(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022029986
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】キャッピング絞り深さ確認治具
(51)【国際特許分類】
G01B 3/14 20060101AFI20220210BHJP
G01B 5/18 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
G01B3/14
G01B5/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020133646
(22)【出願日】2020-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】305060154
【氏名又は名称】ユニバーサル製缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】今野 史晴
【テーマコード(参考)】
2F061
2F062
【Fターム(参考)】
2F061AA32
2F061AA42
2F061BB02
2F061CC09
2F061DD09
2F061DD22
2F061FF10
2F061FF72
2F061FF73
2F061GG13
2F061JJ83
2F061LL07
2F061LL14
2F061NN02
2F061VV05
2F061VV08
2F061VV56
2F062AA42
2F062AA62
2F062BB04
2F062BC17
2F062CC09
2F062CC22
2F062EE07
2F062EE47
2F062EE62
2F062EE63
2F062GG29
2F062GG34
2F062MM07
(57)【要約】
【課題】 段部の確認作業が非力な作業者でも容易であると共に、安価なキャッピング絞り深さ確認治具を提供すること。
【解決手段】 キャップの天板部に絞り加工により形成した段部の深さを確認するキャッピング絞り深さ確認治具1であって、上板部2と、確認用凸部4と、側壁部3とを備え、確認用凸部及び側壁部が、その内側に第1測定端子部である上端基準部b1と第2測定端子部である測定用段差部b2とを有し、段部が、第1の壁部と第2の壁部とが変曲部を介して連続した構成とされ、上端基準部から測定用段差部までの軸線方向の距離が、段部の絞り深さの基準値に設定され、側壁部が、確認用凸部の上端基準部及び測定用段差部を側方から直視可能な領域を避けて形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトルの口部に被着されたキャップの天板部の周縁に絞り加工により形成した円環状の段部の深さを確認するキャッピング絞り深さ確認治具であって、
前記天板部の上方に配される上板部と、
前記上板部の外周縁の一部から垂下された確認用凸部と、
前記上板部の外周縁から垂下され少なくとも前記確認用凸部の左右の領域に設けられた側壁部とを備え、
前記確認用凸部及び前記側壁部が、その内側に前記上板部側から垂下方向に順に設けられた第1測定端子部と第2測定端子部とを有し、
前記段部が、前記天板部に連続する第1の壁部と、前記キャップの外周面に連続する第2の壁部とを備え、前記第1の壁部と前記第2の壁部とが変曲部を介して連続した構成とされ、
前記第2測定端子部が、前記第1測定端子部よりも半径方向外側に配され、
前記第1測定端子部から前記第2測定端子部までの軸線方向の距離が、前記絞り加工による前記段部の絞り深さの基準値に設定され、
前記側壁部が、前記確認用凸部の前記第1測定端子部及び前記第2測定端子部を側方から直視可能な領域を避けて形成されていることを特徴とするキャッピング絞り深さ確認治具。
【請求項2】
請求項1に記載のキャッピング絞り深さ確認治具において、
前記第1測定端子部が、上端基準部とされ、
前記第2測定端子部が、測定用段差部とされ、
前記キャップ上に載置した際、前記段部の絞り深さが前記基準値以上であると、前記上端基準部が、前記第1の壁部の上端部に接触した状態で、前記測定用段差部が、前記変曲部に接触又は離間した状態とされることを特徴とするキャッピング絞り深さ確認治具。
【請求項3】
請求項2に記載のキャッピング絞り深さ確認治具において、
前記上端基準部及び前記測定用段差部が、角部を有する段差部とされ、
