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特開2022-29908情報処理装置、工作機械及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029908
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、工作機械及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/24 20060101AFI20220210BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20220210BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
B23Q17/24 Z
B23Q11/00 N
B23Q17/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020133506
(22)【出願日】2020-08-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】特許業務法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】奥野 絢一郎
【テーマコード(参考)】
3C011
3C029
【Fターム(参考)】
3C011BB11
3C029EE20
3C029FF00
(57)【要約】
【課題】切屑の堆積状況を容易に把握することができるようにする。
【解決手段】情報処理装置は、工作機械の加工中に飛散する物質の飛散範囲を含む撮影画像に、複数のメッシュ区域を設定するメッシュ設定部と、複数のメッシュ区域から、物質を除去するためのエリアに該当する1以上のメッシュ区域の選択を受け付ける受付部と、撮影画像に関して、エリアに該当するメッシュ区域における物質の状況を認識する物質認識部と、エリア内で認識された物質の状況に基づく指標を時系列に表示する指示を行う表示指示部と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の加工中に飛散する物質の飛散範囲を含む撮影画像に、複数のメッシュ区域を設定するメッシュ設定部と、
前記複数のメッシュ区域から、前記物質を除去するためのエリアに該当する1以上のメッシュ区域の選択を受け付ける受付部と、
前記撮影画像に関して、前記エリアに該当する前記メッシュ区域における物質の状況を認識する物質認識部と、
前記エリア内で認識された前記物質の前記状況に基づく指標を時系列に表示する指示を行う表示指示部と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記指標と閾値の比較結果に基づいて、前記エリアに対する清掃を指示する制御信号を生成する制御部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示指示部は、前記時系列の前記指標とともに前記閾値のレベルを表示する指示を行い、
前記レベルを上下させる操作に応じて前記閾値を修正する調整部をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記清掃後における前記指標が適正範囲を外れると判定した場合に、前記閾値を修正する調整部をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記受付部は、複数の前記エリアについて、それぞれ前記1以上のメッシュ区域の選択を受け付け、
前記物質認識部は、前記エリア毎に選択されたメッシュ区域における前記物質の前記状況を認識し、
前記制御部は、前記エリア毎に認識された前記物質の前記状況に基づく指標と前記エリア毎の閾値の比較結果に基づいて、前記エリア毎に前記制御信号を生成することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記工作機械は、前記撮像画像を撮像する撮像部と、前記物質を移動させる液体を放出する液体放出部と、加工室内で加工を行う加工部と、前記液体放出部と前記加工部とを制御する数値制御部と、を備え、
前記情報処理装置は、清掃を指示する制御信号を前記数値制御部に送信する送信部を備える請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
加工室で加工を行う加工部と、を備える工作機械。
【請求項8】
工作機械の加工中に飛散する物質の飛散範囲を含む撮影画像に、複数のメッシュ区域を設定する機能と、
前記複数のメッシュ区域から、前記物質を除去するためのエリアに該当する1以上のメッシュ区域の選択を受け付ける機能と、
前記撮影画像に関して、前記エリアに該当する前記メッシュ区域における物質の状況を認識する機能と、
前記エリア内で認識された前記物質の前記状況に基づく指標を時系列に表示する指示を行う機能と、をコンピュータに発揮させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理装置、工作機械及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械でワークを加工した際、切屑が生じる。切屑が多く堆積すると、加工の継続が困難となる。そのため、工作機械では、加工において生じた切屑を除去する必要がある。特許文献1には、ワークに対する加工時間の積算値又は加工回数が所定値に達した場合に、清掃する技術が記載されている。また、特許文献2、3には、機械内部の切粉の堆積状況を検出し、切粉除去が必要と判断された箇所をロボットが清掃する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-155324号公報
【特許文献2】特開2016-120589号公報
【特許文献3】特開2019-111637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、加工時間や加工回数が少ない場合でも、場所によっては切屑が堆積する場合もある。また、仮に堆積量は少ないとしても、逆に堆積量は少ないことにより除去作業が行われずに、長時間に渡って切屑が堆積し続けた場合に、切屑が固まって除去しにくくなる場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、特許請求の範囲に記載の装置等を提供するものである。
【0006】
また、本開示では、工作機械、情報処理システムも提供できる。
これらの概括的かつ特定の態様は、システム、方法、及びコンピュータプログラム、並びに、それらの組み合わせにより、実現されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、工作機械で生じる屑の堆積状況を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】工作機械の構成を示すブロック図である。
図2】工作機械内部の撮像画像である。
図3】情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図4】情報処理装置で生成されるメッシュ区域の一例である。
図5】メイン画面の一例である。
図6】認識部の構成を示すブロック図である。
図7】情報処理装置で生成される履歴データを示すデータ構成図である。
図8】情報処理装置で表示される指標グラフ画面の一例である。
図9】液体放出の処理を説明するフローチャートである。
図10】液体放出の処理を説明するフローチャートである。
図11】情報処理装置で表示される指標グラフ画面の一例である。
図12】情報処理装置で表示される指標グラフ画面の一例である。
図13】情報処理装置で表示される指標グラフ画面の一例である。
図14】手動調整処理を説明するフローチャートである。
図15】閾値の自動調整の一例を示す図である。
図16】閾値の自動調整の一例を示す図である。
図17】自動調整処理を説明するフローチャートである。
図18】変形例に係る工作機械と情報処理装置との構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して実施形態に係る情報処理装置、工作機械及び情報処理システムについて説明する。以下の説明では、同一の構成について、同一の符号を付して説明を省略する。
【0010】
