(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029731
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】配線基板及び部品内蔵配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20220210BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K3/46 Q
H05K3/46 T
H01L23/12 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020133177
(22)【出願日】2020-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 有紅
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA06
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA35
5E316AA43
5E316CC02
5E316CC04
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC13
5E316CC32
5E316DD02
5E316DD17
5E316DD23
5E316DD24
5E316DD33
5E316EE31
5E316FF04
5E316FF45
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH11
5E316JJ12
5E316JJ25
5E316JJ28
(57)【要約】
【課題】配線基板及び部品内蔵配線基板の品質の向上。
【解決手段】実施形態の配線基板100は、第1絶縁層21と、第1絶縁層21の表面21a上に形成されている第1導体層11と、第1絶縁層21の表面21a上及び第1導体層11上に積層されている第2絶縁層22と、を備えている。そして、第1導体層11は、配線基板100に搭載される部品Eが置かれる部品搭載領域Aを含む部品搭載パッド110を含み、第2絶縁層22は部品搭載領域Aを露出させる貫通孔221を含み、部品搭載パッド110は、部品搭載パッド110の縁部において第1絶縁層21の表面21aから離間している。実施形態の部品内蔵配線基板は、配線基板100と、部品搭載パッド110上の部品搭載領域Aに載置されている電子部品Eと、第2絶縁層22における第1絶縁層21と反対側に積層されていて電子部品Eを封止する第4絶縁層と、を含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の表面上に形成されている第1導体層と、
前記第1絶縁層の前記表面上及び前記第1導体層上に積層されている第2絶縁層と、
を備える配線基板であって、
前記第1導体層は、前記配線基板に搭載される部品が置かれる部品搭載領域を含む部品搭載パッドを含み、
前記第2絶縁層は前記部品搭載領域を露出させる貫通孔を含み、
前記部品搭載パッドは、前記部品搭載パッドの縁部において前記第1絶縁層の前記表面から離間している。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、前記部品搭載パッドにおいて前記第1絶縁層の前記表面から離間している前記縁部と前記第1絶縁層の前記表面との間隔は、前記部品搭載パッドの外周に向かって拡大している。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板であって、前記部品搭載パッドにおける前記第1絶縁層を向く下面と前記部品搭載パッドの側面とによって構成される角部が丸まっている。
【請求項4】
請求項1記載の配線基板であって、前記部品搭載パッドにおける前記第1絶縁層の前記表面から離間している前記縁部の表面は曲面を含んでいる。
【請求項5】
請求項1記載の配線基板であって、前記部品搭載パッドは、前記第1絶縁層の前記表面上において前記貫通孔と重なる領域を全体的に覆っている。
【請求項6】
請求項1記載の配線基板であって、
前記貫通孔及び前記第1導体層によって前記部品を収容するキャビティが形成され、
前記部品搭載パッドによって前記キャビティの底面全体が構成されている。
【請求項7】
請求項1記載の配線基板であって、さらに、前記第2絶縁層における前記第1絶縁層と反対側に形成されている第2導体層を備えている。
【請求項8】
請求項1記載の配線基板であって、前記第2絶縁層はソルダーレジスト層である。
【請求項9】
請求項1記載の配線基板であって、
前記部品搭載パッドにおける前記第1絶縁層と反対方向を向く上面と前記部品搭載パッドの側面とによって構成される角部が丸められている。
【請求項10】
請求項1記載の配線基板であって、さらに、前記第1絶縁層における前記第1導体層と反対側に、無機フィラーを含む第3絶縁層を備えており、
前記第3絶縁層に含まれる前記無機フィラーの含有率は、前記第1絶縁層中に存在する無機フィラーの含有率よりも高い。
【請求項11】
請求項1記載の配線基板であって、さらに、前記第1絶縁層における前記第1導体層と反対側に第3絶縁層を備えており、
前記第1絶縁層の厚さは前記第3絶縁層の厚さよりも厚い。
【請求項12】
請求項1記載の配線基板であって、さらに、前記第1絶縁層における前記第1導体層と反対側に第3絶縁層を備えており、
前記第1絶縁層、前記第2絶縁層、及び前記第3絶縁層のうちで、前記第1絶縁層だけが芯材を含んでいる。
【請求項13】
請求項1~7及び9~12のいずれか1項に記載の配線基板と、
前記部品搭載パッド上の前記部品搭載領域に載置されている電子部品と、
前記第2絶縁層における前記第1絶縁層と反対側に積層されていて前記電子部品を封止する第4絶縁層と、
