(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029850
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】マスク用フィルタ、マスク、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220210BHJP
A62B 18/08 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A41D13/11 E
A62B18/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020133394
(22)【出願日】2020-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】508286441
【氏名又は名称】株式会社ユーアイビィ
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】基 利枝子
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA16
2E185CC32
(57)【要約】
【課題】 低コストで製造でき、優れたフィルタ機能を発揮すると共に、優れた着用感も発揮できるマスク用フィルタ、マスク、及びその製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】マスク用フィルタは、表地及び裏地の間に不織布フィルタを重畳した積層体からなり、マスクの内部又は着用者側の側面に着脱可能なマスク用フィルタであって、前記不織布フィルタが、中央上端から中央中心に向かって溶着してなる上側支持部と、中央下端から中央中心に向かって溶着してなる下側支持部と、を備え、前記積層体の上下方向にわたって、凸状に形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表地及び裏地の間に不織布フィルタを重畳した積層体からなり、マスクの内部又は着用者側の側面に着脱可能なマスク用フィルタであって、
前記不織布フィルタが、
中央上端から中央中心に向かって溶着してなる上側支持部と、
中央下端から中央中心に向かって溶着してなる下側支持部と、
を備え、
前記積層体の上下方向にわたって、凸状に形成されることを特徴とする
マスク用フィルタ。
【請求項2】
請求項1に記載のマスク用フィルタにおいて、
前記上側支持部と、前記下側支持部と、を連結してなる連結支持部を備えることを特徴とする
マスク用フィルタ。
【請求項3】
請求項2に記載のマスク用フィルタにおいて、
前記不織布フィルタが、少なくとも円弧状を有する2つの不織布フィルタ生地片にてなり、
前記連結支持部が、前記不織布フィルタ生地片の円弧状の側周同士を溶着して一体化して形成されることを特徴とする
マスク用フィルタ。
【請求項4】
請求項3に記載のマスク用フィルタにおいて、
前記表地が、少なくとも円弧状を有する2つの表地片にてなり、当該表地片の円弧状の側周同士を縫製して一体化して形成される表地支持部を備えると共に、
前記裏地が、少なくとも円弧状を有する2つの裏地片にてなり、当該裏地片の円弧状の側周同士を縫製して一体化して形成される裏地支持部を備えることを特徴とする
マスク用フィルタ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のマスク用フィルタにおいて、
前記表地及び裏地が、制菌性生地及び抗ウイルス性生地からなることを特徴とする
マスク用フィルタ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のマスク用フィルタにおいて、
前記抗ウイルス性生地が、抗ウィルス成分を繊維表面に固定化されてなり、
前記制菌性生地が、銀イオンを含有する抗菌成分を繊維表面に固定化されてなることを特徴とする
マスク用フィルタ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のマスク用フィルタにおいて、
前記積層体の上端中央に、変形可能な長尺状の芯材を有することを特徴とする、
を有することを特徴とする
マスク用フィルタ。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のマスク用フィルタにおいて、
前記積層体が、前記表地、前記裏地、及び前記不織布フィルタを、前記上側支持部及び前記下側支持部にて一体的に溶着してなることを特徴とする
マスク用フィルタ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載のマスク用フィルタをマスクの内部又は着用者側の側面に着脱可能に挿入されたことを特徴とする
マスク。
【請求項10】
表地及び裏地の間に不織布フィルタを重畳した積層体からなり、マスクの着用者側の側面に着脱可能なマスク用フィルタの製造方法であって、
前記不織布フィルタを中央上端から中央中心に向かって溶着して上側支持部を形成する上側支持部形成工程と、
前記不織布フィルタを中央下端から中央中心に向かって溶着して下側支持部を形成する下側支持部形成工程と、を含み、
前記積層体が上下方向にわたって凸状に形成されることを特徴とする
マスク用フィルタの製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載のマスク用フィルタの製造方法において、
前記上側支持部と、前記下側支持部と、を連結してなる連結支持部を形成する連結支持部形成工程を含むことを特徴とする
マスク用フィルタの製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載のマスク用フィルタの製造方法において、
前記不織布フィルタが、少なくとも円弧状を有する2つの不織布フィルタ生地片にてなり、
前記連結支持部形成工程が、前記不織布フィルタ生地片の円弧状の側周同士を溶着して一体化して形成することを特徴とする
マスク用フィルタの製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載のマスク用フィルタの製造方法において、
前記表地が、少なくとも円弧状を有する2つの表地片にてなり、当該表地片の円弧状の側周同士を縫製して一体化して表地支持部を形成する表地形成工程を含み、
前記裏地が、少なくとも円弧状を有する2つの裏地片にてなり、当該裏地片の円弧状の側周同士を縫製して一体化して表地支持部を形成する裏地形成工程を含むことを特徴とする
マスク用フィルタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクに着脱可能なマスク用フィルタについて、特に、優れたフィルタ機能を発揮すると共に着用感にも優れたマスク用フィルタ、マスク、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、感染症対策や花粉症対策等のニーズから年間を通してマスクの需要は高い。マスクは、着用者の顔面と密着することで、花粉の吸引を予防することや、ウィルスを含んだ飛沫等からの感染予防や着用者からの飛沫拡散防止の効果を発揮する。