前記上端基準部の角部から前記測定用段差部の角部までの軸線方向の距離が、前記絞り加工による前記段部の絞り深さの基準値に設定されていることを特徴とするキャッピング絞り深さ確認治具。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のキャッピング絞り深さ確認治具において、
前記側壁部が、前記キャップの外周面に沿って断面円弧状に形成され、
前記上板部の中心から前記上端基準部までの距離が、前記天板部の中心から前記第1の壁部までの距離の基準値と同じに設定されていることを特徴とするキャッピング絞り深さ確認治具。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載のキャッピング絞り深さ確認治具において、
前記キャップが、外周面の一部に形成された防爆スリットを有し、
前記側壁部が、前記上板部の外周縁のうち前記確認用凸部とは反対側の部分を避けて配され、
前記確認時に前記キャップの外周面のうち前記反対側の部分が被われないことを特徴とするキャッピング絞り深さ確認治具。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載のキャッピング絞り深さ確認治具において、
前記上板部に、ストラップ用孔が形成されていることを特徴とするキャッピング絞り深さ確認治具。
【請求項7】
請求項2から6のいずれか一項に記載のキャッピング絞り深さ確認治具において、
全体の重心が、前記上板部の中心軸上に設定されていることを特徴とするキャッピング絞り深さ確認治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製のボトル缶等のボトルの口部に被着されたキャップに形成された段部の深さが適正か否かを確認するためのキャッピング絞り深さ確認治具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、金属製のボトル缶等のボトルの口部に被着されたキャップの天板部の周縁に絞り加工により円環状の段部を形成して、内容物の密封性を確保している。
従来、このような絞り加工により形成した段部の深さ(絞り深さ)が、密封性を確保できる所定の範囲を満たしているか否かについて、段部の深さを測定して検査している。例えば、特許文献1には、段部の深さを測定する深さ測定器が記載されている。
上記深さ測定器は、デジタルゲージを備えており、キャップの天面から段部の変曲部までの距離を正確に計測できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
上記従来の深さ測定器を用いた検査では、正確な計測ができるもののデジタルゲージ等を含め本体に重量があるため、確認作業において非力な女性等の作業者では取り扱いが大変であると共に、高価であるという不都合があった。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、段部の確認作業が非力な作業者でも容易であると共に、安価なキャッピング絞り深さ確認治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係るキャッピング絞り深さ確認治具は、ボトルの口部に被着されたキャップの天板部の周縁に絞り加工により形成した円環状の段部の深さを確認するキャッピング絞り深さ確認治具であって、前記天板部の上方に配される上板部と、前記上板部の外周縁の一部から垂下された確認用凸部と、前記上板部の外周縁から垂下され少なくとも前記確認用凸部の左右の領域に設けられた側壁部とを備え、前記確認用凸部及び前記側壁部が、その内側に前記上板部側から垂下方向に順に設けられた第1測定端子部と第2測定端子部とを有し、前記段部が、前記天板部に連続する第1の壁部と、前記キャップの外周面に連続する第2の壁部とを備え、前記第1の壁部と前記第2の壁部とが変曲部を介して連続した構成とされ、前記第2測定端子部が、前記第1測定端子部よりも半径方向外側に配され、前記第1測定端子部から前記第2測定端子部までの軸線方向の距離が、前記絞り加工による前記段部の絞り深さの基準値に設定され、前記側壁部が、前記確認用凸部の前記第1測定端子部及び前記第2測定端子部を側方から直視可能な領域を避けて形成されていることを特徴とする。
【0007】
このキャッピング絞り深さ確認治具では、側壁部が、確認用凸部の第1測定端子部及び第2測定端子部を側方から直視可能な領域を避けて形成されているので、キャップに被せた状態で、確認用凸部の第1測定端子部と第1の壁部との接触の有無、及び第2測定端子部と変曲部との接触の有無を側方から容易に確認でき、段部が適正に形成されているか確認することができる。
【0008】