を含んでいる、部品内蔵配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及び部品内蔵配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内蔵電子部品が固定されるストッパー層を含む電子部品内蔵基板が開示されている。ストッパー層は、銅張積層板を構成するコア基板上に形成されており、ストッパー層の縁部は絶縁層に覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の配線基板では、内蔵電子部品の熱膨張率及び/又はストッパー層の熱膨張率と、コア基板の熱膨張率との違いによりコア基板に生じるストレスが、ストッパー層の下面と側面との角部付近に集中することがある。そのため、この角部付近でコア基板のクラックなどの不具合が生じ易いと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の表面上に形成されている第1導体層と、前記第1絶縁層の前記表面上及び前記第1導体層上に積層されている第2絶縁層と、を備えている。そして、前記第1導体層は、前記配線基板に搭載される部品が置かれる部品搭載領域を含む部品搭載パッドを含み、前記第2絶縁層は前記部品搭載領域を露出させる貫通孔を含み、前記部品搭載パッドは、前記部品搭載パッドの縁部において前記第1絶縁層の前記表面から離間している。
【0006】
本発明の部品内蔵配線基板は、前述した本発明の配線基板と、前記部品搭載パッド上の前記部品搭載領域に載置されている電子部品と、前記第2絶縁層における前記第1絶縁層と反対側に積層されていて前記電子部品を封止する第4絶縁層と、を含んでいる。
【0007】
本発明の実施形態によれば、配線基板及び部品内蔵配線基板において、部品搭載パッドが表面に形成されている絶縁層内でのストレス(応力)の集中を緩和できることがある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
【
図2】本発明の一実施形態における部品搭載パッドの縁部の断面の拡大図。
【
図3A】本発明の一実施形態における部品搭載パッドの縁部の他の例の断面図。
【
図3B】本発明の一実施形態における部品搭載パッドの縁部の他の例の断面図。
【
図3C】本発明の一実施形態における部品搭載パッドの縁部の他の例の断面図。
【
図3D】本発明の一実施形態における部品搭載パッドの縁部の他の例の断面図。
【
図4】本発明の一実施形態における部品搭載パッドの縁部のさらに他の例の断面図。
【
図5】本発明の一実施形態の配線基板の他の例を示す断面図。
【
図6】本発明の一実施形態の配線基板のさらに他の例を示す断面図。
【
図7】本発明の他の実施形態の部品内蔵配線基板の一例を示す断面図。
【
図8】
図7の部品内蔵配線基板における電子部品及びその周辺部分の拡大図。
【
図9A】本発明の一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図9B】本発明の一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図9C】本発明の一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図9D】本発明の一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図9E】本発明の一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図9F】本発明の一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図9G】本発明の一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図9H】本発明の一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[配線基板]
本発明の一実施形態の配線基板が図面を参照しながら説明される。
図1は一実施形態の配線基板の一例である配線基板100を示す断面図であり、なお、配線基板100は本実施形態の配線基板の一例に過ぎない。実施形態の配線基板の積層構造、並びに、導体層及び絶縁層それぞれの数は、
図1の配線基板100の積層構造、並びに配線基板100に含まれる導体層及び絶縁層それぞれの数に限定されない。
【0010】
図1に示されるように、配線基板100は、コア基板3と、コア基板3におけるその厚さ方向において対向する2つの主面(第1面3a及び第2面3b)それぞれの上に交互に積層されている絶縁層及び導体層を含んでいる。コア基板3は、絶縁層32と、絶縁層32の両面それぞれの上に形成されている導体層31とを含んでいる。絶縁層32は、絶縁層32を貫通し、第1面3a側及び第2面3b側それぞれの導体層31同士を接続するスルーホール導体310を含んでいる。
【0011】
コア基板3の第1面3aの上には、第1面3a側から順に、2つの絶縁層2と2つの導体層1とが交互に積層され、さらに、絶縁層23(第3絶縁層)、導体層1、絶縁層21(第1絶縁層)、導体層11(第1導体層)、絶縁層22(第2絶縁層)、導体層12(第2導体層)及び絶縁層2が順に積層されている。一方、コア基板3の第2面3bの上には、6つの絶縁層2と5つの導体層1とが交互に積層されている。各絶縁層には、各絶縁層を貫通し、各絶縁層を介して隣接する導体層同士を接続するビア導体10が形成されている。
【0012】
すなわち配線基板100は、第1絶縁層21と、第1導体層11と、第2絶縁層22とを備えている。第1導体層11は、第1絶縁層21の表面21a上に形成されている。第2絶縁層22は、第1絶縁層21の表面21a上及び第1導体層11上に積層されている。
図1の例の配線基板100は、さらに、第2絶縁層22における第1絶縁層21と反対側に形成されている第2導体層12と、第1絶縁層21における第1導体層11と反対側に設けられている第3絶縁層23とを備えている。
【0013】
なお、実施形態の説明では、配線基板100の厚さ方向において絶縁層32から遠い側は「上側」もしくは「上方」、又は単に「上」とも称され、絶縁層32に近い側は「下側」もしくは「下方」、又は単に「下」とも称される。さらに、各導体層及び各絶縁層において、絶縁層32と反対側を向く表面は「上面」とも称され、絶縁層32側を向く表面は「下面」とも称される。
【0014】