【0003】
マスクは、不織布を用いて多層化する等の高機能化が進んでいるが、マスクを長時間着用すると、雑菌の繁殖やウィルスが付着した状態が維持され、マスクのフィルタ機能も低下することから、衛生面から、使い捨て型(ディスポーザブルタイプ)が主流となっている。
【0004】
さらに、近年では、コロナウィルスをはじめとする感染症対策等の世界的ニーズから、より高性能なフィルタ機能を発揮するマスクの需要が高まっている。しかし、現在主流の使い捨て型のマスクでは、マスクを構成する布の厚みの制約があり重厚なフィルタ機能を組み込むことが物理的に困難であると同時に、消費者に使い捨てマスクとして許容される販売価格の範囲内で充実したフィルタ機能を組み込むことは価格的に困難である。
【0005】
そのため、マスクとは別体で、充実したフィルタ機能を備えた交換可能なマスク用フィルタが提案されている。このような従来のマスク用フィルタとしては、例えば、吸水性繊維を含有する吸水性不織布と疎水性不織布を少なくとも含むシート材に水分を保持させたものであって、シート材は、前記吸水性不織布に液体を保持させ、含液率15v/v%~90v/v%としたときの該吸水性不織布の通気度が15cc/cm2/sec~80cc/cm2/sec としたものが開示されている(特許文献1参照)。
【0006】
従来のマスク用フィルタとしては、立体的形状を作るために、フィルタとなるシート材の一部に切り込みを入れると共に、当該切り込み近傍のシート材の一部を適宜除去し、当該切り込みによって対向することになった対向端部同士を接着固定することで、シート材を盛り上がった形状とし、立体形状を形成するものもある。このようなマスク用フィルタとしては、例えば、左右方向に連続した上方領域と、前記上方領域の右側下方に位置する右下領域と、前記上方領域の左側下方に位置する左下領域とを有し、前記右下領域の端部と、前記右下領域に対向する前記左下領域の端部とが、前記フィルターの左右方向の中央部において接着固定されており、前記マスク本体の立体形状に沿って、その中央部が上下間にわたって湾曲状に前方へ突出する立体形状に形成され、 前記上方領域には、その上辺に沿って延在し、使用者の鼻の形状に沿って変形する長尺状の芯材が設けられているものが開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-135612号公報
【特許文献2】実用新案登録第3213767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来のマスク用フィルタでは、例えば、特許文献1のように、吸水性不織布と疎水性不織布を少なくとも含むシート材に規定量の水分を保持させたものもあるが、厚みがある直方体形状のシート材であることから立体的な起伏が得られ難く、着用者の顔面全体にかけての起伏ある立体形状に隙間なく追従することは困難であり、マスク用フィルタと口元や鼻付近の隙間が狭くなってしまい、息苦しさを呈するもので着用感に乏しいという課題がある。
【0009】
また、従来のマスク用フィルタでは、例えば、特許文献2のように、フィルタとなるシート材の一部に切り込みを入れると共に当該切り込み近傍のシート材の一部を適宜除去し、当該切り込みによって対向することになった対向端部同士を接着固定することで、シート材を盛り上がった形状とし、立体形状を形成するものもあるが、立体形状を形成するために切り込み工程、除去工程、及び接着工程という複数の煩雑な工程が必要となることから、低コストで大量に生産することが難しく実用的ではないという課題がある。
【0010】
このようなことから、低コストで製造でき、優れたフィルタ機能を発揮すると共に、優れた着用感も発揮できるマスク用フィルタが望まれているが、そのようなマスク用フィルタは、現在のところ見当たらない。
【0011】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、低コストで製造でき、優れたフィルタ機能を発揮すると共に、優れた着用感も発揮できるマスク用フィルタ、マスク、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るマスク用フィルタは、表地及び裏地の間に不織布フィルタを重畳した積層体からなり、マスクの内部又は着用者側の側面に着脱可能なマスク用フィルタであって、前記不織布フィルタが、中央上端から中央中心に向かって溶着してなる上側支持部と、中央下端から中央中心に向かって溶着してなる下側支持部と、を備え、前記積層体の上下方向にわたって、凸状に形成されるものである。このように、前記不織布フィルタが、中央上端から中央中心に向かって溶着してなる上側支持部と、中央下端から中央中心に向かって溶着してなる下側支持部と、を備え、前記積層体の上下方向にわたって、凸状に形成されることから、当該溶着によって、前記積層体の中央領域における上端部と下端部が、前記上側支持部及び前記下側支持部の形成によって、立体形状の立ち上がりの起点として作用して、自然で立体的な湾曲状がマスクの中央の縦方向に沿って形成されることとなり、様々な種類のマスクに対して着脱可能に使用することができると共に、前記積層体による多層構造の優れたフィルタ機能が得られ、さらに、着用者の顔面の起伏にフィットする立体形状により快適な着用感が得られる。
【0013】
また、本発明に係るマスク用フィルタは必要に応じて、前記上側支持部と、前記下側支持部と、を連結してなる連結支持部を備える構成である。このように、前記上側支持部と、前記下側支持部と、を連結してなる連結支持部を備えることから、自然で立体的な湾曲状がマスクの中央の縦方向に連通して形成されることとなり、様々な種類のマスクに対して着脱可能に使用することができると共に、前記積層体による多層構造の優れたフィルタ機能が得られ、さらに、着用者の顔面の起伏によりフィットする膨出を維持した立体形状により快適な着用感が得られる。
【0014】
また、本発明に係るマスク用フィルタは必要に応じて、前記不織布フィルタが、少なくとも円弧状を有する2つの不織布フィルタ生地片にてなり、前記連結支持部が、前記不織布フィルタ生地片の円弧状の側周同士を溶着して一体化して形成されるものである。このように、前記不織布フィルタが、少なくとも円弧状を有する2つの不織布フィルタ生地片にてなり、前記連結支持部が、前記不織布フィルタ生地片の円弧状の側周同士を溶着して一体化して形成されることから、当該溶着により前記不織布フィルタに隙間を生じないことから高いフィルタ機能を維持しつつ、当該溶着によって硬化された連結支持部が、リブ効果を発揮して、立体形状の立ち上がりの起点として支持作用して、自然で立体的な湾曲状がマスクの中央の縦方向に沿って形成されると共に、こととなり、様々な種類のマスクに対して着脱可能に使用することができると共に、前記積層体による多層構造の優れたフィルタ機能が得られ、さらに、着用者の顔面の起伏にフィットする立体形状により快適な着用感が得られる。
