(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029981
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】釣り糸及びその特性に関する情報の取得方法
(51)【国際特許分類】
A01K 91/00 20060101AFI20220210BHJP
【FI】
A01K91/00 F
A01K91/00 B ZBP
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020133638
(22)【出願日】2020-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】520296521
【氏名又は名称】小池 基之
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】小池 基之
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307CA20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】釣り糸の特性に関する情報を容易に知ることができる釣り糸を提供する。
【解決手段】釣り糸1の特性(長さを除く。)に関する情報を得るためのマーキング4を、該釣り糸1の表面の長さ方向に所定の間隔を空けて複数設けてなる釣り糸1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り糸の特性(長さを除く。)に関する情報を得るためのマーキングを、該釣り糸の表面の長さ方向に所定の間隔を空けて複数設けてなる釣り糸。
【請求項2】
前記マーキングが、所定幅の所定色のラインからなる請求項1に記載の釣り糸。
【請求項3】
前記マーキングが、バーコードからなる請求項1に記載の釣り糸。
【請求項4】
前記特性が、前記釣り糸の太さである請求項1~3のいずれか1項に記載の釣り糸。
【請求項5】
釣り糸の表面の長さ方向に所定の間隔を空けて複数のマーキングを設ける工程、及び該マーキングから該釣り糸の特性(長さを除く。)を認識する工程を含む、釣り糸の特性に関する情報の取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り糸及びその特性に関する情報の取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
釣り糸は、釣り竿又はリールと釣り針をつなぐ役割を果たし、対象魚や釣法を問わず、釣りにおいて必ず必要となる釣り道具であり、釣果に影響を及ぼす最重要道具の一つである。釣り糸は大きく分けると2種類に分かれ、一つは道糸(ライン)と呼ばれ、もう一つはハリス(仕掛け糸)と呼ばれている。道糸は、リールに巻いて使用する釣り糸で、仕掛けをより遠くへ飛ばすために使うことが主な目的の糸である。道糸は、仕掛けの飛ばしやすさ(遠投性)、糸の見えやすさ(視認性)、沈みやすさ(沈降性)など、各々の釣り方に求められる性能に合わせて選ばれる。他方、ハリスは、サルカンや道糸との結束部から、釣り針までの間で用いられる釣り糸の呼称である。道糸とは違って、ハリスは釣り針やルアーと繋がる点で魚により近い位置にあることから、魚に警戒されないために、なるべく細いものを用いる必要がある。
【0003】
釣り糸の素材としては、ナイロン、ポリエチレン、フロロカーボン、ポリエステル、及びこれらを組み合わせた複合ラインが現在主流となっており、これらの中から必要な釣り糸の種類が決定される。また釣り場に残される釣り糸が水辺の生き物や人にダメージを与えることが問題視されていることを受けて、自然分解される生分解性プラスチック製の釣り糸の開発が進められている。
【0004】
現在販売されている釣り糸の多くは、釣り糸の太さを示す号数を中心とした表示で販売されている。日本では釣り糸の太さは号数で表記され、号数が大きいほど太くなり、引っ張りに対する強さと断面積に比例している。釣り糸の号数は、合成繊維で開発されたナイロンラインの登場とともに規格化され、直径0.165mmを1号と定めたものを標準直径とし、現在もなおこの規格が使用されている。ナイロンラインに、フロロカーボンラインとポリエステルラインを加えたこれら3種類の釣り糸には、一般社団法人日本釣用品工業会(JAFTMA)から釣用品の標準規格(JAFS)として、標準直径が定められている。釣り糸を製造販売する国内主要メーカーのほとんどは、この規格を取り入れている。ポリエチレンラインについては、標準直径は定められておらず、号数と重さによって太さの標準規格(デニール;d)が定められている。また、欧米発祥であるルアーフィッシングやフライフィッシング向けのものはポンド(Lb)単位で強度が表され、製品によっては両方が併記される場合もある。
【0005】
釣り糸を選ぶ時には、素材、太さ、強度、伸縮性、比重、使用環境、吸水性、色、価格など、いくつかの要素が関わってくる。これらの要素を総合的に勘案することによって、所定の釣りの場面に最適な釣り糸が決定される。
【0006】
釣り糸の選択を誤ると、釣竿やリールとのバランスが悪くなり、思ったような釣果が得られなくなる。糸と針、エサだけで魚を釣る「手釣り」と呼ばれる手法も存在し、釣りを楽しむうえで最低限の道具が釣り糸と釣り針であるといえる。したがって、釣り糸の選択は極めて重要である。適切な釣り糸を使用することで、余計なトラブルを発生させることなく、釣果を伸ばすことが可能になる。したがって、使用する釣り糸の特性を知っておくことは重要である。
【0007】
釣りは、季節、状況などによって釣り方が多種多様に存在し、それに応じて適切な釣り糸を選ぶ必要がある。近年、釣り糸の性能を高めるべく、各種釣り糸が開発されており、例えば、低比重かつ優れた耐久性を有すると共に、環境負荷が小さく、雨天でも竿に張り付きにくい釣り糸の1例として、デカメチレンジアミンとセバシン酸を主成分とするポリデカメチレンセバケートを90%以上含むポリアミド樹脂を溶融紡糸してなるモノフィラメントであって、JIS L1095-9.10.2Bの規定に準じて測定した屈曲摩耗特性試験において、前記モノフィラメントの破断時の屈曲摩耗回数が50,000回以上であることを特徴とする釣り糸)等が報告されている(特許文献1)。
【0008】