各絶縁層2、並びに、第1絶縁層21、第2絶縁層22、第3絶縁層23、及び絶縁層32は、任意の絶縁性樹脂によって形成される。絶縁性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)又はフェノール樹脂などが例示される。
図1の例では、絶縁層32は、ガラス繊維やアラミド繊維などで形成される芯材(補強材)32aを含んでいる。
図1には示されていないが、絶縁層32以外の各絶縁層も、ガラス繊維などからなる芯材を含み得る。各絶縁層2、第1~第3の絶縁層21、22、23、及び絶縁層32は、さらに、シリカ(SiO
2)、アルミナ、又はムライトなどの微粒子からなる無機フィラー(図示せず)を含み得る。
【0015】
各導体層1、第1導体層11、第2導体層12、及び導体層31、並びに、スルーホール導体310及びビア導体10は、銅又はニッケルなどの任意の金属を用いて形成される。
図1の例において、導体層31は、金属箔31a、金属膜31b、及びめっき膜31cを含んでいる。スルーホール導体310は、コア基板3の第1面側3a及び第2面側3bそれぞれの導体層31と一体的に形成されており、金属膜31b及びめっき膜31cによって構成されている。
【0016】
一方、各導体層1、第1導体層11及び第2導体層12、並びにビア導体10は、それぞれ、金属膜10b及びめっき膜10cによって構成されている。各ビア導体10は、各ビア導体10が含まれている各絶縁層上に形成されている導体層(各導体層1、第1導体層11、又は第2導体層12)と一体的に形成されている。めっき膜31c、10cは、例えば電解めっき膜である。金属膜31b及び金属膜10bは、例えば無電解めっき膜又はスパッタリング膜であり、それぞれ、めっき膜31c及びめっき膜10cを電解めっきで形成する際の給電層として機能する。
【0017】
各導体層1、第1導体層11及び第2導体層12は、それぞれ、所定の導体パターンを含んでいる。第1導体層11は、部品搭載パッド110を含んでいる。部品搭載パッド110は、配線基板100に搭載される部品Eが置かれる部品搭載領域Aを含んでいる。部品Eとしては、例えば、半導体集積回路装置やトランジスタなどの能動部品、又は電気抵抗などの受動部品などの電子部品が例示される。部品搭載領域Aに置かれる半導体集積回路装置は、ベアチップの状態で置かれてもよい。また部品Eは、半導体基板上に形成された微細配線を含む配線材であってもよい。
【0018】
図1に示されるように、第2絶縁層22は貫通孔221を含んでいる。貫通孔221は、部品搭載パッド110の部品搭載領域Aを第2絶縁層22から露出させている。
図1の例の部品搭載パッド110は、第1絶縁層21の表面21aにおける貫通孔221と重なる領域を全体的に覆いながら、部品搭載領域Aを貫通孔221内に露出させている。また
図1の例では、第2絶縁層22及び第2導体層12それぞれの第1絶縁層21と反対側の表面上に積層されている絶縁層2にも、貫通孔221に繋がる貫通孔201が設けられている。貫通孔221及び貫通孔201によって、コア基板3の第1面3a側の配線基板100の表面に、部品搭載領域Aが露出している。
【0019】
図1の例において貫通孔221は、第1導体層11と共に、部品Eを収容するキャビティ4を形成している。具体的には、貫通孔221、貫通孔201、及び部品搭載パッド110によってキャビティ4が形成されている。
図1の例の部品搭載パッド110は第1絶縁層21における貫通孔221と重なる領域を全体的に覆っているので、部品搭載パッド110によってキャビティ4の底面全体が構成されている。一方、部品搭載パッド110における部品搭載領域Aよりも外周側の部分は第2絶縁層22に覆われている。
【0020】
図1及び
図2に示されるように、実施形態の配線基板100では、部品搭載パッド110は、部品搭載パッド110の縁部において第1絶縁層21の表面21aから離間している。なお、部品搭載パッド110の「縁部」は、平面視における部品搭載パッド110の形状(平面形状)の外縁に沿って部品搭載領域Aを連続的又は断続的に囲む枠状の部分である。なお「平面視」は、配線基板100をその厚さ方向に沿った視線で見ることを意味する。
図2には、配線基板100における部品搭載パッド110の縁部の断面(例えば
図1のII部)の拡大図が示されている。
【0021】
図2に示されるように、部品搭載パッド110の縁部は、第1絶縁層21の表面21aから離れている。換言すると、部品搭載パッド110の縁部では、部品搭載パッド110が第1絶縁層21の表面21aから浮き上がっている。部品搭載パッド110の下面111と側面112とで構成される角部が切り欠かれている。そのため、
図2に示される断面図では、部品搭載パッド110と表面21aとの間に、二点鎖線で囲まれている切り欠き状の空間Gが形成されている。空間Gは、第2絶縁層22を構成するエポキシ樹脂などによって充填されている。なお、部品搭載パッド110の下面111は、部品搭載パッド110における第1絶縁層21を向く表面である。また、部品搭載パッド110の側面112は、部品搭載パッド110における第1絶縁層21と反対方向を向く上面113と下面111との間の表面であって、平面視において部品搭載パッド110の外縁を構成する表面である。
【0022】
部品搭載パッド110の縁部が表面21aから離れているため、部品搭載パッド110の側面112と、その下面111と表面21aとの界面の外縁(この界面の外縁は単に「外縁F」とも称される)とは、表面21aの垂直方向において一列に並んでいない。すなわち、側面112と外縁Fとは平面視で重なっていない。外縁Fは、側面112よりも部品搭載パッド110の内側(中央側)に位置している。また、部品搭載パッド110の縁部が表面21aから離れているため、部品搭載パッド110の側面112の下端Q(第1絶縁層21側の先端)は、表面21aと接しておらず、表面21aから離れている。
【0023】
本実施形態と異なり、部品搭載パッド110のような導体パッド(以下、導体パッドAと称される)の縁部がその下層の絶縁層(以下、絶縁層Bと称される)の表面から離れていない場合、温度変化などによって絶縁層Bにおいて応力集中が生じ易い。すなわち、導体パッドAと絶縁層Bとの熱膨張率の差によって生じる応力が、導体パッドAの側面と下面(絶縁層Bを向く面)との交線に接する絶縁層Bの表面に集中し易い。例えば、