【0015】
また、本発明に係るマスク用フィルタは必要に応じて、前記表地が、少なくとも円弧状を有する2つの表地片にてなり、当該表地片の円弧状の側周同士を縫製して一体化して形成される表地支持部を備えると共に、前記裏地が、少なくとも円弧状を有する2つの裏地片にてなり、当該裏地片の円弧状の側周同士を縫製して一体化して形成される裏地支持部を備えるものである。このように、前記表地が、少なくとも円弧状を有する2つの表地片にてなり、当該表地片の円弧状の側周同士を縫製して一体化して形成される表地支持部を備えると共に、前記裏地が、少なくとも円弧状を有する2つの裏地片にてなり、当該裏地片の円弧状の側周同士を縫製して一体化して形成される裏地支持部を備えることから、当該縫製された表地支持部及び裏地支持部が、前記不織布フィルタと相乗的にリブ効果を発揮して、立体形状の立ち上がりの起点として支持作用して、自然で立体的な湾曲状がマスクの中央の縦方向に沿ってより確実に形成されることとなり、様々な種類のマスクに対して着脱可能に使用することができると共に、前記積層体による多層構造の優れたフィルタ機能が得られ、さらに、着用者の顔面の起伏にフィットする立体形状により快適な着用感が得られる。
【0016】
また、本発明に係るマスク用フィルタは必要に応じて、前記表地及び裏地が、制菌性生地及び抗ウイルス性生地からなる構成である。このように、前記表地及び裏地が、制菌性生地及び抗ウイルス性生地からなることから、前記積層体による多層構造が、自然で立体的な湾曲状の形状を有すると共に、ウイルス及び細菌の双方に対しても同時に有効に活性を抑制できることとなり、前記積層体による多層構造の優れたフィルタ機能が得られ、さらに、着用者の顔面の起伏によりフィットする膨出を維持した立体形状により快適な着用感が得られる。
【0017】
また、本発明に係るマスク用フィルタは必要に応じて、前記抗ウイルス性生地が、抗ウィルス成分を繊維表面に固定化されてなり、前記制菌性生地が、銀イオンを含有する抗菌成分を繊維表面に固定化されてなる構成である。このように、前記抗ウイルス性生地が、抗ウィルス成分を繊維表面に固定化されてなり、前記制菌性生地が、銀イオンを含有する抗菌成分を繊維表面に固定化されてなることから、前記抗ウイルス性生地の繊維表面に固定化された抗ウィルス成分及び前記制菌性生地の繊維表面に固定化された銀イオンを含有する抗菌成分によって、ウィルス及び細菌に対する高い補修効率が持続的に得られることとなり、フィルタ機能のみならず高い抗ウィルス作用及び抗菌作用を長期にわたり持続的に発揮することができる。
【0018】
また、本発明に係るマスク用フィルタは必要に応じて、前記積層体の上端中央に、変形可能な長尺状の芯材を有するものである。このように、前記積層体の上端中央に、変形可能な長尺状の芯材を有することから、着用者が当該芯材を変形することで鼻の起伏状態に応じて最適に適合できることとなり、個々の着用者に応じて最適なフィット感を得ることができる。
【0019】
また、本発明に係るマスク用フィルタは必要に応じて、前記積層体が、前記表地、前記裏地、及び前記不織布フィルタを、前記上側支持部及び前記下側支持部にて一体的に溶着してなるものである。このように、前記積層体が、前記表地、前記裏地、及び前記不織布フィルタを、前記上側支持部及び前記下側支持部にて一体的に溶着してなることから、当該溶着によって、前記積層体の多層構造が頑丈に形成され、さらに、前記積層体の中央領域における少なくとも上端部と下端部が、立体形状の立ち上がりの起点としても作用して、自然で立体的な湾曲状がマスクの中央の縦方向に沿って形成されることとなり、様々な種類のマスクに対して着脱可能に使用することができると共に、前記積層体による多層構造の優れたフィルタ機能が得られ、さらに、着用者の顔面の起伏にフィットする立体形状により快適な着用感が得られる。
【0020】
また、本発明に係るマスクは、前記マスク用フィルタをマスクの内部又は着用者側の側面に着脱可能に挿入されたものである。このように、前記マスク用フィルタをマスクの内部又は着用者側の側面に着脱可能に挿入されたマスクであることから、定期的に前記マスク用フィルタを入れ替えられることとなり、前記マスク用フィルタの前記積層体による多層フィルタ機能が得られると共に、優れた多層フィルタ機能を常に新鮮な状態で発揮できる。
【0021】
また、本発明に係るマスク用フィルタの製造方法は、表地及び裏地の間に不織布フィルタを重畳した積層体からなり、マスクの着用者側の側面に着脱可能なマスク用フィルタの製造方法であって、前記不織布フィルタを中央上端から中央中心に向かって溶着して上側支持部を形成する上側支持部形成工程と、前記不織布フィルタを中央下端から中央中心に向かって溶着して下側支持部を形成する下側支持部形成工程と、を含み、前記積層体が上下方向にわたって凸状に形成されるものである。このように、前記不織布フィルタを中央上端から中央中心に向かって溶着して上側支持部を形成する上側支持部形成工程と、前記不織布フィルタを中央下端から中央中心に向かって溶着して下側支持部を形成する下側支持部形成工程と、を含み、前記積層体が上下方向にわたって凸状に形成されることから、溶着によって、前記積層体の中央領域における上端部と下端部が、前記上側支持部及び前記下側支持部の形成によって硬化されて、リブ効果として立体形状の立ち上がりの起点としても作用して、自然で立体的な湾曲状がマスクの中央の縦方向に沿って形成されることとなり、様々な種類のマスクに対して着脱可能に使用することができると共に、前記積層体による多層構造の優れたフィルタ機能が得られ、さらに、着用者の顔面の起伏にフィットする立体形状により快適な着用感が、低コストで得られる。
【0022】
また、本発明に係るマスク用フィルタの製造方法は、必要に応じて、前記上側支持部と、前記下側支持部と、を連結してなる連結支持部を形成する連結支持部形成工程を含むものである。このように、前記上側支持部と、前記下側支持部と、を連結してなる連結支持部を形成する連結支持部形成工程を含むことから、自然で立体的な湾曲状がマスクの中央の縦方向に連通して形成されることとなり、様々な種類のマスクに対して着脱可能に使用することができると共に、前記積層体による多層構造の優れたフィルタ機能が簡易に得られ、さらに、着用者の顔面の起伏によりフィットする膨出を維持した立体形状により快適な着用感が得られる。
【0023】
