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  • 特開-減圧弁機構 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029871
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】減圧弁機構
(51)【国際特許分類】
   G05D 16/06 20060101AFI20220210BHJP
   F16K 37/00 20060101ALI20220210BHJP
   F16K 17/30 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
G05D16/06 J
F16K37/00 J
F16K17/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020133428
(22)【出願日】2020-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】391060029
【氏名又は名称】株式会社ダンレイ
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100095245
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】関 政志
(72)【発明者】
【氏名】向 理
(72)【発明者】
【氏名】大知 啓介
(72)【発明者】
【氏名】梶田 房人
(72)【発明者】
【氏名】田中 篤
(72)【発明者】
【氏名】上村 嘉孝
(72)【発明者】
【氏名】西 利樹
【テーマコード(参考)】
3H060
3H065
5H316
【Fターム(参考)】
3H060AA02
3H060BB10
3H060CC07
3H060CC35
3H060CC40
3H060DC05
3H060DD04
3H060DD17
3H060DF01
3H060DF05
3H060HH03
3H065AA08
3H065BA06
3H065BB01
3H065BC01
5H316AA06
5H316BB08
5H316DD17
5H316EE02
5H316EE10
5H316GG01
5H316JJ01
5H316KK08
(57)【要約】
【課題】 減圧弁二次圧の異常高圧発生による下流側水回り機器の損傷を抑制できる手段を提供する。
【解決手段】 減圧弁と減圧弁二次圧の異常高圧を外部に報知する報知装置とを備える。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧弁と減圧弁二次圧の異常高圧を外部に報知する報知装置とを備えることを特徴とする減圧弁機構。
【請求項2】
前記報知装置は前記減圧弁の弁箱に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の減圧弁機構。
【請求項3】
前記報知装置は前記減圧弁の前記弁箱に接続された二次側の配管に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の減圧弁機構。
【請求項4】
前記報知装置は、一端が前記減圧弁二次圧を受圧し他端が外部環境に暴露されたピストンと、前記ピストンを前記一端側へ付勢するバネとを備え、前記ピストンは一体構造物であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の減圧弁機構。
【請求項5】
前記報知装置は、一端が前記減圧弁二次圧を受圧し他端が外部環境に暴露されたピストンと、前記ピストンを前記一端側へ付勢するバネとを備え、前記ピストンは長手方向に2部分に分離可能であり、前記他端側の半部分は前記バネの付勢力を受けないことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の減圧弁機構。
【請求項6】
前記ピストンの他端部に利用者の注意を喚起するための目印が付されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の減圧弁機構。
【請求項7】