以下で説明する「工作機械」は、たとえば加工対象である金属等のワークに対し、切削や研削等により所望の形状に加工するものである。切削や研削を行う工作機械では、切屑が発生する。「工作機械」は、金属粉末を溶かしてワークを形成する付加加工機であってもよい。このような付加加工機では、ワークにならなかった金属粉末が屑となる。切屑や粉屑などの屑は、工作機械の工作中に飛散し、除去対象となる物質の例である。ただし、工作機械の工作中に飛散し、除去対象となる物質は、固体に限らず、液体であってもよい。
【0011】
本実施形態では、切屑に液体(たとえば、クーラント液)を噴きかける清掃方法をしめすが、気体(たとえば、空気)を噴きかける方法で清掃してもよい。粉末屑など他の屑が生じる場合も同様である。
【0012】
本実施形態では、「情報処理装置」及び「情報処理システム」が、工作機械における加工で生じた切屑の時系列変化を管理するが、粉末屑やその他の屑の時系列変化を管理してもよい。
【0013】
[実施の形態]
〈工作機械〉
図1を用いて、実施の形態に係る工作機械1の一例を説明する。工作機械1は、対象のワークを加工するものである。ワークの加工により、工作機械1の内部には、ワークの一部が分離して生じた切屑が堆積する。例えば、工作機械1は、主軸を駆動するサーボモータを含み、各種の工具を使い分けて加工室内でワークを加工する加工部3、液体放出部11と加工部3とを制御する数値制御装置4と、液体を貯留しておく液体貯留部9と、加工により生じた切屑を移動させる液体を放出する液体放出部11と、工作機械1内部を撮像する撮像部12と、機械座標取得部13と、加工により生じた切屑堆積の時系列変化を管理する情報処理装置10と、を備える。
【0014】
数値制御装置4以外のノズル制御用の情報処理装置(たとえば、コンピュータ)が、工作機械内に取り付けられたノズル駆動用モータ制御ボードに指示を出すことによって、液体放出部11の可動式クーラントノズルを制御するようにしてもよい。ノズル制御用の情報処理装置は、数値制御装置4と連携して、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)の信号をクーラントの制御に利用してもよい。
【0015】
数値制御装置4は、サーボモータの制御等を行うNC(Numerical Control)と、シーケンス制御等を行うPLC(Programmable Logic Controller)を装備して数値制御機能を有する装置である。
【0016】
液体放出部11は、数値制御装置4の制御に従い、工作機械1の内部に堆積した切屑(物質の例)を移動させるため、工作機械1で貯留する液体(たとえば、クーラント液)を放出する。工作機械1は、このように移動された切屑を集めて加工領域の外部に排出することができる。液体放出部11は、例えば、液体を放出することができるノズルと、ノズルを駆動するアクチュエータと、液体を貯留しておく液体貯留部9から液体をくみ上げるポンプと、を備え、ノズルから切屑へと液体を放出する。この液体には、加工時に熱を生じるワーク及び加工手段等を冷却及び潤滑するためのクーラントを用いてもよいし、他の液体を使用してもよい。以下では、切屑を移動させるための液体として、クーラントを用いる例を説明する。液体放出部11は、工作機械1の内部の特定箇所に目掛けて液体を噴きかけられるように、工作機械1の内部の目標位置を示すターゲットポイントに合わせてノズルの位置及び向き、液体の放出圧力を調整可能に構成される。また、工作機械1は、複数の液体放出部11を備えることができる。
【0017】
撮像部12は、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子を備えたカメラである。この撮像部12は、所定のタイミングで、工作機械1の内部を撮像することができる。具体的には、撮像部12は、工作機械の加工中に飛散する物質の飛散範囲を含む工作機械1の内部の撮影画像を撮影する。また、撮像部12は、撮影画像の画像データ(以下、「第1画像データ」という)を、情報処理装置10に出力する。例えば、撮像部12は、ワークを加工中の定期的なタイミングで撮像する。また、撮像部12は、加工されたワークが工作機械1から取り除かれ、新たなワークが載置される前のタイミングで撮像してもよい。工作機械1は、広範囲の様子を把握可能とするため、複数の撮像部12を備えた構成でもよい。
【0018】
機械座標取得部13は、工作機械1の構造のうち、図2を用いて後述するパレット14、テーブル16及び主軸22等の移動する部品について、工作機械1内での当該部品の位置を表す機械座標を取得する。機械座標取得部13は、取得した機械座標を情報処理装置10に送信する。この機械座標は、例えば、加工のために数値制御装置4から工作機械1へ送信された位置情報を用いてもよいし、何らかのセンサを用いて取得してもよい。
【0019】
情報処理装置10については、図3を用いて後述する。また、図1では図示を省略するが、工作機械1は、他に、図2を用いて説明する種々の部品を備える。図2は、工作機械1の内部を撮像した撮像画像であり、パレット14、カバー15、テーブル16、旋回扉17、側面18、斜面19、プロテクタ20、シュータ21及び主軸22が示されている。本実施形態において、図2に示す主軸22の長軸23をz軸であり工作機械1内部の前後方向として、主軸22の根元側を手前側、先端側を奥側とする。また、主軸22に直交する水平方向がx軸であり左右方向、長軸23に直交する鉛直方向がy軸であり上下方向とする。
【0020】
パレット14は、ワークを載せて固定する台である。工作機械1は、複数のパレット14を保持することができる構成で、1つのパレットを加工領域に設置し、ワークが加工される。ワークの加工が終了すると、ワークを置いたパレットが加工領域からパレット収容部に移され、別のパレットが加工領域に設置され、加工が行われる。ワークを載せたパレット14ごと取り換えることで、ワーク交換の作業効率を高めることができる。
【0021】
カバー15は、パレット14の左右の側部に位置している部品である。テーブル16は、前後方向へ移動することができ、それによりパレット14上に固定されたワークを移動させることができる。また、テーブル16は少なくともテーブル16の一部を水平方向へ回転することができ、それによりパレット14上に固定されたワークを回転させることができる。
【0022】
旋回扉17は、軸25を中心に回転することができる扉である。旋回扉17が回転する際、カバー15がパレット14をテーブル16から分離させて、パレット14およびカバー15と一緒に回転する。それにより、ワークの加工が終了したパレット14をパレット格納部へと搬出することができ、また次に加工するワークが固定されたパレット14をパレット格納部から工作機械1内へと搬入することができる。旋回扉17の工作機械1内側と格納部側の両方にカバー15を設け、旋回扉17が180°回転することで、パレット14の搬入と搬出を同時に行ってもよい。
【0023】
側面18は、工作機械1の開閉可能な壁である。側面18は、工作機械1の内部と外部とを区画しており、側面18を開放すると作業者が工作機械1の内部に入ることができる。また、側面18に対向する位置にある図示しない側面18は、工作機械1の内部と、工具格納部とを区画している。工具区画部は、複数の工具を格納しており、加工の際、必要に応じて側面18が開き、主軸22に取り付けられている工具を工具格納部に格納されている別の工具と交換することができる。
【0024】
シュータ21は、洗浄によって切屑が流れていく場所である。側面18、プロテクタ20は、旋回扉17及び側面18の下側に設けられており、シュータ21へと切屑が流れやすいように、それぞれシュータ21へ向けて下向きに傾斜している。
【0025】
主軸22は、先端に工具を取り付け、その長軸23を中心に回転させることにより、ワークを加工することができる。つまり、工具を取り付けた主軸22および主軸22を駆動するサーボモータは、加工部3に相当する。本実施形態においては、図2に示すように、主軸22は、円柱形の外形を有する。
【0026】
〈情報処理装置〉
図3を用いて、実施形態に係る情報処理装置10の一例を説明する。情報処理装置10は、演算部100と、記憶部110と、入力部120と、表示部130と、通信部140とを備える。この情報処理装置10は、例えば、コンピュータやタブレット端末等の情報処理装置である。
【0027】
演算部100は、情報処理装置10全体の制御を司るコントローラである。例えば、演算部100は、記憶部110に記憶される制御プログラムPを読み出して実行することにより、取得部101、メッシュ設定部102、抽出部103、物質認識部104、表示指示部105、受付部106、制御部107および調整部108としての処理を実行する。また、演算部100は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。すなわち、演算部100は、CPU、MPU、GPU、FPGA、DSP、ASIC等、種々のプロセッサで実現することができる。