第2の発明に係るキャッピング絞り深さ確認治具は、第1の発明において、前記第1測定端子部が、上端基準部とされ、前記第2測定端子部が、測定用段差部とされ、前記キャップ上に載置した際、前記段部の絞り深さが前記基準値以上であると、前記上端基準部が、前記第1の壁部の上端部に接触した状態で、前記測定用段差部が、前記変曲部に接触又は離間した状態とされることを特徴とする。
このキャッピング絞り深さ確認治具では、キャップ上に載置した際、段部の絞り深さが基準値以上であると、上端基準部が、第1の壁部の上端部に接触した状態で、測定用段差部が、変曲部に接触又は離間した状態とされ、側壁部が、確認用凸部の上端基準部及び測定用段差部を側方から直視可能な領域を避けて形成されているので、キャップに被せた状態で、確認用凸部の上端基準部と第1の壁部との接触の有無、及び測定用段差部と変曲部との接触の有無から、段部が適正に形成されているか確認することができる。
【0009】
すなわち、まずキャッピング絞り深さ確認治具をキャップの上から被せた状態で、一対の側壁部の上端基準部が第1の壁部の上端部に接触、又は測定用段差部が変曲部に接触して位置決めされる。この状態で、確認用凸部の上端基準部と第1の壁部との接触の有無及び測定用段差部と変曲部との接触の有無について、確認用凸部を側方から視認する。
このとき、確認用凸部の上端基準部と第1の壁部とが接触し、測定用段差部と変曲部とが離間して隙間があることが視認されれば、段部が適正な基準値より深く加工されており、合格であると確認できる。また、上端基準部と第1の壁部とが接触し、測定用段差部と変曲部とも接触し、両方共接触していることが視認されれば、絞り深さが基準値であり、この場合も合格であると確認される。なお、この基準値が絞り深さの浅めの合格限界となる。
【0010】
また、確認用凸部の上端基準部と第1の壁部とが離間して隙間があり、測定用段差部と変曲部とが接触していることが視認されれば、絞り深さが浅く、段部が基準値まで加工されていないとして不合格であると確認できる。すなわち、段部の絞り深さが浅すぎると、シール性が低下してしまうため、不合格となる。
このように、確認用凸部の上端基準部と第1の壁部との接触状態、及び測定用段差部と変曲部との接触状態を視認することで、容易に段部が適正に加工されているか否か、すなわち絞り深さ具合(適正、浅い、深い)が瞬時に判別することが可能になる。
また、樹脂等の成形により軽量で小型の治具とすることができ、手軽に持ち運びできて取り扱いも容易であると共に、安価に作製することができる。
【0011】
第3の発明に係るキャッピング絞り深さ確認治具は、第2の発明において、前記上端基準部及び前記測定用段差部が、角部を有する段差部とされ、前記上端基準部の角部から前記測定用段差部の角部までの軸線方向の距離が、前記絞り加工による前記段部の絞り深さの基準値に設定されていることを特徴とする。
すなわち、このキャッピング絞り深さ確認治具では、上端基準部及び測定用段差部が、角部を有する段差部とされ、上端基準部の角部から測定用段差部の角部までの軸線方向の距離が、絞り加工による段部の絞り深さの基準値に設定されているので、段差部である上端基準部の角部の接触状態及び測定用段差部の角部の接触状態が、側方から確認し易くなる。
【0012】
第4の発明に係るキャッピング絞り深さ確認治具は、第2又は第4の発明において、前記側壁部が、前記キャップの外周面に沿って断面円弧状に形成され、前記上板部の中心から前記上端基準部までの距離が、前記天板部の中心から前記第1の壁部までの距離の基準値と同じに設定されていることを特徴とする。
すなわち、このキャッピング絞り深さ確認治具では、側壁部が、キャップの外周面に沿って断面円弧状に形成され、上板部の中心から上端基準部までの距離が、天板部の中心から第1の壁部までの距離の基準値と同じに設定されているので、側壁部の上端基準部及び測定用段差部が対応する第1の壁部及び変曲部に線接触することができ、より正確な位置決めが可能になる。
【0013】
第5の発明に係るキャッピング絞り深さ確認治具は、第2から第4の発明のいずれかにおいて、前記キャップが、外周面の一部に形成された防爆スリットを有し、前記側壁部が、前記上板部の外周縁のうち前記確認用凸部とは反対側の部分を避けて配されていることを特徴とする。
すなわち、このキャッピング絞り深さ確認治具では、側壁部が、上板部の外周縁のうち確認用凸部とは反対側の部分を避けて配されているので、スプリングバックがないために段部が浅くなってしまう防爆スリットを確認用凸部と反対側に配置することで、側壁部の間から防爆スリットを視認して位置決めでき、他の部分よりも段部が浅い防爆スリット近傍の段部を避けて、段部の確認作業することができる。