前記減圧弁の一次側と二次側とに止水栓が配設されて前記減圧弁の前記弁箱に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の減圧弁機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧弁機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
減圧弁は、例えば特許文献1に記載されているように、水道配管と水回り機器の間に配設されて、高圧の水道圧である一次圧を水回り機器の適正圧である二次圧まで減圧する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-266545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
経時劣化や異物の噛込等により減圧弁の機能が低下すると、減圧弁の二次圧が一次圧と同圧の異常高圧になり、当該二次圧が印加される下流側の水回り機器が故障する原因になる。
本発明は、減圧弁二次圧の異常高圧発生による下流側水回り機器の損傷を抑制できる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明においては、減圧弁と減圧弁二次圧の異常高圧を外部に報知する報知装置とを備えることを特徴とする減圧弁機構を提供する。
減圧弁二次圧の異常高圧が外部に報知されれば、下流側水回り機器の利用者は前記異常高圧の発生を認識して、適正な水回り機器保護対策を講ずることができる。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、報知装置は減圧弁の弁箱に取り付けられている。
報知装置を減圧弁の弁箱に取り付けることにより、減圧弁と報知装置とから構成される減圧弁機構を小型化できる。
本発明の好ましい態様においては、報知装置は減圧弁の弁箱に接続された二次側の配管に取り付けられている。
報知装置を減圧弁の弁箱に接続された二次側の配管に取り付けることにより、既存の減圧弁を温存しつつ、減圧弁と報知装置とから成る減圧弁機構を構成できる。
本発明の好ましい態様においては、報知装置は、一端が減圧弁二次圧を受圧し他端が外部環境に暴露されたピストンと、ピストンを前記一端側へ付勢するバネとを備え、ピストンは一体構造物である。
異常高圧の二次圧を受圧したピストンがバネの付勢力に抗して移動し、ピストンの他端が外部環境中に突出して異常高圧の発生を報知する。二次圧が低下するとバネの付勢力によりピストンが移動して他端が外部環境から退避するので、異常高圧が発生した事実を報知できなくなるが、ピストンを一体構造物とすることにより、報知装置の構成を簡素化できる。
本発明の好ましい態様においては、報知装置は、一端が減圧弁二次圧を受圧し他端が外部環境に暴露されたピストンと、ピストンを前記一端側へ付勢するバネとを備え、ピストンは長手方向に2部分に分離可能であり、前記他端側の半部分はバネの付勢力を受けない。
異常高圧の二次圧を受圧したピストンがバネの付勢力に抗して移動し、ピストンの他端が外部環境中に突出して異常高圧の発生を報知する。二次圧が低下するとバネの付勢力によりピストンの一端側の半部分は外部環境から退避する方向へ移動するが、他端側の半部分はバネの付勢力を受けないので、他端が外部環境に突出した位置に留まる。この結果、二次圧が一度異常高圧になって当該事実が外部に報知されると、その後の二次圧の変化に関係なく当該異常事態の発生が報知され続ける。この結果、二次側の水回り機器の利用者が異常事態の発生に気付く可能性が高くなり、適正な対策が講じられる可能性が高くなる。
本発明の好ましい態様においては、ピストンの他端部に利用者の注意を喚起するための目印が付されている。
ピストンの他端部に利用者の注意を喚起するための目印を付すことにより、二次側の水回り機器の利用者が異常事態の発生に気付く可能性が高くなり、適正な対策が講じられる可能性が高くなる。
本発明の好ましい態様においては、減圧弁の一次側と二次側とに止水栓が配設されて減圧弁の弁箱に取り付けられている。
一次側の止水栓は、減圧弁やストレーナの交換及びメンテナンス時、減圧弁の二次側に配設される水道メータの交換時等に閉める。二次側の止水栓は、二次側の水回り機器の水圧試験時に試験圧力を所定時間に亙って維持したい時に閉める。減圧弁の一次側と二次側とに止水栓を配設することにより、減圧弁機構の利便性が増す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例に係る減圧弁機構の一次側開口1aの側から見た側面図である。