【0028】
記憶部110は種々の情報を記録する記録媒体である。記憶部110は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Device)、ハードディスク、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶部110には、演算部100が実行する制御プログラムPの他、工作機械1で使用する種々のデータ等が格納される。例えば、記憶部110は、第1画像データ111、メッシュ定義データ112、履歴データ113、物質除去エリアデータ114、学習モデル115および閾値116、制御プログラムPおよび3DモデルMを記憶する。3DモデルMは、工作機械内部の構造を定義する3次元データである。
【0029】
入力部120は、データや操作信号の入力に利用するキーボード、マウス及びタッチパネル等の入力手段である。表示部130は、データの出力に利用するディスプレイ等の出力手段である。
【0030】
通信部140は、外部の装置(図示せず)とのデータ通信を可能とするためのインタフェース回路(モジュール)である。例えば、通信部140は、撮像部12とデータ通信を実行することができる。通信部140は、清掃を指示する制御信号を数値制御装置4に送信する送信部を含む。通信部140の送信部は、清掃を指示する制御信号を工作機械内に設置されたノズル駆動用モータ制御ボードに送信してもよい。
【0031】
取得部101は、撮像部12から第1画像データ111を取得する。また、取得部101は、取得した第1画像データ111に、撮影画像を識別する画像ID及び撮像時刻を関連づけて記憶部110に記憶させる。従って、記憶部110は、異なるタイミングで撮像された同一の対象領域の第1画像データ111を複数記憶することができる。
【0032】
メッシュ設定部102は、撮影画像の少なくとも一部に複数のメッシュ区域を設定する。例えば、図2に示すように工作機械1内が撮像された場合、工作機械の加工中に飛散する物質の飛散範囲を含む撮影画像に図4に示すような複数のメッシュ区域を設定する。「工作機械の加工中に飛散する物質の飛散範囲」とは、切削や研磨などの加工の勢いで飛び散った切屑や粉屑などの屑や液体などの物質が落下する可能性がある場所であることを意味する。この例では、切削の勢いで飛び散った切屑がパレット14の上に落下する可能性があるので、少なくともパレット14は、「工作機械の加工中に飛散する物質の飛散範囲」に該当する。
【0033】
図4の例では、撮影画像を等間隔で区切る複数の横線が設定され、さらに撮影画像を等間隔で区切る複数の縦線が設定される。そして、隣り合う2本の縦線と隣り合う2本の横線で囲まれる矩形をメッシュ区域とする。メッシュ区域は、行番号と列番号で特定される。例えば、左上端のメッシュ区域は、行番号1と列番号1で特定される。また、図4に示したように行数が15であり列数が20であれば、右下端のメッシュ区域は、行番号15と列番号20で特定される。以下では、行番号xと列番号yで特定されるメッシュ区域の区域IDをAx-yと表す。たとえば、左上端のメッシュ区域の区域IDをA1-1と表し、右下端のメッシュ区域の区域IDをA15-20と表す。右方向をX軸とし、上方向をY軸とする。
【0034】
また、各メッシュ区域について、その範囲を特定する定義情報が生成される。各メッシュ区域は矩形であって、幅と高さが一定であるので、定義情報は左上端などの1つの基準点の位置で足りる。各メッシュ区域の定義情報は、当該メッシュ区域の区域IDと関連付けられメッシュ定義データ112として記憶部110に記憶される。
【0035】
図4は、撮影画像の全体についてメッシュ区域を設定した例であるが、これに限定されない。具体的には、メッシュ設定部102は、撮影画像の一部についてのみメッシュ区域を設定してもよい。また、設定するメッシュ区域の大きさ及び形状は、必要に応じて変更可能に構成されてもよい。例えば、メッシュ区域の矩形が一定でない場合には、定義情報として左上端の第1基準点と右下端の第2基準点の位置を用いてもよい。
【0036】
抽出部103は、メッシュ区域の定義情報に基づいて、撮影画像からメッシュ区域の画像(以下、「メッシュ画像」という)を抽出する。本実施形態では、1つのメッシュ区域の画像をメッシュ画像と言って説明するが、これに限定されるものではない。撮影画像とメッシュ区域の情報とを関連付けて記憶させ、それらの情報を用いて、1つのメッシュ区域のデータを使用する形態でもよい。また、撮影画像自体を分割してメッシュ区域ごとに第2画像データである分割画像を生成して用いてもよい。
【0037】
表示部130は、図5に示すメイン画面などの各種画面を表示する。メイン画面には、撮影画像に重ねて、各メッシュ区域を示す縦線と横線が表示される。ユーザは、撮影画像内の任意のメッシュ区域を切屑除去の対象領域として選択する。この例における切屑除去は、物質除去の例である。以下では、ユーザによって選択された切屑(物質の例)を除去するためのエリアを「物質除去エリア」という。この例では、パレット14が物質除去エリアであるものとする。
【0038】
ユーザは、物質除去エリア(例えば、パレット14)をカバーするメッシュ区域を選択する。つまり、ユーザは、少なくとも物質除去エリアの一部が含まれる各メッシュ区域にタッチする。選択された各メッシュ区域には網掛けパターンが重ねて表示される。選択されるメッシュ区域の数は、1つでもよいし、複数でもよい。複数のメッシュ区域が選択された場合には、それらのメッシュ区域が一体として物質除去エリアをカバーしていることを意味する。選択されたメッシュ区域の区域IDは、物質除去エリアデータ114に追加される。また、メッシュ区域の選択を取り消すこともできる。ユーザが、網掛けパターンが表示されているメッシュ区域にタッチすると、そのメッシュ区域の選択が取り消される。その場合に、タッチされたメッシュ区域の網掛けパターンは消える。そして、タッチされたメッシュ区域の区域IDは、物質除去エリアデータ114から消去される。
【0039】
ユーザがグラフボタン200にタッチすると、指標グラフ画面が表示される。指標グラフ画面については、図8に関連して後述する。
【0040】
物質認識部104は、物質除去エリアに該当するメッシュ区域における切屑(物質の例)の堆積状況を認識する。図6は、物質認識部104の構成の概略図である。図6に示すように、物質認識部104は、モデル学習部151、確率算出部152、判定部153および指標算出部154を備える。また、記憶部110は、学習モデル115を記憶する。念のために言えば、物質認識部104は、存在する物質の種類を認識するものではなく、ある物質が存在する状況を認識するものである。この例で、物質認識部104は、切屑の堆積状況を認識するが、粉屑など他の屑の状況を認識してもよい。また、物質認識部104は、固体に限らず流体の物質の付着状況を認識してもよい。
【0041】
この例では、メッシュ区域における切屑の堆積状況を多段階で表す。以下では、メッシュ区域における切屑の堆積状況を「メッシュ区域の物質の状況」という。「メッシュ区域の物質の状況」は、たとえばクラスで表現される。メッシュ区域の物質の状況0(クラス0)は、「切屑がない」ことを意味する。メッシュ区域の物質の状況1(クラス1)は、「切屑が少ない」ことを意味する。メッシュ区域の物質の状況2(クラス2)は、「切屑が多い」ことを意味する。
【0042】
モデル学習部151は、学習モデルを作成する。この学習モデルは、例えばCNN(畳み込みニューラルネットワーク)を用いており、一つのメッシュ画像を入力データとし、各メッシュ区域の物質の状況に該当する確率を出力データとする。モデル学習部151は、対となる入力データと出力データを教師データとしたCNNの学習処理によって学習モデルを得る。学習モデル115は、記憶部110に記憶される。CNNでは、畳み込み層およびプーリング層においてメッシュ画像の特徴を抽出し、当該特徴をニューラルネットワークの入力データとして用いる。なお、CNN以外の学習エンジンを用いて学習モデルを作成してもよい。その場合には、メッシュ画像を所定の画像処理フィルタに適用して得られる特徴量を、学習エンジンの入力データとして用いてもよい。また、物質認識部104は、たとえば決定木を用いてメッシュ区域の物質の状況を判定してもよい。
【0043】