また、本発明に係るマスク用フィルタの製造方法は、必要に応じて、前記不織布フィルタが、少なくとも円弧状を有する2つの不織布フィルタ生地片にてなり、前記連結支持部形成工程が、前記不織布フィルタ生地片の円弧状の側周同士を溶着して一体化して形成するものである。このように、前記不織布フィルタが、少なくとも円弧状を有する2つの不織布フィルタ生地片にてなり、前記連結支持部形成工程が、前記不織布フィルタ生地片の円弧状の側周同士を溶着して一体化して形成することから、当該溶着により前記不織布フィルタに隙間を生じないことから高いフィルタ機能を維持しつつ、当該溶着によって硬化された連結支持部が、リブ効果を発揮して、立体形状の立ち上がりの起点として支持作用して、自然で立体的な湾曲状がマスクの中央の縦方向に沿って形成されると共に、こととなり、様々な種類のマスクに対して着脱可能に使用することができると共に、前記積層体による多層構造の優れたフィルタ機能が簡易に得られ、さらに、着用者の顔面の起伏にフィットする立体形状により快適な着用感が得られる。
【0024】
また、本発明に係るマスク用フィルタの製造方法は、必要に応じて、前記表地が、少なくとも円弧状を有する2つの表地片にてなり、当該表地片の円弧状の側周同士を縫製して一体化して表地支持部を形成する表地形成工程を含み、前記裏地が、少なくとも円弧状を有する2つの裏地片にてなり、当該裏地片の円弧状の側周同士を縫製して一体化して表地支持部を形成する裏地形成工程を含むものである。このように、前記表地が、少なくとも円弧状を有する2つの表地片にてなり、当該表地片の円弧状の側周同士を縫製して一体化して表地支持部を形成する表地形成工程を含み、前記裏地が、少なくとも円弧状を有する2つの裏地片にてなり、当該裏地片の円弧状の側周同士を縫製して一体化して表地支持部を形成する裏地形成工程を含むことから、当該縫製によって、表地支持部及び裏地支持部が、前記不織布フィルタと相乗的にリブ効果を発揮して、立体形状の立ち上がりの起点として支持作用して、自然で立体的な湾曲状がマスクの中央の縦方向に沿ってより確実に形成されることとなり、様々な種類のマスクに対して着脱可能に使用することができると共に、前記積層体による多層構造の優れたフィルタ機能が簡易に得られ、さらに、着用者の顔面の起伏にフィットする立体形状により快適な着用感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るマスク用フィルタの構成を説明する説明図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係るマスク用フィルタの構成を説明する説明図(a)、A-A断面図、及びのB-B断面図(c)である。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係るマスク用フィルタの製造フローを示す説明図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係るマスク用フィルタの構成を示す説明図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係るマスク用フィルタを使用したマスクの構成(a)及び着用状態(b)を説明する説明図である。
【
図6】本発明の第3の実施形態に係るマスク用フィルタの構成を説明する説明図である。
【
図7】本発明の第3の実施形態に係るマスク用フィルタの製造フローを示す説明図である。
【
図8】本発明の第4の実施形態に係るマスク用フィルタの構成を説明する説明図(a)、A-A断面図、及びのB-B断面図(c)である。
【
図9】本発明の第4の実施形態に係るマスク用フィルタの製造フローを示す説明図である。
【
図10】本発明の第4の実施形態に係るマスク用フィルタの構成を示す説明図である。
【
図11】本発明の第4の実施形態に係るマスク用フィルタを使用したマスクの構成(a)及び着用状態(b)を説明する説明図である。
【
図12】本発明の第4の実施形態に係るマスク用フィルタの構成を説明する説明図である。
【
図13】本発明の第5の実施形態に係るマスク用フィルタの構成を説明する説明図である。
【
図14】本発明の第5の実施形態に係るマスク用フィルタを使用したマスクの構成(a)及び着用状態(b)を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るマスク用フィルタを上記
図1に基づいて説明する。
【0027】
本実施形態に係るマスク用フィルタは、表地1及び裏地2の間に不織布フィルタ3を重畳した積層体10からなり、マスクの内部又は着用者側の側面に着脱可能なマスク用フィルタであって、
図1(a)及び(b)に示すように、この不織布フィルタ3が、中央上端(この積層体10の上端面10aのうちの中央部分近傍)から中央中心に向かって溶着してなる上側支持部11aと、中央下端(この積層体10の下端面10bのうちの中央部分近傍)から中央中心に向かって溶着してなる下側支持部11bと、を備え、
図1(c)及び(d)に示すように、この溶着溶着によって、前記積層体10の上下方向にわたって、凸状に形成される構成である。
【0028】
この積層体10を構成する表地1、裏地2、及び不織布フィルタ3の形状は、略矩形状で構成することができる。ここでいう略矩形状とは、正方形や長方形のみならず、正方形や長方形の4つの角領域における角が丸みを帯びた形状や、略楕円形状のようなほぼ正方形や長方形とみなせるような形状も含まれる。
【0029】
この不織布フィルタ3を、表地1及び裏地2の間に挟んで縫合又は溶着により固定することで積層体10を得ることができる。
【0030】
このような構成から、この積層体10の中央領域における上端部と下端部が、前記上側支持部及び前記下側支持部の形成によって、立体形状の立ち上がりの起点として作用して、自然で立体的な湾曲状がマスクの中央の縦方向に沿って形成されることとなり、様々な種類のマスクに対して着脱可能に使用することができると共に、前記積層体による多層構造の優れたフィルタ機能が得られ、さらに、着用者の顔面の起伏にフィットする立体形状により快適な着用感が得られる。
【0031】
(本発明の第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係るマスク用フィルタを上記
図2~
図5に基づいて説明する。
【0032】
本発明の第2の実施形態に係るマスク用フィルタは、上記の第1の実施形態と同じく、前記表地1と、前記裏地2と、前記不織布フィルタ3と、前記積層体10と、前記上側支持部11aと、前記下側支持部11bと、を備え、さらに、
図3に示すように、表地1、裏地2、及び不織布フィルタ3を、前記上側支持部11a及び前記下側支持部11bにて一体的に溶着して形成する構成である。
【0033】
積層体10の各層の固定に際しては、表地1又は裏地2のいずれかの面積を大きめにとり、表地1、裏地2及び不織布フィルタ3の中心点が重なるように重ね合わせた際に余分となる端の生地を折り返して略矩形状の外周近傍で固定して固定部12を形成することで、積層体10の各層を固定することが可能である。例えば、
図1(b)及び(c)に示すように、表地1の面積を裏地2及び不織布フィルタ3よりも大きめにとり、表地1、裏地2及び不織布フィルタ3の中心点が重なるように重ね合わせた際に余分となる端の生地を折り返して略矩形状の外周近傍で固定して固定部12を形成することで、積層体の各層を固定することが可能となる。
【0034】