上記のように、釣り糸は使用する状況や目的などに応じて、複数の釣り糸から適切なものを適宜選択して使用することが重要である。しかしながら、複数の釣り糸を用意し、その中から適宜選択して使用しているうちに、どの釣り糸がどのような特性を有しているかがわからなくなり、釣りを円滑に進めることができなくなることがある。現在市販されている釣り糸は、水中での視認性や投げる距離などを考慮して表面の色が決められていることが多く、そのため釣り糸を見たり触ったりするだけでは、釣り糸の特性を正確に知ることはきわめて困難であるというのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のとおり、釣りを行う場合は、複数の種類の釣り糸を用意して、釣りを行う状況、釣り方、対象魚などに応じて釣り糸を適宜使い分けすることが釣果を向上させるうえで重要であるが、現状では、釣り糸を見たり触ったりしただけでは、各釣り糸の特性を把握することが困難であるため、釣り糸を場面場面に応じて適切かつ円滑に使い分けすることができないという不都合がある。そこで、本発明は、釣り糸の特性に関する情報を容易に知ることができる釣り糸を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、釣り糸の表面に、その釣り糸の特性に関する情報と関連付けたマーキングを設けることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明は、以下に示すものである。
[1]釣り糸の特性(長さを除く。)に関する情報を得るためのマーキングを、該釣り糸の表面の長さ方向に所定の間隔を空けて複数設けてなる釣り糸。
[2]前記マーキングが、所定幅の所定色のラインからなる前記[1]に記載の釣り糸。
[3]前記マーキングが、バーコードからなる前記[1]に記載の釣り糸。
[4]前記特性が、前記釣り糸の太さである前記[1]~[3]のいずれかに記載の釣り糸。
[5]釣り糸の表面の長さ方向に所定の間隔を空けて複数のマーキングを設ける工程、及び該マーキングから該釣り糸の特性(長さを除く。)を認識する工程を含む、釣り糸の特性に関する情報の取得方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、釣り糸の特性に関する情報を容易に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の釣り糸の一例を示す説明図である。図中、1は釣り糸、2は釣り針、3はリール、4はマーキングを示す。
【0016】
本発明の釣り糸1は、
図1に示すように、その表面の長さ方向に所定の間隔でマーキング4が設けられている。マーキング4は釣り糸1の表面の長さ方向に一定の間隔ごとに施してあり、釣り糸の全長にわたって、あるいは釣り糸の一定部分の長さにわたって複数設けられる。本発明は、マーキング4を複数設けているため、釣り糸の使用中であっても、水面から出ている釣り糸の部分に設けたマーキング4を通じて釣り糸の特性を認識することができる。なお、釣り糸1の材質は問わない。
【0017】
マーキング4は、特に限定されるものではなく、例えば、所定幅の所定色のラインとすることができる。所定幅及び所定色は任意に設定することができる。所定色は釣り糸1の本体とは異なる色とし、視認することが容易な色であることが好ましい。例えば、釣り糸の本体の色が淡色である場合は、マーキング4は濃色のラインとするとマーキング4が明瞭に示されるため好ましい。またマーキング4は、任意の文字、記号、図形等とすることもできる。
【0018】
またマーキング4は、バーコードとすることもできる。
【0019】
釣り糸の表面に設けられるマーキング4は、該釣り糸の所定の特性と予め関連付けておく。該特性としては、特に限定されず、例えば、釣り糸(道糸、ハリス)に関する、釣り糸のメーカー、銘柄、糸の太さ(号数)、比重、材質、強度(ポンドやkg)、素材の編み込み数などが挙げられる。ただし、該特性には、釣り糸の長さは含まない。釣り糸の長さはその使用に応じて適宜切断したりすることで変動するため特定できないからである。
【0020】
マーキング4から釣り糸の特性(長さを除く。)を認識する方法としては、例えば、該マーキングを視認したり、メジャーで測定したり、光学認識装置(例えばバーコードスキャナ)などを使って読み取ったり、スマートフォンのカメラでアプリケーションと連携して読み込んだり、また、リール内に設置されたカメラやセンサーで認識させたりして、該マーキングと関連付けられた釣り糸の特性が記載、保存されている媒体にアクセスすることにより、該特性を認識することができる。
【0021】
本発明の別の態様は、釣り糸の特性に関する情報の取得方法であり、該方法は釣り糸の表面の長さ方向に所定の間隔を空けて複数のマーキングを設ける工程、及び該マーキングから該釣り糸の特性(長さを除く。)を認識する工程を含む。
【0022】
釣り糸の表面の長さ方向に所定の間隔を空けて複数のマーキングを設ける工程において、マーキングについては前述したとおりである。該マーキングを釣り糸の表面の長さ方向に設けるには、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などの周知の印刷方法を利用して行うことができる。
【0023】
該マーキングから該釣り糸の特性(長さを除く。)を認識する工程においては、例えば、該マーキングを視認したり、メジャーで測定したり、光学認識装置(例えばバーコードスキャナ)などを使って読み取ったり、スマートフォンのカメラでアプリケーションと連携して読み込んだり、また、リール内に設置されたカメラやセンサーで認識させたりして、該マーキングと関連付けられた釣り糸の特性が記載、保存されている媒体にアクセスすることにより、該特性を認識することができる。
【0024】
以上のように、本発明によれば、釣り糸の特性と関連付けたマーキングを釣り糸の表面に複数設けているため、マーキング検出に時間がかからず、該マーキングの視認ないし読み取りが容易である。そのため、釣り糸の使用中であってもその特性を即座に認識して、適切な釣り糸の選択ができるようになるため、効率よく釣りを行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0025】
1 釣り糸
2 釣り針
3 リール
4 マーキング