図2図1のa-a平断面図である。
図3図2のb-b部分縦断面図である。
図4図3のc-c部分断面図である。(a)は通常時を示し、(b)は異常高圧発生時を示す。
図5】本発明の他の実施例に係る減圧弁機構の、図4に相当する断面図である。(a)は通常時を示し、(b)は異常高圧発生時を示し、(c)は通常状態への復帰時を示す。
図6】本発明の他の実施例に係る減圧弁機構の、図4に相当する断面図である。(a)は通常時を示し、(b)は異常高圧発生時を示す。
図7】本発明の他の実施例に係る減圧弁機構の、図5に相当する断面図である。(a)は通常時を示し、(b)は異常高圧発生時を示し、(c)は通常状態への復帰時を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1~4に示すように、減圧弁機構αは、図示しない水道配管に接続される一次側開口1aと図示しない二次側配管を介して図示しない水回り機器に接続される二次側開口1bとを有する弁箱1と、弁箱1に着脱可能に挿入されて弁箱1にUピン結合され、弁箱1の内部通路を一次側開口1aに連通する一次側通路1cと二次側開口1bに連通する二次側通路1dとに区画する減圧弁カセット2とで構成される減圧弁3を備えている。
減圧弁カセット2は、ピストンヘッド2aに印加される高圧の一次側通路1cの水圧(以下一次圧と呼ぶ)とダイヤフラム2bに印加される低圧の二次側通路1dの圧力(以下二次圧と呼ぶ)とバネ2cの付勢力とを受けて長手軸線方向に、すなわち中心軸線の延在方向に往復動するピストン2aと、ピストン2aの二次側通路1d側の端部に取り付けられた弁体2dとを備えている。弁体2dに取り付けられたゴム製ディスク2eが弁箱1に形成された弁座1eに対峙している。
減圧弁機構αは更に、弁箱1に取り付けられて一次側通路1cの一次側開口1a近傍部位を開閉する第1止水栓4と、一次側通路1cの第1止水栓4と減圧弁カセット2の間で延在する部位に配設されたストレーナ5と、弁箱1に取り付けられて二次側通路1dの減圧弁カセット2近傍部に連通する異常圧検知弁6と、弁箱1に取り付けられて二次側通路1dの二次側開口1b近傍部を開閉する第2止水栓7とを備えている。
図4(a)に詳細を示すように、異常圧検知弁6は、小孔1fを介して二次側通路1dと連通する弁箱1外面の凹部1fに摺動可能に嵌入し、一端6aが二次圧を受圧するピストン6aと、ピストン6aの他端部が挿通されると共に凹部1fの開放端に螺入する蓋部材6bと、蓋部材6bとピストン6aとに係合してピストン6aを一端6aの方向へ付勢するバネ6cとを備えている。ピストン6aの凹部1fとの摺接部にはOリング6dが配設され、ピストン6aの蓋部材6b挿通部にはOリング6eが配設されている。ピストン6aの他端6aは外部環境に暴露されている。ピストン6aの他端近傍部に形成された環状段部6aと蓋部材6bのピストン挿通穴に形成された環状段6bとがピストン6aの抜け止め機構を形成している。ピストン6aは一体構造物であり、Oリング6eは周囲の部材とは異なる色で且つ目立つ色に着色されている。
【0009】
減圧弁機構αの作動を説明する。
減圧弁3は、二次側の水回り機器の水栓が開かれると開弁し、一次圧を二次圧まで減圧すると共に、二次圧の高低に応じて開度を減増して二次圧を所定圧に維持する。
二次圧が所定圧に維持されている時は、バネ6cの付勢力を受ける異常検知弁6のピストン6aの一端6aが、図4(a)に示すように、凹部1fの底面に当接しており、ピストン6aの他端6aは蓋部材6bの端面と面一になっている。
減圧弁カセット2の弁体2dに装着されたゴム製ディスク2eの経時劣化や、ゴム製ディスク2eと弁座1eとの隙間の異物噛込等により減圧弁3の減圧機能が低下すると、二次圧が一次圧と同圧の異常高圧になる。この時、一端6aが二次圧を受圧する異常検知弁6のピストン6aが、バネ6cの付勢力に抗して蓋部材6b側へ移動し、図4(b)に示すように、他端6aが蓋部材6bの端面から外部環境側へ突出し、減圧弁二次圧の異常高圧を外部に報知する。下流側水回り機器の利用者は前記異常高圧の発生を認識して、適正な水回り機器保護対策を講ずることができる。