ここでは、説明の便宜のため、図6において物質認識部104で学習を行う例を示しているが、物質認識部104で学習を行わない方式でもよい。
【0044】
教師データとして入力データ(メッシュ画像)と出力データ(クラスで表現される「物質の状況」)を学習エンジン(狭義の学習モデル)に与えて学習し、学習パラメータを得るという学習行為は、学習用コンピュータにおいて実施される。この学習行為では、学習パラメータのみが変化し、学習エンジン(狭義の学習モデル)は変化しない。学習エンジン(狭義の学習モデル)とは、開発者が設計したCNNあるいはDNN(ディープニューラルネットワーク)などを指す。ここで生成された学習モデルを用いて物質認識部104で屑の状況や屑の状態を認識する。
【0045】
用意した学習エンジン(狭義の学習モデル)と学習パラメータは、共に製品の記憶部110に書き込まれて出荷される。製品の記憶部110に記憶している学習エンジン(狭義の学習モデル)と学習パラメータを合わせて、学習済みの推論モデル(広義の学習モデル)ということもある。出荷後の学習済みの推論モデル(広義の学習モデル)について、学習エンジン(狭義の学習モデル)と学習パラメータのいずれも、運用段階においてバージョンアップなどの例外を除き変更されることはない。図6に示した学習モデル115は、学習済みの推論モデル(広義の学習モデル)を意味する。
【0046】
以上のように、出荷時の製品において図6に示したモデル学習部151を組み込んでいなくてもよい。つまり、工作機械で加工をしている際の画像を用いて新たに学習するものではない。一方、工作機械で加工をしながら運用段階の製品において学習を行うことがあれば、図6に示したモデル学習部151を出荷時の製品に搭載してもよい。
【0047】
確率算出部152は、出荷時のモデル学習部151に記憶されている推論モデルを用いて、各メッシュ区域の物質の状況(クラス0~2)の尤度を算出する。この例では、物質の状況(クラス0~2)の尤度を「確率」と表現している。この例における「確率」は、「尤度」と読み替えられてもよい。推論モデルは、メッシュ画像を入力データとして物質の状況(クラス0~2)の尤度を出力データとする複雑な関数であって、関数の係数には学習によって得られた学習パラメータが使用される。
【0048】
確率算出部152は、学習モデル115を用いて、任意のメッシュ画像に関して各メッシュ区域の物質の状況の確率を求める。つまり、学習モデル115の入力データとしてメッシュ画像を使用すれば、出力データとして、そのメッシュ画像がメッシュ区域の物質の状況0に該当する確率、メッシュ区域の物質の状況1に該当する確率およびメッシュ区域の物質の状況2に該当する確率が得られる。なお、メッシュ区域の物質の状況の数は、3つに限らない。2つでもよいし、4つ以上であってもよい。メッシュ区域の物質の状況の数を2つとする場合、切屑の有無だけを区別してもよい。
【0049】
判定部153は、確率算出部152によって算出されたメッシュ区域の物質の各状況の確率に基づいて、妥当な1つのメッシュ区域の物質の状況(クラス0~2のうちの1つのクラス)を判定する。例えば、最も確率が高いメッシュ区域の物質の状況が選択される。
【0050】
物質認識部104が、切屑の形状、切屑の大きさ、切屑の種類あるいは切屑の堆積量などを認識して、それをメッシュ区域の物質の状況として用いてもよい。なお、切屑の堆積量は、堆積している切屑の重さでも、体積でも、数でもよい。
【0051】
指標算出部154は、さらに物質除去エリア全体としての切屑(物質の例)の堆積状況を示す指標を算出する。メッシュ区域の物質の各状況は所定の点数が割り当てられる。例えば、「メッシュ区域の物質の状況2」は8点、「メッシュ区域の物質の状況1」は3点、「メッシュ区域の物質の状況0」は0点とする。これにより、物質除去エリアをカバーする各メッシュ区域に点数が割り当てられる。そして、指標算出部154は、各メッシュ区域の点数を合計する。算出された合計点を正規化することによって物質除去エリア全体の指標が得られる。例えば、指標算出部154は、論理的な最高点が100になる計算方法で合計点を一律に修正する。図5の例では、メッシュ区域の数が30であるので、最高点はすべてのメッシュ区域が「メッシュ区域の物質の状況2」であった場合の30×8=240点である。従って、合計点に100/240を乗じることによって、上限を100とし下限を0とする物質除去エリア全体の指標が得られる。なお、物質除去エリア全体の指標は、各メッシュ区域の点数の平均値でもよい。その場合には、物質除去エリア全体の指標の上限は8であり、同じく下限は0である。また、この平均値を正規化したものを、物質除去エリア全体の指標としてもよい。
【0052】
物質認識部104によって得られる情報は、履歴データ113として蓄積される。図7に、履歴データ113の一例を示す。撮影回毎にレコードが設けられる。レコードには、撮影画像の画像ID、撮影時刻、物質除去エリアをカバーする各メッシュ区域の物質の状況および物質除去エリア全体の指標が設定される。
【0053】
図7の例で、たとえば「A5-16」のメッシュ区域の物質の状況は「0」、「0」、「1」、「1」、「2」、「0」、「0」と変化したことが分かる。また、「T5」のタイミングと「T6」のタイミングの間に、物質除去エリアに対して液体が噴きかけられ、各メッシュ区域の物質の状況の値および物質除去エリア全体の指標が小さくなっている。
【0054】
表示指示部105は、メイン画面(図5)および指標グラフ画面などの各種画面を表示部130に表示させる処理を行う。具体的には、表示指示部105は、各種画面の画像を生成して、その画像を表示するように表示部130に対して指示を行う。
【0055】
指標グラフ画面は、図8に示すように撮影回毎の物質除去エリア全体の指標を時系列で表す。また、指標グラフ画面は、閾値116のレベルを示す閾値ライン202も表示する。閾値116を超えた回の物質除去エリア全体の指標には、丸マーク201が表示される。工作機械1は、物質除去エリア全体の指標が閾値116を超えた場合に洗浄を行う。つまり、丸マーク201が付された回は、洗浄が行われたことを示している。洗浄は、物質除去の例である。
【0056】
この例で、閾値ライン202で示すように、閾値116が40に設定されている。例えば、1回目から4回目までの物質除去エリア全体の指標は、閾値116を超えていないので洗浄(物質除去の例)が行われない。従って、その間に切屑が増加して、物質除去エリア全体の指標は上昇する。5回目で物質除去エリア全体の指標が閾値116を超えると、洗浄が行われる。洗浄によって切屑が減って、6回目の物質除去エリア全体の指標は低下する。このように、洗浄が行われない間の物質除去エリア全体の指標の上昇と、洗浄による物質除去エリア全体の指標の下降が繰り返される。このように、ユーザは、指標グラフ画面を見て、物質除去エリアにおける切屑の状況変化を簡単に把握できる。
【0057】
なお、閾値116は、ユーザの操作によって調整できる。この例では、指標グラフ画面に表示されている閾値ライン202をタッチしてスライドさせることによって、閾値を高めたり、低めたりする。あるいは、閾値116の数値を入力するようにしてもよい。また、情報処理装置10は、閾値116を自動的に調整する機能も有する。閾値116の自動調節については、後述する。
【0058】
受付部106は、入力部120から入力信号を取得してユーザ操作を受け付ける。具体的には、受付部106は、複数のメッシュ区域から、物質を除去するためのエリア(物質除去エリア)に該当する1以上のメッシュ区域を選択するタッチ操作を受け付ける。また、受付部106は、グラフボタン200へのタッチ操作、閾値ライン202のスライド操作や閾値の数値入力操作などを受け付ける。
【0059】
制御部107は、液体放出部11に対する制御信号を生成する。制御信号の内容については、後述する。制御部107は、液体放出部11へ発した制御信号を履歴データ113に加えて記憶部110に記憶させてもよい。
【0060】
調整部108は、ユーザ操作による閾値116の調整及び自動的な閾値116の調整を行う。
【0061】
なお、情報処理装置10は、1台のコンピュータや1台のタブレットにより実現される。工作機械1は、この情報処理装置を内部に組み込んでいてもよい。また、これらの処理を、情報処理システムとしてネットワークを介して接続される複数台のコンピュータの組み合わせにより実現されてもよい。また、例えば、記憶部110に記憶されるデータの全部又は一部が、ネットワーク(図示せず)を介して接続される外部の記録媒体に記憶され、情報処理装置10や情報処理システムは、外部の記録媒体に記憶されるデータを使用するように構成されていてもよい。