この固定部12による固定は、表地1、裏地2及び不織布フィルタ3が固定されれば特に限定されず、熱溶着で行うことも可能であり、縫製で行うことも可能である。この固定部12の固定は、特に限定されないが、好ましくは、表地1及び裏地2の両面にまたがるオーバーロック編みをすることであり、これにより、頑丈な固定により積層体10を形成できる。また、この固定部12に用いる糸の種類は、特に限定されないが、滑り難い糸を用いることが好ましく、例えば、スパンシー糸を用いることが好ましく、これにより、マスクに収容した際に口元を動かす度に生じがちなマスクとの位置ずれが防止され、より安定した使い心地のマスク用フィルタが形成される。
【0035】
この不織布フィルタ3の材料は、特に限定されないが、約200nm~800nmの細さの繊維でメッシュの大きさが0.1μm程度のものを使用することができ、このような材料としては、例えば、3次元立体構造のナノスケールのファイバーであるヤマシンナノフィルタ(登録商標)(ヤマシンフィルタ社製)を使ったフィルタシートを用いることができ、非常に面の細かい3次元立体構造のナノスケールの空隙によって、外気中に漂う花粉や、ウィルス等を含んだ飛沫を効率的に捕集することが可能となり、静電気力に頼らないフィルターであることから、捕集性能を長期間にわたって維持することができる。
【0036】
この表地1は、外部と接する側の生地であり、その生地は特に限定されないが、取り扱い易さの点からフリーカット生地を用いることが好ましく、特に、制菌性生地を用いることが好適であり、より好ましくは、銀イオンを含有する抗菌成分を繊維表面に固定化されてなる生地を用いることがさらに好適である。このような生地としては、例えば、銀イオンを含有する抗菌剤を練り込まれたポリエステル素材を用いることが可能であり、例えば、 リブフレッシュ(登録商標)Pスーパー(KBセーレン株式会社製)を用いることができる。
【0037】
この裏地2は、着用者側と接する側の生地であり、その生地は特に限定されないが、取り扱い易さの点からフリーカット生地を用いることが好ましく、特に、抗ウイルス性生地を用いることが好適であり、より好ましくは、抗ウィルス成分を繊維表面に固定化されてなる生地を用いることがさらに好適である。このような生地としては、例えば、消毒液成分を含侵させた化学繊維生地を用いることが可能であり、例えば、クレンゼ(クラボウ社製)を用いることができる。
【0038】
このように、この表地1及び裏地2が、制菌性生地及び抗ウイルス性生地からなる場合には、この積層体10による多層構造が、ウイルス及び細菌の双方に対しても同時に有効に活性を抑制できることとなり、この積層体10による多層構造の優れたフィルタ機能が得られる。
【0039】
また、この抗ウイルス性生地が、抗ウィルス成分を繊維表面に固定化されてなり、この制菌性生地が、銀イオンを含有する抗菌成分を繊維表面に固定化されてなる場合には、この抗ウイルス性生地の繊維表面に固定化された抗ウィルス成分及びこの制菌性生地の繊維表面に固定化された銀イオンを含有する抗菌成分によって、ウィルス及び細菌に対する高い補修効率が持続的に得られることとなり、フィルタ機能のみならず高い抗ウィルス作用及び抗菌作用を長期にわたり持続的に発揮することができる。
【0040】
この溶着の方法としては、特に限定されないが、例えば、熱を用いた熱溶着又は熱圧着が可能であり、熱源としては、熱風、赤外線、レーザー、高周波、マイクロ波、又は火炎等が挙げられる。この他にも、この溶着の方法としては、超音波、マイクロ音波、振動、又はスピン等による溶着も可能である。例えば、超音波を用いる場合には、超音波から生じる高振動で発生する熱により、この熱に接触した箇所の生地(高分子繊維)のみが溶解して、高分子繊維を構成する高分子鎖が絡み合って新たな高分子結合が生ずることにより溶着(溶融)が起きる。
【0041】
この上側支持部11aは、
図2(a)に示すように、この積層体10の中央上端(上端面10aのうちの中央部分)から中央中心に向かって(方向A)、この積層体10を貫通して溶着して形成される。この下側支持部11bは、
図2(a)に示すように、この積層体10の中央下端(下端面10bのうちの中央部分)から中央中心に向かって(方向B)、この積層体10を貫通して溶着して形成される。
【0042】
本実施形態に係るマスク用フィルタは、この不織布フィルタ3の上側支持部11a及び下側支持部11bが上記の溶着で形成されることにより、
図2(b)のA-A断面図及び
図2(c)のB-B断面図に示すように、この溶着された生地の近傍に若干の縮みが生じ(方向C)、この生地の縮みにより、この積層体10の上下方向にわたって、自然な湾曲状として形成される。つまり、この溶着を行うのみによって、重畳された表地1、裏地2、及び不織布フィルタ3が強固に固定されて積層体10が形成されることのみならず、自律的に、この積層体10が、この積層体10の中央部分の上下方向にわたって、湾曲状に形成されることとなる。
【0043】
このように、この不織布フィルタ3を溶着してこの上側支持部11a及びこの下側支持部11bが形成されることから、この溶着によって、この積層体10の多層構造が強固に形成され、さらに、この積層体10の中央領域における上端部と下端部が、この上側支持部11a及びこの下側支持部11bの形成によって、立体形状の立ち上がりの起点としても作用して、自然で立体的な湾曲状がマスクの中央の縦方向に沿って形成されることとなり、様々な種類のマスクに対して着脱可能に使用することができると共に、この積層体10による多層構造の優れたフィルタ機能が得られ、さらに、着用者の顔面の起伏にフィットする立体形状により快適な着用感が得られる。
【0044】
次に、本実施形態に係るマスク用フィルタの製造方法について以下説明する。
【0045】
本実施形態に係るマスク用フィルタの製造方法は、
図3に示すように、表地1、裏地2、及び不織布フィルタ3を、重畳する(S1)。この表地1、裏地2、及び不織布フィルタ3の外周近傍に沿って、固定部12により固定して積層体10を形成する(S2)。不織布フィルタ3において、中央上端(この積層体10の上端面10aのうちの中央部分近傍)から中央中心に向かって溶着してなる上側支持部11aを形成すると共に、、中央下端(この積層体10の下端面10bのうちの中央部分近傍)から中央中心に向かって溶着してなる下側支持部11bを形成する(S3)。
【0046】
このようにして、この積層体10内部の不織布フィルタ3の上記溶着箇所によって、この積層体10の中央上端(上端面10aのうちの中央部分)から中央中心に向かって、マスク用フィルタの上側を支持する上側支持部11aが形成される。また、この不織布フィルタ3の溶着箇所によって、この積層体10の中央下端(下端面10bのうちの中央部分)から中央中心に向かって、マスク用フィルタの下側を支持する下側支持部11bが形成される。
【0047】