図2に示される第1絶縁層21が絶縁層Bと仮定され、部品搭載パッド110が導体パッドAと仮定され、導体パッドAがその縁部において絶縁層Bの表面(
図2の表面21a)から離れていない場合、
図2中の点Pにおいて応力集中が生じ易い。そして、その集中した応力が、絶縁層Bが有する強度を越えると、絶縁層B(
図2における第1絶縁層21)に点Pを起点とするクラックが発生する。
【0024】
これに対して本実施形態では、部品搭載パッド110の縁部は、第1絶縁層21の表面21aから離間している。そのため、部品搭載パッド110の縁部が表面21aから離れていない場合に点Pに集中し得る応力は、例えば、部品搭載パッド110の側面112の下端Qから外縁Fまでの間に分散されると考えられる。従って、第1絶縁層21における応力集中が緩和され、クラックの発生が抑制されると考えられる。部品搭載パッド110には部品E(
図1参照)が搭載されるため、部品Eの熱膨張率と第1絶縁層21の熱膨張率との違いによる応力も生じると考えられる。しかし本実施形態では第1絶縁層21における応力集中が緩和されるため、第1絶縁層21にクラックが生じ難いと考えられる。
【0025】
部品搭載パッド110の縁部における第1絶縁層21の表面21aから離間している部分の表面21a上での長さL(平面視における側面112から外縁Fまでの距離)は、応力集中緩和の面からは長い方が好ましい。一方で、所定の面積の部品搭載パッド110上での広く安定した部品搭載領域A(
図1参照)の確保の面では、長さLは短い方が好ましいと考えられる。長さLは、応力集中の緩和と部品搭載領域Aの確保との両方が適切に実現されるように、例えば、3μm以上、10μm以下である。
【0026】
図2の例では、互いから離間している部品搭載パッド110の縁部と第1絶縁層21の表面21aとの間隔は、部品搭載パッド110の外周に向かって拡大している。換言すると、部品搭載パッド110の縁部を表面21aから離間させている切り欠き状の空間Gの高さ(表面21aからの高さ)は、部品搭載パッド110の外周に向かうほど高くなっている。すなわち、部品搭載パッド110における第1絶縁層21の表面21aからの離間部分の表面が、側面112や下面111と略平行や略直角ではなく傾いている。そのため、第1絶縁層21から離間している部品搭載パッド110の縁部と第2絶縁層22との界面に部品搭載パッド110の熱収縮などによって加わり得る剥離方向の力が、その界面に沿った方向にも分散されると考えられる。そのため、部品搭載パッド110と第2絶縁層22との界面剥離が生じ難いと推察される。
【0027】
さらに
図2の例では、部品搭載パッド110の下面111と側面112とによって構成される角部が丸まっている。そして、部品搭載パッド110において第1絶縁層21から離間している縁部の表面は曲面を含んでいる。すなわち、部品搭載パッド110の縁部が第1絶縁層21の表面21aから離間していない場合における下面111と側面112との仮想の交線(点P)付近が丸まっていてその表面に曲面状の部分を有している。部品搭載パッド110の縁部が丸まっているので、第2絶縁層22及び/又は第1絶縁層21にクラックが生じ難いと考えられる。
【0028】
具体的には、部品搭載パッド110の側面112とめっき膜10cの下面(第1絶縁層21を向く表面)とによって構成されるべき角部が丸まっていて曲面状の表面を有している。一方、金属膜10bにおけるめっき膜10cと第1絶縁層21との間の端面は略平坦面であって、第1絶縁層21側ほど部品搭載パッド110の内周側に向かうように傾斜している。従って、部品搭載パッド110を構成する金属膜10bの端部も第1絶縁層21の表面21aから離間している。金属膜10bとめっき膜10cとの界面の外縁は、めっき膜10cの表面の曲面状の部分と平坦な下面との境界付近に位置している。
【0029】
図3A~
図3Dには、それそれ、部品搭載パッド110の縁部の他の例が示されている。
図3Aの例では、部品搭載パッド110は、第1絶縁層21から離間する縁部において、金属膜10bの表面だけでなくめっき膜10cの表面にも平坦部10c1を有している。
図3Aの例の部品搭載パッド110の縁部の表面は、平坦部10c1と側面112との間、及び平坦部10c1とめっき膜10cの下面との間それぞれに曲面部10c2を有している。2つの曲面部10c2によって、平坦部10c1と側面112、及び、平坦部10c1とめっき膜10cの下面とが滑らかに繋がれている。
図3Aの例においても、第2絶縁層22及び/又は第1絶縁層21にクラックが生じ難いと考えられる。
【0030】
図3Bの例の部品搭載パッド110は、
図3Aの例の部品搭載パッド110と同様に、めっき膜10cの表面上に平坦部10c1を有しているが、
図3Aに示される曲面部10c2を備えていない。しかし、
図3Bの例においても、部品搭載パッド110の縁部は第1絶縁層21の表面21aから離間している。従って、部品搭載パッド110の縁部が表面21aから離間していない場合に点Pに集中し得る応力が、例えば、側面112の下端Q、外縁F、及び、めっき膜10cと金属膜10bとの境界部分の屈曲点Rとに分散されると考えられる。従って、
図3Bの例においても、第1絶縁層21にクラックが生じ難いと考えられる。
【0031】
図3Cの例の部品搭載パッド110は、互いから離間している部品搭載パッド110の縁部と第1絶縁層21の表面21aとの間隔が略一定である平行部114を含んでいる。すなわち、平行部114においては、部品搭載パッド110と第1絶縁層21の表面21aとの間隔は、部品搭載パッド110の外周及び内周のいずれに向かっても拡大していない。本実施形態の配線基板100が備える部品搭載パッド110は、その縁部において、
図3Cに示されるような、第1絶縁層21の表面21aとの間隔が略一定である平行部114を有していてもよい。
図3Cの例においても、部品搭載パッド110の縁部が表面21aから離間していない場合に点Pに集中し得る応力が、例えば、側面112の下端Q、外縁F、及び、屈曲点Rに分散されると考えられる。従って、
図3Cの例においても、第1絶縁層21にクラックが生じ難いと考えられる。
【0032】