【0062】
〈液体放出の処理〉
図9図10に示すフローチャートを用いて、実施の形態に係る情報処理装置10における液体放出の処理について説明する。S10~S14の処理までは、加工前の準備に相当する。
【0063】
まず、撮像部12が、準備のための撮影を行う。取得部101は、撮像部12から第1
画像データ111を取得する(S10)。
【0064】
メッシュ設定部102は、撮影画像に複数のメッシュ区域を設定し、メッシュ定義データ112を生成する(S12)。
【0065】
表示指示部105は、表示部130にメイン画面を表示させ、受付部106は、物質除去エリアをカバーする1つまたは複数のメッシュ区域の選択を受け付ける。受付部106は、ユーザに選択された各メッシュ区域の区域IDを物質除去エリアデータ114として記憶する(S14)。このとき、受付部106は、物質除去エリアに対してデフォルトの閾値116あるいはユーザによって指定された閾値116を設定する。
【0066】
続いて、工作機械1に搬入されたワークに対する加工が開始される(S16)。加工が開始されると切屑が発生する。図10に示す処理へ移る。
【0067】
複数の物質除去エリアを設けて、それぞれ別の閾値を設定することができる。たとえば、メッシュ区域数が「30」であるパレット14のエリアの閾値が「20」であり、メッシュ区域数が「50」であるカバーエリアの閾値が「40」であるように設定される。このように、複数の物質除去エリアが設けられている場合には、図10に示すS22~S30の処理は、物質除去エリア毎に繰り返される。
【0068】
加工が行われている間、撮像部12は、所定のタイミングで撮影を行う。撮像部12は、たとえば周期的に撮影する。撮影の都度、取得部101は、撮像部12から第1画像データ111を取得し、記憶部110に記憶させる(S18)。
【0069】
物質除去エリアデータ114に含まれる各区域IDについて、抽出部103は、第1画像データ111の撮影画像からメッシュ画像を抽出し、物質認識部104は、当該メッシュ区域の物質の状況を認識する(S20)。
【0070】
物質認識部104は、物質除去エリアデータ114に含まれる各区域IDのメッシュ区域の物質の状況に基づいて、物質除去エリア全体の指標を算出する(S22)。
【0071】
物質認識部104は、履歴データ113に、最新回に関する撮影ID、物質除去エリアをカバーする各メッシュ区域の物質の状況および物質除去エリア全体の指標を追加する(S24)。
【0072】
指標グラフ画面を表示している場合には、表示指示部105は、最新回の物質除去エリア全体の指標と前回の物質除去エリア全体の指標とつなぐ線を表示する指示を表示部130に行う(S26)。最新回の物質除去エリア全体の指標が閾値116を超えている場合には、丸マーク201も表示される。
【0073】
制御部107は、最新回の物質除去エリア全体の指標が閾値116を超えていると判定すると(S28でYES)、各メッシュ区域に相当する箇所、つまり物質除去エリアの切屑を清掃させるための制御信号を生成して、液体放出部11に出力する(S30)。これにより、液体放出部11は、切屑を移動させるための液体を放出する。
【0074】
なお、撮影画像における二次元座標と、工作機械1の加工空間における三次元座標を対応づける変換データが予め用意され、記憶部110に記憶されているものとする。制御部107は、各メッシュ区域の二次元座標を、工作機械1の加工空間の三次元座標に変換し、その三次元座標を液体放出の目標位置(ターゲットポイント)として制御信号に加える。制御部107は、変換データの生成手順として、たとえば3DモデルMを用いて、撮影画像における二次元座標と工作機械の加工空間における三次元座標を対応付けてもよい。具体的手順として、制御部107は、たとえば工作機械の加工空間にある各部材の3DモデルMをカメラ方向から見た平面図を生成する。そして、制御部107は、撮影画像に平面図を重ね、撮影画像における二次元座標を平面図における二次元座標に変換する。制御部107は、さらに平面図における二次元座標を3DモデルMの三次元座標に変換することによって、撮影画像における二次元座標から工作機械の加工空間における三次元座標を導くことができる。
【0075】
その後、工作機械1の加工が完了すると(S32でNO)、処理は終了する。一方、工作機械1の加工が継続している場合には(S32でYES)、情報処理装置10は、ステップS18の処理に戻り、ステップS18~S30の処理を繰り返す。
【0076】
このように、実施形態に係る工作機械1及び情報処理装置10によれば、物質除去エリアの切屑の堆積状況について時系列で把握することができる。また、物質除去エリアの切屑の堆積状況に応じて、自動的に切屑を除去できる。
【0077】
次に、閾値116による作用について説明する。以下では、わかりやすく説明するために、物質除去エリア全体の指標が上昇するペースが一定であるものと仮定する。
【0078】
図11は、閾値116が「30」である場合の指標グラフ画面の例を示す図である。閾値116が「30」に設定されているが、切屑があまり溜まらないうちに早すぎるタイミングで液体放出がされている状況である。液体放出の間隔をもっと伸ばせる可能性があり、より効率的な閾値を設定できる余地がある。なお、図11の場合、液体放出を行うときの除去対象となる切屑がそもそも少ないので、状況改善の程度は低く、液体放出による物質除去エリア全体の指標の減少幅は狭めになる。図示するように、液体放出を行う頻度は、3回のうち1回程度である。
【0079】
図12は、閾値116が「40」である場合の指標グラフ画面の例を示す図である。閾値116が「40」に設定されているが、ある程度切屑が溜まってから適当なタイミングで液体放出がされている状況である。効率的な閾値が設定されており、液体放出の間隔を調整する必要がないと考えられる。なお、図12の場合、液体放出を行うときに、程よく除去し切れるぐらいの切屑が溜まっているので、液体放出によって多くの切屑を除去できる。したがって、物質除去エリア全体の指標の減少幅は広めになる。図示するように、液体放出を行う頻度は、3.5回のうち1回程度である。
【0080】
図13は、閾値116が「50」である場合の指標グラフ画面の例を示す図である。閾値116が「50」に設定されているが、切屑が溜まり過ぎてから遅過ぎるタイミングで液体放出がされている状況である。液体放出の間隔をもっと短くできる能性があり、より効率的な閾値を設定できる余地がある。なお、図13の場合、液体放出を行うときに切屑がた溜まり過ぎていて除去し切れないので、液体放出による物質除去エリア全体の指標の減少幅は狭めになる。図示するように、液体放出を行う頻度は、3回のうち1回程度である。
【0081】
このように、閾値116が小さすぎても、大きすぎても洗浄(物質除去の例)の効率が低い。
【0082】
切屑を減らすことだけに着目するならば、単に閾値116を小さくして頻繁に洗浄するようにすればよい。ただし、頻繁に洗浄を行うと、洗浄時間が長くなり、さらに、洗浄中は加工を中断するため、加工のリードタイムが長くなる。
【0083】
したがって、洗浄の効率を高めるためには、適当な閾値116に調整する必要がある。閾値116を調整する方法として、手動調整処理と自動調整処理が考えられる。まず、手動調整処理について説明する。
【0084】
図14は、手動調整処理を説明するフローチャートである。
受付部106は、指標グラフ画面に表示されている閾値ライン202をタッチして、スライドさせる操作を受け付ける(S50)。調整部108は、スライドされた閾値ライン202によって閾値116を特定する。
【0085】
調整部108は、記憶部110に記憶されている閾値116を変更して、表示指示部105は、変更された閾値116に合わせて閾値ライン202を表示し直す処理を行う(S52)。
【0086】
十分に切屑がたまらず、閾値116が小さすぎると、作業者が判断したときには、閾値116を増加させる。反対に、切屑がたまり過ぎて、閾値116が大きすぎると、作業者が判断したときには、閾値116を減少させる。このようにして、適当な閾値116になるように手動で調整がなされる。
【0087】
続いて、閾値の自動調整処理について説明する。自動調整処理では、必要以上に流体放出せず、且つ流体放出を怠らないように、自動的に閾値116を調整する。具体的には、流体放出後に残る切屑が少な過ぎたり、逆に多過ぎたりしないようにする。除去しやすい形や大きさが生じる加工を行っている場合には、切屑が多くても除去しやすい。したがって、切屑がある程度溜まるまで待って除去するように、閾値116を高める方がよい。反対に、除去しにくい形や大きさの切屑が生じる加工を行っている場合には、切屑が少ないうちに除去するように、閾値116を低める方がよい。自動調整処理では、このような切屑の態様にも適応できる。
