(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029924
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】ケーブル測定補助工具
(51)【国際特許分類】
H02G 1/02 20060101AFI20220210BHJP
【FI】
H02G1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020133534
(22)【出願日】2020-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】田中 清一
(72)【発明者】
【氏名】小沼 智一
(72)【発明者】
【氏名】田中 汰一
(72)【発明者】
【氏名】有馬 義仁
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 滉平
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352AE01
5G352AE05
(57)【要約】
【課題】間接活線工法を用いてケーブル測定業務を安全かつ効率的に行うことが可能なケーブル測定補助工具を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかるケーブル測定補助工具100の構成は、ゴムとう管16の上方にケーブル14が接続され、その接続箇所に下方が開放されたゴムカバー18が取り付けられたケーブルヘッド20に対するケーブル測定補助工具100であって、間接活線棒200の先端に接続するジョイント110と、ゴムカバー18の開口18aとゴムとう管16の隙間に挿入する導電性のヘラ120と、ヘラ120に接続された接地線130と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムとう管または碍管の上方にケーブルが接続され、その接続箇所に下方が開放されたゴムカバーが取り付けられたケーブルヘッドに対するケーブル測定補助工具であって、
間接活線棒の先端に接続するジョイントと、
前記ゴムカバーの開口とゴムとう管または碍管の隙間に挿入する導電性のヘラと、
前記ヘラに接続された接地線と、
を有することを特徴とするケーブル測定補助工具。
【請求項2】
前記ヘラは、クランク形状になっていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル測定補助工具。
【請求項3】
前記ヘラの先端は、凹形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の測定補助工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムとう管または碍管の上方にケーブルが接続され、その接続箇所に下方が開放されたゴムカバーが取り付けられたケーブルヘッドに対するケーブル測定補助工具に関する。
【背景技術】
【0002】
電力線の保守管理の1つとして、ケーブル測定業務がある。ケーブル測定業務では、新設または改修後のケーブルに対して設備の導通色出しや絶縁抵抗測定を行い適切に設置されているか健全性の確認を行う。現状では、高圧活線用保護具を着用した後、ケーブルヘッドにセンスメーター(導通色出しを行うための測定器)を取り付ける。そして、片端より抵抗測定することで、抵抗値の違いによりケーブルの導通・相判別(色出し)を確認している。
【0003】
しかしながら、上述した作業を直接活線工法によって行うと、作業員の負担が大きく、作業効率が低下してしまう。このため、ケーブル測定業務を間接活線工法によって行うことが望まれている。間接活線工法によって作業する場合には、例えば特許文献1のように間接活線棒(絶縁操作棒またはホットスティックとも呼ばれる)の先端に取り付ける工具を用いることが検討される。特許文献1には、間接活線棒の先端工具であって、電線の絶縁被覆を剥離除去する電線皮剥工具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ケーブルヘッドにおいては、ゴムとう管または碍管の上方に電線が接続されていて、接続部にゴムカバーがかぶせられている。したがってケーブルヘッドにおいて導体に接続する場合には、特許文献1のように被覆をはぐのではなく、ゴムカバーを外すことになる。代表的な作業としては、ゴムカバーの上端の固定テープを切って、ゴムカバーを上方に(電線側に)ずらして接続部を露出させる。しかし、直接活線工法になるため、分厚い絶縁手袋を装着しての作業となり、作業効率が悪い。また、ずらしたゴムカバーを正しい位置に戻して固定テープを巻き直す必要があるため、労力が大きい。
【0006】
または、ゴムカバーの裾(下端)は開放された筒であるから、裾からめくり上げて接続部を露出させることもできる。しかし直接活線用の絶縁手袋で作業しにくい点は、ゴムカバーをずらす場合と同じである。またゴムカバーは固いので、めくるためには相当の力が必要であり、楽な作業ではない。このため、ケーブル測定業務により適した工具の開発が求められていた。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、間接活線工法を用いてケーブル測定業務を安全かつ効率的に行うことが可能なケーブル測定補助工具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかるケーブル測定補助工具の代表的な構成は、ゴムとう管または碍管の上方にケーブルが接続され、その接続箇所に下方が開放されたゴムカバーが取り付けられたケーブルヘッドに対するケーブル測定補助工具であって、間接活線棒の先端に接続するジョイントと、ゴムカバーの開口とゴムとう管または碍管の隙間に挿入する導電性のヘラと、ヘラに接続された接地線と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記構成では、間接活線工法に用いられる間接活線棒に導電性のヘラを取り付ける。そして、かかるヘラをゴムカバーの開口とゴムとう管または碍管の隙間に挿入することにより、導体である接続部にヘラを接触させて導通させて、設備の導通色出しや絶縁抵抗測定を行う。したがって、間接活線工法を用いてケーブル測定業務を行うことができ、作業員の安全を確保し、作業効率を高めることが可能となる。