図3Dの例の部品搭載パッド110では、部品搭載パッド110の側面112と上面113とによって構成される角部が丸められている。すなわち、側面112と上面113とによって構成される角部が丸まっていない場合における側面112と上面113との仮想の交線(点P1)付近が丸まっていて曲面状の表面を有している。
図3D示されるように第2絶縁層22に覆われる部品搭載パッド110(めっき膜10c)の角部が丸められていると、第2絶縁層22にクラックが生じ難いと考えられる。
【0033】
図4には、本実施形態における部品搭載パッドの他の例である部品搭載パッド110aの縁部の一例が示されている。
図4に示される例は、第1導体層11が1層だけで形成される例であり、そのため、部品搭載パッド110aも単層構造を有している。
図4の例の部品搭載パッド110aは、例えば、銅又はニッケルなどからなる無電解めっき膜で構成されている。
図4の例の部品搭載パッド110aの縁部も、第1絶縁層21の表面21aから離間している。また、部品搭載パッド110aの下面111と側面112とによって構成されるべき角部が丸まっており、部品搭載パッド110において第1絶縁層21から離間している縁部の表面は曲面を含んでいる。従って、
図4の例においても、第1絶縁層21にクラックが生じ難いと考えられる。
【0034】
図5には、本実施形態の配線基板の他の例である配線基板100aの断面図が示されている。配線基板100aは、全体的に、先に参照した
図1に示される配線基板100と同様の構造を備えている。
図5には、配線基板100と配線基板100aとの違いが理解され易いように、配線基板100aにおける、
図1に示される配線基板100のV部に相当する部分の拡大図が示されている。
【0035】
図5に示される配線基板100aにおいて第1絶縁層21の厚さは、第3絶縁層23の厚さよりも厚い。
図5の例において、第1絶縁層21の厚さは、第2絶縁層22の厚さよりも厚い。配線基板100aにおいて、第1絶縁層21は、配線基板100aに備えられる絶縁層のうちで最も厚くてもよい。
【0036】
また、配線基板100aでは、第1絶縁層21は芯材(補強材)21bを含んでおり、第2及び第3の絶縁層22、23は芯材を含んでいない。
図5において、第1絶縁層21、第2絶縁層22、及び第3絶縁層23のうちで、第1絶縁層21だけが芯材21bを含んでいる。配線基板100aに備えられる全ての絶縁層のうちで、第1絶縁層21だけが芯材21bを含んでいてもよい。芯材21bとしては、ガラス繊維やアラミド繊維などが例示されるが、芯材21bの材料はこれらに限定されない。
【0037】
また、配線基板100aでは、第1~第3の絶縁層21、22、23はそれぞれ、無機フィラー20aを含んでいる。
図5に示されるように、配線基板100aでは、第3絶縁層23に含まれる無機フィラー20aの含有率は、第1絶縁層21中に存在する無機フィラー20aの含有率よりも高い。第1絶縁層21に含まれる無機フィラー20aの含有率は、第2及び第3の絶縁層22、23それぞれに含まれる無機フィラー20aの含有率よりも低くてもよい。
【0038】
図示されていないが、配線基板100aに備えられる絶縁層のうちで、第1絶縁層21以外の全ての絶縁層が無機フィラー20aを含み、第1絶縁層21だけが無機フィラー20aを含んでいなくてもよい。その場合も、配線基板100aにおいて第3絶縁層層23に含まれる無機フィラー20aの含有率は、第1絶縁層21中に存在する無機フィラー20aの含有率よりも高い。無機フィラー20aとしては、前述したシリカ(SiO2)、アルミナ、又はムライトなどの微粒子が例示されるが、無機フィラー20aはこれらに限定されない。
【0039】
前述したように、部品搭載パッド110には部品Eが搭載され、そのため、第1絶縁層21には、部品Eと第1絶縁層21との間の熱膨張率の違いによる応力も生じ得る。すなわち、第1絶縁層21では、第2及び第3の絶縁層22、23などの配線基板100a内の他の絶縁層よりも大きな応力が生じ易く、そのためクラックが生じ易いと考えられる。
【0040】
しかし
図5に示される配線基板100aでは、第1絶縁層21の厚さが比較的厚いので、部品搭載パッド110の縁部を起点に万一クラックが発生しても、そのクラックは第1絶縁層21を貫通し難い。従って、第1絶縁層21を挟む第1導体層11と導体層1との間の短絡などの実質的な不具合が生じ難い。また、第1絶縁層21が芯材21bを含んでいるので、万一クラックが発生しても、そのクラックの進展が芯材21bによって防がれることがある。さらに、無機フィラー20aの含有率が比較的低い第1絶縁層21は延性や靭性が高いと考えられる。そのため、第1絶縁層21において万一クラックが発生しても、そのクラックは進展し難いと考えられる。
【0041】
本実施形態では、前述したように第1絶縁層21におけるクラックの発生が抑制される。さらに
図5の例によれば、万一クラックが発生しても、そのクラックは実質的な不具合に至り難いと考えられる。
【0042】
なお、
図5の例では、部品搭載パッド110の縁部だけでなく、
図5に示されている全ての導体パッドの縁部が、各導体パッドの下層側の絶縁層の表面から離間している。図示されていないが、本実施形態では、配線基板に含まれる全ての導体パターンの縁部が、その導体パターンの下層の絶縁層から離間していてもよい。
【0043】
図1及び
図5にそれぞれ示される配線基板100、100aでは、第1導体層11の上側に第2導体層12が形成されている。すなわち、部品搭載パッド110を含む第1導体層11は、配線基板100、100aの表面に備えられる外層導体層ではなく内層導体層である。また、第1絶縁層21は、第1導体層11と導体層1との間に積層されている層間絶縁層である。しかし、本実施形態の配線基板において第1導体層11は、
図6に示される例のように、外層導体層であってもよい。
【0044】
図6には、本実施形態の配線基板のさらに他の例である配線基板100bが示されている。配線基板100bは、全体的に、先に参照した
図1に示される配線基板100と同様の構造を備えている。
図6には、
図5と同様に、配線基板100bにおける、
図1に示される配線基板100のV部に相当する部分の拡大図が示されている。
図6の配線基板100bは、
図1の配線基板100に備えられている第2導体層12及び第2導体層12上の絶縁層2を備えていない。