【0088】
以下で説明する自動調整処理では、流体放出後の堆積状況を示す物質除去エリア全体の指標が適正範囲に近づくように閾値116を調整する。図15に関連して後述するように、流体放出後の物質除去エリア全体の指標が適正範囲203を上回っている場合には、閾値116を下げる。一方、図16に関連して後述するように、流体放出後の物質除去エリア全体の指標が適正範囲203を下回っている場合には、閾値116を上げる。そして、流体放出後の物質除去エリア全体の指標が適正範囲203に収まっていれば、その閾値116を維持する。このようにして、切屑の発生と除去の状況に応じて適当なタイミングで流体放出が行われるようにする。
【0089】
図15は、閾値116が「50」の状態でスタートした自動調整の例を示す図である。 閾値116の「50」は高すぎるが、図示するように自動調整によって「40」に低減される。この例で、流体放出後の物質除去エリア全体の指標に関する適正範囲203が、「22」~「27」であるものとする。つまり、流体放出された後に残った切屑の状況が、物質除去エリア全体の指標の「22」~「27」に相当すれば、その流体放出タイミングが適当であったことを意味する。これに反して、物質除去エリア全体の指標が「27」を上回っていれば、流体放出タイミングが遅すぎて、除去し切れない切屑が多く残ってしまっていることを意味する。このようになるのは、閾値116が高すぎて流体放出タイミングが遅れたことが原因である。
【0090】
図15に示した自動調整の制御について詳述する。
1回目から4回目まで物質除去エリア全体の指標が上昇するが、閾値116の「50」を超えないので液体放出は行われない。5回目で物質除去エリア全体の指標が閾値116の「50」を超えて流体放出が行われ、流体放出後の6回目で物質除去エリア全体の指標が低減する。ただし、流体放出後の物質除去エリア全体の指標(6回目)は、適正範囲203の上限「27」よりも大きい。これは、液体放出を行っても十分に切屑を除去できていないことを意味する。この場合には、閾値116が「50」では大きすぎるので、「45」に下げる。この後7回目と8回目で物質除去エリア全体の指標が上昇して、8回目の物質除去エリア全体の指標が閾値116の「45」を超えて、流体放出が行われる。流体放出後の物質除去エリア全体の指標(9回目)も、やはり適正範囲203の上限「27」よりも大きい。まだ十分に流体放出できていないので、閾値116をさらに下げて「40」とする。10回目で物質除去エリア全体の指標が上昇して、閾値116の「40」を超えて、流体放出が行われる。流体放出後の物質除去エリア全体の指標(11回目)は、適正範囲203に収まるので、閾値116の「40」が維持される。そのあとは、閾値116の「40」を物質除去エリア全体の指標が超えた13回目と17回目で流体放出が行われ、いずれの流体放出後の物質除去エリア全体の指標(14回目と18回目)も適正範囲203に収まるので、閾値116の「40」が維持される。このようにして、高すぎた閾値116の「50」が、適正な「40」に修正される。閾値116が「40」になると、切屑を除去しきれない状況が改善され、流体放出の頻度が低く安定する。
【0091】
図16は、閾値116が「30」の状態でスタートした自動調整の例を示す図である。 閾値116の「30」は低すぎるが、図示するように自動調整によって「40」に高められる。図15と同様に、流体放出後の物質除去エリア全体の指標に関する適正範囲203が、「22」~「27」であるものとする。物質除去エリア全体の指標が「22」を下回っていれば、切屑が溜まる前に流体放出していることを意味する。このようになるのは、閾値116が低すぎて流体放出タイミングが早いことが原因である。
【0092】
図16に示した自動調整の制御について詳述する。
1回目から3回目まで物質除去エリア全体の指標が上昇し、3回目で物質除去エリア全体の指標が閾値116の「30」を超える。これにより流体放出が行われるが、流体放出後の4回目の物質除去エリア全体の指標は、適正範囲203の下限「22」より小さい。これは、過剰にクリーニングしていることを意味する。この場合には、閾値116が「30」では小さすぎるので、「35」に上げる。この後5回目と6回目で物質除去エリア全体の指標が上昇して、6回目の物質除去エリア全体の指標が閾値116の「35」を超えて、流体放出が行われる。流体放出後の物質除去エリア全体の指標(7回目)も、やはり適正範囲203の下限「22」より小さい。まだ過剰にクリーニングしているので、閾値116をさらに上げて「40」とする。この後11回目に一旦閾値116が「35」に下がるものの、13回目に再び「40」に戻る。これ以降、流体放出後の物質除去エリア全体の指標(17回目と20回目)は、いずれも適正範囲203に収まる。したがって、閾値116の「40」は、維持される。このようにして、低すぎた閾値116の「30」が、適正な「40」に修正される。閾値116が「40」になると、過剰に行われていた流体放出の回数が減るようになる。
【0093】
図17は、自動調整処理を説明するフローチャートである。
自動調整処理は、図10に示した液体放出の処理と並行して実行される。図10のS22に示した物質除去エリア全体の指標の算出が行われると(S60)、調整部108は、流体放出直後の回に該当するか否かを判定する(S62)。つまり、調整部108は、前回に流体放出が行われていたか否かを判定する。流体放出直後の回に該当しない場合には(S62のNO)、閾値116を維持したまま次の物質除去エリア全体の指標の算出を待つ(S60)。
【0094】
一方、流体放出直後の回に該当する場合には(S62のYES)、調整部108は、物質除去エリア全体の指標が適正範囲203の上限を超えているか否かを判定する(S64)。適正範囲203の上限は、予め設定されているものとする。
【0095】
物質除去エリア全体の指標が適正範囲203の上限を超えている場合には(S64のYES)、調整部108は、閾値116を下げる(S66)。調整部108は、閾値116から一定数(たとえば、5)を減ずる。あるいは、調整部108は、閾値116に1より小さい値(たとえば、0.9)を乗じてもよい。表示指示部105は、変更された閾値116に合わせて閾値ライン202を表示し直す処理を行う。
【0096】
一方、物質除去エリア全体の指標が適正範囲203の上限を超えていない場合には(S64のNO)、調整部108は、物質除去エリア全体の指標が適正範囲203の下限に満たないか否かを判定する(S68)。適正範囲203の下限は、予め設定されているものとする。
【0097】
物質除去エリア全体の指標が適正範囲203の下限に満たない場合には(S68のYES)、調整部108は、閾値116を上げる(S70)。調整部108は、閾値116に一定数(たとえば、5)を加える。あるいは、調整部108は、閾値116に1より大きい値(たとえば、1.1)を乗じてもよい。表示指示部105は、変更された閾値116に合わせて閾値ライン202を表示し直す処理を行う。
【0098】
一方、物質除去エリア全体の指標が適正範囲203の下限に達している場合(S68のYES)、つまり物質除去エリア全体の指標が適正範囲203に収まっている場合には、調整部108は、閾値116を維持する(S72)。そして、S60の処理に戻って次の物質除去エリア全体の指標の算出を待つ。
【0099】
[変形例]
実施形態では、パレット14が物質除去エリアである例を示したが、物質除去エリアは、パレット14に限られない。他の部分を物質除去エリアとしてもよい。たとえばカバー15、テーブル16、側面18や斜面19などを物質除去エリアとしてもよい。
【0100】
また、複数の物質除去エリアを設定してもよい。つまり、受付部106は、複数の物質除去エリアについて、それぞれ1以上のメッシュ区域の選択を受け付けてもよい。物質認識部104は、物質除去エリア毎に選択されたメッシュ区域における物質の状況を認識してもよい。また、制御部107は、物質除去エリア毎に認識された物質の状況に基づく指標と物質除去エリア毎の閾値の比較結果に基づいて、物質除去エリア毎に液体放出部11に対する制御信号を生成してもよい。
【0101】
上述の説明では、情報処理装置10が工作機械1に含まれるものとして説明したが、これに限定されない。具体的には、図18に示すように、情報処理装置10は、工作機械1Aに含まれず、工作機械1Aから独立し、工作機械1Aとデータ通信が可能な外部の情報処理端末であってもよい。なお、図18では詳しい説明を省略するが、工作機械1Aの構成は、図1及び図2を用いて上述した工作機械1と比較し、通信部5を備え、内部に情報処理装置10を含まないこと以外について同一である。