【0010】
上記ヘラは、クランク形状になっているとよい。かかる構成によれば、ヘラをゴムカバーの開口に挿入する際に、ゴムとう管または碍管とヘラとの干渉を避けることが可能となる。
【0011】
上記ヘラの先端は、凹形状であるとよい。これにより、ヘラの先端をケーブルヘッドの接続部に好適に突き当てることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、間接活線工法を用いてケーブル測定業務を安全かつ効率的に行うことが可能なケーブル測定補助工具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態にかかるケーブル測定補助工具を説明する図である。
【
図3】
図1のゴムとう管または碍管近傍の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
図1は、本実施形態にかかるケーブル測定補助工具(以下、補助工具100と称する)を説明する図である。
図1に示すように、本実施形態の補助工具100は、間接活線棒200の先端に取り付けられるアタッチメントである。詳細には、補助工具100は、ジョイント110、ヘラ120および接地線130を含んで構成される。
【0016】
ジョイント110は、間接活線棒200(絶縁操作棒)の先端への取付部となっている。ヘラ120は、導電性を有し、一端がジョイント110に固定されている。なお「ヘラ」とは、細長い板材であることを意味している。ヘラ120は先端122の近傍は金属が露出していて、その他の部分はゴム被覆124が施されている。またヘラ120には、接地線130が電気的に接続されている。接地線130の端部にはクランプ140が取り付けられている。
【0017】
図2は、補助工具100の使用態様図である。
図2に示すように電柱10には電線12が吊架されている。電線12からの引込線であるケーブル14は、ケーブルヘッド20のゴムとう管16(ゴムとう管に代えて碍管になっているものもある)の上方に接続される。ケーブル14とゴムとう管16との接続部には、下方が開放されたゴムカバー18が取り付けられている。クランプ140は電柱10の接地金具22に接続されていて、これによりヘラ120が接地される。
【0018】
図3は、
図1のゴムとう管16近傍の拡大図である。なお、理解を容易にするために、3つのゴムとう管16のうち、右側のゴムとう管16のゴムカバー18を透過表示にしている。
【0019】
ケーブル測定を行う際には、まず間接活線棒200の先端に補助工具100を取り付ける。そして、
図3(a)に示すように、ゴムカバー18の開口18aとゴムとう管16の隙間に補助工具100のヘラ120を挿入する。このとき先端122がゴム被覆124によって被覆されていることにより、ゴムカバーの開口18aを傷つけてしまうことを防いでいる。
【0020】
ゴムカバー18の内部において、ゴムとう管の先端16aとケーブル端部14aは金具24によって接続されている。この接続部は導体であるから、ヘラ120の先端を押し当てることによって導通し、ケーブル14が接地線130を介して接地される。
【0021】
続いて、高圧キャビネット30内に収容された3相のケーブル32のうち、ヘラ120を挿入したケーブル14と対応するケーブル32にテスター40を接続する(
図2参照)。そして、ケーブル32の対地抵抗を測定することにより、ケーブルヘッド20と高圧キャビネット30の間のケーブルが同じ相で正しく接続されているか(色の識別)、充電させても大丈夫な抵抗があるか(健全性)を確認することができる。
【0022】
上記説明したように、本実施形態の補助工具100によれば、間接活線工法によって、ゴムカバーをずらしたりめくったりすることなくケーブル測定を行うことができる。したがって、作業員の安全を確保し、かつ作業効率を高めることが可能となる。
【0023】
また
図3(a)に示すように、ヘラ120はクランク形状になっている。クランク形状とは2回曲がって元の角度に延びる形状であり、ヘラの根元とヘラの先端122とは、クランク部120aを介してずれた位置(シフトした位置)になっている。これにより、ヘラ120をゴムカバー18の開口18aとゴムとう管16の隙間に挿入する際にゴムとう管16とヘラ120との干渉を避けることが可能となる。加えて、
図3(b)に示すように、ゴムとう管16に対するクランクの向きを逆方向とすれば、ゴムカバー18の下端を避け、ヘラ120をゴムカバー18に深く挿入することができる。
【0024】
図4は、
図3(a)の拡大斜視図である。
図4に示すように、本実施形態の補助工具100では、ヘラ120の先端122は凹形状となっている。仮にヘラの先端が平坦である場合、断面形状が円形のケーブルに対してヘラを突き当てた際にヘラの先端が滑ってしまうことが考えられる。
【0025】
これに対し、本実施形態のようにヘラ120の先端122を凹形状とすれば、ヘラ120の先端122にケーブル14がはまり込む状態となる。これにより、ヘラ120をケーブル14に強く突き当てた際の滑りを防ぎつつ、ヘラ120への導通を確実とすることが可能となる。
【0026】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、ゴムとう管または碍管の上方にケーブルが接続され、その接続箇所に下方が開放されたゴムカバーが取り付けられたケーブルヘッドに対するケーブル測定補助工具として利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
10…電柱、12…電線、14…ケーブル、14a…ケーブル端部、16…ゴムとう管、16a…ゴムとう管の先端、18…ゴムカバー、18a…開口、20…ケーブルヘッド、22…接地金具、24…金具、30…高圧キャビネット、32…ケーブル、40…テスター、100…補助工具、110…ジョイント、120…ヘラ、120a…クランク部、122…ヘラの先端、130…接地線、140…クランプ、200…間接活線棒