【0045】
図6に示されるように、配線基板100bにおいて第1導体層11は、配線基板100bに備えられる第1及び第3の絶縁層21、23などの層間絶縁層のうちの最も外側の層間絶縁層(
図6の例では第1絶縁層21)上に形成される外層導体層である。そのため、第1導体層11及び第1絶縁層21上には、ソルダーレジスト層が形成される。すなわち、配線基板100bにおいて、第2絶縁層22は、2つの導体層間を絶縁する層間絶縁層ではなく、第1導体層11の導体パターン同士の間を絶縁するソルダーレジスト層である。
【0046】
ソルダーレジスト層として機能する第2絶縁層22は、例えば、感光性のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などで形成される。
図6の例においても、部品搭載パッド110の縁部は第1絶縁層21から離間しているので、第1絶縁層21における応力集中が緩和される。
図6の例のように、本実施形態において第1導体層11は外層導体層であってもよく、第2絶縁層22はソルダーレジスト層であってもよい。
【0047】
[部品内蔵配線基板]
図7及び
図8を参照して本発明の他の実施形態である部品内蔵配線基板が説明される。
図7には、他の実施形態の一例である部品内蔵配線基板200の断面図が示されている。
図8は、
図7のVIII部の拡大図である。
【0048】
本実施形態の部品内蔵配線基板は、前述した一実施形態の配線基板を含んでいる。
図7の例の部品内蔵配線基板200は、
図1に例示される配線基板100を含んでいる。部品内蔵配線基板200は、さらに、電子部品Eと、電子部品Eを封止する第4絶縁層24とを含んでいる。電子部品Eは、キャビティ4内に収容され、接着剤6を用いて部品搭載パッド110に接合されている。電子部品Eは、電子部品Eと外部回路との接続に用いられる電極E1を含んでいる。キャビティ4は第4絶縁層24の構成材料で充填されている。
【0049】
図7の部品内蔵配線基板200は、さらに第4絶縁層24上に形成されている第3導体層13と、第4絶縁層24及び第3導体層13を覆うソルダーレジスト層7と、ビア導体101及びビア導体102とを含んでいる。第3導体層13は、外部回路との接続に用いられる接続パッド131、132を含んでいる。ソルダーレジスト層7は、接続パッド131、132を露出させる開口を有している。ビア導体101は、第4絶縁層24、及び第4絶縁層24と第2絶縁層22との間の絶縁層2を貫通し、第3導体層13と第2導体層12とを接続している。ビア導体102は、電子部品E上の第4絶縁層24を貫通して、電子部品Eの電極E1と第3導体層13とを接続している。
【0050】
なお、配線基板100におけるコア基板3の第2面3b側の表面上には、絶縁層25、導体層15、ソルダーレジスト層70、及びビア導体103が、それぞれ形成されている。
【0051】
第4絶縁層24及び絶縁層25は、第1~第3の絶縁層21、22、23と同様の材料を用いて形成され得る。第3導体層13及び導体層15、並びにビア導体101~103は、第1及び第2の導体層11、12、並びにビア導体10と同様の材料を用いて形成され、これらと同様の構造を有し得る。ソルダーレジスト層7、70は、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの任意の絶縁性材料を用いて形成される。
【0052】
図8に示されるように、電子部品Eは、部品搭載パッド110上の部品搭載領域Aに載置されている。電子部品Eをキャビティ4内に封入する第4絶縁層24は、第2絶縁層22における第1絶縁層21と反対側に積層されている。ビア導体102は、第4絶縁層24において電極E1上に穿孔された孔24a内に形成されている。ビア導体102は、第3導体層13と一体的に形成されている。ビア導体102は、例えば電解めっきによって形成されるめっき膜10cと、めっき膜10cの形成時に給電層として用いられる金属膜10bとによって構成されている。ビア導体102は、具体的には、電極E1と接続パッド132とを接続している。
【0053】
接着剤6には、任意の材料が用いられ得る。接着剤6としては、はんだ、金、もしくは銅などの金属、銀などの任意の導電性粒子を含む導電性接着剤、並びに、単にエポキシ樹脂などで構成される絶縁性接着剤などが例示される。
【0054】
本実施形態の部品内蔵配線基板200では、部品搭載パッド110の縁部が第1絶縁層21の表面21aから離間している。従って、先に説明がなされたように、第1絶縁層21における応力集中が緩和され、第1絶縁層21においてクラックが生じ難いと考えられる。従って、本実施形態によれば、短絡不良などの少ない品質の良好な部品内蔵配線基板を実現することができると考えられる。
【0055】
なお、
図7及び
図8の例の部品内蔵配線基板200は、
図1に例示される配線基板100そのものではなく、配線基板100の説明において示された変形例、又は、
図5に示される配線基板100aを含んでいてもよい。
【0056】
[配線基板の製造方法]
つぎに、一実施形態の配線基板を製造する方法が、
図1の配線基板100を例に用いて
図9A~
図9Hを参照して説明される。
【0057】
図9Aに示されるように、コア基板3の絶縁層32となる絶縁層と、この絶縁層の両表面にそれぞれ積層された金属箔を含む出発基板(例えば両面銅張積層板)が用意され、コア基板3の導体層31及びスルーホール導体310が形成される。例えばドリル加工又は炭酸ガスレーザー光の照射によってスルーホール導体310の形成位置に貫通孔が形成され、その貫通孔内及び金属箔上に無電解めっき又はスパッタリングなどによって金属膜が形成される。そしてこの金属膜を給電層として用いる電解めっきによってめっき膜が形成される。その結果、3層構造の導体層31、及びスルーホール導体310が形成される。その後、サブトラクティブ法によって導体層31をパターニングすることによって所定の導体パターンを備えるコア基板3が得られる。
【0058】
図9Bに示されるように、コア基板3の第1面3a上及び第2面3b上それぞれに、絶縁層2及び導体層1が交互に形成される。第1面3a及び第2面3bの上にそれぞれ3組の絶縁層2及び導体層1が形成された後、第1面3a側にさらに第1絶縁層21が形成され、第2面3b側にもさらに絶縁層2が形成される。
