Sが開放される。ユーザは、内部空間Sの生体を取り出す。
【0057】
第1実施形態の包装体1によれば、以下の作用および効果が得られる。
逆止機構を備える逆止機構40に対してノズル50を挿入することにより、内部空間Sに対して適切な流体を供給できる。このため、簡易な構成により内部空間S内の生体を生きたままの状態で長期間保持することができる。内部空間Sに魚Fが保持される場合、生きたままの状態で長距離輸送を行い、鮮度が高い魚Fを供給することができる。
【0058】
(第2実施形態)
図7および
図8を参照して、第2実施形態の包装体1について、説明する。第2実施形態の包装体1は、シール部30および逆止機構40の構成が、第1実施形態の包装体1と異なる。第1実施形態の包装体1と同様の構成については、その説明の一部または全部の説明を省略する場合がある。
【0059】
第2実施形態の包装体1において、シール部30は第1シール部30Aおよび第2シール部30Bを含む。第1シール部30Aと第2シール部30Bとは、外縁と内縁との間の幅が異なる。第1シール部30Aは、外縁と内縁との間の幅が一定である第1幅である。一例では、第1幅は、5mm以上である。一例では第1幅は、30mm以下である。第2シール部30Bは、外縁と内縁との幅が第1幅とは異なる幅でシールされる。第2シール部30Bは、各シール部31~35の少なくとも1つに形成される。図示される例では、第2シール部30Bは、第2側部シール部34に形成される。上部シール部31、下部シール部32、第1側部シール部33、および、弁シール部35は、第1シール部30Aである。第2シール部30Bは、上部シール部31、下部シール部32、第1側部シール部33、および、弁シール部35の少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。
【0060】
本実施形態において、第2側部シール部34の内縁34Aと外縁34Bとの第2幅は、高さ方向XBに沿って変化する。一例では、上部シール部31側から下部シール部32側に向かうにつれて、第2幅が短くなるように構成される。第2幅は、第1幅以上の幅であることが好ましい。
【0061】
第2実施形態の包装体1は、逆止機構40が複数設けられる。一例では、包装体1は、逆止機構40を2つ備える。別の例では、包装体1は、逆止機構40を3つ以上備える。逆止機構40は、ノズル50が挿入されることにより外部空間から前記内部空間Sへの流体の流路Rを形成する第1逆止機構40Aと、ノズル50が挿入されることにより内部空間Sから外部空間への流体の流路Rを形成する第2逆止機構40Bとを備える。
【0062】
第1逆止機構40Aは、第1実施形態の逆止機構40と同様の構成である。第2逆止機構40Bは、第1実施形態の逆止機構40と流体の流れを抑制する方向が異なる。好ましくは、第2シール部30Bは第1逆止機構40Aと第2逆止機構40Bとにより構成される流路Rの下部に少なくとも構成される。流路Rの下部とは、重力方向における下側を含む。第2逆止機構40Bは、第2シール部30Bが形成されるシール部30に設けられ、かつ、第2幅が短い部分に設けられることが好ましい。
【0063】
図8を参照して、第2実施形態の包装体1の作用について説明する。
第1逆止機構40Aと第2逆止機構40Bにそれぞれノズル50を接続することにより、外部空間から供給される流体が第1逆止機構40Aを介して内部空間Sに供給される。内部空間Sの流体は、第2逆止機構40Bと接続されるノズル50を介して外部空間に放出される。第2実施形態の包装体1は、流路Rを含む流体の循環路Cを構成する。
【0064】
第2実施形態の包装体1によれば、以下の効果がさらに得られる。
内部空間S内の流体を循環路Cにより循環させることができるため、生体の排泄物等が外部空間に放出される。また、第2シール部30Bが流路Rの下部に構成されることにより、生体の排泄物等が第2シール部30Bに沿って、第2逆止機構40Bに到達しやすい。このためより内部空間S内が好適な状態に保たれる。
【0065】
(変形例)
各実施形態に関する説明は本発明に従う包装体が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う包装体は各実施形態以外に例えば以下に示される実施の形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0066】
・本体10の形状は、任意に変更可能である。一例では、本体10の形状は、3または5以上の多角形状である。別の例では、本体10の形状は、円形状である。
【0067】
・ノズル50から生体に必要なその他の物質を供給可能に構成されていてもよい。一例では、生体の飼料が供給可能に構成されていてもよい。好ましくは、飼料は粉末形状である。別の例では、生体の健康を維持または増進する薬剤を供給可能に構成されていてもよい。好ましくは、薬剤は水溶性である。
【0068】
・第2実施形態において、第1逆止機構40Aと第2逆止機構40Bとの位置を入れ替えてもよい。この場合、好ましくは、第1側部シール部33も第2シール部30Bに構成される。
【符号の説明】
【0069】
1 …包装体
10…本体
20…シート
30…シール部
40…逆止機構
50…ノズル