【0102】
また、上述の説明では、情報処理装置10の表示部130に各種画面を表示するものとして説明したが、これに限定されない。具体的には、各種画面を表示する表示部130は、工作機械1及び情報処理装置10に含まれず、情報処理装置10とデータ通信が可能な外部の情報処理端末等のディスプレイであってもよい。また、情報処理装置10とデータ通信が可能な外部の情報処理端末等の入力部を用いる受付部106において、ユーザ操作を受け付けるようにしてもよい。
【0103】
上述した流体放出は、清掃の例である。流体放出に限らず、気体の吹きかけやブラシ払いによって、物質の除去を行うようにしてもよい。
【0104】
[本発明の開示]
実施形態および変形例における本発明の開示について説明する。
【0105】
請求項1の第1段落の「工作機械の加工中に飛散する物質の飛散範囲を含む撮影画像に、複数のメッシュ区域を設定するメッシュ設定部」について、図3に関連して「例えば、図2に示すように工作機械1内が撮像された場合、工作機械の加工中に飛散する物質の飛散範囲を含む撮影画像に図4に示すような複数のメッシュ区域を設定する。『工作機械の加工中に飛散する物質の飛散範囲』とは、切削や研磨などの加工の勢いで飛び散った切屑や粉屑などの屑や液体などの物質が落下する可能性がある場所であることを意味する。」と説明した。また、図9のフローチャートのS12に、メッシュ設定部102の処理を示した。
【0106】
請求項1の第2段落の「複数のメッシュ区域から、物質を除去するためのエリアに該当する1以上のメッシュ区域の選択を受け付ける受付部」について、図3に関連して「受付部106は、複数のメッシュ区域から、物質を除去するためのエリア(物質除去エリア)に該当する1以上のメッシュ区域を選択するタッチ操作を受け付ける。」と説明した。また、図9のフローチャートのS14に、受付部106の処理を示した。
【0107】
請求項1の第3段落の「撮影画像に関して、エリアに該当するメッシュ区域における物質の状況を認識する物質認識部」について、図6に関連して「物質認識部104は、物質認識部104は、物質除去エリアに該当するメッシュ区域における切屑(物質の例)の堆積状況を認識する。」と説明した。また、図10のフローチャートのS20に、物質認識部104の処理を示した。
【0108】
請求項1の第3段落の「エリア内で認識された物質の状況に基づく指標を時系列に表示する」について、図8に関連して「指標グラフ画面は、図8に示すように撮影回毎の物質除去エリア全体の指標を時系列で表す。」と説明した。また、請求項1の第3段落の「指標を時系列に表示する指示を行う表示指示部」について、「表示指示部105は、メイン画面(図5)および指標グラフ画面などの各種画面を表示部130に表示させる処理を行う。具体的には、表示指示部105は、各種画面の画像を生成して、その画像を表示するように表示部130に対して指示を行う。」と説明した。また、図10のフローチャートのS26において、「指標グラフ画面を表示している場合には、表示指示部105は、最新回の物質除去エリア全体の指標と前回の物質除去エリア全体の指標とつなぐ線を表示する指示を表示部130に行う(S26)。」と説明した。
【0109】
請求項2の「指標と閾値の比較結果に基づいて、エリアに対する清掃を指示する制御信号を生成する制御部」について、図3に関連して「制御部107は、液体放出部11に対する制御信号を生成する。」と説明し、図8に関連して「工作機械1は、物質除去エリア全体の指標が閾値116を超えた場合に洗浄を行う。」と説明した。また、図10に関連して「制御部107は、最新回の物質除去エリア全体の指標が閾値116を超えていると判定すると(S28でYES)、各メッシュ区域に相当する箇所、つまり物質除去エリアの切屑を清掃させるための制御信号を生成して、液体放出部11に出力する(S30)。」と説明した。
【0110】
請求項3の第1段落の「表示指示部は、時系列の指標とともに閾値のレベルを表示する指示を行い」について、図8に関連して「指標グラフ画面は、閾値116のレベルを示す閾値ライン202も表示する。」と説明した。また、図14に関連して「表示指示部105は、変更された閾値116に合わせて閾値ライン202を表示し直す処理を行う(S52)。」と説明し、図17のS66およびS70に関連して「表示指示部105は、変更された閾値116に合わせて閾値ライン202を表示し直す処理を行う。」と説明した。
【0111】
請求項3の第2段落の「レベルを上下させる操作に応じて閾値を修正する調整部」について、図3に関連して「調整部108は、ユーザ操作による閾値116の調整及び自動的な閾値116の調整を行う。」と説明し、図8に関連して「閾値116は、ユーザの操作によって調整できる。この例では、指標グラフ画面に表示されている閾値ライン202をタッチしてスライドさせることによって、閾値を高めたり、低めたりする。」と説明した。また、図14に関連してS50で「調整部108は、スライドされた閾値ライン202によって閾値116を特定する。」、S52で「調整部108は、記憶部110に記憶されている閾値116を変更して」と説明した。
【0112】
請求項4の「清掃後における指標が適正範囲を外れると判定した場合に、閾値を修正する調整部」について、図3に関連して「調整部108は、ユーザ操作による閾値116の調整及び自動的な閾値116の調整を行う。」と説明した。また、自動調整処理に関して「自動調整処理では、流体放出後の堆積状況を示す物質除去エリア全体の指標が適正範囲に近づくように閾値116を調整する。図15に関連して後述するように、流体放出後の物質除去エリア全体の指標が適正範囲203を上回っている場合には、閾値116を下げる。一方、図16に関連して後述するように、流体放出後の物質除去エリア全体の指標が適正範囲203を下回っている場合には、閾値116を上げる。」と説明し、図15および図16に自動調整処理の事例を示した。さらに、図17に関連して「物質除去エリア全体の指標が適正範囲203の上限を超えている場合には(S64のYES)、調整部108は、閾値116を下げる(S66)。」「物質除去エリア全体の指標が適正範囲203の下限に満たない場合には(S68のYES)、調整部108は、閾値116を上げる(S70)」と説明した。
【0113】
請求項5について、変形例として「複数の物質除去エリアを設定してもよい。つまり、受付部106は、複数の物質除去エリアについて、それぞれ1以上のメッシュ区域の選択を受け付けてもよい。物質認識部104は、物質除去エリア毎に選択されたメッシュ区域における物質の状況を認識してもよい。また、制御部107は、物質除去エリア毎に認識された物質の状況に基づく指標と物質除去エリア毎の閾値の比較結果に基づいて、物質除去エリア毎に液体放出部11に対する制御信号を生成してもよい。」と説明した。
【0114】
請求項6の「撮影画像を撮像する撮像部」について、図1に関連して「工作機械1内部を撮像する撮像部12」「撮像部12は、工作機械の加工中に飛散する物質の飛散範囲を含む工作機械1の内部の撮影画像を撮影する。」と説明した。
請求項6の「物質を移動させる液体を放出する液体放出部」について、図1に関連して「加工により生じた切屑を移動させる液体を放出する液体放出部11」「液体放出部11は、数値制御装置4の制御に従い、工作機械1の内部に堆積した切屑(物質の例)を移動させるため、工作機械1の内部で貯留する液体(たとえば、クーラント液)を放出する。」と説明した。
請求項6の「加工室内で加工を行う加工部」について、図1に関連して「主軸を駆動するサーボモータを含み、各種の工具を使い分けて加工室内でワークを加工する加工部3」と説明した。
請求項6の「液体放出部と加工部とを制御する数値制御部」について、図1に関連して「液体放出部11と加工部3とを制御する数値制御装置4」と説明した。
請求項6の「清掃を指示する制御信号を数値制御部に送信する送信部」について、図3に関連して「通信部140は、清掃を指示する制御信号を数値制御装置4に送信する送信部を含む。」と説明した。
【0115】
請求項7の「加工室内で加工を行う加工部」について、図1に関連して「主軸を駆動するサーボモータを含み、各種の工具を使い分けて加工室内でワークを加工する加工部3」と説明した。
【0116】