【0059】
第1絶縁層21及び各絶縁層2の形成では、例えばフィルム状のエポキシ樹脂が、コア基板3の上、又は先に形成された絶縁層2及び導体層1の上に積層され、加熱及び加圧される。その結果、第1絶縁層21及び各絶縁層2が形成される。第1絶縁層21及び各絶縁層2には、ビア導体10を形成するための貫通孔が、例えば炭酸ガスレーザー光の照射などによって形成される。
【0060】
各導体層1は、それぞれ、例えばセミアディティブ法によって形成される。すなわち、各導体層1の下地となる絶縁層2上の全面、及びその絶縁層2に形成された貫通孔内に無電解めっきやスパッタリングによって金属膜が形成される。その金属膜を給電層として用いる電解めっきを含むパターンめっきによってめっき膜が形成される。各絶縁層2に形成された貫通孔内にはビア導体10が形成される。その後、金属膜の不要部分が例えばエッチングなどで除去される。その結果、所定の導体パターンを含む2層構造の各導体層1が形成される。各導体層1は、銅又はニッケルなどの任意の金属を用いて形成される。
【0061】
図9Bに示されるように、第1絶縁層21の表面21a上及び第1絶縁層21に形成された貫通孔内に無電解めっき又はスパッタリングなどによって金属膜10bが形成される。コア基板3の第2面3b側にも同様に金属膜10bが形成される。
【0062】
図9B及び
図9Cに示されるように、金属膜10b上に、めっきレジストPRが設けられる。
図9Cには、
図9BのIXC部の拡大図が示されている。第1絶縁層21の上に設けられるめっきレジストPRには、第1導体層11(
図9E参照)に含まれるべき導体パターンに対応する領域に開口PR1が形成される。
図9BのIXC部を含む開口PR1の内部には、第1導体層11の部品搭載パッド110(
図9E参照)が形成される。
【0063】
各開口PR1を備えるめっきレジストPRは、フォトリソグラフィ技術を用いて形成される。まず、例えばネガ型の感光性樹脂フィルムを金属膜10b上の全面に積層することによって、めっきレジストPRとなるレジスト膜が形成される。そして、レジスト膜における開口PR1が形成されるべき領域を覆う露光マスクEMが、レジスト膜上に配置される。
【0064】
図9Cに示されるように、例えば紫外線Uが、露光マスクEMを通してめっきレジストPRとなるレジスト膜に照射される。レジスト膜のうちの露光マスクEMに覆われていない露光部分PRaが架橋反応によって不溶性に変化する。一方、レジスト膜のうち露光マスクEMに覆われている非露光部分PRbの大部分は溶解性のまま変化しない。しかし露光マスクEMの真下の部分のうち、金属膜10b及び露光部分PRaの両方に近接する境界部分BPは、金属膜10bで反射した紫外光Uによって露光されて不溶性へと変化する。
【0065】
その後、露光マスクEMが除去され、非露光部分PRbが現像によって除去される。しかし、紫外線Uの反射光によって露光された境界部分BPは、露光部分PRaと共に残存する。その結果、境界部分BPによって金属膜10bとの近傍部分が切り欠かれた開口PR1を有するめっきレジストPRが、換言すると、境界部分BPによって金属膜10bとの近傍部分が拡幅されたマスク部を有するめっきレジストPRが、形成される。
【0066】
境界部分BPは、例えば、金属膜10bの表面を粗化して紫外線Uを適度に乱反射させたり、異なる角度で多方向からめっきレジストPRに紫外線Uを照射したりすることによって形成され得る。なお、以下の説明では、境界部分BPは、めっきレジストPRの「拡幅部分BP」とも称される。
【0067】
図9Dに示されるように、めっきレジストPRの開口PR1内に、金属膜10bを給電層として用いる電解めっきによって、第1導体層11、又はコア基板3の第2面3b側の導体層1それぞれの各導体パターンが形成される。
図9Dに示される開口PR1には、第1導体層11の部品搭載パッド110を構成するめっき膜10cが形成される。
図9Dに示されるように、縁部における金属膜10bとの近傍部分がめっきレジストPRの拡幅部分BPによって切り欠かれためっき膜10cが形成される。その後、めっきレジストPRが、例えばアルカリ性の溶剤などを用いて除去される。
【0068】
図9E及び
図9Fに示されるように、めっきレジストの除去によって露出する金属膜10bの不要部分がフラッシュエッチングなどによって除去される。部品搭載パッド110などの所定の導体パターンを有する第1導体層11が形成される。コア基板3の第2面3b側には、所定の導体パターンを有する導体層1が形成される。なお、
図9Fには、
図9EのIXF部の拡大図が示されている。
【0069】
図9Fに示されるように、部品搭載パッド110を構成する金属膜10bの端面10b1は、第1絶縁層21側の方がめっき膜10c側よりも多く除去されている。その結果、端面10b1は、第1絶縁層21側ほど部品搭載パッド110の内周側に向かうように傾斜している。めっき膜10cの縁部における金属膜10bとの近傍部分を切り欠かれた形状とすることによって、エッチング液の回り込みについて第1絶縁層21側とめっき膜10c側との間において異なる状況を作り出すことができる。その結果、
図9Fに示されるように端面10b1を傾斜させることができる。
【0070】
図9Fの例では、めっき膜10cの縁部における金属膜10bとの近傍部分がめっきレジストの拡幅部分によって切り欠かれたような形状を有しているため、部品搭載パッド110の縁部が第1絶縁層21の表面21aから離間している。さらに、金属膜10bの端面10b1が第1絶縁層21側ほど部品搭載パッド110の内周側に向かうように傾斜しているため、より長い範囲に渡って部品搭載パッド110の縁部が第1絶縁層21の表面21aから離間している。
【0071】
なお、先に参照した
図3A~
図3Cに示されるめっき膜10cの形状も、前述した金属膜10bの表面の粗化の調整や、紫外線の照射角度及び光度の調整によって形成し得ると考えられる。また、
図3Dに示される部品搭載パッド110の上面113側の形状は、前述しためっき膜10bの不要部分を除去する際のフラッシュエッチングの条件を調整することによって形成することができる。
【0072】