このように、本実施形態に係るマスク用フィルタは、不織布フィルタ3においてこの上側支持部11a及び下側支持部11bが上記溶着で形成されることにより、この溶着された生地の近傍に若干の縮みが生じ、この生地の縮みにより、自律的に、この積層体10の中央領域を横断する上下方向(縦方向)にわたって、湾曲状(弓形に反った形状)に形成される。
【0048】
この溶着箇所には様々な形状を用いての溶着が可能である。例えば、
図4(a)に示すように、この不織布フィルタ3の上側支持部11a及び下側支持部11bが共に、1つの直線上に沿った連続する散点形状となる溶着から形成されることが可能である。また、例えば、
図4(b)に示すように、この不織布フィルタ3の上側支持部11a及び下側支持部11bが、共に直線形状となる溶着形状から形成されることも可能である。また、例えば、
図4(c)に示すように、この不織布フィルタ3の上側支持部11aが、直線形状となる溶着形状から形成されると共に、この不織布フィルタ3の下側支持部11bが、1つの直線上に沿った連続する散点形状となる溶着形状から形成されることも可能である。また、例えば、
図4(d)に示すように、この不織布フィルタ3の上側支持部11aが、1つの直線上に沿った連続する散点形状となる溶着形状から形成されると共に、この不織布フィルタ3の下側支持部11bが、直線形状となる溶着形状から形成されることも可能である。このように、この不織布フィルタ3の上側支持部11a及び下側支持部11bの溶着には、マスクの種類に応じた最適な形状を選択することができ、溶着形状を変えることによって、用途に応じて外観デザインや溶着強度も自在に設定することが可能となる。
【0049】
このように、この溶着という簡易な製法のみによって、この積層体10が頑丈に形成され、さらに、この上側支持部11a及びこの下側支持部11bの形成によって、この積層体10の中央領域の上端部(上端面10aのうちの中央部分)と下端部(下端面10bのうちの中央部分)が、マスク用フィルタの立体形状の立ち上がりの起点としても作用して、
図5(a)で示すように、自然で立体的な湾曲状がマスク用フィルタの中央の縦方向に沿って形成されることとなり、様々な種類や形状のマスク100に対して、マスク100の内部に交換可能に取り付けられる部材(靴でいうところのインソールのように着用者に接触する交換可能な部材であることから、インナーマスクとも称することができる)として着脱可能に使用することができる。すなわち、立体形状を有していないマスク100であっても、本実施形態に係るマスク用フィルタを着脱可能に使用することによって、立体形状に富むマスク100が形成されることとなる。もちろん、立体形状を有するマスク100に対しても、本実施形態に係るマスク用フィルタを着脱可能に使用することによって、さらに相乗的に安定的な立体形状に富むマスク100が形成されることとなる。
【0050】
さらに、この積層体10による多層構造の優れたフィルタ機能が得られることから、
図5(b)で示すように、この溶着による生地の起立(方向C)も相俟って、着用者の顔面の起伏にフィットする膨出形状が得られることとなり、安定した立体成形によって、口元空間が確保されて快適な着用感が得られる。これにより、従来のようなプレート状のマスク用フィルタでは実現されなかった快適さが着用者に与えられる。
【0051】
(本発明の第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係るマスク用フィルタを上記
図6及び
図7に基づいて説明する
【0052】
本発明の第3の実施形態に係るマスク用フィルタは、上記の第2の実施形態と同じく、この表地1と、この裏地2と、この不織布フィルタ3と、この積層体10と、この上側支持部11aと、この下側支持部11bと、を備え、さらに、
図6に示すように、この上側支持部11aと、この下側支持部11bと、を連結してなる連結支持部13を備える構成である。
【0053】
この連結支持部13の形状としては、
図6(a)に示すように、この不織布フィルタ3において上側支持部11aからこの下側支持部11bに掛けて連続する一直線の直線形状で形成することができる。また、
図6(b)に示すように、この不織布フィルタ3において上側支持部11aからこの下側支持部11bにかけて連続するライン上に沿った散点形状で形成することができる。散点形状を構成するドットの幅は、特に限定されないが、例えば3mmとすることができ、ドットの間隔は、例えば3mmより小さい間隔とすることができる。この他にも、
図6(c)に示すように、この不織布フィルタ3において上側支持部11aからこの下側支持部11bにかけて連続する二重のライン上に沿った散点形状で形成することもできる。
【0054】
このように、この上側支持部11aと、この下側支持部11bと、を連結してなる連結支持部13を備えることから、自然で立体的な湾曲状がマスクの中央の縦方向に連通して形成されることとなり、様々な形状を有する様々な種類のマスクに対して着脱可能に使用することができると共に、この積層体10の多層構造による優れたフィルタ機能が得られ、さらに、着用者の顔面の起伏によりフィットする膨出形状を維持した立体形状によって、確実な口元空間が確保されることとなり快適な着用感が得られる。
【0055】
また、この連結支持部13の形成は、この積層体10の中央上端(上端面10aのうちの中央部分)から中央中心に向かって、さらに引き続いて、中央下端(下端面10bのうちの中央部分)までこの積層体10内の不織布フィルタ3を溶着して形成することも可能である。
【0056】
また、この連結支持部13の形成は、この積層体10の中央下端(下端面10bのうちの中央部分)から中央中心に向かって、さらに引き続いて、中央上端(上端面10aのうちの中央部分)までこの積層体10の不織布フィルタ3を溶着して形成することも可能である。
【0057】
このように、この溶着という簡易な製法のみによって、この積層体10の多層構造が頑丈に形成され、さらに、この積層体10の中央部分の上端部から下端部にかけて連結支持部13が形成されることによって、立体形状の立ち上がりの確実な起点として作用して、自然で立体的な湾曲状がマスクの中央部分の縦方向に沿って形成されることとなり、様々な種類のマスクに対して着脱可能に使用することができると共に、この積層体10による多層構造の優れたフィルタ機能が得られ、さらに、着用者の顔面の起伏にフィットする立体形状により快適な着用感が、低コストで得られる。
【0058】
本実施形態に係るマスク用フィルタは、この上側支持部11a及び下側支持部11bが上記の溶着で形成されることにより、この溶着されたこの生地を起立させる力が生じて、この積層体10の上下方向にわたって、自然な湾曲状として形成される。つまり、この溶着を行うのみによって、重畳された表地1、裏地2、及び不織布フィルタ3が自律的に起立された積層体10が形成されることのみならず、自律的に、この積層体10が、この積層体10の中央部分の上下方向にわたって、自然な湾曲状に形成されることとなる。
【0059】