二次圧が低下するとバネ6cの付勢力によりピストン6aが移動して他端6aが外部環境から退避し、図4(a)に示す状態に戻るので、異常高圧が発生した事実を報知できなくなるが、ピストン6aを一体構造物とすることにより、異常検知弁6の構成を簡素化できる。二次圧が再び異常高圧になれば他端6aが蓋部材6bの端面から外部環境側へ突出するので、異常高圧の発生を容易に認識できる。
ピストン6aの他端6aが蓋部材6bの端面から外部環境側へ突出することにより、ピストン6aの蓋部材6b挿通部に装着された周囲の部材とは異なる色で且つ目立つ色に着色されたOリング6eが外部環境に暴露されて利用者の注意を喚起するための目印となるので、二次側の水回り機器の利用者が異常事態の発生に気付く可能性が高くなり、適正な対策が講じられる可能性が高くなる。
異常圧検知弁6を減圧弁3の弁箱1に取り付けることにより、減圧弁3と異常圧検知弁6とから構成される減圧弁機構αが小型化されている。
減圧弁カセット2やストレーナ5の交換及びメンテナンス時や、減圧弁機構αの二次側に配設される図示しない水道メータの交換時等に第1止水栓4を閉じる。減圧弁機構αの二次側の図示しない水回り機器の水圧試験時に、第1止水栓4を閉じ、減圧弁カセット2を取り外し、減圧弁カセット2に代えて図示しない加圧装置を弁箱1に取付け、第2止水栓7を開き、加圧装置を用いて水回り機器に試験水圧を印加する。試験圧力を所定時間に亙って維持したい時には第2止水栓7を閉じる。減圧弁3の一次側と二次側とに止水栓4、7を配設することにより、減圧弁機構αの利便性が増す。
【0010】
異常圧検知弁6を弁箱1に取り付けるのに代えて、異常圧検知弁6を減圧弁3の二次側開口1bから延びる図示しない二次側の配管に取り付けても良い。異常圧検知弁6を備えない既存の減圧弁を温存しつつ、減圧弁と異常圧検知弁6とから成る減圧弁機構を構成できる。
異常圧検知弁6のピストン6aを一体構造物とするのに代えて、図5に示すように、長手方向に2部分に分離可能とし、バネ6cをピストン6aの一端6a側の半部分6a’に係合させ、ピストン6aの他端6a側の半部分6a”はバネ6cの付勢力が印加されないように構成しても良い。
上述のように構成された異常圧検知弁6においては、二次圧が所定圧に維持されている時は、バネ6cの付勢力を受ける異常検知弁6のピストン6aの一端6aが、図5(a)に示すように、凹部1fの底面に当接しており、ピストン6aの他端6aは蓋部材6bの端面と面一になっている。
二次圧が異常高圧になると、二次圧を受圧したピストン6aがバネ6cの付勢力に抗して移動し、図5(b)に示すように、ピストンの他端6aが外部環境中に突出して異常高圧の発生を報知する。
二次圧が低下すると、バネ6cの付勢力によりピストンの一端6a側の半部分6a’は外部環境から退避する方向へ移動するが、他端6a側の半部分6a”はバネ6cの付勢力を受けないので、図5(c)に示すように、外部環境に突出した位置に留まる。この結果、二次圧が一度異常高圧になって当該事実が外部に報知されると、その後の二次圧の変化に関係なく当該異常事態の発生が報知され続ける。この結果、二次側の水回り機器の利用者が異常事態の発生に気付く可能性が高くなり、適正な対策が講じられる可能性が高くなる。
Oリング6eに代えて、或いはOリング6eに加えて、ピストン6aの他端6a近傍部の周側面を周囲の部材とは異なる色で且つ目立つ色に着色しても良い。ピストン6aの他端6a近傍部に利用者の注意を喚起するための何らかの目印が設けられていれば良い。
図4、5の実施例では、単一のOリング6dを配設したが、異常圧検知弁6が複数回作動した場合Oリング6dが磨耗して外部漏水が発生する可能性がある。係る事態の発生を防止するために、図6、7に示すように、複数のOリング6dを配設しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明は、減圧弁に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0012】
α 減圧弁機構
1 弁箱
2 減圧弁カセット
3 減圧弁
4 第1止水栓
5 ストレーナ
6 異常圧検知弁
6a ピストン
6c バネ
6d Oリング
7 第2止水栓
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7