請求項8の「プログラム」について、図3に関連して「例えば、演算部100は、記憶部110に記憶される制御プログラムPを読み出して実行することにより、取得部101、メッシュ設定部102、抽出部103、物質認識部104、表示指示部105、受付部106、制御部107および調整部108としての処理を実行する。」と説明した。
【0117】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、上記実施形態および上記変形例を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。
【0118】
本開示の全請求項に記載の情報処理装置、工作機械及び情報処理システムは、ハードウェア資源、例えば、プロセッサ、メモリ、及びプログラムとの協働などによって、実現される。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本開示の情報処理装置、工作機械及び情報処理システムは、例えば、工作機械の洗浄に有用である。
【符号の説明】
【0120】
1 工作機械、3 加工部、4 数値制御装置(NC装置)、5 通信部、9 液体貯留部、10,10A 情報処理装置、11 液体放出部、12 撮像部、13 機械座標取得部、100 演算部、101 取得部、102 メッシュ設定部、103 抽出部、104 物質認識部、105 表示指示部、106 受付部、107 制御部、108 調整部、110 記憶部、111 画像データ、112 メッシュ定義データ、113 履歴データ、114 物質除去エリアデータ、115 学習モデル、116 閾値、P 制御プログラム、M 3Dモデル、120 入力部、130 表示部、140 通信部、151 モデル学習部、152 確率算出部、153 判定部、154 指標算出部、200 グラフボタン、201 丸マーク、202 閾値ライン、203 適正範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2021-01-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の加工中に飛散する物質の飛散範囲を含む撮影画像に、複数のメッシュ区域を設定するメッシュ設定部と、
前記複数のメッシュ区域から、前記物質を除去するためのエリアに該当する複数のメッシュ区域の選択を受け付ける受付部と、
前記撮影画像に関して、前記エリアに該当する前記メッシュ区域における物質の状況を認識する物質認識部と、
前記エリア内で認識された前記物質の前記状況に基づく指標を時系列に表示する指示を行う表示指示部と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記指標と閾値の比較結果に基づいて、前記エリアに対する清掃を指示する制御信号を生成する制御部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示指示部は、前記時系列の前記指標とともに前記閾値のレベルを表示する指示を行い、
前記レベルを上下させる操作に応じて前記閾値を修正する調整部をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記清掃後における前記指標が適正範囲を外れると判定した場合に、前記閾値を修正する調整部をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記受付部は、複数の前記エリアについて、それぞれ前記複数のメッシュ区域の選択を受け付け、
前記物質認識部は、前記エリア毎に選択されたメッシュ区域における前記物質の前記状況を認識し、
前記制御部は、前記エリア毎に認識された前記物質の前記状況に基づく指標と前記エリア毎の閾値の比較結果に基づいて、前記エリア毎に前記制御信号を生成することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記工作機械は、前記撮像画像を撮像する撮像部と、前記物質を移動させる液体を放出する液体放出部と、加工室内で加工を行う加工部と、前記液体放出部と前記加工部とを制御する数値制御部と、を備え、
前記情報処理装置は、清掃を指示する制御信号を前記数値制御部に送信する送信部を備える請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
加工室で加工を行う加工部と、を備える工作機械。
【請求項8】
工作機械の加工中に飛散する物質の飛散範囲を含む撮影画像に、複数のメッシュ区域を設定する機能と、
前記複数のメッシュ区域から、前記物質を除去するためのエリアに該当する複数のメッシュ区域の選択を受け付ける機能と、
前記撮影画像に関して、前記エリアに該当する前記メッシュ区域における物質の状況を認識する機能と、
前記エリア内で認識された前記物質の前記状況に基づく指標を時系列に表示する指示を行う機能と、をコンピュータに発揮させることを特徴とするプログラム。
【手続補正書】
【提出日】2021-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の加工中に飛散する物質の飛散範囲を含む撮影画像に、複数のメッシュ区域を設定するメッシュ設定部と、
前記工作機械内の形状に応じて前記メッシュ区域を選択することにより形成されるエリアとして、(i)選択された第1選択メッシュ区域と、(ii)選択された前記第1選択メッシュ区域と隣接する4つの選択メッシュ区域と、(iii)選択された第2選択メッシュ区域と、(iv)選択された前記第2選択メッシュ区域と隣接する3つの選択メッシュ区域と、が含まれるエリアの選択を受け付ける受付部と、
前記撮影画像に関して、前記エリアに含まれる複数のメッシュ区域の全体における物質の状況を認識する物質認識部と、
前記エリアに含まれる前記複数のメッシュ区域の全体内で認識された前記物質の前記状況に基づく指標を表示部に時系列に表示させる指示を行う表示指示部と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記指標と閾値の比較結果に基づいて、前記エリアに対する清掃を指示する制御信号を生成する制御部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示指示部は、撮影回毎の前記指標を前記時系列で表すグラフ画面上に前記指標の閾値のレベルを前記表示部に表示させる指示を行い、
前記グラフ画面において前記レベルを変更させる操作に応じて前記閾値を修正する調整部をさらに有することを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記清掃後における前記指標が適正範囲を外れると判定した場合に、前記閾値を修正する調整部をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記受付部は、複数の前記エリアの選択を受け付け、
前記物質認識部は、前記エリア毎に含まれる前記複数のメッシュ区域の全体における前記物質の前記状況を認識し、
前記制御部は、前記エリア毎に認識された前記物質の前記状況に基づく指標と前記エリア毎の閾値の比較結果に基づいて、前記エリア毎に前記制御信号を生成することを特徴とする請求項2又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記工作機械は、前記撮影画像を撮像する撮像部と、前記物質を移動させる液体を放出する液体放出部と、加工室内で加工を行う加工部と、前記液体放出部と前記加工部とを制御する数値制御部と、を備え、
前記情報処理装置は、清掃を指示する制御信号を前記数値制御部に送信する送信部を備える請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置と、
加工室で加工を行う加工部と、を備える工作機械。
【請求項8】
工作機械の加工中に飛散する物質の飛散範囲を含む撮影画像に、複数のメッシュ区域を設定する機能と、
前記工作機械内の形状に応じて前記メッシュ区域を選択することにより形成されるエリアとして、(i)選択された第1選択メッシュ区域と、(ii)選択された前記第1選択メッシュ区域と隣接する4つの選択メッシュ区域と、(iii)選択された第2選択メッシュ区域と、(iv)選択された前記第2選択メッシュ区域と隣接する3つの選択メッシュ区域と、が含まれるエリアの選択を受け付ける機能と、
前記撮影画像に関して、前記エリアに含まれる複数のメッシュ区域の全体における物質の状況を認識する機能と、
前記エリアに含まれる前記複数のメッシュ区域の全体内で認識された前記物質の前記状況に基づく指標を表示部に時系列に表示させる指示を行う機能と、をコンピュータに発揮させることを特徴とするプログラム。