このように、この積層体10を溶着してこの上側支持部11a及びこの下側支持部11bが形成されることから、この溶着によって、この積層体10の多層構造が強固に形成され、さらに、この積層体10の中央領域における上端部と下端部が、この上側支持部11a及びこの下側支持部11bの形成によって、立体形状の立ち上がりの起点としても作用して、自然で立体的な湾曲状がマスクの中央の縦方向に沿って形成されることとなり、様々な種類のマスクに対して着脱可能に使用することができると共に、この積層体10による多層構造の優れたフィルタ機能が得られ、さらに、着用者の顔面の起伏にフィットする立体形状により快適な着用感が得られる。
【0060】
(本発明の第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係るマスク用フィルタを上記
図8~11に基づいて説明する。
【0061】
上記の第3の実施形態では、1枚の生地の前記不織布フィルタ13に対して前記連結支持部13を形成する構成であったが、前記不織布フィルタ13を構成する2枚の生地に対して、当該2枚の生地を溶着する前記連結支持部13を形成する構成とすることも可能である。
【0062】
すなわち、本発明の第4の実施形態に係るマスク用フィルタは、上記の第3の実施形態と同じく、前記表地1と、前記裏地2と、前記不織布フィルタ3と、前記積層体10と、前記上側支持部11aと、前記下側支持部11bと、前記連結支持部13と、を備え、さらに、
図8に示すように、前記不織布フィルタ13が、少なくとも円弧状を有する2つの不織布フィルタ生地片3aにてなり、前記連結支持部13が、前記不織布フィルタ生地片3aの円弧状の側周同士を溶着して一体化して形成される。
【0063】
また、この表地1及び裏地2については、特に限定されないが、この不織布フィルタ3と同様の構成をとることが好ましい。例えば、
図7に示すように、この表地1が、少なくとも円弧状を有する2つの表地片1aにてなり、当該表地片1aの円弧状の側周同士を縫製して一体化して形成される表地支持部を備えると共に、この裏地2が、少なくとも円弧状を有する2つの裏地片2aにてなり、当該裏地片2aの円弧状の側周同士を縫製して一体化して形成される裏地支持部を備えることができる。
【0064】
次に、本実施形態に係るマスク用フィルタの製造方法について以下説明する。
【0065】
本実施形態に係るマスク用フィルタの製造方法は、
図9に示すように、先ず、不織布フィルタ3を構成する生地を立体裁断し、外周の少なくとも一部に円弧状の円弧外周部1bを有する同じ形状の不織布フィルタ生地片3aを2つ形成しておく。この表地片1aのうち円弧外周部1b以外の外周は、円弧形状でもよいし、角がある四角形状でもよく、収納するマスクの形状に合わせて自在に設計可能である。この2つの表地片1aの円弧外周部1bを対向させて、この円弧外周部1b同士を縫製することで立体形状の表地1が形成される(S1)。
【0066】
同様に、不織布フィルタ3を構成する生地を立体裁断し、外周の少なくとも一部に円弧状の円弧外周部3bを有する同じ形状の不織布フィルタ生地片3aを2つ形成しておく。この不織布フィルタ生地片3aのうち円弧外周部3b以外の外周は、円弧形状でもよいし、角がある四角形状でもよく、収納するマスクの形状に合わせて自在に設計可能である。この2つの不織布フィルタ生地片3aの円弧外周部3bを対向させて、この円弧外周部3b同士を溶着(立体溶着)することで立体形状の不織布フィルタ3が形成される(S2)。
【0067】
この溶着によって、溶着箇所が硬化することから、この溶着箇所がリブ効果となって、不織布フィルタ3の中央上端から中央中心に向かって、また、中央下端から中央中心に向かって、強固に起立させる支持力が生じ、積層体10の上下方向にわたって、自然に湾曲状に形成されることとなる。また、この溶着によって、縫製される場合とは異なり、隙間なく2つの不織布フィルタ生地片3aから不織布フィルタ3が形成されることとなり、隙間の無い不織布フィルタ3の生地による高いフィルタ機能を発揮することができる。
【0068】
同様に、裏地2を構成する生地を立体裁断し、外周の少なくとも一部に円弧状の円弧外周部2bを有する同じ形状の裏地片2aを2つ形成しておく。この裏地片2aのうち円弧外周部1b以外の外周は、円弧形状でもよいし、角がある四角形状でもよく、収納するマスクの形状に合わせて自在に設計可能である。この2つの裏地片2aの円弧外周部2bを対向させて、この円弧外周部2b同士を縫製することで立体形状の裏地1が形成される(S3)。
【0069】
表地1、及び裏地2の間に不織布フィルタ3を重畳する(S4)。これら重畳された表地1、裏地2、及び不織布フィルタ3の略円弧状又は略矩形状の外周近傍に沿って上記溶着又は縫製によって固定した固定部12を形成し、積層体10を形成する(S5)。この固定部12の固定は、特に限定されないが、好ましくは、表地1及び裏地2の両面の外周部にまたがるオーバーロック編みをすることであり、これにより、頑丈な固定により積層体10を形成できる。また、この固定部12に用いる糸の種類は、特に限定されないが、滑り難い糸を用いることが好ましく、例えば、スパンシー糸を用いることが好ましく、これにより、マスクに収容した際に口元を動かす度に生じがちなマスクとの位置ずれが防止され、より安定した使い心地のマスク用フィルタが形成される。
【0070】
このようにして、この積層体10内部の不織布フィルタ3の上記溶着箇所によって、この積層体10の中央上端(上端面10aのうちの中央部分)から中央中心に向かって、マスク用フィルタの上側を支持する上側支持部11aが形成される(上側支持部形成工程)(S5)。また、この不織布フィルタ3の溶着箇所によって、この積層体10の中央下端(下端面10bのうちの中央部分)から中央中心に向かって、マスク用フィルタの下側を支持する下側支持部11bが形成される(下側支持部形成工程)(S5)。
【0071】
このように、本実施形態に係るマスク用フィルタは、不織布フィルタ3においてこの上側支持部11a及び下側支持部11bが上記溶着で形成されることにより、この溶着された生地の近傍に若干の縮みが生じ、この生地の縮みにより、自律的に、この積層体10の中央領域を横断する上下方向(縦方向)にわたって、湾曲状(弓形に反った形状)に形成される(S5)。
【0072】
この溶着とは、熱処理等によりこの不織布フィルタ3の生地を連結固定することを意味し、溶着箇所には様々な形状を用いての溶着が可能である。例えば、
図10(a)に示すように、この不織布フィルタ3の上側支持部11a及び下側支持部11bが共に、1つの直線上に沿った連続する散点形状となる溶着から形成されることが可能である。また、例えば、
図10(b)に示すように、この不織布フィルタ3の上側支持部11a及び下側支持部11bが、共に直線形状となる溶着形状から形成されることも可能である。また、例えば、
図10(c)に示すように、この不織布フィルタ3の上側支持部11aが、直線形状となる溶着形状から形成されると共に、この不織布フィルタ3の下側支持部11bが、1つの直線上に沿った連続する散点形状となる溶着形状から形成されることも可能である。また、例えば、