図9Gに示されるように、第1絶縁層21及び第1導体層11の上に第2絶縁層22が形成される。
図9Gの例では、第2絶縁層22の上に、さらに第2導体層12が形成され、さらに、第2絶縁層22及び第2導体層12上に絶縁層2が形成されている。コア基板3の第2面3b側にも同様に、
図9Eの状態から、さらに2層の絶縁層2と、その2層の絶縁層2に挟まれる導体層1が形成されている。第2絶縁層22及び各絶縁層2は、
図9Eの状態において形成されている絶縁層2と同様の材料で形成され得る。第2導体層12及び第2面3b側にさらに形成される導体層1は、
図9Eの状態において形成されている導体層1と同様の材料で形成され得る。
【0073】
図9Hに示されるように、第2絶縁層22及びその上の絶縁層2を貫通して部品搭載パッド110の部品搭載領域を露出させる貫通孔221、201が形成される。
図9Hには、貫通孔221及びその周辺部分だけが拡大して示されている。貫通孔221、201は、例えば、貫通孔221、201の形成領域全体に渡ってレーザー光LBをピッチ送りしながら照射することによって形成される。レーザー光LBとしては、炭酸ガスレーザー光が例示される。部品搭載パッド110は、貫通孔221、201の形成時のレーザー光LBのストッパーとして機能し得る。貫通孔221、201は、ドリル加工などの他の任意の方法で形成され得る。
【0074】
貫通孔221、201の形成後、好ましくは、貫通孔221、201内に残存する樹脂残渣(スミア)が、プラズマ処理、又は過マンガン酸塩などを含む薬液を用いた処理によって除去(デスミア処理)される。以上の工程を経ることによって
図1に示される配線基板100が完成する。
【0075】
[部品内蔵配線基板の製造方法]
図7及び
図8に示される他の実施形態の部品内蔵配線基板200を製造する方法の一例が説明される。まず、例えば
図9A~
図9Hを参照して説明された配線基板の製造方法を用いて、キャビティ4を有する配線基板100が用意される。
【0076】
キャビティ4内に露出する部品搭載パッド110に電子部品Eが載置される。例えば、はんだ若しくは銅などの金属ペレット、又は、導電性若しくは絶縁性のペーストが、マウンタやディスペンサを用いて接着剤6として部品搭載パッド110上に供給され、さらに、電子部品Eがダイボンダなどによって載置される。電子部品E及び接着剤6は、例えば、部品搭載パッド110上で加熱及び加圧され、その結果接着剤6が硬化し、電子部品Eが部品搭載パッド110に接合される。
【0077】
そして、電子部品Eを覆う第4絶縁層24が、第2絶縁層22上の絶縁層2の上に形成される。コア基板3の第2面3b側の最外の絶縁層2上には絶縁層25が形成される。第4絶縁層24及び絶縁層25は、前述した第1絶縁層21などと同様に、例えばフィルム状のエポキシ樹脂の積層、並びに加熱及び加圧によって形成され得る。その第4絶縁層24の形成時に、第4絶縁層24を構成するエポキシ樹脂などが、加熱及び加圧によって軟化してキャビティ4内に流入する。そして、キャビティ4内が、第4絶縁層24を構成する樹脂で充填され、第4絶縁層24を構成する樹脂で電子部品Eがキャビティ4内に封止される。
【0078】
その後、第3導体層13、並びに、ビア導体101及びビア導体102が形成される。絶縁層25上には、導体層15が形成される。また、絶縁層25を貫通するビア導体103が形成される。第3導体層13には、外部回路との接続に用いられる接続パッド131、132が設けられる。第3導体層13は、第4絶縁層24及び第4絶縁層24の下の絶縁層2を貫通するビア導体101によって第2導体層12と接続される。接続パッド132は、電子部品E上の第4絶縁層24を貫通するビア導体102によって、電子部品Eの電極E1と接続される。
【0079】
第3導体層13及び導体層15、ビア導体101、103は、前述した、第1導体層11及びビア導体10の形成方法と同様の方法及び同様の材料を用いて形成され得る。ビア導体102の形成に関して、電子部品Eの電極E1に向かって、第4絶縁層24の表面から例えば紫外線(UV)レーザー光を照射することによって電極E1を露出させる貫通孔が形成される。その貫通孔内に、第3導体層13の形成と共にめっき膜を充填することによってビア導体102が形成される。
【0080】
その後、第3導体層13及び第4絶縁層24上にソルダーレジスト層7が形成されると共に、導体層15及び絶縁層25上にはソルダーレジスト層70が形成される。ソルダーレジスト層7には接続パッド131、132を露出させる開口が設けられ、ソルダーレジスト層70にも適宜開口が設けられる。ソルダーレジスト層7、70、及び各ソルダーレジスト層の開口は、感光性のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などを含む樹脂層の形成と、適切な開口パターンを有するマスクを用いた露光及び現像とによって形成される。
【0081】
ソルダーレジスト層7、70の開口に露出する接続パッド131、132上には、無電解めっき、半田レベラ、又はスプレーコーティングなどによって、Au、Ni/Au、Ni/Pd/Au、はんだ、又は耐熱性プリフラックスなどからなる表面保護膜(図示せず)が形成されてもよい。以上の工程を経る事によって
図7及び
図8の例の部品内蔵配線基板200が完成する。
【0082】
実施形態の配線基板及び実施形態の部品内蔵配線基板は、各図面に例示される構造、並びに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。前述したように、実施形態の配線基板は任意の積層構造を有し得る。例えば実施形態の配線基板はコア基板を含まないコアレス基板であってもよい。実施形態の配線基板は、任意の数の導体層及び絶縁層を有し得る。
【符号の説明】
【0083】
100、100a、100b 配線基板
1、15 導体層
11 第1導体層
110、110a 部品搭載パッド
111 部品搭載パッドの下面
112 部品搭載パッドの側面
113 部品搭載パッドの上面
12 第2導体層
200 部品内蔵配線基板
2、25 絶縁層
20a 無機フィラー
21 第1絶縁層
21a 表面
21b 芯材
22 第2絶縁層
23 第3絶縁層
4 キャビティ
A 部品搭載領域
E 部品(電子部品)