【0014】
第6の発明に係るキャッピング絞り深さ確認治具は、第2から第5の発明のいずれかにおいて、前記上板部に、ストラップ用孔が形成されていることを特徴とする。
すなわち、このキャッピング絞り深さ確認治具では、上板部に、ストラップ用孔が形成されているので、ストラップ用孔にストラップを取り付けることで、小型で軽量な治具をストラップを用いて持ち運んだり保管したりすることができ、取り扱いがさらに容易となる。
【0015】
第7の発明に係るキャッピング絞り深さ確認治具は、第2から第6の発明のいずれかにおいて、全体の重心が、上板部の中心軸上に設定されていることを特徴とする。
すなわち、このキャッピング絞り深さ確認治具では、全体の重心が、上板部の中心軸上に設定されるので、キャップ上に載置した際に安定し、揺れ等を抑制することができ、安定した確認作業が可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るキャッピング絞り深さ確認治具によれば、側壁部が、確認用凸部の第1測定端子部及び第2測定端子部を側方から直視可能な領域を避けて形成されているので、キャップに被せた状態で、確認用凸部の第1測定端子部と第1の壁部との接触の有無、及び第2測定端子部と変曲部との接触の有無を側方から容易に確認でき、段部が適正に形成されているか確認することができる。
したがって、本発明のキャッピング絞り深さ確認治具では、容易に段部が適正に加工されているか否かについて確認することが可能になり、樹脂等の成形により軽量で小型の治具とすることができ、誰でも取り扱いが容易であると共に、安価に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るキャッピング絞り深さ確認治具の一実施形態を示す底面図(a)及び平面図(b)である。
【
図2】
図1のA-A線断面図(a)及びB-B線断面図(b)である。
【
図3】本実施形態において、キャッピング絞り深さ確認治具を示す左側面図(a),右側面図(b)及び正面図(c)である。
【
図4】本実施形態において、キャッピング絞り深さ確認治具を平面(上面)側から視た斜視図(a)及び底面(下面)側から視た斜視図(b)である。
【
図5】本実施形態において、キャッピング絞り深さ確認治具を防爆スリットを有したキャップに被せた状態を示す要部の左側面図である。
【
図6】本実施形態において、キャッピング絞り深さ確認治具を用いた段差の確認作業を説明するための要部の断面図(a)及び要部の拡大断面図(b)である。
【
図7】本実施形態において、キャッピング絞り深さ確認治具を用いた段差の確認作業を説明するための要部の断面図(a)及び要部の拡大断面図(b)である。
【
図8】本発明に係るキャッピング絞り深さ確認治具の他の実施形態を示す平面図である。
【
図9】本発明に係るキャッピング絞り深さ確認治具の他の実施形態を示す要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るキャッピング絞り深さ確認治具の一実施形態を、
図1から
図7を参照しながら説明する。
【0019】
本実施形態のキャッピング絞り深さ確認治具1は、
図1から
図7に示すように、ボトルの口部に被着されたキャップ11の天板部11aの周縁に絞り加工により形成した円環状の段部11bの深さを確認するキャッピング絞り深さ確認治具1である。
このキャッピング絞り深さ確認治具1は、天板部11aの上方に配される上板部2と、上板部2の外周縁の一部から垂下された確認用凸部4と、上板部2の外周縁から垂下され確認用凸部4の左右の領域に分かれて互いに対向した一対の側壁部3とを備えている。
【0020】
上記確認用凸部4及び側壁部3は、その内側に上板部2側から垂下方向に順に設けられた第1測定端子部である上端基準部b1と第2測定端子部である測定用段差部b2とを有している。
上記上端基準部b1及び測定用段差部b2は、角部を有する段差部とされている。
また、測定用段差部b2は、上端基準部b1よりも半径方向外側に配されている。
すなわち、上端基準部b1と測定用段差部b2とは、確認用凸部4及び側壁部3の内側下面において半径方向外側に向けて階段状とされて垂下方向に下がる形状となっている。
【0021】
上記上端基準部b1から測定用段差部b2までの軸線方向の距離は、絞り加工による段部11bの絞り深さの基準値に設定されている。