図10(d)に示すように、この不織布フィルタ3の上側支持部11aが、1つの直線上に沿った連続する散点形状となる溶着形状から形成されると共に、この不織布フィルタ3の下側支持部11bが、直線形状となる溶着形状から形成されることも可能である。このように、この不織布フィルタ3の上側支持部11a及び下側支持部11bの溶着には、マスクの種類に応じた最適な形状を選択することができ、溶着形状を変えることによって、用途に応じて外観デザインや溶着強度も自在に設定することが可能となる。
【0073】
このように、この溶着という簡易な製法のみによって、この不織布フィルタ3の立体溶着が頑丈に形成され、さらに、この上側支持部11a及びこの下側支持部11bの形成によって、この積層体10の中央領域の上端部(上端面10aのうちの中央部分)と下端部(下端面10bのうちの中央部分)が、マスク用フィルタの立体形状の立ち上がりの起点としても作用して、
図11(a)で示すように、自然で立体的な湾曲状がマスク用フィルタの中央の縦方向に沿って形成されることとなり、様々な種類や形状のマスク100に対して、マスク100の内部に交換可能に取り付けられる部材(靴でいうところのインソールのように着用者に接触する交換可能な部材であることから、インナーマスクとも称することができる)として着脱可能に使用することができる。すなわち、立体形状を有していないマスク100であっても、本実施形態に係るマスク用フィルタを着脱可能に使用することによって、立体形状に富むマスク100が形成されることとなる。もちろん、立体形状を有するマスク100に対しても、本実施形態に係るマスク用フィルタを着脱可能に使用することによって、さらに相乗的に安定的な立体形状に富むマスク100が形成されることとなる。
【0074】
さらに、この積層体10による多層構造の優れたフィルタ機能が得られることから、
図11(b)で示すように、この溶着による生地の起立(方向C)も相俟って、着用者の顔面の起伏にフィットする膨出形状が得られることとなり、安定した立体成形によって、口元空間が確保されて快適な着用感が得られる。これにより、従来のようなプレート状のマスク用フィルタでは実現されなかった快適さが着用者に与えられる。
【0075】
また、この不織布フィルタ3の溶着により形成される連結支持部13の形状としては、
図12(a)に示すように、この不織布フィルタ3において上側支持部11aからこの下側支持部11bに掛けて連続する一直線の直線形状で隙間なく形成する。また、
図12(b)に示すように、この不織布フィルタ3において上側支持部11aからこの下側支持部11bにかけて連続するライン上に沿った散点形状で形成することができる。散点形状を構成するドットの幅は、特に限定されないが、例えば3mmとすることができ、ドットの間隔は、例えば3mmより小さい間隔とすることができる。この他にも、
図12(c)に示すように、この不織布フィルタ3においてこの上側支持部11aからこの下側支持部11bにかけて連続する二重のライン上に沿った散点形状で形成することもできる。
【0076】
このように、この不織布フィルタ3の溶着により不織布フィルタ3に隙間を生じないことから高いフィルタ機能を維持しつつ、当該溶着によって硬化された連結支持部13が、リブ効果を発揮して、立体形状の立ち上がりの起点として支持作用して、自然で立体的な湾曲状がマスク100の中央の縦方向に沿って形成されると共に、こととなり、様々な種類のマスク100に対して着脱可能に使用することができると共に、前記積層体による多層構造の優れたフィルタ機能が得られ、さらに、着用者の顔面の起伏にフィットする立体形状により快適な着用感が得られる。
【0077】
また、このように、表地1及び裏地2についても、縫製された表地支持部及び裏地支持部が、この不織布フィルタと相乗的にリブ効果を発揮して、立体形状の立ち上がりの起点として支持作用して、自然で立体的な湾曲状がマスクの中央の縦方向に沿ってより確実に形成されることとなり、様々な種類のマスクに対して着脱可能に使用することができると共に、前記積層体による多層構造の優れたフィルタ機能が得られ、さらに、着用者の顔面の起伏にフィットする立体形状により快適な着用感が得られる。
【0078】
(本発明の第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態に係るマスク用フィルタを上記
図13及び
図14に基づいて説明する。
【0079】
本発明の第5の実施形態に係るマスク用フィルタは、上記の第4の実施形態と同じく、この表地1と、この裏地2と、この不織布フィルタ3と、この積層体10と、この上側支持部11aと、この下側支持部11bと、この連結支持部13と、を備え、さらに、
図13に示すように、この積層体10の上端中央に、変形可能な長尺状の芯材14を有する構成である。すなわち、長尺状の芯材14(ボーン)は、可撓性を有する素材から形成される。
【0080】
この長尺状の芯材14の素材としては、可撓性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンを用いたワイヤー状の形状保持プラスチック素材を用いることができる。これにより適度な曲げやすさと強度を両立することができる。
【0081】
この長尺状の芯材14は、
図13(a)に示すように、マスク用フィルタを構成する積層体10の中央上端(上端面10aのうちの中央部分)近傍に配設することができ、これにより、着用者の鼻を横切る方向に沿って配置されることとなり、個々の着用者の鼻の起伏形状に合わせて変形可能となり、着用者がマスク装着時に一旦固定した位置が使用中にずれることがなくなる。また、この長尺状の芯材14は、マスク用フィルタを構成する積層体10の中央上端(上端面10aのうちの中央部分)近傍のみならず、
図13(b)に示すように、さらにこの上端面10a近傍全体に沿って配設することができ、これにより、着用者の鼻の形状の広狭・高低にも適合して変形可能となり、着用者の顔面の起伏にフィットする立体形状と共に、確実に立体成形されて口元空間が確保され、低コストで快適な着用感が得られる
【0082】
このように、本実施形態に係るマスク用フィルタは、
図14(a)に示すように、マスク100の着用者側の内側に着脱可能に当接して使用することができ、このマスク用フィルタを構成する積層体10の中央に、変形可能な可撓性を有する長尺状の芯材14を備えることから、着用者がこの芯材14をマスク用フィルタ着用前に着用者の鼻の形状に合わせて適宜変形させることで、
図14(b)に示すように、個々の着用者の鼻の起伏状態に応じて最適に適合できることとなり、個々の着用者の顔面形状に適合して最適なフィット感が得られると共に、着用者の口元空間をより安定的に確保することが可能となる。
【符号の説明】
【0083】
1 表地
1a 表地片
2 裏地
2a 裏地片
3 不織布フィルタ
3a 不織布フィルタ生地片
10 積層体
10a 上端面
10b 下端面
11a 上側支持部
11b 下側支持部
12 固定部
13 連結支持部
14 芯材
100 マスク