すなわち、上端基準部b1の角部から測定用段差部b2の角部までの軸線方向の距離が、絞り加工による段部11bの絞り深さの基準値に設定されている。
なお、段部11bの絞り深さの基準値は、絞り加工によって天板部11aの上面から軸線方向に天板部11aの外周縁が凹まされた量であって、標準的な推奨値(合格値)に設定される。
【0022】
また、上端基準部b1の角部から測定用段差部b2の角部までの軸線方向の距離は、
図6及び
図7に示すように、上端基準部b1の平坦部から測定用段差部b2の平坦部までの軸線方向の距離D1と同じである。例えば、上端基準部b1の角部から測定用段差部b2の角部までの軸線方向の距離(又は距離D1)は、1.5mmに設定される。
さらに、上端基準部b1の角部と測定用段差部b2の角部との半径方向の距離は、段部11bの絞り加工に用いる型の内径に基づいて設定されている。
【0023】
上記段部11bは、天板部11aに連続する第1の壁部11cと、キャップ11の外周面に連続する第2の壁部11dとを備え、第1の壁部11cと第2の壁部11dとが変曲部Rを介して連続した構成とされている。すなわち、第1の壁部11cと第2の壁部11dとの間に凹んだ部分として変曲部Rが形成されている。
【0024】
本実施形態のキャッピング絞り深さ確認治具1は、キャップ11上に載置した際、段部11bの絞り深さが基準値以上であると、上端基準部b1が、第1の壁部11cの上端部11e(天板部11aの外周縁)に接触した状態で、測定用段差部b2が、変曲部Rに接触又は離間した状態となるように設定されている。
【0025】
上記側壁部3は、確認用凸部4の上端基準部b1及び測定用段差部b2を側方から直視可能な領域を避けて形成されている。
すなわち、側壁部3は、上端基準部b1及び測定用段差部b2を側方から直視可能に、確認用凸部4の側部で切り欠かれている。
また、側壁部3は、キャップ11の外周面に沿って断面円弧状に形成されている。
上板部2の中心から上端基準部b1までの距離D2は、天板部11aの中心から第1の壁部11cまでの距離の基準値(推奨値又は設計値)に設定されている。
【0026】
なお、本実施形態のキャップ11は、
図5に示すように、外周面の一部に形成された防爆スリットSを有している。
側壁部3は、上板部2の外周縁のうち確認用凸部4とは反対側の部分2bを避けて配され、段部11bの確認時にキャップ11の外周面のうち反対側の部分が被われないようになっている。すなわち、上板部2の外周縁のうち確認用凸部4とは反対側の部分2bは、平面視で直線状に切り欠かれている。
なお、上板部2には、一対のストラップ用孔2cが形成されている。
【0027】
本実施形態のキャッピング絞り深さ確認治具1を用いて、絞り加工後に適正な段部11bとなっているかどうかの確認を行う場合、まずキャッピング絞り深さ確認治具1をキャップ11の上から被せた状態で、側壁部3の上端基準部b1が第1の壁部11cの上端部11e(天板部11aの外周縁)に接触、又は測定用段差部b2が変曲部Rに接触して位置決めされる。
なお、防爆スリットSを有したキャップ11の場合、
図5に示すように、確認用凸部4とは反対側の部分2bを防爆スリットS側に配して防爆スリットSが露出して見える位置にし、キャッピング絞り深さ確認治具1をキャップ11上に被せる。
【0028】
この状態で、確認用凸部4の上端基準部b1と第1の壁部11cとの接触の有無及び測定用段差部b2と変曲部Rとの接触の有無について、確認用凸部4を側方から視認する。
このとき、
図6に示すように、確認用凸部4の上端基準部b1と第1の壁部11c(第1の壁部11cの上端部11e)とが接触し、測定用段差部b2と変曲部Rとが離間して隙間g1があることが視認されれば、段部11bが適正な基準値より深く加工されており、合格であると確認できる。
【0029】
また、確認用凸部4の上端基準部b1と第1の壁部11cとが接触し、測定用段差部b2と変曲部Rとも接触し、両方共接触していることが視認されれば、絞り深さが基準値であり、この場合も合格であると確認される。なお、この基準値が絞り深さの浅めの合格限界となる。
【0030】
また、
図7に示すように、確認用凸部4の上端基準部b1と第1の壁部11cとが離間して隙間g2があり、測定用段差部b2と変曲部Rとが接触していることが視認されれば、絞り深さが浅く、段部11bが基準値まで加工されていないとして不合格であると確認できる。すなわち、段部11bの絞り深さが浅すぎると、シール性が低下してしまうため、不合格となる。
このように、上端基準部b1と第1の壁部11cとの接触状態、及び測定用段差部b2と変曲部Rとの接触状態を視認することで、容易に段部11bが適正に加工されているか否か、すなわち絞り深さ具合(適正、浅い、深い)が瞬時に判別することが可能になる。
【0031】
このように本実施形態のキャッピング絞り深さ確認治具1では、側壁部3が、確認用凸部4の第1測定端子部(上端基準部b1)及び第2測定端子部(測定用段差部b2)を側方から直視可能な領域を避けて形成されているので、キャップ11に被せた状態で、確認用凸部4の第1測定端子部(上端基準部b1)と第1の壁部11cとの接触の有無、及び第2測定端子部(測定用段差部b2)と変曲部Rとの接触の有無を側方から容易に確認でき、段部11bが適正に形成されているか確認することができる。
【0032】
特に、キャップ11上に載置した際、段部11bの絞り深さが基準値以上であると、上端基準部b1が、第1の壁部11cの上端部11eに接触した状態で、測定用段差部b2が、変曲部Rに接触又は離間した状態とされ、側壁部3が、確認用凸部4の上端基準部b1及び測定用段差部b2を側方から直視可能な領域を避けて形成されているので、キャップ11に被せた状態で、確認用凸部4の上端基準部b1と第1の壁部11cとの接触の有無、及び測定用段差部b2と変曲部Rとの接触の有無から、段部11bが適正に形成されているか確認することができる。
【0033】
さらに、上端基準部b1及び測定用段差部b2が、角部を有する段差部とされ、上端基準部b1の角部から測定用段差部b2の角部までの軸線方向の距離が、絞り加工による段部11bの絞り深さの基準値に設定されているので、段差部である上端基準部b1の角部の接触状態及び測定用段差部b2の角部の接触状態が、側方から確認し易くなる。
【0034】
また、樹脂等の成形により軽量で小型の治具とすることができ、手軽に持ち運びできて取り扱いも容易であると共に、安価に作製することができる。
また、側壁部3が、キャップ11の外周面に沿って断面円弧状に形成されているので、側壁部3の上端基準部b1及び測定用段差部b2が対応する第1の壁部11c及び変曲部Rに線接触することができ、より正確な位置決めが可能になる。
【0035】
さらに、側壁部3が、上板部2の外周縁のうち確認用凸部4とは反対側の部分を避けて配されているので、スプリングバックがないために段部11bが浅くなってしまう防爆スリットSを確認用凸部4と反対側に配置することで、一対の側壁部3の間から防爆スリットSを視認して位置決めでき、他の部分よりも段部11bが浅い防爆スリットS近傍の段部11bを避けて、段部11bの確認作業することができる。
【0036】
なお、上板部2に、ストラップ用孔2aが形成されているので、ストラップ用孔2aにストラップを取り付けることで、小型で軽量な治具をストラップを用いて持ち運んだり保管したりすることができ、取り扱いがさらに容易となる。
【0037】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0038】
例えば、上記実施形態では、上板部2の外周縁のうち確認用凸部4とは反対側の部分2bが平面視で直線状に切り欠かれているが、全体の重心を調整するために、
図8に示すように、確認用凸部4とは反対側の部分22bを平面視で円弧状に切り欠いたキャッピング絞り深さ確認治具21としても構わない。
【0039】
このキャッピング絞り深さ確認治具21では、防爆スリットS側における一対の側壁部3の間隔を広げると共に、反対側の部分22bを半径方向内方に円弧状に深く切り欠くことで、防爆スリットS側と確認用凸部4側との前後のバランスを取るように設定されている。
これにより、全体の重心が、上板部22の中心軸C上に設定されるので、キャップ11上に載置した際に安定し、揺れ等を抑制することができ、安定した確認作業が可能になる。
【0040】
また、上記実施形態では、上端基準部b1が角部を有した段差部であるが、
図9に示すように、断面直線形状の下面を有する上端基準部b3を採用したキャッピング絞り深さ確認治具31として構わない。この場合でも、段部11bの絞り深さが基準値以上であると、断面直線形状の上端基準部b3が、第1の壁部11cの上端部11eに接触、当接した状態で、測定用段差部b2が、変曲部Rに接触又は離間した状態とされる。
【符号の説明】
【0041】
1,21,31…キャッピング絞り深さ確認治具、2,22…上板部、2a…ストラップ用孔、3…側壁部、4…確認用凸部、11…キャップ、11a…天板部、11b…段部、11c…第1の壁部、11d…第2の壁部、b1,b3…上端基準部(第1測定端子部)、b2…測定用段差部(第2測定端子部)、R…変曲部、S…防爆スリット